FFS診断(FFS理論)は、人の思考行動特性を凝縮性・受容性・弁別性・拡散性・保全性の5因子とストレス値で数値化し、その人の強みがいま良い面で出ているか、悪い面に転じているかまで読む診断です。FFSはFive Factors & Stressの略で、提唱者は小林惠智博士です。検索で多い「無料で受けられるか」への答えは、2026年10月12日時点では「誰でも無料で受けられる公式の入口は見当たらない」です。個人が公式系統で受けるなら、提唱者側のNPOが運営するETHOS NEOのFFS分析(500円)か、対象書籍(税込1,980円)に付属するアクセスコードが現実的な入口になります。この記事では、受け方と費用、公式の因子定義、結果の読み方、そして診断の根拠をどこまで信じてよいかを、公式サイトと論文を確認したうえで整理します。
まとめ:FFS診断の要点
- FFS診断は5因子の「多寡とその順番」で個性を読む診断です。5タイプのどれかに人を分類するものではありません。
- 無料の公式ルートは2026年10月12日時点で見当たりません。宇宙兄弟版は受検にアクセスコードが必要で、ドラゴン桜版は2025年8月末に終了しています。
- 個人が公式系統で受けるなら、ETHOS NEOのFFS分析(80問・500円)が書籍より安く済みます。1チケットで3年間に3回まで分析でき、ストレス反応度分析は初回無料です。
- 書籍版は対象書籍(3冊とも税込1,980円)のアクセスコードで受けます。80問・1問9秒の目安で、結果は「特別バージョン」です。
- 保全性と拡散性は先天的、凝縮性・受容性・弁別性は後天的な影響が大きいとされます。
- ストレスは大きすぎても小さすぎても悪い面が出る、という前提で結果を読みます。
- 本記事で確認した資料だけでは、FFS質問紙の信頼性・妥当性を評価するための情報は十分ではありません。チーム編成の研究では「補完が正解」とは逆の結果も出ています。
- 提唱者は定義・質問紙・因子名称などについて権利を主張しています。研修資料への転載は、適法な引用に当たるか、許諾が必要な利用かを確認してください。
FFS診断は無料で受けられるか:2026年10月時点の確認結果
宇宙兄弟版はアクセスコード必須:規約にある「無料の簡易診断」の実態
「FFS診断 無料」で最もよく案内されるのが、ヒューマンロジック研究所が運営する宇宙兄弟×FFS診断です。ところがトップページには「受検するにはアクセスコードが必要です。」と書かれており、コードは対象書籍のとじ込みに記載されています。
紛らわしいのは、同サイトのアクセスコード入力ページに載っている利用規約です。第2条は「本サービスには、どなたでも利用できる無料の簡易診断(以下『簡易診断』といいます。)と、対象書籍に付属するアクセスコードを使用して利用する診断(以下『書籍版診断』といいます。)があります」と定め、第4条にも「簡易診断は無料でご利用いただけます」とあります。しかし公開されているサイトマップに載っているのは、トップ・解説・書籍紹介2ページ・アクセスコード入力・プライバシーポリシーの6ページだけで、簡易診断の入口はありません。規約に定めはあっても、2026年10月12日時点で一般に開かれた無料の入口は確認できない、というのが実態です。
他サイトが案内する無料ルートの現状:旧URLの転送とドラゴン桜版の終了
FFS理論を紹介する個人ブログやメディア記事の中には、「無料簡易診断はこちら」として宇宙兄弟サイトの旧URL(/spacebr/trial/TrialRegist.ffsm)にリンクしているものが残っています。2026年10月12日にこのURLを開くと、アクセスコードが必要なトップページへ転送されました。リンク先が無料診断だった時期の記事が、更新されないまま検索に残っている状態です。
