Claude Skills(Agent Skills)は、手順書・スクリプト・参照資料を1つのフォルダにまとめ、Claudeが必要になった瞬間だけ読み込む拡張の仕組みです。中身はSKILL.mdというMarkdownファイル1枚から始められます。ただしclaude.ai(Web版)・Claude Code・Claude APIでは、対応するスキルの種類も、登録の手順も、実行環境の制限も違います。さらに2026年に入ってAPIのベータヘッダーが不要になり、claude.aiでは組織配布、Claude Codeではclaude.aiのスキルの同期が始まりました。この記事では2026年10月13日時点の公式ドキュメントを根拠に、SKILL.mdの書き方、3つの環境それぞれで動かすまでの手順とコード、公式スキルの入手先、MCPやCLAUDE.mdとの使い分けまでを整理します。
まとめ:Claude Skillsの仕組みと3環境での使い方を先に確認
- スキルの実体は
SKILL.mdを含むフォルダ。YAMLフロントマターの必須項目はnameとdescriptionの2つだけ。 - 読み込みは3段階(段階的開示)。起動時はname/descriptionのみ(1スキル約100トークン)、該当したときにSKILL.md本体、参照ファイルやスクリプトはさらに必要になったときだけ。
- claude.aiは「Customize > Skills」からzipでアップロード。Claude Codeは
.claude/skills/に置くだけ。Claude APIは/v1/skillsへ登録し、コード実行ツールと一緒にcontainerで指定する。 - Skills APIとFiles APIはベータを抜け、
skills-2025-10-02などのベータヘッダーは不要になった。1リクエストで指定できるスキルは20個まで。 - カスタムスキルは原則として環境ごとに別管理。例外として、Claude Code v2.1.273以降は
/loginでサインインしたセッションにclaude.aiのスキルを同期する。 - 公式のプリビルドスキルはpptx・xlsx・docx・pdfの4種。オープンソースのスキルは
anthropics/skillsリポジトリで公開されている。 - SKILL.mdはAgent Skillsオープン標準(agentskills.io)に沿った形式で、Codex・Cursor・Gemini CLI・GitHub Copilotなど他社エージェントでも同じフォルダが動く。
- スキルはコード実行の権限を伴う。出所が不明なスキルはスクリプトまで監査し、本番のAPI利用ではバージョンを固定する。
実務で最初に効くのはdescriptionの書き方です。スキルが呼ばれない不具合の大半はここで起き、本文をいくら直しても解決しません。導入先は「誰が使うか」で決めます。開発チームならClaude Code、非エンジニアも含めた社内配布ならclaude.aiのTeam/Enterprise、自社アプリへの組み込みならAPIです。
Claude Skillsとは:SKILL.mdと3段階の段階的開示で動く仕組み
スキルが「プロンプトを長くするだけの機能」と違うのは、コンテキストを常時消費しない点にあります。Claudeは仮想マシン上のファイルシステムを持ち、スキルはそこに置かれたディレクトリとして存在します。Claudeはbashでファイルを読みに行くため、読まれなかったファイルはトークンを1つも消費しません。この設計はAnthropic公式のAgent Skills概要ドキュメントに図付きで説明されています。
読み込みの3レベルと1スキル約100トークンという常駐コスト
公式ドキュメントはこの挙動を「progressive disclosure(段階的開示)」と呼び、次の3レベルに分けています。
| レベル | 読み込むタイミング | トークンコスト | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1: メタデータ | 起動時に常時 | 1スキル約100トークン | name・description |
| 2: 指示本文 | スキルが該当したとき | 5,000トークン未満 | SKILL.mdの本文 |
| 3: 参照・コード | 必要になったとき | 読むまでゼロ | 参照ファイル・スクリプト |
レベル1が軽いので、スキルを何十個入れてもコンテキストは圧迫されません。レベル3のスクリプトは実行結果だけがコンテキストに入り、コード本体は入りません。Claudeにその場でコードを書かせるより、検証済みのスクリプトを同梱したほうが安く、結果も安定します。
Claude Codeには会話が長くなったときの扱いも定められています。Claude Codeのスキル公式ドキュメントによると、自動圧縮のときは各スキルの直近の呼び出し内容が先頭5,000トークンまで再添付され、全スキル合計の上限は25,000トークンです。SKILL.mdは500行以内に収め、詳細は補助ファイルへ分ける構成が推奨されています。
