行政書士の資格だけでは、他人の所得税の確定申告書を作ることも、税務署に代理で申告することもできません。確定申告書の作成・代理・税額の相談は、税理士法で税理士(と国税局長に通知した弁護士)だけに認められた業務で、無料で引き受けても違法です。行政書士が税理士にも登録していれば、税理士として頼めます。自動車税や不動産取得税など行政書士が申告書を作れる10税目があり、記帳代行も条件付きで頼めます。どこまでが行政書士の守備範囲で、どこから税理士に回すか、家族や相続人が代わりに申告できる範囲、行政書士に払った報酬の源泉徴収までを条文で整理します。
まとめ:行政書士と確定申告の線引き
- 所得税・消費税・住民税の申告書作成、税務署への代理、税額計算の相談は税理士の独占業務(税理士法2条・52条)。行政書士は有償・無償を問わず引き受けられない。
- 違反した者の罰則は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(税理士法59条1項4号)。「3年以下・200万円以下」は脱税相談を禁じた36条違反の罰則で、別物。
- 行政書士が作成できる税務書類は、自動車税・軽自動車税・不動産取得税など10税目(税理士法51条の2、同法施行令14条の2)。所得税・消費税は含まれない。
- 税理士登録のある行政書士なら、税理士として確定申告を頼める。登録は日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確かめられる。
- 作り終えた申告書を税務署へ届けるだけなら家族でも行政書士でも可能。亡くなった親の分は相続人が4か月以内に準確定申告をする。
- 行政書士に払う報酬は原則として源泉徴収不要。建築確認申請など建築関係の書類作成の報酬だけは源泉徴収の対象になる。
行政書士に確定申告を頼めない法的根拠
税理士法2条の「税理士業務」3つと有償・無償の扱い
税理士法2条1項は、他人の求めに応じて租税に関する次の3つの事務を行うことを「税理士業務」と定めています。
| 税理士業務 | 確定申告での具体例 |
|---|---|
| 税務代理(1号) | 本人に代わって申告し、税務調査で主張する |
| 税務書類の作成(2号) | 確定申告書・青色申告決算書を作る |
| 税務相談(3号) | 「この支出は経費になるか」「税額はいくらか」に答える |
同法52条は「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない」と定めています。国税庁のタックスアンサーNo.9204も、税理士・税理士法人・国税局長に通知した弁護士および弁護士法人以外の者が「有償・無償を問わず税理士業務を行うと、税理士法第52条違反として罰せられる」と説明しています。税理士法基本通達2-1は「業とする」を「反復継続して行い、又は反復継続して行う意思をもって行うこと」とし、「必ずしも有償であることを要しない」と解釈しています。行政書士が「サービスで確定申告書も作っておきます」と申し出ても、無料だから許されるわけではありません。
社会保険労務士法27条や行政書士法19条は「報酬を得て」業として行うことを制限していますが、税理士法52条には報酬の要件がありません。
行政書士法1条の3第2項と2026年1月の条番号の繰下げ
行政書士の業務は「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類」の作成です。税務署も官公署なので、字面だけ読むと確定申告書も入りそうに見えます。これを塞いでいるのが行政書士法1条の3第2項で、他の法律で業務が制限されている書類は作成できないと定めています。税理士法52条がその「他の法律」にあたります。
行政書士法は令和7年法律第65号で改正され、2026年1月1日から第1条が行政書士の使命を定める規定に改められ、第1条の2に職責の規定が新設されました。業務規定はそれまでの1条の2から1条の3へ繰り下がっています。2025年以前の解説にある「行政書士法1条の2に基づき」は、現行条文では1条の3に読み替えてください。
税理士登録のある行政書士への依頼と登録の確かめ方
行政書士と税理士の両方に登録している事務所もあります。この場合、確定申告は「税理士として」受任してもらう形になります。行政書士の資格で受けたのか税理士の資格で受けたのかは、契約書の名義と、税務署へ出す税務代理権限証書に税理士として署名しているかで分かります。