もう1つの無料ルートとして紹介されていたドラゴン桜×FFS診断は、公式サイトに「2025年8月末をもってサービスを終了いたしました。」と告知されています。「80問の無料診断」を探している方が多いのですが、書籍版診断は80問ですが、ETHOS NEOのFFS分析も80問です。80問の診断を受けるために、必ず書籍を購入する必要があるわけではありません。
FFS診断の受け方と費用:個人500円から法人導入まで
個人と法人で入口が分かれます。2026年10月12日時点の公式情報をまとめると次のとおりです。
| ルート | 運営 | 費用 | 得られる結果 |
|---|---|---|---|
| ETHOS NEO(FFS分析) | NPO法人ヒューマンサイエンス研究所 | FFS分析(80問)500円 | FFS分析・マイページで再確認 |
| ETHOS NEO(ストレス) | 同上 | 初回チケット不要・再受検登録300円 | ストレス分析 |
| 書籍版診断(宇宙兄弟版) | ヒューマンロジック研究所 | 対象書籍 税込1,980円 | 上位因子のサマリーと25キャラ照合 |
| ETHOS NEOのグループ | NPO法人ヒューマンサイエンス研究所 | 10人枠12,000円から | メンバー間のチーム分析 |
| 法人導入 | ヒューマンロジック研究所・relate | 個別見積り | 正規の診断・組織分析・資格講座 |
ETHOS NEO(FFS分析オフィシャルサイト)の料金と回数制限
FFS分析オフィシャルサイトは、提唱者の小林惠智博士が代表を務めるNPO法人ヒューマンサイエンス研究所の公益目的事業として運営されており、ETHOS NEOというシステムで個人のFFS分析とストレス分析を受けられます。料金は同システムの特定商取引法に基づく表示の「拠出基準」に、FFS分析500円、ストレス反応度分析300円と書かれています。同システムの会員向け画面操作マニュアルによると、FFS分析は80問で、マイページの「FFS分析を受ける(¥500)」から決済するとすぐに回答を始められます。ストレス反応度分析は30問・1問7秒以内で、初回はチケット不要、300円がかかるのは2回目以降です。支払いはクレジットカード(Stripe)で、決済後のキャンセル・返金はできません。
見落としやすいのが回数の上限です。ETHOS NEO利用規約(制定日2026年6月1日)の第4条には「FFS分析は3年間に3回まで分析できます。」とあり、分析結果は医療的・心理的判断を行うものではないとも明記されています。マニュアルは、再分析を初回に明らかな記入間違いがあったときのための仕組みと説明し、「結果に納得がいかない」という理由での再分析は推奨しないこと、再分析すると結果が上書きされて元に戻せないことを注記しています。ストレス反応度分析の再受検登録は有効期限1年・3回までです。何度も受け直して良い結果を探す使い方はできないので、落ち着いて回答できるときに受けてください。
書籍版診断(宇宙兄弟バージョン)の中身:80問・25キャラ・特別バージョン
書籍版は、対象書籍に付属するアクセスコードで受けます。宇宙兄弟サイトの解説ページによれば、結果は上位因子と個性のサマリーに加えて、宇宙兄弟に登場する25人のキャラクターから似ている人物がわかる内容で、「この診断結果は、正規の診断結果ではなく『特別バージョン』です。」と明記されています。
診断画面の案内は「書籍版FFS診断は80問・1問9秒を目安に回答します。」「未回答や時間切れの設問は『どちらでもない』として扱われます。」の2点です。単純計算で回答時間は12分ほどで、考え込まずに直感で答える設計です。結果は同じアクセスコードで後から見直せます。
対象書籍は古野俊幸氏(ヒューマンロジック研究所代表)の3冊で、『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』、就職活動向けの『同 あなたを引き出す自己分析』、上司と部下の関係を扱う『同 あなたを伸ばす部下、つぶす部下』(2025年1月刊)です。いずれも日経BP刊で、本体1,800円(税込1,980円)です。ETHOS NEOより高くつきますが、因子ごとの解説を本で読めるのが利点です。
