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SAP Concurとは?製品の範囲・料金の決まり方と国内導入で詰まる点を解説

SAP Concurとは?製品の範囲・料金の決まり方と国内導入で詰まる点を解説

SAP Concur(コンカー)とは、SAPグループの株式会社コンカーが日本で提供している、経費精算・請求書管理・出張管理のクラウドサービスです。中核はConcur Expense、Concur Invoice、Concur Travelの3製品で、交通系ICカードや法人カードの明細を取り込み、社内規定のチェックから会計システムへの仕訳連携までを受け持ちます。本稿では、各製品の守備範囲、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応、SAP S/4HANAや国産会計ソフトとの連携の組み方、料金の決まり方を、2026年10月時点の公式情報で整理しました。後半では、自社がSAP Concurを採るべきか、国産の経費精算SaaSで足りるかを条件付きで示します。

まとめ:SAP Concurの位置づけと、導入前に確かめておく国内固有の論点

SAP Concurは、経費・請求書・出張という間接費の流れを1つの基盤に載せるための製品群です。国内の経費精算市場では、提供元が2014年度から12年連続の売上シェア首位を公表しており、大企業と海外拠点を持つ企業での採用が厚い製品といえます。

判断の分かれ目は機能の多さではありません。見るべきは、海外拠点や多通貨の精算があるか、基幹がSAPか、国内出張の予約まで1つの仕組みに寄せたいか、の3点です。前の2つが当てはまる企業には向きます。国内出張が中心で新幹線の予約連携を重視する企業や、従業員数百名規模で精算ルールが単純な企業には過剰になりやすく、国産SaaSの方が早く安く立ち上がる、というのが本稿の結論です。

SAP Concurの定義と、提供元コンカーの会社概要・国内シェアの根拠

まず、誰が提供している製品で、どこまでを扱うのかを確認します。経費精算システムという分類自体の説明は経費精算システムの機能と比較の観点を整理した記事に譲り、ここではSAP Concur固有の事実に絞ります。

2010年設立の株式会社コンカーとSAPの関係、12年連続首位の出典

国内の提供元は株式会社コンカー(Concur Japan, Ltd.)で、同社の会社情報ページによると設立は2010年10月、所在地は東京都千代田区大手町です。米Concur Technologiesは2014年にSAPの傘下に入り、製品名に「SAP」が付くようになりました。読み方は「エスエーピー コンカー」で、検索では単に「コンカー」と呼ばれることも多い製品です。

同じページには、世界の利用ユーザ数が1億人以上、日本での市場シェアが2014年度から12年連続で首位と書かれています。シェアの根拠はITRの調査「ITR Market View:予算・経費・サブスクリプション管理市場2026」で、指標は経費精算市場のベンダー別売上金額シェア(2025年度は予測値)です。導入社数ではなく売上金額の比較である点に注意してください。単価の高い大企業案件が多い製品ほど上位に出やすい指標で、導入社数で数えた順位とは一致しません。市場全体の見方は経費精算システムのシェアを売上と導入社数で読み分けた記事で扱いました。

経費・請求書・出張をまとめる間接費管理という製品の業務対象範囲

SAP Concurを経費精算ソフト1本と捉えると、見積もりの段階で話が噛み合わなくなります。実態は、従業員の立替経費、取引先からの請求書、出張の手配という、人件費と原材料費以外の支出をまとめて扱う製品群です。

製品 扱う支出 主な利用者
Concur Expense 従業員の立替経費・交通費 全従業員・経理
Concur Invoice 取引先からの請求書 購買担当・経理
Concur Travel 航空券・ホテルの予約 出張者・総務
Concur Request 出張・支出の事前申請 申請者・承認者

このほか、領収書を撮影して読み取るExpenseIt、経費の不正をAIで検知するVerify、外部委託の監査を組み合わせるIntelligent Auditなどの追加製品があります。最初はExpenseだけで始め、運用が安定してからInvoiceやTravelを足す段階導入が一般的です。