SKILL.mdの書き方:nameとdescriptionの必須項目と文字数制限
最小構成はフォルダ1つとSKILL.md 1枚です。必須項目はnameとdescriptionで、公式は次の制約を課しています。
| 項目 | 文字数 | 使える文字 | 禁止 |
|---|---|---|---|
| name | 最大64文字 | 英小文字・数字・ハイフン | XMLタグ/予約語anthropic・claude |
| description | 最大1,024文字・空欄不可 | 制限なし | XMLタグ |
実務で効くのはdescriptionです。起動時に読まれるのはここだけで、Claudeはこの一文を見てスキルを呼ぶかどうかを決めます。「何をするか」に加えて「いつ使うか(どんな語がユーザー入力に出たら発火するか)」まで書くのが公式のスキル作成ベストプラクティスの推奨です。なおClaude Codeのスキル一覧では、descriptionと補足欄when_to_useを合わせて1,536文字で切り詰められます。発火条件は前半に書いてください。
最小のSKILL.mdを作って動かすまでの手順とフォルダ構成の例
ここでは「議事録の体裁を社内ルールに揃える」スキルを例に、Claude Codeで動かすまでを示します。フォルダ名とnameを揃え、descriptionに発火語を入れるのがコツです。
mkdir -p .claude/skills/minutes-format
cat > .claude/skills/minutes-format/SKILL.md <<'EOF'
---
name: minutes-format
description: 議事録を社内書式(日時・参加者・決定事項・宿題の4見出し)に整える。ユーザーが議事録、ミーティングメモ、会議の要約、MTGまとめに言及したときに使う。
---
# 議事録の整形手順
1. 先頭に「日時」「参加者」を置く。不明な項目は「未記載」と書く
2. 決定事項は箇条書き。主語と期限を必ず入れる
3. 宿題は「担当者/内容/期限」の3列の表にする
4. 書式の詳細は reference.md を参照する
EOF
ls .claude/skills/minutes-format
作成後、Claude Codeで「この会議メモを議事録にして」と頼めば自動で読み込まれ、/minutes-formatと打てば明示的に呼び出せます。同じフォルダをzipにすればclaude.aiへ、/v1/skillsへ送ればAPIへそのまま持ち込めます。reference.mdのような補助ファイルは、本文から参照されたときだけ読み込む仕組みです。
claude.ai・Claude Code・Claude APIで違う対応範囲と共有の条件
「Claude Skills」と一括りにされますが、対応するスキルの種類・共有範囲・実行環境は3つのサーフェスで異なります。ここを取り違えると「作ったのに動かない」で止まります。
3環境の比較表:プリビルド対応・共有範囲・ネットワーク接続の可否
| 環境 | プリビルド | カスタムの登録 | 共有範囲 | ネットワーク |
|---|---|---|---|---|
| claude.ai(Web) | 対応 | zipをアップロード | 個人/組織配布 | 設定で全面・部分・不可 |
| Claude Code | 非対応 | フォルダを置く | 個人/プロジェクト | PCと同じ(全面) |
| Claude API | 対応 | /v1/skillsへ登録 | ワークスペース全体 | なし |
APIのカスタムスキルは、同じワークスペースのどのAPIキーからでも読み取り・実行・削除ができます。顧客ごとにスキルを分けるマルチテナント構成なら、テナントごとにワークスペースを分けるのが公式の指針です。Claude Codeのスキルはプラグインに同梱して配ることもできます。
claude.aiでスキルを有効化しzipでアップロードする手順
Claudeヘルプセンターの「Use skills in Claude」によると、スキルはFree・Pro・Max・Team・Enterpriseの全プランで使え、条件はコード実行が有効になっていることです(2026年10月13日時点)。有効化の場所はプランで分かれます。
- Free/Pro/Maxは「Settings > Capabilities」で「Code execution and file creation」をオンにする
- Team/Enterpriseは組織設定の「Plugins & skills」の「Policy」タブで、コード実行と「Skills」を有効にする
- スキルのフォルダをzipにまとめる(フォルダ直下にSKILL.mdを置く)
- 「Customize > Skills」で「+」から「+ Create skill」を選び、「Upload a skill」でzipを送る
- 一覧でスキルごとのオン/オフを切り替える