法人導入とグループ利用の費用感
少人数のチームで試す場合、ETHOS NEOのグループ機能は公開料金を確認できる選択肢です。グループ作成は10人枠12,000円、50人枠60,000円、100人枠90,000円で、年次更新も同じ額がかかります。メンバーに受けてもらうためのFFS分析ギフトチケットは10枚4,000円、20枚7,000円、50枚15,000円です。利用規約上、グループの管理者(ヘッダー)は招待を承諾したメンバーの分析結果を閲覧できます。
正規の診断・組織分析・資格講座を含む本格導入は、ヒューマンロジック研究所の導入検討ページにあるとおり、グループ会社のrelate株式会社が窓口で、料金は公開されていません。
2つの公式サイトの関係:法人向けと個人向けの分担
FFSには「公式」を名乗る系統が2つあります。株式会社ヒューマンロジック研究所(1994年1月創業・東京都港区白金)は、宇宙兄弟版と企業向けの診断・チームビルディング支援を手がけ、代表取締役は前述の書籍の著者である古野俊幸氏です。一方、NPO法人ヒューマンサイエンス研究所は提唱者本人が代表を務める団体で、個人向けのETHOS NEOを運営しています。法人として導入するならヒューマンロジック研究所、個人で正規の分析を受けたいならETHOS NEO、と使い分けると迷いません。
FFS理論とは:5因子とストレス値で個性を読む仕組み
FFS理論の定義:5因子の多寡と順位による個性の理解
ヒューマンロジック研究所のFFS理論の解説ページは、FFS理論を「『ストレスと性格』の研究において開発されたもの」とし、「人の思考行動特性を5因子とストレス値で定量化し、個人の潜在的な強みが、ポジティブに発揮されているか、ネガティブに発揮されているかわかります」と説明しています。個人の性格を言い当てるより、人と人の関係を把握してチームを編成することに軸足がある理論です。
よくある誤解が「FFSは人を5タイプに分ける」というものです。同研究所代表の古野俊幸氏による日経ビジネスの連載第1回(2019年11月14日)は、「人間を5タイプの『どれか』に分類するもの、ではないことにご注意ください。5つの因子はどの人の中にも存在します」と書き、「5つの因子の多寡とその順番によって、個性が理解できる」と説明しています。5タイプ分類として紹介している記事は、この前提を外しています。なお「FFS」は、圧力設備の供用適性評価規格(API 579-1/ASME FFS-1)など別分野でも使われる略語です。
先天的な2因子と後天的な3因子:日本人の出現率の読み方
同じ連載第1回は「5つの因子のうち『保全性』『拡散性』は気質(先天的)に起因し、残る3つは社会的(後天的)な影響が大きいと考えられます」としています。後天的な3因子は役割や経験で出方が変わり得る、という理論上の位置づけです。ただし、ある配置が本人の負担になるかどうかを因子だけで断定する根拠にはならないので、本人の希望や経験、実際の業務負荷とあわせて判断してください。
同連載が紹介する調査での分布は「日本人の気質だけに着目すれば65%は『保全性』の因子が高く、35%が『拡散性』」、凝縮性と受容性の比較では凝縮性20%・受容性80%、組み合わせでは受容性・保全性55%、受容性・拡散性25%、凝縮性・保全性10%、凝縮性・拡散性10%です。65対35は保全性と拡散性、80対20は受容性と凝縮性を比較した比率です。比較対象が異なるため、この数字だけで5因子全体の「最多」を決めることはできません。数字はヒューマンロジック研究所の自社調査によるもので、母数は示されていません。
ストレス値の読み方:低いほど良いとは限らない理由
連載第1回は「ストレスが適切にかかっている状態では、反応・行動の『いい面』が出ますが、ストレスが大きすぎても、小さすぎても、反応・行動の『悪い面』が出ます」と説明しています。負荷が足りない状態も不調の原因になるという前提で、結果のストレス値を「低いほど健全」と読むのは誤りです。この点で、心理的な負担の大きさを調べて高ストレス者を見つける法定のストレスチェック義務化の対象と2028年4月施行の50人未満拡大を解説で扱う制度とは、目的も読み方も異なります。
