スリープテック(Sleep Tech)は、睡眠(Sleep)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉で、睡眠を測る・整える・治療するための機器やサービスを指します。スマートウォッチの睡眠記録、スマホの睡眠アプリ、脳波を測る在宅検査、医師が処方する不眠症治療アプリまでが同じ言葉でくくられるため、何が測れて何が測れないのかを区別しないまま製品を選ぶと、表示される数字に振り回されます。
この記事では、睡眠アプリやウェアラブル端末が睡眠を推定する仕組みと、睡眠ポリグラフ検査と比べた精度の実測値、睡眠スコアの配点、医療機器との境界、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が示す推奨睡眠時間までを、一次資料に沿って整理します。
まとめ:スリープテックの定義と製品選びの要点
- スリープテックは、睡眠の計測・環境づくり・治療に使うテクノロジーの総称です。腕時計型や指輪型のウェアラブル、スマホアプリ、寝具、在宅の脳波検査、医療機器プログラムまでを含みます。
- スマートウォッチは脳波を測っていません。Appleは加速度センサーの信号から睡眠段階を推定する方式を公表しており、睡眠か覚醒かの判定は得意でも、睡眠段階の判定は医療用の検査との一致が「中程度」にとどまります。
- 独立した2025年の研究では、手首型6機種とも睡眠の検出率は90%超でしたが、覚醒を覚醒と判定できた割合は29〜52%でした。夜中に起きていた時間を眠っていたと数えやすい、という癖を前提に数字を読みます。
- 睡眠スコアは製品ごとに定義が違います。Apple Watchは睡眠時間50点・就寝時刻の一貫性30点・睡眠中断20点の100点満点で、睡眠段階そのものは配点に入っていません。
- 睡眠時無呼吸の通知や不眠障害治療用アプリのように、国の承認を受けた医療機器プログラムもあります。一般向けの睡眠スコアで病気の有無は判断できません。
- 目安となる睡眠時間は、成人で6時間以上、小学生で9〜12時間、中学・高校生で8〜10時間です。高齢者は床上時間が8時間以上にならないことが目安とされています(厚生労働省 睡眠ガイド2023)。
以下、定義と背景、計測の仕組み、精度、製品の種類、医療機器との境界、活用事例、公的な推奨とのつなぎ方の順に説明します。
スリープテックの定義と、日本で注目される背景
スリープテックの意味と3つの領域
スリープテックは法律や規格で定義された用語ではなく、業界で使われる呼び名です。中身を整理すると、睡眠を記録して見える化する「計測」、光・音・温度・寝具で眠りやすい環境をつくる「環境づくり」、睡眠障害の検査や治療に使う「医療」の3領域に分かれます。
同じスリープテック製品でも、医療機器にあたるものはリスクに応じて医薬品医療機器等法(薬機法)の承認・認証・届出のいずれかの手続きを経ており、計測の領域の多くは医療機器ではない健康管理用の一般製品です。後者は病気の診断に使えないことを、選ぶ前に押さえておきます。
日本の睡眠不足と経済損失の推計
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月公表)は、適正な睡眠時間の確保と、眠って休養がとれた感覚(睡眠休養感)の向上を、すべての国民が取り組むべき課題に挙げています。同ガイドは、スマートフォンやウェアラブル端末の普及でPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)などのサービスが広がっていることを踏まえ、睡眠の客観的な把握にデジタル技術も使いながら取り組みを進める必要があると書いています。国の健康づくりの文書が、デジタル技術を睡眠の把握手段の一つとして位置づけているということです。個人の健康記録を医療データとどう分けて扱うかはPHRとは?電子カルテ・EHRとの役割分担とデータ連携方式の選び方で解説しています。
経済面では、RAND Europeが2016年の報告書「Why sleep matters」で、睡眠不足による日本の経済損失を最大で年1,386億ドル(GDP比2.92%)と推計しました。欠勤だけでなく、出勤していても能率が落ちている状態の損失を含む推計で、その測り方はプレゼンティーイズム(プレゼンティーズム)とは?原因・測定方法・対策と平均値で扱っています。企業がスリープテックを福利厚生や健康経営に取り入れる理由は、この損失の大きさにあります。
