Google Marketing Liveは、Googleが年に1回開く広告・コマース製品の発表イベントです。直近3回は5月に開かれ、2026年は5月20日に米国でオンライン配信されました。その後、日本向けの「Google Marketing Live Japan 2026」が東京で開かれています。困るのは、発表された機能の多くが日本ではまだ使えないことです。本記事では2026年の発表内容を、日本で始まったもの・日本では未定のもの・期限がある変更に分けて整理します(情報は2026年11月1日時点)。
まとめ:2026年のGoogle Marketing Liveで日本の広告主が押さえる点
- 米国の発表は日本では「未定」:Google Japanの公式ブログが、2026年の発表は米国向けで日本での導入時期は未定と明記しています。
- 日本版で始まったのはYouTube関連:Google Marketing Live Japan 2026では、YouTube クリエイターパートナーシップの日本での開始と、日本独自の「界隈ジェネレーター」が示されました。AIモードの広告など新しい広告フォーマットは、日本版でも「提供時期は未定」です。
- 期限が残っているのはDSAだけ:自動作成アセットとキャンペーン単位の部分一致は2026年9月にAI Maxへの自動アップグレードが始まりました。動的検索広告(DSA)は2027年2月からです。
- 日本語で試せる新機能は限られる:Ask Advisorは英語アカウントのベータ、Asset Studioでプロンプトからテキスト・画像・動画を作る機能も英語のみ(既存の画像生成は日本語のプロンプトに対応)。日本語で動き始めたのはAI Briefのクローズドベータ(2026年9月)です。
Google Marketing Liveの開催形式:米国の本発表と日本版
米国の本発表:オンライン配信と直近の開催日
本発表はオンラインで配信されます。直近の開催日は2024年5月21日、2025年5月21日、2026年5月20日で、2018年は7月10日でした。開催月は固定ではないため、日程は毎年の公式告知で確認してください。基調講演はGoogle広告・コマース担当バイスプレジデントのVidhya Srinivasan氏が務め、発表項目はGoogle公式ブログの発表集にまとまっています。前日の5月19日には開発者向けのGoogle I/Oがあり、Universal CartのようにI/Oで出た機能の広告主向けの使い方がGoogle Marketing Liveで示される関係です。
日本語で読める確度の高い記述は、Google Japan公式ブログの2026年5月21日の記事の冒頭にあります。「本発表は米国向けのものであり、日本国内における導入時期および展開詳細につきましては、現時点では未定となっております」。米国の発表を根拠に日本の運用計画を組む段階にはありません。
日本版「Google Marketing Live Japan」は東京開催
日本向けには「Google Marketing Live Japan」が東京で開かれます。2026年の内容は、Googleが2026年8月付の公式イベントレポートとして公開しています。米国版が新機能の発表の場であるのに対し、日本版は日本の生活者データと、日本で使える製品の運用方法に重心があります。米国版の内容を日本で使えるかどうかは、日本版のレポートで日本向けに言い直された部分を見ると判断しやすくなります。
2026年の発表内容と、2026年11月時点の提供条件
主な発表と、公式ヘルプ・公式ブログに書かれた提供条件を並べます。
| 発表 | 中身 | 提供条件 | 日本 |
|---|---|---|---|
| AIモード内の新しい広告 | 会話型ディスカバリー広告など | テスト中 | 未定 |
| (参考)AIモード内の既存広告 | 検索・ショッピング広告の掲載 | 英語・米国を含む11か国 | 配信対象外 |
| AI搭載ショッピング広告 | 商品ごとの解説をGeminiが生成 | 2026年5月時点で数か月以内と予告 | 未定 |
| Business Agent for Leads | 広告内でチャットしてリード獲得 | 発表のみ | 未定 |
| Ask Advisor | 広告・GA・Merchant Center横断のエージェント | 英語アカウントのベータ | 日本語不可 |
