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Amayaとは?W3C製Webエディタ兼ブラウザの機能・歴史と開発終了後の扱い

Amayaとは?W3C製Webエディタ兼ブラウザの機能・歴史と開発終了後の扱い

Amaya(アマヤ)は、W3Cが1996年に開発を始めたWebクライアントです。ページの閲覧と編集を1つのウィンドウで行い、編集した文書をそのままWebサーバーへ保存できます。最終正式版は2012年1月18日の11.4.4で、W3Cの公式サイトには「It’s development is stopped.」と明記されています。この記事では、W3Cの公式ドキュメントと配布ページをもとに、Amayaの仕組みと版の変遷を整理し、いま触る場合の前提条件と移行先を示します。

まとめ:Amayaの正体と今使う場合の結論

  • AmayaはW3CとINRIAのWAMプロジェクトが共同開発した、ブラウザ機能を持つWebエディタです。C言語で書かれ、INRIAの構造化文書エディタThotのライブラリ(Thotlib)を土台にしています。
  • 最終正式版は11.4.4(2012年1月18日)です。その後、libwwwの脆弱性を直したスナップショット11.4.7が出ましたが、GitHubの公式リポジトリは2014年2月4日のコミットを最後にアーカイブされています。
  • 対応仕様はHTML 4.01、XHTML 1.0/1.1/Basic、MathML 2.0、CSS 2の多く、SVGの一部です。公式の対応一覧にHTML5は含まれません。
  • HTMLの妥当性検証ツールではありません。公式FAQに「Amaya cannot be used to check validity of HTML pages.」とあります。
  • 新規のWeb制作に使う理由はありません。構造化編集という設計思想を知る資料として、またXHTMLとMathMLを混在させた古い文書を開く用途に限るのが妥当です。

Amayaの成り立ち:W3Cが作った読み書きできるブラウザ

W3Cのホームページによると、Amayaの開発は1996年に始まりました。目的は、W3Cが策定する技術をできるだけ多く1つのクライアントに統合し、組み合わせて動く様子を示すことです。ホームページは、閲覧と編集の統合を「Webを一方向の公開媒体ではなく共同作業の場とする当初の構想」に沿うものと説明しています。

最初の公開バイナリは、1996年8月23日にThotのメーリングリストで告知された0.8aです。告知の時点で、HTML 3.2の完全な実装、CSS対応、W3Cのリファレンスライブラリ(libwww)経由のリモート文書の取得、HTTPのPUTメソッドによるサーバーへの保存を備えていました。対応環境はLinux(X11R6)だけで、作者欄にはDaniel Veillard、Vincent Quint、Irène Vatton、José Kahanの4名が並んでいます。

名前の由来はFAQに書かれています。当初の名前はTamayaで、ロゴに描かれた木の名前でした。フランス企業の商標と重なったため、頭のTを落としてAmayaになっています。

実装言語がC言語なのは、土台にしたThotlibがC言語で書かれていたためです。FAQによると、後年はユーザーインターフェースの大部分がC++に置き換わっています。Thotの系譜にある構造化文書の考え方は、SGMLの文書型定義(DTD)に沿って文書を扱う発想と同じです。DTDの背景はSGMLとは?読み方・正式名称(ISO 8879)とXML・HTMLとの違いで整理しています。

Amayaの版履歴:0.8aから11.4.7までの節目

W3CのRelease Historyに残る記録から、機能が大きく変わった版を抜き出しました。

版 公開日 主な変更
0.8a 1996年8月23日 初の公開バイナリ(Linuxのみ)
4.0 2000年11月10日 共同注釈、SVGの一部、MathML文書
6.0 2002年4月23日 注釈本文にテキスト・SVG・MathML
6.2 2002年7月8日 iso-2022-jp・euc-jp・shift_jisの解析
10.0 2008年2月26日 UI刷新、TextモードとXMLモード
11.0 2008年12月16日 XHTML+RDFa、日本語UI、SVG編集
11.4.4 2012年1月18日 最終正式版(CSSカウンター等)
11.4.7 日付の記載なし libwwwのセキュリティ修正

Web文書に注釈を付ける共同注釈の機能は、4.0(2000年11月10日)で入りました。変更履歴によると、RDF・XPointer・XLinkに基づく仕組みで、W3CのAnnoteaプロジェクトの成果です。6.0では、XHTMLに加えてプレーンテキスト・SVG・MathMLの注釈本文を読み書きできるようになり、他のAnnoteaクライアントで作った注釈も扱えるようになりました。Annoteaが立ち上がった経緯はW3CによるAnnoteaプロジェクトの立ち上げ背景で扱っています。Web注釈の標準は、その後2017年2月23日にWeb Annotation Data ModelとしてW3C勧告になりました。

最終版11.4.4の変更履歴には、MathMLの実体参照の定義を更新した貢献者としてFrédéric Wangの名前があります。同氏はのちにIgaliaでChromiumへのMathML Core実装を進め、MathMLは2023年1月公開のChrome 109で既定有効になりました。Amayaの数式実装に関わった開発者が、のちにブラウザ標準の数式表示を実現したことになります。

