FEMS(工場エネルギー管理システム)とは?計量点設計と原単位分析・MES連携で判断する
FEMSは工場のエネルギー使用量を計測して見える化し、生産量あたりの原単位で管理する仕組みです。ただし「工場向けのBEMS」と説明されるだけでは、何を買えばよいのか決まりません。工場では電力に加えてガス・蒸気・圧縮空気が動き、しかも使用量は生産量に連動して増減する。この2点がビル向けとの設計差を生みます。この記事では計量点設計・原単位の分母設計・MESとの連携設計を、導入を見送る条件まで含めて整理します。なお略称のFEMSは学術団体の綴りとも重なりますが、本稿が指すのは工場エネルギー管理システムです。
まとめ|FEMS導入の可否を分ける3条件と、先に決める計量の粒度
先に結論を書きます。FEMSに投資して回収できる工場には、3つの条件が揃っています。第一に電力以外のエネルギー(ガス・蒸気・圧縮空気)が費用の相当部分を占めること。第二に品種や生産量の変動が大きく、使用量の増減が省エネの成果なのか生産量の増減なのか、月次の請求書では判別できないこと。第三に、測った結果を受けて設備の運転条件を変えられる裁量が現場にあることです。
このうち2つを欠くなら、FEMSという名前のシステムを買う前に打てる手が残っています。高圧500kW未満の契約電力は実量制で決まり、30分ごとの平均電力の当月を含む直近12か月の最大値が1年間そのまま基本料金の基準になる。つまり年に一度のピークを抑えるだけなら、受電点のデマンド監視装置1台で足り、全ラインの計測は要りません。
導入すると決めた場合、最初に決めるのは製品名ではなく計量の粒度です。受電点だけか、変圧器の系統ごとか、ラインごとか、設備単体か。この粒度が計器の設置台数と改修工事の範囲を決め、費用の大半を左右します。粒度は「どの単位で改善の意思決定をするか」から逆算してください。ライン単位で計画を組む工場がライン単位で測っていなければ、打ち手に繋がりません。EMSの分類全体や導入費用の相場、補助金の考え方はエネルギーマネジメントシステムの定義と導入判断をまとめた記事で扱っています。
FEMSの守備範囲|工場エネルギー管理システムが電力以外まで測る理由
FEMSはFactory Energy Management Systemの略で、工場内のエネルギー使用状況を計測・収集して見える化し、その数値をもとに設備の運転条件を見直す仕組みを指します。ただしこの説明はBEMSにもそのまま当てはまる。守備範囲の違いを具体的に見ないと、設計は始まりません。
電力・ガス・蒸気・圧縮空気という4系統を1つの画面で見る意味
工場のエネルギー費を分解すると、電力だけで完結する工場は多くありません。加熱炉や乾燥工程には都市ガスやLPG、食品や化学の工程にはボイラーからの蒸気、組立や搬送には圧縮空気が入ります。この4系統は別々の設備部門が別々の帳票で管理していることが多く、月次でも突き合わせていない工場が珍しくない。
4系統を1つの画面に集める意味は、系統をまたいだ振り替えを検知できる点にあります。電気式の加熱をガス式に切り替えれば電力量は減りますが、原油換算の総量では悪化している場合がある。系統別に測って初めて、削減が効いた場所と、別の系統へ移っただけの場所を区別できます。
生産設備とユーティリティ設備で計測の狙いが変わる理由と対象範囲
工場の設備は、製品を作る生産設備と、それを支えるユーティリティ設備(受変電、コンプレッサー、ボイラー、冷凍機、空調、照明)に分かれます。この2つは計測の狙いが違う。
ユーティリティ設備は、生産量と無関係に動き続ける部分を持ちます。夜間や休日にも落ちない消費が残っていれば、それは待機損失として削減の対象になり、投資回収も読みやすい。一方の生産設備は、止めれば製品が作れないため、削減の余地は運転条件の見直しか設備更新か生産計画の組み替えに限られます。
FEMSとBEMSの違い|生産量という変数が入ると設計はどこが変わるか
両者の違いは「対象がビルか工場か」と説明されます。それは正しいのですが、設計する側に効いてくる差はもう一段先、成果を測る分母と制御をかけられる範囲にあります。
