GPT-4o miniは、OpenAIが2024年7月18日に発表した小型モデルです。発表から2年が経ち、検索で聞かれる内容は性能の高低から「まだ使えるのか」「いくらかかるのか」「後継に乗り換えるべきか」へ移りました。この記事では2026年8月6日に取得したOpenAI公式ドキュメントとMicrosoft Learnの記載をもとに、提供状況・料金・移行判断を整理します。名前が似ているo4-miniやGPT-5 miniとの区別も併せて扱います。
まとめ
2026年8月6日時点で、gpt-4o-miniはOpenAI APIで提供が続いており、公式の廃止一覧に基本モデルとしての掲載はありません。2か月前に出たgpt-4o-2024-05-13や、後から登場したo4-mini・gpt-4.1-nanoが2026年10月23日で終了予定なのとは対照的です。
ただしAzure OpenAI(Microsoft Foundry)では事情が違い、gpt-4o-miniは既にライフサイクル「廃止」ステージに入っています。新規のAzureサブスクリプションからはデプロイできず、退職日は2027年4月14日です。使っている経路によって残り時間が2年近く違う点が、このモデルで最も見落とされやすい部分です。
料金の優位も薄れました。入力100万トークン$0.15より安い標準モデルは現に存在し、キャッシュ入力と出力ではgpt-5.6-lunaのほうが安く、知識カットオフは2023年10月のまま、コンテキストは128,000トークンで据え置きです。新規に組むならGPT-5.6世代を選び、gpt-4o-miniを残すのは既存の微調整モデル資産がある場合と、プロンプトキャッシュを使わず出力が極端に短い大量処理に限られます。
2026年8月6日時点の提供状況|OpenAI直販の廃止一覧に基本モデルの記載なし
公式廃止一覧に載っていないモデルと、載っているモデルの差
OpenAIは廃止するモデルを Deprecations ページに公開しており、終了日と推奨代替モデルを型番単位で列挙しています。2026年8月6日に取得した同ページに、基本モデルとしてのgpt-4o-miniの記載はありません。掲載されているのは音声・Realtime・検索・文字起こしといった派生モデルだけです。
モデルカタログ側の説明文も現役扱いのままです。gpt-4o-miniは「Fast, affordable small model for focused tasks」と書かれており、「Legacy GPT model for cheaper chat and non-chat tasks」と明記されたGPT-3.5 Turbo、「An older high-intelligence GPT model」とされたGPT-4、「Deprecated large model.」と書かれたGPT-4.5 Previewとは表記が分かれています。2026年10月23日に終了する型番にはgpt-4o-2024-05-13、gpt-4.1-nano、o4-mini(代替はgpt-5.6-terra)、o3-mini(代替はgpt-5.6-sol)、gpt-4-turbo、gpt-3.5-turbo-0125が並んでおり、2024年7月の小型モデルが後発のo4-miniより長く残るという逆転が起きています。
終了日が確定している派生モデル6種
「GPT-4o mini」の名を冠したモデルのうち、テキストと画像を扱う基本モデル以外はすべて期限が決まっており、うち3種はすでに停止済みです。同じ名前でも扱いが違うため、音声・Realtime・検索の用途で使っている場合は移行が必要です。日付はOpenAI直販APIのDeprecationsページ基準で、Microsoft Foundry(Azure OpenAI)は別スケジュールになります。
| 型番 | 用途 | 終了日 | 推奨代替 |
|---|---|---|---|
| gpt-4o-mini | テキスト・画像入力 | 告知なし | — |
| gpt-4o-mini-realtime-preview | Realtime API | 2026-05-07(終了済) | gpt-realtime-mini |
| gpt-4o-mini-audio-preview | 音声入出力 | 2026-05-07(終了済) | gpt-audio-mini |
| gpt-4o-mini-search-preview-2025-03-11 | Web検索 | 2026-07-23(終了済) | gpt-5.6-terra |
| gpt-4o-mini-audio | 音声入出力 | 2027-01-20 | gpt-audio-1.5 |
| gpt-4o-mini-realtime | Realtime API | 2027-01-20 | gpt-realtime-2.1-mini |
| gpt-4o-mini-transcribe-2025-03-20 | 音声認識 | 2027-01-20 | gpt-4o-mini-transcribe-2025-12-15 |
プレビュー版の音声・Realtimeは2026年5月7日、検索用のgpt-4o-mini-search-preview-2025-03-11は2026年7月23日で停止しており、これらの型番を指定した呼び出しはもう通りません。音声とRealtimeの移行先については、GPT-Realtime-2とは|OpenAI音声3モデルの仕様・料金とgpt-realtime-2.1の違いで3モデルの仕様差を扱っています。
