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Salesforce Marketing Cloudとは?3系統の製品構成と料金・Agentforce Marketing改称後の選び方

Salesforce Marketing Cloudとは?3系統の製品構成と料金・Agentforce Marketing改称後の選び方

Salesforce Marketing Cloudは、Salesforceが提供するマーケティング製品群の総称で、2026年10月時点の公式サイトでは「Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud)」と表記されています。名前は一つでも、中身はBtoCの大量配信を担うEngagement、BtoBのリード育成を担うAccount Engagement(旧Pardot)、Salesforceの基盤上に作り直されたMarketing Cloud Nextの3系統に分かれ、データの持ち方も料金の単位も異なる構成です。この記事では、改称後の現行構成、3系統の違いをデータ構造から見た判断、組織単位・年間契約の公式料金、そして導入で費用と工数が膨らむ失敗の型と、採用を見送る条件までを順に整理します。

まとめ:Marketing Cloudを選ぶ前に決めておく製品系統と費用の桁

先に結論です。「Marketing Cloudを入れる」という言い方では、何を契約するのかが決まりません。最初に決めるのは、顧客が消費者か企業か、そしてデータをSalesforce本体の中に置くか外に置くか、の2点です。消費者向けに数十万件単位の配信をするならEngagement、営業が追う見込み客を育てて商談に渡すならAccount Engagement。新規にSalesforce本体と一体で始めるなら、Marketing Cloud NextのGrowthまたはAdvancedが候補に入ります。

費用の桁も先に置きます。公式価格ページの月額は、Account Engagement+が150,000円、Marketing Cloud Next Growthが180,000円、Engagementの最小構成であるPro+が240,000円で、いずれも1組織あたり・年間契約です。ユーザー単価で数千円から始まるMAツールとは課金の単位が違い、年額では180万〜288万円が出発点になります。ここにPremier Success Plan(ライセンス料の30%)と導入パートナーの費用が乗ります。

採用を見送ってよい条件もはっきりしています。配信対象が数千件に届かない、あるいはSalesforce本体(旧Sales Cloud)を使っていない会社です。この場合、組織単位の固定費と連携の設計費が効果を上回ります。

Agentforce Marketingへの改称と買収由来の製品構成

Marketing Cloudが分かりにくい理由は、買収した製品と作り直した製品が一つの名前の下に並んでいる点にあります。来歴と現在の名前を押さえると、比較記事や提案書の読み違いが減ります。

ExactTarget買収から始まった別基盤のマーケティング製品という出自

公式のAccount Engagement製品ページのFAQには、「Exact Targetは2013年にSalesforceによって買収された」「PardotはExact Targetの一部でした」と書かれています。メール配信の大手だったExactTargetが今のEngagementの源流で、ExactTargetが傘下に持っていたBtoB向けMAのPardotが、今のAccount Engagementにあたる製品です。旧社名で検索されることも多いため、来歴の詳細はエグザクトターゲットとは?概要とマーケティングオートメーションの関係に残しています。

この出自が、現在まで残る構造上の特徴を生んでいます。EngagementはSalesforce本体とは別のプラットフォームで動き、本体の顧客データは連携の仕組みを通じて取り込む形です。後の章で扱う連絡先の数え方や同期の設計は、すべてここから来ています。

公式表記がAgentforce Marketingに変わった後も残る旧称の読み替え方

2026年10月4日時点で、公式のマーケティング製品ページの見出しは「Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud)」です。同じページには、Marketing Cloud Next、Data 360 for Marketing、Engagement、Account Engagement、Personalization、Intelligence、Loyalty Managementが並びます。一方で価格ページのタイトルは「Marketing Cloudソフトウェアの価格」のままで、個別製品名も「Marketing Cloud Engagement」「Marketing Cloud Account Engagement」が使われています。

Agentforce Marketingは製品群の総称が変わったもので、EngagementやAccount Engagementという個別製品が消えたわけではありません。ただし公式FAQの一部には「Marketing Cloud Engagement(旧Pardot)」という表記揺れもあるため、見積書では製品名とエディション名の両方で契約対象を特定してください。

