不動産管理DXは、賃貸住宅の管理会社が入居者対応・巡回と修繕・家賃送金・オーナー報告を紙と電話からデータへ移し、少ない人数で多くの戸数を回せる体制へ組み替える取り組みです。仲介会社のDXと違い、管理会社には賃貸住宅管理業法が定める定期報告や金銭の分別管理といった記録の義務があり、ここを外してツールを入れると帳票作成のたびに転記が残ります。本記事では、管理業務のどこからデジタル化するか、法定義務から逆算したシステムのデータ項目、2026年2月の国の有識者会議とりまとめへの備え、既存の賃貸管理システムで足りる条件と個別開発に進む条件を順に整理します。
まとめ|不動産管理DXは法定の記録から逆算し、入居者対応から順に進める結論
管理会社のDXは、入居者からの連絡の受付記録を最初にデジタル化します。賃貸住宅管理業法の定期報告では、入居者の苦情について発生状況と対応状況をオーナーへ報告する義務があり、受付記録がそのまま報告書の材料になるためです。次に巡回・修繕の記録、最後にオーナー向けの送金明細と管理業務報告書の自動作成へ進みます。
システムに持たせるデータ項目は、法定義務から決めます。苦情は日時・申出者の属性・内容・対応状況の4項目、家賃は管理受託契約ごとに出入りを区別した帳簿、帳簿は事業年度末で閉鎖して5年保存。この3点を満たさないツールは、管理会社の基幹には据えません。
既製の賃貸管理システムで足りるのは、管理戸数が数百戸規模で、オーナー報告の様式をシステム標準に合わせられる会社です。入居者窓口・点検記録・オーナー向け画面をシステムの外で運用していて転記が毎月発生している会社は、賃貸管理システムを入れ替えず、つなぎ目だけを個別開発する構成を検討します。
不動産管理DXの対象範囲と、仲介中心の不動産DXとの業務構造の違い
家賃集金から改修工事まで、管理会社が日常的に回す8つの業務の全体像
国土交通省が2026年6月16日に内閣府消費者委員会へ提出した賃貸住宅管理業の説明資料は、賃貸住宅管理業務の主な流れを次の8項目で示しています。
- 家賃集金:家賃・共益費等の請求と集金
- 設備管理:共用部の照明や給排水設備の点検・交換、清掃、鍵の管理、消防設備の法定点検と消防署への報告書提出など
- クレーム処理:入居者からの連絡への対応、警備会社との提携
- 送金:毎月、家主の指定口座へ振込(滞納家賃の立て替えを含む)
- 契約更新手続き:賃貸借契約と家財保険の更新
- 退去手続き:退去受付と立会い検査
- 敷金精算:契約に基づく敷金の精算
- 改修工事:次の入居者募集への準備
同資料によれば、管理業務を業者に委託するオーナーは令和5年度で71.2%に達し、平成4年度の25.0%から大きく入れ替わりました。委託が増えるほど1社あたりの管理戸数とオーナー数が増え、8業務すべてで「誰に・いつ・何をしたか」の記録量が積み上がります。不動産管理DXの対象は、この8業務の記録と連絡の流れです。
仲介は案件単位、管理は物件・入居者・オーナーの3者台帳を何年も回す点
仲介のDXは、反響から契約までの数週間で完結する案件を速く回す取り組みです。管理は異なる業務構造です。1つの物件に入居者とオーナーが紐づき、入居から退去まで数年、管理受託契約はさらに長く続きます。台帳が3者にまたがり、しかも長期間更新され続ける点が、管理会社のシステム設計を難しくしています。
管理会社の業務は、オーナーから預かった資産を維持するPM(プロパティマネジメント)と、建物と設備を点検・清掃・修繕するBM(ビルメンテナンス)に分けて語られます。PMは送金と報告、BMは点検と修繕の記録が中心です。前掲の国交省資料では、登録業者の81.8%が受託管理のみを行い、サブリースとの併用は16.8%でした。本記事はこの受託管理の業務を前提にします。反響対応や内見を含む不動産会社全体の着手順は不動産DXの着手順と内製・外注の判断基準で扱っています。
賃貸住宅管理業法の義務から逆算する、管理システムのデータ項目と保存要件
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号、令和3年6月15日に登録制度が施行)は、管理戸数200戸以上の管理会社に国土交通大臣の登録を義務付けています。第1回有識者会議の主な検討事項(案)によると、登録件数は令和7年7月30日時点で9,987件。200戸未満で任意に登録した会社も令和7年5月時点で36.6%を占め、登録すれば戸数にかかわらず同じ規制を受けます。
年1回以上の管理業務報告書と、苦情記録に残す日時・属性・内容・対応状況
