「あか」という文字が青いインクで書かれていると、色を答えるのに一瞬つまずきます。これがストループ効果です。ただし、その「一瞬」がどれくらいなのか、逆に文字を読むほうはどうなるのかまで数字で書いた解説は多くありません。原典であるStroop(1935)は両方向を測っていて、答えははっきり非対称でした。ここでは原典の実測値、年齢によって干渉がどう変わるか、日本の臨床で使われている検査の測り方までを一次資料に当たって整理します。ストループ効果が置かれている分野の全体像は認知心理学とは?知覚・記憶・思考のしくみと身近な具体例をわかりやすく解説にまとめています。
まとめ:ストループ効果の要点
- ストループ効果とは、文字の意味と文字の色が矛盾するとき、色を答える反応が遅れる現象です。Stroop(1935)の実験2では、100個の色を答える時間が63.3秒から110.3秒へ、47.0秒(74.3%)増えました。
- 逆方向、つまり色が文字の読みを妨げるほうは2.3秒(5.6%)の増加にとどまり、原典自身が「この増加は有意でない(This increase is not reliable.)」と書いています。効果は一方通行に近いものです。
- 「読字が自動化されているから」という説明は、MacLeod(1991)の総説が約400研究を整理したうえで「不十分(found to be wanting)」と判定した2つの説のうちの1つです。教科書的な決着はついていません。
- 干渉の大きさは年齢でU字を描きます。幼い子どもで最大、青年期で最小、高齢期で再び増大します(Comalli et al., 1962)。
- 日本では新ストループ検査I・IIが使われ、反応時間ではなく一定時間内の正答数から「干渉率」を計算します。
ストループ効果の定義と原典が示した2つの数字
ストループ効果とは、色名を表す単語が、その語が示す色とは別のインク色で印刷されているとき、インクの色を答える反応が遅くなる現象を指します。米国の心理学者ジョン・リドリー・ストループが1935年に Journal of Experimental Psychology 18巻6号643-662頁で報告しました(doi:10.1037/h0054651)。学術文献データベースOpenAlexでの被引用数は2026年9月時点で18,494件あり、実験心理学では突出した水準です。
ストループは2つの向きを別々に測っています。矛盾したインク色で刷られた色名語を読む課題(色が読みを邪魔する向き)と、色名語のインク色を答える課題(語が色命名を邪魔する向き)です。結果は対称ではありませんでした。色名語を読む課題では、黒インクで刷った同じ語を読む場合と比べて100語あたり2.3秒、率にして5.6%しか増えず、原典は続けて「この増加は有意でない」と明記しています。ここでの判定は現在のp値ではなく、当時使われていた確率誤差(probable error)を基準にしたもので、原典は差を確率誤差で割った値を3.64と報告しています。一方、インク色を答える課題では、同じ色を単色の四角で示した統制条件の63.3秒に対して110.3秒かかり、47.0秒(74.3%)の増加でした。中央値でも61.9秒に対して110.4秒です。
つまりストループ効果として一般に知られている現象は、原典の実験2で観測されたものであり、実験1が示したのはむしろ「逆向きの干渉はほとんど起きない」という非対称性でした。この非対称性こそが、後の理論が説明すべき中心的な事実になりました。
Stroop(1935)の3つの実験と被験者構成
原典は3つの実験で構成されています。使われた色は red、blue、green、brown、purple の5色で、どの語も自分が表す色以外の4色で等回数印刷されました。
| 実験 | 課題 | 統制条件 | 被験者 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 実験1 | 矛盾インクの色名語を読む | 黒インクの同じ語 | 70名(男14・女56) | +2.3秒/+5.6%(有意でない) |
| 実験2 | 色名語のインク色を答える | 単色の四角 | 100名(学部88・院生12) | +47.0秒/+74.3% |
| 実験3 | 実験2の課題を8日間練習 | スワスチカ形 | 32名(男17・女15) | 干渉は減るが消えない |
実験2の被験者100名の内訳は、学部生88名(男性29名・女性59名)と大学院生12名(全員女性)です。実験3はアリゾナ大学の学部生32名を対象にしています。謝辞では通算で「約300名の大学生(some three hundred college students)」が被験者を務めたと述べられており、論文中に “this thesis” という語があることから、この研究がストループの学位論文であったことが読み取れます。原稿受理は1934年8月15日でした。
