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Vercel料金プラン|Hobby無料枠とPro($20)の中身・超過単価【2026年10月】

Vercel料金プラン|Hobby無料枠とPro($20)の中身・超過単価【2026年10月】

Vercel(バーセル)の料金プランは、無料のHobby、月額20ドルのPro、個別契約のEnterpriseの3つです。ただし「Proは20ドル」で見積もると外れます。20ドルは1人あたりの料金ではなく、20ドル分の使用量クレジットを含むプラットフォーム料金で、超えた分はリージョン別の単価で従量課金されるからです。2026年9月にはFlat Rate CDN(定額制)が一般提供され、新規Proでは既定で有効になり、10月9日には既存ProへのDeployment Storage課金拡大が告知されました。この記事では、2026年10月12日時点のVercel公式ドキュメントとchangelogの数値だけを使い、Hobbyの上限と商用利用の線引き、Proに含まれるもの、東京リージョンの超過単価、請求の試算を順に整理します。

まとめ:Vercel料金で先に押さえる5つの要点

  • Hobbyは無料だが非商用・個人利用に限られる。広告掲載、決済、受託制作、アフィリエイトが主目的のサイトはPro以上が必要です。寄付の募集は商用に当たりません。
  • Proの20ドルは「デプロイできる1シート+20ドル分のクレジット」。追加のOwner・Memberは1人20ドル、閲覧専用のViewerは無料で人数無制限です。
  • ProのCDNは定額制に変わった。新規Proチームは既定でFlat Rate CDNがオンで、CDN Requests 100万と転送1TBが込み。超えるなら月20ドル(1,000万・50TB)の段へ上がります。
  • Node.jsなどの関数の既定リージョンはワシントンD.C.(iad1)。東京(hnd1)の単価はActive CPUが約1.58倍、Fast Origin Transferが4.5倍です。
  • デプロイの保管にも課金が広がる。1GB・1か月あたり0.10ドルで、2026年10月9日に既存Proへの拡大が告知されました。既存Proチームは10月23日から30日を過ぎた古いデプロイが削除されます(保持設定で回避可)。

Vercel自体の仕組みはVercel(ヴァーセル)とは?サーバー不要の仕組み・料金・できることを解説、載せる手順はReactアプリをVercelにデプロイする方法|Next.js・Vite対応の手順とCLI・CI/CDで扱っています。ここでは費用に絞ります。

Hobby・Pro・Enterpriseの料金プラン比較(2026年10月時点)

料金はすべて米ドル建てで、消費税などは請求先住所にもとづいて別途加算されます。数値はHobbyプランの公式ドキュメントとProプランの公式ドキュメント(いずれも2026年9月更新)によります。

項目 Hobby Pro Enterprise
月額 0ドル 20ドル(1シート+20ドル分のクレジット) 個別見積もり
商用利用 不可 可 可
追加シート なし 20ドル/人(Viewerは無料) 契約による
CDN 転送100GB・100万リクエスト Flat Rate CDN(100万・1TB込み) 契約による
プロジェクト数 200 無制限 契約による
1日のデプロイ数 100 6,000 契約による
関数の最大実行時間 300秒 既定300秒・最大800秒 契約による
関数のリージョン数 1 5 全リージョン
ビルドマシン 2 vCPU・8GB 2 vCPU・8GBから最大30 vCPU・60GB 契約による
ランタイムログの保持 1時間 1日 契約による
支出管理(Spend Management) なし 設定可 Flexible Commitment契約で設定可

Proの関数は1,800秒までの延長がベータで提供されています。Enterpriseは公開価格がなく、営業窓口との個別契約です。実務で差が出るのはスペックより、商用利用の可否とシートの数え方の2点です。

