業務システム

法律事務所のシステムとは?6領域の全体像と既製品/受託開発の判断基準

基幹業務システムの特性とその価値

法律事務所からシステムの相談を受けるとき、話の入口は案件管理の機能であっても、詰まっているのは別のところにあります。所属弁護士が3人を超えたあたりから、受任前の相談も含めて相手方の名前を事務所全体で突き合わせる作業が追いつかなくなる。この記事では、事務所のシステムが束ねる6領域と事業会社向け製品との違い、利益相反の照合が4系統の母集団に分かれること、預り金等の取扱いに関する規程が会計側に課す口座分別と記録保存、2026年5月21日施行の民事訴訟手続のデジタル化で残った対象外の手続、既製品で足りる条件と受託開発に踏み込む領域までを整理します。業務システム全体の分類から押さえたい場合は、業務システムの種類と基幹システムとの違いを解説した記事を先に読んでください。分野としてのリーガルテック全体の領域分類と、既製SaaSで足りる範囲はリーガルテックの7領域と既製SaaS・受託開発の線引きを整理した記事で確認できます。

まとめ:法律事務所のシステムを照合範囲と預り金の分別から決める順序

機能一覧の比較から始めると決まりません。先に確定させるのは、利益相反の照合をどこまでの範囲でかけるかです。弁護士職務基本規程57条は、他の所属弁護士が27条・28条により職務を行い得ない事件について、自分も職務を行ってはならないと定めています。照合の単位は「自分の担当案件」ではなく「全所属弁護士が過去に触れた相手方と顧問先」まで広がる。ここが決まらないうちに製品を並べても、必要な検索範囲を満たすか判定できません。

照合の対象は4系統に分かれます。受任事件の依頼者、受任事件の相手方、受任に至らなかった相談の相手方(27条2号)、継続的な法律事務の提供を約している顧問先(28条2号)です。案件テーブルしか持たない製品は前2つで止まる。相談段階と顧問先契約を同じ検索に載せられるかが、選定で最初に効く分岐点になります。

次に見るのが預り金の扱いです。預り金等の取扱いに関する規程4条2項は、一の事件又は一の依頼者について預り金の総額が50万円以上となり、それを14営業日以上にわたり保管するときは、うち50万円以上の額を預り金口座で保管しなければならないと定めています。判定の単位が事件または依頼者ごとであるため、口座残高の合計しか出せない会計機能では要件を満たせません。同7条は入金の目的と出金の使途の記録を求め、2項でその記録を職務終了後3年間保存すると定める。起点が案件の終了日に紐づくため、案件のステータスと会計データが分断された構成は手作業を呼び戻します。

この2点を満たしたうえで、6領域(案件、依頼者、期日、タイムチャージ、会計、文書管理)のどこまでを1つの製品に載せるかを決めます。所属弁護士が一桁で取扱分野が単一なら既製品で足り、人数課金の公開価格は1ライセンス月額880円から3,980円(税抜・2026年8月時点)が相場です。受託開発に踏み込む価値があるのは、照合索引を6領域から独立させる部分と、顧問先契約と事件を突き合わせる部分だけ。電子提出と会計の法令対応を自前で作る計画は費用対効果が合いません。

事務所の業務システムが束ねる6領域と事業会社向け製品との守備範囲の違い

製品はどれも「案件管理システム」と名乗りますが、守備範囲は製品ごとに違います。まず6領域に分解し、どこが空白になるのかを把握してください。

案件・依頼者・期日・タイムチャージ・会計・文書管理という6領域の担当範囲

事務所の業務は、事件そのものを追う領域と、事件に付随して金と紙を動かす領域に分かれます。案件領域は事件名・事件番号・裁判所・進行状況を持ち、依頼者領域は相談者と依頼者に加えて相手方の属性を持つ。期日領域は口頭弁論や和解の期日に、時効や上訴期間といった落とせない締切を加えて扱います。

