受託開発・システム発注

システム開発のトレンド2026|国内企業の導入率で見るAI駆動開発・ローコード・内製化

システム開発のトレンド2026|国内企業の導入率で見るAI駆動開発・ローコード・内製化

2026年のシステム開発トレンドは、生成AIによるコード生成とAIエージェント、ローコード・ノーコード、アジャイル開発、マイクロサービス・API連携、そして内製と外部委託の使い分けです。ただ、「注目の技術10選」のような列挙では、どれがどこまで普及しているのかが分かりません。本記事では、国内957社が回答したJUAS「企業IT動向調査報告書2026」と、IPA「DX動向2026」の数字で各トレンドの普及度を並べ、自社がどの順で取り入れるべきかを判断できるようにします。

まとめ:2026年のシステム開発トレンドと押さえる数字

  • 生成AI・AI駆動開発:AIの導入・試験利用・利用検討企業を対象とした設問では、47.0%が用途としてプログラムコードやシステム開発支援を挙げています(IPA)。コード系生成AIの導入・試験導入は32.6%で前年度から11.9ポイント増えました(JUAS)。
  • ローコード・ノーコード:導入・試験導入は47.8%で、調査した22項目中3位。一方でJUASはコード系生成AIの登場で導入に「一服感」が出ていると分析しています。
  • アジャイル・マイクロサービス:導入・試験導入はそれぞれ34.6%と32.8%。どちらも半数近くの企業が「未検討」です。
  • 内製と外部委託:完全内製化を目指す企業は4.5%にとどまり、70.2%が使い分けを方針にしています。上流は内製、設計・実装・テストは外部委託が実態です。
  • 優先順位:QCD(品質・予算・工期)の悪化に影響した環境変化として「ITトレンドの転換の高速化」を挙げた企業は8.0〜10.7%で、「システム影響範囲の拡大」(43.8〜48.9%)や「要件定義の難易度上昇」(40.4〜46.6%)より大幅に少数です。影響範囲の把握や要件定義に課題がある企業は、新技術の追加より先にそこへ手当てすることを勧めます。

システム開発トレンドの一覧と国内企業の導入率

JUASの調査(2025年9月5日〜10月24日実施・東証上場企業などが対象)は、22項目の新規テクノロジーやフレームワークについて導入状況を聞いています。システム開発に関係する項目を抜き出すと次のとおりです。「導入・試験」は「導入済み」と「試験導入中・導入準備中」の合計です。

トレンド 導入済み 導入・試験 未検討
ノーコード・ローコード 34.0% 47.8% 28.6%
アジャイル開発 21.8% 34.6% 47.8%
マイクロサービス・API連携 21.8% 32.8% 49.7%
コード系生成AI 15.3% 32.6% 43.7%
ゼロトラストセキュリティ 18.5% 32.1% 36.3%
AIエージェント 7.1% 21.0% 45.7%
エンタープライズアーキテクチャー 7.0% 12.9% 69.0%

出典:JUAS「企業IT動向調査報告書2026」図表8-1-1(n=952)。

この表から読み取れるのは、話題の量と普及の量が一致しないことです。AIエージェントの導入済み割合は7.1%で、話題性と企業への導入状況は分けて判断する必要があります。反対に、ローコードは導入済みが3分の1を超え、すでに「新しい技術」ではなく定着した選択肢になっています。トレンドを判断するときは、自社と同規模・同業種でどの段階にあるかを、この種の調査で確かめるのが出発点です。

生成AI・AI駆動開発の普及状況と適用範囲

国内企業の開発業務でのAI利用

IPA「DX動向2026」(調査期間2026年4月中旬〜6月中旬)では、AIを「導入している」企業が42.3%、試験利用を含めると58.0%でした。生成AIを導入している企業は前回調査の22.6%から44.0%へほぼ倍増しています。AIの導入・試験利用・利用検討企業に用途を尋ねた設問では、「プログラムコードやシステム開発支援」が47.0%(n=1,191)で、業種別では情報通信業が76.3%と突出しています。IPAは、情報通信業の導入率が約7割に達した理由として、コード生成やシステム開発支援での利用が進んだことを挙げています(IPA「DX動向2026」)。

JUASの調査でも、コード系生成AI(GitHub Copilotのようなコード系のAIエージェントを含む)の導入・試験導入は32.6%で、前年度から11.9ポイント伸びました。社内のエンジニアが使い始めた段階から、発注先のベンダーが開発工程に組み込む段階へ移りつつあります。