| Asset Studio | ブランド指針に沿った素材生成 | 英語で世界展開 | プロンプトは英語 |
| UCPの拡大 | 対象業種の追加と商品データ属性 | 決済は米国から加豪英へ | 未掲載 |
| Analytics 360とMeridian | MMMによる予算配分 | 一部顧客のアルファ | 未掲載 |
AIモードとAI Overviewsの広告
Googleは検索広告の発表で、AIモードの質問に合わせてGeminiが広告クリエイティブを組み立てる「Conversational Discovery ads」と、AIモードのおすすめ一覧に広告が入る「Highlighted Answers」をテスト中としました。どちらも「Sponsored」の表示は残ります。2026年1月に試験を始めたダイレクトオファー(割引やクーポンを提示する広告)は、提示できる特典の種類を増やす拡張です。
日本が対象外だと言える根拠は、Google広告ヘルプの提供地域の一覧です。AI Overviewsの上下に出る広告はAI Overviewsのある国すべてで出ますが、AI OverviewsとAIモードの中に入る広告は米国・オーストラリア・カナダ・インドなど英語圏中心の12か国(AIモードはインドネシアを除き米国を含む11か国)、言語は英語だけで、日本は挙がっていません。ヘルプ自体が「一覧は網羅的でない場合がある」と断っているため、日本でのテストが絶対に無いとまでは言えません。この一覧は配信先の国と言語の条件なので、日本の企業でも英語圏の対象国へ英語で配信すれば出せますが、日本国内の日本語の検索に向けて出せる面ではありません。上の表の会話型ディスカバリー広告などの新形式は、これとは別にテスト段階です。
Ask AdvisorとAsset Studioの言語条件
Ask Advisorは、Google広告・Googleアナリティクス・Merchant Center・Google マーケティング プラットフォームを横断するGemini搭載のエージェントです。公式ブログの記述は「Currently available in beta for English language accounts」で、英語アカウント向けのベータにとどまります。GA4側もアナリティクスヘルプで英語を選択言語にしたプロパティに限られます。Google広告側はGoogle広告ヘルプのとおりMCCアカウントでは使えません。GA4を日本語設定で運用している限り、画面に出てこないのは正常な挙動です。
Asset Studioの新機能は「rolling out globally in English this summer」と英語での世界展開です。ただし既存の画像生成機能は日本語のプロンプトに対応しているため、Asset Studioのすべてが使えないわけではありません。英語限定なのは、プロンプト(指示文)を入力してテキスト・画像・動画のアセットを作る機能です。日本語で使えるGoogle広告・GA4のAI機能を業務別に整理した一覧はGeminiのマーケティング活用|業務別プロンプト例とGoogle広告・GA4・Gemの使い分け【2026年10月】にまとめています。
UCPとUniversal Cartの役割と提供地域
UCP(Universal Commerce Protocol)は、2026年1月11日にNRF(全米小売業協会)のカンファレンスでShopifyとの共同開発として発表された購買の共通仕様です。2026年の発表は、UCPの対象業種の拡大と、AIの会話の中で商品を見つけてもらうための新しいデータ属性の追加でした。読み違えやすいのが展開先で、UCPを使った決済はカナダとオーストラリア、その後に英国へ広がる予定です。5月19日のGoogle I/Oで発表されたUniversal Cartは米国の検索とGeminiアプリで始まった機能で、国の拡大は示されていません。カートの仕組みと提供状況はUniversal Cartとは?Googleの買い物カートの機能と米国での提供状況・販売店の対応【2026年10月】、仕様そのものはUCPとは?Universal Commerce Protocolの仕組みと試し方、ACP・AP2との違い【v2026-08-25対応】で扱っています。
Analytics 360とMeridianの計測統合