法第20条は委託者(オーナー)への定期報告を義務付け、同法施行規則第40条がその中身を定めています。管理受託契約を結んだ日から1年を超えない期間ごと、そして契約期間の満了後遅滞なく、管理業務報告書を作って交付し、説明しなければなりません。記載事項は、報告の対象期間、管理業務の実施状況、入居者からの苦情の発生状況と対応状況の3つです。
システム設計に直結するのは3つ目です。国交省の法の解釈・運用の考え方(令和5年3月31日改正版)は、苦情について発生日時・申出者の属性・苦情内容・対応状況を把握可能な限り記録し、報告するよう求めています。単純な問い合わせは記録義務の対象外ですが、苦情を伴う問い合わせは対象です。つまり受付の時点で「苦情か否か」を区分する項目が要ります。電話の受付メモをExcelに書き写している会社は、ここから着手するのが筋です。
委託者ごとに直ちに判別できる家賃台帳と、帳簿を閉鎖後5年保存する要件
法第16条は、預かった家賃・敷金・共益費を自社の財産と分けて管理するよう求めています。施行規則第36条の方法は、家賃等の口座を自社の口座と明確に区分したうえで、その金銭がどの管理受託契約のものかを帳簿で直ちに判別できる状態にすることです。帳簿には電磁的記録も含まれると明記されています。
法第18条の帳簿は、施行規則第38条で記載事項が6つに決まっています。委託者の名称、契約締結日、対象の賃貸住宅、受託した業務の内容、報酬の額、特約その他参考となる事項です。電子ファイルで持つことができ、各事業年度の末日に閉鎖して閉鎖後5年間保存します。
システムに置き換えると、入金消込の時点で「どの物件のどのオーナーとの契約か」を必ず紐づけ、年度で締めた帳簿データを5年以上消さずに残す、という2つの要件になります。入金データをオーナー単位でしか持たず、契約単位に分けられない会計ソフトだけで回している場合は、この要件を満たせません。
重要事項説明と報告書を電子で渡すときの承諾記録・改変確認・説明環境
管理受託契約の重要事項説明書(法第13条)、契約締結時の書面(第14条)、管理業務報告書は、いずれもオーナーの承諾を得れば電子で渡せます。条件は3つあります。承諾は電子メールやWebなど記録に残る方法で得ること、渡したファイルは出力して書面にでき、改変されていないか確認できること、そしてオーナーが後から電子での提供を断ったら、再び承諾を得るまで紙に戻すことです。
説明の方法にも、満たすべき条件の定めがある点に注意が必要です。解釈・運用の考え方は、重要事項説明をテレビ会議等で行う場合、映像と音声が十分に届き双方向でやりとりできること、説明書を事前に送っていること、開始前に相手の受信状態を確認していることの3点をすべて満たすよう求めています。管理業務報告書の説明方法は問わないとしつつ、双方向でやりとりでき、オーナーが内容を理解したことを確認するよう書いています。
要件に落とすと、オーナーごとに「電子提供の承諾日」と「撤回日」を持つ項目、PDFを改変検知できる形で保存する仕組み、説明を実施した日時と方法の記録が必要です。メールにPDFを添付して送るだけの運用では、撤回した人への紙の送付漏れを防げません。
業務管理者が監督する8事項と、システムで記録を残せる範囲の対応表
登録業者は営業所ごとに最低1名の業務管理者を置き、管理・監督させる義務があります(法第12条)。資料4は、施行規則第13条が定める監督事項を8つに整理しています。このうち7つは、システムに記録を残すことで監督の証跡になります。
| 監督事項 | 根拠 | システムに残す記録 |
|---|---|---|
| 重要事項説明と契約時書面 | 法第13条・第14条 | 説明日・説明者・交付方法・電子提供の承諾 |
| 維持保全の実施 | 規則第13条第3号 | 点検・修繕の実施日、写真、発注先 |
| 家賃等の金銭管理 | 法第16条 | 契約単位の入金消込、送金履歴 |
| 帳簿の備付け | 法第18条 | 帳簿6項目、年度閉鎖日、保存期限 |
| 定期報告 | 法第20条 | 報告書の対象期間・交付日・説明日 |
| 秘密の保持 | 法第21条 | 閲覧権限の設定、アクセス履歴 |
| 入居者の苦情処理 | 規則第13条第7号 | 苦情の日時・属性・内容・対応状況 |
| 大臣が定める事項 | 規則第13条第8号 | 施行時点で告示の予定なし |
表の右列が、管理システムに求めるデータ項目の最小セットです。製品を比較するときは、機能一覧ではなくこの7行の記録がどこに残るかを営業担当に確かめてください。残らない行は、別のツールか手作業で補うことになります。
