Claude Codeで動画を編集・生成・読み込みする方法|スキル×FFmpeg×Remotion
Claude Codeで動画を扱う需要は「編集を自動化したい」「動画から動画を生成したい」「動画の中身をClaudeに読み込ませたい」の3つに分かれます。前提として押さえておきたいのは、Claudeが直接理解できるのは画像・テキストで、動画ファイルをそのまま再生して見るわけではないという点です。動画処理はスキル(SKILL.md)とFFmpeg・Remotionといった外部ツールを組み合わせて実現します。本記事は、動画の読み込み・編集・生成それぞれの具体的な手順と、実在するスキル、つまずきやすいFFmpegの依存環境までを実例で整理します。
まとめ|動画の読み込み・編集・生成でやることの結論
動画の読み込み(内容解析)は、FFmpegで動画をフレーム画像へ分割し、音声をWhisperで文字起こしして、その画像群とテキストをClaudeに渡すのが基本です。Claudeは動画を直接再生しないため、この「フレーム+文字起こし」への変換がスキルの役割になります。編集は、結合・トリミング・字幕付与・音声差し替え・尺調整をFFmpeg型スキルにコマンド生成させる形が中心で、YouTubeや縦型ショート向けの解像度変換も定型化できます。生成は、実写を加工するFFmpeg型と、Remotion(React/TypeScript)でコードとして動画を作るRemotion型で使い分けます。
導入の優先順位は目的で決めます。既存素材の編集が多いならFFmpeg型スキル、テロップ主体の説明動画をコードで量産したいならRemotion型、動画の内容確認やレビューを任せたいなら読み込み系スキルから始めるのが実務的です。いずれもFFmpeg・yt-dlp・Whisperといった依存ツールの導入と、ブラウザ再生互換(yuv420p)の設定でつまずきやすいので、その勘所も後半にまとめました。
Claudeで動画を扱う仕組みとスキル・FFmpegの役割分担
なぜ動画処理にFFmpegやフレーム分割が必要になるのか、スキルは何を担うのかを先に押さえます。ここを理解しておくと、読み込み・編集・生成のどの手順も同じ考え方で組めます。
Claudeが直接扱う入力は画像とテキスト(動画は変換が前提)
Claudeの入力はテキストと画像が基本で、動画ファイルをタイムラインとして再生・解析する機能は持ちません。そのため「動画を読み込ませる」処理は、実体としては動画をフレーム(静止画)と音声(文字起こし)に変換し、その結果をClaudeへ渡す作業になります。逆に「動画を編集・生成する」処理は、ClaudeにFFmpegやRemotionのコマンド・コードを書かせ、それを実行して動画ファイルを出力する作業です。どちらもClaude自身が動画を触るのではなく、外部ツールを介する点が共通の設計です。
SKILL.mdを起点に手順とスクリプトを束ねるスキルの構造
スキルは、名前と説明・手順を書いたSKILL.mdを起点に、スクリプトやテンプレートを1つのフォルダへまとめた仕組みで、関連する依頼のときだけ読み込まれます(段階的開示)。Anthropicが2025年10月に公開したエージェントスキルの機能で、公式提供はdocx・pptx・xlsx・pdfの書類系が中心です。動画系は公式標準ではなく、後述するコミュニティ提供のスキルを導入して使います。スキルの構造やSKILL.mdの書き方そのものはClaude Skillsとは何か・SKILL.mdの書き方で詳しく解説しているため、本記事では動画に絞ります。
スキルとMCPの違いは「手順を持たせる」か「外部と繋ぐ」か
スキルはClaude自身に処理手順を持たせる仕組み、MCP(Model Context Protocol)は外部サービスやシステムへ接続する仕組みです。ローカルの動画ファイルをFFmpegで加工する作業はスキル向き、動画共有サービスや社内ストレージから素材を取得する作業はMCP向き、と切り分けると迷いません。両者は併用でき、MCPで素材を取り込み、スキルで加工する連携も組めます。
Claude Codeに動画を読み込ませて内容を解析する手順
「Claude Codeで動画を読み込みたい」「動画の内容を要約・レビューさせたい」という需要への具体手順です。要点は、動画をそのまま渡しても解析されないため、フレームと音声に分解してから渡すことにあります。