2026年8月〜10月の料金改定で変わった点

Vercelの料金は2026年の夏以降に細かく変わっています。2026年8月以前の解説記事を読んでいると、次の変更が抜けています。

公表日 変更 影響するプラン
2026-08-21 Deployment Storageを1GB・月0.10ドルで課金(Hobbyは10GBまで) 新規チーム
2026-09-02 初年度無料ドメインに.appと.devが追加され8種類に Pro
2026-09-03 Basic build machines(2 vCPU)を選択可能に Pro・Enterprise
2026-09-08 Flat Rate CDNが一般提供(新規Proは既定オン) Pro
2026-09-09 本番環境の保護を無料化、パスワード保護は1プロジェクト20ドルに 全プラン・Pro
2026-09-16 Hobbyの古いデプロイを早めに削除 Hobby
2026-09-30 Edge RequestsをCDN Requestsに改称(料金は不変) 全プラン
2026-10-09 既存ProにもDeployment Storage課金、保持30日へ Pro

請求額への影響が大きいのはFlat Rate CDNの一般提供と既存ProチームへのDeployment Storage課金の拡大の2つです。一方、Edge RequestsからCDN Requestsへの改称は名前だけの変更で、単価も計測方法も変わっていません。請求書の行名が変わっただけなので、過去の請求と比べるときは同じ項目として読んでください。

Vercel Hobby(無料プラン)の無料枠と上限を超えたときの挙動

Hobbyに含まれる使用量の内訳

Hobbyの無料枠は項目ごとに決まっています。転送量だけを見ていると、関数側の枠を先に使い切ることがあります。

リソース Hobbyの上限(月間使用量・保管容量)
Fast Data Transfer(CDN→閲覧者) 100GB
Fast Origin Transfer(CDN→関数) 10GB
CDN Requests 100万
Active CPU 4 CPU時間
Provisioned Memory 360 GB時間
関数の呼び出し 100万回
画像変換 5,000回
Web Analyticsイベント 5万件
Speed Insightsイベント 直近30日で1万件
Deployment Storage 10GB

Active CPUはコードが実際にCPUを使った時間だけを数えます。外部APIを呼んで待つだけの処理なら4時間は長く持ちますが、画像処理や集計のようにCPUを回し続ける処理では数日で尽きることもあります。

Hobbyの上限超過時の停止期間と例外

Hobbyには請求サイクルがないため、超過分を払って使い続けることはできません。公式ドキュメントは「多くの場合、30日が経過するまでその機能を再び使えない」としています。例外はWeb Analyticsで、猶予期間のあと収集が止まり、7日後に再開できます。停止期間と影響は超過した機能によって異なります。配信や関数の上限超過はサービス提供に影響しますが、Speed Insightsの収集上限に達してもサイトの配信は継続します。

2026年9月からはデプロイの保管量にも注意が要ります。Hobbyのデプロイ保持に関する変更で、保持期間を過ぎても削除されない対象は、直近の本番デプロイ3件と、種別を問わない直近3件です。現在の本番デプロイやエイリアス付き・アクティブブランチのデプロイなども保護されるため、保持総数がこの件数に限定されるわけではありません。チーム全体で10GBを超えると新しいデプロイがブロックされることがあり、超過時は例外を除く古いデプロイが30日を待たずに削除されます。

Vercel Hobbyが商用利用不可とされる規約の線引き

規約が定める商用利用の定義と例

フェアユースガイドラインの商用利用の項は、Hobbyチームを非商用の個人利用に限定し、商用利用にはProかEnterpriseが必要としています。商用利用の定義は「制作のいずれかの部分に関わった誰か(コードを書いた有給の従業員や業務委託者を含む)の金銭的利益のために使われるデプロイ」です。例として次が挙がっています。

  • 訪問者に支払いを求める、または決済を処理する
  • 製品やサービスの販売を宣伝する
  • サイトの制作・更新・ホスティングの対価を受け取る
  • アフィリエイトリンクがサイトの主目的である
  • Google AdSenseなどの広告を掲載する

