Odooの評判を調べると、「安くて何でもそろう」という声と「日本では使いにくい」という声が同じ製品について並んでいます。どちらも事実ですが、前提にしている会社の規模、提供形態、作り込みの量が違います。この記事では、国内のレビューサイトに集まった口コミの評価点と不満の中身を確かめたうえで、Odoo社の公式ドキュメントと料金ページから、それぞれのデメリットがどこから生じ、どこまで回避できるのかを整理しました。Odoo ERPを候補に入れている担当者が、自社で同じ不満が出るかを判定できる形にしています。
まとめ:Odooの評判は中小企業で高く、不満は日本対応と版上げに集中
国内のレビューサイトでの総合評価は5点満点で4.0、投稿者の多くは中小企業です。複数業務を1つのデータベースで扱える点、操作が直感的な点、ライセンス費用の安さが評価を支えています。
不満は製品の欠陥というより、日本向けの対応と運用体制の不足から出ています。具体的には、日本語の資料と公式サポート、国内の帳票様式と給与計算、電子帳簿保存法への備え、そして3年で終わる標準サポートとそれに伴う版上げの5つです。このうち帳票と給与計算は運用の分担で回避できます。版上げは、担当者を置けない会社では回避できません。
判断の目安は単純です。標準機能に業務を寄せる方針を取れて、版上げを誰が担うかを契約前に決められるなら採用してよい製品です。どちらも決められないまま作り込みを増やすなら、見送るほうが安く済みます。
Odooの評判を口コミサイトの評価点と良い評価の中身から確かめる
評判を判断材料にする前に、誰がどの条件で書いた評価なのかを確認しておきます。
ITreviewの総合評価4.0と14件の内訳、中小企業に偏る投稿者の規模
法人向けレビューサイトのITreviewのOdoo製品ページでは、2026年11月8日時点で総合評価4.0、レビューは14件です。分布は5.0が2件、4.0〜4.5が10件、3.0〜3.5が2件で、2.0以下はありません。
投稿者の規模は中小企業9件、中堅企業4件、大企業1件です。評価4.0は「中小企業が使った場合の評判」と読むのが妥当で、数千人規模の会社に当てはめる根拠にはなりません。14件という母数も、統計として扱うには小さい数字です。
良い評判に多い一元管理と操作性・費用の評価が成り立つ前提条件
良い評価で目立つのは、メールや添付ファイルが販売・会計などの各アプリに集まり検索しやすいこと、スマートフォンアプリに近い操作感、そして他製品より低いライセンス費用です。会計・販売・在庫・購買をモジュール単位で選べる点や、データの入出力のしやすさを挙げる声もあります。
これらの評価には共通の前提があります。標準機能の範囲で業務を回していることです。一元管理の効果は、販売から会計までを同じOdooで動かして初めて出ます。費用の安さも、作り込みが少ないうちの話です。良い評判を自社に当てはめるときは、この前提を満たせるかを先に確かめてください。
Odooのデメリットとして挙がる不満と、日本企業で起きる発生源の切り分け
口コミの改善要望を並べると、日本向けの対応と費用に関するものが大半を占めます。発生源ごとに分けると、回避できるものとできないものが見えてきます。
日本語の資料が少ない不満と、英語など4言語のみの公式サポート窓口
「公式マニュアルや導入初期の説明資料が足りない」「日本語の情報が少ない」という指摘は、ITreviewの口コミに繰り返し出てきます。画面は日本語に切り替えられますが、公式ドキュメントの多くは英語が原文です。
公式サポートの対応言語も確認しておくべき事実です。Odooの料金ページには、平日24時間のメールサポートを英語・フランス語・スペイン語・オランダ語で提供すると書かれています。日本語は含まれていません。社内の利用者が日本語で問い合わせたいなら、国内の導入パートナーと保守契約を結び、一次窓口を任せる体制が前提になります。
日本の帳票様式とのずれと、Odoo 20で入った中小会計要領準拠の範囲
