GPT-5.2-Codexは、OpenAIがGPT-5.2をエージェント型のコーディング向けに調整したモデルです。2025年12月18日にCodexで提供が始まり、2026年1月14日にResponses APIでも使えるようになりました。ただしAPIからは2026年7月23日に削除済みで、OpenAIが示す代替は gpt-5.6-sol です。
この記事では、GPT-5.2-Codexの提供経緯と当時の仕様・料金を記録として整理し、まだ設定ファイルやコードに gpt-5.2-codex が残っている場合の移行手順を解説します。現行モデルの全体像はGPT-5.6のSol・Terra・Lunaの違い、Codexそのものの仕組みはCodexの概要と料金で扱っています。
まとめ:GPT-5.2-Codexの現状と移行の要点
- GPT-5.2-Codexは2026年4月22日に廃止が告知され、2026年7月23日にOpenAI APIから削除されました。推奨代替は
gpt-5.6-solです。 - 同じ日に
gpt-5-codex・gpt-5.1-codex・gpt-5.1-codex-maxも削除され、gpt-5.1-codex-miniの代替はgpt-5.6-terraとされています。 - ChatGPTサインインのCodex CLI 0.153.4で
gpt-5.2-codexを指定すると、別モデルへは自動で切り替わらず、HTTP 400のエラーで終了しました(2026年9月17日に実行)。 - 移行作業は、
config.toml・codex exec -mを使うスクリプト・APIコードの3か所からモデルIDを探して置き換えることです。 - 料金の単価は上がります。GPT-5.2-Codexは入力$1.75/出力$14(100万トークンあたり)でしたが、gpt-5.6-solは入力$4/出力$20です(少なくとも2026年11月21日まで適用されるキャンペーン価格)。
GPT-5.2-Codexの位置づけと提供の経緯
OpenAIの発表では、GPT-5.2-Codexは「GPT-5.2を、Codexでのエージェント型コーディング向けにさらに最適化した版」とされています。提供は有料ChatGPTユーザー向けのCodexが先で、APIは数週間後になりました。発表時点では「最も高度なエージェント型コーディングモデル」と説明されていましたが、2か月後にはGPT-5.3-CodexがAPIに加わっています。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年12月18日 | 発表。有料ChatGPTユーザー向けにCodexの全環境で提供開始 |
| 2026年1月14日 | Responses APIで gpt-5.2-codex を提供開始 |
| 2026年2月3日 | API向け推論基盤の最適化で約40%高速化(重みは変更なし) |
| 2026年2月24日 | 後継の gpt-5.3-codex がResponses APIに登場 |
| 2026年4月22日 | API廃止を告知 |
| 2026年7月9日 | GPT-5.6(Sol/Terra/Luna)がAPIに登場 |
| 2026年7月23日 | APIから削除(代替は gpt-5.6-sol) |
| 2026年9月3日 | GPT-6 AstraがAPIに登場 |
日付は、OpenAIの発表記事とシステムカード補遺(2025年12月18日付)、OpenAI APIのchangelogとdeprecationsページに基づきます。Codex版の後継についてはGPT-5.3-Codexの概要と主な特徴、ベースモデルのGPT-5.2についてはGPT-5.2の特徴と後継5.3/5.5との違いで扱っています。
GPT-5.2-Codexの改良点:長時間タスク・Windows・セキュリティ
発表記事で挙げられていたのは、コンテキスト圧縮(compaction)による長時間タスクへの対応、リファクタリングや移行のような大規模なコード変更での性能向上、ネイティブWindows環境での安定性向上、そしてサイバーセキュリティ能力の向上です。ベンチマークはSWE-Bench ProとTerminal-Bench 2.0で最高水準(state-of-the-art)と説明されています。後継GPT-5.3-Codexの発表記事に載った比較表では、GPT-5.2-Codex(xhigh)のスコアはSWE-Bench Pro(Public)56.4%、Terminal-Bench 2.0 64.0%で、GPT-5.3-Codexはそれぞれ56.8%、77.3%でした。
セキュリティについては、OpenAIのPreparedness Frameworkで「High」水準には達していないとしつつ、防御目的の専門家に招待制で強力なモデルを提供する「trusted access」の試験運用を並行して始めると書かれていました。現在の防御者向けの提供枠については、OpenAI DaybreakとGPT-5.5-Cyberで扱っています。