同じ項の注記で、寄付の募集は商用利用に当たらないと明記されています。この記事の2026年7月版は寄付も商用扱いと書いていましたが、誤りでした。

サイトの種類ごとの判定

判定の基準は規模でも収益額でもなく、制作に関わった人が金銭的利益を得るかどうかです。

サイトの例 Hobbyで可か 理由
販売・受注の宣伝をしない個人作品集 可 非商用の個人利用
寄付ボタンだけを置いたOSSの解説サイト 可 寄付は商用外と明記
AdSenseを貼った個人ブログ 不可 広告掲載が例示に含まれる
報酬を受けて作った顧客サイト 不可 制作の対価を得ている
社員が業務で作った社内ツール 不可 有給の従業員が制作

月数百アクセスの静的ページでも、受託で作った時点でHobbyの範囲外です。フリーランスの納品先としてHobbyを使う運用は成り立ちません。判断に迷う構成なら、公式もVercelのサポートへの問い合わせを案内しています。無料枠の範囲で商用サイトを置きたいなら、商用利用を禁じていないCloudflare Pagesの使い方|公開手順・独自ドメイン・Web Analytics設定とWorkers移行判断が比較対象になります。月500万リクエストでの請求を同条件で試算した結果はVercelとCloudflare Pagesの違い:Next.jsの動かし方・料金の増え方・商用条件で選ぶで扱っています。

Vercel Proの月額20ドルに含まれるもの

プラットフォーム料金=1シートと20ドル分のクレジット

公式ドキュメントは20ドルを「Pro platform fee」と呼び、内訳を「デプロイできるチームシート1つ」と「月20ドル分の使用量クレジット」としています。払った20ドルがそのまま使用量の支払いに充てられる形です。クレジットは月末に失効し、翌月頭にリセットされます。クレジットの75%に達すると通知が届き、超えると従量課金に切り替わって日次・週次の使用量メールが届きます。

Proの関数まわり(Active CPU、Provisioned Memory、呼び出し回数)には固定の無料枠がありません。公式の料金表でProの欄は「N/A」で、最初の1単位からクレジットを消費します。「Proは関数が月◯時間まで無料」という説明を見かけたら古い情報です。

Flat Rate CDNで込みになる100万リクエスト・1TBと上位の段

CDNの課金は、2026年9月8日に一般提供されたFlat Rate CDNで大きく変わりました。Flat Rate CDNの公式ドキュメントによると、使用量ではなく容量の段ごとに月額が決まります。

段の月額 CDN Requests データ転送
Proに込み(0ドル) 100万 1TB
20ドル 1,000万 50TB
100ドル 5,000万 50TB
300ドル 1億5,000万 50TB

段に含まれるのはCDN Requests、Fast Data Transfer、Blob Data Transfer、Sandbox Data Transfer、CDNリクエスト由来のObservabilityイベントです。Fast Origin Transfer(CDNと関数の間の転送)と関数の実行は含まれません。ここを読み落とすと、定額になったはずなのに請求が残る理由がわかりません。

1日だけの急増では段は上がりません。1請求サイクルの合計が容量を超えたときに、翌サイクルの頭で上の段へ移ります。最上位の段を超えると翌請求サイクルからオンデマンド課金に移ります。利用規約のFlat Rate CDNの条項では、上の段の料金がかかる場合は少なくとも7日前に通知され、翌サイクルまでに段の変更やFlat Rate CDNの無効化をすれば上の段の料金を避けられます。使用量が減っても段は自動では下がらないため、下げるには自分で変更します(翌請求サイクルから反映)。新規Proチームは既定でオン、既存Proチームは請求設定の画面から切り替えます。込みの100万リクエストは1日あたり約3万3,000件です。1ページの表示でもHTML・画像・JavaScript・APIの数だけリクエストが発生するため、PVでは段を判断できません。月間のCDN Requestsと転送量をUsageで確認してください。

対象外の使い方も決まっています。大量のファイル配布やダウンロードサービス、帯域の大半を動画やファイルの配信が占める用途、CDNをストレージ代わりにする使い方は、Flat Rate CDNの対象になりません。該当するとVercelの判断で、品質保証のないFlex CDNへ移されたり、別プランへの移行を求められたりします。

