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均等割付とは?比例割付との違いとウェイトバックで減る有効サンプル数

均等割付とは?比例割付との違いとウェイトバックで減る有効サンプル数

均等割付とは、アンケートや標本調査で回答者を性別・年代・地域などの層(セル)に分け、どの層にも同じ人数を割り当てる割付方法です。人口の少ない層でも分析できる人数を確保できる一方、母集団全体を推定するときは、標本と母集団の構成比が異なればウェイトバックで補正します。比例割付に比べた精度の変化は、各層の分散や配分によって異なります。この記事では、各層の分散が等しいと仮定したときに全体の推定がどれだけ不安定になるかを総務省の人口推計で計算し、均等割付を選ぶべき場面とそうでない場面を数字で切り分けます。なお、Word・Excelで文字の幅をそろえる「均等割り付け」は別の機能で、この記事の対象ではありません。

まとめ:均等割付による少数層の人数確保と全体推定への影響

  • 均等割付は各層に同数を割り当て、少数の層にも比較に必要な人数を確保する方法です。各層の分散が異なれば、同人数でも推定精度は異なります。
  • 母集団全体の推定では、構成比が異なる場合にウェイトバックで補正します。ウェイトに差があるとKishの有効サンプル数は回収数を下回りますが、実際の精度は調査項目や抽出設計にも依存します。
  • 人口推計2024で計算すると、性×年代(20〜60代)の10セルでは比例割付でも最小の層が82人取れます。均等割付にしてもKishの有効サンプル数は1,000人に対して982人で、比例割付との差は小さくなります。
  • 都道府県47層では東京都と鳥取県の人口が26.7倍違うため、今回の仮定では、Kishの有効サンプル数は回収数のおよそ半分(10,906人に対して約5,166人)になります。
  • 自主登録型モニターを使うネットリサーチの割付は、JISでいう「割当てサンプリング」(ランダムでない選び方)に当たり、ウェイトバックしても母集団の代表性までは保証されません。

均等割付の意味:各層へ同じ人数を割り当てる割付

均等割付は、回収するサンプルの内訳を調査の前に決める「割付」の方式の一つです。たとえば20〜60代の男女を対象に1,000人を集めるなら、男女×5年代の10セルに100人ずつを割り当てます。母集団の中で多い層も少ない層も同じ人数にそろえるのが特徴で、英語では equal allocation と呼び、日本語でも「均等配分」と書かれることがあります。割付そのものの考え方や総数の決め方は、サンプル割付とは?アンケート調査の割付方法・決め方を解説で整理しています。

行政の調査でも使われています。内閣府男女共同参画局の性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究(令和4年度)は、全国47都道府県を性別と年代(20代〜60代)で分けて均等に回収する設計で、回収数は10,906人です。男女別に47都道府県×5年代を組み合わせると470セルです。ただし、総回収数には性別「その他」の70人も含まれるため、男女のセル当たり平均は約23人で、各セルの実数が一律23人という意味ではありません。

JIS Z 8101-2での位置づけ:層別サンプリングと割当てサンプリング

統計用語のJIS Z 8101-2:2015では、層に分けて各層から取り出す方法を「1.3.6 層別サンプリング,層化サンプリング,層化抽出」と定めています。各層の中で無作為に選ぶ場合は「1.3.7 層化単純無作為抽出」で、その注記に、層ごとの割合を母集団の割合に等しくしたものを「比例層化単純ランダムサンプリング」と呼ぶとあります。比例割付に当たるのはこれです。

一方、自主登録型モニターを用いるネットリサーチでは、登録者への配信を無作為化しても、対象母集団全体からの無作為抽出になるわけではありません。このように層の中の回答者がランダムな方法で選ばれていない層別の抽出を、JISは「1.3.8 割当てサンプリング」として「サンプルがランダムな方法にはよらないで選択される層別サンプリング」と定義しています(JIS Z 8101-2:2015 統計-用語及び記号-第2部)。均等割付という配分の決め方と、層の中で無作為に選ぶかどうかは別の問題です。無作為抽出との違いは無作為抽出法とは?層化二段無作為抽出法の仕組みと判断抽出・有意抽出との違いで扱っています。

