Mattermostとは?Slackとの違い・料金・使い方・導入方法を解説
Mattermost(マターモースト)は、Slackの代替として使われるオープンソースのビジネスチャットツールです。最大の違いは、自社サーバーで動かす「セルフホスト(オンプレミス)」に対応し、チャットのデータを自社で管理できること。UIや操作感はSlackに近く、Slack経験者ならすぐ使いこなせます。本記事は、検索で多い「Slackとの違い」「料金(無償・有償)」「導入方法」「表・メンションなど使い方」に加え、通知が来ないときの対処やバージョンアップデートまで、実務で必要な要点を一通り解説します。
まとめ:Mattermostは「自社で管理できるSlack代替」
Mattermostは、Slackに似た使い勝手を持つオープンソースのチャットツールで、自社サーバーでのセルフホスト運用が最大の特徴です。データを社外に出さずに管理でき、カスタマイズや社内システム連携の自由度が高いため、セキュリティ要件の厳しい企業に向きます。無償のTeam Editionから始められ、SSOや監査ログなど企業向け機能が要るなら有償のProfessional/Enterpriseへ移行します。「手軽さ・運用のおまかせ」を重視するならSlack、「データ主権・カスタマイズ」を重視するならMattermost、という住み分けです。逆に、サーバーを保守する体制がない小規模チームには運用負荷が重く、Slack等のクラウド型が無難です。以下で違い・料金・導入・使い方の順に掘り下げます。
Mattermostとは
まず、Mattermostがどんなツールで、なぜ選ばれるのかを整理します。
Slackに似たオープンソースのチャットツール
Mattermostは、チャンネル単位でチームのやり取りを行うビジネスチャットツールです。開発・保守はMattermost, Inc.が担い、ソースコードが公開されたオープンソースソフトウェア(OSS)として提供されています。SlackやMicrosoft Teamsのようなクラウド専用サービスと違い、自社サーバーにインストールして運用することも、提供元のクラウド版を使うこともできます。基本ライセンスはMITで、無償のTeam Editionはソースコードの改変・再配布も認められています。
セルフホスト(オンプレミス)できるのが最大の特徴
Mattermostの一番の特徴は、自社サーバー上で動かせることです。会話ログやファイルを社外のクラウドに預けずに済むため、医療・金融・公共・防衛など、情報の外部流出を避けたい組織に向いています。アクセス制御やネットワーク構成を自社ポリシーに合わせて設計でき、ソースコードが公開されているため社内システムとの連携や独自カスタマイズも行えます。この「データを自社で保持できる自由度」が、クラウド型のSlackにはない強みです。
Web版・デスクトップ/モバイルアプリで使える
利用形態はブラウザで使うWeb版と、専用アプリの両方があります。デスクトップアプリはWindows・macOS・Linuxに、モバイルアプリはiOS・Androidに対応します。ブラウザ版はインストール不要でサーバーのURLにアクセスしてログインするだけで使え、共用PCや検証環境で手軽です。常用するならデスクトップアプリの方が通知やショートカットが安定します。日本語を含む多言語に対応し、表示言語はユーザーごとに切り替えられます。
MattermostとSlackの違い
「mattermost」を調べる人がもっとも知りたいのが、定番のSlackとの違いです。UIや基本操作は似ていますが、提供形態と料金体系が大きく異なります。
クラウド型のSlack、セルフホストできるMattermost
Slackはクラウド型のSaaSで、サーバーとデータはSlack側が管理します。すぐ使い始められる反面、データの所在やサーバー構成を自社でコントロールすることはできません。一方Mattermostはオープンソースで、自社サーバーでのセルフホスト運用が可能です。データを自社で保持でき、カスタマイズやシステム連携の自由度が高いのが特徴です。「手軽さ・運用のおまかせ」を取るならSlack、「データ管理・カスタマイズの自由度」を取るならMattermost、という選び方になります。Slack・Discord・LINEなど他のチャットツールとの比較はDiscord・Slack・LINEの比較記事もあわせて参考にしてください。
