SDGs(エスディージーズ/Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、2030年を期限とする国際目標です。17の目標と169のターゲットで構成され、途上国だけでなく日本を含むすべての国が対象になります。
この記事では、17の目標を番号・日本語名・ターゲット数・指標数の一覧表で示し、「1.1」と「1.a」のようなターゲット番号の読み方、国連が2026年7月に公表した達成状況、日本の順位までを一次資料に基づいて整理します。
まとめ
- SDGsは国連総会決議A/RES/70/1「2030アジェンダ」の中核で、17の目標・169のターゲット・延べ251(重複を除き234)の指標の3層で進捗を測ります。
- 「貧困をなくそう」などの短い日本語名はアイコン用のコピーで、目標の正式な文言はより長く具体的です。
- 目標1〜16のターゲットは、数字付き(1.1など)が達成すべき中身、英字付き(1.aなど)が資金や技術といった実施手段を表します。目標17は19件すべてが数字付きで、すべて実施手段です。
- 国連の『SDGs報告2026』では、評価できた139ターゲットのうち順調または一定の進展は36%にとどまり、15%は2015年の水準より後退しました。
- 日本はSDSNの2026年版ランキングで20位(スコア81.02)です。企業が使うときは17のアイコンではなく、ターゲット単位で指標を置くと効果を説明できます。
SDGs(持続可能な開発目標)の定義と成り立ち
国連総会決議「2030アジェンダ」での採択
SDGsは、2015年9月25日に国連総会で採択された決議「Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development」(A/RES/70/1)に含まれる目標群です。決議は17の目標と169のターゲットを「統合され不可分なもの(integrated and indivisible)」とし、経済・社会・環境の3側面のバランスを取るものと位置づけています。
決議には「誰一人取り残さない(no one will be left behind)」という誓約が明記されました。標語として広く使われているこの言葉は、決議本文にも書かれた誓約です。
「持続可能」という語そのものの意味や、日常語としてのサステナブルとの使い分けはサステナブル(サスティナブル)とは?意味・具体例とSDGs・サステナビリティとの違いで扱っています。
前身のMDGsとの違い
前身のMDGs(ミレニアム開発目標)は、2000年9月8日に採択された国連ミレニアム宣言(A/RES/55/2)を土台に、2015年を期限としてまとめられました。国連の最終報告書によると、進捗は8つの目標・21のターゲット・60の公式指標で測られています。
| 項目 | MDGs | SDGs |
|---|---|---|
| 期限 | 2015年 | 2030年 |
| 目標数 | 8 | 17 |
| ターゲット数 | 21 | 169 |
| 指標数 | 60 | 234(延べ251) |
| 主な対象 | 開発途上国 | 先進国を含むすべての国 |
2030アジェンダは、SDGsを「MDGsを土台に、MDGsが達成できなかったことを完遂する」ものと説明しています。先進国も対象になったのは、決議が「先進国と開発途上国を問わず世界全体に関わる普遍的な目標」と定めたためです。
前文に並ぶ「5つのP」
2030アジェンダの前文は、行動が必要な領域を People(人間)、Planet(地球)、Prosperity(豊かさ)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ)の5つの見出しで示しています。17の目標を覚える前にこの5語を押さえておくと、目標同士の関係がつかみやすくなります。ただし前文は、各目標がどのPに属するかという対応表までは示していません。
SDGsの17の目標一覧
下の表は、国連広報センターが公開している日本語名と、国連統計部のデータベースから集計したゴールごとのターゲット数・指標数です。指標数は、複数のターゲットにまたがる指標を重複して数えた延べ数です。
| 番号 | 日本語名(アイコンのコピー) | ターゲット数 | 指標数(延べ) |
|---|---|---|---|
| 1 | 貧困をなくそう | 7 | 13 |
| 2 | 飢餓をゼロに | 8 | 15 |
| 3 | すべての人に健康と福祉を | 13 | 28 |
| 4 | 質の高い教育をみんなに | 10 | 12 |
| 5 | ジェンダー平等を実現しよう | 9 | 14 |
| 6 | 安全な水とトイレを世界中に | 8 | 11 |
| 7 | エネルギーをみんなに、そしてクリーンに | 5 | 6 |
| 8 | 働きがいも経済成長も | 12 | 17 |
| 9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう | 8 | 12 |
| 10 | 人や国の不平等をなくそう | 10 | 14 |
| 11 | 住み続けられるまちづくりを | 10 | 16 |
| 12 | つくる責任、つかう責任 | 11 | 13 |
| 13 | 気候変動に具体的な対策を | 5 | 8 |
| 14 | 海の豊かさを守ろう | 10 | 10 |
| 15 | 陸の豊かさも守ろう | 12 | 14 |
| 16 | 平和と公正をすべての人に | 12 | 24 |
| 17 | パートナーシップで目標を達成しよう | 19 | 24 |
ターゲット数は目標によって5から19まで差があります。最も多いのは目標17の19件で、資金・技術・貿易・データなど、ほかの16目標を実行に移すための手段がまとめて置かれています。最も少ないのは目標7と目標13の5件です。指標数では目標3が28件で最多です。ただし指標の件数は、各国でデータがどれだけ集まっているかとは別の話です。