延べ床面積あたりで見るBEMSと生産量で見るFEMSの指標の差
BEMSでは、使用量を延べ床面積で割った数値や外気温の影響を補正した指標で評価します。ビルの用途と面積は年間を通じて変わらないため、去年より使用量が減っていれば運用改善の成果と見なせる。
工場ではこの前提が崩れます。生産量が2割増えれば使用量も増えるのが当然で、総量の増減だけでは改善の有無を判定できません。そこで分母に生産量を置いた原単位で見ます。省エネ法が求める努力目標も、総量ではなくエネルギー消費原単位の年平均1%以上の低減です。年度の原油換算エネルギー使用量が1,500kL以上の事業者は特定事業者に指定され、定期報告書と中長期計画書を毎年7月31日までに提出する義務を負う。この報告に出す数値をどう作るかが、FEMSの設計要件そのものになります。
空調中心の制御と、生産設備を止められない工場の制御余地の違い
BEMSの制御対象は空調・照明・熱源が中心で、室温を1度緩めるといった調整が許容されます。ビル側の計装設計とBACnetでの機器接続、中央監視装置との役割分担はBEMSの計装設計と中央監視との役割分担を整理した記事で扱っています。快適性という主観的な指標との間で折り合いをつける世界です。工場の生産設備では、その調整幅がほぼありません。炉の温度を下げれば品質が変わり、搬送速度を落とせば生産計画が崩れる。
したがってFEMSで実際に制御をかけられる範囲は、ユーティリティ側と生産の合間の待機時間に限られるのが普通です。コンプレッサーの吐出圧を実際の要求圧まで下げる、台数制御を見直す、休憩時間中の設備を待機状態へ落とすといった手が中心になる。この現実を先に共有しておかないと、制御まで入れたのに効果が出ないという評価になります。
| 比較の観点 | BEMS(ビル) | FEMS(工場) |
|---|---|---|
| 主な管理対象 | 空調・照明・熱源・受変電 | 生産設備とユーティリティ |
| 扱うエネルギー | 電力と熱が中心 | 電力・ガス・蒸気・圧縮空気 |
| 成果を測る分母 | 延べ床面積や外気温補正 | 生産量あたりの原単位 |
| 制御できる範囲 | 快適性の許容幅で調整 | 品質と生産計画が制約 |
| 主な連携先 | 中央監視盤や入退室管理 | 生産管理システムとMES |
| 導入の主目的 | 光熱費と設備運用の管理 | 原単位低減と報告義務対応 |
計量点の設計|どこを何点測るかをFEMS導入の最初に決める判断手順
FEMSの費用構成は、ソフトウェアより計器と電気工事に寄ります。したがって計量点の数と位置を決める工程が、実質的な要件定義です。ここを製品選定より先に行ってください。
受電点だけで止まる工場と、ラインごとに測る工場を分ける判断条件
計量の粒度は4段階で考えると整理しやすくなります。受電点(工場全体)、変圧器や分電盤の系統単位、ライン単位、設備単体です。粒度を1段階下げるごとに計器の台数と工事範囲が増えます。
判断の基準は「その粒度で誰かが意思決定をするか」に尽きます。受電点だけで足りるのは、契約電力の管理と省エネ法の報告が目的で、打ち手をユーティリティ設備に絞っている工場です。ライン単位まで下ろす価値が出るのは、複数品種を作り分けていて品種別の原価にエネルギー費を載せたい工場になります。設備単体まで測るのは、特定の大型設備が全体の1割以上を占める場合に限るのが現実的です。
電力量計と流量計をどこに付けるか、改修工事が必要になる分岐点
電力の計測は、既設の分電盤にCT(変流器)とパルス出力付きの計測ユニットを追加する形が基本です。分割型のCTなら、多くの場合は幹線を切らずに後付けできます。ただし高圧側や主幹に手を入れる場合、作業には停電が要る。年末年始や夏季休暇の全停電に合わせて工事計画を立てないと、工期が半年単位で延びます。
ガスと蒸気、圧縮空気は配管への流量計の挿入になり、配管の切断と溶接を伴うのが通常です。既設配管に測定用の直管長(計器の前後に必要な真っ直ぐな区間)が取れるかどうかで、設置可否と費用が変わる。超音波式のクランプオン型なら配管を切らずに外側から測れますが、流体や配管材質の条件が付きます。設計の初期に配管図を見て、直管長の取れる位置を先に洗い出しておくと後戻りが減ります。