| 項目 | Mattermost | Slack |
|---|---|---|
| 提供形態 | OSS/セルフホスト・クラウド両対応 | クラウド型(SaaS) |
| データ管理 | 自社サーバーで管理可能 | Slack側が管理 |
| カスタマイズ性 | 高い(ソースコード公開) | 提供範囲内 |
| 導入の手軽さ | サーバー構築が必要(セルフホスト時) | すぐ使い始められる |
| 無償版 | Team Edition(機能ほぼ制限なし) | 直近90日分のみ閲覧など制限あり |
| 向くケース | データ管理・セキュリティ重視 | 手軽さ・運用負荷の軽さ重視 |
ログの保持期間に違いがある点も実務では効きます。Slackの無償プランは閲覧できるメッセージ履歴に制限がありますが、Mattermostのセルフホストは自社のデータベースに保存するため、履歴を自社の方針で保持できます。
料金・エディションの違い(無償と有償)
Mattermostには無償のオープンソース版と、機能を強化した有償版があります。無償のTeam EditionはMITライセンスのOSSで、チャンネル・ファイル共有・検索など基本機能はほぼ制限なく使えます(おおむね250ユーザー規模まで・SSOなどは非対応)。有償版は用途に応じてProfessional(SSO、AD/LDAP連携、多要素認証、ゲストアカウント等)、Enterprise(高可用性クラスタ、コンプライアンス出力、高度な検索、SLA付きサポート等)、そして2026年に加わった多ドメイン・分離環境向けのEnterprise Advancedという段階になっています。別に、機能制限付きで無償のEntryも用意されています。有償版は年間サブスクリプション(購入シート数ベース)が基本で、価格は要問い合わせ・改定もあるため、最新の金額とプラン内容は必ず公式サイトで確認してください。セルフホストの場合は、これに自社のサーバー費用が加わる点も見込んでおきましょう。
Mattermostのメリット・デメリットと向き不向き
導入判断で迷いやすい「評判」の実態を、メリット・デメリットと、向くケース・向かないケースに分けて整理します。
メリット:データ主権・カスタマイズ・コスト
最大のメリットは、会話とファイルを自社管理下に置けるデータ主権です。外部SaaSに機密情報を預けられない業種でもチャットを標準化できます。ソースコードが公開されているため、プラグインやWebhookでの拡張、社内認証基盤(LDAP/AD)との統合などカスタマイズの自由度も高く、無償のTeam Editionから始められるのでライセンスコストを抑えやすい点も利点です。ユーザー数が増えても、クラウド課金のように人数単価がそのまま積み上がる構造ではありません。
デメリット・注意点:運用は自己責任になる
裏返しのデメリットは、セルフホストではサーバーの構築・監視・バックアップ・アップデートを自社で担うことです。可用性を高めるにはクラスタ構成や監視の設計が必要で、障害時の一次対応も自社側になります。無償のTeam EditionはSSOや監査ログなどの企業向け機能を含まないため、コンプライアンス要件が厳しい場合は有償版が前提になります。「無償だから安い」ではなく、運用の人件費まで含めた総コストで比較するのが現実的です。
導入に向くケース・向かないケース
向いているのは、情報を社内に閉じたい規制業種や、インフラを自前で運用できる体制がある組織、既存の社内システムと深く連携させたいチームです。逆に、サーバー保守の担当を置けない小規模チームや、とにかく早く使い始めたい場合は、セルフホストの運用負荷が重く向きません——このケースは素直にSlackなどクラウド型か、Mattermostのクラウド版を選ぶ方が失敗しません。「自社で運用する明確な理由(データ主権・コスト・カスタマイズ)」があるかどうかが分かれ目です。
Mattermostの主な機能
Mattermostは、チームのコミュニケーションを支える機能をひと通り備えています。
チャンネルでの情報整理
話題や部署ごとにチャンネルを作って情報を整理できます。誰でも参加できる公開チャンネルと、招待制の非公開チャンネルを使い分けることで、オープンな議論と機密性の高いやり取りの両方に対応できます。プロジェクト単位で会話をまとめられるため情報が散らからず、後から追いやすくなります。