入居者対応・巡回修繕・オーナー報告の3業務で、デジタル化する範囲と順番
入居者からの連絡窓口を1つにまとめ、苦情を報告書へ流す受付記録の設計
入居者からの連絡は、電話・メール・LINE・入居者アプリと経路が増えがちです。経路ごとに記録の置き場所が違うと、年1回の管理業務報告書を作る時点で苦情を拾い集める作業が発生します。最初にやるべきは、経路を問わず1件の受付を1レコードとして同じ台帳に入れることです。
受付レコードには、受付日時、物件と部屋、申出者の属性(入居者・近隣・オーナーなど)、内容、苦情か問い合わせかの区分、対応状況と完了日を持たせます。前章の解釈・運用の考え方が求める4項目に、区分と物件の紐づけを足した形です。苦情区分のレコードだけを対象期間と物件で抽出すれば、報告書の苦情欄がそのまま埋まります。入居者アプリで受付を自動化した管理会社の公表事例は不動産DXの事例と自社に当てはめる判断軸で紹介しています。
巡回点検と修繕の写真記録を、協力業者への発注と完了報告までつなぐ方法
BMの記録は、巡回の点検結果、修繕の発注、協力業者からの完了報告の3つに分かれます。紙の点検表とデジタルカメラの写真を事務所で突き合わせている会社は多く、写真がどの物件のどの箇所かを後から特定する手間が残ります。
スマートフォンで点検項目ごとに写真を撮り、物件・箇所・日時が自動で付く形にすれば、突き合わせ作業が不要になる仕組みです。不具合が見つかった項目から修繕依頼を起こし、協力業者が完了写真を同じレコードに返す流れにすると、発注から完了までが1本の履歴になります。この履歴は管理業務報告書の「管理業務の実施状況」欄の根拠であり、施行規則第13条第3号の維持保全の監督記録にもなります。
協力業者が10社を超え、各社がメールやFAXで完了報告を返してくる状態なら、業者側の入力画面を用意する価値があります。2〜3社なら、受付担当が写真を受け取って登録する運用で十分です。
月次の送金明細と年次の管理業務報告書を、同じ台帳データから出す構成
オーナーへの報告は、毎月の送金明細と年1回以上の管理業務報告書の2種類です。多くの管理会社は、送金明細を賃貸管理システムから、管理業務報告書をWordやExcelで別に作っています。後者の材料は入居者対応と点検・修繕の記録なので、前の2業務がデジタル化されていれば同じデータから自動で組み立てられます。
構成としては、入金消込・送金のデータ、苦情の受付レコード、点検・修繕の履歴の3つを物件と管理受託契約のキーで結び、対象期間を指定して報告書PDFを出力します。出力したPDFは改変検知ができる形式で保存し、交付日と説明日を記録します。オーナー向けのWeb画面で閲覧させる場合は、前章の電子提供の承諾が取れているオーナーだけに表示を限定してください。
管理会社が着手する順番4段階と、各段階で切り替える紙と電話の業務
3業務の依存関係から、着手順は次の4段階になります。
- 受付記録の一本化:電話メモと各経路の連絡を1つの台帳へ。苦情区分を必須項目にする
- 点検・修繕の記録化:紙の点検表と写真の突き合わせをやめ、スマートフォンで物件・箇所・日時付きの記録にする
- 入金と契約の紐づけ:入金消込を管理受託契約単位で行い、帳簿の年度閉鎖と5年保存を設定する
- 報告書の自動作成と電子交付:1〜3のデータから管理業務報告書を出力し、承諾済みのオーナーに電子で渡す
3段階目を先にやりたくなる会社もありますが、入金と契約の紐づけは既存の賃貸管理システムが標準で持っていることが多い機能です。システム導入済みなら1と2から始め、Excel管理の会社は3と1を並行で進めます。4は1〜3が揃うまで着手しません。
2026年2月の有識者会議とりまとめに見る、管理業務の見える化への備え
国土交通省は2025年9月5日に「賃貸住宅管理業のあり方の検討に係る有識者会議」を立ち上げ、2026年2月にとりまとめを公表しました。管理サービス内容の透明性、業登録制度の実効性、業務管理者の質の向上、管理業の地域貢献の4つの柱で対策を並べています。DXに関係するのは、透明性の柱の2つの対策です。なお、国が担う「DX等の業務効率化の支援措置の検討」は中長期的に対応する項目に分類され、2026年6月16日の国交省の説明資料でも具体的な制度は示されていません。
標準管理業務ガイドラインに備え、基本業務とオプション業務を台帳で分ける