「フレーム画像+文字起こし」への分解とClaudeへの受け渡し
動画は本質的に連続したフレーム(画像)と音声の組み合わせです。内容解析では、数秒ごと、あるいはシーンが切り替わったタイミングのフレームを抜き出し、音声を文字起こしして、その画像群とテキストをClaudeに時系列で渡します。Claudeは複数画像の入力に対応しているため、抜き出したフレームを順に渡せば、映像の流れとナレーションを突き合わせた解析ができます。
ffmpegによるフレーム抽出(等間隔とシーン変化検出)
もっとも単純なのは一定間隔での抽出です。次は1秒あたり1枚を書き出す例です。
ffmpeg -i input.mp4 -vf fps=1 frames/out_%04d.png
枚数を抑えつつ変化のある場面だけ拾いたいときは、シーン変化スコアが閾値を超えたフレームだけを抜き出します。変化が検出されない動画では枚数がゼロになりやすいので、その場合は上の等間隔モードに切り替えます。
ffmpeg -i input.mp4 -vf "select='gt(scene,0.3)',showinfo" -vsync vfr frames/scene_%04d.png
音声の文字起こし(Whisper)をフレームに添える
映像だけでは会話や指示が拾えないため、音声を文字起こしして添えます。FFmpegでWhisper向けに16kHzのモノラル音声を抜き出し、ローカルのWhisperで書き起こす流れが定番です。
ffmpeg -i input.mp4 -vn -ac 1 -ar 16000 -acodec pcm_s16le audio.wav
whisper audio.wav --model medium --language ja
Whisperの導入や精度・話者分離の扱いはWhisperを使ったリアルタイム文字起こしの実現方法にまとめています。抽出したフレームとこの文字起こしをセットで渡すと、Claudeの解析精度が安定します。
読み込みをワンショット化するスキル(claude-videoなど)
抽出と文字起こしを毎回手で回すのは手間なので、これらを1つにまとめた読み込み系スキルがあります。オープンソースのclaude-videoは、動画URLやローカルパスを渡すと必要な範囲だけをダウンロードし、字幕の取得・ffmpegでのフレーム抽出・(字幕が無ければ)Whisperでの文字起こしを行ってClaudeに渡します。画面録画をClaudeにレビューさせる用途でMCPサーバーを自作する事例もあり、「動画を渡すだけで内容を把握させる」ワークフローはスキルやMCPとして再利用できる形になっています。
Claude Codeで動画を編集する(結合・字幕・音声差し替え・尺調整)
既存の素材を加工する編集は、FFmpeg型スキルにコマンドを生成・実行させるのが中心です。何ができるか、どのスキルを使うかを具体的に示します。
FFmpeg型スキルでできる主な編集操作
依頼を日本語で伝えると、スキルが対応するFFmpegコマンドを組み立てて実行します。よく使う操作は次のとおりです。
| やりたいこと | FFmpegの中心オプション |
|---|---|
| 複数クリップの結合 | -f concat -safe 0 -i list.txt -c copy |
| トリミング(切り出し) | -ss 00:00:05 -to 00:00:20 -c copy |
| 字幕(SRT)の焼き込み | -vf subtitles=sub.srt |
| 音声の差し替え | -i video.mp4 -i bgm.mp3 -map 0:v -map 1:a |
| 再生速度・尺の調整 | -filter:v setpts=0.5*PTS -filter:a atempo=2.0 |
| 解像度・縦横比の変換 | -vf scale=...,pad=... |
各オプションの意味や、動画変換・音声抽出の基本コマンドはFFmpegの使い方とコマンド一覧で確認できます。スキルはこれらを自動で組み立てるので、利用者は「30秒に縮めて字幕を焼いて」といった依頼を出すだけで済みます。
YouTube・縦型ショート向けの解像度プリセット
