SMILE Vは、大塚商会の100%子会社である株式会社OSKが開発する基幹業務パッケージです。販売・会計・人事給与を同じ基盤で扱い、グループウェアのeValue Vとつないで使えます。検討の初期に決めるべきは、機能の多さではありません。クラウド版のSMILE V Airとオンプレミス版のSMILE V 2nd Editionのどちらを選ぶかで、ライセンスの上限とカスタマイズの可否が変わります。公式資料で確認できる製品の系譜、2形態の差、動作環境、費用の構造、標準機能の外側をどう作るかを順に整理します。
まとめ:SMILE Vが噛み合う企業と、Airか2nd Editionかを決める2つの条件
結論から書きます。SMILE Vが噛み合うのは、国内中心の中小・中堅企業が、販売と会計、給与と会計のあいだの二重入力を断ちたい場面です。業種別製品が自社の業種にあるなら、標準機能で収まる範囲はさらに広がります。
形態の選び分けは2つの条件で決まります。1つ目は利用者の数。Airはアカウント数でライセンスを数え、上限は50です。2つ目は独自の作り込みが要るかどうか。OSKの機能比較資料では、Airのカスタマイズは「×」とされています。50名を超える見込みがある、または標準にない帳票や画面を足したいなら、2nd Editionを前提に見積りを組むほうが手戻りは少なくなります。
費用は公式サイトに価格表がなく、問い合わせで決まります。販売パッケージ各社の価格公開状況を横断で見たい場合は、ERPパッケージ製品とは?主要6製品の比較・価格公開状況とSAP保守期限が比較の起点になります。
SMILE Vの製品構成と、開発元OSK・販売元大塚商会という提供体制
製品の輪郭を先に押さえます。カテゴリとしての基幹システムの定義は基幹システムとは?業務システム・ERPとの違いと構成領域・刷新の進め方を解説で整理しました。ここではSMILE V固有の中身に絞ります。
大塚商会100%子会社のOSKが開発し、2017年に発売された製品の系譜
開発元の株式会社OSKは1984年設立。OSKの会社概要には、資本金4億円、従業員数444名(2026年4月現在)、株式構成は株式会社大塚商会100%と記載されています。主要取引先には大塚商会のほか、リコージャパンや日本電気なども並びます。
製品名は世代ごとに変わってきました。OSKの会社沿革から、検討に関わる節目を抜き出します。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2007年 | ブランド名を大塚商会からOSKに一本化 |
| 2008年 | 基幹業務システム「SMILE BS」を発売 |
| 2013年 | 「SMILE BS 2nd Edition」を発売 |
| 2017年 | 次世代基幹業務システム「SMILE V」を発売 |
| 2021年 | クラウド版「SMILE V Air」を開始 |
| 2021年 | API連携開発パートナー制度を開始 |
| 2022年 | 「SMILE V 2nd Edition」を発売 |
2019年にSMILEシリーズは発売40周年を迎えています。社内でいま「SMILE」と呼ばれているシステムがどの世代かは、画面のタイトルか保守契約書で確かめてください。BS世代のまま動いているなら、製品選定より先に、サーバーOSとデータベースのサポート期限を確認するのが先決です。
販売・会計・人事給与にCTIと業種別製品が加わるモジュールの範囲
OSKのSMILE V製品ページに並ぶモジュールは、販売、会計、人事給与、ノーコード開発ツールのCRM QuickCreator、CTI、業種別製品の6区分です。販売は見積から受注・出荷・請求・入金まで、人事給与は給与・賞与計算と社会保険・年末調整を扱います。
業種別製品の幅は、他の中小企業向けパッケージと比べたときの差になります。生産管理の「生産革新」シリーズ(組立・配合・加工など)、運送業、アパレル業、食品卸売業、鋼材卸業、建材・木材卸売業、レンタル業、建設業の原価管理と見積管理まで並びます。注意点はCTIがオンプレミス版のみの提供であること。業種別製品も製品ごとに提供形態が違うため、クラウドを選ぶ前に自社が使う製品の形態を確かめます。
制度対応の裏付けも公開されています。2020年にSMILE V 販売が中小企業共通EDI認証を、2024年にSMILE V 2nd EditionとSMILE V Air 会計がJIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証を取得しました。