とりまとめは、家主や入居者が管理料に含まれる業務内容を把握しにくいことを課題に挙げ、管理委託契約における基本業務とオプション業務の区別を明示した標準管理業務ガイドラインを業界団体が策定し、国が支援するとしています。速やかに対応する項目に分類されました。
2026年6月の国交省の説明資料の時点では、ガイドラインの具体的な中身は示されていません。それでも、管理受託契約ごとに「どの業務を基本料金で行い、どの業務を別料金にしているか」を台帳の項目として持っておけば、公表後の契約書や重要事項説明書の見直しを機械的に洗い出せます。業務内容を契約書のPDFの中にしか持っていない会社は、ガイドラインが出た時点で全契約を読み直すことになります。
評価制度の項目案から逆算して、今から記録しておく入居者対応と点検の実績
とりまとめは、賃貸住宅管理を客観的に評価する仕組みとして、業界団体主導で評価制度の創設に向けた検討を始めるとしました。制度創設に向けた論点の案には、評価項目として次のようなものが並んでいます。
- 業務内容の明示と、基本業務・オプション業務の区分に応じた費用の明記
- 標準管理業務ガイドラインの達成度(必須業務の実施状況)
- 建物性能・設備点検等の管理状況、防災対応(平時の備えと災害時の初動)
- 入居者対応(相談・トラブル対応、管理業者の顔の見える化)
- 賃貸住宅管理業の登録の有無、有資格者数
評価の手法や頻度、評価者は論点として並べられた段階で、制度の形は決まっていません。前掲の消費者委員会向け説明資料では、令和8年度から標準管理業務ガイドラインと評価制度の検討を進め、評価制度の運用開始は令和9年度以降という進め方が示されています。それでも項目案の多くは、第3章の受付記録と点検・修繕履歴を持っていれば数字で示せる内容です。評価制度が始まってから実績を集めても、過去の対応記録は遡れません。記録の仕組みを先に整えた会社ほど、制度開始時に有利な位置に立てます。
既存の賃貸管理システムで足りる管理会社と、連携部分の個別開発に進む条件
パッケージで足りる3条件:管理戸数・報告様式・協力業者とのやり取りの量
次の3条件をすべて満たす管理会社は、クラウド型の賃貸管理システムと周辺ツールの組み合わせで足ります。管理戸数が数百戸程度で営業所が1〜2か所であること。オーナー報告の様式をシステム標準の帳票に合わせられること。協力業者が数社で、完了報告を担当者が手で登録しても負担にならないことです。
この場合の判断は、第2章の対応表7行の記録がどのツールに残るかを確かめ、残らない行を減らす組み合わせを選ぶことに尽きます。賃貸管理システムの機能と種類は賃貸管理システムの機能・種類と選び方、ツール同士の連携方式の確認方法は業務別のツール分類と連携の確認項目で整理しています。
入居者窓口・点検記録・オーナー向け画面を個別開発で足す条件と構成
個別開発を検討するのは、次のいずれかに当てはまる会社です。管理戸数が数千戸を超え、受付記録を物件・契約と紐づける件数が手作業の限界を超えている。オーナー向けに独自様式の報告やWeb画面を約束していて、パッケージの帳票では応えられない。協力業者が多く、発注と完了報告のやり取りがメールとFAXに散らばっている。
この場合も、賃貸管理システム本体は入れ替えません。入金消込・送金・契約管理は既存システムに残し、その外側にある入居者窓口、点検・修繕の記録、オーナー向け画面の3つを作り、既存システムとはAPIかCSVで物件と契約のキーをつなぎます。本体を作り直すより範囲が狭く、法定帳簿のデータを既存システムに置いたまま進められる構成です。管理会社向けの入居者窓口やオーナー画面の開発は、一創の不動産ポータルサイトシステム開発で相談を受けています。
入居者アプリを先に入れて苦情記録が報告書に届かない失敗と、見送る場面
よくある失敗は、入居者アプリを先に導入し、アプリ経由の連絡と電話の受付メモが別々に残る形です。アプリの画面上は対応が早くなっても、管理業務報告書を作る段階で2か所から苦情を拾い集めることになり、作業は減りません。アプリを選ぶ前に、電話の受付も同じ台帳に入る設計になっているかを確認してください。
個別開発を見送るべき場面もあります。管理戸数200戸未満の未登録業者で、オーナーが数名、報告は対面で足りている会社は、受付記録をスプレッドシートで一本化するだけで十分です。繁忙期の1〜3月に窓口の切り替えを重ねる計画も延期します。受付の手順が変わる時期に入居者からの連絡が集中すると、記録漏れがそのまま報告書の欠落になるためです。
よくある質問
管理会社の担当者から寄せられやすい質問をまとめました。
不動産管理DXと不動産DXは何が違いますか?