均等割付・比例割付・ネイマン配分の違い

ここでは代表的な均等割付・比例割付・ネイマン配分を比較します。各層の人数を決める式と、全体を集計するときの扱いが異なります。総数をn、母集団全体の人数をN、層の数をH、層hの母集団の大きさをNh、層内の標準偏差をShとします。

配分方法 層hの人数 全体集計の補正 向く目的
均等割付 n÷H ウェイトバックが必要 層どうしの比較
比例割付 n×Nh÷N 不要(自己加重) 母集団全体の推定
ネイマン配分 n×NhSh÷ΣNhSh 通常は必要 全体推定の精度を最大化

ネイマン配分は、層の人口と層内標準偏差の積に比例して人数を配分し、総サンプル数が一定の層化単純無作為抽出で、全体平均の推定分散を最小にする方法です。Neymanが1934年の論文On the Two Different Aspects of the Representative Method(JRSS 97(4))で示したことから、この名前で呼ばれます。全層の標準偏差が等しいときは比例割付と同じ配分になります。均等割付は少数の層にも比較用の人数を確保するための配分です。層内分散が同程度なら層ごとの精度も近づきますが、人数をそろえるだけで精度が一致するわけではありません。

均等割付による全体推定への影響:人口推計で計算したKishの有効サンプル数

各層の層内分散が等しく、抽出率が十分小さい層化単純無作為抽出では、人口構成と異なる均等割付による全体平均の推定分散は、同人数の比例割付より大きくなります。この損失は、Kishのデザイン効果(deff)で見積もれます。deffは「1+ウェイトの相対分散」で、回収数をdeffで割った値が有効サンプル数です(RパッケージPracToolsのdeffK関数の説明。Kish 1965・1992を出典としています)。同じ説明に、各層の層内分散が等しいという仮定の下での比であり、ウェイトをばらつかせたほうが効率がよい標本には使えない、と但し書きがあります。以下はこの仮定の下での計算です。

母集団は総務省統計局の人口推計(2024年10月1日現在)の総人口(第1表・第2表、千人単位)を使いました。

性×年代10セル:比例割付の最小人数82人と均等割付の有効サンプル数982人

20〜69歳の総人口は7,553万5千人で、男女×年代10セルの構成比は最小が女性20代の8.20%、最大が男性50代の12.17%です。1,000人を比例割付すると最小の層でも82人、最大でも122人で、もともとほぼ均等です。

層の切り方 回収数 ウェイトの範囲 deff 有効サンプル数
男女×年代10セル(各100人) 1,000 0.82〜1.22 1.018 982
都道府県47層(内閣府調査の人数) 10,906 0.20〜5.38 2.111 約5,166
出現率5%・25%・70%の3層(各300人) 900 0.15〜2.10 1.665 541

性×年代だけで割り付けるなら、均等割付によるKishの有効サンプル数の減少は2%弱(1,000人に対して982人)です。20〜60代の性年代別の比較が目的なら均等割付を選んでも全体推定への影響は小さく、全体の推定が目的なら比例割付で十分、という判断になります。

都道府県47層:東京都と鳥取県は26.7倍、有効サンプル数は約半分

都道府県の人口は東京都1,417万8千人、鳥取県53万1千人で26.7倍の差があります。内閣府調査と同じ10,906人を47都道府県に比例割付すると、鳥取県は約47人しか取れず、ある選択肢を選ぶ割合が50%前後の場合、無作為抽出を仮定した95%の誤差幅は約±14.3ポイントです。均等割付なら1県あたり約232人で±6.4ポイントまで縮みます。その代わり、全国の数字に戻すと鳥取県の回答者のウェイトは東京都の約27分の1になり、deffは2.11です。

この計算は全年齢の都道府県人口の構成比で近似したもので、20〜60代だけの構成比や性年代の均等化は入れていません。この仮定で得られるKishの有効サンプル数は約5,166人で、回収数の約49%です。内閣府調査そのものの精度を示す値ではなく、標準誤差の倍率に換算すると約1.45倍となる参考計算です。