実験3で見落とされがちなのが、統制条件の刺激が実験2の単色の四角からスワスチカ形に変更されている点です。図形の中に白地が入り、文字と同じ条件で色を載せられるという理由でした。MacLeod(1991)も脚注でこの変更に触れています。1934年に書かれた論文であり、この記号が後年に持つことになる意味とは無関係の、印刷上の都合による選択です。
実験3の結論は、訓練の限界を示しています。1日200反応を8日間続けた結果、干渉は減少はするが消えませんでした。しかも同時に、色刺激が語の読みに与える干渉のほうは増加しました。訓練でストループ効果を消せるという想定は、原典の時点で否定されています。
ストループ効果はなぜ起こるのか:「読字の自動化」説の現在地
日本語の解説記事の多くは、ストループ効果を「読字が自動化されているため、意識的に止められないから」と説明します。この説明には注意が必要です。
MacLeod(1991)は Psychological Bulletin 109巻2号163-203頁で、50年以上・約400件の研究を整理した総説を発表しました。この論文は、どんな理論も説明しなければならない18の頑健な経験的知見を抽出したうえで、主要な2つの候補理論を評価しています。抄録の記述はこうです。「2つの主要な候補理論、すなわち処理速度の相対差説と読字の自動性説は、不十分であることが判明した(the 2 major candidate theories—relative speed of processing and automaticity of reading—are found to be wanting)」。
つまり「読みが自動的だから」も「読みが速いから」も、1991年の時点ですでに単独の説明としては退けられています。MacLeodが有望と見たのは、注意の単一のボトルネックを探すのではなく、無関連次元と関連次元が並列に処理されると考える立場でした。
記事やレポートに書くなら、「自動化されているから」と断定せず「自動性による説明が長く用いられてきたが、総説では不十分と評価されている」と両方書くのが実態に合います。なお同じ論文の脚注では、語と色を対立させた最初の研究者はJaensch(1929)だとするJensen & Rohwer(1966)の指摘も紹介されています。ストループの名が定着したのは、彼が最初だったからではなく、測り方が明快だったからです。MacLeodは冒頭で、ストループの1935年論文を「当時よりも現在のほうが影響力を持つ論文」と評しています。
年齢による干渉の変化とU字型のカーブ
「年齢別の平均を知りたい」という関心は、たいてい「自分や家族の結果は年齢相応か」に行き着きます。結論から言うと、干渉の大きさは年齢に対して直線ではなくU字を描きます。
代表的な研究がComalli, Wapner & Werner(1962)で、The Journal of Genetic Psychology 100巻1号47-53頁に掲載された7歳から80歳までのライフスパン研究です。口頭で答える方式で測ったところ、矛盾刺激のインク色を答える反応時間は幼い子どもで最も大きく、青年期にかけて減少し、老年期に再び増大しました。日本でも浜・橋本(1985)が6歳から86歳を対象に口頭反応で調べ、ほぼ同じ結果を得ています。
子ども側の内訳はもう少し細かくわかっています。小学生を対象に発達変化を追った研究では、小学校2、3年生で干渉が最大になり、就学年数が増えるにつれて減少しました(Schadler & Thissen, 1981; Schiller, 1966)。文字学習を始めたことで語から干渉を受けるようになり、その後、不要な言語処理を抑制できるようになるにつれて干渉が収まるという解釈です。文字が読めるようになったこと自体が干渉の前提条件である、と言い換えられます。
高齢側の解釈には注意が要ります。高齢者で干渉が大きくなる理由を抑制機能の低下だけに帰すのは早計で、水晶体の加齢による色覚の低下も効いています。水晶体が濁って色の判別が難しくなると色命名そのものが遅れ、結果として矛盾語からの干渉を受けやすくなります。高齢者に色覚検査を併せて実施した研究では、色覚が低下しているほどストループ課題の反応時間が遅いという相関が報告されています(Anstey et al., 2002; Ben-David & Schneider, 2009, 2010)。
年齢別の実数もあります。松本(2017)は新ストループ検査IIを7歳から86歳まで1,945名に実施し、年齢群ごとの干渉率の平均値と標準偏差を報告しました。数値はいずれも干渉率(%)で、括弧内が標準偏差です。
| 年齢群 | 人数 | 逆ストループ干渉率 | ストループ干渉率 |