睡眠アプリとスマートウォッチが睡眠を測る仕組み
基準となる睡眠ポリグラフ検査(PSG)の判定方法
睡眠段階の判定の基準は、医療機関で行う睡眠ポリグラフ検査(PSG)です。米国睡眠医学会(AASM)は、PSGを睡眠と睡眠中の呼吸を評価する「reference or gold standard」と位置づけています。PSGは脳波・眼球運動・筋電図・心電図・血中酸素・呼吸の気流・脚の動きを同時に記録し、専門家が30秒ごとの区間に分けて、覚醒・ノンレム睡眠(N1・N2・N3)・レム睡眠のどれにあたるかを判定します。
深い眠り(N3)とレム睡眠を見分ける決め手は脳波です。脳波を測らない機器は、睡眠段階を「推定」しているにすぎません。
腕時計型・指輪型ウェアラブルのセンサーと推定方式
Appleが2025年10月に公開した技術文書「Estimating Sleep Stages from Apple Watch」は、睡眠段階の分類アルゴリズムが加速度センサーの信号をもとにしていると説明しています。加速度の信号には寝返りなどの体の動きのほか、呼吸に伴うわずかな動きのパターンも含まれ、そこから覚醒・レム・コア・深い睡眠の4段階を推定します。睡眠時無呼吸の通知も、正常な呼吸の中断に関連する手首のわずかな動きを加速度センサーで捉え、「呼吸の乱れ」という指標として記録する仕組みです。
指輪型のOura Ring 4は、緑色と赤外線の光で心拍数・心拍変動・睡眠中の呼吸数を測るセンサー、赤色と赤外線のLEDで睡眠中の血中酸素を測るセンサー、体表温センサー、加速度計を搭載しています。心拍や心拍変動は自律神経の状態を反映するため、体の動きに心拍の情報を重ねて睡眠段階を推定します。腕時計型と指輪型の具体的な製品は、ガーミンのスマートウォッチおすすめ|2026年の現行モデル比較と価格・選び方とOura Ring 4でできること・価格とOura Ring 5との違い|サブスクなしの範囲とiPhone対応で比べています。
スマホの睡眠アプリと脳波計測の違い
スマホだけで動く睡眠アプリは、枕元に置いた端末のセンサーやマイクで体の動きや音を拾う方式が中心で、手首や指で心拍を取るウェアラブルより使える情報が少なくなります。一方、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)発のS’UIMINは、自宅で頭部の3か所に電極を付けて眠り、睡眠脳波を記録するサービスを2020年に始めました。脳波を30秒単位で覚醒・N1〜N3・レム睡眠に分類する方法はPSGと同じ考え方で、ウェアラブルの推定とは測っている対象が違います。
睡眠スコアの中身と、医療用検査と比べた精度
Apple Watchの睡眠スコアの配点と区分(watchOS 26以降)
watchOS 26で加わったApple Watchの睡眠スコアは100点満点で、睡眠時間の長さ50点、就寝時刻の一貫性30点、睡眠中断20点の推定で計算されます。就寝時刻の一貫性はいつ眠りについたかの過去の傾向を、睡眠中断は目覚めた頻度と起きていた時間を見ます。
| スコア | 区分 |
|---|---|
| 0〜40 | 非常に低い |
| 41〜60 | 低い |
| 61〜80 | 普通 |
| 81〜95 | 高い |
| 96〜100 | 非常に高い |
区分は2026年10月時点のApple公式ガイドの表記で、watchOS 26.2では睡眠スコアの分類機能が改善されています。配点に「深い睡眠の長さ」は入っていません。スコアを上げたいなら、睡眠段階の割合より、就寝時刻をそろえて睡眠時間を確保するほうが直接効きます。
Fitbit(Google Health)の睡眠スコアとの違い
Fitbit端末の睡眠スコアは、Google Healthアプリで睡眠時間、ぐっすり眠るまでの時間(Time to sound sleep)、ぐっすり眠った時間(Sound sleep)、寝ている間の小さな身動き(Restlessness)、記憶に残る長い目覚め(Full awakenings)、中断(Interruptions)の6指標から算出する方式に改められています。Appleが時間と規則性を重く見るのに対し、Fitbitは眠りの中身を細かく見る設計です。同じ一晩でも、製品が違えば点数は比べられません。スコアは同じ製品の中で、自分の過去の値と比べる使い方に限ります。計算方式が更新されると同じ製品でも前後の点数がつながらないため、更新の前後は分けて見ます。Google系の新しいバンドについてはFitbit AirはSuica対応?決済・心電図・耐水まで2026年版で総点検で扱っています。
