GPT-4.1は、OpenAIが2025年4月14日(日本時間15日)にAPI向けに公開した非推論モデルです。コンテキスト上限(入力と出力の合計)は1,047,576トークン、指示に字義どおり従う性質が強く、上位のGPT-4.1と下位のmini・nanoの3モデルで構成されています。
公開から1年半がたち、提供状況は経路ごとに分かれました。ChatGPTでは2026年2月13日に選べなくなり、APIでもnanoだけが2026年10月23日に停止します。この記事では、3モデルの違いと料金、経路ごとの終了日、使い続けるか移るかの判断を公式情報で整理します。
まとめ:GPT-4.1の要点と2026年10月時点の扱い
- GPT-4.1は推論ステップを持たないモデルで、GPT-4oよりコーディングと指示追従が強い(SWE-bench Verified 54.6%、GPT-4oは33.2%)。
- 3モデルともコンテキスト上限(入力と出力の合計)は1,047,576トークンで、そのうち出力は最大32,768トークン、知識は2024年6月1日まで。違いは性能・単価・速度と対応ツールで、入力単価は1Mトークンあたり4.1が2ドル、miniが0.4ドル、nanoが0.1ドル。nanoはWeb検索ツールに対応しない。
- ChatGPTでは2026年2月13日にGPT-4.1とminiの提供が終わった。OpenAI APIではGPT-4.1とminiは停止日が告知されておらず、nanoは2026年10月23日に停止する。
- Azure OpenAIは別日程で、GPT-4.1とminiの退役日は2027年4月14日、nanoは2026年10月14日。
- nanoを使っているなら移行は必須。GPT-4.1本体は、微調整済みモデルを持っている場合や、推論なしの低遅延で長文を読ませる用途なら当面は残す理由がある。
GPT-4.1の位置づけ:API専用で出た非推論モデル
GPT-4.1は公開時、OpenAIが「APIでのみ提供する」と明言したモデルです。ChatGPTには2025年5月14日に追加され、Plus・Pro・Teamのモデル選択で選べるようになりました。同じ日にGPT-4.1 miniが無料ユーザーを含む全員向けにGPT-4o miniを置き換えています。その後、2026年2月13日にGPT-4oやo4-miniと一緒にChatGPTから退役しました。
APIでは、GPT-4.1の公開と同時にGPT-4.5 Previewの停止(2025年7月14日)が告知されました。OpenAIは、多くの能力でGPT-4.1が同等以上の性能をはるかに安く出せることを理由に挙げています。GPT-4系の中での位置関係はChatGPT-4.0とは?GPT-4系5系統と2026年の提供状況で整理しています。
GPT-4oからの変更点:公式ベンチマークの数値
発表時の公式ベンチマークでは、GPT-4.1はGPT-4o(2024-11-20版)をコーディング・指示追従・長文の3領域で上回りました。
| 評価 | 測るもの | GPT-4.1 | GPT-4o |
|---|---|---|---|
| SWE-bench Verified | 実リポジトリの不具合修正 | 54.6% | 33.2% |
| MultiChallenge | 複数ターンの指示追従 | 38.3% | 27.8% |
| IFEval | 検証可能な形式指示 | 87.4% | 81.0% |
| OpenAI-MRCR(2 needle・128k) | 長文中の同種情報の取り分け | 57.2% | 31.9% |
| Video-MME(長尺・字幕なし) | 30〜60分の動画理解 | 72.0% | 65.3% |
出典:Introducing GPT-4.1 in the API(OpenAI)
SWE-bench Verifiedの54.6%は、OpenAIの環境で動かせなかった500問中23問を除いた値で、これを0点として数えると52.1%になります。最大出力もGPT-4oの16,384トークンから32,768トークンに倍増し、ファイル全体を書き直す出力が途中で切れにくくなりました。
指示を字義どおりに読む性質とプロンプトの直し方
GPT-4.1で既存プロンプトをそのまま流すと、結果が変わることがあります。OpenAIのプロンプトガイドは、GPT-4.1が以前のモデルより「指示に厳密かつ字義どおりに従う」と説明しています。以前のモデルは書かれていない意図を汲み取って補っていたため、曖昧な指示で動いていたプロンプトほど差が出ます。
