ウェルビーイングとは?意味・5つの要素・高める方法をわかりやすく解説
ウェルビーイング(well-being)とは、心と身体、そして社会的なつながりのすべてが良好で満たされた状態を指す言葉です。一時的な気分の良さではなく、健康・人間関係・働き方・経済の各面が継続的に充実している状態を意味します。読み方は「ウェルビーイング」、英語表記は well-being。日本語に一語で訳しにくいため、「幸福」「健康」「福祉」などを含む広い概念としてそのまま使われます。この記事では、語源とWHOの健康の定義から、ウェルネスや幸福との違い、ギャラップとPERMAが示す5つの要素、世界幸福度報告での日本の現状、個人と企業が高める方法までを整理します。
まとめ:ウェルビーイングの要点
先に結論を示します。ウェルビーイングは1946年のWHO憲章にある「健康とは、病気でないことではなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」という定義をルーツに持ち、近年は個人の幸福と組織経営の両面で使われています。簡単に言えば「心身と社会的関係が満たされ、良い状態が続いていること」です。構成要素はギャラップ社の5つ(キャリア・社会的・経済的・身体的・地域社会)やセリグマンのPERMAモデルで整理されます。日本は世界幸福度報告2025で55位とG7最下位にとどまり、個人の習慣づくりと企業のウェルビーイング経営の両輪が課題です。以下、各論点を順に見ていきます。
ウェルビーイングとは何か──語源とWHOの健康の定義
ウェルビーイングは「well(良い)」と「being(状態・あり方)」を組み合わせた言葉で、「良い状態が続いていること」を表します。瞬間的な喜びを指す「happiness(ハピネス)」と違い、持続的で多面的な「良好さ」に重心がある点が特徴です。語源をたどると、ラテン語の「bene(良く)」と「esse(在る)」にさかのぼるとも説明されます。
「ウェルビーイングとは簡単に」言うと何か
検索では「ウェルビーイングとは 簡単に」という調べ方が多く見られます。最短で言えば、ウェルビーイングは「身体・心・人間関係・経済などが満たされ、その良い状態が続いていること」です。お金や健康など一つの条件だけで決まるのではなく、複数の要素のバランスで成り立つ点が、単なる「幸せ」や「健康」との違いになります。
WHOの健康の定義がウェルビーイングの原点
ウェルビーイングという語が広く知られるきっかけは、世界保健機関(WHO)の憲章前文です。1946年に署名されたこの定義では、健康(health)を「単に病気や虚弱でないということではなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態(well-being)」と規定しました。つまり、健康状態とは検査値が正常という意味にとどまらず、心の安定や社会的なつながりまで含む概念だと示したわけです。この「身体・精神・社会」の三本柱は、今日のウェルビーイングを理解する出発点になっています。
ウェルネス・幸福(ハピネス)との違い
混同されやすい言葉を整理します。ウェルネス(wellness)は、より健康に近い概念で、運動・栄養・休養など主に身体面の健やかさを高めようとする行動や生活様式を指すことが多い言葉です。ハピネス(happiness)は、楽しい・うれしいといった一時的でポジティブな感情の状態を指します。ウェルビーイングはこの両方を包み込み、さらに人間関係や経済、社会的役割までを含む、より広く持続的な「良好な状態」です。幸福(幸せ)との関係でいえば、ウェルビーイングは「感情としての幸福(主観的ウェルビーイング)」と「客観的に測れる生活の質」の両面で語られます。
ウェルビーイングを構成する5つの要素──ギャラップとPERMA
ウェルビーイングを実務で扱うときは、抽象的な「良い状態」を要素に分解して捉えます。代表的なのが、調査会社ギャラップの5要素と、ポジティブ心理学のPERMAモデルです。どちらも「5つ」で整理しますが、着眼点が異なります。
ギャラップ社が示す5つの要素
ギャラップ社のトム・ラスらは、世界150以上の国・地域の調査をもとに、ウェルビーイングを次の5領域でとらえました。仕事や日々の活動への充実を示す「キャリア(Career)」、信頼できる人間関係を示す「社会的(Social)」、経済的な安心を示す「経済的(Financial)」、健康とエネルギーを示す「身体的(Physical)」、住む地域への愛着や貢献を示す「地域社会(Community)」の5つです。検索される「ソーシャルウェルビーイング」は、このうち社会的(人とのつながり)の領域にあたります。5つすべてが高い人は一部だけ高い人より良好な状態を保ちやすい、というのがこのモデルの主張です。
セリグマンのPERMAモデル
