CPM(Cost Per Mille)は、広告が1,000回表示されるあたりの費用です。計算式は「広告費 ÷ 表示回数 × 1,000」で、広告費300,937円・表示回数358,807回ならCPMは約839円になります。この記事では、この式の使い方に加えて、予算や表示回数の逆算、CPC・CPV・リーチ単価との換算、官公庁の報告書に載っている実数から算出したCPMの水準を順に示します。
まとめ:CPM計算の要点
- 計算式:CPM = 広告費 ÷ 表示回数 × 1,000。1表示あたりの単価(imp単価)はCPM ÷ 1,000。
- 逆算:表示回数 = 予算 ÷ CPM × 1,000、必要予算 = 目標表示回数 × CPM ÷ 1,000。
- 換算:CPM = CPC × CTR × 1,000 = CPV × 視聴率 × 1,000。1,000人あたりのリーチ単価 = CPM × フリークエンシー。
- 実際の水準:スポーツ庁の事業報告書にあるYouTube広告の実績では、日本向けのCPMが約839円、8か国の合計で約556円(国別では約254〜1,230円)でした。
- 判断:CPMは低いほど良いとは限りません。CPMがほぼ同じでもCTRの差でCPCが3倍以上開いた例があり、目的の指標(CPC・CPV・CPA)まで換算して比べます。
以下、計算式の使い方から順に説明します。
CPMの計算式と求め方
JIAA(日本インタラクティブ広告協会)のインターネット広告用語集は、CPMを「Cost per Milleの略。広告配信(インプレッション)1000回当たりの費用」と定義し、Milleはラテン語で1000の意味だと説明しています。Google広告の動画キャンペーンの指標の解説にも、計算式が「CPM = 費用 ÷ (表示回数 ÷ 1,000)」と書かれています。
CPM(円)= 広告費 ÷ 表示回数 × 1,000
「表示回数 ÷ 1,000」で先に割っても、「広告費 ÷ 表示回数」に1,000を掛けても結果は同じです。表示回数は媒体によって「インプレッション数」「表示回数」と呼び名が違うだけで、同じものを指します。
広告費と表示回数から求める計算例
同じ広告費でも、表示回数が多いほどCPMは下がります。
| 広告費 | 表示回数 | 計算 | CPM |
|---|---|---|---|
| 100,000円 | 500,000回 | 100,000 ÷ 500,000 × 1,000 | 200円 |
| 50,000円 | 80,000回 | 50,000 ÷ 80,000 × 1,000 | 625円 |
| 300,937円 | 358,807回 | 300,937 ÷ 358,807 × 1,000 | 約838.7円 |
3行目は後述するスポーツ庁の報告書にある、日本向けYouTube広告の実績値です。比べるときは、広告費に制作費を含めるか、税込か税抜かを全キャンペーンでそろえます。税込と税抜が混ざるだけでも、消費税10%の分だけCPMがずれます。
スプレッドシートやExcelで計算する式
計算ツールを使わなくても、表計算ソフトなら1行の式で済みます。B列に広告費、C列に表示回数を入れた場合の例です。逆算用に、F列に予算、G列に想定CPMを入れています。
CPM(D2) =IFERROR(ROUND(B2/C2*1000, 1), "")
imp単価(E2) =IFERROR(B2/C2, "")
見込み表示回数(H2) =IFERROR(ROUNDDOWN(F2/G2*1000, 0), "")
IFERRORは表示回数が0の行で割り算エラーを出さないためのものです。複数キャンペーンの平均CPMを出すときは、各行のCPMを平均せず、広告費の合計を表示回数の合計で割ってから1,000を掛けます。CPMの単純平均は、表示回数の少ないキャンペーンの値に引っ張られます。
imp単価(1表示あたり)とCPMの換算
「imp単価」「インプレッション単価」は、CPMと同じ意味で使われることもあれば、1表示あたりの金額を指すこともあります。1表示あたりの単価はCPM ÷ 1,000で、CPM838.7円なら約0.84円です。媒体資料や見積書で「インプレッション単価○円」と書かれていたら、1,000回あたりか1回あたりかを先に確認します。桁が3つ違うため、取り違えると予算が1,000倍ずれます。
予算・表示回数・CPMの逆算
予算・表示回数・CPMの3つのうち2つが分かっていれば、計算式を変形して残りの1つを求められます。
| 求めたいもの | 式 | 例 |