金と紙の側は3つあります。タイムチャージ領域は作業時間を6分単位で記録して請求可能時間を集計し、会計領域は着手金・報酬金・実費・預り金を区別して入出金と請求書を作ります。文書管理領域は訴状や証拠、委任契約書を保管する。弁護士職務基本規程30条が弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書の作成を求めるため、文書管理は案件と契約書の対応関係を保証する台帳でもあります。その委任契約書を電子で締結する場合の要件と、本人確認・記録保存との関係は弁護士の電子契約システム:委任契約書の電子化と本人確認・保存の要件で扱います。製品を見るときは、6領域のうちいくつを1つの画面で扱えるのかを数えてください。案件領域そのものの中身、つまり事件記録の粒度・裁判所の期日と不変期間の逆算・報酬と実費と預り金を分ける請求データの設計は、弁護士の案件管理システムの設計基準で扱っています。

事業会社向けの顧客管理や案件管理の製品を持ち込むと崩れる3つの前提

事業会社向けの製品を持ち込む提案は今も届きますが、3つの前提が合いません。1つ目は「顧客と取引先は味方」という前提です。事務所のデータには相手方が必ず入り、職務を行い得ない事由の原因にもなる。営業支援の製品は相手方を格納する場所を持ちません。

2つ目は情報共有の方向です。事業会社の製品は全員が全案件を見られる状態を良しとしますが、共同事務所では弁護士職務基本規程56条が、他の所属弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らし又は利用してはならないと定めています。全件公開は運用として危うい。3つ目は課金対象で、プロジェクト管理の製品が工数を原価として扱う一方、事務所の作業時間は売上そのものになるため記録の粒度が変わります。業種非依存の案件管理の考え方は案件管理システムの機能とSFA・プロジェクト管理との違いを整理した記事で、顧客情報側の一般的な設計は顧客管理システムの機能と脱Excelの判断基準の記事で確認できます。

利益相反の照合が4系統に分かれる構造と照合索引を独立させる判断

カタログの「利益相反チェック機能あり」という一行は、何と何を突き合わせるのかを説明していません。条文から洗い出すと、母集団は4つに分かれます。

職務基本規程27条・28条から導かれる4系統の照合母集団と保持先

27条は職務を行い得ない事件として5号を挙げ、1号で相手方の協議を受けて賛助し又は依頼を承諾した事件、2号で相手方の協議を受けた事件のうち協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものを含めています。2号があるため、受任に至らなかった相談も照合の対象に入る。28条2号はさらに、受任している他の事件の依頼者と、継続的な法律事務の提供を約している者を相手方とする事件を挙げます。

照合母集団 根拠となる条文 一般的な製品での保持先
受任事件の依頼者 28条3号 案件テーブル(保持あり)
受任事件の相手方 27条3号・28条2号 案件テーブル(保持あり)
相談段階の相手方 27条1号・2号 相談記録(欠落しやすい)
顧問先と継続契約先 28条2号 契約台帳(案件外で欠落)

下の2系統が製品の弱点です。相談段階の記録は面談メモに散り、顧問契約は請求データにだけ存在しがちです。初回相談の受付設計は士業の予約システムで初回相談の枠と利益相反チェックを扱った記事に整理しています。4系統をどの項目として持ち、誰に見せるかという実装側の設計は法律事務所の顧客管理で依頼者情報の項目設計と権限分離を扱った記事にまとめています。

共同事務所の57条で照合範囲が事務所全体へ広がる構造と名寄せの単位

57条は、他の所属弁護士(所属弁護士であった場合を含む)が27条又は28条により職務を行い得ない事件について、自分も職務を行ってはならないと定め、職務の公正を保ち得る事由があるときを除くとしています。過去に在籍していた弁護士の取扱い事件まで入るため、退職者のデータを消せません。59条は、その受任を防止するため他の所属弁護士と共同して、取扱い事件の依頼者・相手方・事件名の記録その他の措置を採るよう努めると定める。記録すべき3項目が条文で名指しされている点は、要件定義の根拠として使えます。

実装で問題になるのは名寄せの単位です。法人の相手方は商号変更や合併で名前が変わり、個人は旧姓と通称が併存する。完全一致の検索だけでは57条の範囲を担保できず、表記の揺れを吸収する索引を別に持つ設計になります。弁護士法人には68条が同趣旨の記録措置を求めるため、法人化の予定があるなら最初からこの前提で作ってください。

