KPT法とは何か?シンプルで効果的な振り返り手法の基本概要とポイントを徹底解説【初心者向け完全ガイド】

目次
- 1 KPT法とは何か?シンプルで効果的な振り返り手法の基本概要とポイントを徹底解説【初心者向け完全ガイド】
- 2 KPT法の3つの要素とは?Keep・Problem・Try各要素の意味や役割
- 3 KPT法のやり方・実践手順とは?効果的に進めるための具体的ステップ
- 4 KPT法のメリット・デメリットとは?長所と短所を理解し効果的な活用法を徹底解説【導入前に知るべきポイント】
- 5 KPT法を成功させるコツ・ポイントとは?効果を高めるための実践的な工夫を徹底解説【チーム力アップの秘訣】
- 6 KPT法が活用できる場面・具体例とは?プロジェクトから日常業務まで有効なシーンと活用例を詳しく紹介!
- 7 KPT法と他の手法(PDCA・レトロスペクティブ)との違いとは?特徴や適用場面を徹底比較して理解する
- 8 KPT法のテンプレート・フォーマット例とは?ホワイトボード用シートからデジタルツールまで雛形を紹介!
- 9 KPT法におすすめのツールとは?オンラインで使える便利アプリやサービスを厳選して徹底解説!
KPT法とは何か?シンプルで効果的な振り返り手法の基本概要とポイントを徹底解説【初心者向け完全ガイド】
KPT法とは、振り返り(レビュー)を行うためのシンプルで効果的なフレームワークです。KPTは「Keep(継続すべきこと)」「Problem(問題点)」「Try(今後試すこと)」の頭文字で、プロジェクトや業務を振り返りながら良かった点・課題・改善策を3つの観点から整理する手法を指します。チームや個人の活動を振り返る際に、この3要素に沿って「うまくいっていること」と「問題があること」を洗い出し、そこから次に向けた具体的な改善アクションを導くのがKPT法の基本です。
この手法はシンプルで準備も少なくて済むため、短いサイクルで継続的な改善を促すのに適しています。例えばプロジェクトの終了時や定期的なチームミーティングなどでKPT法を用いて振り返りを行うことで、現状の課題を素早く共有し次のアクションにつなげることができます。また少人数のチームから個人まで幅広く活用でき、誰でも手軽に始められる振り返り方法として多くの現場で採用されています。特に継続的な振り返りによって課題を早期発見・解決し、チーム全体のパフォーマンス向上や個人のスキルアップにつなげられる点が大きな特徴です。
KPT法はもともとアジャイル開発の分野で提唱された手法であり(Alistair Cockburn氏の「Keep/Try Reflection」が原型)、日本で独自に発展して広まった経緯があります。現在ではPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)の「チェック&アクト」に相当する取り組みとして言及されることも多く、短期間で素早く改善を回すための実践的なフレームワークとして注目されています。本ガイドでは、そんなKPT法の基本要素や進め方、メリット・デメリット、効果を高めるコツ、活用シーン、他手法との比較、さらにはテンプレート例やおすすめツールまで、初心者向けに徹底解説していきます。
KPT法の3つの要素とは?Keep・Problem・Try各要素の意味や役割
KPT法は3つの要素 Keep・Problem・Try から構成されます。それぞれの意味と役割は以下の通りです:
Keep(継続すべきこと)
プロジェクトや日々の業務の中で「うまくいったこと」「今後も続けたい良い点」を指します。成果が出た取り組みや成功体験を洗い出し、今後も維持・強化すべきポイントとして共有します。Keepを挙げることで、チームのポジティブな要素を確認し、良い取り組みを継続するモチベーションにつなげます。例えば「○○の手順を導入した結果、生産性が向上した」など具体的な成果を含めると効果的です。
Problem(問題点・課題)
業務やプロジェクトで「うまくいかなかったこと」「課題として感じた点」を指します。発生したトラブルや非効率だった箇所など、改善すべき問題点を洗い出します。些細なことでも遠慮せず挙げ、チームで課題を共有することが重要です。Problemを明確にすることで現状の把握が進み、次の改善策(Try)を検討する土台になります。