海外の開発者の利用状況と信頼度

Stack Overflowの開発者調査2025では、開発プロセスでAIツールを使っている・使う予定の回答者が84%(前年は76%)で、職業開発者の51%が毎日使っていました。一方、AIツールの出力の正確さを「信頼しない」は46%で、「信頼する」の33%を上回っています。Googleの研究チームDORAの2025年レポートも、AIの主な役割を「組織がすでに持つ強みと弱みを増幅するもの(amplifier)」と位置づけました。Gartnerは、企業のソフトウェアエンジニアのAIコードアシスタント利用が2024年初めの14%未満から2028年までに90%になると予測しています(2025年7月1日発表)。利用の広がりと、出力の正確さへの信頼は別です。この調査は、生成物を確認せず採用する人の割合を示したものではありません。AIで差がつくのは、テストやレビューといった既存の開発基盤の厚みだということです。

AI駆動開発の進め方とレビュー可能な成果物

AIに開発を任せる範囲は、行単位の補完から、複数ファイルの変更・テスト・修正までを連続して進めるエージェント型へ広がりました。自然言語で指示して生成コードを細かく読まずに動かすバイブコーディングは試作には向きますが、業務システムの本番コードにはそのまま使えません。業務で使う場合は、AIに計画・実装・検証を反復させるエージェンティックコーディングや、先に仕様書を書いてAIの出力をそれに縛る仕様駆動開発のように、人がレビューできる成果物を残す進め方を勧めます。GitHub Spec Kitは、仕様を計画・実装につなげるための具体的なツール例です。

AI駆動開発で効果が出にくい場面

IPAの同調査では、AIの導入効果が「期待と同等かそれ以上」の企業の64.5%が開発支援に使っている一方、「効果が出ていない」企業でも29.9%が開発支援に使っていました。開発に入れれば必ず成果が出るわけではありません。生成コードの検証の負担が大きくなりやすいのは、次のような場面です。

  • 要件が固まっておらず、生成されたコードの正否を判定する基準がない
  • 規制対応や監査で、変更理由と根拠の記録が厳密に求められる
  • 仕様書の残っていない大規模レガシーの改修で、AIに渡せる文脈が不足している

こうした領域では、生成時間だけでなく、レビュー・監査記録・回帰テストを含む総工数で導入効果を判断してください。テストコードの作成、定型的な画面・API、ドキュメント整備のように正否を確かめやすい工程から入れ、レビュー体制を先に決めておくのが安全です。

ローコード・ノーコード:普及率3位と「一服感」

ノーコード・ローコードは、JUASの22項目中でRPA(66.8%)、言語系生成AI(53.4%)に次ぐ3位(47.8%)です。業種グループ別では社会インフラの「導入済み」が59.1%と前年度から24.3ポイント上がりました。ただし社会インフラ以外の業種は数ポイントの増加にとどまり、JUASは「コード系生成AIなど新たなツールも登場しており、『ノーコード・ローコード』の導入に一服感が出てきているとも考えられる」と分析しています。

海外の予測はもっと強気です。Gartnerは2021年11月に「2025年までに組織が開発する新規アプリケーションの70%がローコードまたはノーコード技術を使う」と予測し、2022年12月には「2026年までにローコード開発ツールの利用者の少なくとも80%を正式なIT部門の外の開発者が占める」と予測しました(Gartner発表)。主語は「新規アプリ」や「ツールの利用者」で、企業の導入率ではありません。国内企業の導入率とは対象地域も集計単位も異なるため、これらの数字から予測の達成状況や従来開発の置き換え具合は判断できません。

「業務用の高速開発」と呼ばれるのも主にこの領域です。定型のワークフロー、社内向け管理画面、部門単位の入力アプリは短期間で立ち上がりますが、複雑な業務ロジックや高い可用性が要る基幹領域では、ライセンス費用とプラットフォームの制約が重くなります。向き不向きはローコード開発のデメリット7つで、ノーコードとの違いはノーコードとは?ローコードとの違いで整理しています。業務部門主導で小さく始める場合は、ノーコード・ローコードアプリ開発のような支援を使い、権限設計とデータ連携の方針を最初に決めておくと、野良アプリ化を防げます。

アーキテクチャと運用:マイクロサービスとプラットフォームエンジニアリング

マイクロサービス・API連携の現在地

マイクロサービス・API連携の導入・試験導入は32.8%で、49.7%が未検討です。分割すれば良いという段階は過ぎ、運用負荷に見合う規模かどうかの見極めが先に来ます。チームが1〜2つでデプロイ頻度も高くないなら、モジュール境界をはっきりさせたモノリス(モジュラモノリス)から始め、独立して拡張したい部分だけを切り出すほうが失敗が少なくなります。判断の基準はマイクロサービスとモノリスの違いで比較しています。