Engagement・Account Engagement・Nextの対象別比較

公式の製品ページと価格ページの記載をもとに、3系統を対象・データの置き場所・来歴で比較します。表ではMarketing Cloud EngagementをEngagement、Marketing Cloud Account EngagementをAccount Engagement、Marketing Cloud Next(Growth/Advanced)をNext(Growth/Advanced)と略記しています。

系統 主な対象 データの置き場所 旧称・来歴
Engagement BtoC・大量配信 独自基盤(データエクステンション) ExactTarget
Account Engagement BtoB・リード育成 本体のリード・取引先責任者と連動 Pardot
Next(Growth/Advanced) 本体と一体の新規導入 Salesforce本体の基盤上 新製品

表の「本体」はSalesforce本体のことで、3列目の置き場所がこの先の判断をほぼ決めます。データがどこにあるかで、連携の工数も、連絡先の数え方も、移行の要否も変わるからです。

EngagementとAccount Engagementのデータ構造・連携方式比較

2製品の違いはBtoCかBtoBかとよく説明されます。間違いではありませんが、導入の可否を決めるのはむしろデータの構造です。

BtoCの大量配信を担うEngagementとデータエクステンションという独自テーブル

公式のEngagement製品ページは、この製品を「メール、SMS、プッシュ通知、クロスチャネルジャーニーのオーケストレーションに対応したエンタープライズ向けプラットフォーム」と説明しています。配信の流れを組むジャーニービルダー、素材を管理するコンテンツビルダー、定期処理を回すAutomation Studioが中核の道具です。

データの持ち方に特徴があります。Trailheadのデータエクステンションについてでは、データエクステンションを「連絡先に関するデータのフィールドからなるテーブル」と定義し、配信先に使う送信可能なものと、注文や商品テーブルのような参照用の送信不可なものを区別しています。会員・購買・商品のテーブルを自社で設計して関連づける作りなので、ECや会員サービスのように顧客数が多く、購買履歴で配信を分けたい事業に合う仕組みです。裏返すと、テーブル設計を誰が担うかを決めずに契約すると、配信より前の段階で止まります。

BtoBのリード育成を担うAccount Engagementが営業データと直結する構造

Account Engagementは、Salesforce本体のリード・取引先責任者・商談と連動する前提で作られています。公式製品ページでも、営業担当者に取引先レベルと連絡先レベルのエンゲージメントの全体像を渡すことが主眼として書かれています。メールの開封やフォーム送信でスコアを上げ、閾値を超えた見込み客を営業に渡す、という流れが標準の使い方です。

選び分けの目安は件数と商談の有無です。年間に数百〜数千件の見込み客を営業が個別に追うならAccount Engagement、数万件以上の顧客に購買履歴で出し分けるならEngagementを選ぶと、どちらの機能も余らせにくくなります。BtoBとBtoCでシナリオ設計や課金体系がどう違うかという製品横断の一般論は、MAツールのBtoBとBtoCの違いで整理しています。

Marketing Cloud Nextの再構築基盤と既存2製品の関係

3つ目の系統が、Salesforce基盤上に再構築されたMarketing Cloud Nextです。公式のEngagement価格ページのFAQは、「GrowthとAdvancedは、Salesforceのプラットフォーム上に直接構築された次世代マーケティングソリューションであるMarketing Cloud Nextのエディション」と説明し、Engagementとは同じものではないと明記しています。Marketing Cloud Nextの製品ページでは、Flowでカスタマージャーニーを組み、AIエージェントのAgentforceがセグメント作成やパーソナライズを担う姿が示されています。

既存ユーザーへの影響は限定的です。Account Engagementの公式FAQは「すべてのAccount Engagementユーザーは、移行を行うことなく、Account Engagement +を通じてAgentforce Marketingの機能を利用できます」と書いています。Engagement側も、Pro+はGrowth、Corporate+とEnterprise+はAdvancedへのアクセスを含む形です。つまり今は「乗り換え」ではなく「既存製品に新基盤の機能を足す」段階で、稼働中の環境を急いで作り直す理由はありません。