追加シートは20ドル、Viewerは無料

デプロイや設定変更ができるOwner・Memberのシートは1人月20ドルです。ダッシュボードの閲覧、アナリティクスの確認、プレビューへのコメントだけができるViewerシートは無料で人数無制限です。デプロイするのが1人で、ディレクターやデザイナーはレビューだけなら、20ドルのまま運用できます。ただし、シート数は手動でデプロイする担当者だけで判断できません。組織所有の非公開Gitリポジトリと連携する場合は、デプロイ対象コミットの作成者にもProチームのメンバー資格が必要です。

アドオン料金(固定IP・SSO・パスワード保護)

Enterprise専用と思われがちな機能の一部は、Proのアドオンとして買えます。2026年9月9日のデプロイ保護の無料化で、Vercelアカウントによる本番環境の保護は全プラン無料になり、以前の月150ドルの高度なデプロイ保護アドオンは不要になりました。

アドオン 料金
SAMLシングルサインオン 300ドル/月
HIPAA BAA 350ドル/月
Flags Explorer 250ドル/月
固定IP(Static IPs) 100ドル/月・プロジェクト+転送従量
プレビューURLの独自サフィックス 100ドル/月
パスワード保護 20ドル/月・プロジェクト
Web Analytics Plus 10ドル/月
Speed Insights Plus 10ドル/月・プロジェクト
Observability Plus 100万イベントあたり1.20ドル

固定IPは、接続元IPを許可リストに登録する必要がある社内DBや外部APIにつなぐときに使います。月額とは別にPrivate Data Transferがかかり、東京リージョンでは1GBあたり0.207ドルです。

初年度無料ドメインとProトライアル

有料のProチームは、.app、.dev、.online、.site、.space、.store、.tech、.websiteのいずれか1件を初年度無料で取得できます。2年目からは通常価格で自動更新されます。トライアル中のチーム、無料ドメインを取得済みのチーム、プレミアムドメインは対象外です。

Proトライアルは1アカウント1回で、20ドルのクレジット付きです。14日経つか、画像変換月1万回などのトライアル上限を超えた時点で終了します。

超過単価とリージョン:既定のiad1と東京hnd1

関数の既定リージョンはワシントンD.C.(iad1)

関数のリージョン設定の公式ドキュメントによると、新規プロジェクトのNode.jsなどの関数は、既定でワシントンD.C.(iad1)で実行されます。Edge runtimeの関数は例外で、既定ではリクエストに近いリージョンで実行されます。日本向けのサイトでも、設定しなければ関数は米国東海岸で動きます。リージョンはプロジェクト設定かvercel.jsonのregionsで変えます。

{
  "$schema": "https://openapi.vercel.sh/vercel.json",
  "regions": ["hnd1"]
}

指定できるリージョン数はHobbyが1、Proが5、Enterpriseは全リージョンで、上限を超えて指定するとビルド前にデプロイが失敗します。静的ファイルはこの設定と関係なく、126拠点以上あるCDNから配信されます。リージョン指定で決まるのは関数の実行場所です。データベースが東京にあるなら、関数も東京に寄せるのが基本です。iad1のまま国内DBを呼ぶと、1回ごとに太平洋を往復します。

東京・大阪・ソウル・米国の単価比較

Proの超過単価はリージョンごとに違います。主な項目を東京(hnd1)のリージョン別価格と並べます。

リソース 東京 hnd1 大阪 kix1 ソウル icn1 米国 iad1
Fast Data Transfer(1GB) 0.16ドル 0.16ドル 0.35ドル 0.15ドル
CDN Requests(100万) 2.60ドル 2.60ドル 2.60ドル 2.00ドル
Fast Origin Transfer(1GB) 0.27ドル 0.27ドル 0.24ドル 0.06ドル
Active CPU(1時間) 0.202ドル 0.202ドル 0.169ドル 0.128ドル
Provisioned Memory(1GB時間) 0.0167ドル 0.0167ドル 0.0140ドル 0.0106ドル
ISR書き込み(100万) 5.20ドル 5.20ドル 5.20ドル 4.00ドル