提唱の経緯:1978年の非公開研究と「モントリオール大学」説
提唱者が代表を務めるNPO法人ヒューマンサイエンス研究所のサイトは、FFS理論を、小林惠智博士が1978年に米国国防戦略部門の依頼を受けた「三つの情報処理体系(個、集団、組織)からなる非公開研究の成果として提唱された理論群」と説明し、1990年からは米国政府機関から独立して日本のNPO法人で追加研究が行われたとしています。
紹介記事でよく見る「モントリオール大学国際ストレス研究所での研究が土台」という説明は、提唱者側のサイトにもヒューマンロジック研究所の解説ページにも見当たりません。来歴を書くなら、提唱者側の記述に基づくのが安全です。
5つの因子の意味:公式診断プログラムの定義とストレス要因
宇宙兄弟版の書籍版診断ページのプログラムには、因子ごとに記号(A〜E)、ストレスの原因、ストレス下の表れが定義されています(2026年10月12日に確認)。公式の記述を短く要約すると次のとおりです。各因子の説明のうち、働き方への当てはめは公式の記述をもとにした筆者の整理です。
| 因子 | 記号 | 区分 | ストレスの原因(公式記述の要約) | ストレス下の表れ |
|---|---|---|---|---|
| 凝縮性 | A | 後天的 | 頭ごなしの否定、価値観が通用しない | 独善的、支配的、排他的 |
| 受容性 | B | 後天的 | 役に立っていない、ないがしろにされる | 介入的、自虐的、逃避的 |
| 弁別性 | C | 後天的 | 理不尽さ、曖昧で割り切れない状態 | 機械的、自己都合的、詭弁的 |
| 拡散性 | D | 先天的 | 自由に動けない、拘束されている感覚 | 衝動的、享楽的、破壊的 |
| 保全性 | E | 先天的 | 指針がないままの放置、急な変更 | 追随的、妥協的、従属的 |
自分の上位因子について、右端の語に心当たりがある状態が続いているなら、負荷のかかり方が適切でないと読めます。
凝縮性の特徴:明確な価値基準と否定への反応
公式の定義は「自らの価値観を明確に示すことができます。物事の価値基準が明確です。」です。何が正しいかの基準が自分の内側にあり、情報がない場面でも方向を示せるので、有事の立て直しで頼りになります。頭ごなしに否定されると、その明確さが独善や排他に転じます。凝縮性の高い人と働くときは、結論に至った理由まで言葉にしてもらうと周囲の納得が得やすくなります。
受容性が高い人:面倒見がよく、決めることが苦手
公式の定義は「柔軟に物事を受け入れていきます。周囲の喜びを自分の喜びと考えることができます。」です。日本人の8割で凝縮性より受容性が高く、連載第2回は「実に日本人の6割弱が、『受容性と保全性が高い人』」と書いています。合意形成や育成で力を発揮する一方、どの立場も受け止められるため選択の場面で止まりがちです。判断の軸を持つ人と組ませ、合意形成そのものを役割として渡すと活きます。
弁別性の特徴:合理的な判断と曖昧さへの反応
公式の定義は「合理的に物事を判断していくことができます。物事や状態を明確に切り分けていくことが得意です。」です。前提が曖昧な議論を整理し、データに合わない主張を見抜く場面で強みが出ます。理不尽さや曖昧さにさらされると、説明を省いた機械的な対応になり、正しいことを言っているのに反発を招きます。受容性の高い人が翻訳役に入ると、意見が組織に通りやすくなります。
拡散性の特徴:未知への関心と拘束への反応
公式の定義は「積極的にアイデアを出しながら動いていくことができます。」です。連載第2回は拡散性の高い人を「未知の領域に本能的にひかれる性質を持っています」と表現しています。新規事業や前例のない課題で真価を発揮しますが、関心が次へ移りやすく、細部を詰め切る前に手を離すことがあります。手順を細かく縛るより目的だけを渡し、仕上げを保全性の高いメンバーが引き取る設計が噛み合います。
