コンセプト調査(コンセプトテスト)は、発売前の商品・サービスの案を文章やイラストで生活者に見せ、購入意向・魅力・新しさなどを聞いて、どの案を開発に進めるか、どこを直すかを決める調査です。この記事では、調査会社が公開している料金をもとにした費用と見積りの内訳、依頼する前に決めておく項目、提示するコンセプトシートの書き方、結果の読み方と合格ラインの決め方、公表されている事例までを、発注する側の目線で整理します。
まとめ:コンセプト調査の費用と進め方の要点
- コンセプト調査・コンセプトテスト・コンセプト受容性調査は同じ調査を指します。試作の前に案を評価し、案の絞り込みと改良点の特定に使います。
- 費用は、クロス・マーケティングの公開料金でWeb定量150万円〜(1,000サンプル・スクリーニング10問・本調査30問、税別、設計から報告書まで)、会場調査(CLT)200万円〜(100サンプル)です。実査と集計表だけならネットリサーチ9万円〜(10問×100サンプル、税抜)で、差の多くはサンプル数・設問数と、設計・分析・報告書の作業です。
- 期間はWeb定量で約1.5か月、グループインタビューで約2か月が同社の標準です。
- 見積りを比べられる状態にするには、決めたいこと・合格ライン・対象者条件・案の数・提示物・納品物を依頼前に決めておきます。
- 1人に見せる案は多くても4つ程度までに絞ります。コンセプトシートは「ニーズ喚起・自分ゴト化・ベネフィット+差別的カテゴリー名・特徴」の4要素で書きます。
- 購入意向は実際の購買と一致するとは限りません。数値をそのまま売上予測に使わず、案同士の比較と、調査前に決めた合格ラインで判断します。
コンセプト調査(コンセプトテスト)の定義と受容性調査・市場調査との違い
コンセプト調査とは、商品・サービスのコンセプト(誰の、どんな困りごとを、どう解決するかを言葉にした案)を対象者に提示し、受け入れられるかどうかを評価してもらう調査です。調査会社によって「コンセプトテスト」「コンセプト受容性調査」とも呼ばれますが、指している調査は同じです。イプソスの解説は、製品やサービスの初期アイデアを消費者に提示し、受容性や魅力度、購入意向などを評価する調査手法と定義しています。
受容性調査・市場調査との守備範囲
クロス・マーケティングは調査メニューを開発の工程順に並べ、「マーケティング戦略」の工程にコンセプト受容性調査・試作品受容性調査・価格受容性調査を置いています。受容性調査はこの3つの総称で、コンセプト調査はそのうち「まだ形の無い案」を評価する調査です。試作品の評価や価格の決め方まで含めた全体像は受容性調査とは?コンセプト・試作品・価格の3種類と進め方・設問例、費用相場とPSM分析で扱っています。
市場調査は市場規模やニーズの把握、商品案の評価などを含む広い概念で、コンセプト調査もその一手法です。市場の大きさやニーズを調べて見つけた機会からコンセプトを作り、それが受け入れられるかを確かめるのがコンセプト調査、という関係です。調査の種類全体の選び方はマーケティングリサーチとは?市場調査との違い・手法の選び方と進め方にまとめています。
新商品のコンセプト調査の進め方
新商品の開発では、案の絞り込みと改良後の最終確認に分けてコンセプト調査を使う設計が考えられます。1回目は案が複数ある段階で、開発予算を回す案を選ぶスクリーニング、2回目は案を書き直した後に、メインターゲットに受け入れられるかを確かめる最終確認です。アスマークは、最終確認をネットリサーチで量的に行うのは「最終意思決定をする際」、グループインタビューで行うのは訴求点を明確にしたいときと分けています。どちらの回も、次の順で進めます。
- 決めたいことと合格ラインを書き出す(後述の「見積り依頼で伝える7項目」の1と2)
- コンセプトシートを4要素の型で書き、案を4つ程度まで絞る
- 対象者の条件を決める(ターゲット層と、乗り換えを見たい競合商品の利用者)