2026年10月時点の公式価格で見るMarketing Cloudの料金体系と費用の桁

Marketing Cloudの見積もりで最初に戸惑うのは、価格がユーザー数ではなく組織単位で決まる点です。

組織単位・年間契約を前提にした主要エディション別の月額料金比較

Agentforce Marketingの価格ページと、Marketing Cloud Engagementの価格ページの表示を並べます。いずれも2026年10月4日時点の、1組織あたりの月額(年間契約)です。表中のAE Growth+はAccount Engagement Growth+、Next GrowthはMarketing Cloud Next Growth、Next AdvancedはMarketing Cloud Next Advancedを指します。

製品・エディション 月額 含まれる主な枠
AE Growth+ 150,000円 リード10,000件
Next Growth 180,000円 マルチチャネルジャーニー
Engagement Pro+ 240,000円 メール250万通・連絡先15,000件
Next Advanced 390,000円 Growthの上位
Engagement Corporate+ 660,000円 メール1,000万通・連絡先45,000件
Engagement Enterprise+ 3,600,000円 メール1億5,000万通・連絡先50万件

小規模向けには、マーケティング・営業・サービスをまとめたSalesforce Starterが1ユーザーあたり月額3,000円から用意されています。ただし公式表示には「最低価格」「取引手数料がかかります」と注記があり、上の各エディションとは別の入口です。

連絡先数とメール通数の上限から逆算する契約エディションの選び方

Engagementのエディションは、価格より先に連絡先の枠で決まります。Pro+の連絡先は15,000件、Corporate+は45,000件、Enterprise+は50万件。会員が3万件いる事業がPro+を選ぶと、初月から枠を超えます。

見積もり前に数えるべきは、配信したい件数ではなく、Marketing Cloudに取り込む人の総数です。休眠会員や配信停止者も、取り込めば枠を消費します。直近1年の購買者や開封者に絞った件数で一度試算し、それがエディションの枠に収まるかを確かめてから上位を検討する順序が、費用を抑える近道です。

Premier Successの30%と導入パートナー費用を含めた初年度総額

ライセンスの外にも費用が出ます。価格ページには、Premier Success Planが「該当するライセンス料の30%」と記載されています。Engagement Pro+を年間契約した場合、ライセンスは240,000円×12か月で2,880,000円。Premier Successを付けると864,000円が加わり、3,744,000円になります。

これに初期構築の費用が乗ります。データエクステンションの設計、Salesforce本体との同期設定、配信ドメインの認証、最初のジャーニーの構築までを外部に頼むのが一般的で、その内訳とパートナーの選び方はSalesforce導入支援サービスの比較で扱っています。初年度と2年目以降で費用の形が違うことは、稟議の段階で分けて書いておくと後で揉めません。

受託開発側から見たMarketing Cloud導入で費用と工数が膨らむ失敗パターン

ここからは連携開発を請ける側の視点で書きます。Marketing Cloudの導入が想定より高くつく原因は、データの扱いを詰めないまま契約と構築に進むことに集中しています。

同期データソースでリードを全件同期して連絡先上限を使い切る失敗

EngagementにSalesforce本体のデータを取り込むときは、Marketing Cloud Connectと同期データソースを使います。Trailheadの同期データソースの説明には、「同期された連絡先やリードはすべて、たとえメッセージを送信したことがなくても、Contact Builderで連絡先とみなされます」とあります。

本体に10万件のリードが溜まっている会社が、深く考えずにリードオブジェクトを丸ごと同期すると、一通も送らないうちに連絡先の枠が埋まります。Pro+の15,000件はもちろん、Corporate+の45,000件でも足りません。防ぎ方は、同期の前に「配信対象になりうる人」の条件を決め、その条件を満たすレコードだけを同期対象に絞ることです。同期頻度も分単位から時間単位で選べるため、配信の締め切りに間に合う最も粗い間隔に設定すると、処理の負荷も抑えられます。

Salesforce本体との項目対応を決めずにジャーニーを組み始める失敗

二つ目は、どちらのシステムを正とするかを決めずに配信の設計に入るケースです。購買履歴は基幹側、会員属性は本体側、配信停止の情報はMarketing Cloud側にある。この状態でジャーニーを組むと、退会した会員にメールが届く、といった事故が起きます。

先に決めるのは、項目ごとの「正」と更新の方向です。配信停止はMarketing Cloudから本体へ、会員属性は本体からMarketing Cloudへ、と一方向に揃えれば、双方向同期を作り込まずに済みます。Salesforce本体側のAPIの選び方とコール上限の考え方は、Salesforceのシステム連携とは?API方式の選定とコール上限の設計に実装の目線でまとめています。