Googleはオープンソースのマーケティングミックスモデル(MMM)であるMeridianをAnalytics 360へ組み込むと予告しました。2026年11月時点のアナリティクスヘルプでは、Meridianを使う予算配分モデルは「alpha」で、一部のAnalytics 360顧客に限られています。Analytics 360を契約していない企業がMMMに取り組むなら、オープンソースのMeridian本体(PyPIのgoogle-meridian。2026年11月1日時点の最新は2026年9月公開の2.1.0)を自社や分析の支援会社が動かす形になります。媒体ごとのコンバージョン数でなく増分で効果を見る考え方はインクリメンタリティとは?広告の増分効果を測る手法とCPA評価の限界・運用判断を解説で解説しています。
Google Marketing Live Japan 2026で示されたこと:日本で始まったものと未定のもの
日本版のレポートは、米国版の発表を日本向けに言い直しただけではありません。日本で既に始まった施策と、日本では提供時期が決まっていない施策がはっきり分かれています。
日本で開始したYouTube関連施策とAI Maxの普及
- YouTube クリエイターパートナーシップ:ブランドとクリエイターを結ぶ公式の仕組みを日本で開始し、事務所13社と連携。
- 界隈ジェネレーター:視聴データとコメントを分析して方向性を示す、日本独自のソリューション。
- クリエイター パートナーシップ ブースト:クリエイターの動画を広告として配信し、通常のコラボ投稿で届かない層へ広げる。
- 検索キャンペーン向けAI最大化設定(AI Max):レポートは「日本でも急速に普及が進んでいます」と書いています。
日本の数字も出ています。日本の18歳以上の68%(7,370万人)がYouTubeを利用し(Nielsen DCR・2024年5月)、日本でのメタ分析では、YouTubeへの投資でGoogleのパフォーマンスキャンペーンのROIが2.7倍以上に向上したとしています(Analytic Edge、2021年10月〜2025年9月)。いずれもGoogleが出典を付けて示した数値で、自社の判断に使うときは調査条件まで確認してください。
日本で提供時期が未定の新広告フォーマットと、今できる準備
レポートは、AIモードとダイレクトオファー、AI搭載ショッピング広告、リード獲得のためのエージェント機能の3つを挙げたうえで、「いずれも日本国内での提供時期は未定です」と書いています。米国版の目玉だった広告フォーマットは、日本版の場でも予定が示されていないということです。
代わりに日本版が強く打ち出したのが「Google 広告 AI Excellence」という運用の5要素です。コンバージョンデータの充実度、目標設定、ターゲティング、コンテンツ拡充、需要連動型予算の5つで、たとえばデータの欠損対策としてGoogle タグ ゲートウェイの導入、予算では上限を厳しくしすぎないことを求めています。新フォーマットが来るのを待つより、AI Maxを動かす前提条件(計測と目標と予算)を整えるのが、日本の広告主が今すぐ手を付けられる範囲です。計測と運用体制まで含めた設計を外部に相談するなら、issohのWebマーケティング戦略の支援でも対応しています。
過去の発表のその後:日本語対応・一般提供・提供地域の推移
発表と提供開始は別物です。過去の発表がその後どうなったかを並べます。日本語対応・世界での一般提供・提供地域と、それぞれ見ている段階が違う点に注意してください。
| 機能 | 発表 | その後 |
|---|---|---|
| AI Overviews内の広告 | 2024年5月(米国でテスト予告) | 2026年11月も英語圏12か国 |
| AI Max(検索) | 2025年5月6日(ベータ) | 2026年4月15日に一般提供 |
| AI Brief | 2026年4月30日(英語で予告) | 2026年9月23日に日本語クローズドベータ |
| Ask Advisor | 2026年5月20日 | 英語アカウントのベータのまま |