ファイル共有・検索
ドキュメント・画像・PDFなどをチャットにアップロードして共有でき、キーワード・投稿者・日付でメッセージやファイルを検索できます。過去のやり取りをすぐ探せるため、同じ質問や再送信の手間を減らせます。
外部ツール連携(Bot・Webhook)
BotやWebhookを使って外部ツールと連携できます。たとえばGitHubのプルリクエスト通知や、CIツールのビルド結果を特定チャンネルへ自動投稿する、といった使い方が可能です。仕組みの詳細はWebhookとは?仕組みとIncoming Webhookの使い方を参照してください。公式・非公式のプラグインをまとめたMarketplaceもあり、用途に応じて機能を追加できます。
マークダウン対応
メッセージはマークダウン記法に対応しており、見出し・箇条書き・リンク・コードブロックなどで読みやすく整形できます。とくにエンジニアにとっては、コードを整形して共有できる点が便利です。後述する表やメンションと組み合わせると、情報を分かりやすく伝えられます。
予約投稿・スレッド返信
メッセージ入力欄の送信ボタンから日時を指定すれば、予約投稿(スケジュール送信)ができます。時差のあるメンバーや、営業時間外に作った連絡を翌朝に届けたいときに便利です。特定のメッセージにスレッドで返信すれば、複数の話題が混ざらず会話を追いやすくなります。予約投稿の有無や細かい仕様はバージョンによって変わるため、使えない場合はサーバーのバージョンを確認してください。
Mattermostの導入方法
セルフホストで導入する場合の大まかな流れを紹介します。
必要な環境
セルフホスト運用では、Linuxサーバー(UbuntuやRHEL系など)が一般的な前提です。データベースにはPostgreSQLまたはMySQLを使い、前段にNginxなどのリバースプロキシを置く構成がよく用いられます。メール通知を使う場合はSMTPサーバーの設定も必要です。まずはこれらの環境要件を満たしているかを確認します。
DockerやKubernetesでのデプロイ
DockerやKubernetesでの構築にも対応します。公式提供のDockerイメージやHelmチャートを使えば、短時間で環境を立ち上げられ、スケールしやすい構成も組めます。CI/CDと組み合わせれば、アップデートや構成管理の自動化も可能です。
初期設定の流れ
インストール後は、管理者アカウントを作成し、続いてチームを作成します。Mattermostはユーザーをチーム単位で管理するため、部署やプロジェクトごとに分けると整理しやすくなります。その後、チャンネルの追加・メンバー招待・権限設定(管理者/一般メンバーなど)を行って運用を始めます。企業利用では、LDAPやActive Directory(AD)と連携して既存のアカウント管理に統合したり、SSO・多要素認証(MFA)でセキュリティを強化することもできます(これらの多くは有償版の機能です)。
日本語表示への切り替え
Mattermostは初期状態では英語表示の場合がありますが、ユーザーごとに日本語へ切り替えられます。設定(歯車アイコン)を開き、表示(言語)の設定項目で表示言語を日本語に変更して保存すれば完了です(英語UIでは「表示」→「言語」にあたるメニューです)。設定は利用者ごとに反映されるため、各メンバーが自分の使いやすい言語を選べます。検索も日本語のキーワードで行えます。
Mattermostの使い方の要点
日々の操作でよく使う機能のポイントを押さえておきましょう。
メンションで相手に確実に伝える
「@ユーザー名」を入力すると特定の相手に通知が届きます。「@channel」や「@all」を使えばチャンネル参加者全員に通知できますが、多用すると通知過多になるため、全体周知が必要なときに絞って使うのがコツです。自分宛て通知のトリガーとなるキーワード(メンションキーワード)は設定画面で追加でき、名前以外の語でも反応させられます。
マークダウンの表(テーブル)で情報を見やすく整理する
マークダウンの表を使うと、複数の情報を比較・整理して投稿できます。記法は縦棒「|」で列を区切り、ヘッダーの下に区切り行(| --- | --- |)を入れます。たとえば担当者と期限の一覧を表にすると、進捗やタスクの共有がしやすくなります。基本形は次のとおりです。
