LP制作の外注はどう依頼する?発注前の準備と契約・進行の注意点
LP制作の外注でつまずく箇所は、制作会社の技量よりも発注側の準備に寄っています。原稿の担い手が決まっていない、写真の手配先が未定、計測タグの管理権限が誰の手にあるか分からない。この3つが未解決のまま見積もりを取ると、着手後に待ち時間が積み上がり、公開日は後ろへ動きます。この記事で扱うのは、外注と社内制作を分ける条件、見積もり依頼の前にそろえる準備物、依頼書に書く項目、契約で確認する著作権と修正回数の条項、発注後に進行が止まる原因、そして納品時の検収と公開後の体制までを、発注する側の作業として整理した内容です。LPそのものの定義や構成の型はランディングページ(LP)とは何かを整理した記事で扱います。
まとめ:LP制作の外注を判断する基準と依頼前に固める発注条件
結論から示します。外注するかどうかを分ける条件は予算ではなく、セールスコピーを書ける人が社内にいるかどうかです。書き手がいない案件は、デザインだけを外に出しても成果が出ません。逆に営業資料から訴求を起こせる人がいるなら、デザインとコーディングだけを買う発注が成立し、費用も納期も縮みます。
依頼前に固めるのは、目的とKPIの1本化、原稿と写真の担い手、ドメインと計測タグの管理権限、この3点だけで足ります。ここが決まっていれば見積もりの前提がそろい、提案の比較も進行の管理も難しくありません。どの会社に頼むかという比較軸はLP制作会社の選び方を整理した記事で別途扱っています。
契約で必ず見る箇所は2つ。著作権法第27条と第28条を特掲しているか、修正回数の上限と超過時の単価が書かれているか。この2つが欠けた契約書は、公開後に改修先を変えたくなった時点で身動きが取れなくなります。発注後の進行では、確認依頼への返答を48時間以内に返す運用を社内で決めておくと、手戻りの多くは消えます。
LP制作を外注すべき場合と社内で作って構わない場合の分岐条件
外注ありきで考えると、社内で数日あれば終わる案件にまで発注コストを払うことになります。分岐は3つの条件で判断できます。
セールスコピーの書き手が社内にいない案件を外注に回す判断基準
LPの成果を決めるのは、デザインの完成度よりも訴求の順序と言葉です。商材の強みを購入者の得る変化に翻訳できる人が社内にいない場合、デザインだけを外注しても数字は動きません。この場合はライターを抱える制作会社へ、原稿から含めて依頼します。
判定は簡単です。既存の営業資料や提案書から、見出しと本文の下書きを2時間で起こせるか。起こせるなら書き手は社内にいます。手が止まるなら、その工程ごと外へ出してください。ここを曖昧にしたまま「原稿は追って支給」と伝えて発注すると、着手後に制作が止まります。
広告を出さない単発のLPを社内制作で完結させてよい判断の前提条件
展示会の来場者に配るQRコードの遷移先、既存顧客向けのセミナー申込ページ。こうした単発かつ広告を流さないLPは、社内制作で構いません。前提条件は3つあります。掲載期間が3か月以内であること、フォームが既存のツールで賄えること、そしてデザインの水準が既存サイトと同等でよいこと。
この3つを満たすなら、外注して2週間待つより社内で3日かけたほうが速く、費用も発生しません。逆に広告費を投じて継続的に流入を作るLPでは、公開後の改善まで含めた体制が要ります。単発と継続の境目を先に引いてください。
制作会社・広告代理店・フリーランスで変わる発注側の手間と責任
依頼先の型によって、発注側に残る作業量が変わります。制作会社へ一式で頼めば窓口は1つで済みますが、原稿の確認と素材の手配は発注側に残る工程です。広告代理店へ運用ごと預ければ改修の反映は速くなる一方、月額の運用費が乗ります。フリーランスは単価と着手の速さで有利ですが、進行管理と検収の負荷が発注側に戻ってきます。
手間と費用は交換関係にあります。社内の担当者が兼務で週2時間しか割けないなら、単価の安い依頼先を選ぶと進行が破綻しかねません。外注範囲の切り方という点では、WordPress制作代行の外注範囲を整理した記事の考え方がLPにもそのまま当てはまります。どの型を選ぶかの比較軸そのものは、選び方の記事に譲ります。
見積もり依頼の前に社内でそろえる原稿・写真・アカウントの準備物
見積もりの精度は、渡した情報の粒度で決まります。準備物が欠けたまま相談すると、制作会社は範囲を広めに見積もるか、条件付きの概算しか出せません。
見積もり依頼までに固める目的・KPI・想定流入経路の判断に必要な3項目
最初に決めるのは、LPで何を獲得するかです。資料請求か、無料体験の申し込みか、その場での購入か。次に主指標を1つに絞ります。月間の獲得件数を追うのか、獲得単価を抑えるのか。両方を同時に主指標に置くと、提案は総花的になります。