|---|---|---|---|
| 7-8歳 | 68 | -2.09(17.09) | 24.12(18.98) |
| 8-9歳 | 79 | -2.25(19.80) | 16.04(14.02) |
| 9-10歳 | 72 | 4.00(13.82) | 10.03(15.30) |
| 10-11歳 | 86 | 8.00(17.42) | 12.17(11.72) |
| 11-12歳 | 69 | 16.70(12.04) | 14.20(11.55) |
| 12-13歳 | 133 | 12.46(12.48) | 9.89(13.05) |
| 13-14歳 | 129 | 14.92(13.80) | 9.92(11.04) |
| 14-15歳 | 140 | 12.70(10.05) | 8.93(10.47) |
| 15-17歳 | 126 | 16.53(8.54) | 6.73(9.39) |
| 18-19歳 | 366 | 12.79(8.37) | 5.86(8.67) |
| 20-29歳 | 249 | 13.58(8.86) | 7.05(11.29) |
| 30-39歳 | 137 | 10.74(8.71) | 5.81(11.79) |
| 40-49歳 | 114 | 9.96(7.21) | 5.91(10.13) |
| 50-59歳 | 77 | 10.79(7.80) | 6.64(11.97) |
| 60-69歳 | 51 | 8.73(10.53) | 12.44(15.37) |
| 70-86歳 | 49 | 11.97(18.14) | 19.28(21.72) |
| 全体 | 1,945 | 10.65(12.34) | 9.05(12.96) |
ストループ干渉率の列がU字そのものです。7-8歳の24.12%から下がり続けて18-19歳の5.86%で最小になり、そこから再び上がって70-86歳では19.28%に戻ります。子どもと高齢者の値は青年期の3倍から4倍です。もう1つ、7-8歳と8-9歳の逆ストループ干渉率はマイナスで干渉が起きておらず、両干渉の大小は11-12歳あたりで入れ替わります。年齢によって「どちらの向きに干渉するか」自体が変わります。
ただし標準偏差に注意してください。どの年齢群でもSDは平均と同程度かそれ以上で、1回の測定値が平均から離れていること自体には意味がありません。干渉率が年齢平均より大きいという結果だけを取り出して認知機能の低下と結びつけるべきではありませんし、視覚条件を揃えずに測った値は注意の指標としても色覚の指標としても解釈できてしまいます。年齢別の基準値を参照する場合は、その研究が口頭反応か手による反応か、色覚を統制しているかまで確認してください。
ストループテストのやり方と新ストループ検査
紙とペンで試すときの手順
原理を体験するだけなら道具は要りません。手順は次のとおりです。
- 色名を表す語を複数色のインクで印刷した表を作ります。原典と同じにするなら赤・青・緑・茶・紫の5色で、どの語もその語が示す色以外で刷ります。
- 比較用の統制条件を必ず用意します。色命名側なら単色の四角を並べた表、語読み側なら同じ語を黒インクで刷った表です。
- 統制条件と干渉条件の両方で、決めた数(原典は100個)を読み終えるまでの時間を測ります。
- 2つの時間の差が干渉の大きさです。
統制条件を省いて干渉条件だけを測っても意味がありません。ストループ効果は差分としてしか定義されておらず、単独の所要時間には読字速度や発話速度の個人差がそのまま乗るためです。
ブラウザやスマートフォンのアプリでも同種の課題は体験できますが、刺激の色数・提示時間・反応方法が実装ごとに違うため、出た数値を研究や臨床の基準値と比べることはできません。遊びとして試すのか、比較可能な値がほしいのかを先に決めてください。
新ストループ検査I・IIの干渉率
日本の研究や臨床では、箱田裕司・渡辺めぐみによる新ストループ検査I・II(トーヨーフィジカル)が使われています。対象は小学生から高齢者までで、検査Iは1課題40秒・各60試行、検査IIは1課題1分間・各100試行です。検査IIで実施時間を延ばしたのは、40秒では課題成績のわずかな変動が指標を大きく揺らすためでした。
この検査の特徴は、指標が反応時間ではなく一定時間内の正答数である点と、口頭ではなく選択肢を選ぶマッチング方式である点です。刺激はひらがなの色名語(あか・あお・きいろ・みどり・くろ)で、4つの課題から成ります。
| 課題 | 位置づけ | 内容 |
|---|---|---|
| 課題1 | 逆ストループ統制 | 黒インクの語が表す色を選ぶ |
| 課題2 | 逆ストループ干渉 | 不一致刺激の語が表す色を選ぶ |
