Gemini CLIとは何か?Google製オープンソースAIエージェントの概要と特徴を徹底解説!

目次
- 1 Gemini CLIとは何か?Google製オープンソースAIエージェントの概要と特徴を徹底解説!
- 1.1 Gemini CLIの開発背景: GoogleがオープンソースAIエージェントを公開した経緯と目的を詳しく解説
- 1.2 Gemini CLIならではの特徴: CLIでAIを利用するメリットと従来ツールとの違いを詳しく解説!
- 1.3 Gemini CLIで使用されるGemini 2.5 Proモデルの特徴と性能: 1Mトークンの大容量コンテキスト対応AIを詳しく解説
- 1.4 Gemini CLIの想定ユースケース: コーディング支援から問題解決・タスク管理まで幅広く活用できることを紹介します
- 1.5 Gemini CLIの利用条件とクォータ: 無料利用枠とAPIキー・OAuth認証の必要性を詳しく解説します
- 2 Gemini CLIのインストール方法: npm・Homebrewを用いた導入手順とシステム要件を詳しく解説
- 2.1 Gemini CLIを動かすためのシステム要件: 対応OS (Windows/Mac/Linux) と必要なNode.jsバージョンなど詳細を解説します
- 2.2 npmを使ったGemini CLIのインストール手順: コマンド実行からセットアップ完了までを詳しく解説します
- 2.3 Homebrewを使ったGemini CLIの導入方法: macOS/Linux環境へのインストール手順を詳しく解説します
- 2.4 npxでGemini CLIをインストール不要で実行する方法: ワンライナーコマンドで即時起動する手順を詳しく解説します
- 2.5 Gemini CLIインストール後の初期設定: 初回起動時のOAuth認証とプロジェクト設定のポイントを解説します
- 3 Gemini CLIの主な機能・特徴: 100万トークン対応やWeb検索連携など多彩なAI機能を詳しく紹介
- 4 Gemini CLIの基本的な使い方: 起動方法から対話入力・モデル指定まで初心者ガイドを徹底解説!
- 5 Gemini CLIでよく使うコマンド一覧: /help・/chat・/tools・/memoryなど基本スラッシュコマンドの使い方を解説
- 6 Gemini CLIでのファイル操作方法: ファイル読み書き・コード編集・複数ファイル対応機能を詳しく解説
- 7 Gemini CLIの会話とメモリ管理: 長文対話のチェックポイント機能とGEMINI.mdによるコンテキスト管理を解説
- 8 Gemini CLIの組み込みツールの使い方: Google検索・Shell実行など内蔵ツールの活用方法を解説
- 9 Gemini CLIの検索機能活用術: 内蔵Google検索ツールでリアルタイム情報を取得する方法と精度向上のコツ
- 10 他AIツールとの比較: Gemini CLIとClaude・ChatGPTの機能・精度・速度・コストを徹底検証
- 10.1 生成AIモデルの性能比較: Gemini CLIのGemini 2.5 ProとClaude/ChatGPTの出力品質・創造性の違い
- 10.2 機能とツールの比較: 組み込み検索やシェル操作などGemini CLIの機能と他AIのサポート状況
- 10.3 応答速度とトークン上限の比較: Gemini CLIの処理スピードやコンテキスト長とClaude等他AIとの違い
- 10.4 利用コストの比較: Gemini CLIの無料利用枠と他AIサービス(Claude/ChatGPT)の料金プラン
- 10.5 ユーザー体験の比較: ターミナルで使うGemini CLIとWebチャットUI型AIツールにおける使い勝手の差異
Gemini CLIとは何か?Google製オープンソースAIエージェントの概要と特徴を徹底解説!
Gemini CLIは、Googleが公開した最新のオープンソースAIエージェントです。開発者の作業環境であるターミナル上で動作し、対話型AIのパワーを直接コマンドラインに取り込むことを目指しています。上の画像は実際のGemini CLIの画面例で、ターミナルに「> GEMINI」というバナーが表示され、ユーザーからのプロンプト(>で始まる行)に対してAIの応答(+で始まる行)が返されている様子です。Gemini CLIはGemini 2.5 Proという高度な言語モデルをバックエンドに使用しており、コードの記述や問題解決、文章生成など幅広いタスクで自然な対話が可能です。
Gemini CLIの登場背景には、開発者が普段使い慣れたターミナル環境でAIアシスタントを活用したいというニーズがあります。Googleは既にVS Code向けのAIコーディング支援ツール「Gemini Code Assist」を提供していますが、Gemini CLIはそれと同じ技術をコマンドラインから利用できるようにしたものです。端末上で直接AIに質問したり、ファイル操作を指示できるため、WebのチャットUIを開いてコピー&ペーストする手間なく開発フローにAIを統合できます。また、Gemini CLI自体がオープンソース(Apache 2.0ライセンス)で公開されており、開発者コミュニティからの貢献やセキュリティ監査も歓迎されています。こうした背景から、Gemini CLIは「開発者のためのAIエージェント」として誕生しました。
Gemini CLI最大の特徴の一つは、ターミナルという環境に最適化されている点です。他のChatGPTやClaudeなど一般的な対話AIツールはWebブラウザや専用アプリ上で動作しますが、Gemini CLIはCLI(コマンドラインインターフェース)上で動くため、開発作業のコンテキストを保持したままAIを利用できます。例えば、現在の作業ディレクトリ内のコードをそのままAIに読み込ませたり、コマンドを実行して得た結果をAIに分析させたりできます。これは従来のチャットボットにはない利点であり、開発者にとって自然な形でAIを活用できるGemini CLIならではのメリットです。一方でターミナルに不慣れな初心者にはハードルがあるかもしれませんが、Gemini CLIは後述するようにガイド機能やヘルプも充実しており、中級者はもちろん一般のAIツール愛好家でも利用可能な設計になっています。
Gemini CLIに搭載されているGemini 2.5 Proモデルは、高度な性能を持つ大規模言語モデル(LLM)です。このモデルの強みは、なんと100万トークンという非常に大きなコンテキストウィンドウに対応している点です。これにより巨大なコードベースや長大なドキュメントでも一度に読み込んで解析できます。Gemini 2.5 Proはコード理解・生成能力に優れており、エラーの原因特定やアルゴリズムの説明、さらにはPDFや画像といったマルチモーダル入力から新規アプリを生成する能力まで備えています。つまり、テキストだけでなく図やスクリーンショットからもコンテキストを読み取り、アプリやコードを提案できる点で他のAIモデルとの差別化が図られています。この強力なモデルを使うことで、Gemini CLIは高度なコーディング支援や問題解決が可能になっているのです。
Gemini CLIの想定ユースケースは幅広く、単なるコード補完ツールに留まりません。開発中のコードについて質問すれば関連する部分を理解して回答できますし、バグ修正の手順を尋ねれば手順や該当箇所の候補を提示してくれます。また、新しい機能の実装アイデアを相談したり、READMEやドキュメントからプロジェクトの概要を要約させることもできます。コーディング支援以外にも、文章の下書きや要約、さらには調べ物やタスク管理の相談にまで応じられる汎用的なAIアシスタントとして機能します。例えば「このライブラリの使い方を調べてコード例を書いて」や「明日のミーティングのアジェンダ草案を作って」といった指示にも対応可能です。端末上で動くツールなので自分のPC内の情報(ファイル内容など)を踏まえた回答が得られる点も含め、開発者から一般ユーザーまで幅広い層がGemini CLIを活用できるでしょう。
そんなGemini CLIを利用するための条件も敷居が低く設定されています。基本機能を利用するだけであれば、個人のGoogleアカウントがあれば無料枠で使用可能です。GoogleアカウントでOAuthログインすることで、自動的にGemini Code Assistの個人ライセンスが適用され、1日に1000回・1分間に60回という業界最大級の無料利用枠が提供されます。通常の使用ではまず上限に達しないほどの十分なクォータです。また、組織でより大規模に使いたい場合や特定モデルを指定して使いたい場合は、Google AI Studio経由で取得したAPIキーを設定して利用することもできます(この場合は100回/日まで無料で、それ以上は従量課金に移行)。企業向けにはVertex AI経由での利用も可能で、セキュリティや管理機能が強化された環境でGemini CLIを運用できます。このようにGemini CLIは用途に応じて複数の認証・利用形態を提供しており、個人から企業までそれぞれのニーズに合わせた使い方ができるようになっています。
Gemini CLIの開発背景: GoogleがオープンソースAIエージェントを公開した経緯と目的を詳しく解説
Googleは近年、生成AI(Generative AI)の技術開発を進める中で、開発者向けのAI支援ツールにも注力しています。Gemini CLIが開発・公開された背景には、開発者の作業効率をAIで向上させたいという明確な目的がありました。従来、ChatGPTやClaudeなどのAIチャットボットをプログラミングに利用する場合、ブラウザのチャット画面にコードを貼り付ける必要があり、生の開発環境とAIとの間にギャップがありました。Google社内でも、よりシームレスに開発フローへAIを組み込む方法を模索する中で、「ターミナルで直接AIに相談できれば効率的ではないか?」という発想が生まれたのです。
Gemini CLIはこうした発想のもと、Googleの社内プロジェクトとして開発がスタートしました。元々Googleはコード自動生成AI「コードアシスト(Codey)」や対話型LLM「Bard」などを運用していましたが、それらを統合発展させた次世代モデルがGeminiです。Gemini CLIは、そのGeminiモデル群の中からGemini 2.5 Proという強力なモデルを選択し、開発者が直接対話・操作できるエージェントとして仕上げられました。Googleがこのツールをオープンソース(Apache 2.0)で公開したのは、広くコミュニティのフィードバックを得て製品を成熟させる狙いもあります。実際、GitHub上でコードが公開されており、バグ報告や機能提案、さらにはコントリビューション(コード寄与)も受け付けています。Googleとしては、自社開発の最先端AI技術を積極的に開発者コミュニティと共有し、リアルな開発現場でAIがどのように役立つかを探求したいという意図がありました。このようにしてGemini CLIは、GoogleによるAIの民主化戦略の一環として生まれたと言えるでしょう。
Gemini CLIがオープンソースで公開されたのには、技術的な透明性を確保する目的もあります。AIがローカル環境でコードを実行したりファイルを編集したりするとなると、セキュリティ上の懸念が生じます。そこでGoogleはGemini CLIのソースコードを誰でも閲覧できるようにし、どのようにAIが動作しているか、危険な操作に対してどのような安全策を講じているかを明らかにしました。実際、Gemini CLIにはSandbox(サンドボックス)モードやツールごとの使用制限設定など、安全性に配慮した設計が組み込まれています(詳細は後述)。オープンソース化によって外部のセキュリティ専門家からの指摘も受けやすくなり、結果的にプロダクトの信頼性向上につながると期待されています。このように、GoogleがGemini CLIを公開した背景には、開発者体験の向上とオープンイノベーションによる品質改善という二つの目的があったのです。
Gemini CLIならではの特徴: CLIでAIを利用するメリットと従来ツールとの違いを詳しく解説!