「帳票が日本式のレイアウトにならない」「日本の税務対応が足りない」という不満もあります。会計については、改善が進んでいる状況です。Odoo 20のリリースノートは日本向けに、貸借対照表と損益計算書を中小会計要領に準拠させたこと、勘定科目表をe-Taxのコード体系に合わせたこと、消費税レポートで積上げ・割戻し計算に対応したことを挙げています。
一方で、請求書・納品書・見積書の様式は会社ごとの慣習に左右されます。標準の様式で取引先が受け取ってくれるかを、導入前に数社分の実物で照合してください。照合で合わない帳票が10種類を超えるなら、帳票の作り込みが見積もりの大きな割合を占めます。
給与計算と年末調整がOdooで完結しない問題と、国内給与ソフトとの分担
Odoo 20.0の給与計算ローカライズの一覧に日本は載っていません。社会保険料の計算や年末調整を含む日本の給与計算は、標準機能では扱えないということです。
この不満は分担で回避できます。給与計算は国内の給与ソフトで行い、結果の仕訳だけをOdooの会計へ取り込む構成が現実的です。給与ソフト側の選び方は「年末調整システムとは?比較の観点と料金相場・個別開発の判断基準」で扱っています。Odooで給与まで1つにまとめたいという期待を持っているなら、その期待は捨てたほうが導入は早く進みます。
電子帳簿保存法への対応不足という指摘と、導入前に確かめる保存要件
口コミには「削除防止など電子帳簿保存法への対応が不十分」という指摘もあります。電子取引のデータを保存するには、改ざんを防ぐ「真実性」と、検索して表示できる「可視性」の要件を満たす必要があり、要件の詳細は国税庁の電子帳簿保存法関係のページで一問一答として公開されています。
Odooに請求書や領収書を保存する運用にするなら、取引日・金額・取引先での検索、訂正や削除の履歴の残し方を、導入パートナーに要件ごとに確認してください。システムで満たせない部分は、訂正削除の防止に関する事務処理規程で補う方法があります。規程の作り方は「事務処理規程とは?電子帳簿保存法の真実性要件を満たす作成方法」にまとめています。
ライセンス料が上がるという不満と、割引が12か月で終わる料金の仕組み
「ライセンス料が年々上がっている」という声の背景の1つは、料金ページの注記にあります。2026年11月8日に日本から表示した料金は、スタンダードプランが年払いで1ユーザー月28.50ドル、カスタムプランが51.90ドルです。割引価格(22.80ドルと40.90ドル)は、最初に契約したユーザー数に対して12か月間だけ有効と書かれています。
10ユーザーで計算すると、スタンダードプランの年額は初年度2,736ドル、2年目以降は3,420ドルで、約25%上がります。ユーザーを追加した分は割引の対象外です。予算は2年目の価格で組んでください。料金表の全体と費用の内訳は「Odooとは?オープンソースERPの機能・料金・Community版との違い」で整理しています。
カスタマイズと版上げに関する評判と、Odooの3年サポートの仕組み
「カスタマイズを多くするとアップデートで互換性に問題が出る」という口コミは、Odooのサポート方針から構造的に生じています。
標準サポートは3年でセキュリティ修正も3年まで、延長サポートは有償
Odooのサポート方針では、メジャー版ごとに公開から3年間が標準サポートです。延長サポートは追加料金がかかり、Odoo.shでは一部の版、オンプレミスでは全版が対象になります。セキュリティ更新は標準サポートの期間にしか提供されません。
| 版 | 公開 | 標準サポート終了 |
|---|---|---|
| Odoo 20.0 | 2026年9月 | 2029年9月(予定) |
| Odoo 19.0 | 2025年9月 | 2028年9月(予定) |
| Odoo 18.0 | 2024年10月 | 2027年9月(予定) |
| Odoo 17.0 | 2023年11月 | 2026年9月 |
2026年11月時点で、Odoo 17.0はすでに標準サポートを外れました。17.0で稼働している会社は、延長サポートの費用を払うか、版上げを計画するかの選択を迫られています。導入時に「3年後に版上げがある」と予定表に入れていなかった会社ほど、この時期に不満が出やすくなります。