関数の呼び出しはリージョンに関係なく100万回あたり0.60ドルです。CDN RequestsとFast Data Transferは、閲覧者からのリクエストが入ったリージョンの単価で計算されます。日本の閲覧者が多いサイトは、関数をどこに置いても東京の単価が中心になります。ソウルは転送が1GB 0.35ドルで、全リージョン中もっとも高い水準です。

差が大きいのはFast Origin Transferです。東京は0.27ドルで、iad1の0.06ドルの4.5倍あります。Flat Rate CDNはこの項目を含まないので、SSRやAPIのレスポンスが大きいサイトでは、定額化のあとに残る請求の主役になります。

Active CPUと確保メモリの課金条件の違い

関数の2つの単価は、課金される条件が違います。Active CPUはコードが動いている間だけ計測され、外部APIやDBの応答を待つI/O待機中は止まります。Provisioned Memoryはリクエスト処理中のI/O待機も計測しますが、最後の処理中リクエストが完了してインスタンスが一時停止すると、次の呼び出しまで課金されません。遅い外部サービスを待つ関数ほどメモリ側が積み上がるので、請求でメモリ代がCPU代を大きく上回っていたら、割り当てメモリを下げるか待ち時間を短くする改修が効きます。

Proの請求試算:Flat Rate CDNと全量従量計算の比較

日本向けのNext.jsサイトを1人で運用するProチームを想定します。関数は東京(hnd1)に置き、1か月の使用量を転送2TB、CDN Requests 500万、Fast Origin Transfer 50GB、Active CPU 20時間、Provisioned Memory 1,000GB時間、関数呼び出し300万回、Deployment Storage 5GBとします。1TBは1,024GBで計算しています。Deployment Storageは請求期間を通じて5GBを保管する前提とし、Functions Storage、ビルド、画像変換、分析機能など、この例に記載していない料金と税は含めません。

項目 Flat Rate CDN(既定) 参考:CDNを東京単価で全量従量
転送2TB・リクエスト500万 20.00ドル(20ドルの段) 340.68ドル
Fast Origin Transfer 50GB 13.50ドル 13.50ドル
Provisioned Memory 1,000GB時間 16.70ドル 16.70ドル
Active CPU 20時間 4.04ドル 4.04ドル
関数呼び出し300万回 1.80ドル 1.80ドル
Deployment Storage 5GB 0.50ドル 0.50ドル
月次クレジット -20.00ドル -20.00ドル
プラットフォーム料金 20.00ドル 20.00ドル
請求合計 56.54ドル 377.22ドル

Flat Rate CDN側は、500万リクエストが込みの100万を超えるため、2か月目から20ドルの段(1,000万・50TB)に乗った状態で計算しています。右の列はCDNの使用量を東京の単価そのままで掛けた参考値で、既存チームがオプトインしなかった場合の実額とは一致しません(込みの枠の扱いは請求画面で確認してください)。

この仮定でCDNを全量従量計算すると、CDNが参考総額の約9割を占めます。一方Flat Rate CDNでは、CDN以外の36.54ドルのうちProvisioned MemoryとFast Origin Transferだけで30ドル以上を占めます。この試算のような構成で請求を下げたいなら、画像の圧縮より先に、共有キャッシュに保存できる公開レスポンスへキャッシュヘッダーを付け、関数の実行とオリジン転送を減らす改善から検討してください。ユーザー固有の応答や即時更新が必要な応答には使えません。キャッシュヘッダーの設計はCDNとは?仕組み・キャッシュ制御からサービスの選び方まで実装目線で解説で扱っています。

Deployment Storage・ビルド・分析機能の追加料金

Deployment Storageと保持期間の変更

デプロイのたびに作られるビルド成果物(Deployment Storage)と関数のバンドル(Functions Storage)は、どちらも1GB・1か月あたり0.10ドルです。Deployment Storageの公式ドキュメントによると、プロジェクトごとに毎日の最大保管量を記録し、請求期間で合計します。1GBを30日保管すると1GB月です。