税理士登録の有無は、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確かめられます。国税庁タックスアンサーNo.9204も、依頼先が税理士かどうかは税理士証票の提示を求めるか、このサイトで確認するよう案内しています。ホームページに「行政書士事務所」としか書かれていない事務所に確定申告を頼むなら、依頼前に検索し、名簿に載っているかを確かめます。
行政書士が作成できる税務書類の10税目
税理士法51条の2は、行政書士・行政書士法人が「行政書士の名称を用いて」次の租税の税務書類を業として作成できると定めています。条文に4税目、税理士法施行令14条の2に6税目が挙がっています。
| 根拠 | 税目 | 典型的な場面 |
|---|---|---|
| 税理士法51条の2 | ゴルフ場利用税 | ゴルフ場の申告 |
| 自動車税 | 車庫証明・名義変更と同時の申告 | |
| 軽自動車税 | 軽自動車の登録手続 | |
| 事業所税 | 一定規模以上の事業所 | |
| 同法施行令14条の2 | 石油ガス税 | LPG自動車用ガスの充填場 |
| 不動産取得税 | 土地・建物の取得後の申告 | |
| 道府県たばこ税 | たばこの卸売販売業者 | |
| 市町村たばこ税 | 同上 | |
| 特別土地保有税 | 課税は停止中(新規課税なし) | |
| 入湯税 | 温泉旅館の特別徴収 |
行政書士に認められているのは「税務書類の作成」だけで、税務代理(調査での主張)や税務相談は含まれません。自動車販売店が名義変更と一緒に自動車税の申告書を行政書士に頼むのは適法ですが、所得税・法人税・消費税・住民税・相続税はこの一覧に無いため、確定申告は対象外です。
印紙税・登録免許税は税理士法2条1項の括弧書き、自動車重量税は同法施行令1条で、そもそも税理士業務の対象から外されています。許認可申請に伴う収入印紙や登録免許税の金額を行政書士が確認することは、税理士業務にあたりません。
行政書士・税理士・司法書士・社労士の業務範囲の違い
手続きごとの依頼先の早見表
確定申告の周辺で発生する手続きを、どの士業に頼むかで整理すると次のとおりです。
| やりたいこと | 依頼先 | 根拠 |
|---|---|---|
| 確定申告書の作成・代理 | 税理士 | 税理士法2条・52条 |
| 開業時の許認可申請 | 行政書士 | 行政書士法1条の3 |
| 自動車税・不動産取得税の申告書 | 行政書士または税理士 | 税理士法51条の2 |
| 遺産分割協議書の作成 | 行政書士(争いがあれば弁護士) | 行政書士法1条の3 |
| 相続税・準確定申告の申告書 | 税理士 | 税理士法2条・52条 |
| 社会保険・労働保険の手続き | 社労士 | 社労士法27条 |
| 会社設立・相続の登記 | 司法書士 | 司法書士法3条 |
相続では分担の順番に注意が要ります。遺産分割協議書は行政書士が作れますが、誰がどの財産を取得するかで小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の効き方が変わります。相続税の申告が必要な規模なら、協議書を固める前に税理士に試算してもらうほうが手戻りがありません。
税理士が顧問先の社会保険手続きまで引き受けると違法になるかという疑問もよく見かけます。社労士法27条ただし書と同法施行令2条2号により、税理士が税理士業務に付随して行う場合は制限が解除されています。付随の範囲を超えて社会保険手続きだけを反復して受ける形は、この例外に入りません。
記帳代行を行政書士に頼むときの線引き
会計帳簿は事実証明に関する書類にあたり、日本行政書士会連合会も「会計記帳業務等を通じ、中小、個人企業等の経営効率の改善のお手伝い」をすると案内しています。記帳代行そのものは行政書士にも頼めますが、問題になるのは記帳の先です。
- 領収書を勘定科目ごとに入力し、総勘定元帳を作る:行政書士に依頼できる
- 減価償却の方法や家事按分の割合を決め、所得金額を確定させる:税額計算の判断にあたるため税理士業務
- 作った帳簿から青色申告決算書・確定申告書を作る:税務書類の作成で税理士業務