Try(試してみたいこと・改善策)
KeepとProblemを踏まえて「今後取り組むべきこと」「具体的な改善アクション」を指します。継続すべき点をさらに伸ばす工夫や、課題を解決するための新しいアイデア・施策をここに列挙します。いつ・誰が・何を・どうするかまで具体化した実行プランに落とし込むことがポイントです。Tryによって次回以降の行動計画が明確になり、振り返りを未来の改善につなげる段階となります。
各要素をバランスよく挙げることで、良い点は伸ばしつつ問題点は改善し、具体的な次の一手を決めることができます。特にKeepでポジティブな振り返りをしつつ、Problemで課題をあぶり出し、Tryで建設的な解決策へとつなげる一連の流れがKPT法の肝となります。それぞれの要素が果たす役割をチームで共有し、漏れなく意見を出し合うことが効果的なKPTの実践につながります。
KPT法のやり方・実践手順とは?効果的に進めるための具体的ステップ
KPT法を実践する際の基本的な手順を、順を追って説明します。以下は効果的にKPT振り返りを進めるための5つのステップです:
1. 振り返りの準備をする
まずKPTミーティングのための環境を整えます。オフラインであればホワイトボードや模造紙など大きめの板とペン、付箋紙を用意します。参加者全員が自由に書き出せるよう、ペンと付箋は人数分用意しましょう。また事前に必要なデータや資料があれば各自準備し、リーダーは振り返りの目的・議題を事前共有しておくとスムーズです。リモート開催の場合はオンラインのホワイトボードや共同編集できるスプレッドシートを準備すると良いでしょう。
2. まず「Keep」と「Problem」を洗い出す
次に参加者全員でKeep(良かったこと・継続したいこと)とProblem(問題点・課題)を付箋に書き出していきます。思いつく限り自由に、些細なことでも構いません。他の人と相談せず各自の考えをできるだけ多くアウトプットしましょう。「全員知っていると思うから…」と省略せず、小さな懸念も書き出すのがポイントです。曖昧に放置すると後で大きな問題になることもあり、些細な指摘が課題解決のヒントになる場合もあります。付箋に書いたらホワイトボード上の該当エリア(K欄・P欄)に貼り出します。
3. 出た意見を全員で共有・議論する
続いて、貼り出されたKeepとProblemについてチーム全員で話し合います。それぞれ「なぜそれが良い結果に繋がったのか」「なぜ問題が起きたのか」といった要因や背景を掘り下げ、成功要因の分析や課題の真因究明を行います。良い成果は再現性を高め、課題は解決策の糸口を探ることが目的です。たくさんの付箋が出た場合、特にProblem側の議論に時間を多めに割きましょう。良かった点も重要ですが、次のTryを考えるには課題の深掘りが欠かせません。またProblemが多い場合は優先度をつけて議論することも大切です。
4. 「Try」を具体的なアクションプランに落とし込む
KeepとProblemの議論を踏まえ、改善策となるTryを考えます。継続することをさらに良くするアイデアや、課題を解決するための施策を付箋に書き出し、全員で検討して具体化していきます。ここでは具体性が重要です。【誰が・いつまでに・何を・どう実行するか】を明確に決めましょう。例えば「○月○日までに△△を作成し、◇◇さんにレビューしてもらう」のように、担当者と期限を入れ、可能なら数値目標も設定します。定量的な目標を入れることで、次回の振り返り時に客観的に達成度を評価でき、進捗確認の指標にもなります。Tryは実行可能な規模で具体的に策定し、後で検証できる形にするのがポイントです。
5. 決定したTryを実行し、定期的に繰り返す
振り返りで決まった改善策(Try)は、必ず実行に移し、効果検証と次回以降の振り返りへつなげます。実行した改善策の結果、うまくいった点は次回のKeepに、うまくいかなかった点は次回のProblemに反映していきます。このようにアクションの実行→検証→次の振り返りというサイクルを回し続けることで、業務やプロジェクトの精度が徐々に向上していきます。KPT法は一度やって終わりではなく、継続して定期的に実施することで効果が高まる手法です。チームの場合は定期的な振り返りの場を設けることでメンバー間の現状認識共有とチームワーク向上にも寄与します。個人で行う場合も週次・月次など定期反復することで自己研鑽につながるでしょう。