| 課題3 | ストループ統制 | 色パッチに合う色名語を選ぶ |
| 課題4 | ストループ干渉 | 不一致刺激のインク色に合う語を選ぶ |
干渉の大きさは「干渉率」として次のように計算します。ストループ干渉率は(課題3の正答数 − 課題4の正答数)÷ 課題3の正答数 × 100、逆ストループ干渉率は(課題1の正答数 − 課題2の正答数)÷ 課題1の正答数 × 100です。差をそのまま使わず統制課題の正答数で割るのは、作業量の水準が高い人と低い人で同じ差の重みが違うためです(箱田・佐々木, 1990)。
自分の値を年齢別の目安と照らしたい場合は、前章に挙げた干渉率の表を参照してください。なお同じ検査を大学生272名(平均年齢19.14歳、SD=0.96)に実施した松本(2017)の実験1では、正答数が課題1=68.82、課題2=57.46、課題3=51.18、課題4=46.36という水準でした。ここで目を引くのは、青年期以降は逆ストループ干渉率のほうが大きいことです。口頭反応を前提にした常識とは逆の結果であり、その理由は次章に関わります。
逆ストループ効果と口頭反応の限界
逆ストループ効果は「色の情報が文字の読みを妨げる現象」と説明されることが多く、「通常より弱いが同じように起こる」と書かれがちです。この書き方は不正確です。
すでに見たとおり、ストループ自身が実験1でこの向きを測っており、矛盾刺激の色名語を読む時間は黒インクの語を読む時間とほとんど変わらず、増加は有意ではありませんでした。口頭で答えるかぎり、逆ストループ干渉は健常成人では基本的に生起しません。干渉が報告されているのは統合失調症患者(Abramczyk, Jordan & Hegel, 1983)や、言語学習が未熟な幼児(Corbitt, 1978)といった特殊な対象に限られます。
状況が変わるのは反応方法を変えたときです。答えを声に出すのではなく、キーを押す(Flowers, 1975; Pritchatt, 1968)、カードを仕分ける(Virzi & Egeth, 1985)といった手による反応を使うと、逆ストループ干渉が生起することが報告されています。新ストループ検査が選択肢にチェックを入れるマッチング方式を採用しているのはこのためで、だからこそ課題1と課題2という逆ストループ側の課題が成立します。松本(2017)で逆ストループ干渉率がストループ干渉率を上回ったのも、口頭ではなくマッチング反応で測っているからです。
実務上の含意ははっきりしています。「逆ストループ効果がある/ない」という議論は、反応方法を明示しないかぎり成立しません。文献を引くときは、その研究が口頭反応かマニュアル反応かを必ず確認してください。
日常の例とマーケティング活用論の射程
日常で近いものを挙げるなら、案内表示の文字色と意味がずれている場面、たとえば「停止」の文字が緑で書かれた表示や、赤い文字で「進む」と書かれたボタンです。文字を読むのと色を見るのが別の答えを指すため、判断が一拍遅れます。ただしこれらは色名語そのものではないため、Stroop(1935)が測った課題とは別物である点は断っておきます。原典が測ったのはあくまで「あか」「あお」といった色名語とインク色の対立です。認知心理学の概念『カクテルパーティー効果』とは?騒音の中で特定の音声に集中する仕組みと定義および活用事例で扱われる選択的注意と同じく、必要な情報だけを取り出すことの難しさを示す現象です。
一方で、「色と言葉をあえてずらすと注意を引き、記憶に残る」というマーケティング上の主張には根拠が足りません。ストループ課題の標準的な指標は反応の遅れと誤りの増加であって、想起率や好意度ではないからです。MacLeod(1991)が抽出した18の頑健な知見も、干渉がどんな条件で生じるかについてのものです。記憶を測った研究が皆無というわけではなく、色と語の対応をどれだけ偶発的に覚えているかを調べたBradlyn & Rollins(1980)のような研究はMacLeodの総説にも引かれています。ただしそれらは課題内の付随的な記憶についての知見であり、広告の想起や好意度が上がることを支持する結果は示されていません。
この点については立場を明確にします。UIやサイン計画において、色と意味の不一致は使うべき手法ではなく、避けるべき欠陥です。ストループ効果が確かに示しているのは、不一致が操作の遅れと誤答を増やすという一点だからです。削除ボタンが緑、実行ボタンが赤といった配色は、色名語ではないにせよ色と意味が食い違う点で同じ条件を作り、反応の遅れと誤答が増える側に働きます。ストループ効果の知見を設計に活かすなら、「目を引くために不一致を作る」ではなく「重要な操作ほど色と意味を一致させる」という方向が、実験結果と整合します。