システム運用のトレンド:プラットフォームエンジニアリングとDevSecOps

開発チームごとにビルド・デプロイ基盤を整える非効率を避け、社内向けの共通基盤(内部開発者プラットフォーム)を専任チームが提供する考え方がプラットフォームエンジニアリングです。Gartnerは2024年5月16日の発表で、2026年までに大規模ソフトウェアエンジニアリング組織の80%がプラットフォームエンジニアリングチームを設立すると予測しました(2022年は45%)。対象は「大規模な」組織で、開発者が数十人規模の企業にそのまま当てはまる数字ではありません。成熟度の測り方と導入手順はプラットフォームエンジニアリングとはで解説しています。

運用側のもう一つの流れが、開発・セキュリティ・運用の各担当が協働し、開発から運用まで継続してセキュリティを組み込むDevSecOpsです。依存ライブラリの脆弱性検査やIaCの設定チェックをCIパイプラインに組み込み、リリース前に自動で止めます。ゼロトラストセキュリティの導入・試験導入もJUASで32.1%に達しています。生成AIで実装の速度が上がるほど、レビューと検査を自動化しておかないと欠陥の流入も速くなるため、AI駆動開発とセットで整える領域です。

開発手法と体制:アジャイルの普及度と内製・外部委託の使い分け

アジャイル開発の導入率

アジャイル開発の導入・試験導入は34.6%で、47.8%が未検討です。アジャイルは2026年の新しいトレンドではなく、導入済みの企業(21.8%)と未検討の企業に二極化した手法と見るほうが実態に近いでしょう。要件が固定的で、仕様・納期・品質を契約で厳密に定める公共系や大規模基幹の刷新では、ウォーターフォールが今も合理的です。各手法の向き不向きと契約形態の選び方はウォーターフォールとアジャイル・スクラムの違いで、スクラムの役割とイベントはスクラム開発とはで解説しています。

内製化の実態:上流は内製、つくるのは外部委託

「内製化が進んでいる」と言われますが、JUASの調査では方針として「完全内製化」を掲げる企業は4.5%で、「内製・外部委託の混成」が44.0%と最多でした。「内製を増やす」「外部委託を増やす」を加えた使い分けの方針は70.2%を占め、「完全外部委託」は18.7%です(n=953)。

工程別に見ると、内製が主の工程は「システム企画(システム化構想策定)」で70.9%、「機能要件定義」で46.1%でした。一方、「設計・実装・テスト」は63.4%が外部委託が主です。2026年の内製化は、企画と要件定義を自社で握り、実装はベンダーの力を借りる形が標準といえます。背景には人材不足があり、IPAの調査でもDXを推進する人材が「大幅に不足している」企業は50.1%に上ります(2023年度62.1%、2024年度58.5%からはやや改善)。内製化の判断基準は内製化とは?メリット・デメリットと外注との判断基準で整理しています。

QCD悪化に影響した環境変化と導入の優先順位

JUASは、システム開発の品質・予算・工期が予定どおりにならなかった企業に、影響した「トレンド(環境変化)」を聞いています。結果は次のとおりです。

影響した環境変化 品質 予算 工期
システム影響範囲の拡大 47.4% 43.8% 48.9%
要件定義の難易度上昇 44.4% 40.4% 46.6%
IT人材の新規確保の困難化 37.0% 36.8% 44.3%
パートナーの変化 46.7% 33.1% 26.4%
要件定義の時間不足 33.3% 29.4% 36.8%
IT技術の難易度向上 28.1% 24.3% 22.4%
ITトレンドの転換の高速化 10.4% 10.7% 8.0%

出典:JUAS「企業IT動向調査報告書2026」図表7-1-11(複数回答。品質n=135・予算n=272・工期n=174)。

「ITトレンドの転換の高速化」を挙げた企業は1割前後で、全項目の中でも下位です。回答企業がQCD悪化に影響した環境変化として多く挙げたのは、システム影響範囲の拡大と要件定義の難易度上昇です。「パートナーの変化」は品質で46.7%と高く、前年度から13.7ポイント増えました。JUASは自由記述でベンダーの価格高騰に関する声が複数あったことも報告しています。規模の影響も大きく、500人月以上のプロジェクトでは品質に不満が29.6%・予算超過が42.2%・工期遅延が47.8%で、10人月未満ではいずれの割合も10.0%を下回ります。

この結果を踏まえ、本記事では、影響範囲の把握や要件定義に課題がある企業には、新技術の追加より先に依存関係の可視化と要件定義の体制整備を勧めます。影響範囲の把握や仕様書の不足が課題なら、AIを調査や文書整備に使う案も検討対象です。適用効果は、調査結果の正確さと人による確認工数を含めて評価します。プロジェクトの進め方とQCDの管理はシステム開発のプロジェクト管理で詳しく扱っています。