|---|---|---|
| 見込み表示回数 | 予算 ÷ CPM × 1,000 | 60万円 ÷ 715円 × 1,000 ≒ 83.9万回 |
| 必要な予算 | 目標表示回数 × CPM ÷ 1,000 | 100万回 × 400円 ÷ 1,000 = 40万円 |
| 許容できるCPM | 予算 ÷ 目標表示回数 × 1,000 | 30万円 ÷ 50万回 × 1,000 = 600円 |
1行目は、スポーツ庁が公開している令和5年度の事業報告書(デジタルプロモーション)の配信シミュレーションと同じ計算です。この報告書の配信シミュレーションは、日本向けYouTube TrueViewインストリーム広告の費用を60万円、CPMを715円、想定表示回数を838,889回と記載しています。掲載されたCPM715円で割り戻すと約839,161回になり、原表のCPMは丸めた表示と考えられます。逆算した見込みはあくまで計画値で、同じ報告書の日本向け実績ではCPMが約839円となり、想定の715円を上回りました。見込み表示回数はCPMに反比例するため、CPMが想定の1.2倍になれば表示回数は約83%(100÷120)に減ります。計画には幅を持たせます。
CPMとCPC・CPV・リーチ単価の換算式
CPMは他の単価指標と掛け算でつながっています。1表示あたりの費用(CPM ÷ 1,000)を「1表示がクリックや視聴になる割合」で割るとCPCやCPVになり、逆にCPCやCPVにその割合を掛けて1,000倍するとCPMに戻ります。
| 換算 | 式 |
|---|---|
| CPC → CPM | CPM = CPC × CTR × 1,000 |
| CPM → CPC | CPC = CPM ÷ 1,000 ÷ CTR |
| CPV → CPM | CPM = CPV × 視聴率 × 1,000 |
| CPA → CPM | CPM = CPA × 表示回数あたりのCV率 × 1,000 |
| CPM → リーチ単価 | 1,000人あたりの費用 = CPM × フリークエンシー |
CTRや視聴率は%表記のまま掛けず、小数(0.2%なら0.002)にして計算します。CPCの定義と課金の仕組みはCPC(クリック単価)の記事、動画の視聴単価はCPV(広告視聴単価)の記事で扱っています。
リーチ単価とCPMの違い
CPMの分母は表示回数で、同じ人に3回表示されれば3回と数えます。リーチ単価の分母は広告が届いた人数(リーチ)です。1,000人あたりにそろえたリーチ単価(広告費 ÷ リーチ × 1,000)は、1人あたりの平均表示回数(フリークエンシー)の倍数だけCPMより高くなります。たとえばCPM500円・フリークエンシー2.5回なら、1,000人あたりのリーチ単価は1,250円です。フリークエンシーの出し方はフリークエンシーの記事、リーチと表示回数の数え方の違いはリーチの記事で説明しています。
スポーツ庁の実績値によるCPM換算式の検算
スポーツ庁の報告書(2023年12月6日〜2024年1月5日配信)には、日本向けYouTube広告の表示回数358,807回・視聴回数156,665回・クリック数232回・費用300,937円が載っています。途中で丸めずに計算すると、どの経路で求めてもCPMは838.7円に一致します(CPC約1,297円・CTR約0.065%・CPV約1.92円は丸めた値なので、丸めた値どうしを掛けると839.2円などと小数点以下がずれます)。
- 直接計算:300,937 ÷ 358,807 × 1,000 ≒ 838.7円
- CPC経由:CPC(300,937 ÷ 232)× CTR(232 ÷ 358,807)× 1,000 ≒ 838.7円
- CPV経由:CPV(300,937 ÷ 156,665)× 視聴率(156,665 ÷ 358,807)× 1,000 ≒ 838.7円
換算式は定義からの恒等式なので、管理画面の数字で一致しない場合は、分子の費用や分母の数え方(視認範囲の表示だけを数えているか等)が指標ごとに違うことを疑います。
CPMの相場の目安:YouTube広告の国別実績(2023年12月〜2024年1月)
CPMの「平均」や「相場」として示された数字を使うときは、媒体・配信国・期間・ターゲット・税区分が書かれているかを確かめます。Google広告ヘルプ(answer/2375431)は平均CPMの目安額を挙げず、「インプレッション単価には国ごとに異なる最低限必要な金額があるため、適切な平均 CPM は国によって異なります」と書いています。そこで、配信条件と金額が公開されている実例として、前出のスポーツ庁の報告書から国別のCPMを算出しました。