Concur Expense・Invoice・Travelの機能と国内企業向けの対応範囲

3製品のうち、国内での使い勝手に差が出やすい点に絞って見ていきます。グローバル製品であるため、海外では標準でも日本では制約が残る機能があります。

Concur Expenseの交通系ICカード連携と法人カード明細の取り込み

Concur Expenseの製品ページでは、領収書のOCR読み取り、法人カードやQRコード決済の明細連携、交通系ICカードの利用履歴の自動取り込み、ワークフローと規定チェックが主な機能として並びます。交通系ICカードについては、上位版のConcur Expense Professionalで、カードを読み取り機にかざす手間なく利用履歴をサーバーから直接取り込める連携が案内されています。

実務で効くのは規定チェックです。日当の上限、接待交際費の1人あたり金額、領収書の添付が必要な金額の閾値などを登録しておくと、申請時点で違反を止められます。経理が差し戻す件数を減らすには、導入前に紙の旅費規程を条件と数値の形に書き直す作業が必要で、ここに導入工数の多くがかかります。

Concur Invoiceの請求書受領と3点照合、Standard版の件数課金

Concur Invoiceは、取引先から届く紙・PDF・電子データの請求書を受け取り、承認と支払処理までを流す製品です。製品ページでは、発注書・検収・請求書を突き合わせる3点照合が主要機能に挙がっています。

中堅・中小企業向けには「Concur Invoice Standard」があります。同エディションの紹介ページでは、料金は請求書の件数に応じた課金で、具体的な金額は問い合わせで確認する方式です。利用者数ではなく処理件数で費用が動くため、月に数十件の企業と数千件の企業では見積もりが大きく変わります。導入前に、直近1年の月別請求書件数を数えておくと話が早く進みます。

Concur Travelの国内予約で新幹線と国内線の連携が限られる点

国内企業が見落としやすいのがTravelの対応範囲です。Concur Travelの製品ページには、新幹線についてJR各社との連携はないこと、国内線の割引運賃はJAL OnlineとANA Bizのみ対応であること、国内宿泊はホテル予約パートナーのHRS社との契約が必要であることが明記されています。

つまり、東京・大阪間を新幹線で往復する出張が大半の企業では、予約はTravelの外で行い、精算だけをExpenseに載せる運用になります。海外出張の航空券とホテルを規程どおりに手配させたい企業には効果が大きい一方、国内出張の予約一元化を目的にTravelを入れると期待とずれます。

電子帳簿保存法とインボイス制度にSAP Concurで対応できる範囲と残る作業

制度対応は製品を入れれば終わる話ではなく、製品が満たす部分と社内で決める部分に分かれます。制度そのものの要件は電子帳簿保存法の3区分と対象書類を整理した記事で解説しているので、ここでは役割分担に絞ります。

スキャナ保存と電子取引の要件のうち製品で満たす部分と規程の部分

コンカーは電子帳簿保存法の解説ページで、改正後の要件として、検索項目が取引年月日・取引金額・取引先の3つに絞られたこと、訂正・削除の履歴が残るクラウドを使えばタイムスタンプが不要になること、電子取引データの紙保存が2024年1月1日から認められなくなったことを整理しています。Concur ExpenseとConcur Invoiceは、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)のスキャナ保存ソフト法的要件認証を取得したと提供元が発表しています。

製品が受け持つのは、画像の解像度、履歴の保存、検索の仕組みといったシステム側の要件です。一方で、領収書の原本をいつ廃棄するか、誰がスキャン内容を確認するか、といった事務処理規程は自社で定める必要があります。規程の整備を後回しにして紙の原本を保管し続ける企業は少なくなく、その状態では保管コストが下がりません。

2026年10月からの経過措置70%控除で経費の税区分に起きる分岐

インボイス制度について、コンカーのインボイス制度の解説ページでは、国税庁のAPIを使った適格請求書発行事業者の登録番号チェックがConcur Expenseで実装済みとされています。申請時に登録番号の有無と有効性を確かめられるため、免税事業者からの購入を経理が後から探す手間は減らせます。

注意したいのは、控除の割合が日付で変わった点です。国税庁の令和8年度税制改正の特集ページによると、免税事業者などからの仕入れに認められる経過措置は、2026年10月1日以後の課税仕入れから80%が70%に変わりました。どちらを使うかは課税仕入れの時期で決まるため、9月の立替経費を10月に申請するケースでは、同じ取引先でも税区分が分かれます。Concur側の税コード設定と会計システム側の仕訳ルールを、日付で切り替える形にそろえておく必要があります。制度の詳細は2026年10月の控除変更を解説したインボイスの記事にまとめました。