Azure OpenAI側の状況|既に「廃止」ステージ・退職日2027年4月14日
Microsoft Foundry(Azure OpenAI)経由で使っている場合、期限も提供状態もOpenAI直販とは別です。Microsoft Learnの提供終了スケジュールには、gpt-4o-mini(version 2024-07-18)のライフサイクルが「廃止」、退職日が2027年4月14日と記載されています。
Azureの「廃止」は、既存顧客だけがデプロイの作成・管理を継続でき、新規顧客はモデルにアクセスできない状態を指します。既存顧客かどうかはサブスクリプション単位で判定され、同じテナントの新しいサブスクリプションはアクセス権を継承しません。退職日を過ぎると「引退」となり、推論リクエストは410 Goneを返します。つまりAzureでは、新規案件でgpt-4o-miniを選ぶ選択肢自体がすでにありません。
微調整済みモデルの期限はさらに分かれます。トレーニングの提供終了日は「2027年4月1日より前ではない」、微調整済みモデルのデプロイ終了日は2027年10月1日です。再学習ができなくなる日とデプロイが止まる日が半年ずれているため、混同すると計画が崩れます。OpenAI直販側に告知が無くてもAzure側には具体的な日付が置かれています。両方の環境で運用している場合は、短いほうの期限に合わせて計画を立ててください。
仕様と料金|128Kコンテキスト・入力100万トークン$0.15
モデル仕様と対応エンドポイント
公式のモデルページに記載された仕様は、2024年の発表時から変わっていません。スナップショットはgpt-4o-mini-2024-07-18の1本だけで、更新版は追加されていません。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 既定スナップショット | gpt-4o-mini-2024-07-18 |
| 入力モダリティ | テキスト・画像 |
| 出力モダリティ | テキスト |
| コンテキストウィンドウ | 128,000トークン |
| 最大出力トークン | 16,384トークン |
| 知識カットオフ | 2023年10月1日 |
| レート上限(Tier 1) | 500 RPM / 10,000 RPD / 200,000 TPM |
対応するのはChat Completions、Responses、Assistants、Batch、Fine-tuningです。Realtime、音声生成、文字起こし、埋め込み、画像生成には対応していません。機能面ではfunction calling、Structured Outputs、Web検索ツール、File search、画像入力、ストリーミングが使えます。コンテキスト128,000トークンが実務でどこまで使えるかは、コンテキストウィンドウとは?トークン上限の数え方と有効長・溢れ対策を実装者向けに解説で扱っている有効長の考え方が参考になります。
料金体系とWeb検索ツールの固定課金
料金は100万トークンあたり入力$0.15、キャッシュ入力$0.075、出力$0.60です。Batch APIを使う場合は入力$0.075、出力$0.30と半額になります。
見落としやすいのがWeb検索ツールの課金です。OpenAIの料金ページには、gpt-4o-miniとgpt-4.1-miniで非プレビュー版のWeb検索ツールを使った場合、検索コンテンツのトークンが1回の呼び出しあたり8,000入力トークンの固定ブロックとして課金される、と明記されています。実際に読み込んだ量に関係なく8,000トークン分が乗るため、短い検索を大量に回す設計では、モデル本体の安さが相殺される計算です。ツール呼び出し自体の料金(1,000回あたり$10)はこれとは別に発生します。
発表時ベンチマークの現在の読み方
2024年7月18日の発表では、4つのベンチマークで当時の競合小型モデルを上回る数値が公表されました。
| ベンチマーク | GPT-4o mini | Gemini Flash | Claude Haiku |
|---|---|---|---|
| MMLU(テキスト推論) | 82.0% | 77.9% | 73.8% |
| MGSM(数学推論) | 87.0% | 75.5% | 71.7% |
| HumanEval(コーディング) | 87.2% | 71.5% | 75.9% |
| MMMU(マルチモーダル推論) | 59.4% | 56.1% | 50.2% |
4指標すべてでGemini FlashとClaude Haikuを上回っています。ただしこれらは2024年夏の比較対象に対する数値であり、現在の選定根拠には使えません。比較先のGemini FlashもClaude Haikuも世代交代しています。発表時の数値は「この水準の処理なら今も足りる」という下限の目安として読み、実際の選定は自社の想定タスクで実測してください。
「mini」表記の混同|gpt-4o-mini・o4-mini・GPT-5 miniの違い
検索クエリではo4-miniとgpt-4o-miniを同じものとして扱う例が目立ちます。「4o」と「o4」は文字が入れ替わっているだけに見えますが、系統が違うモデルです。