API提供時の仕様と料金の比較
GPT-5.2-CodexのAPIモデルページは削除後も参照できます。移行先との差が大きいのはコンテキスト長と料金です。表の単価は標準の値です。gpt-5.6-solとgpt-5.6-terraでは、入力が272,000トークンを超えるリクエストは全体が入力2倍・出力1.5倍の料金になります(Solは入力$8/出力$30、Terraは入力$4/出力$18)。また、キャッシュ書き込みは通常の入力単価の1.25倍です。
| 項目 | gpt-5.1-codex-max | gpt-5.2-codex | gpt-5.6-sol | gpt-5.6-terra |
|---|---|---|---|---|
| APIの状態 | 削除済み | 削除済み | 提供中 | 提供中 |
| コンテキスト長 | 400,000 | 400,000 | 1,050,000 | 1,050,000 |
| 最大出力 | 128,000 | 128,000 | 128,000 | 128,000 |
| 知識カットオフ | 2024年9月30日 | 2025年8月31日 | 2026年2月16日 | 2026年2月16日 |
| 入力($/100万) | 1.25 | 1.75 | 4 | 2 |
| キャッシュ入力 | 0.125 | 0.175 | 0.4 | 0.2 |
| 出力($/100万) | 10 | 14 | 20 | 12 |
モデルページによると、GPT-5.2-Codexの入力の上限(Maximum input tokens)は272,000トークンです。エンドポイントの対応表では、Responses API(v1/responses)だけが「Supported」で、Chat Completions APIやBatch APIは「Not supported」でした。推論の深さは low・medium・high・xhigh の4段階です。
gpt-5.6-solの単価は、2026年8月21日の改定で入力が20%、出力が33%下がった後の値です。OpenAIはこれをキャンペーン価格とし、「少なくとも2026年11月21日まで」と期限を示しています。コストを見積もるときは、期限後に値上がりする可能性も含めてください。
2026年7月23日のAPI削除と推奨代替
OpenAIのdeprecationsページには、2026年4月22日に告知した「Legacy GPT model snapshots(July 2026 shutdown)」の表があり、GPT-5.2-Codexも含まれています。停止日時点で、これらのモデルにはアクセスできなくなりました。
同じ日に削除されたCodex系モデル
| 削除されたモデルID | 公式の代替 |
|---|---|
gpt-5-codex |
gpt-5.6-sol |
gpt-5.1-codex |
gpt-5.6-sol |
gpt-5.1-codex-max |
gpt-5.6-sol |
gpt-5.1-codex-mini |
gpt-5.6-terra |
gpt-5.2-codex |
gpt-5.6-sol |
告知から削除までは3か月でした。deprecationsページは、一般提供モデルでは少なくとも6か月前、Codex版のような派生モデルでは少なくとも3か月前に告知するとしています。Codex系モデルは、一般提供モデルより短い期間で入れ替わる前提で扱う必要があります。
gpt-5.3-codexのAPIとChatGPTサインインでの提供差
2026年9月17日時点で、gpt-5.3-codex はAPIのdeprecationsの表に載っておらず、モデルページも公開されています。一方、Codexのモデル案内には「ChatGPTでサインインした場合、gpt-5.2 と gpt-5.3-codex はすでに非推奨」と書かれています。同じモデルIDでも、APIとChatGPTサインインのCodexでは扱いが違う点に注意してください。
ChatGPTサインインのCodexで指定したときの挙動
Codex CLI 0.153.4(ChatGPTアカウントでサインイン)で、同じ指示を3つのモデルIDに対して実行しました。実行日は2026年9月17日です。
$ codex exec -m gpt-5.2-codex --skip-git-repo-check -s read-only "Reply with exactly: OK"
warning: Model metadata for `gpt-5.2-codex` not found. Defaulting to fallback metadata; this can degrade performance and cause issues.
