Wasabi(ワサビ)とは?オブジェクトストレージの料金・セキュリティ・S3比較を徹底解説【2026年】

Wasabi(ワサビ)は、米Wasabi Technologiesが提供するAmazon S3互換のオブジェクトストレージ「Hot Cloud Storage」です。料金は1TBあたり月$6.99(2026年7月1日より$7.99)の容量課金のみで、データ転送(エグレス)やAPIリクエストに追加料金がかからないのが最大の特徴です。この記事では、料金体系と注意点、暗号化やオブジェクトロックといったセキュリティ機能、AWS S3・Google Cloud・Azureとの違い、そして導入前に押さえたいデメリットと向き不向きまでを、2026年6月時点の最新情報で整理します。

まとめ:WasabiはS3互換の低コストストレージ、セキュリティと料金体系の癖を理解して選ぶ

先に結論です。Wasabiは「Amazon S3と同じAPIで使えて、保管料が安く、取り出し料が無料」のオブジェクトストレージです。料金は1TBあたり$6.99(2026年7月1日より$7.99)の単一プランで、AWS S3標準(約$23/TB)の数分の1の保管単価。バックアップやアーカイブ、大容量データの長期保管に向きます。セキュリティ面ではAES-256自動暗号化、オブジェクトロック(WORM)、多要素認証、ISO 27001/SOC 2/PCI-DSS認証を備え、ランサムウェア対策にも使えます。

一方で、最低1TBの課金と最低保存期間90日があるため、少量データや短期間で消すデータには割高です。計算資源を持たないストレージ専業サービスで、日本語の手厚いサポートは代理店経由が中心。この料金体系の癖とセキュリティ機能を理解したうえで、用途に合うかを判断してください。各項目を以下で詳しく解説します。

Wasabiとは|Amazon S3互換のオブジェクトストレージ「Hot Cloud Storage」

Wasabiは、すべてのデータを即時アクセス可能な「ホット」状態で保管する単一クラスのオブジェクトストレージです。AWS S3のような標準・低頻度・アーカイブといった階層を持たず、どのデータも追加の取り出し時間や料金なしで読み出せます。Amazon S3 APIに準拠しており、エンドポイントを s3.ap-northeast-1.wasabisys.com のようなWasabiのアドレスに差し替えるだけで、既存のS3対応アプリやSDKをそのまま利用できます。

データ耐久性は11×9(99.999999999%)で、Amazon S3標準クラスと同等です。保管先はリージョン単位で選べ、北米・欧州・アジア太平洋など世界各地に展開しています。日本国内では東京・大阪のリージョンが利用でき、国内にデータを置きたい要件にも対応します。提供リージョンは追加されることがあるため、最新の一覧は公式のストレージリージョン一覧で確認してください。

Wasabiの料金体系|1TB=$6.99と転送無料、最低90日の注意点

Wasabiの料金は容量課金のみのシンプルな定額制です。1TBあたり月$6.99(約$0.0069/GB。2026年7月1日より$7.99/TBへ改定)で、データのダウンロード(エグレス)やAPIリクエストには課金されません。AWS S3では保管料に加えて取り出し時に約$0.09/GBの転送料やAPI料金が積み上がりますが、Wasabiは容量分だけで予算が読めるのが利点です。頻繁にデータを読み出すバックアップ検証やデータ分析でもコストが膨らみにくい設計です。

項目 Wasabi 補足
保管単価 $6.99/TB(7/1〜$7.99) 全リージョン統一
転送料(エグレス) 無料 保存量と同量(1:1)・月100TB上限
APIリクエスト 無料 PUT/GET等の従量課金なし
最低課金容量 1TB/月 1TB未満でも1TB分
最低保存期間 90日 早期削除も90日分課金

追加料金が発生する条件|最低1TB・90日・イグレス上限

「安い・転送無料」には条件があります。まず課金は最低1TBからで、数百GBしか使わなくても1TB分が請求されます。次に最低保存期間90日があり、1月1日に置いたデータを1月15日に消しても90日分(1TBなら約$20.97)が発生します。短期間でアップロードと削除を繰り返す使い方では割高になるため、3か月以上の保管を前提とする用途に向いた料金設計だと理解しておくべきです。

