FASHN AI(fashn.ai)は、英国のFASHN LTDが提供するファッション特化の画像生成サービスです。人物写真に服の画像を着せるバーチャル試着、平置きの商品写真からモデル着用画像を作るProduct to Model、モデルの差し替えや動画化までを、ブラウザのWebアプリと開発者向けAPIの両方で提供しています。
この記事では、2026年9月時点の公式ドキュメントと料金ページで確認できる内容に絞り、APIで使えるモデルの違い、クレジット単価からの費用見積もり、/v1/runと/v1/statusを使った実装、出力の保存期限や肖像の同意といった導入前の確認点を整理します。モデルを自社GPUで動かせるオープンソース版FASHN VTON v1.5との使い分けも扱います。
まとめ:FASHN AIの料金・API・導入時の確認点
- 提供形態:Webアプリ(月額19ドルのBasicから)と、クレジット課金のAPI。APIの従量単価は1クレジット0.075ドルで、最小購入は7.50ドル(100クレジット)です。
- 試着モデル:Stable(長期利用向け)のTry-On v1.6は1枚1クレジット・約5〜17秒。Preview段階のTry-On Maxは1k〜4Kを選べ、1枚1〜5クレジットです。
- 実装:POST /v1/runで受付IDを受け取り、GET /v1/status/{id}をポーリングするか、webhook_urlで完了通知を受けます。/v1/runは60秒あたり50リクエスト、同時処理は6件までです。
- 保存と権利:APIの出力URLは3日で削除されるため、自社ストレージへの退避が必須です。出力は適用法令で認められる範囲で利用者に帰属します。別途合意したサービスへの明示的なオプトインがない限り、利用者のコンテンツはモデルの学習・微調整・改善に使われません。実在の人物の写真を使うなら、法令上必要な同意を利用者側で取る必要があります。
- 自前運用:Apache 2.0のFASHN VTON v1.5は、重み約2GBを自社GPUで動かせます。クレジットは不要ですが、出力は576×864pxで、4K出力・動画・モデル生成などAPIの機能は含まれません。
FASHN AIの提供元とWebアプリ・APIの2つの提供形態
運営会社は、利用規約上「FASHN LTD」(イングランドおよびウェールズ登記、会社番号14979714)で、規約の準拠法もイングランドおよびウェールズ法です。英国の法人登記では設立日が2023年7月4日で、公式サイトによるとDan BochmanとAya Bochmanの夫妻が共同で創業し、外部資本を入れずに運営しています。
同じ「FASHN」でも、使う入口は2つに分かれます。撮影担当者やECの運営担当が画面上で画像を作るならWebアプリ、自社のECサイトや社内の画像制作システムに組み込むならAPIです。料金体系もクレジットの単価も別なので、どちらを使うかを先に決めてから費用を見積もります。
Webアプリの月額プランと使える機能
Webアプリには4つの月額プランがあります。未使用の月間クレジットは契約を続けている間は翌月に繰り越され、保有できるのは各プランの月間付与量の3倍までです。新規アカウントには10クレジットが無料で付き、追加購入は1クレジット0.10ドル(100クレジットから、有効期限12か月)です。
| プラン | 月額 | 年額 | 月間クレジット | 日次クレジット | 動画の上限 | チーム招待 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Basic | 19ドル | 190ドル | 200 | なし | 720p | 2人 |
| Pro | 49ドル | 490ドル | 750 | 50 | 1080p | 5人 |
| Agency | 99ドル | 990ドル | 1,500 | 100 | 1080p | 10人 |
| Agency 2× | 199ドル | 1,990ドル | 3,000 | 200 | 1080p | 10人 |
Basicの時点で、Product to Model、Try-On、Packshot、Model Swap、AI Fashion Models、Editの主要ツールと、最大4Kの画像生成・アップスケールが使えます。上位プランで増えるのはクレジット量、動画解像度、同時生成数(Basic 3件、Pro 6件、Agency 11件)で、自社で用意した顔を参照画像として登録できるのはAgency以上です。ブランド専属モデルの顔を固定して撮影カットを量産したい場合は、この機能の有無でプランが決まります。
アプリのクレジット消費はAPIより少なく設定されています。Try-OnやProduct to Modelなどの画像生成は、fastなら解像度を問わず1枚1クレジット、qualityでも4Kで3クレジットです。顔の参照画像を付けたときの加算も、APIの3クレジットに対してアプリは2クレジットです。