SAP S/4HANAや国産会計ソフトとSAP Concurをつなぐ連携設計の要点

経費精算の効果は、承認された経費が会計に正しく計上されて初めて出ます。基幹がSAPかどうかで、使える部品と作るべきものが変わります。

SAP ICSによる経費の会計転記と精算支払の自動連携の仕組み

SAPの学習サイトの解説では、SAP ERPとConcurをつなぐ標準の仕組みとして「SAP Integration with Concur Solutions(SAP ICS)」が紹介されています。対象はSAP ERP(ECC)、SAP S/4HANA、S/4HANA Cloud、SAP Business ByDesignで、経費の会計転記と精算支払の自動化を支える双方向の連携とされています。

基幹がSAPなら、原価センタや従業員のマスタを基幹側から渡し、承認済みの経費を仕訳として戻す流れを、この標準部品で組むことが可能です。ECCからS/4HANAへ移行する途中の企業は、接続先が切り替わる時期を移行計画に入れておかないと、精算の締めと移行の切替日が重なります。S/4HANA側の移行方式はSAP S/4HANAの導入形態と移行方式を解説した記事で整理しています。

国産会計ソフトや自社開発ERPとのファイル連携で決める勘定科目と計上日

基幹がSAP以外の場合、SAP ICSは使えません。Concurが出力する仕訳ファイルを受け取り、自社の会計ソフトの取り込み形式に変換する仕組みを作ることになります。工数の大半を占めるのは、変換処理そのものではなく次の設計です。

  • Concurの経費タイプと会計側の勘定科目・補助科目の対応表
  • 部門・プロジェクトのコードを両システムでどちらが正とするか
  • 計上日を申請日・承認日・支払日のどれにするか
  • 税区分(標準税率・軽減税率・経過措置70%)の変換ルール

特に計上日は、月末締めの承認遅れで前月の経費が翌月に計上されるといった決算上の問題に直結します。見積もりの段階でこの連携を「CSV出力で対応可能」とだけ書かれている場合は、変換と照合の作業が誰の負担になるかを確認してください。

SAP Concurの料金の決まり方と、見積もり前にそろえる前提条件

SAP Concurの価格表は公式サイトに載っていません。見積もりを依頼する前に、費用を左右する前提を自社で把握しておくと比較がしやすくなります。

公開価格がない理由と、利用者数・請求書件数で変わる見積もりの軸

Invoice Standardは請求書の件数に応じた課金と公式に示されていますが、Expenseの課金単位は公式サイトに明示がありません。どちらも中堅・中小向けのStandardと上位版のProfessionalの2系統があり、エディションで機能と価格帯が分かれます。公式サイトでは見積依頼フォームから個別に金額を確定する方式です。比較サイトにはユーザー単位の目安金額が載っていることがありますが、契約単位や時期で変わるため、そのまま予算に使うのは避けた方が安全です。

見積もりで抜けやすいのは製品の外側の費用です。規程の数値化、会計連携の開発、法人カードや交通系ICカードの接続設定、従業員向けの説明会がそれにあたります。ライセンス料だけで国産SaaSと比べると、SAP Concurが割高にも割安にも見え、判断を誤ります。

導入期間は1か月から半年以上まで、導入範囲と連携先で変わる目安

Concur Invoice Standardの紹介ページでは、運用開始までの期間を1か月から3か月程度、通常は2か月程度としています。これは中堅・中小向けの標準的な構成での目安です。

Expenseを全社に展開し、海外拠点の通貨や承認ルートを組み込み、基幹との連携を新たに作る場合は、半年以上を見込むのが現実的です。期間を延ばす要因は、規程の整理と連携テストの2つにほぼ集約されます。決算期をまたがないよう、本番切替を期首から2〜3か月後に置くと、旧システムとの並行期間を取りやすくなります。

SAP Concurを採用すべき企業と国産の経費精算SaaSで足りる企業の分かれ目

ここまでの事実から、採用の判断を言い切ります。見る条件は、海外拠点の有無、基幹システムの種類、国内出張の比重、従業員数と規程の複雑さの4つです。大企業向けの選び方の全体像は内部統制とERP連携から大企業向けの経費精算を整理した記事でも扱っています。