トレンドを取り入れる順番:自社の状況別の判断基準

すべてのトレンドを同時に追う必要はありません。自社の状況から逆算して、最初の一手と見送るものを決めます。

自社の状況 最初に着手 当面見送る
開発を外注に頼り、要件定義も任せている 企画・要件定義の内製 マイクロサービス化
部門の小さな業務アプリが多い ローコード+権限設計 スクラッチでの個別開発
社内エンジニアが数名いる コード系生成AI+CIでの自動検査 専任のプラットフォームチーム
大規模基幹の刷新を控えている 影響範囲の可視化と要件定義の期間確保 AIエージェントへの実装の全面委任
複数チームが別々に基盤を運用している プラットフォームエンジニアリング チームごとのツール選定

見送る判断も同じくらい重要です。内製の人員が薄い段階でマイクロサービスやプラットフォームエンジニアリングに着手すると、運用する人がいないまま基盤だけが増えます。限られた人員は、自社の失敗要因に直接効く一手に集中させてください。

よくある質問

2026年のシステム開発で最も注目すべきトレンドは何ですか?

普及の伸びで見ると生成AIです。JUASの調査でコード系生成AIの導入・試験導入は前年度から11.9ポイント伸びて32.6%になり、IPAの調査でも、AIの導入・試験利用・利用検討企業の47.0%が用途として開発支援を挙げています。ただし導入済みの割合ではローコード(34.0%)やアジャイル開発(21.8%)のほうが高く、注目度と普及度は分けて見る必要があります。

今後伸びる開発技術やスキルは何ですか?

AIの生成物をレビューし、仕様やテストで縛る力の価値が上がっています。学習対象としては、コード系生成AIの出力検証、CIでの自動検査、クラウド基盤の設計・運用が候補です。GitHub Spec Kitのように、仕様から実装までをつなぐツールも確認すると、必要な作業を具体化できます。言語別の人気の推移はプログラミング言語の人気推移とランキングで確認できます。

ローコード開発は従来のプログラミングを置き換えますか?

全面的には置き換えません。定型業務や社内向けアプリはローコードが有利ですが、複雑なロジックや高い可用性が必要な基幹領域はプロコード開発が現実的です。JUASは、コード系生成AIの登場でローコード導入に一服感が出ているとも分析しており、両者は用途で使い分ける関係です。

2021年頃のシステム開発トレンドと何が違いますか?

最大の違いは生成AIです。2021年頃の解説はクラウド移行、アジャイル、ローコード、DXが中心で、ChatGPTの公開(2022年11月)より前でした。2026年はコード生成とAIエージェントが加わり、ローコードは定着期に入りました。一方で、要件定義の難しさや人材不足といった課題は形を変えずに残っています。

海外の開発環境のトレンドと日本企業の違いは何ですか?

Stack Overflowの調査は日本を含む開発者個人、IPAとJUASの調査は国内企業が対象です。以下の数値は、集計対象が異なるため単純比較できません。Stack Overflowの2025年調査では職業開発者の51%がAIツールを毎日使い、GitHubのOctoverse 2025ではTypeScriptが2025年8月にGitHub上のコントリビューター数で初めて1位になりました。国内企業ではAIの導入・試験利用が58.0%(IPA)まで広がった一方、コード系生成AIの導入済みは15.3%(JUAS)です。実装を外部委託する企業は、発注先のAI利用工程、生成コードのレビュー責任、入力データの扱いを契約前に確認してください。

関連記事

お気に入りに入れた記事の一覧

一創の公式 SNS

X では毎朝の新着記事と IT ニュースの速報を、YouTube・TikTok・Instagram・LinkedIn・Facebook では記事の解説動画を配信しています。

この記事は以下の記事からリンクされています

資料請求

今日のトレンド記事 直近 24 時間で、いつもより多く読まれている記事

  1. 2026.10.29 テックブログ ソニー生命の情報漏洩38.5万件|ログインできない理由、再開状況と窓口の電話番号
  2. 2026.10.31 テックブログ 松屋の不正アクセス:237万件の対象確認と窓口、漏れたパスワードの守り方
  3. 2026.11.02 テックブログ サントリーの不正アクセスで約10万人分漏えい|M365のファイル大量ダウンロードを監査ログで調べる手順
  4. 2026.03.17 コラム 所得金額調整控除とは?年収850万円超で最大15万円、対象者と計算式・申告書の書き方【令和8年分】
  5. 2026.11.01 コラム インボイスの経過措置とは?70%控除の期間と計算方法・帳簿の書き方・1億円制限【2026年10月改正対応】

RELATED POSTS 関連記事

目次