3つ目は流入経路です。検索広告から来るのか、SNS広告か、展示会で配るQRコードか。流入経路が変われば、ファーストビューで示す情報も、フォームの項目数も変わります。この3項目を1枚のメモにまとめて渡すだけで、見積もりの前提が固定され、金額を比較できる状態です。予算の枠についてはLP制作の費用相場を価格帯別に整理した記事を先に読んでおくと、提示額の妥当性を自分で判断できます。
原稿・写真・ロゴなど支給素材の遅れで納期が2週間ずれ込む理由
LP制作の工程は直列です。原稿が固まらないとワイヤーフレームが確定せず、ワイヤーが決まらないとデザインに入れません。原稿の確定が1週間遅れると、その遅れはデザインとコーディングへ順に伝播し、公開日は2週間前後後ろへ動きます。制作会社の稼働枠が他案件で埋まれば、さらに延びます。工程ごとの日数配分と、どこが直列で詰まるかはLP制作の流れを8工程に分けて解説した記事で整理しています。
支給素材は発注前に棚卸ししてください。
- 商品・サービスの説明原稿(既存の営業資料で代替可)
- 商品写真・スタッフ写真(撮影が要るなら手配先と日程)
- ロゴのベクターデータ(aiまたはsvg)とブランドカラーの指定
- 導入企業のロゴ掲載可否(掲載許諾の取得状況)
- お客様の声・実績数値(公開可能な範囲の確認)
この中で最も詰まりやすいのが導入企業のロゴ掲載許諾です。先方の広報確認に2週間かかることも珍しくありません。発注と同時に許諾取得を始めてください。
ドメイン・サーバー・計測タグの管理権限を発注前に洗い出す手順
公開直前に発覚して困るのが、権限の所在です。ドメインの管理者が退職した前任者のアカウントのまま、サーバーの契約が別部署、広告アカウントは代理店が保有。この状態だと、制作会社が納品しても公開できません。
発注前に、ドメインの登録者と更新期限、サーバーの契約者とログイン情報の所在、解析ツールと広告アカウントの管理権限、この3系統を書き出してください。既存サイトのサブディレクトリに置くのか、新規ドメインを取るのかもここで決まります。新規ドメインなら取得と反映に数日かかるため、発注と同時に動かします。
LP制作の依頼書に記載する目的・対応範囲・スケジュールの項目
口頭の相談だけで見積もりを取ると、各社が別々の範囲を想定します。A4で2枚の依頼書を作れば、この食い違いは消えます。
依頼書で対応範囲を線引きする記載例と見落としやすい作業項目5つ
依頼書の骨格は、目的とKPI、ターゲット、支給素材の一覧、参考にしたいLPのURL、公開希望日、予算の上限。ここまでは多くの記事が触れています。抜けやすいのは範囲の境目に落ちる作業です。
| 見落としやすい作業 | 依頼書での書き方 |
|---|---|
| フォームの設置と通知 | 送信先と自動返信の要否 |
| 計測タグの設置 | 設置対象と発行者を明記 |
| スマートフォン表示 | 対応範囲を必須と記載 |
| 公開作業とサーバー設定 | 実施者を発注前に確定 |
| 公開後の軽微な修正 | 無償期間と回数を明記 |
この5つは「当然含まれる」と思い込みやすく、含まれていなければ後から追加費用になります。とくに計測タグは、設置漏れのまま広告を回すと数字が取れず、改善の起点を失う結果です。依頼書に1行入れるだけで防げます。
公開希望日から逆算した工程表と社内確認の日程を先に押さえる理由
公開希望日だけを伝えると、制作会社は自社の稼働から逆算した工程表を出します。そこに発注側の確認日程が入っていないため、社内の決裁が1週間空いた時点で計画が崩れます。依頼書には、確認に充てられる日と担当者名を書いてください。
実務では、原稿確認・ワイヤー確認・デザイン確認・公開前の最終確認という4回の関門があります。それぞれに社内の誰が出るかを先に決め、会議の枠を押さえておく。この段取りだけで、公開日のずれは大きく減ります。承認者が役員で月2回の定例でしか捕まらないなら、その定例の日程を工程表の起点に置きます。
契約前に確認する著作権の特掲・修正回数・支払期日と法令上の義務
契約書は制作会社の雛形をそのまま使う場面が多く、内容を読まずに押印すると公開後に困ります。見る箇所は多くありません。
著作権法27条・28条を特掲しないとLPの改修権が手元に残らない
著作権法61条2項には、譲渡契約で第27条(翻訳権・翻案権等)または第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)が譲渡の目的として特掲されていないとき、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定するという規定があります。つまり「著作権は甲に譲渡する」とだけ書かれた契約では、LPを改修する権利と、改修後のLPを利用する権利が制作会社側に残ると推定されます。