以上が基本的な進め方です。要約すれば、「準備」→「KとPを書き出す」→「内容を議論」→「Tryを具体化」→「実行・次回へ」という流れになります。いずれも特別な難しいプロセスではなく、ホワイトボードと付箋があればすぐに始められるシンプルな手法なので、ぜひ繰り返し実践してみましょう。定期的に振り返り改善を回すことで、必ずやチームや個人の成長につながるはずです。
KPT法のメリット・デメリットとは?長所と短所を理解し効果的な活用法を徹底解説【導入前に知るべきポイント】
KPT法のメリット(長所)
KPT法を導入することで得られる主なメリットは以下の通りです。
課題の早期発見と迅速な解決が図れる
定期的にProblemを洗い出すことで、問題の芽を早い段階で拾い上げ対処できます。放置すれば業務効率の低下や大きなトラブルにつながる課題も、KPTで定期的に振り返ることで素早く対応策を打つことが可能です。改善策(Try)を実行し次回に検証するサイクルを回すことで、継続的な業務の効率化・品質向上につなげられます。
意見交換が活発になりチームの一体感が高まる
KPTではメンバー全員が率直に良い点・悪い点を出し合います。日頃言いにくい無駄や問題点もKPTの場であれば忌憚なく提起しやすく、建設的な意見交換の機会となります。メンバー同士が課題を共有し解決策を話し合う過程で、「チーム全員で次に何をすべきか」が明確になるため一体感が生まれる利点もあります。
やるべきことが可視化される
振り返りで決定したTry(次にやること)が明確になるため、次のアクションプランがチーム全員に共有されやすいです。KPTでは議論の結果として具体的な改善タスクが洗い出されるため、終了時には「誰が何をするか」がはっきり可視化されます。このため振り返り後、チーム全員が共通認識を持って行動に移しやすくなります。
ポジティブな振り返り文化を醸成できる
KPT法は良かった点(Keep)も必ず扱うため、振り返りがネガティブな反省会だけで終わりません。成功事例や長所も共有して称賛・継続することで、前向きな雰囲気で改善に取り組めます。ミスの指摘だけだとモチベーション低下につながりがちですが、KPTは良い点も認識することで健全なバランスの振り返りとなり、ポジティブな学習効果を生みます。
手軽で汎用性が高い
KPTは3要素のみのシンプルな構造のため、どんな現場でもすぐに導入・応用できます。プロジェクト規模の振り返りから日々の業務改善、個人の自己レビューまで幅広く適用できる柔軟性がメリットです。ホワイトボードと付箋さえあれば始められる手軽さも相まって、継続しやすい点が長所と言えるでしょう。
KPT法のデメリット(短所)
一方で、KPT法には留意すべき以下のようなデメリットや課題も指摘されています。
Keepが軽視されネガティブな振り返りになりがち
KPTではProblem(課題)に注目が集まりすぎると、継続すべき良い点(Keep)が疎かになるケースがあります。悪い点ばかり議論すると「成果が出せていない」という印象が強まり、モチベーション低下につながる恐れがあります。意識的にKeepの項目も取り上げ、良かったことを称えることでバランスを取ることが大切です。
振り返りと問題解決を混同してしまう恐れ
Problemを出した直後に解決を急ぐあまり、十分な原因分析を飛ばしてすぐTryに移ってしまうことがあります。このように振り返り(原因の深掘り)と問題解決(対策立案)を混同すると、他の重要なProblemを見落としたり本質的でない対処療法に終始したりしがちです。KPTではまずK・P・Tすべてで振り返りを行い、課題の真因を探った上で改善策を検討するよう意識しましょう。
継続実施しないと効果が出にくい
KPT法は一度実施しただけでは大きな効果を期待しにくく、定期的に繰り返し継続することではじめて精度が高まる手法です。単発の振り返りで満足してしまうと、せっかく決めたTryも検証されずに終わり改善が定着しません。時間経過と共に課題も変化するため、KPTサイクルを回し続けることで徐々に効果が蓄積されます。「継続は力なり」の姿勢で取り組むことが重要です。