保全性の特徴:準備・継続的改善と変更への反応
公式の定義は「現状を継続しつつ、改善を積み上げていくことができます。」です。連載第2回は「やりたいことがあっても、『確実にやりたい』、『しっかりと準備してからやりたい』と考えます」と書いています。手順を体系化して精度を上げる場面で強く、指針がないまま放置されたり急に方針を変えられたりすると、周囲に合わせるだけの状態になります。大きな決断を迫るより、情報と準備期間を渡したほうが結果的に速く動きます。
保全性が低く拡散性が高い人:先天的な2因子の組み合わせ
保全性が低く拡散性が高い人は、準備より試行を優先し、走りながら考えるスタイルになりやすくなります。逆の場合は準備を重視する傾向として捉えられますが、動き出す速さや仕上がりの精度まで因子だけで判断することはできません。両者が拮抗する人もおり、『あなたを引き出す自己分析』には「保全性と拡散性が拮抗する人は『アクセル』『ブレーキ』を意識しよう」というコラムがあります。どちらかに決めつけず、場面ごとにどちらが働いているかを観察するのが実践的です。
結果レポートの見方:上位因子・記号・ストレス値
読む順番:1位の因子、上位3つの並び、ストレス値
結果を受け取ったら、まず最も高い因子で中心的な志向をつかみ、次に2番目・3番目まで含めた並びを見ます。FFSは「多寡とその順番」で読むので、1位だけでは情報を取りこぼします。最後にストレス値を見て、いま強みが良い面で出る状態か、悪い面に転じやすい状態かを判断します。低い因子は弱点ではなく、「その方向では力が出にくいので別の因子で成果を出す」と読むのが適切です。
「EAC型」「弁別拡散型」など記号や組み合わせ表記の読み方
上位因子は記号やつなげた名前で語られることがあります。「EAC型」なら、前述の対応で保全性・凝縮性・弁別性の順に高い人です。「弁別拡散型」「受容保全型」のような呼び方も上位因子の並びを縮めたもので、書籍の目次にも「拡散・上司」×「保全・部下」のような組み合わせ表記が並びます。こうした型名は、診断レポートの正式な分類名として印字されるとは限りません。型の名前を追うより、上位因子の並びが実際の行動にどう出ているかを本人の経験と突き合わせるほうが役に立ちます。
FFS診断の根拠をどこまで信じてよいか:論文と検証の現状
導入実績の多さと、診断の妥当性が検証されていることは別の話です。公開情報で確かめられる範囲を整理します。
連載第1回は「根拠となっている論文・調査結果などはこちら」としてヒューマンロジック研究所のFFS理論ページにリンクしていますが、2026年10月12日時点の同ページに載っているのは理論の説明と対応言語で、論文名や調査の母数は書かれていません。学術データベースのCiNii Researchで「FFS理論」を検索すると、2026年10月12日時点で27件でした。経営誌の記事、関連書籍、教育やプロジェクト管理でのチーム編成への応用報告が中心です。質問紙の信頼性や妥当性の検証をタイトルに掲げた論文は見当たりませんでした。
応用研究の中で数字を確認できるのが、早稲田大学ほかの論文「情報システム開発の実践的講座におけるチーム構成と教育効果の関係」(工学教育61巻5号、2013年)です。2011年(受講生26名・6チーム)と2012年(17名・4チーム)の講座で、個人特性を考えずに無作為に組んだチームを分析したところ、保全・安定の因子が大きいチームほど講座で得た基礎系の知識・技能が多く、著者は「期待に反し」と書いています。チーム内で変化志向か安定志向かがばらついていないほど、議論も活発でした。一方で、知識・技能は受講生の自己評価で測っており、発言数の記録にも限界があると著者自身が妥当性への脅威を挙げています。