記帳だけを行政書士に頼み、申告書は自分で作るか税理士に回す分業なら、適法に成り立ちます。記帳の段階で「この支出は経費にできる」と助言を受けるのは税務相談に踏み込むので、判断が要る論点は最初から税理士に持ち込むほうが二度手間になりません。税理士側は、税理士法2条2項で税理士業務に付随する記帳代行が明記されているほか、国税庁の税理士制度のQ&A問2-3によれば付随しない記帳代行も禁止されていません。経理代行サービス全体で頼める業務と頼めない業務は経理代行サービスとは?料金相場の決まり方・依頼先の違いと税理士法で頼めない業務で整理しています。
違反したときの罰則と依頼者側のリスク
税理士法59条と58条の罰則の違い
税理士でない者が税理士業務を行った場合の罰則は、税理士法59条1項4号の2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。2025年6月1日施行の刑法改正で「懲役」は「拘禁刑」に置き換わりました。
ネット上では「3年以下の懲役または200万円以下の罰金(税理士法58条)」と書く解説も見かけますが、58条は脱税相談等を禁じた36条違反への罰則で、52条違反には適用されません。行政書士の場合はこれに加えて、行政書士法上の懲戒処分(戒告・業務停止・業務の禁止)の対象にもなり得ます。
依頼した側が負うリスク
52条違反の罰則は、税理士業務を違法に行った者を対象とします。依頼しただけで納税者が同条違反として処罰されるわけではありませんが、申告書に誤りがあったときに過少申告加算税や延滞税を負担するのは申告者本人です。税理士であれば税理士職業賠償責任保険で損害が補てんされる場合がありますが、資格外で作成した行政書士の賠償責任保険が税理士業務の事故を補償する前提には立てません。
税務調査で調査官に説明する場面でも、行政書士は税務代理人として立ち会えません。調査対応まで見越すなら、税務代理権限証書を提出できる税理士に最初から頼みます。調査に同席できる人の範囲は税務調査の税理士立ち会いは必要?任せられる範囲・同席できる人・費用を条文で確認で扱っています。
確定申告を代理人に頼める範囲:家族・相続人・e-Tax・臨時の税務相談
家族による提出補助と申告書作成の線引き
作り終えた申告書を税務署へ持参する、郵送する、時間外収受箱に入れるといった「提出」の手伝いは、税理士法2条1項の3業務のどれにもあたりません。税理士法基本通達2-4は「代理」を「依頼人のためにすることを示して」行うことと定めており、完成した申告書を届けるだけの使いはこれに入りません。家族はもちろん、行政書士に届けてもらうことも問題ありません。
線引きが必要なのは作成です。国税庁の税理士制度のQ&Aは、税務書類の「作成する」とは「申告書等を自己の判断に基づいて作成すること」で「単なる代書は含まれない」と説明しています(基本通達2-5)。本人が内容を決め、家族は入力や清書を手伝うだけなら、判断の主体は本人に残ります。家族が本人の所得や控除を判断して申告書を組み立て、それを毎年繰り返すようになると、基本通達2-1のいう反復継続に近づきます。無償であることは理由になりません。親の確定申告を毎年頼まれるなら、医療費控除や扶養の判断が絡む年だけでも税理士か税務署の申告相談に回します。
亡くなった親の準確定申告:相続人による4か月以内の申告
年の途中で亡くなった人の所得は、本人に代わって相続人が申告します。国税庁のタックスアンサーNo.2022は、相続人が1月1日から死亡した日までの所得金額と税額を計算し、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」に申告と納税をしなければならないとし、これを準確定申告と呼んでいます(所得税法124条・125条)。相続人が2人以上なら連署で1通を出すのが原則で、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に出すこともできます。
これは相続人自身の申告義務なので、子が親の分を作って出すことは家族による代理ではなく、本人としての申告です。行政書士は遺産分割協議書や戸籍の収集は引き受けられますが、準確定申告書の作成は税理士業務なので頼めません。年金と給与だけで医療費控除程度なら相続人が自分で作れる範囲です。不動産所得や事業所得があった親の分は、相続税の申告と合わせて税理士に頼むと期限の管理がまとまります。
e-Taxでの本人送信と税理士の代理送信