Odoo Onlineで2年ごとの版上げが義務になる条件とカスタムモジュール不可
クラウド版のOdoo Onlineは、手間がかからない代わりに自由度が低い提供形態です。公式のアップグレード説明によると、メジャー版のデータベースは2年ごと、マイナー版は次の版が出た数週間後に版上げが義務になり、期限までに操作しなければ自動で実行されます。マイナー版は通常2か月ごとに出ます。
さらにOdoo Onlineの説明には、カスタムモジュールやApps Storeのモジュールとは互換性がないと明記されています。Onlineを選んだあとで「コードで機能を足したい」となると、Odoo.shかオンプレミスへの移行から始めることになります。Onlineは、Studioの設定で収まる会社向けの選択肢です。
アップグレード保証の対象外になる自社開発モジュールと改修費の見込み
Enterprise版の契約者は、標準モジュールのアップグレードを追加費用なしで受けられます。対象外になるのは、保守契約のない自社開発やパートナー開発のモジュール、既存データと設定の整理、新しい版の操作研修です。カスタムモジュールを含むデータベースは、対象の版に対応したモジュールが用意されるまで版上げできません。
つまり作り込みの量は、そのまま版上げのたびの改修費を左右する要因です。見積もりの段階で、カスタムモジュールごとに次の版への移行作業を何人日と見込むかを出してもらうと、5年間の総額を比べられます。具体的な追従の手順は「Odooカスタマイズの実装手順:継承モジュールの書き方とOdoo 20への追従」で解説しています。
導入パートナー依存という評判の中身と、依頼先に確かめる契約上の項目
口コミでは「パートナーの力量に依存する」という評価もよく見かけます。日本語サポート、帳票、法令対応、版上げのいずれも、国内では導入パートナーが埋める部分だからです。
パートナーが担う作業範囲と、料金プランに含まれない4つの費用項目
料金ページは、プランに含まれないものとして、Odoo.shのホスティング費用、導入支援サービス、AIによる請求書スキャンなどのアプリ内課金、カスタムコードの保守管理を挙げています。このうち導入支援とカスタムコードの保守は、国内ではパートナーとの契約で賄う部分です。
評判の差はここで生まれます。導入までしか請け負わない会社に任せると、3年後の版上げで改修できる人がいなくなります。提案を受けるときは、カスタムモジュールのソースの所有者、版上げ作業を保守契約に含めるか、日本語の問い合わせ窓口を誰が持つか、の3点を契約書の文言で確認してください。既存の会計ソフトや販売管理とつなぐ場合は「ERP連携とは?連携先別の設計とAPI上限から決める方式選定」も判断材料になります。
Odooを採用してよい会社と見送るべき会社を口コミの不満から判定する
ここまでの不満を、回避の手段と回避後に残るリスクで並べ直します。
口コミに出る不満7項目を回避策と残るリスクで整理した導入判定表
| 不満 | 回避策 | 残るリスク |
|---|---|---|
| 日本語の資料が少ない | パートナーが手順書を作る | 作成費が見積もりに乗る |
| 日本語サポートがない | パートナーを一次窓口にする | 保守契約が切れると窓口も消える |
| 帳票が日本式でない | 帳票テンプレートを作る | 帳票の数だけ版上げ改修 |
| 給与計算ができない | 国内給与ソフトと分担 | 仕訳連携の設計が要る |
| 電帳法対応が不安 | 要件確認と事務処理規程 | 運用で守り続ける負担 |
| 2年目に料金が上がる | 割引前価格で予算化 | ユーザー追加分も定価 |
| 版上げで互換性が崩れる | 作り込みを減らす | 担当不在なら回避不能 |
7項目のうち6項目は、お金か運用の工夫で回避できます。回避策が「担当者を置くこと」以外にないのは、最後の版上げだけです。
採用してよい条件:標準に業務を寄せる方針と版上げの担当者の確保
次の2つを契約前に決められる会社には、Odooを勧めます。1つ目は、帳票と業務フローをできるだけ標準機能に合わせる方針です。業務を製品に寄せる進め方は「Fit to Standardとは」で解説しています。2つ目は、3年ごとの版上げを社内の誰か、またはどのパートナーとの保守契約で担うかです。