56条の秘密保持と59条の共同記録が衝突する場面での2層設計

ここが事務所システムで最も設計を誤る箇所です。59条は事務所横断の記録を求め、56条は他の所属弁護士の依頼者の秘密を利用してはならないと定める。全案件を全員に公開すれば56条に触れ、担当者しか見られない設計にすれば59条の照合ができません。両立させる方法は1つで、照合に必要な最小項目(依頼者名・相手方名・事件名)だけを全員が引ける索引に切り出し、事件記録と証拠、報酬額は担当チームに閉じます。

この構造から導かれる結論は明快です。照合索引は6領域のどれかに含めるものではなく、6領域から独立した第7の要素として持つべきものになります。案件管理の中に置けば相談段階が抜け、顧客管理の中に置けば相手方と顧問先が抜ける。既製品を選ぶ場合は、案件・相談・顧問契約を横断する検索が1つの画面で走るか、そして検索結果に表示される項目を権限で絞れるかを、デモの場で必ず実演してもらってください。

預り金規程が会計機能に課す口座分別・50万円基準・3年保存の要件

会計は市販のソフトで足りると考えられがちですが、事務所には会規が課す固有の要件が乗ります。満たせない構成を選ぶと、規程対応が手作業として残ります。

一の事件または一の依頼者ごとに判定する50万円と14営業日の切り替え

預り金等の取扱いに関する規程3条は、預り金のみを管理する専用の預り金口座を開設する義務を定め、3項で口座名義に「預り金」「預り口」といった預り金口座であることを明示する文字を用いるよう求め、4項で金融機関名・預貯金の種類・口座名義・口座番号の所属弁護士会への届出まで課しています。そして4条2項が判定基準です。一の事件又は一の依頼者について預り金の総額が50万円以上となった場合において、その預り金を14営業日(日本銀行の休日を除いた日)以上にわたり保管するときは、うち50万円以上の額を預り金口座で保管しなければなりません。

この判定単位が会計機能の要件を決めます。必要なのは口座残高ではなく、事件ごと・依頼者ごとの預り金残高と、その残高が50万円を超えてから何営業日が経過したかという時間軸です。市販の会計ソフトは勘定科目単位で残高を出すため、事件別の内訳と経過日数の追跡が抜けます。5条は相手方その他利害関係人から預り金を受領した場合の依頼者への通知を、6条は預り証の発行を求めています。

入金の目的と出金の使途を職務終了後3年間保存する記録の持ち方

7条は入出金の年月日及び金額に加えて、入金の目的と出金の使途の記録を義務づけています。金額と日付だけの明細では足りず、「和解金の受領」「訴訟費用の支払」といった性質を1件ごとに残す必要がある。2項はその記録を、当該預り金又は預り預貯金に係る職務が終了した後3年間保存すると定めています。8条は依頼者の請求時と職務終了時に入出金の概要を記載した書面での収支報告を求め、9条では弁護士会が入出金の目的や使途、預り金口座の状況を照会し調査できます。

設計上の勘所は保存期間の起点です。3年の起算点が会計年度ではなく案件の職務終了日になるため、案件の終了日と会計データが同じシステムに乗っていない構成では、どの明細をいつまで残すのかを人が判断することになります。会計を外部の製品に分離するなら、案件IDと終了日を明細側に持たせて突き合わせられる状態にしておいてください。

2026年5月のオンライン申立て義務化と対象外手続が残す二重運用の線引き

文書管理の要件は2026年5月に変わりました。ただし変わった範囲は限定的で、線引きを知らずに選ぶと「対応済み」の表示に引きずられます。

訴訟代理人にmintsの利用が義務づけられた範囲と申立て日を基準にする経過措置

裁判所の案内によると、令和8年(2026年)5月21日に改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則が施行され、オンラインでの申立て(電子申立て)が可能になり、弁護士等の訴訟代理人には電子申立てが義務づけられました。令和8年5月21日以降に申立てがされた事件について、委任された弁護士・弁理士等の訴訟代理人は民事裁判書類電子提出システム(mints)の利用が義務となる。基準は事件の申立て日です。

令和8年5月20日以前に訴えの提起等がされた事件は、当事者双方に委任を受けた訴訟代理人がある等の条件を満たす場合に、経過措置としてmints規則及びmints細則に基づく電子提出ができる扱いです。したがって事務所内には、義務として電子提出する事件と、任意で電子提出する事件と、紙のままの事件が同時に存在する期間が生まれる。案件ごとに提出方式を属性として持たせておくと、期日直前の取り違えを防げます。