出現率5%の層を含む均等割付:900人に対するKishの有効サンプル数541人

マーケティング調査では、母集団に5%しかいないヘビーユーザーを分析したい場面がよくあります。仮にヘビー5%・ライト25%・非利用70%の3層に300人ずつ割り付けると、ヘビーの回答者のウェイトは0.15、非利用は2.10です。比例割付ではヘビーが45人になるところ、均等割付なら300人を確保できます。一方、今回の仮定に基づくKishの有効サンプル数は約541人です。次のコードは、構成比の合計が1で、構成比と回収数が同じ順序・同じ要素数に対応し、各セルの回収数が正の整数である場合に使えます(Python 3で実行し、コメントの値を確認済み)。

# 層ごとの母集団構成比と回収数から、ウェイトとKishの有効サンプル数を出す
shares = [0.05, 0.25, 0.70]   # ヘビー・ライト・非利用の母集団構成比
counts = [300, 300, 300]      # 均等割付の回収数

n = sum(counts)
weights = [s / (c / n) for s, c in zip(shares, counts)]
sum_w = sum(c * w for c, w in zip(counts, weights))
sum_w2 = sum(c * w * w for c, w in zip(counts, weights))
deff = n * sum_w2 / sum_w ** 2
print([round(w, 2) for w in weights])   # [0.15, 0.75, 2.1]
print(round(deff, 3), round(n / deff))  # 1.665 541

1層あたりの必要人数:誤差幅からの逆算と差の検出に必要な条件

均等割付で各層に何人ずつ取るかは、層ごとの結果をどの精度で読みたいかで決めます。ある選択肢を選ぶ割合が50%前後で、無作為抽出かつ抽出率が十分小さい場合、95%の誤差幅は約「1.96×√(0.25÷n)」です。独立した同人数の2層を比べる場合、差の誤差幅は約√2倍です。

1層の人数 層ごとの誤差幅 2層の差の誤差幅
50人 ±13.9ポイント ±19.6ポイント
100人 ±9.8ポイント ±13.9ポイント
200人 ±6.9ポイント ±9.8ポイント
400人 ±4.9ポイント ±6.9ポイント

各層100人では、表の条件下で差の95%誤差幅は約±13.9ポイント、各層200人では約±9.8ポイントです。10ポイント差を所定の確率で検出したいなら、必要な人数は有意水準に加えて検出力も指定して決めます。どちらの場合も層の数がそのまま総数に掛かるので、比較する層を絞るほうが費用を抑えられます。誤差の考え方は標準誤差の求め方とエクセルの計算式|標準偏差・標本誤差との違い、総数の決め方は標本調査とは?身近な例とメリット・デメリット、必要なサンプル数の決め方を公的データで解説で解説しています。

ネットモニターへの割当てサンプリングでは、モニターに登録しているかどうか自体が偏りの源になるため、表の値は「無作為に選んでいればこの程度」という参考値として扱ってください。

均等割付のデータの集計手順:セル単位の集計とウェイトバック

割付に用いた個々のセル内では、同じウェイトを掛けても割合や平均は変わりません。ただし、性×年代のセルを性別だけにまとめる場合などは、層別集計にも補正が必要になることがあります。母集団全体の推定では、各層に「母集団構成比÷標本構成比」のウェイトを掛けて母集団の姿に戻します。上の3層の例で、ある設問の「はい」がヘビー80%・ライト50%・非利用10%だったとします。

  • 補正せずに単純集計:(80+50+10)÷3=46.7%
  • ウェイトバック:0.05×80+0.25×50+0.70×10=23.5%

この例では、補正を忘れると全体の「はい」を2倍に見積もります。このずれは、層の構成比の違いと、層ごとの回答割合の違いの両方で決まります。層ごとの回答割合が同じなら、構成比が異なっていてもずれは生じません。ウェイトの作り方や、性年代など複数の軸で補正するときの注意はウェイトバック集計とは?計算式・やり方と有権者構成に合わせる補正の注意点で詳しく扱っています。