転送無料も無制限ではなく、月間の保存量と同量(1:1)まで、かつ月100TBまでが無料の上限です。これを超える大量配信はフェアユースの対象になり得ます。通常のバックアップやアーカイブ用途では問題になりませんが、保存量の何倍ものデータを毎月配信し続けるような使い方には別途確認が必要です。変動し得る金額のため、契約前に正確な単価と条件を公式の料金ページで確認してください。

他社比較|AWS S3・Google Cloud・Azureとの違い

主要クラウドのオブジェクトストレージと比べると、Wasabiの位置づけは「保管料が安く、取り出し料が無料で、機能はストレージに特化」です。AWS S3・Google Cloud Storage・Azure Blobは多階層・多機能で総合プラットフォームの一部として強い一方、保管単価が高く、取り出しに転送料がかかります。下表は代表的な違いの整理です(各社の正確な料金はリージョン・時期で変動するため公式で確認してください)。

観点 Wasabi AWS S3 Google/Azure
保管単価 $6.99/TB(7/1〜$7.99) 約$23/TB〜 約$18〜26/TB
転送料 無料 有料 有料
ストレージ階層 単一(ホット) 多階層 多階層
計算・周辺サービス なし(専業) 豊富 豊富
S3 API互換 あり 本家 一部/独自

使い分けの目安はこうです。計算・分析・データベースまで一体で使うなら総合クラウドのストレージが向きます。逆に、計算は既存クラウドやオンプレに残したまま「保管コストだけ下げたい」「マルチクラウドでロックインを避けたい」なら、S3互換のWasabiを補完ストレージとして足すのが効果的です。Amazon S3の機能を併用する場合は、Amazon S3 Tablesとは何か?その概要と基本概念のようなS3側の機能も合わせて検討するとよいでしょう。

Wasabiのセキュリティ機能|暗号化・オブジェクトロック・権限管理

Wasabiは低価格でもセキュリティ機能を一通り備えています。保存データはサーバ側でAES-256により自動暗号化され、設定なしでも暗号化状態になります。アクセス制御はAWS IAMに近い権限管理(RBAC)で、バケット・オブジェクト単位に読み書き権限を割り当てられます。以下、主要な機能を用途別に分けて見ていきます。

認証とアクセス制御|MFA・SSO・権限の最小化

アカウントには多要素認証(MFA)とシングルサインオン(SSO)を設定でき、ID/パスワード漏えいだけでは侵入されにくくなります。さらにWasabi独自のマルチユーザー承認では、バケット削除など重大操作に複数管理者の承認を必須にでき、単独アカウントの乗っ取りや誤操作による全削除を防げます。権限は役割ごとに最小化し、業務に必要な範囲だけを与える運用が前提です。

オブジェクトロック(WORM)|ランサムウェア対策の要

オブジェクトロックは、保存したデータを指定期間「変更不可・削除不可」にするWORM機能です。管理者権限があってもロック期間中は上書き・削除できないため、バックアップ先でこれを有効にしておけば、ランサムウェアが侵入してもバックアップは破壊されません。初のAI駆動型ランサムウェア『PromptLock』のように攻撃手法が高度化するなか、改ざん不能なコピーを別途持つ「最後の砦」として機能します。金融取引記録など、一定期間の改ざん防止保存が求められるコンプライアンス要件にも使えます。

認証・コンプライアンスと異常検知

データセンターとサービスはISO/IEC 27001、SOC 2、PCI-DSSの認証を取得し、医療のHIPAA、金融のFINRA、刑事司法のCJISなど各種基準への適合を公表しています。加えて、短時間に通常を超える大量ダウンロードが起きた際に通知するイグレスアラートで、内部不正やアカウント乗っ取りによる情報持ち出しを早期に検知できます。暗号化・認証・監視を各段で重ねた多層防御が、機密データを扱う医療・教育・自治体での採用を支えています。

導入・移行と連携|S3互換でツールにそのまま組み込む

Wasabi導入のハードルが低い理由は、Amazon S3 APIに準拠していることです。既存のS3対応システムなら、エンドポイントURLとアクセスキーをWasabiのものに差し替えるだけで動きます。コード改修や複雑な移行はほぼ不要で、新規データの保存先だけ先にWasabiへ向け、過去データは順次移すといった並行運用もできます。

