Microsoft Entra ID(旧Azure AD)とは?読み方・Azure AD/Active Directoryとの違い・機能・料金を解説【2026年版】
Microsoft Entra ID(エントラID)とは、Microsoftが提供するクラウドベースのID・アクセス管理(IAM)サービスで、2023年に「Azure Active Directory(Azure AD)」から名称変更されたものです。読み方は「エントラ アイディー」で、SSO(シングルサインオン)、多要素認証(MFA)、条件付きアクセスなどによって、利用者がどこからでも安全にMicrosoft 365やSaaSへサインインできる仕組みを提供します。名称は変わりましたが、機能やテナント、サインインの仕組みはAzure ADからそのまま引き継がれているため、既存のAzure AD環境はEntra IDとして継続して使えます。
この記事では、Entra IDの読み方と基本から、よく検索される「Azure ADとの違い」「オンプレミスのActive Directory(AD DS)との違い」、SSO・MFA・条件付きアクセス・Identity Protectionといった主な機能、Microsoft Entra製品ファミリーと管理センター、そしてFree・P1・P2・Entra Suiteの料金プランと選び方までを整理します。料金や機能は更新されることがあるため、最新の内容はMicrosoft公式でご確認ください。
目次
まとめ:Microsoft Entra IDの結論
先に要点を示します。検索でよく問われる順に並べました。
- 正体:Entra IDはクラウドのID・アクセス管理サービス。読み方は「エントラID」で、旧名はAzure Active Directory(Azure AD)。
- Azure ADとの違い:別物ではなく同じサービスの新名称。2023年に改名され、機能拡張とMicrosoft Entra製品群への統合が進んだ。
- Active Directory(AD DS)との違い:オンプレのAD DSはドメイン参加PC向け、Entra IDはクラウド/SaaS向け。プロトコルも目的も異なり、両者は併用(ハイブリッド)できる。
- 主な機能:SSO・MFA・条件付きアクセスが中核。P2では不正リスクを検知するIdentity ProtectionとPIMが使える。
- 料金:Freeは無料、P1は月¥899、P2は月¥1,349、Entra Suiteは月¥1,799(いずれも税抜・ユーザー単位・2026年時点)。M365のE3にP1、E5にP2が同梱される。
以降で、これらを個別に掘り下げます。
Microsoft Entra ID(エントラID)とは|読み方と基本
正体と読み方、そして「ただの改名ではない」点から押さえます。
読み方と概要|クラウドのID・アクセス管理
Microsoft Entra IDの読み方は「エントラ アイディー」です。クラウド上でユーザーやデバイスの認証(本人確認)と認可(アクセス許可)を一元管理するサービスで、Microsoft 365のサインイン基盤でもあります。利用者は1つのIDでMicrosoft 365や多数のSaaSにSSOでサインインでき、管理者はMFAや条件付きアクセスでアクセスを制御します。オンプレミスのサーバーを持たずに運用でき、リモートワークやクラウド移行と相性が良いのが特徴です。
Azure ADからの名称変更(2023年)と引き継がれるもの
Entra IDは、2023年7月にMicrosoftが「Azure Active Directory(Azure AD)」からの改名を発表し、同年内に名称移行が完了したものです。重要なのは、これが単なるリブランドではなく、ID保護・ガバナンス・ネットワークアクセスまでを束ねる「Microsoft Entra」製品ファミリーへの再編の一部だという点です。一方で、テナント、サインインURL、API、ライセンスのGUIDといった技術的な土台はAzure ADから変わらず引き継がれています。そのため、既存のAzure AD環境はそのままEntra IDとして使い続けられ、移行作業は基本的に不要です。
Microsoft Entra IDとAzure AD・Active Directoryの違い
検索で最も多いのが「違い」です。混同されやすい3つを切り分けます。
Azure ADとEntra IDの違い|同じサービスの新旧名称
Azure ADとEntra IDは別サービスではなく、同じものの旧称と現行名です。「Azure AD entra id 違い」で探している人が知りたい結論は、「中身は同じで、名前が変わり機能が増えた」という点に尽きます。改名にあわせてEntra ID GovernanceやEntra External IDなどが整理され、ゼロトラスト前提の製品群として位置づけ直されました。ドキュメントや管理画面の表記が「Entra」へ更新されている一方、過去のAzure AD向け手順の多くはそのまま通用します。