- 手法と提示方式を選ぶ(ネットリサーチか会場調査か、モナディックかシーケンシャルか)
- 質問票を作り、尺度と設問をそろえる
- 実査・集計の後、2つの指標を掛け合わせて読み、合格ラインと比べて判断する
コンセプト調査の費用相場と見積りの内訳
調査費用は、対象者条件・回収数・設問数・依頼範囲をそろえて比較します。条件付きで料金を公開している例として、クロス・マーケティングとアスマークの数字を並べます。
調査会社が公開している料金と期間
| 会社・メニュー | 料金目安 | 条件 | 範囲 |
|---|---|---|---|
| クロス・マーケティング コンセプト受容性調査(Web定量) | 150万円〜(税別) | 1,000サンプル・SC10問・本調査30問 | 設計〜報告書 |
| クロス・マーケティング コンセプト受容性調査(CLT) | 200万円〜 | 100サンプル・SC10問・本調査20問 | 設計〜報告書 |
| クロス・マーケティング ネットリサーチ | 9万円〜(税抜) | 10問×100サンプル | ローデータ・単純集計表 |
| クロス・マーケティング 会場調査 | 80万円〜(税抜) | 50+予備5サンプル・30問・一都三県 | ローデータ・単純集計表 |
| クロス・マーケティング グループインタビュー | 55万円〜(税抜) | 4名×1グループ | 発言録・レポート |
| クロス・マーケティング デプスインタビュー | 25万円〜(税抜) | 1名 | 発言録・レポート |
| アスマーク ネットリサーチ | 4万円(税別) | 100名・5問以内 | ローデータ |
クロス・マーケティングの上2行は同社のコンセプト受容性調査のページ、続く4行はサービス別の料金表の数字です(料金表は「表示価格はすべて税抜」と明記。CLTの200万円は掲載ページに税の区分がありません)。アスマークの行は同社の費用・料金例一覧にある「全国30代の主婦100名へ5問」の例で、画像・写真の提示が3点まで無料オプションに入っているため、コンセプトシートを画像で見せる簡易な調査ならこの価格帯から頼めます。クロス・マーケティングの標準スケジュールは、Web定量が企画・設計から報告書まで約1.5か月、グループインタビューは対象者のリクルートに3週間〜かかり約2か月です。
実査だけの料金と設計込みの料金の差
同じネットリサーチでも、実査と集計表だけなら9万円〜、コンセプト受容性調査として頼むと150万円〜です。差の中身は2つあります。1つはサンプル数と設問数で、100サンプル・本調査10問に対し、コンセプト受容性調査の掲載例は1,000サンプル・本調査30問にスクリーニング10問を組み合わせた条件です。スクリーニングの回収数は本調査の回収数と分けて確認します。もう1つは作業の範囲で、150万円の側には調査の企画・設計、調査票の作成、クロス集計、報告書の作成が入っています。
見積りは総額でなく、どこまでを調査会社に任せるかをそろえて比べます。調査票の作成と分析を自社で担えば外注範囲を減らせますが、削減額はサンプル数・設問数・対象者条件をそろえた見積りで確認します。案の良し悪しを判断する基準(後述のノーム値)を自社で持っていないなら、分析と報告書まで頼む意味があります。
コンセプト調査の見積額を左右する条件
同じ方式でも、次の条件で見積額が変わります。
- 案の数:案ごとに別の回答者に見せる設計では、必要なサンプル数が案の数に比例して増えます。
- 出現率:対象者条件が厳しいほど、条件に合う人を探すスクリーニングの配信数が増えます。クロス・マーケティングの会場調査の料金は「出現率10%以上」が前提です。必要な配信数の逆算はスクリーニング調査とは?本調査との違い・設問例・必要サンプル数の計算まで実務解説で計算しています。
- 提示物:文章とイラストならネットリサーチで済みますが、実物を見せるなら会場調査やホームユーステストになり、1サンプルあたりの単価が上がります。