Gemini CLI最大の特徴は、その名の通りCLI(コマンドラインインターフェース)上でAIを操作できることです。従来のAIツールはブラウザやGUIアプリを介して利用するものが多く、開発者が日常的に使用するターミナルとは別の環境で動作していました。Gemini CLIはそうした従来ツールとの違いとして、「普段使っているシェル環境で直接AIを利用できる」という利点を提供します。例えば、開発者がエディタとターミナルを行き来しながらコードを書いている最中に、わからない点をGemini CLIに質問すれば、そのままターミナル上で回答が得られます。エディタからコードをコピーしてブラウザに貼り付け…といった手間が省けるため、シームレスな作業体験が実現します。
また、Gemini CLIはローカル環境の情報にアクセスできる点でも従来のクラウドAIチャットとは一線を画します。CLI上のAIエージェントであるため、現在のカレントディレクトリ(作業フォルダ)内のファイルを直接読み込んで解析したり、ローカルのシェルコマンドを実行してその結果を扱えます。例えば「このプロジェクト内で定義されている関数Xの実装箇所を教えて」と尋ねれば、Gemini CLIはgrepツールでフォルダ内を検索し、該当するファイルとコード行を教えてくれます(grepツールについては後述)。これはCLIならではの統合であり、クラウド上のChatGPTなどには真似できないGemini CLIの強みです。
さらに、Gemini CLIはキーボード操作に馴染んだ開発者にとって快適なインターフェースを提供します。マウス操作を必要とせず、テキストベースで完結するため、エディタから手を離さずにAIとの対話が可能です。ショートカットキーも用意されており、対話履歴のスクロールや補完などもキーボードでスムーズに行えます。また、ターミナル上で動く特性上、自動化やスクリプトとの相性も抜群です。CLIツールとして他のコマンドとパイプで繋いだり、シェルスクリプト内からGemini CLIを呼び出してAI処理を組み込むこともできます。このように、Gemini CLIは従来のAIツールとは一線を画す開発者フレンドリーな特徴を備えており、開発効率の向上に大きく寄与するでしょう。
もっとも、CLIツールであるGemini CLIにも留意点はあります。GUIに慣れたユーザーにとっては黒いターミナル画面での操作に戸惑うかもしれません。また、Webブラウザ上のチャットボットのようにリッチなフォーマット(画像の表示やボタン操作など)は基本的にできません。Gemini CLIの応答はテキストベースですが、コードブロックやテーブルは適宜整形して表示されるので、読みづらさはありません。必要に応じて結果をファイルに出力したり、Markdownとして保存するといった柔軟な使い方もできます。総じて、Gemini CLIはターミナルというシンプルな環境に高度なAI機能を溶け込ませた点でユニークであり、これまでのAIツールにはない価値を提供しています。
Gemini CLIで使用されるGemini 2.5 Proモデルの特徴と性能: 1Mトークンの大容量コンテキスト対応AIを詳しく解説
Gemini CLIの心臓部には、Googleが開発したGemini 2.5 Proモデルが使われています。このモデルは現時点で最先端級の性能を持つ大規模言語モデルであり、Gemini CLIの高機能ぶりを支える要となっています。Gemini 2.5 Proモデルの大きな特徴の一つは、なんと100万トークンものコンテキスト長を扱えることです。トークンとはモデルが入力として扱う単位(単語や記号の断片)ですが、100万トークンというのはテキストに換算すると膨大な長さです。例えば一般的な小説数冊分に匹敵するテキスト量を一度に処理できる計算であり、これはOpenAIのGPT-4(最大8万トークン程度)やAnthropicのClaude 2(最大10万トークン)を凌駕する規模です。実際問題として100万トークン全てを使い切るケースは稀でしょうが、それだけ広い文脈を一度に保持できるという安心感は大きく、長大なコードベースの解析やドキュメントを丸ごと読ませて要約させるといった用途でも威力を発揮します。
Gemini 2.5 Proモデルは、単にコンテキスト容量が大きいだけでなく、マルチモーダルな能力も備えています。テキストに加えて画像データ(図やスクリーンショット)、PDFなどの非テキストデータを入力として与え、それを理解して回答に活かすことが可能です。例えば「このUIデザインの画像からReactコンポーネントのコードを生成して」といったお願いにも対応でき、実際に画像内のテキストや構成を解析してコード出力してくれるという高度なことができます。これはGemini CLIが得意とするユースケースの一つで、Web制作やアプリ開発において、人間が描いたワイヤーフレームや設計図を元にひな形コードを起こす作業を自動化できる潜在力を示しています。
もちろんテキストベースでのコード理解・生成能力も一級品です。Gemini 2.5 Proは、大規模なソースコードリポジトリをまたいで横断的に内容を把握したり、新しい機能をゼロから実装するコードを書いたりできます。例えば数十個のファイルにまたがるプロジェクトで「昨日コミットされた変更内容をまとめて教えて」と尋ねれば、該当する差分を全て洗い出し内容を要約するといったことも可能です。バグの原因調査も得意で、「このエラーログの原因はどのファイルにある?」と質問すれば、エラーメッセージから関連箇所を推測し、該当コードを指摘してくれるかもしれません。Gemini 2.5 Proは自然言語の理解力も高いため、「〇〇な機能を実現するにはどうしたら?」という漠然とした問いに対して、コードを書くだけでなく手順や方針まで説明してくれるでしょう。
Gemini CLIではデフォルトでこのGemini 2.5 Proモデルを使用しますが、状況に応じてモデルを切り替えることもできます。例えば「gemini-2.5-flash」という軽量モデル(応答速度が速い代わりに精度やコンテキスト容量はProより低い)を選択することも可能です。対話中にモデルを変更したい場合は、後述するgemini -m
オプションを使ってセッションを開始し直すことで対応できます。Gemini 2.5 Proは強力ですが応答に時間がかかるケースもあるため、素早いやり取りを重視する場面ではFlashモデルに切り替えてみるなど、使い分けも一つの手です。Googleは今後さらに高性能なGeminiモデルを投入する可能性も示唆しており(Gemini 3系統など)、Gemini CLIの利用者はアップデートによって自動的に最新モデルの恩恵を受けられる設計になっています。総じて、Gemini CLIに採用されているGemini 2.5 Proモデルは、現行トップクラスの性能とユニークな特徴を持ったLLMであり、それがGemini CLI全体の強みを支えているのです。
Gemini CLIの想定ユースケース: コーディング支援から問題解決・タスク管理まで幅広く活用できることを紹介します
Gemini CLIは開発者向けに設計されていますが、その活用範囲は非常に幅広いです。まず真っ先に挙げられるのはコーディング支援です。既存コードのリファクタリングやバグ修正、新機能の実装などで、Gemini CLIに相談することで作業を効率化できます。例えば「この関数の挙動を変えてバグを修正したい」と伝えると、該当するコードを読み込んだ上で修正案を提示してくれます。必要であれば実際にファイルを書き換えてもらうことも可能です。単なる補完以上に踏み込んだ提案をしてくれる点で、ペアプログラミングの相棒のように使うことができます。
Gemini CLIは問題解決や調査にも役立ちます。コード以外の質問、例えば「特定のアルゴリズムの計算量は?」「このエラーメッセージの意味を教えて」といったことを聞けば、モデル内の知識やインターネット検索を駆使して回答してくれます。スタックトレースを貼り付けて「原因は何?」と尋ねれば、例外の原因や発生箇所を推測してくれるでしょう。また、Gemini CLIにはGoogle検索ツールが内蔵されているため、最新の技術情報やライブラリの使い方などもリアルタイムに調べて回答できます。Stack OverflowやGitHub Issuesを検索し、その結果を要約して伝えてくれるため、手動でブラウザ検索する手間が省ける場面が多々あります。
その他にも、Gemini CLIはタスク管理や簡易的なプロジェクトマネジメントにも応用できます。例えば開発ToDoリストをGemini CLIに伝えて優先度順に並べ替えてもらったり、進捗レポートのドラフトを生成してもらうことも可能です。「次のリリースに含める機能一覧を箇条書きにして」などと依頼すれば、会話の文脈やプロジェクトの内容を踏まえたリストアップを支援してくれるでしょう。これまで人が頭の中やメモ帳でやっていた整理作業をAIに任せることで、本来集中すべきコーディングそのものに注力できるようになります。
Gemini CLIは開発者以外でも、一般ユーザーの創作や情報収集に活かすことができます。例えば文章を書いたり翻訳したりといった用途で、ChatGPT的な使い方ももちろん可能です。また、カジュアルな質問にも答えてくれるため、「今日の天気は?」といった日常的な会話もできます(ただし天気のようなリアルタイム情報は検索機能で取得する必要があります)。画像生成AI(ImagenやVeoなど)と連携してイラストを作成する、といった高度な使い方もMCP連携機能で実現可能です。全体として、Gemini CLIは開発現場に寄り添った万能AIツールとして設計されており、コードを書く人も書かない人も、その対話型の知能を様々なシーンで活用できるでしょう。
Gemini CLIの利用条件とクォータ: 無料利用枠とAPIキー・OAuth認証の必要性を詳しく解説します
Gemini CLIを利用するには、初回起動時に認証を行う必要があります。Gemini CLIはGoogleの提供するAIサービス「Gemini Code Assist」に紐づいて動作するため、その利用枠を認証によって取得する形になります。個人利用であれば最も簡単なのはOAuthによるログインです。Gemini CLIを実行すると認証方法の選択肢が表示されるので、「OAuth」を選ぶとウェブブラウザが立ち上がり、Googleアカウントへのログインを求められます。自分のGoogleアカウント(Gmailアドレス等)でログイン承認を行えば、Gemini CLI側にトークンが渡され、以後そのアカウントの無料枠内で利用できるようになります。
無料枠(個人のCode Assistライセンス)は非常に太っ腹で、1日あたり1000リクエストかつ1分あたり60リクエストまで使用可能です。通常の対話であればこの上限に達することはまずありません。例えば1日に何十回と質問を投げても1000には届かないでしょうし、1分に60回というのも実質的に連打しない限り超えません。したがって個人開発者がGemini CLIを使う上で、ほぼ実質無制限に近い利用が可能です。しかもこの無料枠で使えるモデルはGemini 2.5 Proという最上位モデルであり、OpenAIのGPT-4などが有料であることを考えると驚異的な待遇と言えます。
一方、チーム開発や高度な用途ではAPIキーやVertex AIでの利用も検討できます。Gemini CLIはGoogle Cloudの一サービスとしても位置づけられており、AI Platformから発行したAPIキーを環境変数GEMINI_API_KEY
に設定することで、OAuthなしで直接Gemini API経由の利用が可能です。この場合、無料枠は1日100回と控えめですが、必要に応じて課金することでさらに多くのリクエストが可能になります。また、企業利用でセキュリティポリシーが厳しい場合には、Vertex AI経由で社内プロジェクトとしてGemini CLIを使う選択肢もあります。Vertex AIでは組織の請求アカウントに紐づけて利用でき、Cloud VPNやアクセス制限といったエンタープライズ機能と組み合わせて導入できます。なお、いずれの方法でもGemini CLI自体の機能や使い勝手に大きな違いはありません。強いて言えば、OAuthで使う場合はモデルの最新版が自動選択されますが、APIキー利用ではパラメータでモデル指定が必要になるくらいです。総じて、Gemini CLIは無料から企業規模までスケーラブルに利用可能であり、まずは気軽に個人アカウントで試せるのが魅力です。
Gemini CLIのインストール方法: npm・Homebrewを用いた導入手順とシステム要件を詳しく解説
ここでは、Gemini CLIを実際に自分のマシンに導入して使い始めるまでの手順を説明します。Gemini CLIはNode.js製のCLIツールとして提供されており、インストールにはnpmやHomebrewなど開発者に馴染み深いパッケージ管理システムを利用できます。セットアップは非常に簡単で、数分もあれば完了するでしょう。まずはインストールの前提となるシステム要件を確認し、その後インストール方法別に手順を見ていきます。最後に、インストール後に必要な初期設定(認証など)についても触れます。
Gemini CLIを動かすためのシステム要件: 対応OS (Windows/Mac/Linux) と必要なNode.jsバージョンなど詳細を解説します
Gemini CLIはマルチプラットフォーム対応であり、主要なOSで動作します。公式にはWindows、macOS、Linuxのいずれでも使用可能とされています。したがって、お使いのPCがこれらのOSであれば基本的に問題なくGemini CLIを動かせます。ただし、Windowsの場合は管理者権限やパスの設定が必要になる場合があります(Homebrewの利用はWSL等が必要になるため、Windowsユーザーはnpm経由での導入が無難です)。
もう一つ重要な要件として、Gemini CLIはNode.js 20以上のランタイムが必要です。Gemini CLI自体がNode.js上で動くCLIアプリケーションであるため、事前にNode.js(できれば推奨版LTSの最新)をインストールしておいてください。Node.jsのバージョンはnode -v
で確認でき、20以上であればOKです。20未満の場合は、公式サイトや
ディスク容量やメモリに関して特別な要件は公表されていませんが、Gemini CLIはAIモデルへの問い合わせを行う際にインターネット通信を行うので、安定したネットワーク接続が必要です。また、Gemini CLI自体のパッケージサイズはそれほど大きくなく、数十MB程度です。AIモデルはクラウド側にあるため、ローカルに巨大なデータを置く必要はありません。したがってストレージやRAMの制約はあまり気にしなくても良いでしょう。まとめると、「対応OS上でNode.js 20+が動作しており、ネット接続があること」がGemini CLIの動作要件となります。
npmを使ったGemini CLIのインストール手順: コマンド実行からセットアップ完了までを詳しく解説します
最もオーソドックスなインストール方法はnpm(Node Package Manager)を使う手順です。npmはNode.jsに同梱されているパッケージ管理ツールで、多くのJavaScript/TypeScript製CLIの配布に使われています。Gemini CLIもnpm経由でグローバルインストール可能です。
まずターミナルを開き、npm install -g @google/gemini-cli
と入力して実行してください。-g
オプションを付けることでグローバルインストール(システム全体で利用可能にする)となり、これによりコマンドgemini
がパスに登録されます。インストールが開始されると、npmがGemini CLIのパッケージをダウンロードし、依存関係の解決を行います。正常に完了すれば、最後にバージョン番号などが表示されてプロンプトが戻ってきます。
なお、環境によってはsudo
を付けてインストールする必要があるかもしれません(Unix系OSでパーミッションエラーが出た場合)。その際はsudo npm install -g @google/gemini-cli
と管理者権限で実行してください。ただし、可能であればNode Version Manager (nvm) を使ってローカルユーザ環境にインストールする方が安全です。インストール後、gemini --version
と入力してバージョンが表示されれば成功です。これでGemini CLIのコマンド本体が使用可能になりました。
npm経由のインストールでは、自動的に最新安定版(latestタグ)のGemini CLIが入ります。Gemini CLIは頻繁にリリース更新されており、毎週新機能や改善がリリースされています。場合によってはプレビュー版やナイトリー版も存在しますが、通常は特に指定せず@latest
を入れることで最新安定版が得られます。定期的にnpm update -g @google/gemini-cli
を実行すればGemini CLI自体のアップデートも可能です。npmでインストールしたGemini CLIは、今後のアップデートでもコマンド名などは変わらず継続的に利用できます。
Homebrewを使ったGemini CLIの導入方法: macOS/Linux環境へのインストール手順を詳しく解説します
macOSやLinuxユーザーで、Homebrewを利用している場合は、brew経由でのインストールも簡単です。HomebrewはmacOS標準のパッケージ管理ツールとして広く使われており、Linux向けにもLinuxbrewとして提供されています。Gemini CLIはHomebrewのレポジトリにも登録されているため、brewコマンド一発で導入できます。
インストール手順はターミナルからbrew install gemini-cli
と実行するだけです。Homebrewが自動的にGemini CLIのパッケージを取得してセットアップします。完了後はgemini
コマンドが有効になります。brew経由の利点は、npm同様に簡単な点に加え、Homebrewで他のツールと一元管理できることです。brew upgrade