既存のProチームへの課金開始は2026年10月9日に告知され、開始日はチームごとにメールで通知されます。同時に保持期間が30日へ変わり、10月23日から30日を超えた古いデプロイが削除されます。削除したデプロイにはロールバックできないので、長く戻せる状態を残したいなら、10月23日より前にチーム設定の保持ポリシーで期間を延ばしてください。コーディングエージェントで1日に何十回もデプロイする運用ほど、この項目が増えます。

ビルド・アナリティクスなど従量の細目

ビルドは1 CPU分あたり0.0035ドルです。2026年9月からPro・EnterpriseでもBasic build machines(2 vCPU・8GB、1分あたり0.007ドル)を選べるようになりましたが、新規プロジェクトの既定は負荷に応じてマシンを選ぶElastic build machinesのままです。たとえばBasicで1回の課金対象時間が5分なら、月30回のビルド料金は0.007ドル×5分×30回=1.05ドルです。金額はマシン種別と課金対象時間で変わります。課金対象時間はビルドとポストビルドの所要時間を合算し、分単位に切り上げた値です。

Web AnalyticsはHobbyに月5万イベントが含まれますが、Proは含まれる分がなく1,000イベントあたり0.03ドルです。Speed Insightsにはチーム全体で直近30日間に1万イベントの無料枠があります。ProのSpeed Insights Plusは1プロジェクト月10ドルに加え、無料イベント枠なしで1万イベントあたり0.65ドルがかかります。ISRやRuntime Cacheの書き込みは読み取りの10倍の単価なので、再検証の間隔を短くしすぎた構成では書き込み側が増えます。デプロイのたびに古いページを参照してエラーになる問題を防ぐSkew ProtectionはPro以上の機能で、Version Skew(バージョンスキュー)とは?原因とNext.js・Vercelでの対策を実測で解説で設定と保持期間を説明しています。

高額請求を防ぐ設定:Spend ManagementとVercel CLI

Spend Managementの通知と本番デプロイの一時停止

「Vercelには課金の上限を設定する機能がない」という解説がありますが、ProにはSpend Management(支出管理)があります。支出額を設定すると、その50%・75%・100%でWebとメールの通知が届き、100%でSMSも送れます。新規顧客には1請求サイクル200ドルでの通知が既定で有効になっています。

Spend Managementの設定額(請求設定ではOn-Demand Budgetと表示)は、Proの月次クレジットを超えた従量利用に対する額で、シート料金などを含む請求総額の上限ではありません。本番デプロイの配信を停止するには「Pause Production Deployments」をオンにします。設定額に達するとチーム内の全プロジェクトの本番デプロイが止まり、訪問者には503(DEPLOYMENT_PAUSED)が返ります。ただし、AI GatewayのAPIキー利用やチームに請求されるv0の利用は止まらず、引き続き支出額に計上されます。止まったプロジェクトは支出額を上げても自動では再開せず、1つずつ手動で再開が必要です。判定は常時ではないため数分の遅れがあり、公式も許容できる最大額より低めに設定するよう勧めています。サイトを止めたくない場合は、通知とWebhookだけを使い、Webhookで静的ページへの切り替えなどを起動する設計にします。DDoSやボットで急増したときの守り方はVercelハッキングの手口と対策|情報漏洩・脆弱性・DDoSを実例で整理にまとめています。

vercel usageによるプロジェクト別・リージョン別の使用量確認

使用量はダッシュボードのUsageのほか、CLIのvercel usageでも確認できます。2026年10月12日時点のnpm最新版であるvercel CLI 63.1.2(日本時間2026年10月10日公開)の--helpには、公式のCLIドキュメントにまだ載っていない--group-by(project・region)があります。