ファシリテーションが不十分だとうまく進まない
KPT自体は簡単ですが、議論を円滑に進める進行役がいない場合、意見が出ず沈黙したり、逆に議論が発散しすぎたりして効果を得られないこともあります。特に人数が多い場ではテーマ設定や時間管理が難しくなるため、適切なファシリテーションスキルが要求されます。この点は手法自体の欠点というより運用上の課題ですが、進行役の重要性として留意が必要です。
以上のようなデメリットを踏まえ、KPT法を導入する際は良い点だけでなく潜在的な課題にも注意しましょう。ただし適切に運用すればデメリットは緩和できるものが多いです。例えばKeepを軽視しないよう最初に必ず良かった点を各自3つ以上書くルールにする、問題解決を急ぎすぎないようファシリテーターが議論をコントロールする、定期実施のスケジュールを予め決めて習慣化する等の対策が有効です。【導入前に知るべきポイント】として、長所と短所を理解した上でKPT法をチームに合った形で活用しましょう。
KPT法を成功させるコツ・ポイントとは?効果を高めるための実践的な工夫を徹底解説【チーム力アップの秘訣】
KPT法の効果を最大限に引き出すためには、いくつかのコツや工夫があります。ここではKPTを成功させるための実践的ポイントを紹介します。
参加メンバーは少人数に絞る
振り返りセッションは5名前後の少人数がおすすめです。あまり大人数で行うと意見の収集・整理が難しくなり、議論が拡散しすぎて要点がぼやける恐れがあります。特に10人以上になると役職や職種の違いもあり意見がまとまりにくいので注意しましょう。一方、KPTは極端な話1人からでも実施可能です。個人で実践すれば自身の業務効率化やスキルアップにつなげられます。小さなグループなら2~3名でも効果は十分で、近い距離で密な議論が期待できます。
心理的安全性の高い場を整える
発言しやすい雰囲気づくりはKPT成功の鍵です。参加者全員が遠慮なく意見を出せるよう、「何を言っても否定されない安心感」をチーム内に醸成しましょう。日頃から積極的にコミュニケーションを取り信頼関係を築くことが土台となります。また振り返りの場では他者の意見を批判しない・否定しないルールを明示すると良いです。例えば「どんな意見も歓迎」「まず受け止めて検討する」といった姿勢をリーダーが率先示すことで、普段口下手な人も参加しやすくなります。
ファシリテーター(進行役)を設定する
KPTミーティングには司会進行や時間管理を担う進行役を置くと効果的です。ファシリテーターは議論の方向性を適宜コントロールし、決定事項がちゃんと定まるよう導きます。例えばKeepやProblemで大量の意見が出た場合、優先順位をつけ重要テーマに絞って議論するよう促したり、時間内にネクストアクション(Try)が決まるよう調整したりします。「議論が白熱しすぎて結局何も決まらなかった」という事態を防ぐのが進行役の役目です。経験豊富なメンバーがファシリテートすることで、KPTから具体的な成果(改善策)がしっかり引き出せるでしょう。
一度で終わりにせず継続して繰り返す
前述の通りKPT法は定期的に繰り返すことで真価を発揮します。1回やって満足するのではなく、振り返り→改善策実行→再度振り返り…というサイクルを回し続けましょう。継続することで手法にも慣れ、議論も回を重ねるごとに活発になっていきます。また開催頻度ややり方もチームに合わせて最適化できるでしょう。「まずは試行錯誤しながらでも続ける」ことが大切です。定期的に集まって顔を合わせて議論すること自体、チームワーク向上や心理的安全性の向上にもつながります。したがって継続的な実施こそがチーム力アップの秘訣とも言えます。
以上のポイントを押さえてKPT法を実践すれば、単に形だけの振り返りで終わらず、チームの生産性向上に直結する有意義な振り返りが可能になります。「発言しやすい場づくり」「適切な進行」「継続実施」の3つは特に重要です。これらを意識しながらKPTを回すことで、メンバー全員が主体的に参加し、次につながる学びと改善策を得られる充実した振り返りになるでしょう。
KPT法が活用できる場面・具体例とは?プロジェクトから日常業務まで有効なシーンと活用例を詳しく紹介!