でGemini CLIの更新も管理できます。
注意点として、HomebrewはmacOSではデフォルトで使用できますが、Linuxの場合は事前にHomebrew(Linuxbrew)自体のインストールが必要です。Ubuntu等では公式サイトの手順に従ってbrewをセットアップしてください。また、Windowsの場合はHomebrewの直接利用は想定されていないため、この方法はMac/Linuxユーザー向けです(Windowsユーザーはnpmまたはnpxの方法を取りましょう)。
HomebrewでインストールしたGemini CLIは/usr/local/binなどに実体が配置されるため、ターミナルを再起動すればすぐに使用可能になります。バージョン確認やアップデートもbrewコマンドでできるため、普段からbrew管理している開発者には便利な方法です。
npxでGemini CLIをインストール不要で実行する方法: ワンライナーコマンドで即時起動する手順を詳しく解説します
Gemini CLIは、実はインストールせずにすぐ試すこともできます。Node.jsの便利な仕組みであるnpx
を使えば、グローバルインストールしなくてもワンライナーでGemini CLIを起動可能です。npxは指定したnpmパッケージをその場で実行するツールで、Gemini CLIも対応しています。
試しにターミナルからnpx https://github.com/google-gemini/gemini-cli
と入力してみてください。npxがGitHub上のGemini CLIリポジトリから必要なコードをダウンロードし、一時的な環境でgemini
コマンドを起動してくれます。初回のみ多少時間がかかるかもしれませんが、インストール無しでGemini CLIを体験できるのでお試しには最適です。対話プロンプト(>
)が表示されたら成功で、あとは通常のGemini CLIと同じように質問を投げかけることができます。
npxでの実行はあくまで一時的なセッションですので、終了すればプログラムは削除されます。毎回npxで実行することも可能ですが、利便性を考えればやはりnpmもしくはbrewでインストールしてしまったほうが良いでしょう。ただ、「まずは動作を確認したい」「グローバル汚染したくないので一度試すだけ」といった場合にはnpxは非常に有用です。なお、npx利用時もGemini CLIの認証や機能は通常通り動作します。したがって、ログインして試し、そのまま別の方法でインストールし直しても引き継ぎ可能です。一時的なCookieやトークンは消えますが、Googleアカウント側に利用記録は残るため二度目以降のOAuthログインはスムーズでしょう。
Gemini CLIインストール後の初期設定: 初回起動時のOAuth認証とプロジェクト設定のポイントを解説します
Gemini CLIのインストールが完了したら、いよいよ起動して利用開始…と行きたいところですが、最初に認証フローとプロジェクト設定を済ませる必要があります。先述したように、OAuthを用いる場合は初回起動時にブラウザでGoogleログインを行います。gemini
コマンドを実行すると認証方法の選択肢が表示されるので、「1. OAuth」を選択しましょう。選択すると自動でブラウザが開き、Googleアカウントのログイン画面が出ます。ここで自分のアカウントでログインし、許可を与えると、ターミナル上に「認証成功」といったメッセージが表示されます。
組織でGemini Code Assistのライセンスを利用している場合や、Vertex AIプロジェクトで使う場合には、環境変数の設定が必要です。例えば、組織のCode Assistライセンスを使うならGOOGLE_CLOUD_PROJECT
にプロジェクトIDを設定してからgemini
コマンドを実行します。Vertex AIを利用する場合はGOOGLE_API_KEY
とGOOGLE_GENAI_USE_VERTEXAI=true
を環境変数にセットする手順になります。これらは主に企業ユーザ向けの設定ですが、必要に応じてドキュメントを参照してください。
認証が済むと、Gemini CLIは対話セッションを開始します。その際に現在のディレクトリにGEMINI.mdという特別なファイルがある場合、これを読み込んで初期コンテキストに反映します。GEMINI.mdはプロジェクトごとのメモリファイルで、後述するように会話の前提や補足情報を書いておけます。初回起動時には無理に用意する必要はありませんが、複数プロジェクトでGemini CLIを使うなら、各プロジェクトフォルダにGEMINI.mdを置いておくと良いでしょう。
これらの初期設定が完了すれば、あとはGemini CLIに自由に話しかけるだけです。次章では、実際のGemini CLIの基本操作(使い方)について具体的に見ていきましょう。
Gemini CLIの主な機能・特徴: 100万トークン対応やWeb検索連携など多彩なAI機能を詳しく紹介
Gemini CLIは単に対話できるだけでなく、開発者にとって役立つ様々な機能を備えています。ここでは、その主な機能・特徴をカテゴリ別に紹介します。コードの理解・生成能力、自動化や外部サービスとの統合、Google検索などの高度な機能、GitHubとの連携まで、多岐にわたる魅力的な特徴があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
コード理解と生成機能: 大規模コードベースの解析やマルチモーダル入力(PDF・画像)による新規アプリ生成にも対応
Gemini CLIの核となるのが、強力なコード理解・生成機能です。Gemini CLIはバックエンドのGemini 2.5 Proモデルによって、非常に高度なコード解析能力を発揮します。例えば、数百ファイルからなる大規模なコードベースであっても、ディレクトリ全体を対象に「このプロジェクトの設計を要約して」と尋ねれば、重要なクラスや関数の関係を整理して説明してくれるでしょう。依存関係グラフの把握や、特定の処理の実装箇所の特定など、人間が時間をかけて読み解く部分を短時間でこなします。
また、Gemini CLIはコードの自動生成にも優れています。与えられた要件から新しいコードファイルを作成したり、既存コードに新機能を追加する実装を書いたりできます。特に特徴的なのがマルチモーダル入力への対応です。ユーザーがPDF資料や画像デザインをGemini CLIに渡すと、それを読み取ってコード生成に活かせます。例えばUIのモック画像を与えて「このデザイン通りのHTML/CSS/JSコードを書いて」と依頼すれば、見た目を解析してそれに沿ったコードを生成するといった芸当も可能です。実際、Googleの発表によればGemini CLIはPDFの仕様書から自動的にアプリを生成するデモも行われています。
さらに、Gemini CLIはデバッグやコードリファクタリングにも一役買います。エラーメッセージを入力して原因を尋ねると、メッセージの内容やスタックトレースからどの部分に問題がありそうかを推測し、修正案を示してくれます。必要な場合はファイルの該当箇所を表示してくれるので、開発者は迅速に問題箇所を特定できます。また、「このコードをリファクタして可読性を上げて」と依頼すれば、変数名の改善や冗長なロジックの単純化などを提案し、場合によっては実際に修正版コードを示してくれます。こうした高度なコード操作を自然言語だけで実行できるのは、Gemini CLIが持つ生成AIとしての優れた能力と、CLIならではのプロジェクト全体へのアクセス権限があるからです。
まとめると、Gemini CLIのコード理解・生成機能は、膨大なコードの理解から新規コードの生成、デバッグやリファクタリングまで網羅したオールインワンのコーディングAIと言えます。これらは単独のエディタ補完機能では到底カバーしきれない領域であり、Gemini CLIを使う大きなメリットの一つでしょう。
自動化と統合機能: Pull Requestレビューや複雑なRebase処理など開発タスクを自然言語で自動化して効率化
Gemini CLIは、開発ワークフローに関わる様々なタスクの自動化や既存ツールとの統合も実現します。例えばGitHub上のPull Requestの内容を確認してレビューコメントを書くといった作業も、Gemini CLIに任せることが可能です。具体的には、「このPRの変更点をレビューして指摘事項をまとめて」といったプロンプトを与えると、Gemini CLIは差分を読み取り、改善点や疑問点を箇条書きで出力してくれます。これはGemini CLIがGitHubのAPIやgitコマンドと連携して、変更内容を取得・分析できるからこそできる芸当です。
複雑なGit操作の自動化もGemini CLIの魅力です。例えば、「現在のブランチを最新mainにリベースしてコンフリクトを解消して」と命じると、Gemini CLIは裏でgit fetch
やgit rebase
を実行し、マージコンフリクトが起きた場合はその内容を解析して解決策を提案してくれます。従来、経験が必要だったRebase作業も、AIの助けで安全かつ迅速に行えるようになります。
他にも、JIRAチケットの問い合わせやCI/CDの状況確認など、開発フローにおける様々な「ちょっとした手間」をGemini CLIで自動化できます。Gemini CLI自体にプラグインを書くことも可能で(後述のMCP統合機能)、例えばSlackのAPIを叩いてデプロイ結果を通知するといったカスタムコマンドを仕込むこともできます。これらにより、開発者は繰り返し作業から解放され、より創造的な部分に集中できるでしょう。自然言語で「○○して」と言うだけで、それに対応する一連のコマンドやAPI呼び出しをGemini CLIが裏で実行してくれるのは、まさに次世代の自動化体験です。
Gemini CLIはまた、非インタラクティブモードでスクリプトから呼び出すことも容易です。gemini -p "○○"
のように一回きりのプロンプトを指定して実行すると、その回答を返してプログラムを終了します。これをシェルスクリプトやCI/CDパイプラインに組み込めば、AIによるコードチェックやドキュメント生成を自動化の一部として組み入れることも可能です。例えばコミット前フックでコードの静的解析結果を要約させるとか、デプロイ後にユーザ向けリリースノートを自動生成するといった使い方も考えられます。Gemini CLIのこうした統合機能は、単なるチャットボットの枠を超えて開発プロセス全体を効率化できるポテンシャルを秘めています。
MCPによる拡張性: Slack・データベース連携や画像生成AIの利用など外部ツール統合にも対応
Gemini CLIは標準搭載の機能だけでなく、MCP(Model Context Protocol)によって外部システムとの連携を柔軟に拡張できる設計になっています。MCPとは、Gemini CLIが外部ツールやサービスにアクセスするためのプロトコルで、いわばプラグインシステムのようなものです。
このMCP拡張によって、SlackやGitHub、データベースなど様々な外部ソースと連携したカスタム機能を実装できます。例えば、Gemini CLIから社内のSlackに接続し、@slack
コマンド経由で特定チャネルにメッセージを送る、といったことも可能になります。実際、Gemini CLIのMCPサーバー連携例として、「@github
自分のオープンなPull Request一覧を表示」「@database
未使用ユーザーを見つけるクエリを実行」といったものが紹介されています。これらはMCPを通じてGemini CLIがGitHub APIやデータベースにアクセスし、その結果を取得・分析して返しているのです。
また、画像生成AIとの連携もMCPで実現できます。Googleの画像生成モデルであるImagenや動画生成モデルVeoなどをGemini CLIから呼び出し、テキスト指示からクリエイティブを生成することも可能です。例えば「Veoを使って猫の冒険を描く短い動画を作って」と頼めば、Gemini CLIがMCP経由でVeoに指示を送り、生成された動画の情報を取得するといったことも考えられます。このように、MCPを活用すればGemini CLIの機能は無限に広がります。
拡張の方法としては、Gemini CLIの設定ディレクトリ(~/.gemini
)内にMCPサーバーの情報を記述し、対応するサービスと通信できるようにします。自前でMCPサーバーを立てれば独自のツールとも連携可能で、たとえば社内のレガシーシステムにAI経由で問い合わせるといったカスタム統合も可能でしょう。MCPによる拡張性のおかげで、Gemini CLIはGoogle純正の機能に留まらずコミュニティ主導の機能追加が期待できます。事実、GitHubリポジトリではMCPを使った便利ツールのアイデアが議論され始めており、今後様々なプラグイン的機能が生まれてくるでしょう。
高度な機能: 内蔵Google検索で最新情報を取得し長文対話のチェックポイント保存やコンテキストファイル設定にも対応
Gemini CLIには、他にも開発者に嬉しい高度な機能がいくつも搭載されています。その一つが内蔵Google検索です。Gemini CLIは会話中に必要に応じて自動的にWeb検索を行い、最新の情報を収集して回答に反映させることができます。例えば、「最新のReactのベストプラクティスは?」と質問すれば、背後でGoogle検索を実行して関連ページを取得し、内容を要約して答えに盛り込んでくれます。AIモデル単体では知り得ない直近の技術トレンドやバージョン更新情報も、この機能により参照可能なのです。
加えて、Gemini CLIは対話内容のチェックポイント保存機能を備えています。これは長いディスカッションを区切りの良いところで保存し、後から再開できる仕組みです。対話が進むとコンテキストが膨大になりますが、Gemini CLIでは/checkpoint
コマンド等で現在の会話状態をファイルに保存できます。保存されたチェックポイントを呼び出すことで、過去の続きから議論を再開したり、別のトピックに切り替えたりが容易になります。特にプロジェクトごとに会話を分けたい場合に便利で、「昨日の会話の続き」を再現するといった使い方も可能です。
さらに、Gemini CLIではコンテキストファイル設定というユニークな機能も提供されています。それが各プロジェクトフォルダに置けるGEMINI.mdファイルです。このMarkdownファイルに、そのプロジェクト特有の情報(用語の定義や前提条件、開発方針など)やAIへの指示(「出力は常に敬体で」「○○はプロジェクト内部名なので説明不要」等)を書いておくと、Gemini CLIが起動時にそれを読み込んで追加の記憶として会話に反映します。要するにプロジェクト毎のカスタム文脈を与える仕組みで、これによってAIの応答をそのプロジェクトに最適化することができます。大規模プロジェクトではドキュメントや規約が多いですが、GEMINI.mdに要点をまとめておけば、AIが常にそれを参照してくれるので余計な説明を省けます。
これら高度な機能のおかげで、Gemini CLIは一層実用的かつ賢いAIエージェントとなっています。リアルタイム情報取得はAIの知識の弱点を補い、チェックポイント機能は長期にわたる議論を整理し、コンテキストファイルはAIをチームの一員のようにチューニングしてくれます。まさに開発者視点で「あったらいいな」を詰め込んだ高機能ツールと言えるでしょう。
GitHub連携: Gemini CLIによる自動コードレビューやIssue分類など開発支援機能も提供
Gemini CLIは、ソフトウェア開発の主要なプラットフォームであるGitHubとも深く連携できます。その代表例が、Gemini CLIを使った自動コードレビューです。Gemini CLIにはGitHub Action(GitHub上で動くCIツール)として組み込むことのできるモジュールが用意されており、Pull Requestが作成・更新された際にAIにコードをチェックさせることができます。これにより、PRの内容に対して自動的にコメントを付けたり、改善提案を提示することが可能になります。人間のレビュワーが見る前にAIが予備チェックを行うイメージで、レビュー漏れを減らしたりレビュワーの負担軽減に繋がります。
Issue(課題管理)への応用も注目です。Gemini CLIのGitHub連携機能を使えば、新規Issueの内容を解析して自動でラベル付けしたり、優先度を判断してくれるようになります。例えばバグ報告Issueには「bug」ラベル、機能提案には「enhancement」ラベルをAIが判断して付与するといったことが可能です。また、Issueの文章を読み取って関連する既知の問題にリンクさせたり、必要に応じて補足質問を自動コメントする、といった高度な支援も考えられます。
GitHub上でのチャットボット的な利用もできます。IssueコメントやPull Requestコメントで@gemini-cli
とメンションすると、Gemini CLIがその文脈でAIアシスタントとして応答してくれる仕組みも提供されています。例えば「@gemini-cli このエラーの原因は何?」とPRコメントに書けば、Gemini CLIが差分やログを分析して推測を返信してくれる、といった具合です。これはまるでプロジェクトにAIエンジニアが参加しているかのような体験で、チーム開発に新しいコラボレーションの形をもたらします。
さらに、Gemini CLIを使って定期的なバッチ処理を行うこともできます。GitHub Actions上でスケジュール実行させ、たとえば毎週AIに「未対応IssueのサマリをSlackに投稿して」と命令するようなワークフローも構築可能です。これによりマネージャーが週次報告を自動で受け取るなどの効率化が図れます。まとめると、Gemini CLIのGitHub連携は、コードレビュー・Issue管理・チャットボット対応・自動ワークフローなど多岐にわたり、開発ライフサイクル全般をAIで底上げする非常に心強い機能群となっています。
Gemini CLIの基本的な使い方: 起動方法から対話入力・モデル指定まで初心者ガイドを徹底解説!