回避策は文言の追加だけです。「本件著作物に関する全ての著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む。)を譲渡する」と明記します。あわせて著作者人格権を行使しない旨の条項も入れておくと、公開後の改変で揉めません。将来ほかの会社に改修を頼む可能性が1%でもあるなら、この2行は交渉する価値があります。
修正回数の上限と追加費用の単価を契約書に書き込むときの条項例
見積書に「修正2回まで」とだけ書かれている場合、何をもって1回と数えるかが曖昧です。デザイン案への指摘を10項目まとめて出したら1回なのか、1項目ずつ返したら10回なのか。ここは発注前に確認して、契約書か発注書に書き込みます。
書き方は「デザイン確定までの修正は3回を上限とし、1回の修正は指摘事項をまとめた1通の連絡をもって1回と数える。上限を超える修正は1回あたり◯円とする」という粒度です。単価が決まっていれば、超過しても交渉が発生しません。方向性を変える大幅な作り直しは別料金になるのが通例のため、その線引きも聞いておきます。
フリーランスへ直接依頼するときに発注側へ課される法律上の義務
フリーランスへ直接発注する場合、発注側にも法律上の義務が生じます。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、いわゆるフリーランス・事業者間取引適正化等法が2024年11月1日に施行されました。発注事業者には、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内の報酬支払、ハラスメント対策の体制整備などが義務付けられています。
実務では、口頭やチャットの一言で発注しないことに尽きます。業務内容、報酬額、支払期日、納期を書面か電磁的方法で明示し、記録に残す。支払サイトを「翌々月末」に設定している会社は、受領日から60日を超える可能性があるため、フリーランス案件だけ支払条件を分ける運用が要ります。制作会社への発注であっても、条件を明示する運用は進行管理の助けになります。
発注後にLP制作の進行が止まる原因と発注側が握る確認タイミング
発注が済めば手が離れるという前提で計画すると、たいてい遅れます。進行が止まる原因の大半は発注側にあります。
ワイヤーフレームと初稿デザインの確認を48時間以内に返す運用
制作会社から確認依頼が届いてから返答までの時間は、そのまま納期に加算されます。1週間かけて社内を回覧すれば、公開日は1週間遅れます。返答期限を48時間と決め、その枠内で回せる確認フローを先に作っておいてください。
返し方にも作法があります。「なんとなく硬い」といった感想ではなく、どの要素をどう変えたいかを1項目ずつ書く。指摘は担当者が取りまとめて1通で送り、社内の複数人がそれぞれ制作会社へ直接連絡する形は避けます。窓口が分散すると指示が矛盾し、制作側は手を止めて確認に戻ります。
社内の決裁者を巻き込む工程の決め方と手戻りを減らす確認の順序
最も痛い手戻りは、デザインが完成した段階で決裁者が「訴求そのものを変えたい」と言い出す場面です。これは決裁者を巻き込む時期を誤ったために起きます。訴求と構成に関する承認は、原稿とワイヤーの段階で取ってください。
順序は、目的とKPIの承認、原稿と訴求の承認、ワイヤーの承認、デザインの承認。この順に上流から確定させ、確定した箇所は下流の工程で蒸し返さないというルールを社内で共有します。デザイン段階の指摘は色・写真・余白といった見た目に限る。この線引きを最初の会議で宣言しておくと、後半の混乱が減ります。
納品時に引き渡す成果物の範囲とLP公開後に改善を続ける体制の作り方
納品はゴールではなく、改善の起点です。何を受け取るかで、公開後にできることが変わります。
納品時に受け取るソースコードと支給素材の一覧を検収条件にする
検収の前に、受け取る成果物を書き出してください。HTMLとCSSとJavaScriptの一式、画像の元データ、デザインの編集可能なファイル、フォームの設定情報、計測タグの設置箇所の一覧。制作会社の管理画面上でしか編集できない形で納品されると、契約が切れた時点でLPを触れなくなります。
撮影を依頼した写真については、使用範囲の確認も要ります。LP限定の利用許諾なのか、パンフレットや他のWebページにも使えるのか。ストックフォトを使った場合はライセンスの帰属先が制作会社のままになることがあり、そのままでは他媒体に転用できません。検収時のチェック項目に入れておきます。
公開後の改修を別会社へ移せる状態にしておく引き渡し条件の作り方
公開後の改修を同じ会社に頼み続けるかどうかは、成果を見てから決められる状態にしておくのが健全です。そのために必要な条件は3つ。ソースコード一式が手元にあること、ドメインとサーバーの管理権限が自社にあること、そして著作権の特掲が済んでいること。この3つがそろっていれば、改修先はいつでも変えられます。