日本語名と正式な目標文の違い
「貧困をなくそう」のような短い日本語名は、アイコンに載せるためのコピーです。国連広報センターのページには、日本語コピーの制作協力として博報堂クリエイティブ・ボランティアの名前が記載されています。
目標の正式な文言はもっと長く、範囲も広く書かれています。たとえば目標1の原文は「End poverty in all its forms everywhere」(あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困を終わらせる)、目標8は「Promote sustained, inclusive and sustainable economic growth, full and productive employment and decent work for all」(すべての人のための持続的・包摂的・持続可能な経済成長、完全かつ生産的な雇用、働きがいのある人間らしい仕事を促進する)です。目標8の後半にある decent work は、ILOが提唱するディーセントワークとは何か?ILOが提唱する「働きがいのある人間らしい仕事」の概念と意義を徹底的に解説と同じ概念です。レポートや社内資料で目標を引用するときは、コピーではなく原文の範囲で書いたほうが誤解を生みません。
ウェディングケーキモデルによる17目標の見方
17の目標を並列に眺めるだけでは、どれが土台になるのかが見えにくくなります。そこでよく使われるのが、ストックホルム・レジリエンス・センターの元所長ヨハン・ロックストロームらが2016年6月13日のEAT Food Forumで示した「SDGsウェディングケーキ」です。経済と社会は生物圏(環境)の中に埋め込まれているものとして、3層のケーキの形で目標を配置しています。
このモデルは国連の公式な分類ではありません。ただ、環境分野の目標が崩れると社会・経済分野の目標も成り立たない、という関係を説明するときの図として広く使われています。
169ターゲットと指標の構造
数字付き・英字付きターゲットの役割と目標17の例外
169のターゲットは、番号の付け方で2種類に分かれます。国連統計部のデータで数えると、数字付きが126件、英字付きが43件です。
- 数字付き(例:1.1)…達成すべき状態を示します。1.1は採択時の文言で「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義される極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」という内容です。測定に使う国際貧困ラインは、世界銀行が2025年6月に1日3.00ドル(2021年購買力平価)へ改定しています。
- 英字付き(例:1.a)…実現のための手段を示します。1.aは、開発協力の強化などを通じて途上国が貧困対策を実施できるよう、多様な資金源から十分な資源を動員するという内容です。
目標17だけは英字付きのターゲットが無く、17.1から17.19まですべて数字で並んでいます。目標17自体が実施手段の目標であるためです。
期限がすべて2030年とは限らない点にも注意が必要です。たとえばターゲット8.7は、児童兵士の徴用を含むあらゆる形態の児童労働を「2025年までに」終わらせるとしており、この期限はすでに過ぎています。
234の指標と2025年の包括的見直し
ターゲットの進捗を測るのが「グローバル指標」です。国連統計部の一覧によると、指標は重複を除いて234件、複数のターゲットで重複して掲載されるものを含めると延べ251件です。枠組みは2017年3月の第48回国連統計委員会で合意され、2017年7月6日に国連総会で採択されました。
指標は固定ではありません。2025年3月4日から7日に開かれた第56回国連統計委員会では、専門家グループ(IAEG-SDGs)がまとめた包括的見直しの変更案が採択されています。指標枠組みは、国連総会決議A/RES/71/313で毎年の改訂と定期的な包括的見直しが定められています。過去の記事と件数が合わない場合は、こうした改訂に加えて、延べ数と重複を除いた数のどちらを数えているかも確認してください。
2026年時点のSDGs達成状況
国連『SDGs報告2026』の進捗評価
国連は2026年7月7日に『The Sustainable Development Goals Report 2026』を公表しました。事務総長報告は、傾向データなどがそろう139のターゲットについて、次のように評価しています。
| 評価 | 割合 |
|---|---|
| 順調(on track) | 15% |
| 一定の進展(moderate progress) | 21% |
| わずかな進展(marginal progress) | 32% |
| 進展なし(no progress) | 17% |
| 2015年の水準から後退(regression) | 15% |
2030年まで5年を切った段階で、順調と一定の進展を合わせても36%です。残りの64%は、わずかな進展・停滞・後退のいずれかに当たります。169のターゲットのうち、この評価に含まれたのは傾向データなどがそろう139件だけです。
SDSNランキングにおける日本の順位
国連の報告は国別の順位を付けません。国別の比較でよく引用されるのは、SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)の『Sustainable Development Report』です。2026年版は169か国をランク付けしており、日本は20位、SDG Indexのスコアは81.02でした。
このランキングは国連の公式評価ではありません。2026年版のSDG Indexは123の指標を使い、内訳は、評価対象のすべての国に共通で使う101指標と、OECD加盟国のダッシュボード用に加える22指標です。データが足りない国は順位が付かないため、国連加盟193か国すべてが並ぶわけでもありません。「日本はSDGsの何位」という数字を資料に載せるときは、SDSNのランキングであることと何年版の数字かを添えてください。