PSGと同時に測った研究に見る精度
精度は、PSGと同じ夜に同時装着して30秒ごとに判定を突き合わせる研究で確かめられています。代表的な2本の結果は次のとおりです。
| 研究 | 対象機種 | 睡眠の検出率 | 覚醒の判定率 | 一致度(κ) |
|---|---|---|---|---|
| Sleep Advances 2025 | 手首型6機種 | 91.68〜96.27% | 29.39〜52.15% | 0.21〜0.53 |
| 同上の内訳 | Apple Watch Series 8 | 96.27% | 52.15% | 0.53 |
| 同上の内訳 | Garmin Vivosmart 4 | 95.92% | 29.39% | 0.21 |
| Apple技術文書 2025 | Apple Watch | – | – | 0.68(4段階・中央値) |
κ(カッパ係数)は偶然の一致を除いた一致度で、2025年の研究は0.21〜0.53を「fair to moderate(まずまず〜中程度)」の一致と評価しています。眠っていることは9割以上の確率で拾える一方、横になったまま起きている時間を睡眠と数えやすいのが手首型の共通の弱点です。Appleの技術文書は2025年10月の追補で、更新後のアルゴリズムの4段階κ(検証セットの中央値)が0.63から0.68に上がったと報告しています。独立研究のApple Watch Series 8の0.53とは対象者も機種の世代も違うため単純には比べられませんが、製品を比べるときはメーカー発表と第三者の研究を分けて読みます。
別の2024年の研究(20〜50歳の睡眠障害のない35人・1晩)では、Oura Ring Gen3・Fitbit Sense 2・Apple Watch Series 8の睡眠検出の感度はいずれも95%以上で、睡眠段階の感度はOuraが76.0〜79.5%、Fitbitが61.7〜78.0%、Appleが50.5〜86.1%でした。睡眠段階の判定は、機種によって得意・不得意の差が大きい領域です。
出典:Sleep Advances 2025(手首型6機種とPSGの比較)/2024年の3機種とPSGの比較研究/Apple「Estimating Sleep Stages from Apple Watch」
「深い眠りが少ない」と表示されたときの読み方
睡眠段階の判定は、2024年の研究でもApple Watchの段階ごとの感度が50.5〜86.1%と幅があり、機種によっても差があります。1日だけの数字で不安になる必要はありません。見るべきは、1〜2週間単位で同じ傾向が続いているか、就寝時刻や飲酒・運動の有無で変化するかです。日中の強い眠気、いびきや呼吸の停止を家族に指摘される、といった自覚症状があれば、スコアではなく医療機関の検査で確かめます。
スリープテック製品の種類と選び方
製品は「何を測るか」と「医療機器かどうか」で分けると選びやすくなります。
| 種類 | 主な計測・機能 | 医療機器 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 腕時計型 | 加速度・心拍・血中酸素 | 一部機能のみ | 日中の活動量も記録したい人 |
| 指輪型 | 心拍・皮膚温・加速度 | 該当しない | 寝るときに時計を外したい人 |
| スマホアプリ | 端末のセンサー・音 | 該当しない | 費用をかけず習慣を作りたい人 |
| 寝具・環境機器 | 温度・光・音の調整 | 該当しない | 寝室環境を整えたい人 |
| 在宅脳波検査 | 睡眠脳波 | サービスによる | 睡眠段階を正確に知りたい人 |
| 治療用アプリ | 認知行動療法の支援 | 承認済み | 医師の処方を受ける不眠障害の人 |
選ぶ順番は、装着を続けられるかが先です。睡眠記録は毎晩つけてこそ傾向が見えるため、寝るときに腕時計が気になる人は指輪型、充電の手間を避けたい人はスマホアプリから始めるのが現実的です。睡眠段階まで正確に知る必要があるなら、ウェアラブルを買い替えるより、脳波を測る検査を受けたほうが早く答えが出ます。
一般向けの睡眠計測と医療機器の境界
Apple Watchの睡眠時無呼吸の通知(医療機器プログラム)