海外拠点・多通貨精算とSAP基盤がそろう企業は採用を勧める条件

採用を勧めるのは、海外拠点を持ち、外貨建ての立替経費や海外出張の手配が日常的に発生し、基幹がSAP ECCまたはS/4HANAである企業です。海外の子会社が既にConcurを使っていれば、グループで規程と分析の基盤をそろえる効果も加わります。標準のSAP ICSで基幹とつながるため、連携開発の比重も下がります。

S/4HANAへの移行とあわせてConcurの導入範囲や連携の設計を検討したい場合は、一創のSAPコンサルティング・導入支援サービスで、移行計画と一体での進め方から支援しています。

国内出張中心で従業員数百名規模なら見送る、典型的な失敗パターン

反対に、拠点が国内だけで、出張の大半が新幹線、従業員が数百名規模で精算ルールも単純な企業は、SAP Concurを見送ります。Travelの国内予約連携が限られるため予約の一元化は実現せず、Expenseの多機能さも使い切れません。国産の経費精算SaaSには、交通系ICカードの読み取りや乗換案内の経路検索を標準機能に持つ製品が多く、国内出張の精算だけなら短期間で立ち上がります。

よくある失敗は、「シェア首位だから」という理由で選び、旅費規程を製品に合わせて書き直さないまま導入するケースです。規定チェックが働かず、経理の差し戻しが紙の時代と変わらないまま、ライセンス費だけが増えます。もう1つは、基幹がSAP以外なのに会計連携を見積もりから外したケースで、導入後に仕訳の変換を手作業で続けることになります。どちらも、製品選定の前に規程と連携の範囲を決めていれば避けられた失敗です。

よくある質問

SAP Concurについて、検索でよく調べられている疑問に答えます。

コンカーは何をする会社ですか?

株式会社コンカーは、SAPグループの一員として、経費精算・請求書管理・出張管理のクラウドサービス「SAP Concur」を日本で提供している会社です。2010年10月に設立され、本社は東京都千代田区大手町にあります。製品は世界で1億人以上に使われており、国内の経費精算市場では売上金額シェアで2014年度から12年連続の首位を公表しています。

SAP ConcurとConcur Expenseは何が違いますか?

SAP Concurは製品群全体のブランド名で、Concur Expenseはそのうちの経費精算の製品です。同じブランドの下に、請求書を扱うConcur Invoice、出張を予約するConcur Travel、事前申請のConcur Requestなどが並びます。「コンカーを導入した」と言う場合、多くはConcur Expenseを指しますが、見積もりや契約では製品ごとに範囲と費用が決まるため、どの製品を対象にするかを明確にしておく必要があります。

SAP Concurの料金はいくらですか?

公式サイトに価格表は掲載されておらず、見積依頼フォームから個別に確定する方式です。Invoice Standardは請求書の件数に応じた課金と公表されており、中堅・中小向けのStandardと上位版のProfessionalで価格帯が分かれます。比較する際は、ライセンス料に加えて、規程の数値化、会計システムとの連携開発、カード連携の設定、社内説明にかかる費用を含めて総額で見てください。

SAP Concurは電子帳簿保存法に対応していますか?

対応しています。Concur ExpenseとConcur Invoiceは、JIIMAのスキャナ保存ソフト法的要件認証を取得したと提供元が発表しており、訂正・削除の履歴の保存や、取引年月日・金額・取引先での検索といったシステム側の要件を満たせます。ただし、原本の廃棄時期やスキャン内容の確認者などを定める事務処理規程は自社で整える必要があり、製品の導入だけで対応が完了するわけではありません。

SAP以外の会計システムとも連携できますか?

SAP以外の会計システムとも連携は可能です。ただし、SAP ERPやS/4HANA向けの標準部品であるSAP ICSは使えないため、Concurが出力する仕訳ファイルを自社の会計ソフトの取り込み形式に変換する仕組みを用意することになります。経費タイプと勘定科目の対応表、部門コードの管理元、計上日の基準、税区分の変換ルールを先に決めておくと、連携開発の手戻りを防げます。

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