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Vertex AI Agent Builderとは?Gemini Enterprise Agent Platform改称後の全体像・料金・使い方

Vertex AI Agent Builderは、Google CloudでAIエージェントを構築・運用するためのサービス群です。ただし2026年4月のGoogle Cloud Next ’26で、Vertex AIはGemini Enterprise Agent Platformへ統合・改称されました。「Vertex AI Agent Builder」という単独の製品名は表舞台から退き、Agent Development Kit(ADK)、Agent Engine、Agent Studioといった機能群がこの新プラットフォームの下にまとまっています。本記事は、改称で何が変わったのか、料金と無料枠、AIエージェントの作り方、MCP対応までを2026年7月時点の一次情報で整理します。

まとめ

  • 「Vertex AI Agent Builder」はGemini Enterprise Agent Platformへ統合改称された(2026年4月・Cloud Next ’26)。既存ユーザーは移行不要で、サービス実体は同じまま名称だけが変わっている。
  • 中核はコードファーストのADK(Python版は2026年5月に2.0がGA)、マネージドランタイムのAgent Engine、ローコードのAgent Studio、根拠付けを担うVertex AI Searchの4本柱。
  • 料金は月額固定なしの従量課金。新規は90日間$300クレジット、Express Modeなら課金なしで試せる。
  • MCP・A2Aプロトコルにネイティブ対応し、GeminiだけでなくClaude(Anthropic)を含む200超のモデルを切り替えられる。

以下、改称の対応関係、各コンポーネント、作り方の手順、料金、外部連携、そして導入を判断する基準の順に掘り下げます。

プラットフォームとしてのVertex AI(機械学習モデルの学習・提供・監視)全体の定義や基盤機能は、Vertex AIとは?機能・料金とSageMaker・Azure MLとの違いで整理しています。

Vertex AI Agent Builderの現在地:Gemini Enterprise Agent Platformへの統合

2026年4月のGoogle Cloud Next ’26で、GoogleはVertex AIをGemini Enterprise Agent Platformへ改称し、従来別々だったVertex AIとAgentspaceを1つのエージェント基盤へ統合しました。Google Cloudコンソールで「Vertex AI」を開こうとすると、現在はAgent Platform側へ誘導されます。ただし既存顧客に移行作業は求められていません。Googleの案内では「サービスは同一で、新しい名前の下に置かれただけ」とされ、APIやリソースはそのまま利用を継続できます。

検索でよく見られる「vertex ai 名称変更」「vertex ai 名前変更」という疑問は、この改称を指しています。旧称と新しい呼称の対応は次の通りです。

旧称 Gemini Enterprise Agent Platformでの呼称 役割
Vertex AI Agent Builder Agent Platform(Agents) エージェント構築の総称
Vertex AI Agent Engine Agent Engine / Deployments マネージドランタイム
Vertex AI Studio Agent Studio ローコードのビジュアル開発
Vertex AI Search Vertex AI Search(検索) RAG根拠付け

なお2025〜2026年にかけて旧Vertex AI SDKの一部モジュールが非推奨化され、Google Gen AI SDKやADKへの移行が進んでいます。既存コードを保守している場合は、非推奨モジュールの移行期限を公式ドキュメントで確認しておくと安全です。

Gemini Enterprise Agent Platformの4本柱と主要コンポーネント

Gemini Enterprise Agent Platformは「Build(構築)/Scale(拡張)/Govern(統制)/Optimize(最適化)」の4本柱で整理されています。旧Vertex AI Agent Builderで使えた機能は、次のコンポーネントとして継続しています。

Agent Development Kit(ADK):コードファーストの開発キット

ADKはPythonなどでエージェントのロジックを直接記述するオープンソースの開発フレームワークです。ADK for Pythonは2026年5月19日に2.0がGAとなり、グラフベースのワークフローランタイムなどが加わりました。対応言語はPython(2.0)・Go(1.0)・Java(1.0)・TypeScriptに、Android/オンデバイス向けのKotlin(0.1.0・早期プレビュー)を加えた5系統です。モデル非依存の設計のため、エージェント本体を書き換えずにGeminiとClaudeなどを差し替えられます。手早くGUIで組みたい場合はAgent Studio、細かい制御や独自ツール連携が必要な場合はADK、という住み分けになります。