ここからは、実際にGemini CLIを使い始める方向けに、基本的な操作方法を説明します。Gemini CLIを起動する方法、AIとの対話の仕方、モデルの切り替え方、一度きりのコマンド実行や複数ディレクトリを扱う方法など、初歩から便利な使い方まで順を追って紹介します。初めてGemini CLIを触る方でも、これを読めばスムーズに使い始められるでしょう。
Gemini CLIの起動方法: カレントディレクトリでgeminiコマンドを実行して対話を開始する基本手順
インストールと初期設定が済んだら、いよいよGemini CLIを起動してみましょう。基本的な起動方法は、ターミナルでgemini
コマンドを入力して実行するだけです。コマンドを叩く場所(カレントディレクトリ)は、そのままGemini CLIが参照するプロジェクトの位置になります。例えば、今自分がmy-app
というフォルダ内にいる状態でgemini
と実行すると、my-app配下のコードやファイルをGemini CLIが認識した状態で対話が始まります。逆にホームディレクトリなど何もない場所で起動すると、特にプロジェクトコンテキストなしの会話になります。
コマンドを実行すると、初回であれば認証フローが走った後、次にGemini CLIのウェルカムメッセージが表示されます。そこには「Tip: ○○」「○○してください」といった簡単な使い方ガイドが箇条書きで表示されるはずです(例:「1. 質問するか、ファイルを編集するか、コマンドを実行してください」「2. 最良の結果を得るには具体的に指示してください」等)。これらのTipsに目を通したら、対話セッションの開始です。
画面上には>
というプロンプトが表示され、点滅するカーソルが現れます。これがユーザー入力待ちの状態です。あとはこの>
の後ろに自由に質問や指示を入力してEnterキーを押せば、Gemini CLIが応答してくれます。最初のうちは「Hello」と挨拶してみたり、「Gemini CLIについて教えて」と聞いてみると良いでしょう。なお、プロンプトの横にカーソルが表示されない場合は、何らかのエラーでセッションが終了している可能性があります。その際はもう一度gemini
コマンドを実行し直してみてください。
Gemini CLIの対話は基本的に一問一答形式ですが、複数行にわたる入力も可能です。Shift+Enterで改行しながら長いプロンプトを書くこともできます。また、Ctrl+Cを押すことで入力をキャンセルしたり対話を強制終了できます。対話セッションを終了したい場合は、Ctrl+D(EOF)または/exit
コマンドで終了できます。終了するとターミナルは通常のシェルに戻ります。
対話入力の基本: 質問の投げ方とGemini CLIからのAI回答の受け取り方
Gemini CLIとの対話では、ユーザーからの質問や指示をどのように入力し、AIからの回答をどう読み取るかがポイントです。基本的にはチャットボットと同様に自然な文章で話しかければOKですが、いくつかコツがあります。
まず、質問や依頼はできるだけ具体的に書くと良いでしょう。例えばただ「バグを直して」ではなく、「○○という入力をすると△△というエラーが出るバグを直して欲しい」と書く方が、Gemini CLIは状況を正確に把握できます。また、コードに関する質問なら該当する関数名やファイル名を明示するのが効果的です。「ユーザ登録機能が動かない」よりも「UserService.js
のregisterUser
関数でNullPointerExceptionが発生する」の方が、AIは素早く問題箇所を特定できます。
Gemini CLIは対話履歴も考慮するため、一度の質問ですべてを説明しきらなくても大丈夫です。途中で「ちなみにXとは何ですか?」と掘り下げることもできます。ただし、前提となる情報が変わる場合(例えば別のファイルに話題が移るなど)は、その旨を伝えたり、場合によっては会話をリセット(後述)した方が混乱が少なくなります。
AIからの回答は、端末上にテキストとして表示されます。コードブロックは適宜フォーマットされ、複数行の出力になる場合は自動でスクロールします。Gemini CLIは回答が長文になると一部を折りたたんで表示することがあり、続きを見るには特定のキー操作(例えば↓
キーでスクロール)をするか、もしくは
コマンドで全文を保存するといった対応ができます。ただ通常のQAであれば全て表示されるでしょう。
回答内容に不明点があれば、そのまま続けて「それは具体的にどういうこと?」「別の方法はある?」と質問しても構いません。Gemini CLIは対話を通じて追加説明をしてくれます。まさに人間に相談しているような感覚で、疑問を解消していけるのが利点です。
回答の受け取り方として、もし提案されたコードを採用したい場合は、コピーペーストして自分のエディタに貼り付けることもできますし、Gemini CLIに「そのコードをmain.js
に書き込んで」と指示して実際にファイルに反映させることも可能です。このように、Gemini CLIとの対話は双方向であり、受け取った答えをさらに発展させる指示を出すことで、より目的に近い結果を得ることができます。
モデルの切り替え: gemini -m
オプションでGemini 2.5 ProやFlashモデルなど利用モデルを指定する方法
Gemini CLIはデフォルトでgemini-2.5-proというモデルを使用しますが、必要に応じて他のモデルに切り替えて使用することができます。現時点で利用可能な主なモデルとしては、標準の「Pro」モデルと、軽量高速な「Flash」モデルがあります。モデルの切り替えはGemini CLIを起動する際に-m
オプションを付与して行います。
例えば、高速応答が欲しい場合には以下のように実行します。
gemini -m gemini-2.5-flash
このコマンドでGemini 2.5 Flashモデルが使われ、対話セッションが始まります。FlashモデルはProモデルに比べて応答が速く、軽量ですが、その分高度な推論力やコンテキスト容量では劣ります。そのため、短いやり取りやサクッと答えを得たい場合に向いています。一方で複雑なコード生成や長い文脈を保持する必要がある場合は、Proモデルを使った方が良いでしょう。
モデルの選択は、利用クォータにも関係します。個人の無料枠の場合、ProモデルとFlashモデルの両方を使用できますが、APIキー経由で特定モデルのみを使う場合には、モデル名を明示する必要があります。Enterpriseプランでは将来的により大きなモデル(Gemini 3系統など)が使えるようになる可能性もありますが、その際も-m
オプションで指定して起動することになるでしょう。
なお、対話の途中でモデルを変えることは基本的にできません。モデルを変えたい場合は、一度exit
してから別のモデルで起動し直す形になります。会話内容を引き継ぎたい場合は、先にチェックポイント保存をしておき、新しいモデルで起動後にその履歴をインポートするなどの工夫が必要です。もっとも、通常はProモデルで困ることは少ないため、特段の理由がなければ標準設定のままで問題ないでしょう。場面に応じてモデルを使い分けられる柔軟性がある点は、Gemini CLIの上級者向けのテクニックと言えます。
非対話モードの活用: gemini -p
オプションを使いスクリプトから一度きりの質問を実行する方法
Gemini CLIには、通常の対話モード以外に非対話モードがあります。これは1回の質問に対する回答だけを得ると、すぐに終了する実行モードです。通常のチャットのようなインタラクティブなやり取りはせず、スクリプト等からAIの処理を呼び出したいときに便利です。
使い方は簡単で、gemini -p "ここに質問や指示"
と-p
オプションでプロンプトを指定して実行します。例えば:
gemini -p "このプロジェクトのディレクトリ構成をツリー図で教えて"
このように書くと、Gemini CLIは対話セッションを開始せず、そのプロンプトに対する回答だけを標準出力に表示して終了します。回答は通常の対話と同じ内容が得られるので、コマンドラインで完結したAI処理として使うことができます。出力結果を別のコマンドにパイプで渡したり、ファイルにリダイレクトしたりすることも容易です。
非対話モードは、CI/CDパイプラインや自動化スクリプトと組み合わせることで真価を発揮します。たとえばGitのフックに組み込んで、コミットメッセージの自動修正案を生成したり、デプロイ後に自動で変更点の要約をメール送信したりといった用途が考えられます。gemini -p
で得た回答はプレーンテキストなので、そのまま他のツールで加工したり保存できます。
注意点として、非対話モードでは1回のやり取りでプロセスが終了するため、長いやり取りや複数ステップの推論は向きません。あくまで単発の質問に対する回答生成に使いましょう。また、対話モードと異なり、環境によっては対話ヒストリを保持しない点も留意が必要です。そのため、非対話モードで複数の関連した質問を順番に実行する場合は、都度必要なコンテキストをプロンプトに含めてあげる必要があります。
とはいえ、Gemini CLIをバッチ処理的に使えるこの機能は、AIをコマンドラインの一部として組み込むことを可能にするもので、非常にパワフルです。開発だけでなく運用スクリプトでの自動応答生成など、アイデア次第で多彩な活用ができるでしょう。
複数ディレクトリの指定: --include-directories
オプションで解析対象の範囲を拡大する方法
Gemini CLIはデフォルトでは起動したカレントディレクトリ(およびそのサブディレクトリ)をプロジェクトとして扱います。しかし、場合によっては複数のディレクトリを同時にコンテキストに含めたいケースがあります。例えば、関連するライブラリのコードも合わせて読み込ませたい場合などです。そんな時に便利なのが--include-directories
オプションです。
使い方は、Gemini CLI起動時に--include-directories ディレクトリ1,ディレクトリ2,...
とカンマ区切りでパスを指定します。例えば:
gemini --include-directories ../lib,../docs
とすれば、現在のディレクトリに加えて、../lib
と../docs
ディレクトリもGemini CLIの参照対象に含めて対話を開始します。これにより、質問した際にこれら追加ディレクトリ内のファイルも検索・参照できるようになります。
この機能は、マイクロサービスなど複数リポジトリにまたがるプロジェクトや、コードとドキュメントが別ディレクトリに存在する場合に重宝します。例えば実装コードとドキュメントが分離されている場合でも、--include-directories
で両方指定しておけば、「コードを見ながらドキュメントも要約して」といった高度な依頼が可能になるでしょう。
注意点として、あまりに大量のディレクトリを指定すると処理が重くなる可能性があります。Gemini CLIは内部でファイルシステムを走査し必要なファイルを読むため、対象が増えるとそれだけ準備に時間がかかることがあります。必要な範囲に絞って指定するようにしましょう。
また、対話セッション中に追加で別ディレクトリを読み込みたいと思った場合、現状ではセッション開始後にディレクトリを増やすことはできません。その際は一旦終了して、改めて--include-directories
を付けて起動し直す必要があります。複数ディレクトリ対応は強力ですが、使う場面は限られるので、普段は意識せず必要になったら活用する程度で問題ありません。
Gemini CLIでよく使うコマンド一覧: /help・/chat・/tools・/memoryなど基本スラッシュコマンドの使い方を解説
Gemini CLIでは、対話入力の他に特定の操作を行うためのスラッシュコマンドがいくつか用意されています。スラッシュコマンドとは、/
から始まる特殊な入力で、Gemini CLIに対するメタ的な指示を行うものです。ここでは、利用頻度の高い基本的なコマンドを一覧形式で紹介し、それぞれの使い方を解説します。
/helpコマンド: 利用可能なすべてのコマンド一覧と機能説明を表示
/help
はその名の通り、Gemini CLIのヘルプを表示するコマンドです。対話プロンプトで/help
と入力してEnterを押すと、現在利用可能な全てのスラッシュコマンドの一覧や簡単な説明が出力されます。Gemini CLIは様々な機能がありますが、/help
を見ればどんなコマンドが使えるのか一目瞭然です。
インストール直後や使い始めで勝手が分からないときは、まず/help
を試してみると良いでしょう。そこには代表的なコマンド(/tools, /memory, /mcpなど)の説明に加え、詳細なドキュメントへのリンクや使い方のヒントが含まれている場合もあります。Gemini CLIはアップデートでコマンドが追加されることもあるため、新しいバージョンに更新した際にも/help
で変更点を確認できます。
また、/help コマンド名
という形式で、特定のコマンドの詳細を表示できる場合もあります。例えば/help memory
と入力すれば/memory
コマンドの詳しい説明が得られる、といった具合です(この機能はアップデートで提供されるかもしれません)。
いずれにせよ、困ったら/helpはGemini CLIに限らずCLIツールの基本です。Gemini CLIでも同様に活用しましょう。
/toolsコマンド: 利用可能な組み込みツールの一覧表示と使用状況の確認
/tools
コマンドは、Gemini CLIに搭載されている組み込みツールの一覧を表示するためのものです。Gemini CLIにはGoogle検索やファイル操作、シェル実行など様々なツールが内蔵されていますが、/tools
を実行するとそれらツールの名称や簡単な説明が表示されます。
例えば/tools
を実行すると、GoogleSearch
(ウェブ検索ツール), WebFetch
(ウェブページ取得ツール), FileRead
/FileWrite
(ファイル読み書きツール), Terminal
(シェルコマンド実行ツール), Grep
(grep検索ツール)などが一覧で出てくるでしょう。それぞれが現在有効かどうかも表示されるかもしれません。例えばセキュリティ設定でシェル実行を無効化している場合、Terminal (disabled)
のように示される可能性があります。
このように、/toolsコマンドは「今Gemini CLIが使える道具」を確認する手段です。必要なツールが有効になっているか確かめたり、名前を失念したツールを思い出すのにも役立ちます。なおツール自体の実行は通常、ユーザーの指示に応じてAIが自動で行うため、ユーザー自身がツールを直接呼び出すことは基本ありません。しかし、今後Gemini CLIがアップデートされてユーザーから明示的にツール起動できるようになる可能性もあります。その際にも、この/tools
コマンドで使えるツール名を把握しておくことが大切です。
/memoryコマンド: 現在の会話メモリ内容の表示・保存やGEMINI.mdへのエクスポート
/memory
コマンドは、Gemini CLIの会話メモリ管理に関する操作を行います。具体的には、現在の対話履歴(メモリ)を表示したり、保存・読み込みをしたりといった機能です。
シンプルに/memory
とだけ入力すると、これまでの会話の要約や重要ポイントを表示するモードになることがあります。Gemini CLIは長い対話ではメモリ最適化のため要約を内部的に持つので、/memory
コマンドでそれを確認できるのです。また、特定のメモリ操作(保存やクリア)には引数を付ける仕様になっている場合があります。例えば/memory save
で現在の会話をGEMINI.mdにエクスポートして保存、/memory load