オンプレActive Directory(AD DS)との違い|クラウドかオンプレか
混同しやすいのが、オンプレミスの「Active Directory Domain Services(AD DS)」との違いです。両者は名前が似ているだけで別物です。AD DSはWindows Server上で動き、社内ネットワークのドメイン参加PCをグループポリシー(GPO)で管理する仕組み。Entra IDはクラウドで動き、SaaSやクラウドリソースへのアクセスを条件付きアクセスで制御します。プロトコルもAD DSはKerberos/LDAP/NTLM、Entra IDはSAML/OAuth/OIDC/SCIMと異なります。下表で整理します。
| 観点 | Active Directory(AD DS) | Microsoft Entra ID |
|---|---|---|
| 提供形態 | オンプレ(Windows Server) | クラウド |
| 主な対象 | 社内のドメイン参加PC | SaaS・クラウド・社外からの利用 |
| プロトコル | Kerberos/LDAP/NTLM | SAML/OAuth/OIDC/SCIM |
| 構造 | ドメイン/フォレスト/OU/GPO | テナント/条件付きアクセス |
| 代表機能 | グループポリシー | SSO/MFA/条件付きアクセス |
両者は対立するものではなく、オンプレADを残しつつEntra IDと同期して併用する「ハイブリッド」構成が一般的です(後述)。
Microsoft Entra IDの主な機能|SSO・MFA・条件付きアクセス
「何ができるのか」を、よく検索される機能に絞って説明します。
SSO・MFA・条件付きアクセス
中核となるのがこの3つです。SSO(シングルサインオン)は、1度のサインインでMicrosoft 365や連携SaaSにまとめてアクセスできる機能で、パスワード入力の手間と使い回しのリスクを減らします。MFA(多要素認証)は、パスワードに加えてスマートフォンの承認や生体認証など複数の要素で本人確認し、パスワード漏えい時の不正アクセスを防ぎます。条件付きアクセスは、「社外ネットワークからのアクセスはMFAを必須にする」「未管理デバイスはブロックする」のように、状況に応じてアクセス可否を動的に判定する仕組みで、Entra ID P1以上で利用できます。
Identity Protection・PIM・アイデンティティガバナンス
上位プラン(P2)では、より高度な保護が加わります。Identity Protection(ID保護)は、サインインのリスクを機械学習で検知し、危険なサインインに自動で追加認証やブロックを適用します。「microsoft entra id プロテクションとは」で探されるのがこの機能です。PIM(Privileged Identity Management)は、管理者などの強い権限を必要なときだけ時間制限付きで付与し、常時付与による事故を防ぎます。さらにアクセスレビューや権限の自動付与・剥奪を担うアイデンティティガバナンスにより、誰がどの権限を持つかを継続的に点検できます。認証プロトコルの基礎を押さえたい場合は、Ory Hydraとは何か?OAuth2.0/OpenID Connect対応認可サーバーの概要もあわせて参考になります。
Microsoft Entraの製品ファミリーと管理センター
「Microsoft Entra」はEntra ID単体ではなく、ID・アクセスに関する製品群の総称です。中心となるEntra IDに加え、権限を可視化・最小化するEntra Permissions Management、デジタル証明書で本人確認するEntra Verified ID、アプリやサービスの認証を担うEntra Workload ID、アクセス権の棚卸しを行うEntra ID Governance、社外ユーザー向けのEntra External ID、そしてネットワークアクセスを制御するEntra Internet Access/Private Accessなどがあります。これらの管理は、Azureポータルとは別にEntra専用の管理センター(entra.microsoft.com)で行えます。すべてを使う必要はなく、まずはEntra IDから始め、必要に応じて組み合わせるのが現実的です。
Microsoft Entra IDの料金プラン(Free・P1・P2・Suite)
導入判断で最も気になる料金を、プラン別に整理します。価格は税抜・ユーザー単位・月額で、2026年時点のものです。
プラン別の価格と含まれる機能