- 報告書:上の表のとおり、報告書の有無で同じ実査でも価格帯が変わります。
予算を抑える近道は、社内で案を4つ程度まで減らしてから調査に出すことです。
コンセプト調査を依頼する前に決める項目と調査会社の選び方
会社を選ぶ前に依頼内容を固めたほうが、見積りの比較が早く進みます。
見積り依頼で伝える7項目
- この調査で決めたいこと(例:3案から開発に進む1案を選ぶ、価格を見せても買いたい人が残るかを確かめる)
- 合格ライン(例:「ぜひ買いたい」が比較対象の既存品を上回る)
- 対象者の条件と、条件に合う人の割合の見込み(出現率)
- 案の数と、1人に何案見せるか
- 提示物の形式(文章のみ/イラスト付き/動画/実物)と、価格を見せるかどうか
- 設問数の目安と、自由回答の有無
- 納品物(ローデータ・集計表・報告書・報告会)と納期
1と2が書けないうちは「何を測るか」から調査会社と決めることになり、企画の工程が長くなります。7項目がそろえば、複数社に同じ条件で見積りを取れます。
未発売のコンセプトは社外秘の情報なので、見積り依頼の段階で秘密保持契約を結んでから案の中身を渡します。日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)のマーケティング・リサーチ綱領(2025年9月26日改訂)は第10条で、調査会社と依頼主の双方に秘密情報の漏えいを防ぐ措置を求め、成果物を生成AIの学習データに使うことも知的財産権の侵害に含まれる場合があるとしています。
調査会社を比べる観点
金額のほかに比べるのは3点です。1つ目は見積りの内訳で、設計費・実査費・集計費・報告書費が分かれていれば条件を変えたときの増減が読めます。2つ目は過去の調査を積み上げた基準値(ノーム値)の有無です。アスマークは、比較対象が無いと「●%以上なら受容」という指標を自分で設ける必要があり、それにはデータの積み重ねが要るとしています。初めてコンセプト調査をする会社ほど、この基準を持つ調査会社に頼む価値があります。3つ目は対象者が細かいときのパネル規模で、クロス・マーケティングは約1,446万人(2026年1月時点)と公表しています。
セルフ型で内製するか外注するか
社内で案を減らす1回目のスクリーニングは、調査票の作り方と集計の読み方が社内にあれば、セルフ型のアンケートツールも候補になります。回答者の募集費、調査票作成・集計の社内工数、回収までの日数を外注見積りと比べて選びます。発売判断に使う最終確認、実物を見せる調査、基準値と比べる調査は外注が向きます。自社会員に定期的にアンケートを取る運用まで考えるなら、アンケート管理システム開発で自社の基盤を持つ選択肢もあります。
コンセプトシート(提示物)の書き方
調査の精度を最も左右するのは、回答者に見せるコンセプトシートです。書き方がばらばらだと、案の良し悪しでなく書き方の差を測ってしまいます。
コンセプトシートの4要素
アスマークがマーケティングコンセプトハウス社と組んで標準化したBeConceptの資料は、コンセプトシートを次の4要素で書く型を示しています。例は資料が挙げている茶系飲料のものです。
| 要素 | 役割 | 資料の例 |
|---|---|---|
| ニーズ喚起メッセージ | ターゲットに呼びかける | 最近おなかのまわり気になりませんか? |
| 自分ゴト化メッセージ | 誰に向けた商品かを示す | 知らないうちにメタボ気味になっているあなたに |
| ベネフィット+差別的カテゴリー名 | 何を提供し、既存品と何が違うか | 毎日1本飲むだけで、気になる体脂肪にガツンと |
| 特徴 | ベネフィットの根拠と製品設計 | 高濃度茶カテキン540mg配合・1本350ml・160円(税別) |
特徴には、機能・状態(形や外観)・手順(使い方)・構造(処方や原理)と価格を書き、回答者が「モノ」として思い浮かべられるようにします。アスマークのサービスページは、同じ考え方を「誰に・何を約束するか・なぜそれができるのか」の3本柱として説明しています。