pptxやxlsxなどのプリビルドスキルは、ファイル作成を頼んだ時点で裏側ですでに動いており、追加の設定は要りません。注意したいのはネットワークです。Web版のスキルは、ユーザーや管理者の設定によって全面・部分・不可のいずれかに変わります。外部APIを叩くスキルは、組織の設定次第で動いたり動かなかったりします。
公式ドキュメント間で食い違う組織配布とClaude Code同期の扱い
2026年10月13日時点で、公式ドキュメントどうしの記述には食い違いがある状態です。開発者向けのAgent Skills概要は「claude.aiのカスタムスキルは個人単位で、管理者による一元管理や組織配布はできない」「カスタムスキルはサーフェス間で同期しない」と書いています。一方でヘルプセンターは「Team/Enterpriseのオーナーは全ユーザーにスキルをプロビジョニングできる」とし、組織のライブラリへ公開する「Publish to org」も案内しています。
Claude Code側も変わりました。公式ドキュメントによると、v2.1.273以降のClaude Codeは、/loginでclaude.aiアカウントにサインインしたセッションの開始時に、アカウントで有効なスキルを~/.claude/skills/synced/へバックグラウンドでダウンロードします。APIキーやANTHROPIC_AUTH_TOKENで認証するセッションは同期の対象外です。
実務上の結論はこうです。claude.aiの組織配布とClaude Codeへの同期は、ヘルプセンターとClaude Codeのドキュメント(製品側の記述)に従って使ってよい。ただしAPIは今も完全に別管理で、claude.aiのスキルはAPIからは見えません。3面すべてで同じスキルを使うなら、SKILL.mdをGitで管理し、そこから各面へ配る運用にしておくのが確実です。
Claude Codeでスキルを作る:配置場所・呼び出し・フロントマター
Claude Codeのスキルはアップロード不要で、指定ディレクトリに置くだけで認識されます。全体像を先に知りたい場合はClaude Codeのできることと導入手順も参考になります。
個人・プロジェクト・プラグインの置き場所とコマンド名の決まり方
| 種類 | パス | 適用範囲 |
|---|---|---|
| エンタープライズ | マネージド設定ディレクトリ内 | 組織が配備したマシンの全ユーザー |
| 個人 | 個人用の配置パス(表直後に記載) | 全プロジェクト |
| プロジェクト | プロジェクト用の配置パス(表直後に記載) | そのリポジトリのみ |
| プラグイン | プラグイン用の配置パス(表直後に記載) | プラグイン有効時 |
各配置パスは、個人用が~/.claude/skills/<skill-name>/SKILL.md、プロジェクト用が.claude/skills/<skill-name>/SKILL.md、プラグイン用が<plugin>/skills/<skill-name>/SKILL.mdです。
呼び出しは2通りです。Claudeがdescriptionを見て自動で読み込むか、ユーザーが/skill-nameと直接打つか。同名のスキルはエンタープライズ・個人・プロジェクトの順で優先され、個人のスキルはバンドル済みの同名コマンドも置き換えます。プラグイン由来のスキルはplugin-name:skill-nameという名前空間を持つため衝突しません。
コマンド名の決まり方は、旧版の解説から変わった点です。現在の公式ドキュメントでは、個人・プロジェクトのスキルはフロントマターのnameが/メニューに出るコマンド名になり、nameが無ければディレクトリ名が使われます。ディレクトリ名でも呼び出せます。「/の候補に出る名前が想定と違う」ときは、nameとディレクトリ名の両方を確認してください。
Claude Code同梱のバンドル済みスキルと無効化する設定
Claude Codeにはバンドル済みスキルがあり、導入直後から利用可能です。/doctor、/code-review、/batch、/debug、/loop、/claude-api、/verify、/run、/run-skill-generator、/skill-doctorなどで、設定のdisableBundledSkillsで無効化できます。v2.1.205以降、/doctorだけはこの設定でも入力でき、隠すにはskillOverridesで"doctor": "off"を指定します。
これらは固定ロジックを実行する組み込みコマンドと違い、Claudeに詳細な指示を与えて手順をオーケストレーションさせるプロンプトベースの実装です。/run-skill-generatorはアプリの起動手順を.claude/skills/run-<name>/としてリポジトリに記録します。自作スキルの手本として中身を読むと、description の書き方の感覚がつかめます。
disable-model-invocationなど独自フロントマターの使い分け
