Google Agentspaceとは?現在は「Gemini Enterprise」に統合|機能・料金を解説
「Google Agentspace(グーグル・エージェントスペース)」を調べている方に最初にお伝えすべき重要な変更があります。Google Agentspaceは2025年10月9日(米国時間)に「Gemini Enterprise(ジェミニ・エンタープライズ)」へ名称変更され、機能を拡充して再発表されました。現在、旧Agentspaceの機能はGemini Enterpriseに引き継がれています。この記事では、旧名で検索した方が知りたい「結局これは何で、いま何ができて、いくらかかるのか」を、改称後の最新情報にもとづいて整理します。
目次
まとめ
本題に入る前に要点を先に示します。
- 名称変更:Google Agentspaceは2025年10月9日にGemini Enterpriseへ改称・統合された。サービス自体は連続しており、別製品に置き換わったわけではない。
- 正体:開発者向けの「エージェント開発ツール」ではなく、全社員が使う企業向けAIプラットフォーム。社内データの横断検索、AIアシスタント、業務を実行するAIエージェントを1つの入口に束ねるのが本質。
- 料金:ユーザー単位の月額ライセンス制で、Business(約$21)/Standard(約$30)/Plus(約$50〜・要見積)/Frontline(要問い合わせ)のエディション構成(いずれも年間コミット時の目安)。無料のStarterもあるがデータ利用に注意。
- 旧Agentspace利用者:Gemini Enterpriseへ自動的に引き継がれ、Standardでは新たにGemini Code Assist Standardなどの特典が加わった。
以下で、改称の経緯、機能、料金、旧Agentspaceからの変化を順に詳しく見ていきます。
Google Agentspace(現 Gemini Enterprise)とは何か
Gemini Enterprise(旧 Google Agentspace)は、Googleが提供する企業向けの統合AIプラットフォームです。社内に散在する文書やデータを横断的に検索し、Geminiモデルを基盤としたAIアシスタントが質問に答え、さらに業務を自律的に進めるAIエージェントを作成・運用できます。狙いは、社員が日々の調査・意思決定・定型作業を「1つの入口」で完結できるようにすることにあります。エンジニアでなくても使える点が特徴で、開発者がエージェントを一から構築するVertex AI Agent Builderのような開発者向け基盤とは想定ユーザーが異なります。
名称変更のタイムライン
混乱しやすいので、これまでの経緯を時系列で整理します。元々は「Agentspace」という名前で始まり、その後の改称で現在の姿になりました。
- 2024年12月:Google AgentspaceとしてEarly Access(早期アクセス)提供を開始。
- 2025年7月31日:一般提供(GA)を開始。
- 2025年10月9日:Gemini Enterpriseへ改称し、機能を追加して再発表(米国時間。日本では10日朝に伝わった)。公式ドキュメントや管理画面の表記も一新された。
- 2026年4月22日:Google Cloud Next ’26で、開発者向けのVertex AIと社員向けのAgentspace系を1つのコントロールプレーンで扱う統合基盤として再構成された。
2026年時点でも、技術記事や過去資料では「Agentspace」名義の言及が残るため、しばらくは新旧の呼称が併用される見込みです。
紛らわしい「同名の別サービス」に注意
注意点として、過去にGoogle Workspaceのアドオンにも「Gemini Enterprise」という名称のサービスが存在しました。本記事で扱うのは、旧Google Agentspaceを引き継いだGoogle Cloud側のAIエージェント基盤であり、過去のWorkspaceアドオンとは別物です。なお、このWorkspace向けアドオン版Gemini(旧 約$20/$30)は2025年初頭にWorkspaceの基本プランへ統合され、単体アドオンとしての販売は終了しています。検索結果で両者が混在することがあるため、「旧Agentspaceの後継かどうか」で見分けると確実です。
Gemini Enterprise(旧 Agentspace)でできること・主な機能
旧Agentspaceから引き継がれ、拡張された主な機能は次のとおりです。「検索」「アシスタント」「エージェント」の3層で捉えると理解しやすくなります。
社内データの横断検索とコネクタ連携