Apple Watchの「睡眠時無呼吸の通知」は、「Appleの睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム」として2024年9月に管理医療機器(家庭用体動情報解析プログラム)の製造販売承認を受けています(承認番号30600BZI00017000)。2024年9月17日のwatchOS 11の配信で、日本を含む150を超える国・地域で使えるようになりました。提供開始時の対象はApple Watch Series 9、Series 10、Apple Watch Ultra 2です。
対象は睡眠時無呼吸と診断されていない18歳以上の人で、アルゴリズムが30日ごとに「呼吸の乱れ」のデータを分析し、中等度から重度の睡眠時無呼吸の兆候があると通知します。通知は受診を促すためのもので、睡眠時無呼吸症候群の診断ではありません。通知が来ないことも「無呼吸がない」証明にはならないため、自覚症状がある人はPSGや簡易検査を受けます。
医師が処方する不眠障害治療用アプリ
サスメドの不眠障害用アプリは、2023年2月15日に「不眠障害用プログラム」として製造販売承認を受けました(承認番号30500BZX00033000)。現在の販売名「サスメド 不眠障害用アプリ Medcle」は、2026年5月13日付で保険収載が了承され、2026年6月1日から保険適用となっています。医療機関で医師が処方して使うもので、アプリストアで誰でも入れられる睡眠アプリとは扱いが別です。
一般向け製品を使わないほうがよい場面
次のような場合は、睡眠スコアを見て自分で調整するより、医療機関の受診を優先します。
- 大きないびきや呼吸の停止を指摘され、日中に強い眠気がある
- 寝つけない・途中で目が覚める状態が続き、日中の生活に支障が出ている
- 睡眠の数字を毎朝確認しないと落ち着かず、かえって寝つきが悪くなっている
睡眠ガイド2023は、不眠症の人は実際の睡眠時間より自覚的な睡眠時間を短く見積もることがあると説明しています。この場合は測定機器で客観的な睡眠時間を知ることに意味がありますが、その数字をもとに床で過ごす時間を調整するのは、医師の指導のもとで行う治療の一部です。
スリープテックの活用事例と企業の動き
個人向け:Pokémon Sleepの事例
株式会社ポケモンの『Pokémon Sleep』は、2023年7月20日に配信を始めた睡眠計測アプリです。眠りの記録をゲームの進行に結び付け、毎日の計測を続けやすくしたのが特徴で、2026年4月27日には全世界で3,000万ダウンロードに到達したと発表されています。毎晩の計測をゲームの報酬に結び付けることで、記録を続ける動機を設計に組み込んだ事例です。
医療・研究:在宅の脳波睡眠検査
S’UIMINは、自宅で複数晩の睡眠脳波を記録し、睡眠経過図から20種類以上の睡眠指標を算出するサービスを提供しています。2024年3月の筑波大学などの発表では、閉塞性睡眠時無呼吸の患者77人でPSGと同時に計測し、総睡眠時間や睡眠段階の割合、呼吸イベントの指標など11種類の睡眠指標すべてで高い同等性が確認されました。入院して1晩だけ測るPSGに対し、自宅で普段の眠りを複数晩測れる点が強みです。
企業:健康経営と生産性の取り組み
企業で取り入れるなら、従業員に睡眠計測機器やアプリを提供し、集団の睡眠時間の傾向を健康施策の効果測定に使う形が考えられます。睡眠ガイド2023も、職場管理者を本ガイドの活用者の一つに挙げています。従業員の健康投資を評価する制度はホワイト500とは?ブライト500・ネクストブライト1000の違いと認定要件で解説しています。
導入する側が決めておくべきなのは、個人の睡眠データを会社が見るかどうかです。睡眠データは健康に関する情報です。個人単位で人事評価や配置に結び付けない運用を先に決め、会社は集団の集計値だけを受け取り、個人のデータは本人だけが見る設計にします。
市場規模の数字を読むときの注意
スリープテックの市場規模は調査会社ごとに推計がありますが、寝具やサプリメントまで含めるか、ウェアラブル端末の売上をどこまで数えるかで定義が揃っていません。この記事では民間の市場規模推計は採っていません。前述のRANDの数字は睡眠不足による経済損失、Pokémon Sleepの数字は1本のアプリのダウンロード数で、どちらも市場規模の代わりにはなりません。市場規模の数字を事業計画に使う場合は、元の調査が何を範囲に含めているかを先に確認します。
睡眠の質を上げる方法:公的機関の推奨とスリープテックの使い方
厚生労働省 睡眠ガイド2023の推奨睡眠時間