Claude Codeはオープン標準に独自フィールドを追加しています。副作用のある操作を扱うスキルでは、次のように書きます。
---
name: deploy
description: 本番環境へデプロイする
disable-model-invocation: true
allowed-tools: Bash(git add *) Bash(git commit *) Bash(git status *)
context: fork
agent: general-purpose
---
| フィールド | 効果 |
|---|---|
| disable-model-invocation | trueで自動起動を禁止。人が呼んだときだけ動く |
| user-invocable | falseで非表示、Claude専用 |
| allowed-tools | スキル実行中、確認なしで使えるツールを事前承認 |
| disallowed-tools | スキル実行中だけツールを取り上げる |
| context: fork | 会話履歴を持たないサブエージェントで隔離実行 |
| model/effort | スキル実行中だけモデルや推論量を切り替える |
| paths | 該当ファイルを扱うときだけ自動で読み込む |
user-invocableをfalseにすると、スラッシュ(/)メニューから隠れ、Claudeだけが使う設定になります。
disable-model-invocation: trueは、デプロイ・コミット・外部送信のように副作用のある操作に必ず付けてください。Claudeが自発的にデプロイを始める余地を消せます。context: forkで起動する先はagentで選べ、隔離実行の考え方はClaude Codeのサブエージェントの作り方と設定項目と共通です。
allowed-toolsはプロジェクトの.claude/skills/に置いた場合、ワークスペースの信頼ダイアログを承認して初めて効きます。裏を返せば、他人のリポジトリを開くとき、同梱スキルが広いツール権限を求めている可能性があるということです。なお管理者がallowManagedPermissionRulesOnlyを有効にした環境では、v2.1.282以降allowed-toolsは無視されます。
$ARGUMENTSと動的コンテキスト注入で引数と差分を渡す書き方
スキルでは、呼び出す際に引数を渡すことが可能です。$ARGUMENTSは渡された引数全体、$0や$1は位置指定の引数、${CLAUDE_SKILL_DIR}はSKILL.mdのあるディレクトリに置き換わります。さらに!とバッククォートで囲んだコマンドは、スキルの内容がClaudeに渡る前にシェルで実行され、出力に置き換えられます。
---
name: review-diff
description: 現在の差分をレビューする。レビュー、差分確認、PR前チェックと言われたときに使う。
argument-hint: [観点]
---
## 現在の差分
!`git diff HEAD`
## 指示
上の差分を「$ARGUMENTS」の観点でレビューし、指摘を重要度順に3件以内で返す。
チェックリストは ${CLAUDE_SKILL_DIR}/checklist.md を読む。
/review-diff セキュリティと打てば、差分と観点が埋まった状態で指示が渡ります。注入するコマンドが0以外で終了するとスキル全体が中止される点に注意してください(grepのような検索系の終了コード1は例外)。組織で禁止したい場合はdisableSkillShellExecution: trueを設定します。
カスタムコマンド(.claude/commands)からスキルへの移行判断
公開当初は別物だった.claude/commands/のカスタムコマンドは、現在スキルに統合されています。.claude/commands/deploy.mdと.claude/skills/deploy/SKILL.mdはどちらも/deployを作り、同名ならスキルが優先されます。既存のcommandsファイルはそのまま動くので、急いで書き換える必要はありません。
移すべきなのは、補助ファイルを同梱したいコマンド、Claudeに自動で呼ばせたいコマンド、副作用があって呼び出し元を制限したいコマンドの3種です。単発の定型文を差し込むだけのコマンドはcommandsのままで十分です。書き方の差分はSkills統合後のClaude Codeカスタムコマンドの作り方で詳しく比べています。
Claude APIでスキルを使う:コード実行ツールとSkills APIの実装手順
APIでスキルを使うには、コード実行ツールが必須です。スキルはそのコンテナの中で動くためで、メッセージにスキルIDを添えるだけでは動きません。手順は公式の「Using Agent Skills with the API」に沿っています。
プリビルドのxlsxスキルを呼ぶ最小リクエストとファイル取得
Python SDKで、Excelファイルを生成して手元に保存するまでの最小構成です。ベータヘッダーもclient.betaも使いません。