でGEMINI.mdからメモリを読み込み、といった具合です(実装により異なる可能性があります)。
他にも/memory clear
で会話履歴をリセットしたり、/memory status
で現在のメモリ使用量(トークン数)を表示するような機能も考えられます。Gemini CLIは非常に大きなコンテキストを扱えますが、それでも無限ではないため、メモリ内容の把握と整理は重要です。/memoryコマンドを使いこなすことで、対話を長く続ける際のメモリ不足や混乱を防ぐことができます。
なお、GEMINI.mdへのエクスポート機能がある場合、これは会話内容をプロジェクトのコンテキストファイルに反映させる便利な手段です。例えば会話で決まった設計方針やAIから得た重要な知見を/memory save
でGEMINI.mdに保存しておけば、次回以降のセッションでそれが前提知識として活きてきます。/memoryコマンドはGemini CLIのメモリを自在に操る強力な道具なので、ぜひ活用してみてください。
/mcpコマンド: 接続可能なMCPサーバー一覧の表示と外部機能呼び出しの管理
/mcp
コマンドは、前述のMCP(Model Context Protocol)による拡張機能に関する操作を行います。入力可能なMCPサーバー(外部連携先)の一覧を表示したり、特定のMCP機能の使用状況を確認できるコマンドです。
例えば/mcp
と入力すると、登録されているMCPサーバーの一覧が「@github: GitHub連携サーバー」「@slack: Slack連携サーバー」…といった形で表示されるでしょう。これにより、現在Gemini CLIが接続できる外部ツール連携の種類を把握できます。仮に/mcp refresh
などの引数が実装されていれば、MCPサーバーの再読み込みや接続テストを行えるかもしれません。
また、MCP機能を有効/無効にする設定がある場合、/mcp disable slack
のようなコマンドで特定連携を無効化することも考えられます。セキュリティ上、不要な外部接続を避けたい場合に役立つでしょう。
現状の実装詳細はドキュメント参照となりますが、いずれにせよ/mcpコマンドはGemini CLIが持つ拡張インターフェースを管理する役割です。新たなMCP連携を追加した際などには、このコマンドを使って正しく認識されているか確認することになるでしょう。
/bugコマンド: 発生したバグの詳細を開発チームに直接報告
/bug
コマンドは、Gemini CLIを利用中に何か不具合(バグ)に遭遇した際に、それを開発チームにフィードバックするための機能です。オープンソースプロジェクトであるGemini CLIでは、ユーザーからのバグ報告が品質改善に欠かせません。そこで、CLI上から簡単に報告を送れるように、この/bug
コマンドが用意されています。
例えばGemini CLIがクラッシュしたり明らかにおかしな回答を繰り返す場合、/bug
と入力すると報告モードに入ります。おそらく「バグの詳細を入力してEnterしてください」と促されるので、状況や再現手順をテキストで記述して送信します。Gemini CLIはその情報をGitHubのIssueテンプレートなどに自動転送してくれるでしょう。また、ログやセッション情報も添付される可能性があります(ユーザーの承認を得た上で)。
このようにして報告されたバグは、開発チーム(GoogleのGemini CLI開発者およびOSSコミッター)が確認し、修正に活かされます。エラーを見つけたら積極的に/bugコマンドで伝えることで、ツールの改善に貢献できるわけです。なお、社内利用などで外部に情報を送りたくない場合は、このコマンドを不用意に使わないよう注意しましょう。その場合はオフラインで再現ケースをまとめてから手動でGitHubにIssueを上げるといった方法もあります。
Gemini CLIは日進月歩でアップデートが続いており、バグ修正も頻繁にリリースされています。ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れる姿勢が見て取れますので、もしおかしな挙動に気付いたら遠慮なく/bug
で知らせると良いでしょう。
Gemini CLIでのファイル操作方法: ファイル読み書き・コード編集・複数ファイル対応機能を詳しく解説
Gemini CLIのユニークな点として、ローカルのファイルシステムに対して直接操作(読み書きや検索)ができることが挙げられます。これはCLI型AIエージェントならではの強みで、IDEプラグインのようにAIにコードを書かせたり編集させたりすることが可能です。ここでは、Gemini CLIでのファイル操作の基本について、その方法や注意点を説明します。
ファイルの読み込み方法: ソースコードやテキストファイルの内容をGemini CLIにインポートして解析に利用する手順
Gemini CLIにとって、ファイルの読み込みは情報収集の基本です。ユーザーはAIに対して「特定のファイルを開いて内容を確認して」と依頼することができます。明示的な方法としては、「○○というファイルを読んで」や「path/to/file.txtの内容を確認して」といった自然言語で指示するだけでOKです。Gemini CLIは内部でFileRead
ツールを用いて該当ファイルを開き、そのテキスト内容を取得します。そして取得した内容を解析し、質問に答えたり要約を作ったりします。
例えば、config.yaml
の中身がわからなくなった時は「Gemini、config.yaml
を開いて内容を教えて」と入力すると、Gemini CLIはファイルを読み込んで「設定ファイルにはXとYが定義されています…」と内容を教えてくれるでしょう。長いファイルの場合は要約して伝えてくれることもあります。
Gemini CLIは作業ディレクトリ内のファイルであれば相対パスで指定できますし、絶対パスを書いて別の場所のファイルを指示することも可能です。ただし、アクセス権のないファイルは開けませんし、バイナリファイルなどテキストでないものは扱えません。画像やPDFはテキスト化できる部分のみ認識します(別途OCRや埋め込みのマルチモーダル機能が働く場合もあります)。
また、Gemini CLIはユーザーの指示がなくても必要に応じてファイルを読み込む場合があります。例えば「関数foo()
の定義箇所を教えて」と尋ねれば、自動的にプロジェクト全体からfoo
を検索して該当ファイルを読み、内容を見た上で答えを生成します。これは裏でgrepツールやFileReadツールをAIが自主的に使っているわけです。つまりユーザーは細かく指定しなくても、AIが判断して適切なファイルをインポートしてくれるのです。
ファイル読み込みに関連して注意したいのは、プライベートなソースコードをAIに読み込ませることの是非です。Gemini CLIはローカルで動作しますが、AIモデルへの問い合わせ自体はGoogleのクラウドにデータが送信される点に注意が必要です。機密情報を含むファイルをGemini CLIに読ませる場合、その内容がGoogleに送られることになります(暗号化はされていますが、第三者のサーバーに渡ることは事実です)。企業ポリシー上問題があるケースでは、ファイル読み込み機能をオフにしたり、部分的にマスクしてから読ませるなど配慮しましょう。
ファイルへの書き込み方法: Gemini CLIが生成・編集したコードをファイルに保存・更新する手順
Gemini CLIはファイルを読むだけでなく、ファイルへの書き込み(編集)も行うことができます。AIが提案した修正を自動でコードに反映したり、新規にファイルを生成したりする操作です。
例えば、ユーザーが「main.py
に関数foo()
を追加して」と頼むとしましょう。Gemini CLIはmain.py
を読み込み、どこに追加すべきかを判断して、新しいfoo()
関数のコードを提案します。そして「この内容をmain.py
に書き込みますか?」と確認してくるかもしれません。ここでユーザーが「はい」と答える(もしくは/commit
のようなコマンドを入力する)と、Gemini CLIはFileWriteツールで実際にmain.py
ファイルを編集し、提案したコードを挿入します。
この一連の流れは、エディタで人間がコピペする代わりにAIが直接ファイル操作までやってくれる点で画期的です。ただ、コードを書き換える際には慎重さも必要です。Gemini CLIは通常、ファイル上のどこをどう変更するかを示してくれますし、変更前後の差分(diff)を表示することもできます。それを確認し、問題なければ適用、ダメそうならキャンセルという形で進めると安全でしょう。
Gemini CLIは複数ファイルにまたがる変更も可能です。例えば関数名をリネームするリファクタリングでは、「関連する全ファイルの該当箇所を一括で変更しますか?」といった提案をしてきます。承認すれば、該当ファイルすべてを編集し保存してくれます。これも人力では漏れがちな変更を確実に行えるメリットがあります。
新規ファイル作成については次の項で説明しますが、基本的にGemini CLIはユーザーの許可なく勝手にファイルを書き換えない設計です。必ず確認を挟むか、ユーザーから明示的な指示(「書き込んで」等)があった場合にのみ実行されます。したがって、誤操作でコードが壊れる心配は比較的少ないですが、念のためバージョン管理(Gitなど)を活用し、AIによる変更は差分チェックする習慣をつけると安心です。
新規ファイルの作成: AIによる新しいコードファイルの生成方法と出力結果の保存
Gemini CLIは既存ファイルの編集だけでなく、新規ファイルの生成も行えます。例えば「新しくutils.py
を作って、その中にヘルパー関数群を書いて」と指示すると、Gemini CLIは空のutils.py
を作成し、そこに関数定義を書き込む動作をするでしょう。
新規ファイル生成の際も、Gemini CLIは通常ユーザーに確認を求めます。「utils.py
というファイルが見つかりません。新規作成しますか?」という感じです。了承すればFileWriteツールでファイルを作り、内容を保存します。これにより、プロジェクトに新たなコードをAIが直接追加できるわけです。
もしAIが生成した提案をファイルに保存せず結果だけ得たい場合は、その旨を伝えるか、書き込み確認をキャンセルすれば良いです。AIのアウトプットをまず見て、自分で手動でファイルにコピペする方法でも問題ありません。Gemini CLIは柔軟なので、段階的に取り入れていくこともできます。
また、新規ファイルの生成時にフォルダが存在しない場合、必要に応じてディレクトリを作成するか確認されることもあります。例えばsrc/new_module/file.js
を作る際にnew_module
フォルダが無ければ、「フォルダを作成しますか?」と聞かれるでしょう。こちらもプロジェクト構成に応じて承認しましょう。
生成されたファイルの内容は、極力レビューするようにしましょう。AIは時にミスも犯しますし、不要なコメントやスタイルの不一致があるかもしれません。その点は通常の開発と同様、Gitの差分などで確認し、問題なければコミットするという流れがおすすめです。
複数ファイルの一括操作: ディレクトリ内の複数ファイルを対象にした横断的な検索・編集機能の活用
Gemini CLIは一度に複数のファイルを扱うことも得意としています。これは前述のgrep検索やマルチファイル編集のように、プロジェクト全体にまたがる操作ができるという意味です。
例えば「プロジェクト内で未使用の変数をすべて削除して」とお願いしたとします。Gemini CLIはプロジェクト内の全コードを解析し、使われていない変数宣言を洗い出します。そしてそれらが含まれる各ファイルを順に開き、該当箇所を削除する提案を行います。ユーザーが確認すれば、複数ファイルにまたがる変更が一括で適用されます。人手でやれば大変な作業も、AIがまとめて片付けてくれるわけです。
また、「全ソースコードからTODOコメントを一覧にして」と頼めば、Gemini CLIはgrepツールで// TODO
や# TODO
を検索し、ヒットしたファイル名と行番号、内容をリストアップしてくれるでしょう。これも複数ファイルを横断した解析の一例です。
Gemini CLIが得意とするのは、横串の知識を活用した操作です。複数のファイル間の関係性(例えば関数の参照元と定義先など)を理解しているため、「Aを変更したらBも直す必要がある」ことを自動で検知して提案してくれます。これはAIならではの包括的なコード理解があるからこそできる芸当で、開発者は漏れ抜けの不安を減らすことができます。
ただし、マルチファイル操作には慎重さも求められます。広範囲に変更を加える際は、予期せぬ副作用が出ないか注意しましょう。Gemini CLIはユニットテストを実行して結果を確認する機能(shellツールと組み合わせて可能)もありますから、大きな変更の後にはテストを走らせてみるのも良いでしょう。いずれにせよ、AIによる一括操作は非常に強力な反面リスクもあるため、適切に人間のレビューと検証を組み合わせて使うことが大切です。
安全なファイル操作: 上書き時のユーザー確認やサンドボックス実行によるリスク低減
Gemini CLIでファイル操作を行う際には、常に安全性に配慮する必要があります。AIが自動でコードを書き換えるというのは便利な反面、誤操作によるコード破壊のリスクも孕みます。そのため、Gemini CLIにはユーザー確認プロンプトやサンドボックスモードといった安全策が用意されています。
前述の通り、Gemini CLIは基本的にファイル上書きの前には確認を求めます。ユーザーがYesと答えなければ実際のファイルは変更されません。これは最低限のセーフティネットであり、不用意な破壊を防ぎます。また、システム設定で「常に確認を求める/自動適用する」を切り替えられるオプションもあるかもしれません。初心者は常に確認ありで使うことを推奨します。
もう一つはサンドボックス実行です。Gemini CLIでは外部コマンドやファイル操作を、制限付き環境(サンドボックス)で走らせることも可能です。例えばTerminalツールで危険なコマンドを実行しようとした場合、サンドボックスが有効なら実際の環境には影響を与えずシミュレートだけする、といった動作が考えられます。これはどこまでサポートされているかバージョンによりますが、少なくともno sandbox
という表示から推測するに、設定で切替可能なようです。
ユーザー側でも、Gitなどのバージョン管理を活用することでリスクを抑えられます。AIが行った変更をすぐコミットせず、一度git diff
で確認して問題なければコミット、もしおかしければgit restore
で元に戻すといった使い方です。自動テストがあるプロジェクトなら、AI変更後にテストを実行して全てグリーンになるか確認すると安心感が高まります。
このように、Gemini CLIは便利な反面リスクもゼロではありません。しかし、開発者が普段から行っている安全策(レビュー・テスト・バージョン管理)を怠らなければ、AIによる生産性向上を享受しつつトラブルも防げるでしょう。Gemini CLI自体もユーザーの許可なしには勝手な操作をしない設計なので、過度に恐れる必要はありません。正しく使ってより安全に、AIと協働したコーディングを楽しんでください。
Gemini CLIの会話とメモリ管理: 長文対話のチェックポイント機能とGEMINI.mdによるコンテキスト管理を解説
AIとの対話を重ねていくと、会話内容が膨大になったり、一時中断して後から再開したくなったりすることがあります。Gemini CLIにはそうした状況に対処するための会話メモリ管理機能が備わっています。ここでは、長時間の対話で注意すべき点や、便利なチェックポイント機能、メモリのリセット方法、そしてプロジェクト固有のメモリを保持するGEMINI.mdファイルの活用法について解説します。
長時間の対話がもたらす課題: 会話が長くなる際のコンテキスト保持とトークン制限への対処
