iOSDC Japan 2025は、iOS関連技術をコアのテーマにしたソフトウェア技術者向けのカンファレンスです。2025年9月19日(金)から21日(日)の3日間、東京・有明セントラルタワーホール&カンファレンスとニコニコ生放送のハイブリッドで開かれました。2016年の初開催から数えて10回目で、2017年から使ってきた早稲田大学 西早稲田キャンパスから会場を移した最初の回です。
この記事では、公式サイトとチケット販売ページ(fortee)、技術評論社gihyo.jpのカンファレンスレポートで確認できた内容に絞って、日程と会場、タイムテーブルの組み方、チケット6種の価格、注目トーク3本、10回目の企画を整理します。2026年9月に開かれた2026年版で何が変わったかも後半で比較します。
まとめ:iOSDC Japan 2025の要点
- 会期は2025年9月19日(金)〜21日(日)。会場は有明セントラルタワーホール&カンファレンスで、トークはニコニコ生放送で配信
- トークはトラックA〜Dの4会場で、レギュラートーク・LT・ルーキーズLTを合わせて全89本。パンフレット記事は27本が採択
- チケットは6種類で、オンライン+オフラインが8,800円、オンラインのみとU-23が2,750円、サポーターが16,500円
- day0の夕方から夜にSwiftコードバトル、day1にルーキーズLT大会、day2にLT大会とクロージング・懇親会という流れ
- トークは録画され、ニコ生のタイムシフトと後日のYouTubeで見返せる
- 2026年版は2026年9月11日〜13日に同じ有明の会場で開催。価格は据え置きで、ノベルティが郵送から会場受付の先着1,000名への手渡しに変わった
iOSDC Japan 2025の開催概要
主催はiOSDC Japan 2025実行委員会で、実行委員長は長谷川智希氏(@tomzoh)です。公式サイトは対象者を「iOS関連技術関連およびすべてのソフトウェア技術者」としており、iOSアプリの開発者に限らず、Swiftやモバイル周辺の技術に関心のある人を広く想定しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会期 | 2025年9月19日(金)〜21日(日)の3日間 |
| 会場 | 有明セントラルタワーホール&カンファレンス(東京都江東区) |
| 配信 | ニコニコ生放送(タイムシフトあり) |
| トーク数 | 全89本(トラックA〜D) |
| パンフレット記事 | 27本採択 |
| スポンサー | 80社(うちブース出展47社) |
| 開催回 | 第10回(初開催は2016年) |
トーク数・パンフレット記事数・スポンサー数は、gihyo.jpに掲載された実行委員会スタッフによるレポートの数字です。移転の理由について、長谷川氏はFindyのインタビューで、2024年は「会場の各スペースをフルに使い切った」実感があり、10回目はより大きな会場に挑戦したと語っています。移転後は自身のブログで「会場全体の面積が早稲田大学 理工学部 西早稲田キャンパス比でだいぶ広くなっていた」と振り返っています。
タイムテーブルの構成:day0からday2の流れ
タイムテーブルはfortee上のiOSDC Japan 2025 タイムテーブルで公開されており、開催後も各トークのページから資料や動画にたどれます。紙のパンフレットに載っているタイムテーブルは、2025年に初めて切り離せるようになりました。
day0(9月19日):夕方開始のプレオープニングとSwiftコードバトル
初日は金曜の夕方から始まる短い日程です。プレオープニング直後のトークは、Hiromu Tsuruta氏による「iOSDJ2025 for the 10th anniversary」でした。同じday0には前年に続いて「Swiftコードバトル」が行われています。出題された動作をするSwiftのコードを、より短い文字数で書いた方が勝つ1対1の対戦で、事前の予選会を勝ち抜いた6名が本戦に進みました。決勝の題材はその年のiOSDCロゴを描く問題で、前年のリベンジを果たしたkntk氏(@kntkymt)が優勝しています。
day1・day2(9月20日・21日):4トラックのトークとLT大会