逆に、月額の保守契約に「解約時のデータ返還」の条項がない場合は、契約前に追記を求めてください。当社でもLP制作・ランディングページ制作のご相談を受けており、既存LPのソースコードを引き継いでの改修や、公開後の計測設計から入る形にも対応しています。引き継ぎ前提で発注できる相手かどうかは、商談の段階で確かめられます。
LP制作の外注が失敗する発注パターンと着手を見送るべき3つの条件
ここまでの内容を裏返すと、失敗の型が見えます。判断を言い切ります。
原稿が固まらないまま発注して制作が止まる典型的な失敗パターン
最も多い失敗は、原稿を後回しにした発注です。「デザインを見てから文章を考えたい」という進め方は、順序が逆になっています。訴求の順序が決まらないとワイヤーは組めず、仮の文章でデザインを起こせば、原稿確定後に作り直しが発生します。
原稿が書けないなら、書ける会社へ原稿から依頼してください。中途半端に「骨子だけ社内で作る」と決めると、骨子の完成を待って全工程が止まります。デザインだけを安く買う発注は、原稿が手元にある場合にのみ成立します。
広告予算も計測環境もない段階でLP制作の発注を見送るべき条件
LPは作った瞬間には人が来ません。検索で自然に上位表示されるページでもないため、流入は広告かメールか既存の導線から作ります。広告予算が確保されておらず、解析ツールの設置もこれからという段階なら、LP制作の発注は見送ってください。先に流入の当てを作るほうが先です。
判断の目安を置きます。3か月以内に広告の出稿が決裁される見込みがない、または月次で数字を見る担当者が決まっていない。このどちらかに当てはまるなら着手を止めます。広告側の費用感と運用体制についてはリスティング広告の運用と費用を整理した記事を先に読み、出稿の絵を描いてから制作の発注に進んでください。既存顧客への案内など、広告に頼らない流入が確保できている場合はこの限りではありません。
よくある質問
LP制作の外注について、発注前に相談を受けることの多い5点をまとめます。
LP制作の外注費用はどのくらい見ておけばよいですか?
依頼範囲によって幅が大きく、原稿から任せるか、デザインとコーディングだけを買うかで金額は変わります。単純な相場表を予算の根拠にすると、対応範囲の違う見積もりを金額だけで比べる構図です。価格帯ごとの内訳と、広告費から逆算して上限額を決める方法はLP制作の費用相場を整理した記事にまとめています。見積もりを取る前に、依頼範囲を先に固めてください。
原稿は自社で書くべきですか、制作会社に任せてよいですか?
商材を語れる人が社内にいるかどうかで決めます。既存の営業資料から見出しと本文の下書きを2時間で起こせるなら、自社で書いたほうが訴求は的確になり、費用も抑えられます。手が止まるなら、ライターを抱える会社へ原稿から依頼してください。中間の「骨子だけ社内で作る」という進め方は、骨子の完成待ちで全工程が止まるため勧めません。原稿の下書きを生成AIに任せられるかを含め、道具側から先に検討したい場合はLP制作ツールとAIがどこまで使えるかを整理した記事を参照してください。
LP制作の依頼から公開までどれくらいの期間がかかりますか?
原稿と素材がそろった状態で発注した場合、1か月前後を目安に置いてください。原稿から依頼する場合や、撮影を挟む場合はさらに2〜4週間が加算されます。期間を左右するのは制作会社の速度よりも、発注側の確認速度と決裁の回数です。確認依頼への返答を48時間以内に返す運用を決め、承認者の日程を工程表の起点に置くと、想定どおりに収まります。
契約書は制作会社の雛形をそのまま使って問題ありませんか?
2か所だけ確認してから押印してください。1つは著作権の譲渡条項に「著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む」という特掲があるか。この記載がないと、LPを改修する権利が制作会社に留保されたものと推定されます。もう1つは修正回数の上限と超過時の単価です。何をもって1回と数えるかまで書かれているかを見ます。この2点が整っていれば、雛形をベースにして構いません。
公開後の修正は誰が担当するのが現実的ですか?
文言や画像の差し替えといった軽微な修正は自社で回せる形にしておき、訴求の作り直しやフォームの改修は制作会社へ依頼する切り分けが現実的です。そのためには、ソースコード一式と編集可能なデザインファイルを納品時に受け取り、サーバーの管理権限を自社に置いておく必要があります。月額の保守契約を結ぶ場合も、解約時のデータ返還条項を確認したうえで契約してください。
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