import anthropic
client = anthropic.Anthropic()
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=4096,
container={
"skills": [
{"type": "anthropic", "skill_id": "xlsx", "version": "latest"}
]
},
messages=[{"role": "user", "content": "部門別の四半期予算表をExcelで作成して"}],
tools=[{"type": "code_execution_20250825", "name": "code_execution"}],
)
# 生成ファイルの file_id をコード実行結果から拾ってダウンロードする
for block in response.content:
if block.type == "bash_code_execution_tool_result":
for item in getattr(block.content, "content", []) or []:
if getattr(item, "file_id", None):
meta = client.files.retrieve_metadata(item.file_id)
client.files.download(item.file_id).write_to_file(meta.filename)
print("saved:", meta.filename)
生成されたファイルはfile_idとして返り、Files APIで取得します。Files APIの公式ドキュメントのとおり、ダウンロードできるのはスキルやコード実行が作ったファイルだけで、自分でアップロードしたファイルを落とそうとすると400エラーになる仕様です。モデルIDは公式サンプルと同じclaude-opus-5-5を使っていますが、コード実行ツールはSonnet 5.5やHaiku 5.5などでも動きます。
費用はトークン料金とは別に、コード実行の利用時間がかかります。コード実行ツールの公式ページでは、組織あたり月1,550時間までは無料、超過分はコンテナ1つにつき1時間0.05ドル、課金は最低5分単位です(2026年10月13日時点)。トークン単価はClaude APIのモデル別料金とAPIキー取得の解説で確認できます。
カスタムスキルを/v1/skillsへ登録しバージョンを固定する方法
カスタムスキルはPOST /v1/skillsへ、SKILL.mdを含むフォルダごと登録します。Python SDKならfiles_from_dir()でフォルダを渡せます。
import anthropic
from anthropic.lib import files_from_dir
client = anthropic.Anthropic()
# 1. 登録(SKILL.md をルートに含むフォルダ)
skill = client.skills.create(files=files_from_dir("./minutes-format"))
print(skill.id, skill.latest_version_id) # skill_01... と skver_01...
# 2. 本番はバージョンIDで固定して呼ぶ
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=4096,
container={
"skills": [
{"type": "custom", "skill_id": skill.id, "version": skill.latest_version_id}
]
},
messages=[{"role": "user", "content": "このメモを議事録に整えて"}],
tools=[{"type": "code_execution_20250825", "name": "code_execution"}],
)
カスタムスキルのskill_idはskill_01...、バージョンIDはskver_01...という形式です。プリビルド側のバージョンは20251013のような日付形式かlatestを指定します。
本番でバージョン固定を勧める理由は、latestがワークスペースの誰かが上げた新版を即座に拾うからです。同僚がテスト目的で上げた版が、そのまま本番エージェントの挙動を変えます。プロンプトキャッシュを使う場合も、スキルの並びや新版のdescriptionが変わるとキャッシュが外れます。開発中はlatest、本番はバージョンIDと使い分けてください。
skills-2025-10-02ヘッダー不要化で変わった点と旧コードの移行
Skills APIはベータを抜け、ベータヘッダーは不要になりました。旧来のskills-2025-10-02を送り続けても動きますが、レスポンスはベータ時代の形のまま返ります。ヘッダーを外すと次の点が変わります。