FASHN APIで使える10モデルと段階別の使い分け
APIリファレンスに載っているモデルは10個で、それぞれ「Stable」「Preview」「Experimental」の段階が付いています。Stableは後方互換を保つ長期利用向け、Previewは本番利用できるものの出力の傾向が変わりうる段階、Experimentalはパラメータやレスポンスの形式まで変わりうる段階です。本番の購入導線に組み込むなら、この段階を見て選ぶのが安全です。
| model_name | 用途 | 段階 | 公開日 |
|---|---|---|---|
| tryon-v1.6 | 人物写真に服を着せる | Stable | 2025-06-25 |
| tryon-max | 高解像度の試着 | Preview | 2026-01-26 |
| product-to-model | 商品写真から着用画像 | Preview | 2025-09-02 |
| face-to-model | 顔写真からモデル画像 | Experimental | 2025-09-19 |
| model-create | AIモデルの生成 | Experimental | 2025-08-11 |
| model-swap | 服を残して人物を差し替え | Experimental | 2025-08-13 |
| edit | ポーズ・背景などの編集 | Experimental | 2025-12-01 |
| reframe | 構図・縦横比の変更 | Experimental | 2025-08-14 |
| image-to-video | 静止画から動画 | Experimental | 2025-10-15 |
| background-remove | 背景の切り抜き | Experimental | 2025-08-15 |
モデルは段階が変わってもmodel_nameを変えずに移行し、廃止する場合は終了日と後継が告知される運用です。2026年9月時点で廃止予定のモデルはありません。段階の変更は公式ドキュメントのModel Lifecycleに反映されます。
Try-On v1.6とTry-On Maxの違い
試着用のモデルは2つあり、公式はTry-On Maxを多くの用途で推奨しつつ、v1.6をリアルタイム性や費用を優先する組み込み向けに残しています。入力のキー名も違うため、切り替えるときはリクエストの組み立てを変える必要があります。
| 項目 | Try-On v1.6 | Try-On Max |
|---|---|---|
| 段階 | Stable | Preview |
| 服の画像のキー | garment_image | product_image |
| 解像度 | 入力を864×1296pxで処理 | 1k・2k・4k |
| 品質の指定 | mode(performance・balanced・quality) | generation_mode(fast・balanced・quality) |
| 処理時間の目安 | 約5秒・約8秒・約12〜17秒 | 約10秒(fast・1k)〜約55秒(quality・4k) |
| 1枚あたり | 1クレジット | 1〜5クレジット |
| 追加指示 | なし | prompt |
選び方ははっきりしています。閲覧者が自分の写真で試す機能では、費用と待ち時間を優先するならv1.6を候補にします。公式の処理時間の目安は約5〜17秒で、通信や待ち行列の時間も含めて許容できるかを確認します。商品ページのメイン画像や広告バナーのように、公開する画像そのものを作るならTry-On Maxの2k以上を使います。Previewのため、Maxを使う場合は出力の傾向が変わっても気づけるよう、代表的な組み合わせで定期的に生成結果を見比べる運用を入れておきます。
API料金とクレジット消費量からの費用見積もり
APIはサブスクリプション不要の従量課金で、1クレジット0.075ドルです。オンデマンドで追加購入したクレジットは購入から12か月で失効します。Tier契約中に割引購入した追加クレジットは契約終了時に失効します。失敗した生成ではクレジットは消費されません。単価は2025年3月1日に、1枚0.04ドルから0.075ドルへ改定されています。月額を約束する3つのTierでは、含まれるクレジットと追加購入の単価が下がります。
| 契約 | 月額 | 含まれるクレジット | 追加購入の単価 |
|---|---|---|---|
| 従量(On-Demand) | なし | なし | 0.075ドル |
| Tier I | 19ドル | 282 | 0.0675ドル(10%引き) |
| Tier II | 249ドル | 4,150 | 0.0600ドル(20%引き) |