消費者ニーズから書き起こす手順
ニーズ喚起メッセージは、作り手の思いつきではなく、消費者が今困っていることから書きます。同じ資料は、カビ取り剤を例に「タイルの目地の黒いカビをとりたい(したいこと)→専用でない洗剤とタワシでこする(今の手段)→こすっても落ちない・こすりすぎるとタイルがはげる(不満)→こすらずにカビをとりたい(満たされていないニーズ)」と分解する手順を載せています。最後の「満たされていないニーズ」がそのままベネフィットの候補になります。
コンセプト評価をゆがめる提示文・質問尺度
BeConceptの資料が挙げる、提示文や質問尺度の失敗例です。
- 良いことしか書いていない(「史上最高の」など):魅力度は上がるが「そんなことないでしょ」という疑問も強くなる
- 形がわからない(固形か液状か):デザートなのに飲料と思われて回答されるおそれがある
- 機能や成分を並べ立てる、誰向けかわからない:作り手の主張で終わり、共感が生まれない
- 調査ごとに設問が違う(前回5段階、今回7段階):過去の結果と比べられず判断がぶれる
Qualtricsの解説も、強い売り文句を足すとアイデアが確定したように受け取られ、率直な意見が出にくくなるとしています。
1人に見せる案の数と提示方式
案は多くても4つ程度まで社内で絞ってから調査に出す、というのがアスマークの目安です。Qualtricsのコンセプトテスト用ソリューションも、サポートページで1人に見せる案は4つまでを推奨し、設定できる数を2〜4に限っています。BeConceptの資料も、5案・6案を全部に答えさせると回答精度が著しく低下し、案の間の評価の差が小さくなるとしています。回答者の負荷を減らす設計は、JMRA綱領の第15条で調査会社と依頼主の双方の努力義務です。
提示方式は大きく3つです。Qualtricsの整理では、1人が1つの案だけを評価する単一コンセプト評価(モナディック)、1人が複数の案を順に評価する逐次評価(シーケンシャル・モナディック)、機能や価格の組み合わせを評価させるコンジョイント分析があります。発売を決める最終確認は、ほかの案の影響を受けないモナディックで行い、案ごとに回答者を分けます。初期のスクリーニングで費用を抑えたいときはシーケンシャルにし、提示する順番を無作為化または均等に割り付けて、特定の案に提示順の影響が偏るのを抑えます。順番の影響と設計の違いはモナディックテストとは?シークエンシャル・プロトの違いと使い分けで詳しく比べています。
質問票の設問例と回答形式
質問票は、受け入れられるか、どこが良くどこが引っかかったか、誰が高く評価したかの3つに答えられるように組みます。クロス・マーケティングの設問例とBeConceptの調査項目から、よく使う設問を並べます。
| 指標 | 聞き方の例 | 回答形式 |
|---|---|---|
| 理解度 | 内容をどの程度ご理解いただけましたか | 単一選択(5段階など) |
| 魅力度 | どの程度魅力を感じますか | 単一選択 |
| 新奇性 | これまでにない新しさを感じますか | 単一選択 |
| 共感性 | 自分に向けた商品だと感じますか | 単一選択 |
| 疑問点 | 本当にそうなのか疑問に感じる点はありますか | 複数選択+自由回答 |
| 使用意向 | 使ってみたいと思いますか | 単一選択 |
| 購入意向 | この価格で買いたいと思いますか | 単一選択 |
| 評価点・理由 | 特に良いと感じた点、改善してほしい点 | 複数選択+自由回答 |
「良いと感じた点」は自由回答だけにせず、コンセプトの要素(機能・デザイン・手軽さなど)を分解した選択肢で聞くと、案の間で比べられます。尺度の段階数は毎回そろえます。属性の設問には性年代のほか、関連商品の利用経験と競合商品の利用者かどうかを入れておくと、競合から乗り換える見込みのある層を切り出せます。回答者を属性ごとに何人ずつ集めるかはサンプル割付とは?アンケート調査の割付方法・決め方を解説を参考にしてください。