ここから言えるのは、「違う因子を組み合わせれば成果が上がる」という一般論は目的次第で外れることがある、という点です。小規模な1研究なので一般化はできませんが、FFSの結果を人事判断に使うなら、診断結果だけで決めず、実際の行動や成果の記録と突き合わせる前提で使うべきです。誰にでも当てはまる記述を「自分のことだ」と感じる心理については、バーナム効果とは?フォアの実験の数値と名前の由来、占い・性格診断が当たると感じる理由で解説しています。
ビッグファイブ・MBTI・エニアグラムとの違い
| 観点 | FFS | ビッグファイブ | MBTI・エニアグラム |
|---|---|---|---|
| 捉え方 | 5因子の多寡と順番 | 5特性の程度 | タイプへの分類 |
| ストレスの扱い | 変数として組み込む | 神経症傾向などと関連する別の概念 | 枠組みにより異なる |
| 主な用途 | チーム編成・配置 | 研究・個人特性の測定 | 自己理解 |
名前が似ていても、FFSの5因子とビッグファイブの5特性は中身が別物です。FFSは同じ特性がストレスの度合いで良い面にも悪い面にも出るという前提を持ち、「その人がどういう人か」より「いまどう出ているか」を扱います。タイプに分けて理解する枠組みとの違いは、エニアグラムとは?9タイプ一覧・MBTIとの違いと信憑性を研究データで確認やソーシャルスタイルとは?4タイプ診断の使い方と16分割・日本人の割合の実際と読み比べるとわかりやすくなります。一般的な統計手法としての因子分析については因子分析とは?やり方・結果の見方を具体例でわかりやすく解説が参考になります。
チーム編成・採用での使い方と導入前の注意
チーム編成:補完の組み合わせと、その限界
FFSを組織で使う基本は、補い合う組み合わせを作ることです。アイデアは出るが詰めが苦手な拡散性の高いメンバーに保全性の高いメンバーを組ませ、決めることが苦手な受容性の高いメンバーには凝縮性や弁別性の高いメンバーが判断の軸を持ち込みます。連載の調査では受容性・保全性の組み合わせが55%と最も多いものの、そうしたメンバーが多いチームで新規開拓が鈍るかどうかは因子からは決まりません。準備に時間をかけすぎていないかは、実際の行動や進捗で確認してください。
ただし根拠の章で紹介した研究では、基礎知識の習得を目的にした講座では、保全・安定の因子が大きく志向がそろったチームのほうが基礎知識の習得が多いという結果でした。この研究だけでは、新規事業や品質管理に適した組み合わせまでは判断できません。実務では目的に応じた編成を仮説として試し、行動や成果を確認して見直すべきです。チームが形成から成果を出すまでの段階はタックマンモデルは古い?5段階の原典論文と批判から見る今のチームでの使い方で扱っています。
導入企業(リクルートグループなど)と対応言語
ヒューマンロジック研究所の導入企業ページには、アクセンチュア、本田技研工業、マネーフォワード、TOPPANホールディングス、レゾナックなどが並び、株式会社リクルートと、リクルートエグゼクティブエージェント、リクルートオフィスサポート、リクルートカーセンサー、リクルートゼクシィなび、リクルートメディカルキャリアのグループ計6社が掲載されています(一覧の注記は「2025年10月現在」)。採用選考の適性検査として使っているという意味ではなく、組織運用での導入企業として掲載されている点に注意してください。
FFS理論の解説ページには対応言語として、日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、タイ語、ベトナム語、マレーシア語、タガログ語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語、インドネシア語の11種が並びます。ただし「※アンダーバーは診断結果にも対応」とあり、下線付きは日本語・英語・中国語・タイ語・ベトナム語の5種だけです。残る6種は設問のみの対応と読めるので、海外拠点で使う場合は結果まで現地語で返るかを先に確認してください。
著作権と商標の権利宣言:研修資料への引用・転載の確認事項