従業員が数十人規模で、販売・在庫・会計を別々のツールで回している会社なら、口コミで評価された一元管理の効果を得やすい条件がそろっています。中小企業がERPそのものを入れるべきかを先に判断したい場合は「中小企業のERP選び方と費用」を参照してください。
見送るべき場面:日本固有帳票の大量作り込みと保守要員不在の組み合わせ
見送るべきなのは、帳票や業務フローを現行どおりに再現する前提で、帳票テンプレートやカスタムモジュールを10本単位で作り、しかも社内にもパートナーにも版上げの担当がいない場合です。この組み合わせでは、3年後に標準サポートが切れた版に取り残されるか、延長サポートの費用を払い続けることになります。安いライセンス費用という評判の前提が崩れるため、国産パッケージや別のクラウドERPのほうが総額で安くなります。
操作性の不満を設定で解消する考え方は、他製品でも共通です。Microsoftの製品で同じ整理をした「Dynamics 365は使いにくいのか?不満の正体と設定で解消できる範囲」と比べると、Odooの不満が日本対応と版上げに偏っていることが分かります。自社で採用条件を満たせるかの判断から相談したい場合は、弊社の「Odoo導入支援サービス」で業務分析から保守までお受けしています。
よくある質問
Odooの評判やデメリットを調べている方から、よく出る質問に答えます。
Odooは日本の企業でも使われていますか?
使われています。Odoo社の公式サイトには顧客事例のページがあり、国を日本に絞ると国内企業の事例を確認できます。国内のレビューサイトITreviewにも14件のレビューがあり、投稿者は中小企業が9件、中堅企業が4件、大企業が1件です。ただし国内の利用者の声は海外に比べて少なく、評判の多くは英語のレビューサイトに集まっています。業種の近い事例を探す場合は、国内の導入パートナーが公開している事例も当たってください。
Odooの公式サポートは日本語で受けられますか?
公式の料金ページによると、Odoo社のメールサポートは英語・フランス語・スペイン語・オランダ語での提供で、日本語は含まれていません。利用者が日本語で問い合わせたい場合は、国内の導入パートナーと保守契約を結び、パートナーを一次窓口にする形が一般的です。この場合、保守契約の範囲に問い合わせ対応と版上げ作業が含まれるかを、契約前に確かめておいてください。
無料で使えるOdooでも評判どおりの効果は出ますか?
無料の使い方は2つあり、効果の出方が違います。Odoo Onlineのシングルアプリ無料プランは1つのアプリしか使えないため、複数業務の一元管理という評判の中心にある効果は得られません。オープンソースのCommunity版は全業務を自社運用で扱えますが、サーバーの運用と版上げをすべて自社で担うことになります。口コミで高く評価されているのは、有償プランで複数アプリを使っている会社の声が中心です。
Odooは大企業でも使えますか?
使えないわけではありませんが、国内の評判を根拠に判断するのは難しい状況です。ITreviewのレビューで大企業の投稿は14件中1件だけです。大企業では部門ごとの承認や帳票の要件が増え、カスタムモジュールが増えるほど3年ごとの版上げの改修量も増えます。大企業で検討する場合は、評判ではなく、自社の要件のうち標準機能で満たせる割合と、版上げを担う体制の有無で判断してください。
Odooのバージョンアップは毎年しなければなりませんか?
提供形態によって違います。Odoo Onlineでは、メジャー版のデータベースは2年ごと、マイナー版は次の版の公開から数週間後に版上げが義務になり、期限を過ぎると自動で実行されます。Odoo.shやオンプレミスでは自分で時期を決められますが、標準サポートは各メジャー版の公開から3年で終わり、それ以降のセキュリティ更新は提供されません。少なくとも3年に1回は版上げを計画に入れておく必要があります。
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