| プラン | 価格(税抜/ユーザー/月) | 主な機能・同梱先 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | ユーザー/グループ管理・SSO・セキュリティ既定値によるMFA |
| Entra ID P1 | ¥899 | 条件付きアクセス・動的グループ等。M365 E3/Business Premiumに同梱 |
| Entra ID P2 | ¥1,349 | P1+Identity Protection・PIM。M365 E5に同梱 |
| Entra Suite | ¥1,799 | P2+ガバナンス・ネットワークアクセス・Verified ID(2024年新設) |
Freeはクラウドサブスクリプションに含まれ、基本的なID管理とSSOが使えます。条件付きアクセスを使いたいならP1、リスクベースの保護(Identity Protection)やPIMまで使うならP2が必要です。なおEntra Suiteの利用には、P1/P2(またはそれらを含むM365 Business Premium・E3・E5)のサブスクリプションが別途前提となります。金額は改定されることがあるため、契約前にMicrosoft公式の最新価格をご確認ください。
プランの選び方と失敗パターン
ここは等価併記で逃げず、条件を付けて示します。すでにMicrosoft 365のE3を契約しているならP1相当が、E5ならP2相当が含まれているため、まず自社のM365ライセンスに何が同梱されているかを確認するのが先決です。重複契約は典型的な無駄です。条件付きアクセスでアクセス制御を効かせたい組織はP1が最低ライン、金融・医療など不正サインインのリスクが高い組織やゼロトラストを本格運用したい組織はP2、さらに社外アクセス制御や本人確認、ガバナンスまで一体で整えたい組織はEntra Suiteが候補になります。逆に、無料のFreeだけで条件付きアクセスやIdentity Protectionを前提にした設計を進めるのは失敗のもとで、後から個別に買い直すより、必要な保護レベルを先に決めてプランを選ぶ方が結局は安く済みます。
導入と使い分け|オンプレADとのハイブリッド構成
多くの企業は、オンプレADを一気に廃止するのではなく、Entra IDと併用するところから始めます。オンプレのAD DSとEntra IDをMicrosoft Entra Connectで同期すれば、社内のユーザー情報をクラウドに反映し、同じIDで社内システムとクラウドの両方にサインインできます。これにより、既存の社内資産を活かしながら、SaaS利用やリモートアクセスにEntra IDの条件付きアクセスを効かせられます。デバイス管理(Intune)やキッティングと組み合わせる構成については、Windows AutopilotとMicrosoft Entra IDおよびAzure ADの連携方法が参考になります。新規にクラウド中心で立ち上げる組織なら、オンプレADを持たずEntra IDだけで始める「クラウドオンリー」も選べます。
よくある質問(FAQ)
Entra IDの読み方は?
「エントラ アイディー(Entra ID)」と読みます。Entraはラテン語の「入る」に由来する造語で、Microsoftのアイデンティティ製品ファミリーの名称です。日本語では「マイクロソフト エントラID」と表記されることもあります。
Entra IDとAzure ADは何が違うのですか?
別のサービスではなく、同じサービスの新旧の名称です。2023年にAzure ADがMicrosoft Entra IDへ改名され、機能拡張とEntra製品ファミリーへの統合が行われました。テナントやサインインの仕組みは引き継がれるため、既存のAzure AD環境はそのままEntra IDとして利用できます。
Entra IDとActive Directory(AD)の違いは?
オンプレミスのActive Directory(AD DS)は社内ネットワークのドメイン参加PCを管理する仕組みで、Kerberos/LDAPを使います。Entra IDはクラウドでSaaSやクラウドリソースへのアクセスを管理し、SAML/OAuth/OIDCを使います。目的もプロトコルも異なる別物ですが、Entra Connectで同期して併用できます。
Entra IDは無料で使えますか?
Freeプランがあり、ユーザー/グループ管理や基本的なSSO・MFAは無料で使えます。ただし条件付きアクセスはP1以上、リスクベースのIdentity ProtectionやPIMはP2が必要です。Microsoft 365のE3にはP1相当、E5にはP2相当が同梱されています。
Identity Protectionとは何ですか?
サインインのリスクを機械学習で検知し、危険なサインインに追加認証やブロックを自動適用するEntra IDの機能です。漏えい資格情報や不審な場所からのアクセスなどを検出します。利用にはEntra ID P2が必要です。