ERROR: {"type":"error","status":400,"error":{"type":"invalid_request_error","message":"The 'gpt-5.2-codex' model is not supported when using Codex with a ChatGPT account."}}
| 指定したモデル | 結果 | 終了コード |
|---|---|---|
gpt-5.2-codex |
HTTP 400(not supported) | 1 |
gpt-5.3-codex |
HTTP 400(not supported) | 1 |
gpt-5.6-sol |
「OK」を返して完了 | 0 |
ポイントは、後継モデルへの自動切り替えが起きないことです。CLIはモデル情報が見つからないという警告を出したうえでリクエストを送り、サーバーから400が返って処理が止まります。夜間バッチやCIで codex exec を動かしている場合、終了コード1で失敗するだけなので、ログを見るまで原因に気づきにくくなります。
移行手順:モデルIDの検出と置き換え
残っているモデルIDの検出
まずリポジトリとホームディレクトリの設定から、削除済みのCodex系モデルIDを洗い出します。次のgrepは、.codex のような隠しディレクトリも含めて再帰的に検索します。
grep -rnE 'gpt-5(\.[0-9])?-codex' .
grep -nE 'gpt-5(\.[0-9])?-codex' ~/.codex/config.toml
検証用ディレクトリで実行すると、.codex/config.toml の model = "gpt-5.2-codex"、Pythonコードの model="gpt-5.1-codex-max"、シェルスクリプトの codex exec -m gpt-5.3-codex がすべて検出されました。このパターンは、Codexで現在も提供中の研究プレビュー gpt-5.3-codex-spark にも一致します。検出結果は1件ずつ確認してください。
Codexの設定ファイルとスクリプト
Codexはユーザー設定を ~/.codex/config.toml に、プロジェクト単位の上書きを .codex/config.toml に保存します。ChatGPTデスクトップアプリ・Codex CLI・IDE拡張は同じファイルを読みます。モデルは model キーで指定します。
# 変更前(削除済みのモデルIDなので無効化)
# model = "gpt-5.2-codex"
# model_reasoning_effort = "xhigh"
# 変更後
model = "gpt-5.6-sol"
model_reasoning_effort = "medium"
model を書かなければ、推奨モデルが自動で使われます。特定のモデルに固定する理由がないなら、行ごと削除するのも一つの方法です。公式は「GPT-5.5の推論レベルとGPT-5.6の推論レベルは完全には対応しない」としています。以前の xhigh をそのまま引き継がず、低めの設定から試して調整してください。プロファイルやカスタムエージェントの定義にもモデルIDを書ける点は、Codexのサブエージェントとconfig.toml設定で説明しています。
Responses APIのコード
APIで gpt-5.2-codex を呼んでいたコードは、model パラメータを gpt-5.6-sol に変えれば、同じResponses APIのまま呼び出せます。ただし、gpt-5.6-sol は2か月後にGPT-6 Astraが出た時点で最新ではなくなりました。モデルIDはコードに直接書かず、環境変数から読むようにしておくと、次にモデルを切り替えるときの修正箇所が1か所で済みます。
import os
from openai import OpenAI
MODEL = os.environ.get("OPENAI_MODEL", "gpt-5.6-sol")
client = OpenAI()
response = client.responses.create(
model=MODEL,
reasoning={"effort": "medium"},
input="このリポジトリの変更点をレビューしてください",
)
print(response.model, response.output_text)