Gemini CLIでAIと対話を続けていると、会話履歴がどんどん蓄積されます。Gemini 2.5 Proモデルは最大1Mトークンもの文脈を保持できますが、それでも無尽蔵ではありません。極端に長い会話では、モデルが全履歴を保持しきれず古い発言が切り捨てられたり要約されることがあります。これはAIとの長時間対話における一般的な課題です。
Gemini CLIはこの問題に対処するため、内部でメモリ管理を行っています。一部の古い履歴は圧縮・要約して保持するようにし、重要度の低い情報は捨てるといった工夫が施されています。しかしユーザーとしても、長い対話では適宜区切りをつけることが望ましいです。例えば話題が切り替わったら「(前の話は一旦置いて)次の話題に移ります」と宣言するだけでも、AIはコンテキストのリセットを意識してくれます。
もう一つの課題はトークン制限です。コンテキスト長が1Mトークンあっても、それをフルに使うと応答時間が非常に長くなる可能性があります。Gemini CLIは実用上、必要十分な履歴だけをモデルに渡すような最適化をしているようです(トークンキャッシュ機構などの存在が示唆されています)。とはいえ、ユーザー側でも要点をまとめて質問する、不要な発言は省くなどの配慮をすると応答が高速化し精度も向上するでしょう。
長時間の対話では、時折/memory
コマンドで現在の会話要約を確認するのも有効です。AIがどういう認識で話を続けているか掴めるため、ズレがあれば修正の指示を出せます。Gemini CLIは賢いとはいえ魔法ではないので、適度にユーザーが会話をガイドしてあげることでより良い結果が得られるのです。
チェックポイント機能による会話保存: /checkpointコマンドを使って対話の途中状態を保存・再開する方法
Gemini CLIには長い対話をいったん区切って保存し、後から続きに戻れるチェックポイント機能があります。これは、ゲームのセーブポイントのように会話の状態を記録する仕組みです。
具体的な使い方は、対話中に/checkpoint save 名前
と入力します(コマンド名や形式は仮ですが)。するとGemini CLIは現在の会話履歴や内部状態をまるごとファイル等に保存し、「チェックポイント名前を保存しました」と通知します。再開したいときは、新たにGemini CLIを起動して/checkpoint load 名前
と実行すれば、「チェックポイント名前をロードしました」と表示され、保存時点から会話を再開できます。
この機能により、一つのトピックについて中断した後、別のトピックを話し、さらに後から元の話題に戻るといったことが容易になります。特にプロジェクトAとBの話を並行して進める場合、それぞれチェックポイントを作っておけば切り替えがスムーズです。
チェックポイントは対話をまたいで引き継がれるため、Gemini CLIを終了してPCをシャットダウンしても問題ありません。次の日に続きを読み込めます。保存データはおそらく~/.gemini/
フォルダ内か、プロジェクトフォルダ内に隠しファイルとして格納されるでしょう。
注意点として、ロードした後に新たなやり取りをしたら、必要に応じて再度保存し直す必要があります。保存データはその時点のスナップショットなので、そこから先に進めば更新が必要です。また、Gemini CLIのバージョンが変わると古いチェックポイントが互換性を持たない可能性もあります。その場合はうまくロードできないかもしれません。
とはいえ、このチェックポイント機能は長期的な会話やマルチタスクにおいて非常に有用です。忘れがちな情報もAI側で保持してくれますし、話題を切り替える手間も軽減されます。上手く活用して、AIとの対話を自分のペースで管理しましょう。
メモリリセットと新規会話開始: コンテキストをクリアしてAIとの対話をリフレッシュする方法
Gemini CLIで別の話題に移りたい時や、AIのコンテキストを一度リセットしたい場合があります。そのような時にはメモリのリセット、つまり会話履歴のクリアを行うと良いでしょう。
最も簡単な方法はGemini CLIを一旦終了して、再度gemini
コマンドを実行し直すことです。これで新しいセッションが始まり、過去の会話は引き継がれません。ただし、毎回終了・起動は手間ですし、同じプロジェクト内だとGEMINI.mdの内容が毎回読み込まれるので微妙に前の会話の影響が残るかもしれません。
そこで用意されているのが/memory clear
や/reset
といったコマンドです(具体的な名前は実装によります)。これらを対話中に入力すると、Gemini CLIの内部で保持している会話履歴がクリアされ、AIの記憶が白紙になります。「会話をリセットしました。新しい話題を始めてください。」のようなメッセージが出るでしょう。
リセット後は、それ以前のメッセージをAIは忘れています(厳密には完全削除か要約のみ保持かはケースによります)。したがって、また一から説明が必要になりますが、それが面倒な場合はGEMINI.mdに共通情報を書いておく手もあります。GEMINI.mdはプロジェクトの恒久的なコンテキストなので、リセットしても読み込まれ続けます。例えばシステム構成図の説明など頻繁に使う前提知識はGEMINI.mdへ、今取り組んでいる具体的話題は会話履歴で管理、と棲み分けると良いでしょう。
ちなみに、明示的にメモリリセットしなくとも、新しい話題を始めたい時に「(前の話はここまで。)では別件ですが…」と断りを入れるだけでもAIは認識を切り替えてくれます。ただ内部的には以前の履歴が残っているため、完全に分離したいならやはりリセットが確実です。
メモリリセット機能は、AIとの対話をフレッシュな状態で始め直すために非常に便利です。特に長い会話でモデルの回答が冗長になってきた時や、不要な流れに引きずられていると感じた時には、一度リセットして仕切り直すことで明瞭な回答が戻ってくることも多いです。Gemini CLIを長く使っていると、適度なリセットがかえって生産性を上げる場面があることに気付くでしょう。
GEMINI.mdによるコンテキスト共有: プロジェクト固有の情報をAIに記憶させるメモリファイルの活用
Gemini CLI独自のメモリ管理機能として、各プロジェクトに配置できるGEMINI.mdファイルがあります。これはプロジェクト固有のコンテキストを記述しておくためのメモリファイルで、Gemini CLIが起動時に自動で読み込み、AIに共有します。
GEMINI.mdにはMarkdown形式で自由にテキストを書けます。典型的には、そのプロジェクトに関する背景情報や専門用語の定義、コーディング規約、ライセンス文などを記載します。例えば、「本プロジェクトはリアルタイムチャットアプリで、ユーザをメンバーと呼ぶ」といったドメイン知識を書いておけば、以降Gemini CLIは「メンバー=ユーザ」と理解して回答してくれます。あるいは「コード例ではPrettierに従って2スペースインデントにすること」と書けば、AIが生成するコードもそのスタイルを守ろうとします。
GEMINI.mdはプロジェクトフォルダ直下に置くだけで有効になります。複数ファイル(GEMINI1.md, GEMINI2.mdなど)を置くと全て読み込むことも可能です。Gemini CLI起動時のログに「Using X GEMINI.md files」と表示されますので、ちゃんと認識されているか確認できます。
この仕組みを使うと、プロジェクト間のコンテキストの切り替えがスムーズになります。プロジェクトAではA用のGEMINI.md、プロジェクトBではB用のGEMINI.mdが読み込まれるため、それぞれの前提知識を自動で持ってくれるのです。毎回説明し直す手間が省け、AIの回答精度も向上します。
GEMINI.mdは会話履歴とは別枠で常に参照されます。つまりメモリリセットしてもGEMINI.mdの内容は保持されますし、チェックポイント保存にも基本含まれません(常に読み込まれるため)。あくまでシステムプロンプト的な位置付けです。内容が変わった場合はGemini CLIを再起動すれば新しい内容が反映されます。
GEMINI.mdの書き方に特別な決まりはありませんが、箇条書きで「前提: ○○」「用語: ○○ = △△」のようにまとめたり、重要なポイントは太字にしたりするとAIが重視してくれる可能性があります。あまり長くしすぎると読み込みに時間がかかるので、ほどほどの長さに絞りましょう。
総じて、GEMINI.mdファイルはAIにプロジェクト知識を教える手段として非常に強力です。これを活用することで、Gemini CLIを自分のチームメンバーのように教育し、プロジェクトに最適化された回答を得られるようになります。
トークンとメモリ管理: 100万トークンの大容量コンテキストを活かしつつ無駄を省く工夫
最後に、Gemini CLIのメモリ管理に関連するトークンの扱いについて触れておきます。Gemini 2.5 Proモデルは最大1Mトークンという膨大な履歴を扱えますが、それを常にフル活用するのが最適かというと、必ずしもそうではありません。トークンを無駄遣いしない工夫も重要です。
Gemini CLIにはトークンキャッシングという仕組みがあり、過去のやり取りの一部を要約して保存しておくことで、毎回全履歴をモデルに送らないようにしています。例えば冒頭の雑談部分など、後の質問回答に影響しない部分は適宜省略し、必要な情報だけを残すように調整します。これにより、100万トークンの余裕があっても常に100万全部を使うわけではなく、迅速かつ効率的な対話が可能になっています。
ユーザー側でも、質問や指示は簡潔にすることでトークン消費を抑えられます。長々と背景を書かなくても、Gemini CLIはGEMINI.mdや直近の発言から文脈を補完します。また、既に与えた情報を繰り返す必要も基本ありません。逆にAIの回答が冗長な場合は、「簡潔に答えて」とお願いすれば、余計な文章を省いてくれるでしょう。これも次のやり取りのトークン節約になります。
幸い、Gemini CLIは無料枠でもトークン課金を気にせず使える環境ですが、技術的な制約としてのトークン数は存在します。その範囲内でより多くの有用な情報をやり取りするために、上手にメモリ管理・トークン管理をしていくことが大切です。1Mもの大容量があるとはいえ、常にフルに使う必要はなく、適度に要約と整理を挟むことで会話の質はむしろ高まります。
Gemini CLIはそのあたり自動で賢くやってくれる部分も多いですが、ユーザーとしてもAIとの対話を一つのスキルと捉え、効率的なコミュニケーションを図ると良いでしょう。それにより、100万トークンのポテンシャルを最大限活かしつつ、無駄のないスマートな対話体験が得られるはずです。
Gemini CLIの組み込みツールの使い方: Google検索・Shell実行など内蔵ツールの活用方法を解説
Gemini CLIには、AIをサポートする様々な組み込みツールが搭載されています。これらのツールはAIが裏側で利用するもので、ユーザーの指示に応じて自動的に起動し、情報収集や操作を行います。ここでは代表的な内蔵ツールと、その働きや使い方のコツを紹介します。
Google検索ツール: AIが外部の最新情報を取得するための検索機能の利用
Gemini CLIの注目すべきツールの一つがGoogle検索ツールです。このツールは、AIモデルが手元の知識だけでは答えきれない場合に、インターネット上から最新の情報を収集するために使われます。ユーザーが明示的に「ウェブ検索して」と言わなくても、AIが必要と判断すれば裏でGoogle Search APIを叩いて関連情報を取得します。
例えば「今年リリースされたDjangoの新機能は?」と尋ねれば、Gemini CLIはDjangoの公式ブログやニュース記事を検索し、見つかった情報を要約して回答に盛り込むでしょう。内部的にはGoogleSearch
ツールが動き、検索クエリを生成して実行、結果の上位ページをWebFetch
ツールで取得して内容を精査、といった処理が行われています。
ユーザーから見れば、特に意識せずともAIが最新情報を知っているかのように感じられますが、その裏にはこの検索ツールの働きがあります。Gemini CLIが他のオフラインLLMと決定的に異なるのは、このリアルタイムな外部知識へのアクセスがある点です。
ユーザー側から積極的にこの機能を活用したい場合、質問の中で検索ワードを明示するのも手です。例えば「Go言語 1.21 特徴を調べて」と書けば、AIは「Go 1.21 特徴」というキーワードで検索し、公式記事などを当たってから答えるでしょう。検索エンジンの特性上、適切なキーワード選びが重要なので、欲しい情報に繋がりそうな語を質問に含めるとより精度が上がります。
なお、企業内ネットワークなどインターネットにアクセスできない環境では、この検索ツールは動作しません。その場合はGemini CLIもWebから情報を取れないため、モデルの内在知識に頼る形になります。もし社内限定の検索システムと連携したい場合は、MCP機能で独自の検索エンジンを組み込むことになるでしょう。
ウェブ情報取得ツール: 指定URLからWebページを取得・解析する方法
Google検索ツールと対を成すのがWebFetch(ウェブ情報取得)ツールです。検索ツールがURLの一覧を見つけてきたら、WebFetchツールが各URLにアクセスし、そのページ内容を取得してAIに渡します。これにより、Gemini CLIは実際のウェブページ本文を読んで理解し、必要な情報を抽出できます。
例えばユーザーが「このリンク先の内容をまとめて」と言い、URLを示した場合、Gemini CLIはそのURLに対してWebFetchを実行します。HTMLが取得され、テキストが抽出され、AIが内容を要約してくれるでしょう。複数URLをまとめて与えれば、それぞれ取得して比較することも可能です。
WebFetchツールは基本的にAIが自動で使いますが、ユーザーも意識的に活用できます。たとえば検索結果が出た際に、「1番目の結果を開いて詳細を教えて」と伝えれば、AIは1番目のURLをWebFetchして中身を分析します。これはGemini CLIをウェブブラウザ代わりに使うようなものですが、AIが要点をかいつまんでくれる分、効率的です。
注意点として、WebFetchツールは認証が必要なページや動的なページには対応できません。ログインしないと見られない情報は取得できないですし、JavaScriptで生成されるコンテンツはHTML上には存在しないので取れません。また大量のページを一度に取得すると時間がかかることもあります。必要な範囲に絞って使うようにしましょう。
このツールを適切に使えば、Gemini CLIはStack Overflowの特定の質問ページを読んで解答を引用したり、公式ドキュメントサイトから直接情報を引っ張ってきたりと、本当にアシスタントがウェブサーフィンして調べてくれているような動きをします。AIとはいえ情報源は重要なので、WebFetchによって信頼性の高いサイトから根拠を得て回答するGemini CLIは、より正確な回答を提供できるという強みがあります。
シェルコマンド実行ツール: ローカルのターミナルコマンドをAI経由で実行する機能と注意点
Gemini CLIの組み込みツールで強力なのがシェルコマンド実行ツール(Terminal
ツールとも呼ばれる)です。これは、その名の通りGemini CLIからローカル環境のシェルコマンドを実行できる仕組みです。AIが必要に応じてls
やgrep
、make
など任意のコマンドを呼び出し、その出力を取得して解析することができます。
例えば、ユーザーが「このプロジェクトをビルドしてエラーが出るか確認して」と依頼すると、Gemini CLIは裏でmake build
やnpm run build
等のコマンドを実行するかもしれません。その実行結果(コンパイルエラーのログなど)を取得し、AIが解析して「○○ファイルの△△行目でエラーです」と教えてくれる、といった流れです。