計量法で検定が要る計量器と、社内管理だけなら不要になる線引き
計量法では、取引または証明に用いる計量器は検定を受けた特定計量器である必要があり、検定の有効期間内であることも求められます。テナントへの電気料金の按分請求や、構内の別法人への用役の販売に使う計量値は、この取引・証明に当たる。
一方、自社の省エネ管理や原単位算出のためだけに測る社内管理用の計量では、検定を受けた計量器は要件になりません。この線引きを把握しておくと計器の選定費用が変わります。構内に協力会社の設備が入っていて用役費を請求している工場なら、その系統だけ検定付きにし、残りは管理用の計測ユニットで揃える構成が取れる。
生産量原単位での分析|使用量の増減を生産変動と切り分ける分析手順
計器を付けて数値が集まっても、原単位の設計を誤ると「改善したのか分からない」グラフが並ぶだけになります。分析設計は分母の決め方から始まります。
原単位の分母に何を置くか、生産個数・投入重量・稼働時間の選び方
分母の候補は主に3つ。生産個数、投入または産出重量、設備の稼働時間です。単一品種を大量に作る工場なら生産個数が素直ですが、品種によって大きさや工程数が大きく違う工場で個数を分母に置くと、品種構成が変わっただけで原単位が動いてしまう。この場合は投入重量や加工面積のように、エネルギー消費と相関の強い物理量を選びます。装置産業で連続運転している工程なら、稼働時間のほうが実態に合う場合もある。
選定の手順は、過去12か月分の使用量と候補となる分母の実績を散布図に置き、相関の強い分母を採ることです。相関が弱い分母を選ぶと、以後の分析がすべて空振りします。分母となる生産実績をどのシステムから取るかも同時に決めてください。生産実績の管理そのものが手作業に残っている場合は、製造業が生産管理システムを導入する際の判断軸を整理した記事の内容が先に必要になります。
省エネ法の年平均1%低減という目標に対し数値をどう作るかの実務
省エネ法の定期報告では、エネルギー消費原単位の年平均1%以上の低減が努力目標とされ、5年度間の平均で指標が99.0以下であれば達成として扱われます。報告は事業者単位・工場単位で集計するため、FEMSの計量点を報告の集計単位に対応させておくと、年1回の報告作業が転記の手間だけで済む。
実務で詰まるのは、報告の集計単位とFEMSの計量点がずれている場合です。報告は工場全体の原油換算値で出すのに、FEMSはライン単位でしか持っていない。あるいは購入電力量が請求書ベースでしか分からない。すると受電点の合計と系統計の合計を突き合わせる検算ができず、どちらが正しいのか判断できなくなります。受電点を必ず1点測り、系統計との差分を「その他・損失」として明示的に持たせてください。差分が数%で安定していれば計測系は健全で、月によって跳ねる場合はどこかの計器か換算係数を疑うという運用ができます。
待機時のベースロードと変動分を分けて削減余地を見つける分析手順
削減余地を見つける実務的な手順は、時系列を生産の有無で切ることです。生産していない時間帯(夜間・休日・段取り替え中)の消費をベースロードとして抜き出し、残りを生産に伴う変動分とします。
ベースロードは本来ゼロに近づけられる部分で、ここに残る消費はほぼそのまま削減候補になる。待機電力を落とし忘れている設備、休日も止めていないコンプレッサー、断熱不良で焚き続けているボイラーが、この切り口で表に出ます。変動分は生産量に対する傾きを見ます。同じ製品を作っているのに月ごとに傾きが変わるなら、運転条件か段取りの手順にばらつきがあるという意味になる。設備そのものの劣化が疑われる場合は、エネルギーデータを保全側の判断材料に回す使い方もできます。状態監視の組み方は予防保全・予知保全・事後保全の違いと進め方を扱った記事で整理しています。
生産管理システム・MESとの連携|原単位を自動で出すためのデータ構成