| Tier III | 1,249ドル | 25,594 | 0.0488ドル(35%引き) |
消費クレジットは、Try-On MaxやProduct to Modelなどの画像生成が解像度と生成モードの組み合わせで決まり、v1.6の試着と背景切り抜きは1枚1クレジットの固定です。
| 生成モード | 1K | 2K | 4K |
|---|---|---|---|
| fast | 1 | 2 | 3 |
| balanced | 2 | 3 | 4 |
| quality | 3 | 4 | 5 |
顔の参照画像(face_reference)を付けると1枚あたり3クレジットが加算され、num_imagesで枚数を増やすとその倍数になります。動画は5秒が480pで1、720pで3、1080pで6クレジット、10秒はその2倍です。
1,000枚を作る場合で比べると、費用の差は設定で大きく開きます。
- v1.6の試着(1クレジット):1,000クレジットで、従量なら75ドル。
- Try-On Maxのbalanced・2k(3クレジット):3,000クレジットで、従量なら225ドル。Tier II(249ドル)の4,150クレジットにも収まりますが、この3,000クレジットだけなら従量の225ドルのほうが安くなります。
- Product to Modelのquality・4k+顔参照(5+3=8クレジット):8,000クレジットで、従量なら600ドル。
見積もりで見落としやすいのは試行錯誤の分です。公式のパラメータガイドも、まず速いモードで人物と服の組み合わせを探し、うまくいったものだけを高品質モードで作り直す手順を勧めています。本番分の枚数に、試し打ちの枚数を上乗せして予算を取っておきます。単価や含まれるクレジット数は改定されることがあるため、契約前にFASHNのAPI料金ページで最新の値を確認してください。
FASHN APIの呼び出し手順と実装例
APIキーの発行とクレジットの購入
APIキーは、クレジットを買った後に発行します。管理画面のBillingで「FASHN API」タブを選んでサブスクリプションか従量のクレジットを購入し、Developer APIのダッシュボードで「Create new API key」を押します。キーはウィンドウを閉じると再表示できないので、その場でシークレット管理に保存してください。リクエストには「Authorization: Bearer キー」のヘッダーを付けます。
/v1/runと/v1/statusを使うPythonの実装
APIは非同期です。POST /v1/runにmodel_nameとinputsを送ると受付IDが返り、GET /v1/status/{id}のstatusがstarting、in_queue、processingを経てcompletedかfailedになります。次のコードはTry-On v1.6で試着画像を1枚作り、出力のURLを表示します。Python 3.9とrequestsで動作します。
import os
import sys
import time
import requests
API = "https://api.fashn.ai/v1"
HEADERS = {"Authorization": f"Bearer {os.environ.get('FASHN_API_KEY', '')}"}
def run_tryon(model_image, garment_image):
r = requests.post(
f"{API}/run",
headers=HEADERS,
json={
"model_name": "tryon-v1.6",
"inputs": {
"model_image": model_image,
"garment_image": garment_image,
"category": "auto",
"mode": "balanced",
},
},
timeout=30,
)
if not r.ok:
# 401 UnauthorizedAccess、429 OutOfCredits などはここで止まる
sys.exit(f"{r.status_code} {r.json().get('error')}")
prediction_id = r.json()["id"]
for _ in range(60): # 3秒待ってから取得を最大60回(待機だけで3分)
time.sleep(3)
r = requests.get(f"{API}/status/{prediction_id}", headers=HEADERS, timeout=30)
if not r.ok:
sys.exit(f"{r.status_code} {r.json().get('error')}")
s = r.json()
if s["status"] == "completed":