day1とday2は、トラックA〜Dの4会場でトークが並行します。day1には初登壇者に限定した「ルーキーズLT大会」、day2には一般の「LT大会」があり、LTはどちらも1本5分です。ルーキーズLTの採択者向けには、スタッフが発表を聴いて改善点を一緒に考える練習会が事前に開かれます。すべてのトークが終わるとクロージングで各企画の結果が発表され、そのあと会場4階で懇親会が開かれました。懇親会はオフライン参加のチケットを持っていれば無料ですが、別途懇親会チケットの発券が必要です。
同じ時間帯に4本が重なるため、見たいトークが衝突することがあります。公式サイトは、トークが録画されニコ生のタイムシフトで当日から見返せること、後日YouTubeでも公開することを案内しています。現地では交流やブース巡りを優先し、トークは録画で補うという回り方もできます。
チケットの種類と価格
チケットはforteeのチケットショップで販売され、6種類ありました。キャンセルはできず、領収書はStripeが発行するものだけでインボイスには対応していません。
| 種類 | 価格 | 会場参加 | ノベルティ |
|---|---|---|---|
| A. ノベルティ付き一般(オンラインのみ) | 2,750円 | 不可 | 郵送 |
| B. ノベルティ付き一般(オンライン+オフライン) | 8,800円 | 可・懇親会あり | 郵送 |
| C. ノベルティなし一般(オンラインのみ) | 2,750円 | 不可 | なし(パンフレットPDF) |
| D. ノベルティなし一般(オンライン+オフライン) | 8,800円 | 可・懇親会あり | なし(パンフレットPDF) |
| E. サポーター | 16,500円 | 可・懇親会あり | Bの特典+特製パーカー |
| F. U-23 | 2,750円 | 可・懇親会あり | Dと同じ |
ノベルティ(公式パンフレット、Tシャツ、ステッカー、スポンサーノベルティ)は購入時に入力した住所へ送られる方式でした。8月28日までの発券分は9月8日頃、9月8日までの発券分は9月15日頃に発送され、それ以降の発券分には発送がありません。海外への発送もできないため、国外在住者はノベルティなしのチケットを待つよう案内されていました。ノベルティなしの2種は、ノベルティ付きの販売が9月8日の締切または売り切れで終わった後に販売されるものです。
U-23は開催初日(9月19日)時点で23歳以下が対象で、受付で年齢を確認できる証明書を提示します。会場参加と懇親会が含まれて2,750円なので、学生にとっては最も負担の軽い入り口です。
注目トーク3本の内容
89本のうち、gihyo.jpのレポートが取り上げた3本を紹介します。いずれもforteeのタイムテーブルから資料と動画にたどれます。
「iOSDJ2025 for the 10th anniversary」:SwiftでStream Deckのプラグインを作る
day0のプレオープニング直後に、Hiromu Tsuruta氏(@hcrane14)が登壇しました。冒頭でStream Deckを使ったDJを披露して10回目を祝ったあと、Swiftで書いたStream Deckのプラグインを動かす方法を解説しています。紹介されたのはStreamDeckPluginというライブラリで、これを使うとSwiftで書いたプラグインを実行できます。
「カスタムUIを作る覚悟」:標準APIを外れたときに背負う対応範囲
day1のまつじ氏(@mtj_j)のトークは、Appleの標準APIにない表現で作ったUI(カスタムUI)を扱いました。カスタムUIにすると、アクセシビリティ、アニメーション、複数プラットフォームへの対応を自分で考える必要があります。すべてに対応しろという話ではなく、「対応しないと判断した」「対応できていない」と自覚しておくことが要点です。デザイナーと一緒に聞きたいという感想が多かったとレポートは伝えています。
「iPhoneのマイナンバーカードのすべて」:mDL規格と本人確認API
day2のDaiki Matsudate氏(@d_date)のトークは、iPhoneのマイナンバーカードの背景にある国際標準から説明しました。デジタル身分証の規格であるISO/IEC 18013-5(mDL)とISO/IEC 23220(mDoc)、マイナンバーカード専用のクラスJPKIPassContentsのドキュメントの裏話、対面で本人確認するID Verifier APIとアプリ内で本人確認するVerify with Wallet APIの使い分けが扱われています。本人確認フローを持つアプリの開発者には、導入の判断材料になる内容です。