配信先ごとに要求される解像度・縦横比は決まっているため、プリセット化しておくと安定します。縦型ショート(1080×1920)へ変換し、はみ出しを黒帯で埋める例です。
ffmpeg -i input.mp4 -vf "scale=1080:1920:force_original_aspect_ratio=decrease,pad=1080:1920:(ow-iw)/2:(oh-ih)/2" -c:a copy short.mp4
FFmpeg型スキルの多くは、YouTube・Instagram・TikTok向けの解像度やビットレートをあらかじめ持っており、プラットフォーム名を指定するだけで適切な設定に切り替えられます。
実在するFFmpeg型スキルと導入のしかた
動画編集向けの代表的なスキルには、FFmpegの定番操作をまとめたclaude-ffmpeg-skillや、FFmpeg後処理に加えてRemotion・Manim・画面録画・切り抜きまでを束ねたClaude Code Video Toolkitがあります。導入は、スキルのフォルダを~/.claude/skills/配下に置いてClaude Codeに認識させ、「この動画を結合して字幕を付けて」のように依頼するだけです。自動で起動しないときはスキル名を明示して呼び出します。無料配布のスキルはメンテナンス継続性を確認したうえで採用してください。
Claude Codeで動画を生成・作成する(Remotionによるコード生成)
素材の加工ではなく、テロップやアニメーションを一から作る「生成」は、Remotionを使ったコード生成が有力です。FFmpeg型との違いも含めて整理します。
Remotionによる動画のコード生成(React/TypeScript)
Remotionは、React/TypeScriptで動画を記述するフレームワークです。useCurrentFrame()やinterpolate()、spring()、<Sequence>、<Composition>を組み合わせ、テキスト・色・タイミングをコードで指定します。出力は毎回同じ結果になる決定的な動画で、後から数値を変えれば何度でも再レンダリングできるため、ブランドを揃えたテロップ動画や説明動画の量産に向いています。
Remotion専用スキルでフレーム単位記法を守らせる必要性
Remotionはアニメーションの考え方がWebのCSSアニメーションと異なり、フレーム単位で状態を計算します。スキルなしだとClaudeがWeb向けのアニメーション記法を持ち込んでレンダリングが壊れがちなので、claude-remotion-skillのようなRemotion専用スキルを入れて、正しい記法を守らせるのが確実です。音声合成はElevenLabs、AI生成の映像素材はfal.aiなどを組み合わせ、Remotionで最終的なタイムラインに組み上げる構成も使われています。
FFmpeg型(実写加工)とRemotion型(コード生成)の使い分け
判断はシンプルです。手元に実写やスクリーン録画があり、それを切って繋いで整えるならFFmpeg型が向きます。素材がなく、テロップ・図解・データの可視化をゼロから作るならRemotion型が向きます。実写クリップにコード生成のテロップを重ねたい場合は、Remotionで作った字幕レイヤーをFFmpegで実写に合成する、という併用が現実的です。1本のスキルで両方を無理に賄おうとせず、目的で選ぶのが失敗を減らすコツです。
動画スキル運用でつまずくFFmpeg・依存環境の注意点
動画処理のトラブルは、ほとんどが依存ツールの未導入か出力設定に集約されます。切り分けの勘所を挙げます。
ffmpeg・yt-dlp・Whisperの未導入で起きるエラー
スキルはコマンドを組み立てるだけで、実体のFFmpeg・yt-dlp・Whisperは実行環境側に入っている必要があります。「コマンドが見つからない」系のエラーはこの未導入がほとんどで、まずはffmpeg -versionなどで各ツールが通っているかを確認します。最新版のFFmpegの入手方法はFFmpeg 8.1の新機能とインストール方法を参照してください。
ブラウザ再生でつまずくyuv420pとコーデック非互換
生成した動画がブラウザで再生できない、音は出るが映像が出ないといった不具合の多くは、ピクセルフォーマットの不一致です。ブラウザ互換を確保するには、H.264でエンコードしつつ-pix_fmt yuv420pを明示します。