採用試験や適性検査への転用も同様に慎重さが要ります。新ストループ検査は小学生から高齢者までを対象とする心理検査であり、選抜場面での予測的妥当性はそれ自体を検証しなければ主張できません。認知課題の成績が業務成果を予測するかどうかは別の研究課題です。
レポート・実験設計で結果を動かす5つの交絡
大学の実習でストループ課題を扱う場合、結果を左右する要因がいくつかあります。落としやすい順に挙げます。
- 統制条件を必ず取る。干渉は差分でしか定義されません。干渉条件の所要時間だけを報告した実習レポートは、何も測っていないのと同じです。
- 課題の実施順序が結果を動かす。松本(2017)が新ストループ検査IIの4課題を24通りすべての順序で実施したところ、干渉率に対する実施順序の主効果が有意でした(F(23,248)=2.18, p<.005, 偏イータ2乗=.17)。24通りを「統制課題が先か、干渉課題が先か」の2水準に整理し直した分析でも、逆ストループ干渉率(F(1,268)=16.04, p<.001, 偏イータ2乗=.06)とストループ干渉率(F(1,268)=25.41, p<.001, 偏イータ2乗=.09)の両方で主効果が有意で、いずれも干渉課題を先に行ったほうが干渉率が高くなりました。順序は固定し、論文にも明記してください。
- 反応方法を先に決める。前章のとおり、口頭かマニュアルかで逆ストループ干渉の有無そのものが変わります。
- 練習効果を見込む。原典の実験3では8日間の練習で干渉が減りました。同一被験者に繰り返し実施する設計では、練習が交絡します。
- 参加者の色覚と視力を確認する。松本(2017)の実験参加者も、矯正を含む正常な視力と色覚を持つ者に限定されています。
原典を直接読みたい場合、Stroop(1935)はヨーク大学が公開している心理学古典アーカイブ(Classics in the History of Psychology)で全文が読めます。また1992年には Journal of Experimental Psychology: General 121巻1号15-23頁に、著者名 J. Ridley Stroop のまま復刻されています。孫引きに頼らず原典で数字を確認するところから始めるのが確実です。
よくある質問
ストループテストで何がわかりますか?
矛盾する情報が同時に与えられたとき、必要な情報だけを選んで反応する働きがどれだけ保たれているかがわかります。干渉が大きいほど、無関連な情報の抑制に負荷がかかっている状態と解釈されます。ただし高齢者では色覚の低下が干渉を大きくすることが知られているため(Anstey et al., 2002)、値だけで注意機能を判断することはできません。
ストループ効果は年齢でどう変わりますか?平均はありますか?
年齢に対してU字を描き、幼い子どもで最大、青年期で最小、老年期で再び増大します(Comalli et al., 1962の7歳から80歳の研究、日本では浜・橋本1985の6歳から86歳の研究)。子どもでは小学校2、3年生がピークです。実数では、新ストループ検査IIを1,945名に実施した松本(2017)のストループ干渉率が、7-8歳の24.12%から18-19歳の5.86%まで下がり、70-86歳では19.28%へ戻っています。ただし標準偏差が平均と同程度に大きく、個人の1回の測定値を年齢平均と比べて判断することはできません。検査法と反応方法が違う数値どうしも比較できません。
逆ストループ効果とは何ですか?
色の情報が文字の読みを妨げる向きの干渉を指します。ただし口頭で答える場合はほとんど生じず、Stroop(1935)自身の実験1でも増加は2.3秒(5.6%)で「有意でない」とされました。キー押しやカード仕分けなど手を使う反応方法では生起することが報告されています。
ストループ効果の論文はどこで読めますか?
原典はStroop, J. R. (1935). Studies of interference in serial verbal reactions. Journal of Experimental Psychology, 18(6), 643-662(doi:10.1037/h0054651)です。ヨーク大学のClassics in the History of Psychologyで全文が公開されています。研究史を通覧するならMacLeod, C. M. (1991). Psychological Bulletin, 109(2), 163-203が標準的な総説です。
ストループ課題は自分で作れますか?
作れます。色名語を別の色で刷った表と、単色の四角を並べた統制用の表を用意し、それぞれ同じ個数を答え終える時間を測って差を取ります。研究や臨床の用途で標準化された値が必要な場合は、新ストループ検査I・II(箱田裕司・渡辺めぐみ/トーヨーフィジカル)のような市販の検査を使ってください。