ポジティブ心理学を提唱したマーティン・セリグマンは、人が充実して生きる(flourish)状態を5つの頭文字で表すPERMAモデルを示しました。前向きな感情の「Positive emotion」、没頭・夢中を意味する「Engagement」、良好な人間関係の「Relationships」、人生の意味・意義の「Meaning」、達成感の「Accomplishment」です。ギャラップが生活領域で分けるのに対し、PERMAは心理的な満たされ方で分ける点が違いです。両者は対立するものではなく、組織での施策設計ではギャラップの領域、個人の心の整え方ではPERMA、と使い分けると実務に落としやすくなります。
| モデル | 提唱 | 5つの要素 | 着眼点 |
|---|---|---|---|
| ギャラップ5要素 | トム・ラス他(2010) | キャリア/社会的/経済的/身体的/地域社会 | 生活の領域 |
| PERMA | M・セリグマン(2011) | 前向き感情/没頭/人間関係/意味/達成 | 心理的な満たされ方 |
どちらを使うべきか迷う場合、まずは身近なギャラップの5領域で自分や職場の現状をチェックし、足りない領域を補うのが取りかかりやすい方法です。心の充実度を深掘りしたいときにPERMAを重ねると、施策の重複や抜けを見つけやすくなります。
ウェルビーイングが注目される3つの社会的背景
関心が高まった理由は、大きく三つの流れにまとめられます。第一に、経済成長だけでは人々の満足が頭打ちになるという認識です。GDPの伸びが幸福の伸びに直結しないという「Beyond GDP(GDPを超えて)」の議論が国際的に広がり、豊かさを測る物差しを問い直す動きが進みました。第二に、働く人の不調と人手不足です。メンタル不調による離職やパフォーマンス低下が経営課題となり、従業員の良好な状態を保つことが企業の競争力に直結するようになりました。第三に、SDGsの普及です。「すべての人に健康と福祉を」という目標に代表されるように、社会全体の良好さを目指す価値観が一般化しました。これらが重なり、ウェルビーイングは個人の生き方と組織経営の双方で使われる言葉になっています。
ウェルビーイングの測定指標と幸福度ランキングの現状
「良い状態」は感覚的にとらえられがちですが、国際機関は数値で測る指標を整備しています。日本の現在地を知るうえでも重要な論点です。
世界幸福度報告とOECD Better Life Index
代表的な指標が、国連の関連機関が毎年発表する「世界幸福度報告(World Happiness Report)」です。各国の人々に自分の生活を0〜10で評価してもらう主観評価を軸に、社会的支援・健康寿命・人生選択の自由・寛容さなどを合わせて順位づけします。もう一つ、OECDの「より良い暮らし指標(Better Life Index)」は、住宅・収入・雇用・健康・教育・環境・生活満足度など11分野(2024年時点)で各国の暮らしを多面的に比較します。日本では内閣府も「満足度・生活の質に関する調査」を行い、分野別の満足度を継続的に公表しています。主観評価と客観指標の両方を見ることで、片方だけでは見えない課題が浮かびます。
日本の幸福度の現状と課題
世界幸福度報告2025年版で、日本は調査対象のなかで55位、G7(主要7か国)では最下位でした。フィンランドは8年連続で1位を維持しています。日本は健康寿命や安全性などの客観指標は高い一方、人生の選択の自由や他者への寛容さといった項目の評価が低く、これが順位を押し下げる要因と指摘されています。経済規模に比べて主観的な満足が低い、という構図が長く続いているわけです。ランキングは年度ごとに変動するため、最新の順位とスコアは各報告書の公式発表で確認してください。
ウェルビーイングを高める方法(個人・職場)
指標で現状を把握したら、次は高める段階です。個人の習慣と職場の仕組みでは打ち手が異なるため、分けて整理します。
個人が日常で実践できること
個人レベルでまず効くのは、人とのつながりと身体の土台づくりです。ハーバード大学が80年以上続ける成人発達研究は、人生の満足度を最も強く左右するのは富や名声ではなく「良質な人間関係」だと結論づけています。家族や友人と過ごす時間を意識的に確保することは、もっとも費用対効果の高い実践です。あわせて、睡眠・運動・食事という身体の基礎を整えると、気分の安定にも直結します。日本の研究では、慶應義塾大学の前野隆司氏が幸福度を高める「幸せの4因子」として、挑戦する「やってみよう」、感謝する「ありがとう」、楽観的な「なんとかなる」、自分らしくいる「ありのままに」を挙げています。完璧を目指すより、小さな感謝や挑戦を日々に組み込むほうが続きやすい方法です。
職場・チームで高める取り組み
職場では、制度よりも先に「安心して意見を言える関係」が土台になります。失敗を責めない雰囲気、上司と部下が定期的に対話する1on1、成果を認め合う仕組みは、PERMAでいう人間関係(R)と達成(A)を直接押し上げます。テレワークや時差出勤など働く場所・時間の柔軟性は、身体的・社会的な要素を支えます。注意したいのは、卓球台やフリードリンクのような福利厚生だけを導入して満足してしまう失敗です。仕事のやりがいや人間関係の質が伴わなければ、設備投資は表面的な施策に終わります。まず対話の質を上げ、そのうえで環境を整える順番が現実的です。