同じガイドでOpenAIは、期待と違う動きをしたときは望む挙動を1文で明確に書き足せば、ほとんどの場合は修正できるとしています。一方で出力は決まって同じになるわけではないため、評価セットで確かめながら調整を繰り返すことも求めています。ガイドが挙げる具体策は次のとおりです。
- エージェント用途では「作業を最後まで続ける」「推測せずツールで確かめる」「呼び出しの前後で計画を書く」の3種のリマインダーを入れる。社内のSWE-bench Verifiedで約20%向上した。
- ツール定義はプロンプト本文に書かず、APIの
toolsフィールドで渡す。 - 計画を明示的に書かせると、SWE-bench Verifiedの正答率が4%上がった。
- 長い資料を渡すときは、指示を資料の前と後ろの両方に置く。
GPT-4.1・mini・nanoの違い:仕様と料金
3モデルはコンテキスト上限・最大出力・知識の期限が共通で、差は性能・単価・速度と使えるツールです。料金は1Mトークンあたりのドル建てで、2026年10月6日時点の公式料金表から取っています。
| 項目 | GPT-4.1 | GPT-4.1 mini | GPT-4.1 nano |
|---|---|---|---|
| モデルID | gpt-4.1 | gpt-4.1-mini | gpt-4.1-nano |
| 入力/キャッシュ入力 | $2.00/$0.50 | $0.40/$0.10 | $0.10/$0.025 |
| 出力 | $8.00 | $1.60 | $0.40 |
| Batch(入力/出力) | $1.00/$4.00 | $0.20/$0.80 | $0.05/$0.20 |
| コンテキスト上限(入力+出力) | 1,047,576 | 1,047,576 | 1,047,576 |
| 最大出力 | 32,768 | 32,768 | 32,768 |
| Web検索ツール | 対応 | 対応 | 非対応 |
| OpenAI APIの停止日 | 告知なし | 告知なし | 2026年10月23日 |
出典:OpenAI API Pricing、GPT-4.1モデルページ
入力はテキストと画像で、出力はテキストのみです。音声や画像の生成はできません。旧来の解説にある「マルチモーダル機能の進化」は画像入力と長尺動画の理解に限った話です。また、128,000トークンを超える長文の入力でも単価は上がりません。代わりに、長文リクエストには別枠のレート上限があり、GPT-4.1のTier 1では毎分100リクエスト・200,000トークンです(通常枠は毎分500リクエスト・30,000トークン)。リクエスト数の上限は通常枠より低いため、長文を並列で大量に投げる処理は先に上限を確認してください。miniとnanoの長文枠はTier 1で毎分200リクエスト・400,000トークンです。
3モデルの選び分けの基準
OpenAIは、miniがGPT-4oと同等以上の性能を約半分の遅延で出し、費用を83%下げると説明しています。nanoは分類や入力補完のような短い処理向けです。公式付録の数表では、GPQA DiamondはGPT-4o miniの40.2%に対し50.3%と上回る一方、MMLUは82.0%に対し80.1%とわずかに下回り、Aider polyglotのコーディング評価は9.8%にとどまります。
- GPT-4.1:コード修正・差分出力・長い契約書や仕様書からの抽出など、間違いの手戻りが高くつく処理。
- GPT-4.1 mini:チャットボットや要約など、量が多く1件あたりの難度が中程度の処理。
- GPT-4.1 nano:ラベル付けや振り分けのような1回の出力が短い処理。ただし停止が決まっているので、新規の採用は避ける。
速度の目安として、OpenAIの初期測定では128,000トークンの入力で最初のトークンが返るまで約15秒、100万トークンでは約1分でした。nanoは128,000トークンでも多くの場合5秒未満です。100万トークンを入れられることと、対話で待てる速度で返ることは別だと考えてください。コンテキストの数え方と溢れたときの対策はコンテキストウィンドウとは?トークン上限の数え方と有効長・溢れ対策を実装者向けに解説にまとめています。
2026年10月時点の提供状況:提供経路別の終了日
GPT-4.1の「使える・使えない」は、ChatGPT・OpenAI API・Azure OpenAIで別々に決まっています。ある経路の終了告知が、別の経路の終了を意味するわけではありません。