return s["output"] # CDNのURL。3日後に削除される
if s["status"] == "failed":
sys.exit(f"{s['error']['name']}: {s['error']['message']}")
sys.exit(f"timeout: {prediction_id}")
if __name__ == "__main__":
print(run_tryon(sys.argv[1], sys.argv[2]))
このコードは、APIキーを設定せずに本番のAPIへ送ると、次のように401で止まります。
$ python3 tryon.py https://example.com/m.jpg https://example.com/g.jpg
401 UnauthorizedAccess
完了時と失敗時の分岐は、同じレスポンス形式を返すローカルのモックサーバーに向けて確かめ、completedではURLのリスト、failedでは「ImageLoadError: Error loading model image」、/v1/statusが429を返した場合は「429 RateLimitExceeded」で止まることを確認しました。/v1/statusのレート制限は10秒あたり50リクエストなので、3秒間隔なら1件のポーリングで上限に届くことはありません。一方で同時処理は6件までのため、商品を一括で処理するバッチは、送信側で同時実行数を6以下に絞っておかないと429(ConcurrencyLimitExceeded)が返ります。
公式SDK(Python・TypeScript)での書き方
ポーリングを自前で書かない場合は公式SDKを使います。Python版はpip install fashn(2026年9月時点で0.9.0、Python 3.9以上、Apache 2.0)、TypeScript版はnpmのfashn(0.15.0)です。Python版はsubscribeが完了まで待ち、消費したクレジット数も返します。
import os
from fashn import Fashn
client = Fashn(
api_key=os.environ.get("FASHN_API_KEY"),
)
result = client.predictions.subscribe(
model_name="tryon-max",
inputs={
"product_image": "https://example.com/garment.jpg",
"model_image": "https://example.com/model.jpg",
},
)
print("Result:", result)
print("Credits used:", result.credits_used)
APIキーは引数を省略しても、環境変数FASHN_API_KEYから読み込まれます。Shopifyのストアに試着を組み込む場合は、React Router v7とTypeScript SDKでShopifyアプリを作る公式のクイックスタートが用意されています。
Webhookで完了通知を受ける場合の注意
ポーリングの代わりに、/v1/runのクエリパラメータにwebhook_urlを付けると、完了時と失敗時にそのURLへ結果が送られます。通知先が2xx以外を返すと、約5分の間に最大5回まで再送されます。
注意したいのは、Webhookの仕様ページに署名ヘッダーの記載がなく、送信元の検証は利用者側で実装するよう勧めているだけという点です。受け取った内容をそのまま信用して商品ページへ反映すると、第三者が偽の完了通知を送れてしまいます。Webhookは「完了したらしい」という合図として扱い、本文のIDが自社で発行・記録した未完了ジョブに一致することを確認し、/v1/statusを引き直します。認証済み応答の状態と出力を確認し、重複通知では二重保存しないようにします。
Try-On v1.6のパラメータ設定とエラーへの対処
Try-On v1.6の主要5パラメータと設定基準
- category:既定のautoで服の種類を自動判定します。明示するならtops(上半身)、bottoms(下半身)、one-pieces(ワンピースやジャンプスーツ)の3種です。
- garment_photo_type:服の画像がモデル着用写真ならmodel、平置きやゴーストマネキンならflat-layです。平置き画像で首元のブランドタグやサイズタグを出力に写したくない場合は、autoではなくflat-layの指定が必要です。
- segmentation_free:既定はtrueで、元の服を切り抜かずに着せ替えます。元の服が結果に残ってしまい、それが用途上許されない場合だけfalseにします。
- mode:performanceで組み合わせを探し、採用するものをqualityで作り直すのが公式の推奨です。