本人がe-Taxで申告する場合は、マイナンバーカード方式などを使います。ID・パスワード方式は2025年10月1日に新規発行が停止され、既に発行を受けた人に利用が限られます。国税庁は令和9年分の確定申告からは利用できなくなる予定としています。e-Taxのよくある質問は、税理士等が代理送信する場合は「納税者本人の署名を省略」できる扱いとして案内しています。行政書士の資格だけで、この代理送信が認められるわけではありません。スマホでの本人送信の手順はe-Taxのスマホ対応機種一覧はどこ?Android・iPhoneの条件と確定申告のやり方【2026年10月】を参照してください。
税理士以外が申告書作成を手伝える例外(税理士法50条)
税理士法50条は、租税の申告時期や災害時などに、国税局長(地方税は地方公共団体の長)の許可を受けた者が、2か月以内・税目指定・無報酬で申告書の作成と相談に応じることを認めています。許可を受けられるのは地方公共団体の職員と、公益社団法人・公益財団法人その他政令で定める団体の役職員に限られ、個人の行政書士事務所は対象外です。記帳の指導を受けながら自分で申告したい個人事業主向けの団体は青色申告会のメリット・デメリットと会費の実額|入るべき人・税務調査との関係・令和9年分改正で比べています。
税理士に確定申告だけ頼むときの費用の決まり方
税理士報酬に公定の料金表はありません。東北税理士会の案内によると、最高限度額を定めていた税理士報酬規定は平成14年(2002年)3月31日をもって廃止され、以後は依頼内容に応じて各税理士が報酬を提示する方式になっています。ネット上の相場表は出典や集計方法が示されていないものが多く、そのまま予算の根拠にはできません。
見積もりを比べるときは、次の条件をそろえて依頼しないと金額の比較になりません。
- 記帳から頼むのか、会計ソフトで作った帳簿を渡して申告書だけ頼むのか
- 年間の仕訳数(取引件数)と売上の規模
- 青色申告(65万円控除の貸借対照表作成を含む)か白色申告か
- 消費税の申告が必要か(課税事業者・インボイス登録の有無)
- 不動産所得・株式譲渡・医療費控除など追加の申告項目があるか
- 税務調査があった場合の立ち会い費用が含まれるか
記帳は自分で会計ソフトに入力し、申告書のチェックと提出だけを税理士に頼む形にすると、報酬を抑えつつ判断部分を専門家に任せられます。自分で申告する場合の手順は個人事業主の確定申告のやり方|令和8年分の期限と基礎控除104万円にまとめています。
行政書士に払った報酬の源泉徴収と経費処理
源泉徴収は原則不要、建築関係の書類作成は例外
所得税法204条1項2号は、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士などの報酬を源泉徴収の対象として列挙していますが、行政書士は含まれていません。許認可申請や会社設立書類の作成を頼んだ報酬は、原則として源泉徴収せずに全額を支払います。
例外は建築関係です。同法施行令320条2項は「建築代理士(建築代理士以外の者で建築に関する申請若しくは届出の書類を作成し、又はこれらの手続を代理することを業とするものを含む。)」を源泉徴収の対象に加えています。国税庁の質疑応答事例「行政書士に報酬を支払った場合」も、行政書士の報酬は原則として204条1項の報酬に該当しないとしたうえで、建築基準法6条等の「建築に関する申請若しくは届出」の書類作成は建築代理士の業務に含まれ、支払調書の提出が必要になると回答しています。建築確認申請を行政書士に頼んだ法人や、従業員に給与を払っている個人事業主は、10.21%(1回100万円超の部分は20.42%)の源泉徴収が要ります。
個人が支払う場合は、給与の源泉徴収義務があるかどうかで分かれます。国税庁のタックスアンサーNo.2502は「給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金については、源泉徴収をする必要はありません」としています。従業員を雇っていない個人事業主は、建築関係の報酬でも源泉徴収は要りません。源泉徴収の税率と支払う側になる条件は個人事業主の源泉徴収|10.21%の計算と対象の報酬、支払う側になる条件【令和8年】で計算例を示しています。
勘定科目と消費税の扱い
事業の許認可申請や契約書作成を頼んだ報酬は、必要経費(法人は損金)になります。勘定科目は法令で決まっていないため、「支払手数料」か「支払報酬」で毎期同じ科目を使えば足ります。会社設立のための定款作成などの報酬は、法人では創立費、個人の開業準備なら開業費として繰延資産にでき、任意の時期に償却できます。相続手続きやマイカーの車庫証明など、事業と関係ない依頼の報酬は経費になりません。