Agent Engine:本番運用のマネージドランタイム

Agent Engine(新コンソールではDeploymentsとして扱われる)は、作ったエージェントを本番環境へデプロイし、スケーリング・セッション管理・監視までを引き受けるマネージドランタイムです。サーバーの用意やオートスケール設定を自前で組む必要がなく、課金は実際に消費したvCPU時間・メモリ時間に比例します。競合するマネージドエージェント基盤としてはAmazon Bedrock AgentCoreがあり、Amazon Bedrock AgentCoreのデプロイの仕組みと比較すると、料金体系と対応モデルの違いが判断材料になります。

Agent Studio:ローコードのビジュアル開発

Agent Studioは、コードを書かずに会話フローやツール接続を組み立てるローコードのビジュアルビルダーです。「ノーコード・ローコードで素早く作りたい」という需要はここが担います。プロンプトとデータソースを指定するだけで検索エージェントやFAQ応答エージェントを立ち上げられるため、業務部門主導のPoCに向きます。同種のローコードエージェント作成ツールを検討しているなら、MicrosoftのCopilot Studioの機能と料金と並べて比較すると選定の軸が定まります。

Vertex AI SearchとRAG:社内データを根拠にする

Vertex AI Searchは、社内ドキュメントやデータストアを検索し、その内容を根拠としてエージェントの回答を生成させる(RAG=検索拡張生成)ためのコンポーネントです。ハルシネーションを抑えつつ社内ナレッジに沿った回答を返せるため、社内ヘルプデスクやナレッジ検索の中核になります。検索結果のランキング精度を高める手法としてはRRF(Reciprocal Rank Fusion)によるスコア統合が知られており、複数の検索結果を束ねる際の考え方はRAG設計にそのまま応用できます。

ADKでAIエージェントを作る手順

「vertex ai agent builder 使い方」「aiエージェント 作り方」で求められるのは、実際に動くエージェントを立ち上げるまでの流れです。ADKを使う場合、最小構成は次の3ステップで済みます。

  1. Google Cloudプロジェクトを用意し、対象APIとADKパッケージをインストールする。
  2. エージェント定義(使用モデル・指示文・ツール)をコードで記述する。
  3. ローカルで動作確認し、Agent Engineへデプロイして公開する。

エージェント定義そのものは短く、使用するモデルと指示文、呼び出すツールを渡すだけで動きます。

from google.adk.agents import Agent

def search_faq(query: str) -> str:
    "社内FAQを検索して該当箇所を返すツール"
    ...

root_agent = Agent(
    name="helpdesk_agent",
    model="gemini-2.5-flash",
    instruction="社内FAQに基づき日本語で簡潔に回答する。根拠が無ければ不明と答える。",
    tools=[search_faq],
)

このエージェントをローカルで検証したのち、Agent Engineへデプロイすればスケーリングとセッション管理はランタイム側が引き受けます。GUIで完結させたい場合は、同じ構成をAgent Studioの画面から組み立てても構いません。

料金体系と無料枠

Gemini Enterprise Agent Platformに月額固定料金はなく、使った分だけ支払う従量課金です。「vertex ai agent builder pricing」で確認したい主な単価は次の通りです(2026年7月時点・USD建て。単価は改定されるため最新は公式料金表で確認してください)。

課金対象 単価
Agent Engine(vCPU) $0.0864 / vCPU時間
Agent Engine(メモリ) $0.0090 / GB時間
セッション・メモリ保存 $0.25 / 1,000イベント
Vertex AI Search(標準) $1.50 / 1,000クエリ
Vertex AI Search(生成回答付き) $4.00 / 1,000クエリ
Vertex AI Search(会話型) $6.00 / 1,000クエリ

これらに加えて、エージェントが呼び出すGeminiやClaudeなどのモデル利用トークンはモデルごとに別課金です。実際のコストは「ランタイム稼働+検索クエリ+モデルトークン」の合計になるため、単価表だけでなく想定リクエスト量から見積もる必要があります。セッション・メモリ関連の課金は2026年に段階的に適用され、Agent Gateway(Agent-to-Anywhere)は2026年7月13日から、Memory Bankは2026年9月1日から課金対象になります(適用開始日は改定されるため公式料金表で確認してください)。