ヒューマンサイエンス研究所のサイトには「FFS理論・FFS分析等に関わる権利宣言」が掲示されています。FFS理論に関する文章、定義、質問紙、図表、分析方法、計算機用アルゴリズム、因子名称、専門用語体系などの著作権は小林恵智氏に帰属するとし、無断複製・翻案・改変・再配布・体系的引用・商用利用、研修・講座・教育プログラムへの使用、類似名称を用いた派生理論の構築を禁止しています。「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」などの用語には商標としての権利主張も示されています。
社内研修の資料に因子の定義や説明図を載せる、FFSに似た独自の診断ツールを作る、といった使い方は事前に提供元へ確認してください。ETHOS NEOの利用規約も、分析結果の無断転載・商用利用を禁止事項に挙げています。
採用での位置づけ:選抜ではなく配属の判断材料
因子に優劣がない設計である以上、スコアで候補者を足切りする使い方は理論の前提と噛み合いません。採用で使うなら、入社後にどのチームへ配属し誰と組ませるかを考える材料にとどめます。行動特性を採用や評価の基準に落とし込みたい場合は、コンピテンシーとは?意味・スキルとの違いと氷山モデルの5特性を原典から解説の枠組みのほうが目的に合います。
診断結果は個人の特性に関する情報です。誰がどこまで結果を見られるのか、人事評価に転用しないのかを、導入時にルールとして決めておいてください。診断結果を配置や育成の記録と一緒に扱う仕組みを社内で作るなら、タレントマネジメントとは?目的・システム・導入手順を開発会社が解説で全体像を確認し、閲覧権限まで設計できる人事・労務管理システムの開発を検討するのも一案です。
よくある質問
FFS診断は無料で受けられますか?
2026年10月12日時点で、一般公開された無料の公式診断は確認できませんでした。受ける経路は、ETHOS NEOのFFS分析(500円)か、対象書籍(税込1,980円)のアクセスコードを使う宇宙兄弟版です。
FFS診断の料金はいくらですか?
個人なら、NPO法人ヒューマンサイエンス研究所のETHOS NEOでFFS分析が500円です(1チケットで3年間に3回まで)。ストレス反応度分析は初回はチケット不要で、2回目以降は300円の登録で1年間に3回まで受けられます。書籍版は対象書籍の税込1,980円で、診断自体に追加料金はかかりません。法人の本格導入はrelate株式会社への個別見積りです。
FFS診断はどうやって受けるのですか?
ETHOS NEOならFFS分析オフィシャルサイトからアカウントを登録し、クレジットカードで支払って回答します。結果はマイページでいつでも確認できます。書籍版なら対象書籍に付属するアクセスコードを宇宙兄弟サイトに入力し、80問に1問9秒を目安で回答します。
80問の無料診断はどこで受けられますか?
80問の診断には、書籍のアクセスコードで受ける宇宙兄弟版と、500円で受けるETHOS NEOのFFS分析があります。80問を無料で受けられる公式の入口は確認できませんでした。
FFS診断はリクルートで使われていますか?
ヒューマンロジック研究所の導入企業一覧(2025年10月現在)に、株式会社リクルートとリクルートグループの5社が掲載されています。組織運用での導入企業としての掲載で、採用選考に使っているかどうかは一覧からはわかりません。
「弁別拡散型」のような呼び方は正式な分類ですか?
上位に来る因子を並べた呼び方です。FFSは5タイプに分類する理論ではなく、因子の多寡と順番で読むため、型の名前が診断レポートに正式な分類名として印字されるとは限りません。上位因子の並びそのものを手がかりにしてください。
FFS診断を社内研修の資料に使ってもよいですか?
提唱者側が権利宣言を掲示しており、定義・質問紙・図表・因子名称などの著作権と商標を主張し、研修・講座・教育プログラムへの使用を禁止しています。出典を明記した引用の範囲を超えて資料に転載する場合は、事前に提供元へ確認してください。