KPT法は様々なシーンで応用可能な汎用的フレームワークです。プロジェクト単位の振り返りはもちろん、日常業務や個人レベルでも効果を発揮します。実際、研修やキャリア面談、定例報告など幅広い場面に組み込まれており、工夫次第であらゆる振り返りに活用できます。以下に具体的な活用シーンと例を挙げます。
プロジェクト終了時の振り返り
ソフトウェア開発やイベント企画などプロジェクト完了後の振り返りミーティングでKPT法は定番です。プロジェクト期間中に「うまくいった点(Keep)」「問題だった点(Problem)」をチーム全員で共有し、次回プロジェクトに向けた改善策(Try)を洗い出します。例えば開発プロジェクトなら「新しいツール導入で効率が上がった(Keep)」「要件変更への対応が遅れた(Problem)」などを出し合い、「次は○○の手法で変更管理を徹底する(Try)」といった具体策につなげます。プロジェクトの教訓を組織知として蓄積でき、次の成功確率を高める効果があります。
定期的なチーム業務の改善ミーティング
プロジェクト単位でなくとも、毎週・毎月の定例振り返りにKPTを取り入れる企業もあります。例えば営業チームが月次目標の達成度をKPTで振り返ったり、バックオフィス部門が四半期ごとに業務プロセスをKPTで見直すといったケースです。日々の仕事に忙殺されると改善が後回しになりがちですが、定期的にKPTの場を設けることで小さな課題も見逃さず継続的に業務改善できます。継続実施によりチーム内に改善文化が根付き、停滞しがちな業務にも徐々に変化が現れます。
研修・イベント後のフィードバック
社内研修やセミナー、イベント運営後のフィードバックセッションにもKPT法が有効です。参加者に「研修で良かった点(Keep)」「物足りなかった点(Problem)」「次に試したいこと(Try)」を書き出してもらえば、研修の質向上や次回企画へのヒントが得られます。例えば研修担当者はKPTの結果から「教材のこの部分が役立った」「進行スピードが速すぎた」という声を把握し、次回は説明資料を改善するなど具体的対策に活かせます。単なるアンケートより議論が深まり、講師と参加者双方に有益な振り返りとなるでしょう。
個人の業務日報・自己振り返り
KPT法はチームだけでなく個人のセルフレビューにも適しています。毎日の終業前や週末に、自分の業務についてKPTを書く習慣をつけると自己成長に役立ちます。例えば1日の終わりに「今日うまくいったこと(Keep)」「反省すべきこと(Problem)」「明日試す改善策(Try)」をノートや日報ツールに記録します。これを継続することで仕事の振り返り習慣が身につき、PDCAサイクルを回す個人版トレーニングにもなります。実際、日報にKPTフォーマットを導入している企業もあり、ラジログなど個人用KPT日報ツールも提供されています。日々少しずつでも改善を積み重ねることで、自分自身の業務効率アップやスキル向上につながります。
以上のように、KPT法はプロジェクトの振り返りから日常業務の見直し、個人の自己改善まで幅広い用途で活用できます。ポイントは「良かったこと」「悪かったこと」「次にやること」という普遍的な視点で整理するため、状況を選ばず効果を発揮することです。チームでの対面ミーティングはもちろん、オンラインやテキストベースでも実践可能なので、ぜひ様々な場面でKPT法を試してみてください。小さな振り返りの積み重ねが、大きな業務改善や成長につながるはずです。
KPT法と他の手法(PDCA・レトロスペクティブ)との違いとは?特徴や適用場面を徹底比較して理解する
PDCAサイクルとの違い
PDCA(Plan→Do→Check→Act)は計画から実行・評価・改善までを回す継続的改善の基本サイクルです。一方でKPT法は、そのPDCAサイクルの中の「Check(振り返り)」と「Act(改善)」にフォーカスした手法と言えます。PDCAが計画立案や実行も含めたマクロなフレームワークであるのに対し、KPTはプロジェクトや業務の区切りごとに行うミニマムな振り返り手法です。例えばPDCAでは目標設定から始めて長期的な改善を図りますが、KPT法は短いスパンで現状を分析しすぐに改善策を試すことに向いています。したがってPDCAは長期的・戦略的な改善活動に、KPT法は短期サイクルでの現場レベルの改善に適しているといえます。実際、KPT法をPDCAサイクルのCheck~Act段階に組み込むことで、計画→実行後の振り返りを構造化し、より効果的にPDCAを回す活用例もあります。まとめると、PDCAとKPTは対立するものではなく補完関係にあり、PDCAの一部(チェック&改善)を具体化する手段としてKPT法を用いると効果的なのです。
レトロスペクティブ(振り返り手法全般)との違い