| 経路 | GPT-4.1 | GPT-4.1 mini | GPT-4.1 nano |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 2026年2月13日に終了 | 2026年2月13日に終了 | 提供なし |
| OpenAI API | 提供中(停止日の告知なし) | 提供中(停止日の告知なし) | 2026年10月23日に停止 |
| Azure OpenAI | 非推奨・2027年4月14日に退役 | 非推奨・2027年4月14日に退役 | 2026年10月14日に退役 |
出典:OpenAI Deprecations、Microsoft Foundry Model retirement schedule、Retiring GPT-4o, GPT-4.1, GPT-4.1 mini, and OpenAI o4-mini in ChatGPT(OpenAI)
OpenAI APIで停止日が出ていないGPT-4.1とminiも、モデルページには「複雑なタスクにはGPT-5から始めることを勧める」と書かれています。一般提供モデルの停止は最低6か月前に告知される決まりなので、2026年10月6日時点で告知が無い以上、両モデルの停止は早くても2027年4月以降です。Azure側の段階の意味と自動アップグレードの扱いはAzure OpenAIのモデル廃止に備える方法で解説しています。
ファインチューニング済みGPT-4.1の扱い
GPT-4.1系は3モデルともファインチューニングに対応しており、学習単価は1Mトークンあたり25ドル(mini 5ドル、nano 1.5ドル)、微調整済みGPT-4.1の推論は入力3ドル・出力12ドルと標準の1.5倍です。ただし、OpenAIはファインチューニング基盤を縮小しており、新規ユーザーはすでに使えません。2026年7月2日からは、過去60日以内に微調整済みモデルで推論していない組織も学習ジョブを作れなくなりました。継続して使っている既存の利用者も、2027年1月6日以降は新しい学習ジョブを作れません。作成済みのモデルはベースモデルの停止まで推論に使えるため、微調整済みnanoは2026年10月23日に使えなくなります。
Azure OpenAIでは微調整済みモデルの退役が2段階で、GPT-4.1系3モデルとも学習の終了が2027年4月14日以降、デプロイの終了が2027年10月14日です。ただし、この学習期間の猶予は既存顧客だけが対象です。nanoの場合、ベースモデルとしてのデプロイは2026年10月14日に退役するので、微調整済みnanoのデプロイを持たない利用者は、その日以降nanoを使えません。
APIからGPT-4.1を呼び出す最小コード
GPT-4.1はResponses APIとChat Completions APIの両方で使えます。Python公式SDKでResponses APIから呼ぶ最小構成は次のとおりです。実行にはpip install openai、環境変数OPENAI_API_KEY、同じフォルダのcontract.txtが必要です。openai 2.48.0で引数がSDKに受け付けられ、リクエストが組み立てられるところまでは確かめていますが、実APIへの送信と回答の質は確かめていません。モデルIDは日付付きのスナップショットで固定すると、別名の解決先が変わっても挙動がずれません。
from openai import OpenAI
client = OpenAI() # 環境変数 OPENAI_API_KEY を読む
with open("contract.txt", encoding="utf-8") as f:
contract_text = f.read()
response = client.responses.create(
model="gpt-4.1-2025-04-14",
instructions="契約書から解約予告期間を抜き出し、該当する条番号を添えて1行で答える。",
input=contract_text + "\n\n解約予告期間は何日前までか。",
)
print(response.output_text)
GPT-4.1は推論モデルではないため、reasoningパラメータは渡しません。長い資料の後ろにも問いを置いているのは、先に紹介した「指示を前後の両方に置く」というガイドの推奨に合わせたものです。
GPT-4.1を使い続けるか、後継へ移るかの判断
公式が示すnanoの移行先はGPT-5.6 Lunaです。ただし後継は推論モデルなので、モデル名を差し替えるだけでは遅延と費用が変わります。
nanoからの移行:推論の既定値に注意