不動産DXは、反響対応・内見・契約・管理を含む不動産会社の業務全体を対象にした言葉です。不動産管理DXはそのうち管理会社の業務、つまり入居者対応、巡回と修繕、家賃の集金と送金、オーナー報告に絞ったものを指します。管理会社には賃貸住宅管理業法による定期報告や分別管理の義務があるため、ツール選びの前に法定の記録をどこに残すかを決める点が、仲介中心のDXと大きく異なります。
管理戸数200戸未満でも賃貸住宅管理業法に合わせた記録は必要ですか?
管理戸数200戸未満の会社に登録義務はありません。ただし任意で登録した場合は、戸数にかかわらず業務管理者の配置、重要事項説明、分別管理、定期報告などの規制を受けます。令和7年5月時点では登録件数の36.6%が任意登録でした。未登録でも、苦情の受付記録と契約単位の家賃台帳を持っておけば、将来の登録や戸数の増加に備えられます。
管理業務報告書はメールやWebで送ってもかまいませんか?
オーナーの承諾を得れば電子で提供できます。承諾は電子メールやWebなど記録に残る方法で取ります。提供するファイルは、出力して書面にでき、改変されていないか確認できる形式が条件です。オーナーが後から電子での提供を断った場合は、再び承諾を得るまで書面に戻す必要があります。説明の方法は問われませんが、双方向でやりとりでき、オーナーが内容を理解したことを確認する環境を整えてください。
不動産管理DXに使える国の支援措置はありますか?
2026年2月の有識者会議とりまとめでは、国がDX等を通じた業務効率化の支援措置を検討するとしています。ただし中長期的に対応する項目に分類されており、2026年6月の国交省の説明資料の時点でも、管理会社向けの具体的な支援制度は示されていません。補助金を前提に計画を立てるのではなく、受付記録の一本化のように少額で始められる段階から着手し、制度が出た時点で後段の開発に充てる順番が現実的です。
分譲マンションの管理会社にも同じ考え方は使えますか?
記録を一本化してから報告書を自動で作るという順番は使えます。ただし分譲マンションの管理業務は、賃貸住宅管理業法ではなく「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の対象で、管理組合への報告の相手と様式が異なります。本記事の対応表は賃貸住宅管理業法の義務を前提にしているため、分譲マンションでは同法の報告事項に置き換えて項目を決めてください。
関連記事
- 不動産の契約書管理システム|賃貸借の期日設計と保存義務、賃貸管理システムとの分界:管理受託契約や賃貸借契約の期日管理と保存をシステムで扱う方法を整理しています。
- 不動産の電子契約とは?宅建業法35条・37条書面の電子交付要件と実務フロー【2026年時点】:賃貸借契約の電子交付の要件を確認できます。
- IT重説とは?宅建業法の実施要件と賃貸・売買の違い、対応システムの要件まで解説:入居者向けのオンライン重要事項説明の要件をまとめています。
- 不動産業務支援システムとは?種類・機能の全体像と比較の判断軸、内製外注の見極め:管理以外も含めた業務システムの種類を比較できます。
- 不動産の顧客管理システム(CRM)とは?反響管理・追客・物件連携の機能と汎用型・特化型・開発の選び方:仲介側の顧客管理と管理側の台帳の違いを確認できます。