| 配信国 | 表示回数 | 費用 | CPM(算出) | CTR(算出) | CPC(算出) |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 358,807 | 300,937円 | 約839円 | 0.065% | 約1,297円 |
| アメリカ | 244,756 | 300,960円 | 約1,230円 | 0.122% | 約1,010円 |
| イギリス | 374,759 | 300,822円 | 約803円 | 0.215% | 約374円 |
| フランス | 359,923 | 300,918円 | 約836円 | 0.092% | 約909円 |
| オーストラリア | 279,432 | 300,921円 | 約1,077円 | 0.131% | 約822円 |
| 台湾 | 1,184,007 | 300,860円 | 約254円 | 0.253% | 約100円 |
| 香港 | 848,285 | 300,881円 | 約355円 | 0.267% | 約133円 |
| 韓国 | 676,029 | 300,865円 | 約445円 | 0.225% | 約198円 |
| 合計 | 4,325,998 | 2,407,164円 | 約556円 | 0.204% | 約273円 |
出典:スポーツ庁「令和5年度 スポーツによる地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業 別添報告書⑤」(株式会社JTBコミュニケーションデザイン作成)p.7の表示回数・費用・クリック数から算出。YouTube TrueViewインストリーム広告、各国とも18歳以上。興味関心は日本が「スポーツ、旅行」、他の7か国が「スポーツ、海外旅行、日本」で、設定は国ごとに完全には同じではありません。費用の税区分は報告書に記載がありません。
費用はどの国もほぼ同じ約30万円でしたが、国別のCPMは約254円から約1,230円まで5倍近く開きました。配信国だけを変えた実験ではないため原因は切り分けられませんが、配信先の条件でCPMがこれだけ動く実例です。業種や媒体が変われば水準はさらに変わるため、この表は「日本のYouTube広告のCPMは○円」という基準値としては使わず、幅の実例として読んでください。自社の目安を作るなら、過去の配信実績をキャンペーンの目的・媒体・期間ごとに分けて集計するのが確実です。
CPM課金・vCPM・tCPMの違い
CPMという言葉は、指標の名前と課金方式の名前の両方で使われます。下の表はCPMに関係する課金・入札方式の例で、各媒体がこの方式だけを提供しているわけではありません。分母が違えば同じ配信でも単価の数字が変わります。
| 媒体・方式 | CPMに関係する方式の例 |
|---|---|
| Google広告 ディスプレイ | 入札戦略:視認範囲のインプレッション単価(vCPM) |
| Google広告 動画 | 入札戦略:目標インプレッション単価(tCPM) |
| TikTok広告 | 入札方法CPM・oCPM(課金はインプレッション) |
| Amazon Ads ディスプレイ | vCPM(セルフサービスはCPCも可) |
| Amazon Ads 音声広告 | CPM |
Google広告ヘルプの視認範囲のインプレッション単価のページには、「上限 CPM は入札戦略としてご利用いただけなくなりました」とあります。視認範囲とみなされる条件は、広告面積の50%以上が画面に表示され、ディスプレイ広告なら1秒以上、動画広告なら2秒以上継続して再生された場合です。同じ費用で計算すると、vCPMは視認範囲と判断された表示だけを分母にするため、視認範囲外の表示が1回でもあれば全表示回数で割ったCPMより高くなります(全表示が視認範囲なら同額です)。vCPMの判定基準とCPMとの換算はビューアブルインプレッションの記事で詳しく扱っています。