日本の公的な目安は、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」です。年代別の推奨は次のとおりです。
| 対象 | 目安 |
|---|---|
| 成人 | 6時間以上 |
| 高齢者 | 床上時間が8時間以上にならない |
| 中学・高校生 | 8〜10時間 |
| 小学生 | 9〜12時間 |
| 3〜5歳(米国睡眠医学会) | 昼寝を含め10〜13時間 |
| 1〜2歳(米国睡眠医学会) | 昼寝を含め11〜14時間 |
成人の6時間は下限の目安で、ガイドは必要な睡眠時間には個人差があり、8時間以上を必要とする人もいると明記しています。高齢者は睡眠時間より床上時間(寝床にいる時間)を重視し、その目安を1週間の平均睡眠時間に30分程度を足した長さとしています。
スリープテックで記録すべき2つの数字
睡眠ガイド2023は、睡眠休養感が低いときの対策として、まず自分の睡眠状態を1週間記録し、床上時間と睡眠時間を把握することを勧めています。スリープテックが最も役に立つのはこの場面です。ウェアラブルは、推定した睡眠の開始・終了時刻と睡眠時間を毎晩自動で残せます。機器が記録するのは眠っていたと推定した時間なので、寝床に入った時刻と出た時刻は自分でメモしておくと床上時間との差が分かります。
成人が時間の面で確かめるのは2つです。1つは平日と休日を含めた1週間の平均睡眠時間が6時間を下回っていないか。もう1つは床上時間と睡眠時間の差が大きすぎないかです。あわせて、朝起きたときに休まった感覚(睡眠休養感)があるか、日中に強い眠気がないかも記録しておきます。休日だけ睡眠時間が大きく伸びる人は、平日の不足を休日に補っている状態で、その影響は社会的時差ボケとは?休日の寝だめで月曜に不調が出る理由と2時間の目安で解説しています。深い睡眠の割合やスコアの細かな上下は、これらが整ってから見れば十分です。
よくある質問
スリープテックとは簡単に言うと何ですか?
睡眠(Sleep)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉で、睡眠を測る・整える・治療するための機器やサービスの総称です。スマートウォッチや指輪型端末の睡眠記録、スマホの睡眠アプリ、温度や光を調整する寝具、在宅の脳波検査、医師が処方する不眠障害治療用アプリまでが含まれます。法律上の定義はなく、医療機器として承認されたものと、健康管理用の一般製品が混在している点に注意が必要です。
スマートウォッチはどうやって睡眠を測っているのですか?
脳波は測っておらず、体の動きと心拍から推定しています。Appleは加速度センサーの信号をもとに、呼吸に伴うわずかな動きも含めて覚醒・レム・コア・深い睡眠の4段階を推定すると公表しています。医療用の睡眠ポリグラフ検査と同時に測った2025年の研究では、検査で眠っていたとされた区間の9割以上を睡眠と判定できた一方、起きていた区間を覚醒と判定できたのは29〜52%で、睡眠段階の一致度は中程度でした。起きている時間を眠っていたと数えやすい傾向があります。
睡眠スコアとは何ですか?何点なら良いですか?
睡眠の記録を1つの点数にまとめた指標で、計算方法は製品ごとに違います。Apple Watchは睡眠時間50点、就寝時刻の一貫性30点、睡眠中断20点の100点満点で、81〜95点が「高い」、96点以上が「非常に高い」区分です。Fitbitはぐっすり眠った時間や身動きなど6指標から算出します。製品が違うと点数は比べられないため、同じ製品で自分の過去の点数と比べて使います。
スマートウォッチで深い眠りが少ないと出たら問題ですか?
一晩の結果だけで問題とは言えません。深い睡眠を正確に判定するには脳波が必要で、手首型の機器は睡眠段階の判定精度が機種によって大きく揺れます。1〜2週間続けて同じ傾向が出るか、就寝時刻や飲酒で変わるかを見てください。日中の強い眠気や、いびき・呼吸の停止を指摘されているなら、スコアではなく医療機関の睡眠検査で確かめることを優先します。
スリープテックの代表的な企業や製品は何ですか?
計測ではApple Watch、Fitbit、Garminなどの腕時計型と、Oura Ringなどの指輪型が代表的です。アプリでは2023年7月配信のPokémon Sleepが全世界3,000万ダウンロードに達しています。医療に近い領域では、筑波大学発のS’UIMINが在宅の脳波睡眠検査を、サスメドが保険適用の不眠障害治療用アプリを提供しています。Apple Watchの睡眠時無呼吸の通知は国内で医療機器の承認を受けた機能です。