2030年以降(ポスト2030)の議論
2026年9月時点で、SDGsの後継となる目標は決まっていません。国連統計部は2026年の報告で「ポスト2030の枠組みに関する議論が始まっている」と記載しています。SDSNも2026年版の報告書で、加盟国が2027年9月のSDGサミットなどの場で2030年以降のアジェンダを検討すると説明しています。
2030年でSDGsが終わると考えて取り組みを縮小するのは早計です。後継の枠組みがSDGsの目標やターゲットをどのように引き継ぐかは、2026年9月時点では決まっていません。
日本政府・自治体・企業のSDGsの取り組み
SDGs推進本部と実施指針
日本政府は、2016年5月20日の閣議決定で内閣に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置しました。国内での進め方を定めた「SDGs実施指針」は、2023年12月19日に推進本部が改定版を決定しています。
2030アジェンダは、ターゲットを「野心的かつ地球規模のもの」とし、各国政府が自国の事情を踏まえて国内目標を設定するとしています。つまり、日本で何を目標値にするかは日本政府の指針や計画を見る必要があります。
SDGs未来都市に選ばれた自治体
自治体の取り組みでは、内閣府の地方創生推進事務局が選ぶ「SDGs未来都市」があります。2026年度は、地方創生分野における日本の「SDGsモデル」の構築に向けて優れた取り組みを提案した4都市が選ばれ、2026年7月27日に選定証の授与式が行われました。制度の位置づけは地方創生とは何か?目的や意義、歴史的経緯、最新動向まで含めて地域づくりの基本と課題も徹底解説の文脈で読むと理解しやすくなります。
企業がSDGsを経営に取り入れるときの落とし穴
企業でよく見られるのが、既存事業に17のアイコンを当てはめて並べるだけの「マッピング」です。この方法では、何がどれだけ改善したかを示せません。投資家や取引先に成果を説明するには、方針や実施内容に加えて、指標の推移が必要です。
効果を説明できる形にするには、目標ではなくターゲット単位で自社の指標を置きます。食品を扱う企業ならターゲット12.3(小売・消費者段階の1人当たり食品廃棄を2030年までに半減)に対応する廃棄量、製造業ならターゲット7.2(再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大)に対応する再エネ比率、といった形です。2030年の姿から逆算して中間目標を置く考え方はバックキャスティングとは?目標とする未来像から逆算して計画を立てる手法の意味と特徴を詳しく解説が参考になります。
なお、投資家向けのサステナビリティ情報開示は、SDGsの17目標ではなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点とIFRS S1などの開示基準に沿って整理されます。SDGs・ESGの違いと日本の開示義務化の日程はESGとは?意味と3要素、SDGs・CSRとの違いを簡単に解説【2027年3月期から開示義務化】、社内の推進体制づくりはESG経営とは?進め方と体制づくり、ESG評価への対応を実務目線で解説で扱っています。
個人の行動と169ターゲットの対応
「私たちにできること」を考えるときも、ターゲットに結び付けると行動の意味がはっきりします。
- 食べ残しや買いすぎを減らす…ターゲット12.3は、小売と消費者の段階での1人当たり食品廃棄の半減を掲げています。家庭は直接の対象です。
- ごみを出さない・再利用する…ターゲット12.5は、発生抑制・削減・リサイクル・再利用による廃棄物の大幅な削減です。製品を長く使い資源を循環させる考え方はサーキュラーエコノミーとは何か?で解説しています。
- 再生可能エネルギーの電力プランを選ぶ…ターゲット7.2の再生可能エネルギーの割合拡大に、需要側から関わる方法です。
- 気候変動について学ぶ・伝える…ターゲット13.3は、気候変動の緩和・適応・早期警戒に関する教育と啓発の強化を掲げています。
よくある質問
SDGsの17の目標の10番目は何ですか?
目標10は「人や国の不平等をなくそう」です。原文は「Reduce inequality within and among countries」で、国内の格差と国家間の格差の両方を対象にしています。ターゲットは10件、指標は延べ14件です。
SDGsは何年までの目標ですか?
2030年までの目標です。2015年9月25日に採択され、2030アジェンダは目標とターゲットが2016年1月1日に発効し、その後15年間の意思決定の指針になると定めています。ただしターゲット8.7の児童労働の撤廃が2025年を期限とするなど、一部のターゲットは2030年より前の期限を持っています。
SDGsに法的な拘束力はありますか?
SDGsは条約ではなく国連総会の決議であり、批准の手続きはありません。2030アジェンダは、フォローアップとレビューを「自発的で各国主導(voluntary and country-led)」で行うと定め、国内目標も各国政府が自国の事情を踏まえて設定するとしています。
169のターゲットの一覧はどこで確認できますか?
英語の原文は、国連統計部のSDG指標一覧(Global indicator framework)で、ターゲットと指標をセットで確認できます。日本語で政府の取り組みとあわせて確認するなら、外務省のSDGsのページが入口になります。指標は2025年にも見直されているため、件数を引用するときは国連統計部の一覧で最新の数を確認してください。
SDGsの達成度で日本は何位ですか?
SDSNの『Sustainable Development Report 2026』のランキングで20位、スコアは81.02です。国連の公式な順位ではなく、SDSNが独自の指標で算出したランキングである点に注意が必要です。