| 項目 | ベータヘッダーあり | ヘッダーなし(現行) |
|---|---|---|
| 表示名 | display_title(64字・一意) | display_name(255字・重複可) |
| 最新版の参照 | latest_version(エポック値) | latest_version_id(版ID) |
| スキル削除 | 版が残っていると400 | 全バージョンごと削除 |
| アップロード構成 | name同名の親フォルダ必須 | ルートにSKILL.mdでも可 |
現行のlatest_version_idが返す版IDは、skver_形式です。
移行で事故になりやすいのは削除です。ヘッダーを外すとDELETE /v1/skills/{skill_id}は全バージョンを一度に消します。ベータ時代の「版が残っていると消せない」挙動を安全装置として当てにしていたなら、自前の確認処理を足してください。SDKはPython 1.2.0/TypeScript 0.122.0/Go 1.68.0/Java 2.59.0以降なら、client.beta.skillsもヘッダーを送りません。Files APIのfiles-api-2025-04-14とコード実行のベータヘッダーも、現在は付けなくて動きます。
API利用時の制限:1リクエスト20個・30MB・ネットワーク遮断
| 制限 | 内容(2026年10月13日時点) |
|---|---|
| スキル数 | 1リクエストあたり最大20個 |
| アップロードサイズ | 展開後の合計30MB未満 |
| ネットワーク | 外部APIやインターネットへのアクセス不可 |
| パッケージ | 実行時インストール不可。プリインストール済みのみ |
| コンテナ | 作成から30日で失効。IDを渡せば再利用できる |
| データ保持 | ZDR(ゼロデータ保持)の対象外 |
「Web上のデータを取ってきて集計するスキル」はAPIでは動きません。ネットワークが遮断されているためで、外部データが要るなら呼び出し側で取得し、Files APIでコンテナへ渡す設計にします。同じスキルがClaude Code(ネットワーク全面許可)では動くので、環境の違いを踏まえずに移植すると必ず詰まる原因になるため、注意が必要です。上限が20個に増えたとはいえ、使わないスキルを並べると性能が落ちると公式は注意しています。ZDR契約下の案件でスキルを使う判断は、契約条件を先に確認してください。
公式スキルの入手先:プリビルド4種・anthropics/skills・他社互換
ゼロから書く前に、公式が配っているスキルを確かめておくと手戻りが減ります。
pptx・xlsx・docx・pdfの4種と使えるプラットフォーム
| skill_id | 用途 |
|---|---|
| pptx | PowerPointの作成・スライド編集・内容分析 |
| xlsx | Excelの作成・データ分析・グラフ付きレポート |
| docx | Wordの作成・編集・書式設定 |
| 整形済みPDFの生成 |
この4種はClaude API・claude.ai・Claude Platform on AWS・Microsoft Foundryで使えます(Microsoft FoundryではHosted on Anthropicのデプロイが条件)。Claude Codeはこのプリビルド文書スキルには対応せず、カスタムスキルとバンドル済みスキルを使います。Claude Codeで文書を扱いたいときは、次のリポジトリから参照実装を入れます。
anthropics/skillsリポジトリをプラグインとして導入する手順
AnthropicはGitHubのanthropics/skillsリポジトリでスキルを公開しており、2026年10月13日時点で約18万スターを集めています。Claude Codeからはマーケットプレイスとして登録して導入します。
/plugin marketplace add anthropics/skills
/plugin install document-skills@anthropic-agent-skills
/plugin install example-skills@anthropic-agent-skills
導入後は「PDFスキルでこのファイルのフォーム項目を抜き出して」のように名前を出して頼むだけで使えます。ライセンスには差があります。多くのスキルはApache 2.0ですが、docx・pdf・pptx・xlsxはソース公開(source-available)であってオープンソースではありません。社内向けに改変して配る前に、各フォルダのLICENSEを確認してください。収録スキルの一覧と中身は公式19スキルの中身とanthropic skillsの導入手順で個別に解説しています。