このコードは、Python 3.14.6と openai パッケージ3.14.1で、ローカルのモックサーバーに向けて実行し、/v1/responses に model・reasoning・input が送られることを確認しました(実APIへの送信は未確認)。OPENAI_MODEL=gpt-5.6-terra を設定すると、送信されるモデルIDだけが変わります。ただし、切り替え先のモデルが対応する推論レベルやツールは異なる場合があります。モデルIDを差し替えたら、各モデルページで対応状況を確認してください。Responses APIの基本はResponses APIとChat Completions APIの違い、廃止に備えた運用はAzure OpenAIのモデル廃止に備える方法で扱っています。
Sol・Terra・Astraの選び分け:用途と単価
公式の代替は gpt-5.6-sol ですが、必ずしもSolを選ぶ必要はありません。Codexのモデル案内では、Solは複雑で曖昧な作業、Terraは日常的な作業、Lunaは結果が明確な定型作業、Astraは複数の工程にまたがる最も難しい作業に向くと説明されています。
- GPT-5.2-Codexに難しいリファクタリングを任せていた場合は、公式どおり
gpt-5.6-solに移行します。 - コードレビューや定型的な修正が中心で、コストを抑えたい場合は
gpt-5.6-terra(入力$2/出力$12)も候補です。出力単価はGPT-5.2-Codexより安くなります。 - 2026年9月3日に公開された
gpt-6-astraは、コンテキスト長が1,050,000トークンで、入力$10/出力$50と最も高価です。推論レベルのnoneには対応していません。単価だけで比べず、タスク単位のコストで評価してください。
どのモデルでも、移行後は同じタスクを数件流し、出力の差分と消費トークンを比べてから本番の設定を切り替えるのが確実です。
移行の落とし穴:エイリアス不在・認証方式の差・移行先の廃止
削除されたモデルIDの代わりに使えるエイリアスはありません。GPT-5.2-Codexのスナップショットは gpt-5.2-codex の1つだけで、日付付きの別名もありません。deprecationsページには、場合によっては営業窓口経由で専用キャパシティを確保し、停止後も使い続けられる可能性があるとの記載があります。ただし、通常のAPIキーで呼べる手段ではありません。
ChatGPTサインインとAPIキー認証で、廃止のタイミングが違う点にも注意が必要です。Codexのモデル案内によると、GPT-5.4とGPT-5.4 miniは2026年8月31日にChatGPTサインインのCodexから外れましたが、OpenAI APIと、APIキーで認証したCodexは対象外です。また、GPT-5.5は2026年10月14日にChatGPT・ChatGPT Work・Codexから外れる予定で、こちらもAPIは対象外です。チーム内でサインイン方式が混在していると、同じ config.toml で一部の人だけ失敗します。認証方式の違いについてはWindows版Codexのアプリ版とCLIの違いも参考になります。
もう一つは、公式が示す代替も長くは使えない可能性があることです。GPT-5.2-Codexは、API公開から削除まで約6か月でした。移行先のモデルIDと一緒に、そのモデル自体の廃止予定もdeprecationsページで確認しておきましょう。
よくある質問
GPT-5.2-Codexはまだ使えますか?
OpenAI APIでは使えません。2026年7月23日に削除されました。ChatGPTサインインのCodex CLI 0.153.4で指定しても、「not supported」というHTTP 400エラーで終了します(2026年9月17日に実行)。
GPT-5.2-Codexの移行先はどのモデルですか?
OpenAIのdeprecationsページでは、代替として gpt-5.6-sol が示されています。コストを優先するなら gpt-5.6-terra、最も難しい作業には gpt-6-astra も選べます。
移行すると料金はどう変わりますか?
100万トークンあたり、GPT-5.2-Codexは入力$1.75/出力$14、gpt-5.6-solは入力$4/出力$20です。solの価格は2026年8月21日に改定されたキャンペーン価格で、少なくとも2026年11月21日まで適用されます。
GPT-5.2とGPT-5.2-Codexの違いは何ですか?
GPT-5.2-Codexは、GPT-5.2をCodexのようなエージェント型コーディング環境向けに調整した版です。システムカード補遺には、一般向けのチャットアプリには配備しないと書かれています。APIのモデルページでは、Responses APIだけが対応エンドポイントになっていました。
GPT-5.2-CodexのAPIのコンテキスト長はどれくらいでしたか?
コンテキスト長は400,000トークン(うち入力の上限は272,000トークン)、最大出力は128,000トークンでした。移行先のgpt-5.6-solは1,050,000トークンです。