Amayaの構造化編集:文書ツリーの操作とソース同期

Amayaは、テキストエディタのように文字列を編集するツールではありません。FAQは、HTMLまたはXHTMLの編集中にAmayaが扱うのは文書ツリーであり、テキスト表現は保存時に生成されると説明しています。W3Cの概要ページは、Amayaが文書を内部でDTDに沿った構造として表現すると説明しています。ただし後述のとおり、元の文書にあった不正な部分は保存後も残ることがあり、完全な妥当性までは保証されません。整形表示と並べて構造ビューを開くこともできます。

タグを直接書き換えたい場合は、メニューのViews/Show sourceでソースビューを開きます。ソースビューは整形表示と同期した別ウィンドウで、どちらを編集しても、File/Synchronizeで他方に反映されます。選択位置を移したときにも同期が自動で走ります。

扱える語彙はHTMLにとどまりません。ホームページによると、XHTML、MathML、SVGを1つの複合文書の中で同時に編集できます。XLinkを使えば、MathMLやSVGの任意の要素をリンクにできます。11.0ではテンプレート編集が加わり、11.3ではXTigerライブラリを作成できるようになりました。

HTMLとXHTMLの読み込み:自動修復と整形式エラーの扱い

Amayaは文書の種類で読み込み方を変えます。HTMLについては、DTDに適合しない既存ページが大半だという前提で、不正な要素をその場で構造変更して妥当にします。このとき要素を削除したり、意味が変わるような別の場所へ移したりはしない方針です。Amaya自身が作成・変更した要素は必ず妥当なマークアップで出力されますが、元の文書にあった不正な部分は保存後も残ることがあります。

XHTMLでは逆に厳格で、XMLパーサーのExpatが整形式エラーを見つけた時点で解析を止めます。原因として多いのは、DOCTYPEや名前空間の不一致、閉じタグの欠落、引用符のない属性値、宣言と合わない文字コードです。FAQによると、Amayaは通常のHTMLとして開き直す選択肢を出し、HTMLとして読み込んだ後に名前を付けてXHTMLで保存し直せます。

Amayaは文法検証ツールではない:できないことの一覧

W3C製のエディタなので、W3Cの検証サービスと同じ判定ができると考えがちです。しかしFAQ II.9は、AmayaはHTMLページの妥当性検証には使えないと明言しています。Amayaは不正なHTMLも受け入れ、閉じタグの補完などで動的に修復しながら表示します。解析中に見つけた未知のタグや属性、エラーはログに記録され、File/Show parsing errorsで確認できます。ただし、これは文書が仕様に適合しているかの判定ではありません。4.0の変更履歴には、XHTML-strictなどのプロファイルを選ぶと作成できる要素と属性がそのプロファイルの範囲に限られるという記述もありますが、公開前の妥当性確認は検証サービスに任せてください。

FAQから、ほかにできないことを拾うと次のとおりです。

  • JavaScriptとアニメーション画像には対応しません。人手不足のため実装予定もないと書かれています。
  • フレームには対応しません。標準のURLはフレームセットか個々のフレームしか指せず、リンクや戻る操作が不自然な結果になることや、障害のある利用者への支障が理由です。
  • FTPでは保存できません。リモート保存はHTTPのPUTメソッドだけで、サーバー側でPUTを実装する必要があります。
  • MathML 2.0のContent MathML(意味を記述する側の要素)は未実装です。

FAQによると、Apache httpdは既定でPUTを実装していません。W3Cが同じ時期に開発していた実験サーバーについてはJigsawとは何か?W3Cが開発した実験的Webサーバの概要で解説しています。HTMLの妥当性を確かめたい場合は、W3CのNu Html Checker(validator.w3.org/nu)を使ってください。閉じタグの欠落を機械的に直したいならHTML Tidyとは?HTMLの整形・タグ修正の使い方とインストール【5.8.0で実測】が向いています。

Amayaの日本語対応:文字コードは解析できるが表示はフォント次第

日本語の扱いは段階的に整備されました。6.2でiso-2022-jp・euc-jp・shift_jisの解析に対応しましたが、変更履歴には「Unicodeフォントが利用できる場合」という条件が付いています。11.0ではMartin Dürstの協力で日本語のダイアログ(メニューやメッセージ)が統合されました。

FAQの言語一覧は更新されておらず、対応言語を英語・フランス語・ドイツ語など7言語としています。変更履歴と食い違うので、日本語UIの有無は変更履歴のほうを正としてください。表示面では、FAQ II.16が「Unicodeの対応は完了していない」とし、利用できるフォントにない文字は小さな四角で表示されると書いています。Windows版では、9.3と8.8.3の時点で中国語・日本語・韓国語の描画不具合が修正された記録もあります。フォントの割り当ては、Mac OS XとLinuxではAmaya/config/fonts.gl、Windowsではfonts.gl.winで設定します。