ffmpeg -i input.mov -c:v libx264 -pix_fmt yuv420p -c:a aac output.mp4
FFmpeg型スキルの多くは、なぜyuv420pが要るのかを含めて出力設定を持っています。再生できないときは、まずコンテナ(mp4)とコーデック(H.264/AAC)、そしてピクセルフォーマットの3点を疑います。
atempoの速度変更制限と再エンコードによる画質劣化
音声の速度変更に使うatempoは、1回あたりおおむね0.5〜2.0倍の範囲を前提に使うのが安全で、それを超える極端な変更ではフィルタを連結します(例:atempo=2.0,atempo=2.0で4倍)。映像のsetptsと音声のatempoを別々に指定しないと、映像と音声がずれる点にも注意が必要です。さらに、編集のたびに再エンコードすると世代ごとに画質が劣化する。結合など再エンコード不要な操作では-c copyでストリームコピーし、劣化を避けてください。
非エンジニアがターミナルなしで動画スキルを使うときの範囲と制約
コマンドを打たずにスキルを使いたい場合の選択肢と、その制約を整理します。
Claude.ai・Claude Desktopでのスキル利用とコード実行の前提
ターミナルを使わなくても、Claude.aiやClaude Desktopからスキルを呼び出せます。ただしFFmpegを走らせる動画処理はコード実行の環境を必要とするため、資料整形やテキスト処理に比べると前提が重くなります。書類系の公式スキル(docx・pptx等)は非エンジニアでも扱いやすい一方、動画系はコード実行が使えるプランや環境かどうかを先に確認しておくと安全です。社内データを扱うときは、素材や文字起こしがどこで処理されるかを把握し、機密の取り扱い基準に沿って運用します。
Coworkでの利用範囲とプラン要件の確認
チームで使うClaude Coworkでもスキルは利用できますが、料金プランや利用範囲・制限はCowork固有の論点が多いため、Claude Coworkの料金プラン・使い方・制限にまとめています。動画スキルを非エンジニアに展開する場合は、コード実行の可否とプラン要件をそちらで確認してください。本記事はClaude Code中心の動画処理に絞っています。
Claude Codeの動画処理に関するよくある質問
Claude Codeは動画ファイルをそのまま読み込めますか?
そのままタイムラインとして再生・解析することはできません。FFmpegでフレーム画像に分割し、音声をWhisperで文字起こしして、その画像とテキストをClaudeへ渡すことで内容解析ができます。claude-videoのような読み込みスキルは、この分割と文字起こしを自動化してくれます。
動画生成スキルは無料で使えますか?
Remotion本体やFFmpeg、claude-remotion-skillなどのオープンソーススキルは無料で導入できます。ただし、実行にはFFmpegやNode.jsなどの依存環境が必要で、AI生成の映像素材(fal.ai)や音声合成(ElevenLabs)といった外部サービスを併用する場合は、それぞれの利用料が別途かかります。
動画編集におすすめのスキルはどれですか?
実写やスクリーン録画の編集が中心ならclaude-ffmpeg-skill、Remotionによるコード生成や切り抜きまで幅広く扱いたいならClaude Code Video Toolkitが候補です。反復する定型作業から導入し、投資対効果が読みやすい1業務でスモールスタートするのが失敗しにくい進め方です。
非エンジニアでも動画スキルを使えますか?
Claude.aiやClaude Desktopからターミナルなしで呼び出せますが、FFmpegを実行する動画処理はコード実行の環境が前提になります。書類系スキルより導入のハードルが高いので、まずコード実行が使えるプラン・環境かを確認してください。
動画処理はスキルとMCPのどちらでやるべきですか?
ローカルの動画をFFmpegで加工する処理はスキル、外部サービスや社内ストレージから素材を取得する処理はMCPが向いています。両者は競合せず、MCPで素材を取り込みスキルで加工する、といった併用も可能です。