民事執行・倒産・労働審判・家事事件が対象外であることが残す紙の工程

見落とされやすいのは対象外の範囲です。裁判所は、民事執行、倒産、労働審判等の非訟手続、人事訴訟手続、家事事件手続について、令和8年5月21日施行の民事訴訟手続のデジタル化によるオンライン申立て等の対象外としています。離婚や相続を扱う事務所では、取扱件数の多くが対象外に残ります。

この事実は製品選定の優先順位を変えます。企業法務中心なら電子提出への対応が文書管理の中心要件になりますが、家事事件中心の事務所では紙の受け渡しと保管が主戦場のまま続く。前者は電子ファイルの版管理と提出履歴、後者はスキャンした書面と原本の所在管理に投資すべきということです。共通して必要なのは、提出した電子ファイルと事務所控えのどちらを原本とするかを決め、命名規則で判別できる状態にしておくこと。生成AIで書面のドラフトを作る場合の線引きは士業のAIで書類作成と相談対応の範囲を整理した記事にまとめています。

事務所システムの構成パターン3通りと人数・件数からの当てはめ方

6領域の分け方が決まったら、何個の製品に載せるかを選びます。成立している構成は3通りで、分かれ目は所属弁護士の人数と同時進行の件数です。

6領域を一体型のクラウド製品で賄う構成が成立する事務所の条件

1つの製品で案件から会計まで通す構成は、所属弁護士が一桁で取扱分野が単一の事務所に向きます。課金は人数単位が主流で、ロイオズの公開価格はライトプランが月額880円、ベーシックプランが1,480円、フルプランが3,980円(いずれも税抜・1ライセンス月額・2026年8月時点)、無料トライアルは14日間、ファイル管理は15GBまで無料という条件です。弁護士5名なら最上位でも月額2万円弱に収まります。

構成 向く事務所 弱点
一体型クラウド 弁護士1〜9名・単一分野 事務所固有の運用に寄せにくい
案件と会計を分離 弁護士10名以上 接点ごとに二重入力が残る
表計算とストレージ 開業直後の1〜2名 照合と保存期限が属人化

一体型の弱点は、事務所ごとの受任フローや報酬計算の慣習に合わせにくいところです。表計算とストレージから移る合図は、弁護士が2名を超えて相談の受付窓口が分かれたときか、同時進行の案件が1人あたり40〜50件に達したときのどちらか早い方になります。開業時点の投資計画の立て方は法律事務所の開業と事業計画書の記事で扱っています。

案件管理と会計を分けて連携させる構成で二重入力が残る3つの接点

規模が10名を超えると、会計と給与を既存の運用に合わせたまま案件側だけを専用製品にする構成が現実的になります。この構成では二重入力が3か所に残る。1つ目は着手金の入金で、案件のステータスを進める操作と入金記録が別システムになります。2つ目は実費の立替で、交通費や印紙代を案件に紐づける作業が経費精算側と重複する。

3つ目が預り金です。判定単位が一の事件又は一の依頼者であるため、会計側の口座明細を案件別に振り分ける作業が毎月発生する。連携を作るならこの3点に絞り、案件IDを共通キーとして両側に持たせてください。全項目の双方向同期は費用が跳ねます。

既製品で足りる事務所の条件と受託開発に踏み込むべき領域の線引き

受託開発の側から言えば、一から作る提案はほとんどの事務所に向きません。作る価値がある範囲を先に示します。

既製品のまま運用してよい条件=単一分野で所属弁護士が一桁の事務所

次の3条件がそろうなら、既製品を選んで運用を製品に合わせるほうが総額でも速度でも有利です。取扱分野が実質1つに寄っている、所属弁護士が9名以下、顧問先が数社にとどまる。この規模なら28条2号の顧問先照合は台帳の目視で足り、57条の範囲も製品標準の全文検索で担保できます。

逆に、既製品を選んでも運用を変えない前提で臨むと失敗します。報酬計算の慣習や事件番号の付け方は事務所ごとに違い、既製品はそこを吸収しません。導入時に決めるのは、製品に合わせて変える運用と、変えずに手作業で残す運用の切り分けです。この一覧を作らないまま契約すると、稼働後の併走期間が延びます。