Amayaの入手と起動:現行OSでの前提条件

W3Cのバイナリ配布ページには現在も11.4.4と11.4.7のバイナリが置かれています。ただし対象として表記されているのはWindows XP/Vista/7、Mac OS X 10.6 Snow Leopardでビルドしたdmg、Debian・Ubuntu向けのi386/amd64パッケージ、openSUSE 11向けrpmです。いずれも2012年前後の環境で、現行のWindows・macOS・Linuxでの動作を保証する記載はありません。

Debianの公式リポジトリでも、amayaパッケージは2005年のDebian 3.1(sarge)に収録された8.5-1が最後で、現在の安定版からaptでは入れられません。ソースから組む場合は、libwww・Mesa・Redland・wxWidgets・freetypeを同梱したamaya-sources-11.4.4.tgzをソース配布ページから取得します。GitHubのw3c/Amaya-Editorはアーカイブ済みで、読み取り専用です。

64ビットのDebian・Ubuntu向けdebパッケージ(amd64)をダウンロードしたディレクトリで試す場合、FAQは管理者権限で入れるよう指示しています。権限なしで入れると/usr/bin/amayaのシンボリックリンクが作られず起動できないためです。起動しないときは、足りない共有ライブラリをlddで確認します。

sudo dpkg -i amaya_11.4.4-1_amd64.deb
ldd /usr/lib/Amaya/wx/bin/amaya_bin

FAQが挙げる起動失敗の最多原因は、作業ディレクトリ(UnixとMac OS Xでは$HOME/.amaya)を作れないことです。その場合は環境変数AMAYA_USER_HOMEで書き込み可能な場所を指定します。Windows版はOpenGLのハードウェア実装で描画するため、ビデオドライバの不具合でクラッシュや極端な低速化が起きるとも書かれています。

PUT保存の制限:本番サーバーでの利用回避

11.4.7は、AmayaがSSL越しにPUTで保存する際、条件によってはユーザーのパスワードが平文で送られる問題を直したスナップショットです。11.4.4以前でPUTを使えばこの問題を抱えたままになります。配布ページに11.4.7より新しい修正版はなく、GitHubの公式リポジトリも2014年にアーカイブされています。運用中のサーバーへの書き込みには使わず、ローカルのファイルを開いて構造を観察する用途にとどめるべきです。

Amayaの移行先:機能別の代替ツール

Amayaの代わりを1本のソフトで探すのは筋がよくありません。閲覧・編集・公開・注釈を1つにまとめたAmayaの機能は、現在は役割ごとに別のツールへ分かれています。BlueGriffonのようにWYSIWYG編集を受け継いだエディタもありますが、GitHubのリリース一覧で最新は2017年12月4日の3.1で、リポジトリへの最後のpushも2021年2月5日です。後継を選ぶなら、更新が続いているツールで機能ごとに置き換えます。

用途 現在の置き換え先
整形表示とソースの同期編集 エディタのライブプレビュー
文書構造の確認 ブラウザの開発者ツール
妥当性の確認(Amayaは非対応) Nu Html Checker
タグの修復・整形 HTML Tidy
数式の表示 ブラウザのMathML Core対応
注釈 Web Annotation準拠のツール
サーバーへの保存 CMSやGitベースの公開

Amayaを今でも開く価値があるのは、XHTMLにMathMLやSVGを埋め込んだ2000年代の文書を、当時の実装で確認したい場面です。SVGアニメーションなど同時代のW3C仕様の現在の扱いはSMILとは?読み方と.smil・.smiの違い、SVGアニメーションでの現在地にまとめています。

よくある質問

Amayaは無料で使えますか?

無料です。W3Cがホストするオープンソースのプロジェクトで、FAQは著作権表示を残せばCD-ROMで有償配布してもよく、改変して商用ソフトに組み込むこともできるとしています。ただし改変版をAmayaの商標名で呼ぶことや、出所を偽ることは禁止されています。

AmayaはHTML5に対応していますか?

対応していません。最終版11.4.4の対応仕様としてホームページに挙がっているのはHTML 4.01、XHTML 1.0/1.1/Basic、MathML 2.0、CSS 2の多く、SVGの一部です。<section>や<video>のようにHTML5で追加された要素は、この対応範囲に含まれません。

Amayaはまだダウンロードできますか?

できます。W3Cの配布ページにWindows・Mac・Linux向けのバイナリとソースが残っています。ただし対象はWindows 7やMac OS X 10.6の時代の環境で、現行OSでの動作は保証されていません。

Amayaの名前の由来は何ですか?

FAQによると、当初はロゴに描かれた木の名前からTamayaと名付けられていました。フランス企業の商標と重なっていたため、頭文字のTを外してAmayaになりました。

AmayaとW3Cの検証サービスは何が違いますか?

Amayaは不正なHTMLを受け入れて修復しながら表示するエディタで、妥当性の判定はしません。HTMLが仕様に適合しているかを判定するのはNu Html Checkerなどの検証サービスです。Amayaで編集した文書も、公開前に検証サービスで確認する必要があります。

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