gpt-4o-miniはGPT-4o系の非推論モデルで、プロンプトを受けて即座に応答を返します。o4-miniはo系の推論モデルで、応答前に内部で推論トークンを消費する設計です。OpenAIのモデルページはo4-miniを「Fast, cost-efficient reasoning model, succeeded by GPT-5 mini」と説明しており、後継はGPT-5 miniだと明示されています。コンテキストは200,000トークン、最大出力は100,000トークンで、料金は入力$1.10・出力$4.40とgpt-4o-miniの7倍前後です。
そして終了スケジュールが逆になっています。o4-miniは2026年10月23日でシャットダウンされ、代替はgpt-5.6-terraとされています。後継とされたgpt-5-mini-2025-08-07も2026年12月11日で終了予定です。「新しい型番のほうが長く使える」という前提は、この世代では成り立ちません。型番を指定するコードを書くときは、名前の新しさではなく廃止一覧の日付を確認してください。小型モデルというカテゴリ自体の整理は、SLMとは?小規模言語モデルの仕組み・LLMとの違いと実装判断を解説で扱っています。
後継モデルとの比較と移行判断
小型モデル8種の料金・コンテキスト比較
2026年8月6日時点でOpenAI APIから選べる小型から中型のモデルを、入力単価の安い順に並べます。金額は100万トークンあたりのUSD、終了予定はOpenAI直販APIのDeprecationsページ基準です。
| モデル | 入力 | キャッシュ入力 | 出力 | コンテキスト | 知識カットオフ | 終了予定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| gpt-5-nano | $0.05 | $0.005 | $0.40 | 400,000 | 2024-05 | 2026-12-11 |
| gpt-4.1-nano | $0.10 | $0.025 | $0.40 | 1,047,576 | 2024-06 | 2026-10-23 |
| gpt-4o-mini | $0.15 | $0.075 | $0.60 | 128,000 | 2023-10 | 告知なし |
| gpt-5.6-luna | $0.20 | $0.02 | $1.20 | 1,050,000 | 2026-02 | 告知なし |
| gpt-5-mini | $0.25 | $0.025 | $2.00 | 400,000 | 2024-05 | 2026-12-11 |
| gpt-4.1-mini | $0.40 | $0.10 | $1.60 | 1,047,576 | 2024-06 | 告知なし |
| o4-mini | $1.10 | $0.275 | $4.40 | 200,000 | 2024-06 | 2026-10-23 |
| gpt-5.6-terra | $2.00 | $0.20 | $12.00 | 1,050,000 | 2026-02 | 告知なし |
gpt-4o-miniの$0.15は最安ではありません。gpt-5-nanoの$0.05とgpt-4.1-nanoの$0.10が下にいます。ただしこの2つはそれぞれ2026年12月11日と2026年10月23日で終了予定です。廃止告知が出ていないモデルに限れば$0.15が最安という位置づけになり、これが2026年時点でgpt-4o-miniが生き残っている理由でもあります。
gpt-5.6-terraとgpt-5.6-lunaには条件が付きます。入力が272,000トークンを超えるプロンプトは、そのリクエスト全体が入力2倍・出力1.5倍で課金されます。105万トークンのコンテキストを額面どおり使うと単価が跳ね上がる仕組みです。GPT-5.6世代の3モデルの位置づけは、GPT-5.6とは|Sol・Terra・Lunaの3モデルと新機能・料金を実装目線で解説にまとめています。
キャッシュ利用の有無で逆転する実コスト
単価表だけでは判断を誤りかねません。プロンプトキャッシュを使うかどうかで、gpt-4o-miniとgpt-5.6-lunaの総額は逆転します。1リクエストあたり入力90,000トークン・出力500トークンの処理を10,000回実行する条件で計算します。
| 条件 | gpt-4o-mini | gpt-5.6-luna | gpt-5-nano |
|---|---|---|---|
| キャッシュなし | $138 | $186 | $47 |
| キャッシュあり(8割) | $78 | $42 | $11 |
キャッシュなしの場合、入力は9億トークンでgpt-4o-miniが$135、出力500万トークンが$3、合計$138です。gpt-5.6-lunaは入力$180と出力$6で$186となり、gpt-4o-miniが約26%安く済みます。キャッシュが8割ヒットすると、gpt-4o-miniはキャッシュ入力$60・新規入力$15・出力$3で$78、gpt-5.6-lunaは$16・$20・$6で$42となり、今度はgpt-5.6-lunaのほうが約46%安いという結果です。分岐点はキャッシュ入力単価の差で、gpt-4o-miniの$0.075に対しgpt-5.6-lunaは$0.02と3.75倍の開きがあります。