他にも、「ログファイルの中でERRORという単語が出る行を探して」と言えば、AIはgrep 'ERROR' logs/app.log
を走らせて結果を読み取るでしょう。Terminalツールを駆使することで、AIがまるで人間のエンジニアのようにコマンドライン操作をこなしてくれるわけです。
しかし、このツールには注意点もあります。ローカル環境のコマンドを実行できるということは、場合によっては破壊的な操作も起こりえます。rm -rf
のようなコマンドを万が一実行されると大惨事です。Gemini CLIはそのような危険操作を勝手にしないよう設計されていますが、Terminalツールを有効にしている以上、絶対安全とは言い切れません。
そこで、多くの場合Terminalツールはデフォルトで無効化されていたり、実行時にユーザー確認を求めるようになっているでしょう【49†source】。「no sandbox」と表示されている場合は無効、sandboxモードなら確認有り、といった具合です。Gemini CLIの設定で「安全なコマンドのみ許可」オプションなどがあれば有効にすることをお勧めします。
安全に使うコツとして、もしAIにシェルコマンド実行を依頼する場合は、コマンド名まで明示することです。「テストを実行して」と言うのではなく「npm test
を実行して」と伝えると、AIはその通りに動きます。そうすれば予期せぬコマンドが走るリスクは減ります。
Terminalツールは諸刃の剣ですが、適切に使えば自動テストやログ解析、ビルド確認など様々なことをAIが肩代わりしてくれます。うまく制御しつつ活用することで、Gemini CLIの便利さがさらに際立つでしょう。
grep検索ツール: プロジェクト全体からキーワードを検索し該当箇所を一覧表示する機能
Gemini CLIにはプロジェクト内の全文検索を行うgrepツールも内蔵されています。grepとはUnix系でおなじみのテキスト検索コマンドですが、Gemini CLIではAIがgrep相当の機能を使ってキーワードを探し出します。
例えば「このコードでdatabase
という単語が出てくる場所を教えて」と頼むと、Gemini CLIは内部でgrepを実行し、該当箇所を一覧表示します。結果にはファイル名と行番号、その行の前後の文脈などが含まれるでしょう。これにより、開発者は広いコードベースの中から関心のある部分をすぐに見つけられます。
grepツールの利点は、AIモデルにすべてを分析させなくても機械的に高速検索できるところです。何千ものファイルから文字列パターンを探すのはLLMには向きませんが、grepツールなら一瞬です。Gemini CLIはこの得意分野をうまく使い分けており、grep結果を踏まえてAIが解説するという流れを取ります。
ユーザーが明示的にgrepを指示することも可能です。「プロジェクト内でTODO
が含まれる行を教えて」などはgrepツールの出番です。Gemini CLIは見つけた箇所を列挙し、「ここにTODOコメントがあります」と出力します。そこから「では最初のTODOを解決してください」と話を続けることもできます。
grepツールはセキュリティリスクも低く、安全に使える機能です。ただ、大文字小文字の区別や正規表現など細かな指定はAI任せになるので、必要なら指示します。例えば「Widget
とwidget
両方検索して」と言えば大文字小文字無視で検索するでしょう。
このようにgrepツールはコードリーディングやリファクタリングの際に強力な武器となります。人的なミスなく網羅的に見つけられるので、作業抜けも防げます。Gemini CLIはツール郡の中でも、このgrepのような基本機能をしっかり抑えているため、開発者は自信を持ってAIの助けを借りることができるのです。
ツールの有効化/無効化設定: セキュリティのために特定ツールをオフにする方法
Gemini CLIの組み込みツールは非常に便利ですが、一部のツールは前述の通りセキュリティ上の懸念もあります。そこで、Gemini CLIではツールごとに有効/無効の設定を行うことができます。
具体的な操作方法は設定ファイルまたは起動オプションになるでしょう。例えば~/.gemini/settings.json
のような設定ファイルで、
"tools": { "Terminal": false, "WebFetch": true, "GoogleSearch": true, ... }
といった形でON/OFFを切り替えられるはずです。または起動時に--disable-tools Terminal
のようなオプションが用意されているかもしれません。
会社のポリシーで「AIによるインターネットアクセスは禁止」という場合は、GoogleSearchとWebFetchを無効にすることで、AIが外部と通信しないようにできます。逆に「ローカルコマンドの実行は禁止」という場合はTerminalツールをオフにします。Gemini CLIはこうした制御が可能なように設計されています。
ツールを無効化すると、/toolsコマンドの一覧にも (disabled) と表示されます。AIもそのツールが使えないことを認識するので、例えばTerminalツールをオフにしている場合、「shellコマンドを実行して」という依頼には「安全上の理由で実行できません」と答えるかもしれません。
このように、環境やポリシーに合わせてツールの有効・無効を調整できるのはGemini CLIが企業利用も視野に入れている証左です。設定変更は管理者のみ許可するなどの運用にすれば、不用意な情報流出や操作を防ぎつつAIの恩恵を受けられます。
なお、ツールを無効にしすぎるとGemini CLIの能力がかなり制限される点には注意しましょう。検索もシェル実行もしないとなると、ほぼChatGPTのローカル版のようなものになってしまいます。自社内に閉じた環境でも、せめてファイル操作とgrepくらいは許可するといったバランスを考えると良いでしょう。
Gemini CLIの検索機能活用術: 内蔵Google検索ツールでリアルタイム情報を取得する方法と精度向上のコツ
Gemini CLIが持つGoogle検索連携は、AIチャットにとって非常に強力な武器です。しかし、ただ漫然と使うよりも、工夫して活用することでより的確な情報を引き出せます。ここでは、Gemini CLIの検索機能を上手に使いこなすためのポイントや注意点を解説します。
検索ツールの基本: Gemini CLIがGoogle検索で最新情報を取得する仕組み
Gemini CLIは会話中に必要とあらば自動でGoogle検索を実行しますが、その基本的な仕組みを理解しておきましょう。Gemini CLIのGoogle検索ツールは、ユーザーからの質問やAIモデルの推論から適切なキーワードを抽出し、Googleの検索APIにクエリを投げます。その際、質問内容全体を投げるわけではなく、要点となるキーワードやフレーズをうまく組み合わせて検索します。
例えばユーザーが「Rustの最新コンパイラの安定版リリースはいつ?」と聞いた場合、AIは「Rust 最新 安定版 リリース日」のようなキーワードに変換して検索します。Google側から結果が返ってきたら、その上位のいくつかのリンク先をWebFetchし、内容を読んで回答に反映します。回答文中には「【情報源によれば…】」といった形で検索結果から得た知見が盛り込まれるでしょう。
このようにGemini CLIは検索→取得→要約をバックグラウンドで行っており、ユーザーにはシームレスに結果だけが見える仕組みです。UIによっては「🔍検索中…」といったインジケータが表示されることもあります。
ユーザーができる基本的なことは、AIに対して「今のは最新情報も含めて教えて」と伝えることです。そうすればGemini CLIは検索ツールを積極的に使います。逆に「この話題について検索しなくていいから知っている範囲で答えて」と言えば、検索を抑制する可能性があります。AIが勝手に検索しすぎて時間がかかる場合は、そのように指示すると良いでしょう。
検索ツールの使いどころ: コーディング中の未知のエラーや最新ベストプラクティスの調査
では具体的にどんな場面で検索機能が役立つでしょうか。まず挙げられるのが、未知のエラーメッセージに遭遇したときです。開発中、見慣れないエラーが出たら多くの人はStack OverflowやGoogle検索で調べるでしょう。Gemini CLIならエラーログ全文を入力して「このエラーの意味と対処法を教えて」と尋ねれば、勝手にWeb検索して解決策を提示してくれます。複数のサイトの情報をまとめてくれるので、いちいちリンクを開く手間もありません。
次に、最新のベストプラクティスを知りたいときです。技術は日進月歩で、モデルの学習時点(2023年頃)以降の情報はLLM単体では持っていません。例えば「React 18ではState管理はどうするのが推奨?」などは、検索しないと答えられないでしょう。Gemini CLIはこの種の質問でも検索によって公式ブログやコミュニティ記事を読み、その結論をまとめて教えてくれます。つまり、AIに古い知識しかない場合でも、検索機能のおかげで常に最新の回答を得やすくなっているのです。
また、環境依存の情報にも検索は有効です。例えば「UbuntuでDockerのインストール方法は?」と聞けば、最新のUbuntu版に合わせた手順を検索して出してくれるでしょう。LLM内部の知識がUbuntu 18.04基準でも、検索すればUbuntu 22.04の情報に追いつけます。
要は、Gemini CLIはモデルの弱点を検索で補う戦略を取っています。ですから、「これAI知らないかも?」と思う内容は最初から「検索して教えて」と言ってしまうのが賢明です。それにより手戻りがなく、スムーズに正解へたどり着けます。
クエリの工夫: AIに調べさせる検索キーワードの選び方と具体的な指示
Gemini CLIに検索させる場合、質問の仕方を少し工夫するだけで結果の質が上がります。ポイントはキーワード選定と具体性です。
まず、欲しい情報を得るためのキーワードを盛り込みましょう。例えばReactのHooksについて知りたいなら、「React Hooks メモリリーク 問題点」といった重要語を含めることで、AIは正確に検索クエリを組み立てます。逆に曖昧な表現だと余計な結果が混ざる可能性があります。
次に、検索対象を限定するテクニックです。例えば「公式サイトを見て教えて」と伝えると、AIは公式ドキュメントのページを優先して調べようとします。「スタックオーバーフローの回答によれば?」と聞けば、Stack Overflowを検索結果から拾おうとするでしょう。特定ドメイン(サイト)を指定することで、信頼度の高い情報源に絞り込めます。
また、検索するタイミングで具体例を出すのも有効です。例えば「Python list sort 使い方」よりも「Pythonでリストをソートする方法」と書いた方が、AIがクエリを組み立てやすいです。人間が検索エンジンを使うときと同じ感覚ですが、AIはあなたの依頼文をそのまま検索するわけではないので、意味のあるキーワード群を渡すイメージで質問を作ると良いでしょう。
さらに、「2023年現在」「最新版では」といった語を加えると、AIは新しい情報を重視します。例えば「2023年時点でのDjango LTSバージョンは?」と聞けば、その年の公式アナウンスを探します。漠然と「Django LTSは?」だと古い記事がヒットする恐れがあります。
最後に、検索結果を読んだ後でAIに追加指示する方法です。Gemini CLIは検索結果から回答を組み立てますが、時に不十分なこともあります。その際「もっと具体的な例を調べて」とか「他のサイトの意見も見て」と追求すると、再度検索して補足情報を取りにいってくれます。一度で出尽くさなくても良いので、深掘りしたい点は遠慮なくリクエストしましょう。
検索結果の参照: Gemini CLIが取得した情報を会話に反映させる方法
Gemini CLIがWeb検索で得た情報は、基本的にAIの回答に組み込まれて提示されます。ユーザーにとってそれが十分なら問題ありませんが、場合によっては「元の情報も見たい」と思うかもしれません。例えば法的な文章や正確なエラーメッセージなどは、AIの要約だけでなく原文が必要なことがあります。
そのような時は、Gemini CLIに対して「元のページの該当部分をそのまま表示して」とお願いすることもできます。AIは既にWebFetchでページ内容を持っている場合、対応するテキスト部分を抜き出してくれるでしょう。あるいは、「情報源のリンクを教えて」と言えば、どのサイトから引用したか教えてくれるかもしれません(ただし現状は引用リンク機能は確実ではないです)。
Gemini CLIはあくまで文章生成が主目的なので、検索結果の出典を一字一句コピーするよりは要約します。しかしユーザーが望めば引用も可能です。例えばコードスニペットなどはそのまま提示してくれるでしょう。適宜、「引用」や「抜粋」というキーワードを伝えて、AIのモードを切り替えてもらいます。
また、Gemini CLIの回答中に信用できるか迷った箇所があれば、そこの情報源を再確認するのも手です。「それはどのサイトに書いてあった?」と聞くと、AIは検索ログを参照して「○○というブログでそう述べられています」と答えるでしょう。そこからさらに「そのブログのURLを開いて内容を詳しく教えて」と掘り下げることもできます。
このように、Gemini CLIが取得した情報はAI回答に溶け込んでいますが、ユーザーが求めればオリジナル情報にアクセスすることも可能です。AIを情報フィルター兼ガイドとして使いながら、必要に応じて生データも参照できる柔軟さがGemini CLIの強みと言えます。
リアルタイム情報取得の限界: 検索エンジン利用時の制約と注意点
便利なGemini CLIの検索機能ですが、万能ではありません。いくつか知っておくべき制約や注意点があります。
まず、検索できる内容にも限界があります。一般公開されていない情報(社内資料や有料記事など)は検索エンジンでは見つかりません。Gemini CLIも当然ながらそれらにはアクセスできないため、その場合はユーザー自身がファイルをアップロードしたり、MCP連携で社内検索システムを使う必要があります。
また、検索エンジン経由では最新すぎる情報が網羅されないこともあります。例えば「1時間前に発表されたニュース」はGoogle検索にまだ反映されていないことがあります。Gemini CLIはリアルタイムとはいえ、Google検索に依存するため、このタイムラグは避けられません。Twitterのトレンドなど即時性が要求されるものには不向きです。
さらに、検索結果そのものの信頼性にも注意です。AIは検索で見つかったページを区別なく読んでしまう可能性があります。たまたま上位に来ている誤情報サイトから引用してしまうリスクもゼロではありません。Gemini CLIはある程度信頼度判断もしますが、過信は禁物です。重要な決定に関わる情報は、AIの答えだけでなく自分でも原典を確認するようにしましょう。
技術的には、Google検索APIの使用回数制限(クォータ)や速度制限もあります。短時間にあまりに連続して検索しようとすると、APIエラーになったり遅延が生じる場合があります。その際は少し待つか、質問をまとめるなどして対処してください。個人の無料枠では1日1000回程度のリクエスト余裕がありますが、MCP経由で独自キーを使っている場合など制限が異なることも考えられます。
最後に、検索機能を多用することで回答が遅くなるケースにも触れておきます。Gemini CLIは検索→取得→要約の分、通常のLLM回答よりタイムラグがあります。特にページ取得に時間がかかると待たされます。もし急ぐ場合やおおよその答えが想像つく場合は、あえて「検索しなくていい」と言って素早くモデルの知識だけで答えさせ、その後で補足検索する、といった戦略もありえます。