Marketing Cloudの採用を見送り別のMAツールを選ぶべき事業条件

言い切ります。次のどちらかに当てはまるなら、Marketing Cloudは見送ってよい製品です。一つは、Salesforce本体を使っていない、または使う予定がない会社。本体と同じデータで営業とマーケティングを回せることがこの製品群の価値の中心で、本体なしでは年額180万円以上の固定費を正当化する根拠が残りません。もう一つは、配信対象が数千件規模で、ジャーニーを分岐させるほどの顧客行動データがない会社です。月数回のメルマガとフォームのフォローで足りるなら、ユーザー単価で始められる製品のほうが投資回収は早い。

逆に、すでにSalesforce本体で営業を管理していて、その顧客データで配信を出し分けたい会社なら、組織単位の固定費は連携の手間を省く対価として説明できます。製品を問わずMAツールを並べて選ぶ段階なら、MAツールとは?主要6製品の公式料金比較と選び方で選定軸を先に固めてください。Salesforce本体の機能・料金・導入判断の全体像は、Salesforceとは?CRMの機能・料金・認定資格から導入判断まで解説にまとめています。

どの系統を選ぶか、同期の範囲をどこまで絞るかは、製品知識だけでは決まりません。当社では要件整理からSalesforce本体の設定、Marketing Cloudとの同期設計や外部システムとの連携開発までを一貫して支援しており、Salesforce導入支援サービスで対応範囲と進め方を公開しています。

よくある質問

製品の検討段階で多く寄せられる質問に、公式の記載にもとづいて答えます。

Salesforce Marketing CloudとAgentforce Marketingは同じものですか?

同じ製品群を指しています。2026年10月時点の公式のマーケティング製品ページは「Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud)」という見出しで、その下にEngagement、Account Engagement、Marketing Cloud Nextなどの製品が並びます。製品群の総称が変わったもので、個別の製品が廃止されたわけではありません。価格ページや個別製品名には「Marketing Cloud」の表記が残っているため、見積書では製品名とエディション名の両方で契約対象を確認してください。

PardotとAccount Engagementは同じ製品ですか?

同じ製品です。公式のAccount Engagement製品ページのFAQに「Pardotは、Salesforce Account Engagementの旧製品名であり、Pardotと同じ製品です」と明記されています。Pardotはもともと、2013年にSalesforceが買収したExactTargetの一部でした。古い社内資料や操作マニュアルにPardotの名前が残っていても、指している製品は変わりません。画面や提案書の表記と食い違う場合は、資料側を現行名に揃えると混乱が減ります。

Marketing Cloudに無料版や無料トライアルはありますか?

Engagement、Account Engagementの各エディションに無料版はなく、公式価格ページの表示はいずれも1組織あたりの年間契約です。期間限定の評価環境が用意されるかどうかは製品と時期で変わるため、営業担当者への確認が確実です。費用をかけずに画面の構成を把握したい場合は、無料の学習サイトTrailheadのモジュールで操作の流れを追い、そのうえで連絡先数を試算してエディションを選ぶ順序が無駄になりません。

Marketing Cloudの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

期間を左右するのは製品の設定ではなく、データの整理と同期の範囲です。配信ドメインの認証や初期設定は数週間で終わりますが、データエクステンションの設計、Salesforce本体との同期対象の絞り込み、配信停止情報の扱いを決める工程に1〜2か月、最初のジャーニーの構築と検証にさらに1か月前後を見込むのが現実的です。基幹システムの購買データを連携する場合は、その開発期間が別に加わります。

MarketoやHubSpotではなくMarketing Cloudを選ぶ理由は何ですか?

Salesforce本体を使っていて、営業の顧客データをそのまま配信に使いたい場合です。Account Engagementは本体のリード・取引先責任者と連動し、Marketing Cloud Nextは本体の基盤上で動くため、別製品をつなぐ連携の設計が小さくなります。一方、本体を使っていない会社にとっては、組織単位で月額150,000円からという固定費が重く、ユーザー単価で始められる製品のほうが合います。比較の前提として、まず自社のCRMがどこにあるかを確認してください。

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