受託開発が効く領域=照合索引の独立と権限分離、顧問先契約との突き合わせ

作る価値があるのは3点に絞られます。第一が照合索引です。案件・相談・顧問契約を横断して依頼者名と相手方名と事件名を引ける索引を独立して持ち、表記の揺れを吸収する。第二が権限分離で、検索結果には照合に必要な最小項目だけを返し、事件記録の本文は担当チームに閉じます。56条と59条を同時に満たす構成は、既製品の権限モデルで表現しきれないことが多い領域です。

第三が顧問先契約と事件の突き合わせで、継続的な法律事務の提供を約している者を相手方とする事件を受任前に検知する仕組みです。いずれも既存の製品を残したまま、周辺に小さく作って接続できる範囲に収まります。事務所固有の照合と権限の設計から相談したい場合は、基幹システム開発のページから要件の整理段階でお問い合わせください。

受託開発を見送るべき場面=電子提出と会計の法令対応を自前で作る計画

反対に、受託開発の対象から外すべき領域があります。裁判所への電子提出はmintsという裁判所側のシステムを使う手続で、事務所側に提出機能を作る余地はありません。会計も、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応は既製品が追随する領域で、自前で作れば改正ごとに保守費が発生します。

  • 裁判所への電子提出機能(mintsの利用が前提のため自前開発の余地がない)
  • 会計の法令対応(改正追随の保守費が毎年発生する)
  • ストレージと全文検索の基盤(既製品の月額のほうが安い)
  • 期日カレンダー(既存のカレンダー製品と重複する)

この4つを外せば、受託開発の対象は照合索引と権限、顧問先の突き合わせに縮みます。見積りが数千万円で出てきたときは、上の4領域が混ざっていないか確認してください。

法律事務所のシステム選定で判断に迷いやすい費用と運用に関するよくある質問

相談で繰り返し聞かれる論点を5つ挙げます。

弁護士1人の事務所でもシステムは必要ですか?

1人事務所なら表計算とクラウドストレージで足ります。57条の事務所横断の照合は自分の記録で成立し、期日も個人のカレンダーで担保できるためです。ただし預り金は別で、7条が入金の目的と出金の使途の記録を求め、職務終了後3年間の保存を課しています。移行を考える合図は、弁護士が2人になるか、同時進行の案件が40〜50件に届くかのどちらかです。

利益相反チェック機能があると書かれていれば安心してよいですか?

機能名だけでは判定できません。見るのは検索がかかる母集団の範囲です。受任事件の依頼者と相手方に加えて、受任に至らなかった相談の相手方(27条2号)と、継続的な法律事務の提供を約している顧問先(28条2号)が同じ検索に載るかを実演してもらってください。退職した弁護士の取扱い事件も57条の範囲に含まれるため、退職者のデータが検索対象から外れない設計かも確認します。

法律事務所のシステムの費用はどのくらいかかりますか?

クラウドの既製品は人数課金が主流です。公開価格の例としてロイオズはライトプラン月額880円、ベーシックプラン1,480円、フルプラン3,980円(いずれも税抜・1ライセンス・2026年8月時点)で、弁護士5名なら最上位でも月2万円弱に収まります。金額が跳ねるのは移行の工数と会計運用との接続部分です。見積りは月額だけでなく、データ移行と併走期間の人件費まで同じ表に載せて比べてください。

2026年5月からオンライン申立てが義務になったら紙は不要になりますか?

紙は残ります。裁判所は、民事執行、倒産、労働審判等の非訟手続、人事訴訟手続、家事事件手続を、令和8年5月21日施行の民事訴訟手続のデジタル化によるオンライン申立て等の対象外としています。家事事件や執行を多く扱う事務所では対象外が大半を占めることもある。義務づけられたのは令和8年5月21日以降に申立てがされた事件での訴訟代理人によるmintsの利用です。

既製品を入れるか個別開発にするかは何で判断しますか?

取扱分野が単一で所属弁護士が9名以下なら既製品を選び、運用を製品側に合わせるのが合理的です。個別開発に踏み込む価値があるのは、案件と相談と顧問契約を横断する照合索引を独立して持ち、検索結果の表示項目を権限で絞る部分だけ。裁判所への電子提出、会計の法令対応、ストレージ基盤、期日カレンダーは自前で作らないでください。

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