- moderation_level:既定はpermissiveで、水着や下着は通し、露骨な裸は止めます。conservativeは水着・下着・露出の多い服も止めるので、水着や下着を扱うECでは生成が止まる原因になります。
HTTPエラーと生成時エラーの切り分け
エラーは、受付の段階でHTTPステータスとして返るものと、受付後に/v1/statusのerrorとして返るものに分かれます。
| 返り方 | エラー名 | 原因 |
|---|---|---|
| HTTP 400 | BadRequest | リクエスト形式の誤り |
| HTTP 401 | UnauthorizedAccess | APIキーの欠落・誤り |
| HTTP 429 | RateLimitExceeded | レート制限の超過 |
| HTTP 429 | ConcurrencyLimitExceeded | 同時処理数の超過 |
| HTTP 429 | OutOfCredits | クレジット切れ |
| status | ImageLoadError | 入力画像を取得・デコードできない |
| status | ContentModerationError | 入力画像やプロンプトがポリシー違反 |
| status | InputValidationError | パラメータの不正・矛盾 |
| status | UnavailableError | 一時的な過負荷 |
同じ429でも対処は3通りです。RateLimitExceededとConcurrencyLimitExceededは待って再送すれば通りますが、OutOfCreditsは再送しても通らないため、エラー名で分岐させて購入の通知に回します。
もう1つよくある問い合わせが、WebアプリとAPIで結果が違うというものです。公式のトラブルシューティングによると、Webアプリは画像を前処理してからAPIに送っているため、同じ画像をそのままAPIに渡すと結果が変わります。高解像度の画像をbase64で送ってHTTP 500になる原因も、多くはペイロードの大きさです。画像は公開URLで渡し、縮小するときは縦横比を保ってLANCZOSなどの高品質なフィルターを使うよう、前処理のガイドで案内されています。
出力の保存期限・学習利用・肖像の同意の確認点
導入の稟議や法務確認で聞かれるのは、画像がどこに残り、誰のものになるかです。公式のドキュメントと利用規約で確認できる内容は次のとおりです。
- 出力の保存期限:APIが返すCDNのURLは3日後に削除されます。return_base64をtrueにした場合は、完了から60分しか取得できません。生成したら自社のストレージへコピーする処理を必ず入れます。
- 学習への利用:利用規約では、別途合意したサービスへの明示的なオプトインがない限り、利用者のコンテンツをFASHNまたは第三者のAIモデルの学習・微調整・改善に使わないとしています。base64で送った画像の本体は、リクエスト履歴には残らずプレースホルダーに置き換わります。
- 出力の権利:利用規約上、生成された出力は利用者のものになり、プランに応じて商用利用できます。APIのアクセスとクレジットは事業者向けの提供です。
- 入力画像の権利と同意:アップロードする画像について、法令上必要な場合は識別可能な個人の同意を含む権利や許諾を利用者が持っている必要があります。実在の人物について、同意なく欺瞞的・誤解を招く画像を作ることは禁止されています。
実務で問題になりやすいのは最後の点です。自社撮影のモデル写真を使い回してModel Swapや試着に回すなら、撮影時のモデル契約が「AIによる加工・合成」を許しているかを確認してからにします。閲覧者に自分の写真をアップロードさせる試着機能を作る場合は、画像がFASHNに送られること、出力の保存期間を利用規約やプライバシーポリシーに書いておく必要があります。条文はFASHNの利用規約(2026年8月7日更新版)、保存期限は公式ドキュメントのData Retention & Privacyで確認できます。
オープンソース版FASHN VTON v1.5とAPIの使い分け
FASHNは2026年1月に、試着モデルFASHN VTON v1.5の重みと推論コードをGitHubとHugging Faceで公開しました。ライセンスはApache 2.0で、商用利用もできます。以下の導入コマンドにはPython 3.10以上が必要です。セグメンテーションのマスクを作らずに、ピクセル空間で直接生成するのが特徴です。
git clone https://github.com/fashn-AI/fashn-vton-1.5.git
cd fashn-vton-1.5
python -m venv .venv && source .venv/bin/activate
pip install -e .