消費税の課税事業者は、行政書士がインボイス発行事業者かどうかで仕入税額控除が変わります。登録番号の記載がある請求書なら報酬の消費税を全額控除できます。免税事業者の行政書士への支払いは、経過措置で一定割合だけ控除できます。国税庁の令和8年度税制改正特集によると、令和8年度改正で適用期限が2年延び、控除できる割合は2026年9月までの80%から、2026年10月から2年間は70%、2028年10月から2年間は50%、2030年10月から1年間は30%に下がり、2031年10月以降は0%です。帳簿には経過措置の適用を受ける旨を書いておきます。同じ相手からの課税仕入れが年1億円(改正前は10億円)を超える部分には、この経過措置は使えません。
行政書士自身の確定申告で押さえる3つの論点
開業した行政書士が自分の確定申告で確認するのは、個人事業税、会費・登録費用、青色申告特別控除の3点です。報酬は原則として源泉徴収されないので、納付に備えて納税資金を取り分けておきます。建築確認申請の書類作成の報酬は源泉徴収されている場合があるため、支払調書と入金額を突き合わせて差し引き漏れを防ぎます。
行政書士業の個人事業税:第三種事業・税率5%
行政書士業は地方税法72条の2第10項10号で第三種事業に指定されており、税率は5%です。個人事業税では、所得税の事業所得に青色申告特別控除額を足し戻し、事業主控除などを差し引いて計算します。事業主控除は年間290万円で、営業期間が1年未満の場合は月割りです。業種ごとの税率と計算方法は個人事業税がかからない業種は?法定70業種の一覧と税率3〜5%・290万円控除の計算で確認できます。
行政書士会の会費と登録費用の扱い
都道府県行政書士会の会費や業務に必要な研修の受講料は、必要経費に計上できます。行政書士会への入会金は、所得税基本通達2-29の4の「同業者団体等の加入金」にあたり、原則は繰延資産です。支出額が20万円未満なら、所得税法施行令139条の2により、その年分の必要経費に全額算入できます。開業前に払った登録手数料などは、開業費(所得税法施行令7条1項1号)として処理します。
令和9年分の青色申告特別控除:最高75万円の適用要件
令和8年法律第12号による租税特別措置法25条の2の改正で、令和9年分以後は控除額と要件が組み替えられます。財務省の令和8年度税制改正の大綱によると、従来の55万円の要件に期限内のe-Tax提出を加えたものが65万円、さらに仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿で保存し、優良な電子帳簿の要件を満たすか特定電子計算機処理システムで電子取引データを所定の要件で保存すると75万円です。紙で申告すると65万円・75万円は受けられないので、開業した年からe-Taxと会計ソフトの電子帳簿保存に対応しておきます。
よくある質問
行政書士に確定申告代行はできますか?
行政書士の資格だけではできません。確定申告書の作成・代理・税額の相談は税理士法2条・52条で税理士の独占業務とされ、報酬の有無にかかわらず違法です。税理士にも登録している行政書士なら、税理士として依頼できます。
行政書士はどこまでやってくれるのですか?
許認可申請書、契約書、内容証明、遺産分割協議書などの作成と官公署への提出手続が中心です。税務では、税理士法51条の2と同法施行令14条の2の10税目の申告書作成と、判断を伴わない記帳代行までが範囲です。
確定申告だけ税理士に依頼するといくらかかりますか?
2002年に税理士報酬規定が廃止されたため公定の料金はなく、事務所ごとに異なります。記帳を含むか、仕訳数、青色か白色か、消費税申告の有無で大きく変わるので、条件をそろえて複数の事務所から見積もりを取って比べてください。
確定申告は代理人でもできますか?
作り終えた申告書を税務署へ持参・郵送する提出の代行は、家族など誰でも行えます。申告書の内容を判断して作ることや税務署への代理は税理士業務なので、本人以外に任せるなら税理士に依頼します。本人が内容を決め、家族が入力や清書を手伝う程度なら問題ありません。亡くなった人の分は、相続人が4か月以内に準確定申告をします。
行政書士への報酬は源泉徴収されますか?
原則として源泉徴収は不要です。所得税法204条1項2号の対象に行政書士は含まれていません。ただし、建築確認申請など建築に関する申請・届出の書類作成の報酬は、所得税法施行令320条2項の建築代理士の業務として源泉徴収の対象になります。