無料で試す手段も用意されています。Agent Engineには毎月50 vCPU時間・100 GB時間の常時無料枠があり、加えて新規顧客には90日間有効な$300のクレジットが付与されます。請求設定なしで動かしたい場合はExpress Modeを使えます。「vertex ai 無料枠」で検索する場合、まずは常時無料枠かExpress Modeの範囲で小さく検証するのが定石です。

外部連携:MCP・コネクタ・A2Aプロトコル

エージェントを実務で使うには、社内システムや外部サービスとつなぐ必要があります。Gemini Enterprise Agent Platformは複数の連携方式を用意しています。

MCPネイティブ対応:BigQuery・Google Mapsのツール接続

「vertex ai agent builder mcp」で問われるMCP(Model Context Protocol)は、エージェントに外部ツールやデータソースを標準化された形で接続する仕組みです。当プラットフォームはMCPサーバーにネイティブ対応しており、BigQueryやGoogle MapsなどをMCP経由でツールとして呼び出せます。独自のMCPサーバーを立てれば、社内APIを標準プロトコルでエージェントに渡せます。

プリビルトコネクタとApigee

SaaSや業務システムとの接続には、あらかじめ用意されたプリビルトコネクタを使います。REST APIやレガシーシステムを介した連携には、API管理基盤のApigeeを組み合わせることで、認証・レート制御・監査を挟んだ安全な接続を構成できます。

Agent2Agent(A2A)プロトコル

A2A(Agent2Agent)プロトコルは、異なるエージェント同士がベンダーをまたいで協調するためのオープンな規格で、2026年に本番運用段階へ移行しました。1つのエージェントで完結しない業務を、役割の異なる複数エージェントに分担させる際の共通言語になります。OSSのマルチエージェント基盤の設計思想を掴みたい場合は、BeeAIフレームワークのマルチエージェント構成も参考になります。

導入を判断する基準

Gemini Enterprise Agent Platformは強力ですが、すべてのケースで最適とは限りません。次の条件に当てはまるなら有力候補です。

  • すでにGoogle Cloud(BigQuery・Google Workspace等)に社内データが集まっている。
  • 本番運用のスケーリング・監査・ガバナンスを自前で組みたくない。
  • GeminiとClaudeを用途で使い分ける、あるいは将来モデルを差し替える前提がある。

逆に、単発の実験や小規模チャットボットを作るだけなら、フルのエージェント基盤は過剰です。Express Modeや軽量なフレームワークで十分なことが多く、従量課金の管理コストがかえって重荷になります。また社内データがMicrosoft 365中心なら、統合の手数はCopilot Studio側が少ない場面があります。「Google Cloudに寄せているか」「本番運用のガバナンスを外部委任したいか」の2点が、採用可否を分ける実務的な基準です。

よくある質問

Vertex AI Agent BuilderはGemini Enterprise Agent Platformと同じですか?

実体は同じです。2026年4月のCloud Next ’26でVertex AIがGemini Enterprise Agent Platformへ統合改称され、Vertex AI Agent Builderの機能はこの新プラットフォームの下に置かれました。既存ユーザーの移行は不要です。

Vertex AI Agent Builderの料金はいくらですか?

月額固定はなく従量課金です。Agent Engineは$0.0864/vCPU時間・$0.0090/GB時間、Vertex AI Searchは1,000クエリあたり$1.50〜$6.00、これにモデル利用トークンが別途加算されます。最新単価は公式料金表で確認してください。

無料で試せますか?

試せます。新規顧客には90日間有効な$300のクレジットが付与され、Express Modeなら請求設定なしで限定的に利用できます。

MCPに対応していますか?

対応しています。MCPサーバーにネイティブ対応し、BigQueryやGoogle Mapsなどをツールとして接続できます。独自のMCPサーバーを介した社内API連携も可能です。

ADKはどのプログラミング言語に対応していますか?

Python・Go・Java・TypeScript・Kotlinの5系統に対応しています。ADK for Pythonは2026年5月に2.0がGAとなり、Go・Javaは1.0が安定版、Android/オンデバイス向けのKotlinは0.1.0の早期プレビュー段階です。あわせて、Vertex AI Feature Storeについても解説しています。

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