プラグインとしてスキルを配る実例は、pr-review-toolkitのようなClaude Codeプラグインを見ると構成がつかめます。CLIでスキルを検索・追加したいなら、Vercel製のskills.shのような配布ツールもあります。
skill-creatorでテストケースを回しdescriptionを直す流れ
スキルを手書きする代わりに、公式マーケットプレイスのskill-creatorプラグインを使う手もあります。
/plugin install skill-creator@claude-plugins-official
/reload-plugins
導入後に「minutes-formatスキルを評価して」のように頼むと、テストケースを書かせ、スキルあり/なしの出力を比較する評価ループを回してくれます。descriptionを直すべきか本文を直すべきかを勘で決めずに済むので、社内配布するスキルほど効果的です。評価ファイルの形式はagentskills.ioのドキュメントに掲載されています。
Agent Skillsオープン標準で他社エージェントへ持ち運ぶ前提
SKILL.mdの形式はAnthropicが開発し、その後オープン標準としてagentskills.ioの仕様書で公開されました。2026年10月13日時点のクライアント一覧にはClaude・Claude Codeのほか、ChatGPTとCodex・Cursor・Gemini CLI・GitHub Copilot・VS Code・OpenCode・Goose・Kiro・Snowflake Cortex Code・JetBrainsのJunieなど46製品が並びます。Codex Skillsもこの標準に沿った実装で、同じフォルダのままで動作可能です。製品ごとの対応差と移植の手順はAgent SkillsのSKILL.md仕様と46製品での移植手順にまとめています。
ただし移植できるのは標準の範囲までです。disable-model-invocationやcontext: forkのようなClaude Code独自のフィールドは、他社の製品では無視されるか別の名前になります。名前が似ていても別物のものもあります。GeminiアプリとChromeのGemini Skillsは保存したプロンプトを呼び出す再利用機能で、agentskills.ioの一覧に載っているのはGemini CLIのほうです。「スキル」という語だけで互換性を推測しないでください。
MCP・CLAUDE.md・プロンプトとClaude Skillsの使い分けと採否判断
スキルは「万能の置き換え先」ではありません。混同されやすい仕組みとの境界を引いたうえで、採用しない場面も言い切っておきます。
MCPは外部接続・スキルは作業手順という役割分担と組み合わせ例
MCP(Model Context Protocol)は、外部システム(DB、SaaS、社内API)へClaudeを接続するためのプロトコルです。MCPは「接続」を担い、スキルは「手順」を担います。役割が違うので競合しません。仕組みの詳細はMCPの仕組みをわかりやすく解説した記事にあります。
実際、Excalidraw MCPのような接続系で図の作成手段をつなぎ、そのうえで「どの図をどう描くか」の作法をスキルに書く、という組み合わせが自然です。判断基準は単純で、外部システムへの接続や認証が要るならMCP、既存の道具の使い方や社内ルールを教えたいならスキルです。APIのスキルはネットワークに出られないので、外部データが要る処理はMCPかアプリ側の取得処理に寄せます。
CLAUDE.mdに常駐させる事実とスキルへ切り出す手順の境界線
CLAUDE.mdやシステムプロンプトは、常にコンテキストに載る「事実」の置き場です。スキルには「手順」を置き、呼ばれたときだけコンテキストに載せます。公式ドキュメントの言い方を借りれば、CLAUDE.mdの一節が事実ではなく手順に育ってきたら、それはスキルに切り出す合図です。長い参照資料をCLAUDE.mdに書くと毎回トークンを払いますが、スキルなら使うときまでコストはほぼゼロです。
もう1つの境界はHooksです。スキルはClaudeが「読んで従う」指示なので、従わない余地が残ります。フォーマッタの実行や危険コマンドの遮断のように毎回必ず起きてほしい処理は、CLAUDE.md・Skillsとの違いを整理したClaude Code Hooksの解説のとおりHooksで強制します。
スキル化を見送る場面とdescription不備などの失敗パターン
一度きりの依頼はスキルにしないでください。作成・保守コストのほうが高くつきます。スキル化の判断基準は「同じ指示・チェックリスト・多段手順をチャットに貼り直しているか」です。貼り直していないなら、まだプロンプトで十分です。
失敗の典型は3つあります。第一に、descriptionに用途しか書かず発火条件を書かないケース。自動で呼ばれず「スキルが効かない」と誤解します。第二に、context: forkをガイドライン型のスキル(「このAPI規約に従う」等)に付けるケース。サブエージェントは指示だけ受け取ってタスクを持たないため、何も返さず終わります。forkは実行手順が明示されたスキル専用です。第三に、出所不明のスキルをそのまま入れるケース。スキルはClaudeにツール呼び出しとコード実行を指示できるため、悪意あるスキルはデータ持ち出しや不正アクセスに直結します。