「レトロスペクティブ」とはアジャイル開発などで行われる振り返りミーティング全般を指す用語で、特定のフォーマットに限らず過去の出来事を振り返って未来に活かす取り組みを意味します。KPT法はそのレトロスペクティブを実施するための代表的なフォーマットの一つです。つまり、レトロスペクティブという大枠の中で「Keep/Problem/Try」の3分類を用いて振り返る手法がKPTとなります。レトロスペクティブ自体は他にも様々な手法があり、例えばYWT(やったこと・わかったこと・次にやること)やスター法、スプリントレトロスペクティブ(自由形式)などがあります。KPTはそれらの中でもシンプルで網羅的に振り返り項目をカバーできる点が特徴です。他手法との比較では、例えばYWTが個人の学びや感情面も重視するのに対し、KPTはチームでの具体的な行動改善に焦点を当てている違いがあります。実際「レトロスペクティブに適した手法がKPT、リフレクション(内省)に適した手法がYWT」と言われるように、KPTはチーム全員で現実に起きたことを改善に結びつけるのに適しています。要するに、レトロスペクティブは振り返りの目的・概念であり、KPTはその目的を達成するための具体的な手段です。レトロスペクティブを行う際にKPTというフォーマットを使うことで、話し合うべきポイントが明確になり抜け漏れが少なくなるという利点があります。ただしチームの成熟度や状況によっては他の手法が有効な場合もあるため、KPTにこだわり過ぎず適宜手法を変える柔軟性も大切です。重要なのは、どの手法であれ単なる反省会ではなく未来志向で具体的な改善につなげることにあり、KPT法はそのための優れたツールの一つだと言えるでしょう。
KPT法のテンプレート・フォーマット例とは?ホワイトボード用シートからデジタルツールまで雛形を紹介!
KPT法のフォーマットは非常にシンプルです。基本形はホワイトボードやシートを3つの欄(K・P・T)に区切り、それぞれに項目を書き出すだけで実践できます。具体的には、ホワイトボード上で左上・左下・右側の3エリアに区分け線を引き、左上を「Keep」、左下を「Problem」、右半分を「Try」と見出しを書くことで即席のテンプレートが完成します。あとは各自が書いた付箋を該当する欄に貼っていくだけです。付箋はメンバーごとに色を変えると誰の意見か分かりやすくなりますし、「Keep=緑、Problem=赤、Try=青」といった形でカテゴリごとに色分けすると視覚的に整理しやすくなるでしょう。
このようにKPTはシンプルな構造のため特別なテンプレートは必須ではありません。ホワイトボードと付箋、ペンさえあれば十分実施できます。対面で集まってホワイトボードを囲んで行う振り返りは、議論も活性化しやすくおすすめです。上図のように実際のKPTセッション後のボードを見ると、一目で良い点・悪い点・改善策が整理されており、情報が直感的に把握できるフォーマットであることが分かります。
オンラインでチームが一堂に会せない場合でも、デジタルなKPTフォーマットで代替できます。例えば共有のスプレッドシートやドキュメントを用意し、そこに「Keep / Problem / Try」の3列を作って各自箇条書きで書き出す方法があります。リアルタイム共同編集できるツール上であれば付箋の代わりに各人が項目を入力していくだけで、ほぼ同様の振り返りが可能です。ポイントはできるだけ手軽な方法を選ぶことで、短いサイクルで頻繁に振り返りを実施しやすくなるという点です。紙のテンプレートがなくとも問題ありませんが、必要に応じてKPT用のフォーマットが用意されたツールやシートを使うこともできます。
市販のホワイトボード用シート(KPTの3区分が印刷された模造紙など)や、社内Wiki・ノートテンプレートにKPTの項目があらかじめ設定されている例もあります。また最近ではオンラインホワイトボードツールにKPTボードのテンプレートが含まれていたり、KPT専用の入力フォームを提供するサービスも登場しています。次章で紹介するようなKPT支援ツールには、最初からKPT形式の雛形が組み込まれているものもあります。例えば後述の「ラジログ」は日報でKPTフォーマットが使えたり、ホワイトボード共有ツール「KPTon」は過去のKPTボードを保存・閲覧できたりといった具合です。
まとめると、KPT法の基本フォーマットは「K・P・Tの3区画+付箋」のシンプルな形であり、これはアナログでもデジタルでもすぐ実現できます。初心者のうちは凝ったテンプレートよりも、まずは簡単な板書スタイルで試してみると良いでしょう。慣れてきたらチームに合ったテンプレートやツールを取り入れて、振り返りの履歴を残したり遠隔地から参加できるようにしたりと工夫していくのがおすすめです。
KPT法におすすめのツールとは?オンラインで使える便利アプリやサービスを厳選して徹底解説!