動画キャンペーンの目標インプレッション単価(tCPM)は、1,000回あたりの平均額を指定し、キャンペーンの平均インプレッション単価がその額以下になるよう入札が調整される方式です。TikTokの入札方法の解説では、CPMはリーチ目的、oCPMはコンバージョンやアプリインストールなどの目的に使われ、どちらも課金はインプレッション単位です。つまり「CPM課金は認知目的だけ」とは限らず、成果を狙う配信でも請求は表示回数で計算されることがあります。Amazon AdsはCPMの解説ページで、ディスプレイ広告にvCPMの料金体系を、音声広告にCPMを採用していると書いています。ただしディスプレイ広告の製品ページによると、スポンサー広告経由のディスプレイ広告はCPCとvCPMの両方に対応しています。
表示回数の量そのものを事前の契約で約束してもらう取引は、インプレッション保証型広告として別に扱われます。また、似た名前のeCPMは、JIAA用語集ではCPCやCPAをCPMに換算した広告主側の費用、アプリの収益化ではメディア側の1,000表示あたり収益として使われます。分子が費用か収益かで意味が逆になるので、eCPMの記事で定義を確かめてから使い分けてください。
CPMの高い・低いを判断する基準
CPMは低いほど良いとは限りません。CPMが下がっても、クリックや視聴につながらない表示が増えただけなら、目的の単価はむしろ上がります。スポーツ庁の報告書では、日本(CPM約839円)とイギリス(約803円)のCPMはほぼ同じでしたが、CTRが0.065%と0.215%と3倍以上違ったため、CPCは約1,297円と約374円まで開きました。逆に韓国はCPMが約445円とイギリスの半分強でしたが、視聴率が26.80%と低く、1視聴あたりの費用(約1.66円)はイギリス(約1.72円)とほとんど変わりません。
判断の手順は次のとおりです。
- 目的の指標まで換算する:認知目的ならリーチ単価かCPV、誘導目的ならCPC、獲得目的ならCPAで比べ、CPMは原因の切り分けに使う。
- 分母と分子をそろえる:vCPMとCPM、税込と税抜、配信費だけか制作費込みかが混在した比較はしない。
- 比べるのは同じ媒体・同じ目的の中だけ:Google広告ヘルプも、CPMは広告・広告グループ・キャンペーン間の比較に使うのが最も効果的だとしています。
CPMが上がったときにまず見るのは、配信国や地域、ターゲットの絞り込み、配信時期の変更です。上の表でも国別のCPMに数倍の差がありましたが、ターゲットや時期の違いと切り分けるには、変更前後を同じ条件で比べる必要があります。TikTokの推奨入札額の解説は、リーチや動画視聴が目的の場合の推奨額を、広告設定(ターゲティングや入札方法など)とアカウントの過去のCPM・CPVから見積もるとし、実際の支払額を表すものではないとしています。入札の目安と配信後の実際のCPMは別のものとして扱います。CPMを下げる目的だけでターゲットを広げると、CTRや視聴率が下がって目的の単価が悪化することがあるため、設定を変えたら換算後の指標まで確認します。媒体ごとに課金単位をそろえた評価の設計は、Webマーケティング戦略の支援でも扱っています。
よくある質問
CPMの計算式は?
「広告費 ÷ 表示回数 × 1,000」です。広告費10万円で表示回数が50万回なら、100,000 ÷ 500,000 × 1,000 = 200円になります。予算から見込みの表示回数を出すときは「予算 ÷ CPM × 1,000」で逆算します。
CPMは高い方がいいですか、低い方がいいですか?
同じ成果が得られるなら低い方が効率的ですが、CPMだけでは判断できません。CPMが同水準でもCTRの差でCPCが3倍以上違った実例があるため、目的に合わせてCPC・CPV・CPAまで換算して比べます。
CPMの平均・相場はどのくらいですか?
媒体・国・ターゲット・時期で大きく変わります。スポーツ庁の報告書にあるYouTube広告の実績では、日本向けが約839円、8か国の合計が約556円、国別では約254円から約1,230円でした。自社の目安は過去の配信実績から目的・媒体別に算出するのが確実です。
インプレッション単価(imp単価)とCPMは同じですか?
同じ意味で使われることが多いものの、1表示あたりの金額を指す場合もあります。1表示あたりの単価はCPM ÷ 1,000で、CPM800円なら0.8円です。見積書などでは、1,000回あたりか1回あたりかを確認してください。
CPMとvCPMはどう違いますか?
CPMは全表示回数、vCPMは視認範囲と判断された表示回数を分母にします。Google広告では、広告面積の50%以上が表示され、ディスプレイ広告なら1秒以上、動画広告なら2秒以上継続再生された表示が視認範囲です。同じ費用で計算すると、視認範囲の表示回数が全表示回数より少ない場合はvCPMの方が高く、同じ場合は同額になります。