均等割付の調査結果を読むときの注意:内閣府調査の但し書き

ウェイトバックで構成比を戻しても、割当てサンプリングで集めた回答が母集団を代表するとは限りません。前出の内閣府調査は、調査結果の調査実施概要(PDF)に「本調査は人口構成比による抽出ではなく、性・年代・都道府県均等割付で抽出を行っており、日本全体を母集団とした代表性はない」と明記しています。均等割付の調査の数字を「日本人の○%」と読み替えるのは、作成者自身が避けるよう求めている読み方です。代表性の考え方は代表性とは?調査・統計でのサンプルの代表性と高め方をわかりやすく解説を参照してください。

同じ資料には、割付の設計を変えると時系列の比較ができなくなる例もあります。前回(令和3年度)は全国を9地域に分けて地域ごとに性年代を均等に回収していましたが、今回は47都道府県ごとの均等回収に変え、測定項目も36から41に増やしたため、「基本的に前回調査結果との比較は行わない」としています。継続調査で均等割付の単位を変えるときは、過去の数字と並べられなくなることを先に決めておく必要があります。

回収が難しいセルへの対応:事前の人数確認と未達時の報告

均等割付はセルを掛け合わせるほど、母集団の小さいセルの回収が難しくなります。性×年代×都道府県の470セルでは、地方県の若い年代のように登録モニターがもともと少ないセルが出ます。対処は次の順で検討します。

  • 設計段階で、セルごとの出現数(モニター数×想定回答率)を調査会社に確認し、埋まらないセルは隣接する年代や地域ブロックと統合しておきます。
  • 回収中に不足したら、期間の延長や配信の追加で埋めます。他のセルの超過分で総数だけ合わせても、不足セルの比較精度は回復しません。全体のdeffは実際の回収数から再計算し、設計時の値と比較します。
  • それでも埋まらなかったセルは、目標数と実数を報告書に併記し、層別の結果を出すときは誤差幅が広いことを明記します。

避けたいのは、回収が進まないまま途中で割付条件を緩めて「目標数を達成した」と扱うことです。条件を緩めたセルは比較の前提が崩れているので、そのセルの層別比較は報告から外すほうが安全です。自社でアンケートの回収管理を組む場合は、セルごとの到達数を見て配信を止める仕組みが要ります。アンケート管理システム開発では、こうした割付ごとの回収管理を含むシステムの構築を支援しています。

よくある質問

割付とは何ですか?

アンケートで回収するサンプルの内訳(性別・年代・地域などごとの人数)を調査前に決めることです。均等割付はその方式の一つで、ほかに母集団の構成比に合わせる比例割付があります。新聞や印刷物の紙面に記事や写真を配置する「割付」は別の意味で、割付とは?意味・読み方と印刷・新聞・プリンタ・テプラでの使い分けで扱っています。

均等割付と比例割付はどちらを選べばよいですか?

層どうしの比較が目的なら均等割付、母集団全体の割合や平均を出すのが目的なら比例割付です。今回の性年代10セルの例では、各層の分散が等しいと仮定した場合の、全体推定の分散の差は小さくなります。

均等割付と均等配分は同じ意味ですか?

調査設計の文脈では同じ意味で、英語の equal allocation に当たります。「割付」は市場調査の現場で、「配分」は統計学の教科書でよく使われる言い方です。

均等割付したデータに誤差の公式を使ってよいですか?

計算はできますが、ネットモニターへの割当てサンプリングでは無作為抽出の前提を満たさないため、参考値にとどまります。全体推定の誤差は、抽出設計・ウェイト・調査項目を踏まえて評価します。Kishのdeffだけでは、非無作為抽出による偏りを含む誤差幅は求められません。

ウェイトバック集計とは何ですか?

層ごとに「母集団構成比÷標本構成比」のウェイトを掛け、標本の構成を母集団に戻して集計する方法です。均等割付のデータから全体の数字を出すときに使います。

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