AWS Amplify Hostingとは?料金・特徴とS3+CloudFront/App Runnerとの違い

AWS Amplify Hosting(旧 Amplify Console)は、GitHubなどのリポジトリと接続するだけで、フロントエンドや Next.js などのSSRアプリを自動ビルド・デプロイできるフルマネージドのホスティングサービスです。内部では Amazon S3 と Amazon CloudFront が自動構成され、CI/CD・カスタムドメイン・HTTPS・プレビュー環境までコンソールから完結します。本記事では、仕組みと主な機能、対応フレームワーク、そして検索でよく調べられる料金(従量課金の内訳と無料枠)、メリット・デメリット、S3+CloudFront や App Runner との使い分けまでを一次情報ベースで整理します。

まとめ:Amplify Hostingを選ぶ判断基準

  • 向いているケース:Reactやフレームワークで作ったフロント/SSRアプリを、IaCやCI/CDを自前構築せず最短で公開したいとき。
  • 向かないケース:CloudFront FunctionsやLambda@Edgeでエッジ処理を細かく制御したい、CDNのパラメータを自分で管理したいとき(内部リソースが隠蔽されるため)。
  • 料金の要点:ビルド$0.01/分・転送$0.15/GB・保存$0.023/GB月の従量課金。SSRを使うとリクエストと計算時間が別途加算される。無料枠(ビルド1,000分・転送15GB・保存5GB)を超えた分だけ課金。
  • 選定の軸:手軽さと統合管理を取るなら Amplify Hosting、細かい制御と低コスト最適化を取るなら S3+CloudFront、コンテナ常時稼働のバックエンドは App Runner。

AWS Amplify Hostingの概要と仕組み

Amplify Hosting は AWS Amplify のうち「ホスティング(配信)」を担う機能で、読み方は「アンプリファイ ホスティング」です。GitやAmazon S3にあるアプリを接続すると、コミットをトリガーにビルド→CDNへの配信までを自動化します。開発者からは1つのサービスに見えますが、裏側では静的アセットをS3に格納し、CloudFrontでグローバル配信する構成が自動的に作られます。この内部リソースは基本的に隠蔽され、コンソールから直接は触れません。

バックエンド(認証・API・データベース)まで含めて構築する場合は、TypeScriptで定義する Amplify Gen 2 や Amplify CLI と組み合わせますが、既存のフロント/SSRアプリを「置いて公開するだけ」ならホスティング機能単体でも利用できます。AWS Amplify全体の仕組みとGen 2のバックエンド定義・採用判断はAWS Amplifyとは何かを実装者目線で解説した記事で確認できます。

主な機能(CI/CD・プレビュー・カスタムドメイン・WAF)

Gitと連携した自動ビルド・デプロイ

接続したブランチにpushすると、ビルド設定(amplify.yml)に従って自動でビルドし、成功すれば本番URLへ反映します。ビルドコマンドやフレームワークは自動検出され、環境変数もコンソールから登録できます。

ブランチごとのプレビュー環境

ブランチや Pull Request 単位で独立したURLを払い出せるため、レビュー前に実画面で確認できます。ステージングと本番をブランチで分離する運用が容易です。デプロイ戦略の考え方はBlue/Greenデプロイメントの解説も参考になります。

カスタムドメインとHTTPS

独自ドメインを接続するとSSL/TLS証明書が自動発行・更新され、HTTPS化まで自動で完了します。サブドメインやリダイレクト、カスタムヘッダーの設定もコンソールから行えます。

WAF・Basic認証によるアクセス制御

2025年3月26日に AWS WAF 連携が正式提供(GA)され、Amplifyアプリにウェブ用のファイアウォールを直接アタッチできるようになりました(料金は後述の表のとおり月額$15/アプリ+WAF利用料)。公開前サイトを隠すBasic認証もワンクリックで設定できます。

対応フレームワークとレンダリング方式

実運用で中心になるのは Next.js のホスティングです。SSR/SSG/ISRを含む Next.js のレンダリング方式にネイティブ対応し、Nuxt.js のSSRも扱えます。加えて、React・Vue・Angular・Svelte などのSPA(CSR)も配信できます。ビルド設定はフレームワークを自動検出して生成されるため、多くの場合は接続するだけで動作します。

ここで料金に関わる重要な違いがあります。静的サイト(SSG)やSPAはCDN配信のみで完結しますが、Next.jsのSSRを使うと、リクエストごとにサーバー側レンダリングの計算が走り、後述のSSRリクエスト・計算時間の課金対象になります。SSRとCSRの挙動の差はCSRとSSRの違い(認証の観点)で整理しています。

Amplify Hostingの料金・コスト構造

Amplify Hosting は初期費用なしの従量課金です。以下は AWS 公式料金ページ(2026年7月時点)の単価と無料枠です。単価は変動するため、最新は公式の料金ページで確認してください。

項目 単価 無料枠(月あたり)
ビルド&デプロイ $0.01 / 分(標準インスタンス) 1,000 分
データ保存(CDN) $0.023 / GB・月 5 GB
データ転送(配信) $0.15 / GB 15 GB
SSRリクエスト $0.30 / 100万リクエスト 50万リクエスト
SSR計算時間 $0.20 / GB・時 100 GB・時
WAF(アタッチ時) $15 / 月・アプリ + WAF利用料 なし

ビルドは標準インスタンスの単価で、より大きいインスタンスサイズを選ぶと単価は上がります。上表の「無料枠」は既存(レガシー)アカウント向けの月次無料枠で、2025年7月15日以降に作成した新規アカウントには次に述べるクレジット方式が適用されます。