# 現在の請求期間の使用量と請求額
vercel usage

# 日別の内訳(急増した日を探す)
vercel usage --since 7d --breakdown daily

# リージョン別に集計(関数がiad1のままになっていないか確認)
vercel usage --group-by region

# プロジェクト別に集計してJSONで出す
vercel usage --group-by project --format json

Owner、Member、Billingなどのロールで実行できます。ProのViewerは対象外ですが、Enterprise Viewerは実行対象に含まれます。日付だけを指定した場合はロサンゼルス時間の0時が起点になるので、日本時間の日付と1日ずれることがあります。

Proへ上げる判断基準と、上げても解決しないケース

規約上の商用利用に当たるならPro以上が必要です。ただし、寄付の募集は商用利用に含まれません。広告、決済、受託制作、アフィリエイトが主目的のサイトは、転送量が月1GBでも規約上Hobbyでは運用できません。ほかに、複数人でデプロイする、関数の実行時間が300秒を超える、関数を2つ以上のリージョンに置く、Skew Protectionを使う、といった条件もProへの移行理由になります。

Proに上げても費用が解決しない場合もあります。ダウンロード配布や動画配信のように転送そのものが主目的のサイトは、Flat Rate CDNの対象外です。大容量ファイルはオブジェクトストレージとCDNに分ける構成も比較対象です。保存量・転送先・リクエスト数をそろえて総額を比較してください。S3とCloudFrontで組む手順はCloudFrontとS3で静的サイトを公開する手順:OAC・独自ドメイン・デプロイまでCLIで構築にあります。関数の実行が請求の大半を占める場合は、リクエスト数とCPU時間で課金するCloudflare Workersとは?対応言語・無料枠・使い方・料金を最新版で総まとめや、AWS上で完結するAWS Amplify Hostingとは?料金・特徴とS3+CloudFront/App Runnerとの違いと比べてください。どこに置き直せば費用が下がるかを自社で判断しきれない場合は、インフラ構築(AWS・Google Cloud・Azure)の支援で現行構成の棚卸しから相談できます。複数のクラウドの費用をまとめて管理する考え方はFinOpsとは?クラウドコスト管理の仕組み・3フェーズと導入判断を解説にあります。

よくある質問

Vercelの無料プランはどこまで使えますか?

月あたり転送100GB、CDN Requests 100万、Active CPU 4時間、確保メモリ360GB時間、関数呼び出し100万回、画像変換5,000回が含まれます。Deployment Storageは月ごとの追加枠ではなく、チーム全体の保管容量上限が10GBです。プロジェクトは200まで、デプロイは1日100回までです。上限に達すると該当機能が止まり、多くの場合30日待つ必要があります。商用利用はできません。

Vercel Proは1人あたり20ドルですか?

20ドルはチームのプラットフォーム料金で、デプロイできる1シートと20ドル分のクレジットを含みます。デプロイや設定変更をするOwner・Memberを追加するときだけ1人20ドルが加わり、閲覧とコメントだけのViewerは無料・無制限です。

Vercelの料金は日本円でいくらですか?

料金は米ドル建てで、日本円の公式価格はありません。円での支払額は決済時の為替レートとカード会社の手数料で変わります。表示価格は税抜きで、消費税などは請求先住所にもとづいて請求書に加算されます。

独自ドメインを使うのに追加料金はかかりますか?

手持ちのドメインをプロジェクトに接続するだけなら、HobbyでもProでも追加料金はかかりません。SSL証明書もLet’s Encryptで自動発行されます。ドメイン数の上限はHobbyが1プロジェクト50、Proは無制限です。Vercelで新しく登録する場合は登録料がかかりますが、有料のProチームは対象8種類から1件を初年度無料で取得できます。

Enterpriseプランの料金はいくらですか?

公開価格はなく、営業窓口との個別契約です。全リージョンへの関数配置やフェイルオーバー先の指定、独自SSL証明書の持ち込みなどが対象になります。SAMLシングルサインオン(月300ドル)やHIPAA BAA(月350ドル)はProのアドオンで買えるため、それだけが目的ならEnterpriseに移らずに済みます。

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