バックアップ製品との連携|Veeam・Commvault・Acronis

VeeamやCommvault、AcronisといったバックアップソフトはS3互換の保存先としてWasabiを指定できます。設定画面でエンドポイントとキーを入れるだけで、既存のバックアップ運用の保管先をWasabiに変えられます。S3対応のファイル操作ツール(例:Storage Browser for Amazon S3)からも同じ要領で接続でき、エコシステムの広さが移行のしやすさにつながっています。

業務別の使いどころ|バックアップ・アーカイブ・大容量共有

向いているのは、3か月以上保管する一定量以上のデータです。サーバやNASのバックアップ、医療画像や4K/8K映像など大容量データの長期アーカイブ、拠点間での大容量ファイル共有が代表的です。取り出し無料なので、復旧テストや再編集でデータを何度引き出してもコストが膨らみません。専用のスマホアプリは提供されないため、モバイルからの利用はS3対応アプリ経由になります。

Wasabiのデメリットと向き不向き|個人利用・評判の実際

良い点ばかりではありません。導入前に知っておくべき弱点を率直に挙げます。第一に料金体系の癖で、最低1TB・最低90日課金があるため、数十GBの保管や短期間で消すデータには明確に割高です。第二に計算資源やデータベースを持たないストレージ専業で、アプリ実行基盤は別途必要です。第三に、主要クラウドに比べ日本語の公式ドキュメントやサポートは手薄で、国内では代理店経由のサポートが中心になります。

個人利用はできますが、最低1TBからの課金を踏まえると、保管量が常時1TB以上ある人やチーム共有用途でこそ価値が出ます。数GB〜数十GBの個人バックアップだけなら、無料枠のある一般向けクラウドの方が割安なケースが多いでしょう。逆に、機密性が最優先で広いエコシステムや国内厚めのサポートを求めるなら、コスト差を理解したうえでAWS S3など総合クラウドを選ぶ判断も妥当です。「安いから全部Wasabi」ではなく、Wasabiは保管コストを下げる補完ストレージとして使うのが失敗しない設計です。

Wasabiに関するよくある質問

Wasabiの料金はいくらですか?無料で使えますか?

保管料は1TBあたり月$6.99(約$0.0069/GB。2026年7月1日より$7.99/TBへ改定)で、データ転送やAPIリクエストは無料です。完全無料プランはなく、最低1TBからの課金になります。AWS S3標準の数分の1の保管単価ですが、最低保存期間90日があるため、3か月以上保管する用途で安さが活きます。正確な金額は変動するため公式の料金ページで確認してください。

Wasabiのセキュリティは大丈夫ですか?暗号化やランサム対策は?

AES-256による自動暗号化、多要素認証(MFA)とSSO、役割ベースのアクセス制御、オブジェクトロック(WORM)を備え、ISO 27001・SOC 2・PCI-DSSの認証を取得しています。HIPAAやFINRA、CJISなどのコンプライアンスにも対応します。特にオブジェクトロックはランサムウェアでバックアップを破壊されない仕組みとして有効で、医療・教育・自治体での採用実績があります。

WasabiとAmazon S3は何が違いますか?

WasabiはS3 API互換で使い勝手は近いですが、保管単価が安く、取り出し(転送)料が無料、ストレージ階層が単一という点が異なります。S3は多階層・多機能で計算や分析サービスと一体運用できる強みがあります。コストだけ下げたい・マルチクラウドにしたい場合はWasabi、総合プラットフォームとして使う場合はS3、という使い分けが現実的です。

Wasabiにデメリットはありますか?最低保存期間とは?

最低1TB課金と最低保存期間90日が主なデメリットです。1TB未満でも1TB分、90日以内に削除しても90日分が課金されるため、少量・短期のデータには割高です。また計算資源を持たないストレージ専業で、日本語サポートは代理店経由が中心です。短期で出し入れするデータより、長期保管・バックアップ用途に向いています。

Wasabiは個人でも使えますか?スマホからは?

個人でも契約できますが、最低1TBからの課金のため、常時1TB以上を保管する人やチーム共有でこそ割安になります。数十GBの個人バックアップだけなら無料枠のある一般向けクラウドが有利な場合が多いです。専用スマホアプリはなく、モバイルからはS3対応のクライアントアプリ経由でアクセスします。

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