原単位の分子はFEMS、分母は生産管理システムやMESにあります。この2つを人手で突き合わせている限り、月次より細かい分析には手が届きません。連携の設計を見ていきます。
ISA-95の階層モデルで見るFEMSの位置とデータの流れる向き
製造業のシステム構成を語るときの共通言語がISA-95で、国際規格としてはIEC 62264として発行されています。Level 0が物理プロセス、Level 1がセンサーや駆動機器、Level 2がPLC・DCS・SCADAによる監視制御、Level 3がMESなどの製造オペレーション管理、Level 4がERPや生産計画の層です。
FEMSはこの階層のどれか1つに収まりません。計量データの収集はLevel 1からLevel 2、原単位の集計と分析はLevel 3に相当します。設計の要点は、収集層と分析層を分けて考えることです。1つの製品で両方を賄うと、どちらかが手薄になる。既存のSCADAや中央監視盤がLevel 2を持つ工場なら、収集層を作り直さずデータを引き出す構成のほうが費用も工期も抑えられます。
OPC UAやModbusという現場側の通信規格と収集周期の設計
現場からデータを取り出す経路は、計測ユニットのパルス出力やアナログ出力を直接読む方法と、既設の制御システムから通信で読む方法に分かれます。通信で読む場合、産業用として広く使われるのがModbus(Modbus TCP、Modbus RTU)と、IEC 62541として標準化されたOPC UAです。OPC UAはデータに型や単位を伴う情報モデルを持たせられるため、設備メーカーが異なる工場でも後の解釈がぶれにくくなります。
収集周期は用途から逆算して決めます。省エネ法の報告と月次の原単位管理だけなら日次の積算値で足りる。契約電力の管理を含めるなら需要電力の判定単位に合わせて30分、警報を出すなら1分程度が要ります。異常検知まで狙う場合は秒単位になり、その瞬間にデータ量とストレージ設計の話が変わる。目的別に系統ごとの周期を変える設計が現実的です。
生産実績とエネルギーデータの時刻をどこまで合わせるかの粒度設計
連携で最も詰まるのが時刻の扱いです。エネルギーデータは30分や1分の等間隔で並びますが、生産実績は「この製造指図が何時から何時まで、どのラインで、何個」という不等間隔のイベントで記録されます。両者を結合するには、生産実績の時間帯でエネルギーデータを区間積分する処理が要る。
ここで問題になるのが時刻のずれです。PLCや計測ユニットの内蔵時計と生産管理システムのサーバー時刻が数分ずれていると、段取り替えの前後で消費が別の指図に付いてしまう。1分粒度で分析するなら、収集側の機器をNTPで同期させる設計を初期から入れてください。もう1つは製造指図の粒度で、1日1件の指図しか出ていない工場では、1分粒度のデータを集めても結合できる分解能は1日どまりです。この収集基盤と既存システムの結合部分はパッケージの標準機能から外れやすく、IoTデータの収集基盤と業務システム連携の開発として個別に設計する範囲になります。
FEMSを見送る条件と、設備投資より先に着手すべき3つの打ち手
ここまで設計の話を書いてきましたが、すべての工場がFEMSを導入すべきとは考えていません。見送る条件と、その場合の代替手段を明示します。
デマンド監視だけで足りる工場の条件と実量制の契約電力の仕組み
目的が電気料金の基本料金を抑えることだけなら、FEMSは過剰です。高圧500kW未満の契約電力は実量制で決まり、30分ごとの平均電力(30分デマンド値)のうち当月を含む直近12か月の最大値がそのまま契約電力になります。500kW以上は協議による決定です。つまり一度でも大きなピークを出せば、その値が12か月にわたって基本料金の基準になり続ける。
この構造への打ち手は、ピークが立つ直前に警報を出して負荷を落とす仕組みで、受電点にデマンド監視装置を1台入れれば成立します。計量点をラインまで下ろす必要はありません。需要側で電力の使用量を意図的に動かして対価を得る枠組みまで視野に入れるなら、下げDR・上げDRとネガワット取引の仕組みを整理した記事が判断材料になります。
見える化で止まらないために先に決める運用ルールと担当の置き方