AI Briefは英語の予告から日本語のクローズドベータまで約5か月、AI Maxは発表から世界での一般提供まで約11か月でした。この2つは測っている段階が違うので、単純に速い遅いは比べられません。AI Overviews内の広告は、2024年5月のテスト予告から2年半たった2026年11月時点でも、ヘルプの提供地域に日本が入っていません。判断の分かれ目は、その機能のヘルプに日本・日本語が載っているかどうかです。載っていない機能は当期の運用計画に入れず、日本で提供済みの機能と、DSAのように期限が決まった変更から手を付けてください。広告運用の担当者が自動化の進んだ今何を受け持つかは広告運用とは?仕事内容と自動入札時代の役割・内製と外注の判断基準で整理しています。
AI Maxの自動アップグレード:9月分は開始済み、残る期限はDSAの2027年2月
2026年の発表のうち、日本の広告主にも日付つきで影響するのがAI Maxへの自動アップグレードです。AI Max for Search campaignsは2026年4月15日にベータを終了しました。Googleは、AI Maxを有効にした広告主は同程度のCPA/ROASで平均14%多いコンバージョンまたはコンバージョン値を得ており、検索語句マッチングだけの場合と比べて全機能を併用するとさらに平均7%多いとしています(いずれも小売以外の広告主)。
- 2026年9月(開始済み):テキストのカスタマイズ(旧称:自動作成アセット)とキャンペーン単位の部分一致の設定を使うキャンペーンが、AI Maxへ自動でアップグレードされました。
- 2027年2月:動的検索広告(DSA)を使うキャンペーンの自動アップグレード。当初は2026年9月の予定でしたが、2026年6月11日の更新で延期されました。
DSAを運用しているアカウントは、自動移行を待たずにGoogle広告ヘルプの手順で自ら移行日を決めるべきです。手動でアップグレードすると、動的広告グループは標準の広告グループへ、DSAはレスポンシブ検索広告へ変換され、新しい広告が審査を通るまでは元のDSAが配信を続けます。手動で移行する利点は、切り替える日を自分で決めて繁忙期や他の変更と重ならないようにできることです。前後の比較だけで季節要因を完全に取り除けるわけではないので、移行前の直近4週間のコンバージョン数、コンバージョン単価、検索語句レポートの上位クエリを控え、前年同期の動きとも並べて見てください。
よくある質問
Google Marketing LiveとGoogle I/Oは何が違いますか?
Google I/Oは開発者向けにAndroidやAI基盤を扱うイベント、Google Marketing Liveは広告主・マーケター向けに広告とコマース製品を扱うイベントです。2026年は5月19日にGoogle I/O、20日にGoogle Marketing Liveと続けて開催されました。
Google Marketing Live Japanとは何ですか?
米国の本発表のあとに東京で開かれる日本向けのイベントです。2026年の内容は、Googleが2026年8月付の公式イベントレポートとして公開しています。米国版が新機能の発表中心なのに対し、日本版は日本の生活者データと、日本で使える製品の運用方法が中心です。
2026年に発表された機能はいつから日本で使えますか?
Google Japanの公式ブログは、2026年の発表について日本での導入時期は未定としています。日本版のレポートでも、AIモードの広告など3つの新フォーマットは「いずれも日本国内での提供時期は未定」です。日本語で動き始めたのは、AI Maxに自社の前提を文章で伝えるAI Briefのクローズドベータ(2026年9月23日)などに限られます。
AI Maxへの移行は避けられますか?
動的検索広告を使い続ける選択肢は、2027年2月の自動アップグレードで無くなります。テキストのカスタマイズとキャンペーン単位の部分一致の設定を使うキャンペーンは2026年9月から移行が始まっています。ただし移行後のAI Maxを使い続けることまで強制されるわけではありません。Google広告ヘルプには、キャンペーンの設定でAI Maxの機能をすべて無効にする手順と、検索語句とのマッチングなど機能ごとに設定を変える手順が載っています。
Google Marketing Live 2027はいつ開催されますか?
2026年11月1日時点で、2027年の開催日は公式に告知されていません。直近3回は2024年5月21日、2025年5月21日、2026年5月20日と、いずれも5月20日前後の開催です。