パンフレット記事・スポンサーブース・10回目の企画
iOSDC Japanにはトークとは別に「パンフ記事」の公募枠があり、採択された原稿が公式パンフレットに載ります。2025年は27本が採択されました。スポンサーも事業紹介やエンジニアへのインタビューを寄稿しており、会社ごとの開発体制を知る資料にもなります。
スポンサーは80社で、そのうち47社がブースを出しました。会場内のスポンサーやスピーカーを回ってスタンプを集めると、過去10回分のiOSDCロゴを並べたパーカーが当たる抽選に参加できる仕組みです。お菓子・軽食コーナーでは10周年ロゴを印刷した水が配られ、day2のLT大会では入場時に配られたペンライトを、持ち時間の残り30秒で一斉に振る演出がありました。
iOSDC Japanの歴史と会場の変遷(2016〜2026年)
iOSDC Japanは、長谷川氏が「自分が行きたい場所を自分で作ろう」と考えたことから2016年に始まりました。Appleの公式イベントではなく、実行委員会が運営するコミュニティ主導のカンファレンスです。会場と形式は次のように移ってきました。
| 年 | 会場 | 形式 |
|---|---|---|
| 2016 | 練馬区立区民・産業プラザ Coconeriホール | 会場開催(初回・前夜祭+8月20日の1.5日) |
| 2017〜2019 | 早稲田大学 西早稲田キャンパス63号館 | 会場開催・2.5日制に拡張(2018年は3.5日) |
| 2020〜2021 | オンライン | コロナ禍でオンライン開催 |
| 2022〜2024 | 早稲田大学 西早稲田キャンパス | 現地+配信のハイブリッド |
| 2025〜2026 | 有明セントラルタワーホール&カンファレンス | 現地+配信のハイブリッド |
初回の名称は「iOS Developers Conference Japan 2016」でした。2017年の拡張は、準備日の夕方(day0)とday1・day2を合わせた2.5日の形式で、YAPC::Asia Tokyoと同じ方式だと長谷川氏は説明しています。3年ぶりに現地開催へ戻った2022年は初めてのハイブリッド開催で、オフライン574名・オンライン673名の計1,247名と、当時の過去最高の参加者数でした(gihyo.jpの2022年レポート)。オンライン期に始めた「スポンサーのノベルティも集めて箱詰めし、参加者全員に事前発送する」方式は2025年まで続きましたが、2026年は会場受付での手渡しに変わりました。
iOSDC Japan 2026の開催と2025年版からの変更点
2026年版は、2026年9月11日(金)から13日(日)に、2025年と同じ有明セントラルタワーホール&カンファレンスとニコニコ生放送で開かれました。実行委員長も引き続き長谷川氏です。参加を検討するうえで差が出たのは、チケットの構成とノベルティの受け取り方です。
| 項目 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| 会期 | 9月19日〜21日 | 9月11日〜13日 |
| 会場 | 有明セントラルタワーホール&カンファレンス | 同じ |
| チケット種類 | 6種類 | 4種類 |
| オフライン+オンライン | 8,800円 | 8,800円 |
| オンラインのみ・U-23 | 2,750円 | 2,750円 |
| U-23の特典 | ノベルティなし(PDF) | 一般と同じ(先着ノベルティ) |
| サポーター | 16,500円 | 16,500円 |
| ノベルティ | 購入者の住所へ郵送 | 会場受付の先着1,000名に手渡し |
2026年はノベルティ付き・なしの区別がなくなり、一般チケットは「オフライン+オンライン」と「オンラインのみ」の2種に整理されました。ノベルティは郵送されず、会場受付の先着1,000名にパンフレット・Tシャツ・ステッカーとスポンサーノベルティが渡されます。オンラインのみのチケットはパンフレットPDF版だけで、物のノベルティは付きません。2025年の感覚でオンラインのみを買っても、ノベルティは届きません。
トーク公募の採択率は、有志がZennで公開している集計から読めます。20分トークは2025年が213本中34本(約16.0%)、2026年が174本中28本(16.1%)で、狭き門という点は変わっていません。
| 枠 | 2025年 投稿/採択 | 2026年 投稿/採択 | 2026年 採択率 |