| 担当者 | タスク | 期限 |
| --- | --- | --- |
| 田中 | 設計書 | 6/30 |
| 佐藤 | 実装 | 7/10 |
区切り行のコロンで寄せ方も指定でき、:---で左寄せ、:---:で中央寄せ、---:で右寄せになります。コードブロック(バッククォート3つで囲む)と組み合わせれば、SQLやログを等幅のまま崩さず貼れます。
スレッド・ピン留め・リアクション
重要なメッセージやファイルはピン留めしておくと、メンバーがすぐ参照できます。絵文字のリアクションを使えば、了承や賛同を手軽に示せて、無駄な返信を減らせます。スレッド返信・ピン留め・リアクションを使い分けると、チャンネルのノイズを抑えながら必要な情報を目立たせられます。
運用でつまずきやすいポイント(通知・アップデート)
導入後に問い合わせが多い「通知が来ない」と「バージョンアップデート」の要点を押さえておきます。
通知が来ないときの確認点
通知が届かないときは、次の順で切り分けます。まずMattermost内の通知設定(アカウント設定→Notifications)で、デスクトップ・モバイル・メールの各通知がオンか、対象チャンネルがミュートやメンションのみ受信になっていないかを確認します。次にOS・ブラウザ側の許可——デスクトップ通知やアプリのプッシュ通知がOS設定でブロックされていないかを見ます。モバイルで来ない場合は、省電力設定によるバックグラウンド制限や、プッシュ通知サービスの設定も要因になります。メール通知が来ない場合はサーバー側のSMTP設定を確認してください。「オンラインで画面を見ている間はデスクトップ通知を出さない」仕様もあるため、離席時に鳴るかで判断すると切り分けやすくなります。
バージョンアップデートとESR(長期サポート版)
セルフホストではアップデートも自社の作業です。数バージョン離れた版から最新へ上げる場合は、一気に飛ばさずリリースノートを確認しながら段階的に行い、事前にデータベースとファイルをバックアップするのが安全です。頻繁な更新を避けたい運用向けには、長期安定運用を想定したESR(Extended Support Release/拡張サポート版)のリリースチャネルが提供されています。更新頻度を抑えつつセキュリティ修正を受け取りたい組織は、ESRチャネルを使います。対応バージョンや手順は変わるため、実施前に必ず公式のアップグレードガイドとリリースノートで最新情報を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. MattermostとSlackの違いは何ですか?
A. Slackはクラウド型で、サーバーとデータをSlack側が管理します。Mattermostはオープンソースで、自社サーバーでのセルフホスト運用ができ、データ管理やカスタマイズの自由度が高い点が違いです。使い勝手やUIは似ています。
Q. Mattermostは無料で使えますか?
A. オープンソースのTeam Editionは無償で利用でき、基本的なチャット機能はほぼ制限なく使えます。SSOや監査ログなどの高度な機能は有償のProfessional/Enterpriseで提供されます。セルフホストの場合は別途サーバー費用がかかります。最新の料金は公式サイトで確認してください。
Q. Mattermostはオンプレミスで使えますか?
A. はい。自社サーバー上でのセルフホスト(オンプレミス)運用がMattermostの大きな特徴です。Linuxサーバーにインストールでき、DockerやKubernetesでのデプロイにも対応しています。
Q. 通知が来ないときはどうすればよいですか?
A. まずMattermost内の通知設定とチャンネルのミュート状態、次にOS・ブラウザ・アプリ側の通知許可を確認します。オンライン中はデスクトップ通知を出さない設定もあるため、離席時に届くかで切り分けると原因を絞り込めます。メール通知が来ない場合はサーバーのSMTP設定も確認してください。
Q. SlackからMattermostへ移行できますか?
A. Mattermostにはデータのインポート機能があり、Slackからの移行も可能です。ただしUIや一部仕様は異なるため、移行時は事前の検証とユーザーへの周知を行うとスムーズです。