社内のどこかにある情報を見つけられない、データが複数ツールに散らばっている、といった課題に対し、Gemini Enterpriseは各種データソースをコネクタで接続し、横断的に検索・参照できるようにします。Google Workspaceにとどまらず、Microsoft 365やSalesforceなど社外ツールとも連携できる点が、単体のチャットAIとの大きな違いです。
Geminiベースの企業向けAIアシスタント
基盤モデルにはGeminiが用いられ、接続された社内データを根拠に、要約・分析・回答を行います。最新世代のGemini 3もGemini Enterprise上で利用可能になっており、長文脈処理やマルチモーダル対応といったモデル側の進化がそのまま業務に活きます。モデル自体の詳細はGemini 3 Proとは何か?2025年登場のGoogle最新AIモデルの概要と驚異的性能のポイントもあわせてご覧ください。
AIエージェントの作成・運用
あらかじめ用意されたプリビルトのエージェントを使うほか、ノーコードで独自エージェントを作る、あるいはフルコードで高度なエージェントを作り込む、といった段階的な選択ができます。コードを書けるチームは開発者向けのキットと組み合わせ、書けないチームはノーコードで業務エージェントを用意する、という使い分けが現実的です。自社サービスへの組み込みを視野に入れる場合は、エージェント開発の仕組みを解説したADK 2.0の全体像とWorkflow Runtime導入で変わった実行の仕組みが参考になります。用途特化のカスタムAIという観点では、Gemini Gemsとは?最新のカスタムAIツールの基本概要や特徴・機能を初心者向け入門ガイドで解説も近い考え方です。
開発支援・周辺サービスの同梱
Standard以上のエディションには、開発チーム向けのAIコーディング支援であるGemini Code Assistへのアクセスが含まれます(公式のGemini Enterpriseページでも明記)。改称前のAgentspaceには付属していなかった特典で、再発表時の拡充点の一つです。コーディング支援そのものの概要はGemini Code Assistとは何か?概要と登場の背景を詳しく解説で確認できます。このほか、社内文書を扱うNotebookLM Enterpriseなどと組み合わせて利用するケースもあります。
Gemini Enterprise(旧 Agentspace)の料金・エディション
料金は、組織の規模と必要なセキュリティ要件に応じたエディション別の月額ライセンス制(ユーザー課金)です。主なエディションの目安を整理します。料金は改定されることがあるため、契約前に必ず公式情報で最新額を確認してください。
| エディション | 月額目安(USD・年間コミット) | 主な対象 | 購入方法 |
|---|---|---|---|
| Business | 約$21 | 中小・チーム(〜300名) | オンライン可・無料トライアルあり |
| Standard | 約$30 | 大規模組織・無制限 | 営業へ問い合わせ |
| Plus | 約$50〜(要見積) | 規制業界・データ主権重視 | 営業へ問い合わせ |
| Frontline | 要問い合わせ | 現場担当者(150名前提) | 営業へ問い合わせ |
| Starter | 無料 | 試用・小規模 | 無料トライアル後に継続可 |
表の金額は年間コミット時の目安です。月次契約(コミットなし)ではStandardが約$35、Plusが約$60とやや高くなります。Standardは高度なセキュリティ・ガバナンス機能(VPC Service Controls、顧客管理の暗号鍵など)に対応し、前述のGemini Code Assistを含みます。Plusはデータ主権対応や大容量ストレージが必要な規制業界向けです。利用量はプール型のクォータで管理され、超過分は従量課金となるため、想定利用量の見積もりが重要です。
無料Starter利用時の重要な注意
無料で始められるStarterは便利ですが、注意点があります。有料エディション(Business・Standard・Plus)では顧客データがモデルの学習に使われないことが公式に明記されている一方、無料のStarterでは入力データがGoogleのモデル改善に利用される場合があります。データの取り扱い条件はエディションや時期で変わり得るため、機密性の高い社内データを扱う本番運用では、学習にデータが使われない有料エディションを選ぶのが基本です。
旧Google Agentspaceからどう変わったか