導入後に効果が出ない典型は、画面はできたが誰も見ていない状態です。原因は担当と頻度が決まっていないことにあります。要件定義と同時に、誰がどの周期で、どの数値が閾値を外れたときに何をするかを文書で決めてください。機能するのは、月次の生産会議の資料に原単位の推移を1ページ入れるといった既存の業務動線に載せる形です。専用の画面を毎日見にいく運用は定着しません。削減目標を現場に降ろす際は総量ではなく原単位で示す。総量目標は増産期に達成不能となり、現場が数値を信用しなくなります。
パッケージ導入と受託開発の分かれ目、既存システム連携が絡む場合
最後に発注形態の判断です。パッケージ製品で足りるのは、計測から見える化までで完結し、原単位の分母を手入力か月次のファイル取り込みで賄える場合になります。計器メーカーや電力小売事業者の製品群がここに当たります。
受託開発の検討に入るのは、次のいずれかに該当したときです。第一に、生産管理システムやMESと日次以上の頻度で自動連携し、品種別・指図別の原単位を出す必要がある場合。第二に、既設のSCADAや中央監視盤が複数世代・複数メーカーで混在し、収集層の統合そのものが主要な工程になる場合。第三に、エネルギーデータを保全や品質の判断にも回す前提でデータ基盤として持ちたい場合です。いずれも結合部分が成果物の中心になるため、設計の発注として進めるほうが安く収まる。迷う段階では、計量点設計だけを切り出して発注する手順も取れます。
よくある質問
FEMSとBEMSは何が違うのですか?
管理対象と評価指標が違います。BEMSはビルの空調・照明・熱源を対象とし、延べ床面積あたりの数値や外気温を補正した指標で評価する。FEMSは工場の生産設備とユーティリティ設備を対象とし、電力に加えてガス・蒸気・圧縮空気まで扱い、生産量あたりの原単位で評価します。設計上は、生産実績を取り込む連携が要件に入り、制御できる範囲がユーティリティ側と待機時間に限られる点が効きます。
FEMSの導入で最初に決めるべきことは何ですか?
計量点の粒度です。受電点だけか、変圧器や分電盤の系統単位か、ライン単位か、設備単体か。これが計器の台数と電気工事の範囲を決め、費用の大半を左右します。決め方は「その粒度で誰かが意思決定をするか」です。粒度が固まらないまま製品比較に入ると、機能表の優劣で選んでしまい、工事費を含めた総額の比較ができません。
省エネ法の定期報告のためだけにFEMSは必要ですか?
必要とは限りません。報告に要るのは工場単位の原油換算エネルギー使用量とエネルギー消費原単位で、購入電力量と燃料の伝票が揃っていれば表計算ソフトでも作成できます。原単位は年平均1%以上の低減が努力目標です。FEMSに価値が出るのは、報告の作成そのものより、目標に届かない年に「どこが効いていないか」を説明できる粒度のデータを持てる点にあります。
既存の中央監視盤やSCADAがある場合、作り直しになりますか?
多くの場合、作り直しは不要です。ISA-95でいうLevel 2に当たる監視制御の層がすでにあるなら、そこから通信でデータを引き出し、集計と分析の層だけを追加する構成が取れます。取り出し口としてはModbus TCPやOPC UA(IEC 62541)が使われる。判断が分かれるのは、監視盤が複数世代・複数メーカーで混在する場合です。変換処理の工数がかさみ、収集層を新設したほうが安くなることもあります。まず既設設備の通信仕様を一覧化してください。
計測に使う電力量計は検定付きでなければいけませんか?
用途によります。計量法では、取引または証明に用いる計量器は検定を受けた特定計量器である必要があります。構内の協力会社やテナントへ電気料金を按分して請求している系統は、これに当たる。一方、自社の省エネ管理と原単位算出のためだけに測る社内管理用の計測では、検定を受けた計量器は要件になりません。したがって請求に使う数系統だけ検定付きにし、残りは管理用の計測ユニットで揃える構成が費用面で有利です。
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