KPT法の実践をサポートしてくれる便利なツールやアプリをいくつか紹介します。ホワイトボードと付箋だけでも十分ですが、オンライン環境で記録を残したい場合や遠隔のチームで実施する場合、これらのツールを活用すると便利です。ここでは厳選した3つのサービスを取り上げ、その特徴を解説します。
Trello(トレロ)
直感的なかんばん方式のタスク管理ツールです。もともとプロジェクトのタスク管理用ですが、ボード上にリスト(列)を作ってカードを貼り付ける仕組みがKPTにも応用できます。例えば1つのTrelloボードに「Keep」「Problem」「Try」の3列を作り、付箋代わりにカードを追加していく形で振り返りを実施できます。カードにはコメントやチェックリストも付けられるため、振り返り内容からそのままToDo管理に移行できる利点もあります。無料で使えてシンプルなインターフェースなので、チームのKPT記録を継続的に残すのに適しています。
ラジログ
個人の日報・日記向け振り返りツールです。特に毎日の振り返りを習慣化したい人に向いており、1日単位でKeep/Problem/Tryを入力するテンプレートが用意されています。連携した行動ログ(作業ログ)も確認でき、その日の活動を振り返りながらKPTを書ける仕組みです。KPT形式のテンプレートが最初から組み込まれているため手軽に利用でき、日々の小さな気づきをストックするのに便利でしょう。個人利用がメインですが、チームで共有することでお互いの日々の課題共有・改善にも役立てられます。
KPTon(ケプトン)
オンラインホワイトボード型のKPT専用ツールです。リアルタイムで複数メンバーが同じボードに書き込みでき、まさにホワイトボードに付箋を貼る感覚でKPTをオンライン実施できます。過去のホワイトボード(振り返り結果)を保存して後から見返すことも可能なので、振り返りの履歴管理にも便利です。基本無料で使え、ログインするだけですぐにKPTボードを作成できる手軽さも魅力です。遠隔地のチームや在宅勤務の場合でも、このツール上でリアルタイムに共同振り返りができます。
以上のようなツールを活用すれば、オンライン環境でもKPT法を効果的に実践できます。【オンラインで使える便利アプリやサービス】としては他にも、Googleスプレッドシートで自作テンプレートを共有する方法や、TeamsやMiroなどのホワイトボード機能を使う方法もあります。重要なのはチームの状況に合ったツールを選ぶことです。紙とペンで十分なら無理にIT化する必要はありませんが、記録を残したい・リモートでやりたいといったニーズがあれば上記ツールの導入を検討すると良いでしょう。それぞれ無料プランがありますので、まずは試してみて使いやすいものを継続利用するのがおすすめです。
KPT法はそのシンプルさゆえに様々な形で実践できます。ツールはあくまで手段ですが、うまく活用して振り返りを継続しやすく・効果的に・楽しく行える環境を整えることが、チーム力アップにつながるでしょう。【初心者向け完全ガイド】として、本記事の内容や紹介ツールを参考に、ぜひKPT法を日々の業務改善に役立ててみてください。振り返りを習慣化し、小さな改善を積み重ねることで、確かな成長と成果が得られるはずです。