すでにAgentspaceを利用していた組織にとって、改称は単なる名前の変更にとどまりません。Gemini Enterpriseへの再発表に伴い、Standard以上では新たにGemini Code Assistへのアクセスが加わるなど、利用できる特典が増えました。既存のAgentspace契約は、契約満了まで機能・料金・サポートがそのまま維持され、更新のタイミングで自動的にGemini Enterpriseへ移行します。なお「Agentspace」名義での新規契約(新規販売)は2025年12月31日をもって終了しました。今後もAI関連機能が順次追加され、AIアシスタントのプラットフォームとして拡張していく方針が示されています。旧Agentspaceのドキュメントやコンソール表記はGemini Enterpriseへ移行済みのため、古い手順を参照している場合は最新版に読み替える必要があります。
導入の進め方
導入は、必要なエディションを選ぶところから始まります。Businessはオンラインで30日間の無料トライアルに登録し、そのまま購入できます。一方、Standard・Plus・Frontlineは契約がオンラインで完結せず、Google Cloudの営業担当者への問い合わせが必要です。料金はGoogle Cloudの請求先アカウントに紐づけて管理し、コンソールのレポート機能で費用傾向の分析や予算アラートの設定ができます。まずはBusinessまたはStarterで小さく試し、効果を確認してから全社展開する進め方が無理がありません。
主な活用シーン
Gemini Enterprise(旧 Agentspace)は、特定の部門に限らず全社的に使える点が強みです。代表的な使われ方を挙げます。
- 社内情報の検索・要約:複数のツールに散らばった規程・議事録・仕様書を横断検索し、根拠付きで要約させる。「どこにあるか分からない情報」を探す時間を削減できる。
- カスタマーサポート:問い合わせ内容に応じて社内ナレッジから回答案を生成し、一次対応の負荷を下げる。
- 営業・マーケティング:商談履歴の要約や提案資料のたたき台作成、顧客データの分析に活用する。
- バックオフィス:法務・人事・総務などで、契約書の確認補助や社内手続きの問い合わせ対応をエージェントに任せる。
いずれも、まず用途を絞った業務エージェントから始め、効果を確認しながら適用範囲を広げるのが成功しやすい進め方です。全社員にライセンスを配って自由に使ってもらうよりも、効果の出やすい業務に絞って導入する方が定着しやすい傾向があります。
よくある質問(FAQ)
Google AgentspaceとGemini Enterpriseは何が違いますか?
基本的に同じ製品です。Google Agentspaceが2025年10月9日(米国時間)にGemini Enterpriseへ改称・再発表されました。別サービスへの置き換えではなく、機能を引き継ぎつつ拡充されたものと理解して問題ありません。
これは開発者がエージェントを作るためのツールですか?
いいえ、主な想定ユーザーは一般の社員です。社内データの横断検索とAIアシスタント、業務エージェントを束ねた企業向けプラットフォームであり、開発者がモデルを一から作り込む用途には開発者向けのVertex AIやエージェント開発キットを組み合わせます。「社員が使う入口」と「開発者が作る基盤」を分けて考えると整理しやすくなります。
無料で使えますか?
無料のStarterエディションがあり、Businessには30日間の無料トライアルもあります。ただしStarterでは入力データがモデル改善に利用される場合があるため、機密データを扱う業務では、学習にデータが使われない有料エディションの利用が推奨されます。
料金はいくらですか?
ユーザー単位の月額制で、目安はBusinessが約$21、Standardが約$30(いずれも年間コミット時)です。Plusは約$50〜、Frontlineは要見積・要問い合わせとなります。為替や契約条件(年間コミットか月次か等)で変動するため、最新の正確な金額は公式情報で確認してください。
どんなデータソースと連携できますか?
Google Workspaceに加え、Microsoft 365やSalesforceなど社外の業務ツールともコネクタで連携できます。これにより、ツールをまたいで散在する情報を横断的に検索・活用できます。
旧Agentspaceで使っていた設定やデータは引き継がれますか?
改称はサービスの連続した移行として行われ、ドキュメントや管理画面の表記がGemini Enterpriseへ一新されました。旧Agentspaceの利用は後継のGemini Enterpriseとして継続される形です。具体的な移行手順や注意点は、契約状況により異なる場合があるため、最新の公式ドキュメントで確認することをおすすめします。
セキュリティ面は安全ですか?
有料エディションでは顧客データがモデルの学習に使われません。さらにStandard・PlusではVPC Service Controlsや顧客管理の暗号鍵(CMEK)、Plusではデータ主権への対応など、企業利用を前提とした統制機能が用意されています。要件が厳しい業界ほど上位エディションが選ばれます。