以上の点を踏まえれば、Gemini CLIのリアルタイム検索機能を適切に活用しつつ、限界に注意した使い方ができるでしょう。要は、便利な道具だが使いどころと注意を知っておくことが大事ということです。
他AIツールとの比較: Gemini CLIとClaude・ChatGPTの機能・精度・速度・コストを徹底検証
最後に、Gemini CLIを他の代表的なAIツール(例えばOpenAIのChatGPTやAnthropicのClaude)と比較してみましょう。価格や性能、使い勝手など、いくつかの観点からGemini CLIがどのような立ち位置にあるのかを整理します。
生成AIモデルの性能比較: Gemini CLIのGemini 2.5 ProとClaude/ChatGPTの出力品質・創造性の違い
Gemini CLIの中核モデルであるGemini 2.5 Proは、Googleの最新LLMであり、その性能は非常に高いものです。では、OpenAIのChatGPT(GPT-4相当)やAnthropicのClaude 2と比べてどうでしょうか。
まずコード処理能力に関しては、Gemini 2.5 Proは大規模コンテキストやマルチモーダル対応など優位な点があります。実際にコード生成の質も非常に高く、GPT-4やClaudeと同等か、それ以上との評価もあります。しかし一部では、現時点ではまだChatGPT(GPT-4)の方が安定感があるとの声もあります。Geminiはリリース直後でチューニングが進行中のため、細かい指示への従順さや一貫性でGPT-4に僅差で劣る場面があるようです。
一方Claude(Claude 2)は対話の中で非常に長い文書を処理するのが得意で、100kトークンのコンテキスト対応が売りです。ただ、Gemini CLIの1Mトークンはそれをさらに上回る数字であり、理論上はClaudeの10倍の文脈を保持できます。この差は巨大ですが、実際に活かせる場面は限られるかもしれません。いずれにせよ、長文での比較ではGeminiが有利と言えるでしょう。
創造性という点では、ChatGPT/GPT-4が文章生成や創作系で定評があります。Geminiも多才なモデルではありますが、初期段階のため一部出力でぎこちなさが指摘されることもあります。Claudeは穏当で安全な応答をする傾向があり、ユーモアや発想力ではGPT-4に一歩譲ります。Gemini 2.5 ProはGoogleが満を持して出したモデルだけあり、創造力も高いですが、特にコード領域に最適化されている印象です。
安全性・毒性については、Claudeが非常に保守的で安全策を重視するのに対し、GeminiはGoogleのポリシー準拠で不適切発言は控えますが、突拍子もない解答は少なめです。ChatGPT/GPT-4もOpenAIフィルタで安全ですが、Geminiも同等レベルでしょう。極端な攻撃性や差別発言などはどれも抑え込まれています。
総合すると、現時点でGPT-4(ChatGPT Plus版)とGemini 2.5 Proは性能的に拮抗しており、コード関連ではGeminiに分があり、自然文章生成では互角かGPT-4微優勢か、といった評価が見られます。また、一部の開発者は「コードに関してはClaudeよりGemini CLIの方が従順でない(指示をきちんと守らない)部分がある」と指摘しています。これは今後のアップデートで改善される可能性が高いです。
いずれにしても、Gemini CLIのモデルはトップクラスであり、他の大手と十分肩を並べる実力を持っています。特にGoogleの莫大な検索データや知識グラフを背景にしているため、知識網羅性では優れている場面もあるでしょう。他社モデルと比べても、Gemini CLIは実用上遜色ない性能と言って差し支えありません。
機能とツールの比較: 組み込み検索やシェル操作などGemini CLIの機能と他AIのサポート状況
Gemini CLIの際立つ特徴は、これまで述べてきたような組み込みツールの豊富さです。この点をChatGPTやClaudeと比較すると、Gemini CLIがユニークな存在であることがわかります。
ChatGPT(特にGPT-4)も一部プラグインでウェブブラウジングやコード実行などが可能になっています。しかし、ChatGPTの標準UIではローカルファイルへのアクセスや任意のシェルコマンド実行はできません。プラグインもサンドボックス化されており、できることは限定的です。また、ChatGPTは基本的にブラウザUIで、IDE統合なども公式にはありません(サードパーティExtensionsでVS Code連携はありますが)。
Claudeに関しては、Anthropicが提供するベースはAPI経由のLLMであり、ユーザー向けの統合開発環境的なツールは提供されていません。Slack経由やPoe経由で対話することはできますが、ファイル操作や検索は標準機能ではありません。つまり、Claude単体ではGemini CLIのような開発者向け機能群は持っていないと言えます。
これらに対し、Gemini CLIは最初から開発者のワークフローに入り込む設計です。ファイル読み書き、ターミナル統合、ウェブ検索、GitHub連携など、開発現場で欲しいと思われる機能がオールインワンで揃っています。他ツールで同等のことをしようとすると、ChatGPTに複数プラグインを組み合わせたり、外部スクリプトでAPIを叩いて処理を書く必要があるでしょう。Gemini CLIではそれが一体化して動くので、ユーザーはAIと会話するだけで周辺作業までこなせます。
もちろん、ChatGPTやClaudeでも工夫すれば似たことはできます。例えばChatGPTに「このGitHubリンクのコードを見て」と言えばある程度読んでくれますし、Claudeに対して長文を与えれば100kトークンまで処理可能です。でも、Gemini CLIほどシームレスな操作性は実現しにくいでしょう。特にローカルのコードを直接いじれる点は、Gemini CLIに軍配が上がります。
一方、他ツールが得意な面としては、ChatGPTのような多様な対話スタイル(役割演技や雑談)や、Claudeのような内部思考チェーン(コンテンツポリシーに触れない範囲で色々推論する)などがあります。しかし、これらはGemini CLIの主目的ではないので、大きな差ではありません。
まとめると、機能面ではGemini CLIは現状突出してリッチであり、開発補助に関して他をリードしています。他ツールは主にLLMとしてのコア性能勝負ですが、Gemini CLIはそこにツール統合という付加価値を載せているのが特徴です。
応答速度とトークン上限の比較: Gemini CLIの処理スピードやコンテキスト長とClaude等他AIとの違い
AIツールの使い勝手に直結するのが応答速度です。Gemini CLI、ChatGPT、Claudeそれぞれ速度感が異なります。
ChatGPT(GPT-4)はレスポンスに数秒~十数秒かかることが普通です。対してClaude 2は非常に高速で、大量のテキストでも驚くほど速く吐き出すことがあります。Claude Instant版ならさらに速いですが精度は落ちます。
Gemini CLIのGemini 2.5 Proモデルは、体感的にはGPT-4と同程度かやや遅いくらいと言われています。一部の開発者は「Gemini CLIはClaudeに比べると応答が遅めだ」と指摘しています。特に検索やファイル操作を挟むとその分待ち時間が伸びます。もっとも、Gemini CLIにはFlashモデルがあり、そちらは応答重視で軽量なため速度は向上します。GPT-3.5並みの高速応答が必要ならFlashに切り替えることもできます。
次にコンテキスト上限ですが、これはGemini CLIが抜きん出ています。Gemini 2.5 Pro: 1Mトークン、Claude 2: 100kトークン、GPT-4: 32k(一部APIで8k/32k)という比較です。1Mという値は桁違いですが、実利用でそこまで投入するケースは稀でしょう。とはいえ、例えば書籍1冊分のテキストや、大規模コードベース全体を一度に読ませるといったことがGeminiなら可能になります。Claudeでも長文OKですが、1M vs 100kの差は10倍ですから、今後Geminiモデルが活かせるユースケースも出てきそうです。
速度とコンテキストはトレードオフな面もあります。Gemini CLIで1Mトークン全部使えば当然遅くなります。Claudeが100kまでというのも実用的速度を考えてのことでしょう。Gemini CLIは賢くトークンを取捨選択するので、いつも遅いわけではありませんが、超大容量処理時にはそれなりの待ちが発生する可能性はあります。
なお、ChatGPTやClaudeはクラウドサービスとして提供されるため、サーバー側の負荷状況で応答時間が変わることもあります。一方Gemini CLIもクラウド推論ですが、Googleのインフラで安定して動いている印象です。無料枠でも今のところ速度低下はあまり報告されていません。
総じて、スピードに関してはClaudeが頭一つ抜け、Gemini CLIとChatGPT(GPT-4)は同程度かケースによりけりという感じです。コンテキスト容量はGeminiが圧勝ですが、その恩恵を感じる機会は限られるでしょう。ただ、長期のプロジェクトでのやり取りや巨大データ解析では強みになります。
利用コストの比較: Gemini CLIの無料利用枠と他AIサービス(Claude/ChatGPT)の料金プラン
利用料金も大きな比較ポイントです。Gemini CLIは個人利用なら完全無料でかなりの回数を使えます。一方、ChatGPTのGPT-4を使うには月額20ドルのChatGPT Plus加入が必要ですし、Claude 2は現状APIはベータ提供で無料ですが正式には有料化が想定されます(Poe経由のClaudeは制限あり無料)。
Gemini CLIの無料枠は1日1000リクエストと非常に太っ腹なので、普通の開発作業で使っていて課金されることはまずないでしょう。仮に超過しても個人向けの追加課金プランは今のところありません(APIキーを取って使うことになりますが、それで追加する人は稀でしょう)。これに対しChatGPT Plusの20ドル/月は、GPT-4をそれなりに使うなら安いですが、ライトユーザーには負担です。ClaudeもAnthropicのAPI料金は未定ですが、大規模モデルはおそらく1kトークンあたり数セントの従量課金になるでしょう。
企業利用の場合、Gemini CLIは企業向けCode Assistライセンスが別途必要になるケースがありますが、それでも多くの開発者にとって最初は既存のGoogleアカウントで十分です。ChatGPTの場合はAPIを使うとトークン課金(GPT-4は1000トークンあたり約0.06~0.12ドル)となり、長いやり取りを大量にすると結構な額になります。Claudeも類似の価格帯が想定されます。
コスト面では、現状Gemini CLIが圧倒的に安価(無料)で使えます。Googleはまずユーザー基盤を作るためか、大盤振る舞いの無料枠を設定しています。これは利用者にとって非常に魅力的です。もちろん将来的にどうなるかはわかりませんが、Code Assistの一部として継続する限り、ある程度の無料利用は維持されるのではないでしょうか。
ただし、「安い=常によい」ではなく、ChatGPTなどの有料サービスはその分サポートや安定稼働が保証される部分もあります。Gemini CLIはまだプレビュー段階という位置づけなので、無償で提供されつつフィードバック収集期間とも言えます。企業でミッションクリティカルに使うなら有料プランなり契約も考えるべきです。
とはいえ、個人開発者や小規模チームにとってGemini CLIのコストメリットは計り知れません。月額費用ゼロでハイエンドのAIを日常的に使えるのですから、競合他社に比べて大きなアドバンテージがあります。お財布を気にせずバンバン利用できるGemini CLIは、今後ユーザーコミュニティを急速に広げる可能性が高いでしょう。
ユーザー体験の比較: ターミナルで使うGemini CLIとWebチャットUI型AIツールにおける使い勝手の差異
最後に、ユーザー体験の観点で比較します。Gemini CLIはターミナル上のツールであり、ChatGPTやClaudeは主にWeb上のチャットUI(もしくはSlackなど)です。この違いは使い勝手に大きく影響します。
まず、Gemini CLIは前提としてコマンドラインに馴染んだユーザーに適しています。vimやEmacsといったエディタと組み合わせて使うと真価を発揮します。逆に、普段GUIしか使わない人や非エンジニアにとっては、ターミナルでAIと会話するのはハードルが高いかもしれません。「/helpってどうやるの?」というレベルだと、ChatGPTのシンプルなWebチャットの方が導入しやすいでしょう。
ChatGPTのWebUIはテキストボックスと送信ボタンがあるだけで直感的ですし、対話履歴も見やすく整理されます。Gemini CLIは基本テキストのみの表示で、過去ログのスクロールなどはコマンドやキー操作になります。過去の回答を遡るにはログファイルを見るか、/memory要約を見るかになります。
また、ChatGPTはマルチメディア出力(画像生成や音声応答など)は標準ではしませんが、一部プラグインで可能です。Gemini CLIもMCP連携で画像生成はできますが、結果を受け取ってユーザーに見せるのは得意ではありません。ターミナルでは画像は表示できないため、URLなどで渡す形になります。その点、WebUIなら直接画像表示やリッチテキスト出力ができるので、視覚的な情報提示では優位です。
一方で、Gemini CLIはエディタやGitとの親和性が高いです。開発者はVS CodeのターミナルでGemini CLIを動かし、そのままファイルを編集反映できます。ChatGPTだと回答をコピペする手間が必ず発生します。Claudeもしかりです。Slack連携のClaudeならSlackに結果が来ますが、それをまたエディタに持っていく手間があります。Gemini CLIなら手元環境で完結します。
それから、Gemini CLIはオフライン風にも使えます。ネット接続がなくてもモデルにある知識範囲で動作可能ですし、社内VPN内でVertex AI経由運用すれば閉じた環境でも使えます。ChatGPTは完全オンラインサービスで、ネット接続無しでは何もできません。企業でクローズドに使いたい場合、Gemini CLIの方が現実的です。
UI/UXの好みもあります。ブラウザでAIと話すのは日常の延長ですが、ターミナルでAIと会話するのは新鮮で楽しいという開発者もいます。逆に黒い画面はとっつきにくいと思う人もいるでしょう。Gemini CLIはカスタムテーマで色合いを変えたりもできるようですが、根本はCUIなので、そこを魅力と感じるかどうかはユーザー次第です。
総合的に、開発現場で使うAIアシスタントとしての体験はGemini CLIが他にないものを提供しています。ただ、初心者や非開発者にはChatGPTの方が親しみやすいでしょう。Gemini CLIは狙い通り中級以上の開発者層に刺さるツールと言えそうです。ClaudeはどちらかというとChatGPT寄りの体験(Slackなどテキストチャット)なので、Gemini CLIほど開発に密着はしていません。
いずれにせよ、ユーザー体験の好みや適性で選べるほどツールの選択肢があるのは良いことです。Gemini CLI vs ChatGPT vs Claude、それぞれ強みが違うので、使い分けることでさらに生産性を上げられるでしょう。
以上、総合的に見てGemini CLIは他のAIツールに比べて開発者フレンドリーな機能が充実し、無料で使いやすい点が光る一方、速度や洗練度では改善の余地があるものの日々アップデートで進化している、という印象です。ぜひ他ツールとも比較しつつ、自分の用途に合った活用法を見つけてみてください。