社内配布するスキルの監査・バージョン固定・コンテンツスキャン
公式は「スキルの導入はソフトウェアのインストールと同じ扱いにせよ」と警告しています。外部URLを取りに行くスキルはとくに危険で、取得先の内容が後から書き換わります。導入前にSKILL.mdだけでなく同梱スクリプトまで読む、が最低ラインです。
社内で配る段階では、次の3点を運用ルールにします。1つ目はGitでの一元管理とレビュー。2つ目はAPIでのバージョン固定。3つ目はClaude Enterpriseの「Skill content scanning」の有効化です。このスキャンはclaude.aiとClaude Coworkにアップロードされたカスタムスキルが対象で、Skills APIやClaude Consoleから登録したスキルは対象外です。API側の登録・削除の記録が要るなら、Compliance APIを先に有効にしておく必要があります。
業務手順をスキルに落とし、権限設計や監査ログまで含めて社内のエージェント基盤に組み込む段階では、設計の手戻りが大きくなります。ツール権限の切り方やAPIへの組み込みから相談したい場合は、一創のAIエージェント開発で要件整理から支援しています。
よくある質問:Claude Skillsの料金・プラン・不具合への回答
Claude Skillsについて検索されることの多い疑問に、2026年10月13日時点の公式情報をもとに答えます。
Claude Skillsは無料プランでも使えますか?
使えます。ヘルプセンターではFree・Pro・Max・Team・Enterpriseの全プランが対象とされ、条件はコード実行(Code execution and file creation)が有効になっていることです。一方、開発者向けの概要ドキュメントには「カスタムスキルのアップロードはPro・Max・Team・Enterprise」とする記述が残っています。無料プランで試してアップロードできない場合は、プランとコード実行の設定を両方確認してください。Claude Codeのスキルはファイルを置くだけで、アップロード自体が不要です。
claude.aiにアップロードしたスキルは、Claude CodeやAPIでも使えますか?
APIでは使えません。APIで使うには/v1/skillsへ別途登録が必要です。Claude Codeはv2.1.273以降なら、/loginでclaude.aiアカウントにサインインしたセッションでアカウントのスキルが~/.claude/skills/synced/へ同期されます。APIキーで認証しているセッションでは同期されないため、その場合は同じフォルダを.claude/skills/に置いてください。
スキルが自動で呼び出されないときは何を直せばよいですか?
まずdescriptionを見直します。起動時にClaudeが読むのはnameとdescriptionだけで、そこに「いつ使うか」が書かれていないと発火しません。Claude Codeでは一覧表示が1,536文字で切り詰められるため、発火語は前半に置きます。またdisable-model-invocation: trueを付けていると、定義上そのスキルは/nameで人が呼ぶまで動きません。同名のスキルが個人とプロジェクトの両方にあると、個人側が優先される点も見落としやすい原因です。
おすすめのClaude Skillsや一覧はどこで手に入りますか?
公式のオープンソーススキルはanthropics/skillsリポジトリにまとまっており、Claude Codeからは/plugin marketplace add anthropics/skillsで導入できます。文書生成のpptx・xlsx・docx・pdfはプリビルドとしてclaude.aiとAPIで最初から使え、Claude Codeには/code-review・/debug・/batch・/loop・/claude-apiなどのバンドル済みスキルが同梱されています。Team/Enterpriseなら、組織のディレクトリに公開されたスキルはClaude Coworkの「Customize」から「Install」で導入可能です。
APIでスキルを使うと料金はいくらかかりますか?
スキル自体に追加料金はなく、モデルのトークン料金に加えてコード実行ツールの利用時間がかかります。コード実行は組織あたり月1,550時間まで無料で、超過分はコンテナ1つにつき1時間0.05ドル、最低5分単位の課金です(2026年10月13日時点)。生成ファイルのダウンロードを含むFiles APIの操作は無料ですが、ファイルの中身をメッセージで読ませた分は入力トークンとして課金されます。
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