両シナリオとも最安はgpt-5-nanoです。ただし2026年12月11日で終了予定のため、4か月後には同じ計算をやり直すことになります。金額だけを見て選ぶと、コスト削減分が移行工数で消えかねません。固定のシステムプロンプトや長い参照文書を毎回同じ形で送る設計なら、GPT-5.6世代に移したほうが総額は下がります。逆に毎回入力が変わる一発勝負の処理では、gpt-4o-miniの安さが残ります。
残す条件と移行すべき条件
結論から言えば、2026年8月に新規案件でgpt-4o-miniを選ぶ理由はほとんどありません。知識カットオフが2023年10月で止まっている以上、2023年11月以降の事実は必ずプロンプト側で与える必要があり、コンテキストも128,000トークンとGPT-5.6世代の約8分の1です。Azure経由なら、そもそも新規サブスクリプションから選ぶことができません。
それでも残す判断が成り立つのは、次の2つの場合です。
- 既存の微調整済みモデルがあり、再学習のコストが移行メリットを上回る場合(Azureでは再学習が2027年4月1日より前に締め切られ、微調整済みモデルのデプロイも2027年10月1日で終了する)
- プロンプトキャッシュが効かない設計で、出力が数百トークン以下の処理を大量に回している場合
「本番稼働中で出力形式の再検証コストが高いから据え置く」という判断もよく聞きますが、これは移行の先送りであって残す理由ではありません。廃止告知は予告なく追加されるためです。OpenAIの猶予は最長で約1年(2025年9月26日告知・2026年9月28日終了)、多くは約6か月ですが、gpt-4o-mini-search-preview-2025-03-11のように告知から約3か月で消えた例(2026年4月22日告知・7月23日終了)もあります。四半期ごとの確認では取りこぼすため、月次で廃止一覧を確認する運用が要ります。
無料利用の可否|APIの従量課金とChatGPT側の扱い
OpenAI APIには無料枠がなく、gpt-4o-miniも従量課金です。ただし単価が低いため、実額は小さく収まります。日本語で3,000字程度の文書を要約する処理を、1回あたり入力約3,500トークン・出力約600トークンとして1,000回実行すると、入力$0.53と出力$0.36で合計およそ$0.9です。
ChatGPT側については、2024年7月18日の発表時点でFree・Plus・Teamの各プランに対しGPT-3.5と置き換わる形で提供が開始され、Enterpriseは翌週からとされていました。その後ChatGPTのモデル構成は世代交代しています。OpenAIはChatGPTで選択できるモデルを型番単位では公表していないため、現在の選択肢にGPT-4o miniが残っているかを公式ドキュメントで確認することはできません。確実に言えるのは、ChatGPTで使われていたchatgpt-4o-latestスナップショットが2026年2月17日にAPIから廃止され、代替がgpt-5.1-chat-latestとされたことです。2026年8月時点でgpt-4o-miniを型番指定して使う想定なら、API経由が前提になります。API利用の全体像はChatGPT APIとは?できること・料金の仕組み・使い方と企業導入の判断基準を解説で解説しています。
よくある質問
ChatGPTの無料プランでGPT-4o miniは使えますか?
2024年7月18日の発表時点では、ChatGPTのFree・Plus・TeamでGPT-3.5と置き換わる形で提供が始まりました。ただしOpenAIはChatGPT側で選択できるモデルを型番単位で公表していないため、2026年8月時点で選択肢に残っているかは公式ドキュメントから確認できません。型番を指定して使う前提であれば、API経由になります。
o4-miniとgpt-4o-mini、どちらを選ぶべきですか?
2026年8月時点ではo4-miniを新規に選ぶ理由がありません。2026年10月23日でシャットダウンされ、代替はgpt-5.6-terraとされているためです。応答前に推論の過程が必要なタスクならGPT-5.6世代へ、即答型で足りるならgpt-4o-miniを含む非推論モデルへ、という切り分けになります。
GPT-4o miniとGPT-4.1 miniはどちらを選ぶべきですか?
長い文書を扱うならGPT-4.1 miniです。コンテキストが1,047,576トークンと8倍以上あり、最大出力も32,768トークンと倍になります。料金は入力$0.40・出力$1.60でGPT-4o miniより高くなるため、入力が短く出力量が読める処理ではGPT-4o miniのほうが安く収まります。新規に組むのであれば、どちらでもなくGPT-5.6世代を第一候補にしてください。
GPT-4o miniのパラメータ数は公開されていますか?
非公開です。OpenAIは発表時からモデルサイズを明かしておらず、公式ドキュメントのモデルページにもパラメータ数の項目自体がありません。他社の小型モデルとサイズで比較する根拠は、公開情報の範囲には存在しません。
GPT-4o miniで音声や動画は扱えますか?
基本モデルでは扱えません。入力はテキストと画像、出力はテキストのみです。2024年の発表では音声や動画への対応が将来的な予定として示されていましたが、基本モデルには追加されず、音声はgpt-4o-mini-audio、Realtimeはgpt-4o-mini-realtimeという別型番として提供されました。その2つも2027年1月20日で終了予定です。