結果の読み方と合格ラインの決め方
集計表を受け取ってから「この数字は高いのか」と迷わないために、読み方と合格ラインは調査の前に決めておきます。
魅力度・疑問・新奇性・共感性・購入意向の組み合わせ評価
BeConceptの資料は、購入意向の「ある人・ない人」で比べるだけでは結局「価格」の話に寄ってしまうこと、そして「魅力が高い=良い、とはいえない」ことを指摘し、指標を2つずつ掛け合わせて読む方法を示しています。魅力が高く疑問が少ない案が最も良く、魅力が高くても疑問が多い案は根拠が足りない、という読み方です。同様に、魅力×新奇性で「魅力はあるが既存品で足りる案」を、共感性×購入意向で「共感は得たが買うほどではない案」を見分けます。後者はターゲットが合っていて中身に改善点があるという意味なので、捨てる前にどこを直すかを探します。
価格を見せる前と後の差
同じ資料は、使用意向と、価格を見せた後の購入意向の差(価格GAP)を見て、価格が購入のネックになっているかを確かめる方法を挙げています。使用意向に比べて価格提示後の購入意向が低ければ、価格が障壁となっている可能性があります。ただし、使用と購入では質問の意味も異なるため、購入しない理由や価格に見合う価値が伝わっているかも確認します。価格そのものは、受容性調査の記事で扱っているPSM分析などの価格受容性調査で別に決めます。
比較対象・ノーム値による合格ラインの事前設定
判断基準も比較対象も無いままでは、調査をしても受け入れられたかを判断できません。合格ラインは、比較対象を置くか、過去の調査の平均(ノーム値)を使うかで決めます。トップバリュは試作品のモニターテストについて、ブラインドで試食した人の80%以上が「良い」「やや良い」と評価すること、ブランド名・価格・容量を見せた後の購入意向が比較対象の商品を上回ることを必須条件として公表しています(2022年に70%から80%へ引き上げ)。コンセプト段階でも、「既存の主力品のコンセプトを同じ設問で測り、それを上回る」のように比較対象を決めておけば、自社にノーム値が無くても判断できます。ノーム値の計算方法と、必要なデータ数はノーム値(ノルム値)とは?計算例とExcelでの出し方、必要なデータ数で解説しています。
購入意向と実際の購買のずれ
Jamieson と Bass の論文(Journal of Marketing Research, 1989年)は、大手調査会社の顧客の70〜90%が購入意向の尺度を日常的に使っている一方で、表明された意向と実際の購買の間には大きなずれが見られることが多いと述べています。同論文は、手頃さ・好み・入手しやすさなどの評価で意向を補正するモデルを比べています。「ぜひ買いたい」の比率を販売数量の予測にそのまま使わず、「ぜひ」だけの比率と「まあ」を足した比率を分けて見たうえで、案同士や比較対象との差で判断します。
公表されているコンセプト調査の事例
調査会社は顧客名を伏せることが多いのですが、マクロミルは依頼主の社名と商品名を出したコンセプト評価の事例を公開しています。何を決めるために調査を使ったかで並べます。
| 企業・商品 | 手法 | 決めたこと |
|---|---|---|
| パナソニック ラムダッシュ パームイン | インタビュー | 3つのペルソナのうち狙う層 |
| ライオンペット ネコペロブラシ | 定量+その場の定性 | 伝え方と商品仕様案の絞り込み |
| アサヒビール スーパードライ 生ジョッキ缶 | 試作品の体験を伴うデプスインタビュー | 新しい価値の確認と課題の特定 |
パナソニック:コンセプト評価によるターゲット層の再定義