|---|---|---|---|
| 20分トーク | 213/34 | 174/28 | 16.1% |
| 40分トーク | 44/12 | 47/15 | 31.9% |
| ノーマルLT | 83/16 | 70/16 | 22.9% |
| ルーキーズLT | 103/14 | 73/13 | 17.8% |
2026年に採択されたトークでは、Swift Concurrencyの分離ドメインとSendableを扱う「Heart of Swift Concurrency」や、Apple Vision Pro向けの空間表現のトークなどが、スポンサーとして参加したヤプリの参加レポートで紹介されています。全トークはiOSDC Japan 2026 タイムテーブルから確認できます。WWDC26で発表された内容の背景はWWDC26まとめ|Siri刷新・iOS 27・macOS Golden Gate・開発者向け新機能を総整理で、Swift本体の版ごとの変化はSwiftの最新バージョンは6.4|Xcode対応表とバージョン確認・更新手順で整理しています。
参加・登壇を決めるときの判断基準
過去2回の実績から、どのチケットを選ぶか、どの枠に応募するかの判断基準をまとめます。
- トークの中身だけが目的ならオンラインのみ(2,750円)で足りる:全トークが配信され、タイムシフトと後日のYouTube公開で見返せます。会場参加で増えるのは懇親会やスポンサーブースなどの現地企画と、2026年方式では会場参加者だけに渡るノベルティです
- 採用・転職の情報収集が目的なら会場参加(8,800円):2025年はスポンサー80社のうち47社がブースを出しており、開発体制を直接聞ける機会はオンラインにはありません
- 23歳以下はU-23一択:会場参加と懇親会込みで2,750円です。開催初日時点の年齢で判定され、受付で証明書を求められます
- 初登壇はルーキーズLTかパンフ記事から:ルーキーズLTは初登壇者限定で事前の練習会があります。パンフ記事は2026年の集計で2〜8ページの各枠とも採択率が55%を超えており、トーク枠より通りやすい入り口です
反対に、開催直前に思い立ってノベルティ目当てで会場チケットを買うのは勧めません。2025年は9月8日を過ぎた発券分には郵送がなく、2026年は会場受付の先着順でした。2025年方式なら早めの購入が、2026年方式なら初日の早い時間の受付が、ノベルティを確実に受け取る条件でした。
ほかの技術カンファレンスとの比較には、Ruby界隈のRubyKaigiとは?Ruby最大級の国際カンファレンスの歴史・目的・参加方法や、ゲーム開発者向けのCEDEC 2025まとめ|基調講演2本とCEDEC AWARDS最優秀賞(ティアキン・アストロボット)の要点で、開催形式や参加方法を比べられます。
よくある質問
iOSDC Japan 2025はいつ、どこで開催されましたか?
2025年9月19日(金)から21日(日)の3日間、東京・有明セントラルタワーホール&カンファレンスで開催され、ニコニコ生放送でも配信されました。2017年から続いた早稲田大学 西早稲田キャンパスからの会場変更は、10回目のこの年が最初です。
iOSDC Japan 2025のタイムテーブルはどこで見られますか?
forteeのiOSDC Japan 2025 タイムテーブルで公開されています。トラックA〜Dの4会場で全89本のトークが組まれており、各トークのページから資料や動画をたどれます。
iOSDC Japan 2025のチケットはいくらでしたか?
オンライン+オフラインが8,800円、オンラインのみが2,750円、サポーターが16,500円、23歳以下のU-23が2,750円です。一般チケットにはノベルティ付きとなしがあり、ノベルティなしは、付きが9月8日の締切または売り切れで終わった後に販売されました。
iOSDC Japanのトーク動画は後から見られますか?
見られます。公式サイトは、トークを録画してニコニコ生放送のタイムシフトで当日から見返せるようにし、後日YouTubeでも公開すると案内しています。
iOSDC Japan 2026はいつ開催されましたか?
2026年9月11日(金)から13日(日)に、2025年と同じ有明セントラルタワーホール&カンファレンスとニコニコ生放送で開催されました。チケット価格は2025年と同じで、ノベルティは郵送ではなく会場受付の先着1,000名への手渡しになりました。