ウェルビーイング経営と健康経営──企業の取り組み
従業員のウェルビーイングを経営戦略に組み込む考え方が「ウェルビーイング経営」です。よく似た「健康経営」は、従業員の健康管理を経営課題ととらえて投資する考え方で、身体的な健康に軸足があります。ウェルビーイング経営はそこに、やりがい・人間関係・成長といった心理的・社会的な要素まで広げた、より包括的な概念だと整理できます。
ウェルビーイング経営が生む効果
従業員の良好な状態が業績に結びつくことは、研究でも示されています。心理学者エド・ディーナーらの研究や、これを広めたショーン・エイカーの「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」によれば、幸福度の高い状態の社員は、そうでない場合に比べて創造性がおよそ3倍、生産性が平均31%、売上が37%高い傾向が報告されています。注意したいのは、この数値は特定企業の実績ではなく心理学研究に基づく傾向値だという点です。自社で同じ効果が出ると断定はできませんが、「働く人の状態を整えることが、コストではなく投資になりうる」という根拠として参照できます。
企業事例:積水ハウスの「幸せ健康経営」
具体例として、積水ハウスは「積水ハウスを世界一幸せな会社にする」というビジョンを掲げ、2020年からグループ全従業員を対象に独自の「幸せ度調査」を続けています。2023年度は23,117人が回答し、初めて「自律」をテーマにした設問を加えた結果、自律して働いていると感じる人ほど幸福度が高いという相関が示されました。同社は「幸せ健康経営」として健康増進と生産性向上の両立を掲げ、経済産業省の健康経営優良法人にも継続して選定されています。自社のウェルビーイングを定点観測し、結果を施策に反映する流れは、規模を問わず参考になる進め方です。
ウェルビーイングとSDGsの関係
ウェルビーイングは、SDGs(持続可能な開発目標)とも深く結びついています。とりわけ目標3「すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-being)」は、目標名そのものにwell-beingが含まれており、健康と良好な暮らしを世界共通の到達点として掲げています。さらに、働きがいを扱う目標8や、不平等の是正を扱う目標10など、人の暮らしの質に関わる多くの目標がウェルビーイングと重なります。企業がウェルビーイング経営を進めることは、従業員という身近な「すべての人」の福祉に貢献し、SDGsの達成に直接つながります。各目標の全体像は、SDGsの17の目標一覧をわかりやすく解説した記事で確認できます。
よくある質問(FAQ)
ウェルビーイングとは簡単に言うと何ですか?
一言でいえば「良い状態が続いていること」です。お金・健康・人間関係のどれか一つではなく、それらが総合的に満たされ、しかも一時的でなく持続している点がポイントになります。語源は「well(良い)+being(あり方)」で、WHOが1946年に示した健康の定義(身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態)がルーツです。
ウェルビーイングとウェルネスの違いは何ですか?
ウェルネスは運動・栄養・休養など主に身体的な健やかさを高める行動や生活様式を指す、健康に近い概念です。ウェルビーイングはその身体面に加えて、人間関係・経済・社会的役割・心の状態まで含む、より広く持続的な「良好な状態」を指します。ウェルネスはウェルビーイングを支える要素の一つと位置づけられます。
ウェルビーイングの5つの要素とは何ですか?
よく使われるのはギャラップ社の5要素で、キャリア・社会的・経済的・身体的・地域社会の5領域を指します。別の整理としてセリグマンのPERMAモデルがあり、前向きな感情・没頭・人間関係・意味・達成の5つで構成されます。生活の領域で見るならギャラップ、心の満たされ方で見るならPERMAが目安です。
WHOの健康の定義とは何ですか?
世界保健機関(WHO)が1946年の憲章前文で示した定義で、健康とは「単に病気や虚弱でないことではなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態(well-being)」とされています。検査値が正常というだけでなく、心の安定や社会的なつながりまで含めて健康をとらえる考え方で、ウェルビーイングの出発点になっています。
日本の幸福度は世界で何位ですか?
世界幸福度報告2025年版では、日本は55位でG7(主要7か国)では最下位でした。健康寿命や安全性は高評価ですが、人生の選択の自由や他者への寛容さの評価が低い点が課題とされています。順位は毎年変動するため、最新値は世界幸福度報告の公式発表で確認してください。