2023年9月発売の手のひらサイズのシェーバー「ラムダッシュ パームイン」では、ペルソナを30〜40代のリッチおしゃれ層、20〜30代のおしゃれ層、50〜60代のエグゼクティブビジネス層の3グループに分けてコンセプト調査を行いました。調査前は最もお金にゆとりのあるエグゼクティブ層が買うと見ていましたが、反応が良かったのは30〜40代のリッチおしゃれ層でした。担当者は、未知の商品では質問の順番ややりとりを変えるだけで解釈が変わり、全く違う結果になることもあったと話しています。この事例からは、比較する評価項目の提示条件をそろえつつ、定性調査では解釈が変わった理由を掘り下げる設計が必要だと考えられます。
ライオンペット:定量・定性評価による社内合意の形成
猫の舌の構造をまねたブラシ「ごきげんケア ネコペロブラシ 猫用」では、調査の中でコンセプト案と形状案の画像を見せて魅力度を量的に聞き、同時に、どんな表現を添えると魅力が上がるかを一人ひとりに尋ねました。難航していた商品仕様案の絞り込みでは、どちらが良いかの相対評価に理由を添えた結果を示したことで経営陣が納得し、売れ行きは計画を上回ったとしています。コンセプト調査の結果は、案を選ぶだけでなく社内の決裁を通す根拠にもなります。
アサヒビール:試作品の体験調査による価値と課題の確認
2021年4月に加わった「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」の開発調査では、2回目のデプスインタビューで「缶なのに泡が出てごくごく飲める」という機能面の評価に加え、「ワクワクする」といった感情の言葉が出ました。担当者は予定に無かったVTRを作って経営陣と全国の営業担当に見せ、「この商品は絶対に売れる」という確信と同時に課題も明確になったと話しています。数値では伝わりにくい反応は、定性調査の記録がそのまま社内への説明材料になります。
コンセプト調査の方法・対象者・実施目的を見直す場面
文章とイラストだけでは価値が伝わりにくい案では、試作品の体験や対象者の選び直しを検討します。次の場面では、調査方法や実施目的を見直します。
- 価値が味や使い心地にある商品:文章では評価できないため、試作品を使う会場調査(CLT)やホームユーステスト(HUT)で確かめます。
- 生活者がまだ見たことのない新しいカテゴリー:形や使い方を想像できず、評価が低く出やすくなります。Qualtricsは、期待した反応が得られなくてもすぐに却下せず、時代を先取りした案はアーリーアダプターに聞くよう勧めています。
- 結果で変える余地がない:発売する案も時期も決まっているなら、調査費は改良に回せる試作品の評価に使ったほうが効果があります。
反対に、案が複数あって開発予算の振り向け先を決めかねているときは、試作品を作る前に対象者の反応を確かめられるコンセプト調査が向いています。
よくある質問
コンセプト調査とコンセプトテストは違うものですか?
同じ調査を指し、「コンセプト受容性調査」も同じ意味で使われます。試作品や価格の評価まで含めた総称が受容性調査です。
コンセプト調査の費用はいくらですか?
クロス・マーケティングの公開料金では、設計から報告書までのWeb定量(1,000サンプル)が150万円〜(税別)、会場調査(100サンプル)が200万円〜です。実査と集計表だけならネットリサーチ9万円〜(10問×100サンプル、税抜)です。
コンセプト調査の期間はどれくらいですか?
クロス・マーケティングの標準では、Web定量で約1.5か月、グループインタビューで約2か月です。
コンセプトは何案まで比べられますか?
1人に見せる案は4つまでが目安です(Qualtricsの推奨)。案ごとに回答者を分ければ案の数は増やせますが、その分サンプル数と費用が増えます。
商品コンセプトに消費者ニーズをどう反映しますか?
消費者が今している工夫とその不満から「満たされていないニーズ」を取り出し、ベネフィットとして書きます。冒頭にはそのニーズに気づかせる呼びかけ(ニーズ喚起メッセージ)を置きます。