GPT-5.6 Lunaはreasoning.effortの既定がmediumで、推論トークンも出力として課金されます。nanoと同じく推論なしで速く返したいなら、noneを明示します。
response = client.responses.create(
model="gpt-5.6-luna",
reasoning={"effort": "none"},
input="次の問い合わせを「請求」「障害」「その他」のどれか1語で分類する:ログイン後に画面が真っ白になります",
)
print(response.output_text)
単価も上がります。272,000入力トークン以下の短文枠で、GPT-5.6 Lunaは入力0.2ドル・出力1.2ドルと、nanoの入力0.1ドル・出力0.4ドルに比べて出力が3倍です。公式の置き換え先ではありませんが、GPT-6 Lunaは短文枠で入力0.1ドル・出力0.5ドルとnanoに近い単価です。ただし両モデルとも272,000入力トークンを超えるとリクエスト全体が長文枠(入力2倍・出力1.5倍)になり、GPT-6 Lunaでも入力0.2ドル・出力0.75ドルです。長文で追加料金のかからないnanoから移ると、長い入力ほど差が広がります。
2026年10月6日時点で、OpenAI APIの停止日(10月23日)まで17日です。手元の分類・振り分けの正解データでnanoと移行先の正答率を並べ、あわせて応答時間とトークン課金額を比べてから切り替えてください。
GPT-4.1本体とminiを残してよい場合
次のどれかに当てはまるなら、GPT-4.1とminiを当面使い続ける理由があります。
- 微調整済みのGPT-4.1・miniを本番で使っている。OpenAIの料金表で微調整できるのはGPT-4.1系・GPT-4o系・o4-miniなどに限られ、GPT-5系以降へは同じ形で作り直せない。
- 推論なしの低遅延で、10万トークンを超える資料を毎回読ませている。
- 出力単価を抑えたい。GPT-4.1の出力8ドルに対し、GPT-6.1 Solは10ドル、GPT-5.6 Solは20ドル(キャンペーン価格)。
反対に、新しく作るシステムでGPT-4.1を選ぶ理由はほとんどありません。知識が2024年6月で止まっており、停止日がいつ告知されてもおかしくないからです。新規ならGPT-5.6以降から選び、評価で差が出なかった場合にだけGPT-4.1を候補に戻すのが安全です。後継の3モデルの違いはGPT-5.6とは|Sol・Terra・Lunaの3モデルと新機能・料金を実装目線で解説、同じ小型モデルの移行判断はGPT-4o miniとは?2026年8月の提供状況・料金と移行判断が参考になります。
よくある質問
GPT-4.1は今もChatGPTで使えますか?
使えません。ChatGPTでは2026年2月13日にGPT-4.1とGPT-4.1 miniの提供が終わりました。ChatGPT PlusなどのプランでGPT-4.1を選べたのは2025年5月から2026年2月までです。APIでは引き続き使えます。
GPT-4.1とGPT-4oの違いは何ですか?
GPT-4.1はコーディングと指示追従、長文の読み取りでGPT-4oを上回ります。SWE-bench Verifiedは54.6%対33.2%、コンテキスト上限(入力と出力の合計)は1,047,576トークン対128,000トークン、そのうち最大出力は32,768対16,384トークンです。API単価もGPT-4.1の方が安く、入力2ドル・出力8ドルに対しGPT-4oは2.5ドル・10ドルです。
GPT-4.1 nanoはいつまで使えますか?
OpenAI APIでは2026年10月23日に停止し、公式の置き換え先はGPT-5.6 Lunaです。Azure OpenAIでは2026年10月14日に退役します。微調整済みnanoは、OpenAI APIでは同じ2026年10月23日に停止し、Azure OpenAIでは既存のデプロイを2027年10月14日まで使えます。
GPT-4.1 miniのAPI料金はいくらですか?
1Mトークンあたり入力0.4ドル、キャッシュ入力0.1ドル、出力1.6ドルです。Batch APIでは入力0.2ドル・出力0.8ドルと半額になります。非プレビュー版のWeb検索ツールを使うと、1,000回あたり10ドルの呼び出し料金に加えて、取り込んだ検索結果が1回あたり8,000入力トークン分として固定で課金されます。
GPT-4.1は推論モデルですか?
推論モデルではありません。回答前に内部で思考を生成しないため、推論ステップの分だけ待ち時間が短くなります。段階的に考えさせたい場合は、プロンプトで手順を書かせることで代用できます。