無料枠の扱いとクレジット制への移行

上記の無料枠に加え、2025年7月15日以降に作成した新規アカウントは、従来の常時無料枠ではなく最大$200のAWS無料利用枠クレジット(アカウント作成から12か月間有効)を消費する方式に変わりました。既存アカウントと新規アカウントで無料分の扱いが異なるため、コスト試算時は自分のアカウント種別を確認する必要があります。

コストを抑えるポイント

ビルドは分単位課金なので、依存関係のキャッシュや不要なブランチの自動ビルド停止で無駄なビルド分を減らせます。転送量が主なコストになりやすいため、静的アセットのキャッシュ設定を効かせることが効果的です。SSRを使わない静的サイトであれば、SSRリクエスト・計算時間の課金は発生しません。

メリットとデメリット(欠点・制限)

メリット

最大の利点は、CloudFrontやS3、証明書、CI/CDパイプラインを個別に構築せずとも、リポジトリを接続するだけで本番配信環境が整うことです。IaCやDNSの深い知識がなくても、プレビュー環境・独自ドメイン・HTTPSまでコンソールで完結し、フロントエンド開発に集中できます。

デメリット・制限

裏側のS3・CloudFrontが隠蔽されるため、CDNの細かいパラメータを直接設定できません。具体的には、CloudFront FunctionsやLambda@Edgeによるエッジ処理が使えず、レスポンスのステータスコードを動的に変える制御もリダイレクト系に限られます。カスタムエラーページの動的な出し分けなど、CDNレイヤーを作り込みたい要件では窮屈に感じます。こうした細かい制御が要件に入るプロジェクトでは、次に述べるS3+CloudFrontを自前で組むほうが向きます。

S3+CloudFront・App Runnerとの違いと使い分け

「Amplify Hosting でいいのか、S3+CloudFront か、App Runner か」は検索でも頻出の論点です。役割が異なるため、扱うアプリの種類で選び分けます。

観点 Amplify Hosting S3 + CloudFront App Runner
主な対象 フロント/SSRアプリ 静的サイト/SPA コンテナ(API・バックエンド)
CI/CD 標準搭載 自前構築 イメージ連携で自動化
CDNの細かい制御 不可(隠蔽) 可(自由) 対象外
常時稼働 不要(配信のみ) 不要 あり(サーバー稼働)
向くケース 速く安全に公開 細かい制御・最適化 常駐するWeb API

整理すると、静的サイトやSSRフロントを手早く公開するなら Amplify Hosting、Lambda@Edgeやエッジ関数でCDNを作り込みたい、あるいはコストと構成を細かく最適化したいなら S3+CloudFront です。常時稼働するサーバー(コンテナ化したWeb APIやバックエンド)は、そもそもホスティング用途ではなく App Runner が担当領域で、AWS ECRに置いたDockerイメージから起動します。フロントは Amplify Hosting、APIは App Runner、というように併用する構成も一般的です。

導入手順(GitHub連携から公開まで)

基本的な流れは次のとおりです。マネジメントコンソールから数分で公開まで到達できます。

  1. AWSマネジメントコンソールで「Amplify」を開き、「新しいアプリをホスト」を選ぶ。
  2. GitHubなどのGitプロバイダを接続し、対象リポジトリとブランチを選択する。
  3. フレームワークが自動検出され、ビルド設定(amplify.yml)が生成される。必要に応じて環境変数を登録する。
  4. 「保存してデプロイ」でビルドが走り、成功すると発行されたURLで公開される。
  5. 独自ドメインを接続すると、証明書発行とHTTPS化まで自動で完了する。

ビルド設定はコミットして管理できます。最小構成の例は次のとおりです。

version: 1
frontend:
  phases:
    preBuild:
      commands:
        - npm ci
    build:
      commands:
        - npm run build
  artifacts:
    baseDirectory: build
    files:
      - '**/*'
  cache:
    paths:
      - node_modules/**/*

認証やユーザー管理を追加する場合は、Amazon Cognitoと組み合わせるのが一般的です。

よくある質問(FAQ)

Amplify Hostingとは何ですか?

Gitリポジトリと接続してフロントエンドやSSRアプリを自動ビルド・配信するフルマネージドのホスティングサービスです。内部でS3とCloudFrontを自動構成し、CI/CDやHTTPS化までを一括で提供します。

Amplifyの料金はいくらですか?

初期費用はなく従量課金です。ビルド$0.01/分、転送$0.15/GB、保存$0.023/GB・月が基本で、無料枠(ビルド1,000分・転送15GB・保存5GB)を超えた分に課金されます。SSRを使う場合はリクエストと計算時間が別途加算されます。

AWS Amplifyの欠点は何ですか?

内部のS3・CloudFrontが隠蔽されるため、CDNの細かい設定ができない点です。CloudFront FunctionsやLambda@Edgeが使えず、ステータスコードの動的制御もリダイレクト系に限られます。

Amplify HostingとS3+CloudFrontはどちらを選ぶべきですか?

手軽さと統合管理を優先し、速く安全に公開したいなら Amplify Hosting です。エッジ処理やCDNパラメータを作り込みたい、コストを細かく最適化したいなら S3+CloudFront を自前で構成するほうが適します。

デプロイしたアプリが真っ白になるのはなぜですか?

多くはビルド出力ディレクトリ(baseDirectory)の指定ミスや、SPAのルーティングでリライト設定が不足しているのが原因です。ビルドログでartifactsの出力先を確認し、全パスをindexに向けるリライトルールを追加すると解消することが多いです。

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