python scripts/download_weights.py --weights-dir ./weights
重みは合計約2GBで、人物の部位を判定するパーサーの重み約244MBは初回実行時に別途ダウンロードされます。これは保存容量の説明で、推論時のVRAM要件はモデルカード上で約8GBです。インストールにはGPU版のonnxruntime-gpuが含まれ、CPUだけの環境では通常のonnxruntimeへの入れ替えが必要です。重みはbfloat16で保存されており、RTX 30xx・40xx、A100、H100などAmpere以降のGPUではbf16のまま動き、それより古いGPUやCPUではfloat32に変換されます。モデルカードによるとパラメータ数は9.72億、出力解像度は576×864px、NVIDIA H100での推論は1枚約5秒です。対応カテゴリはAPIのv1.6と同じtops、bottoms、one-piecesの3種です。
判断の軸は、生成枚数と自社でGPUを持てるかです。
- APIが向く:月に数千枚までで、4K出力・Product to Model・動画・顔参照といった試着以外の機能も使いたい場合。出力の傾向の改善もFASHN側で進みます。
- OSS版が向く:576×864pxの解像度で足りる試着だけを大量に回し、クレジット課金より自社GPUの固定費のほうが安くなる場合や、入力画像を社外に出せない場合。
OSS版を選ぶと、APIの前処理、モデレーション、3日で消えるCDN配信といった周辺の仕組みは自分で用意することになります。単価だけで比べず、この運用分を含めて見積もってください。
FASHN AIの導入が向く用途と向かない用途
向いているのは、平置きの商品写真はあるがモデル着用カットが足りないアパレルECです。Product to Modelで着用画像を作れば、全商品をモデル撮影に回す必要がなくなります。商品点数が多く、色違いや丈違いのバリエーションごとに着用画像を揃えたい場合ほど、1枚数クレジットの単価が効きます。
一方、次の場面では採用を見送るか、人の確認を必ず挟むべきです。
- サイズ感を保証する用途:試着APIの入力は人物と服の画像、服の種類、品質などの設定で、身長や服の寸法を渡すパラメータはありません。生成されるのは服の見た目を人物に合わせた画像です。「このサイズで合う」と読める見せ方をすると、返品やクレームの原因になります。
- v1.6での小物の試着:Try-On v1.6のカテゴリ指定は上半身・下半身・ワンピースの3種で、小物の試着にはTry-On Maxを検討します。Try-On Maxは人物写真に靴やアクセサリーを適用できますが、公開前に対象商品で再現性を確認してください。
- ロゴや柄の再現が契約上の条件になる商品:生成画像なので、プリントの文字や細かい柄が崩れることがあります。ライセンス商品など図柄の改変が許されない商品は、公開前の目視確認を工程に組み込めない限り避けます。
汎用の画像編集モデルでも服の差し替えはできますが、FASHN AIは服の種類の判定、平置き写真の扱い、モデレーションの段階設定といったアパレル用の設定が最初から揃っている点が違います。汎用モデルの選択肢は、FLUX.2のモデル比較やQwen-Image-Edit-2509の解説で扱っています。
よくある質問
FASHN AIは無料で使えますか?
Webアプリは、新規アカウントに付く10クレジットの範囲で無料で試せます。それ以上は月額19ドルのBasicなどのプランか、1クレジット0.10ドル(100クレジットから)の追加購入が必要です。APIには無料枠の案内がなく、最小7.50ドル(100クレジット)の購入後にAPIキーを発行します。
FASHN AIのAPI料金はいくらですか?
従量課金は1クレジット0.075ドルで、Try-On v1.6の試着は1枚1クレジット、Try-On MaxやProduct to Modelは解像度と生成モードに応じて1枚1〜5クレジットです。月額19ドル・249ドル・1,249ドルのTier I〜IIIを契約すると、追加購入の単価が10〜35%下がります。失敗した生成ではクレジットは消費されません。
FASHN AIで作った画像は商用利用できますか?
利用規約上、生成された出力は利用者に帰属し、契約しているプランに応じて商用利用できます。ただし、入力に使う人物写真の権利や、法令上必要な本人の同意は利用者側で確保する必要があります。実在の人物について同意なく誤解を招く画像を作ることは禁止されています。
APIで生成した画像はいつまで保存されますか?
APIが返すCDNのURLは3日後に削除されます。return_base64をtrueにした場合は、完了から60分しか取得できません。リクエストの記録はダッシュボードに残りますが、画像そのものは期限内に自社のストレージへ保存してください。
FASHN AIのAPIとWebアプリで結果が違うのはなぜですか?
WebアプリはAPIに送る前に画像を前処理しているためです。同じ画像をそのままAPIに渡すと、生成結果が変わることがあります。公式の前処理ガイドに沿って、画像を公開URLで渡し、縮小が必要な場合は縦横比を保って高品質なフィルターで縮小すると、Webアプリの結果に近づきます。