グループウェアのeValue Vと同じ基盤で動く基幹系・情報系の連携
SMILE Vの性格を決めているのは、情報系のeValue Vと同じ会社が作っている点です。DX統合パッケージ SMILE&eValueの製品ページでは、基幹業務・グループウェア・営業支援ツールを同一基盤で連携させる構成が説明されています。
具体例として、ワークフローで承認された経費から仕訳が自動作成され、証憑と紐づけて保存されます。販売で発行した請求書PDFはドキュメント管理に自動保存。申請・承認の機能を使うにはeValue ワークフローとの連携が要るため、ワークフローを別製品で持っている会社は、どちらに寄せるかを先に決めておく必要があります。
SMILE V Airと2nd Editionの違い:ライセンス上限とカスタマイズ可否
2形態の差は「クラウドかオンプレミスか」という一般論では片付きません。導入形態の一般的な判断軸は基幹システム・ERPはクラウドかオンプレミスか:SaaS・IaaS・自社運用の違いと選び方にまとめています。ここではSMILE V固有の制約に絞ります。
アカウント数で数えるAirの上限50と、利用人数で数える2nd Edition
製品ページのよくある質問に、数え方の違いが明記されています。オンプレミス版は「利用人数」で数えるため、1名が管理者用と利用者用の2アカウントを持っても1ライセンスで足りる仕組み。Airは「アカウント数」で数えるため、作ったアカウントの数だけライセンスが要ります。
上限も違います。オンプレミス版はシステム上の制限がなく、Airは最大50ライセンスで、これを超える契約はできません。部署共用のアカウントや退職者の削除漏れまで含めると、実際の在籍者より多くのアカウントが要ることもあります。3年後の人数で50に近づくなら、Airは候補から外れます。
Airで使えない機能:カスタマイズ・複数会社管理・業種ソフト連携
見落とされやすいのが機能の差です。OSKが公開しているオンプレミス版・クラウド版の主な機能等比較(PDF・2025年11月時点)から、選定に効く項目を抜き出します。
| 項目 | 2nd Edition | Air |
|---|---|---|
| カスタマイズ | 可 | 不可 |
| 複数会社管理 | 可 | 2社まで(ライトパックは1社) |
| 会社統合機能 | 可 | 不可 |
| 複写用紙・連続用紙の利用 | 可 | 不可 |
| POWER見積の販売連携CABサンプル | 可 | 不可 |
| 人事情報複数社管理オプション | 可 | 不可 |
グループ会社3社以上をまとめて管理したい企業、ドットプリンターの複写伝票を取引先に出している企業は、この表だけでAirが外れます。同じ資料の注記によれば、オンプレミス版の業種ソフトやテンプレート製品、アドオン製品は一部を除きクラウド版と連携できません。2nd Editionからの乗り換えで業種ソフトを使い続ける前提なら、Airへの移行は製品単位で可否を確認してからにします。
Airでも業務画面はWindowsのクライアントアプリで使う前提
Airという名前から、ブラウザだけで使うSaaSを想像すると判断を誤ります。製品ページの推奨環境では、SMILE V Airのブラウザ対応は販売の自由帳票ブラウザ実行機能のみ。業務画面はWindows 11 ProかEnterpriseのクライアントで使います。macOSで使えるのはeValue V Airだけです。
端末の条件も細かく決まっています。Windows 11のHome EditionとARM版は非対応で、コンピューター名に日本語とアンダースコアは使えません。営業がMacBookやARM版のWindowsノートを持っている会社では、端末の入れ替え費用まで見積りに含める必要があります。基盤はMicrosoft Azureで運用され、サーバーの保守はOSK側が担います。
オンプレミス版の動作環境で見落としやすいSQL Serverとサーバー要件
2nd Editionを選ぶなら、サーバーとデータベースは自社の持ち物になります。稼働後10年近く使う前提で、要件と更新の波を把握しておきます。
LAN版はSQL Server Standard以上とメモリ14GB以上のサーバーが前提
製品ページの推奨環境によると、LAN版のサーバーOSはWindows Server 2016・2019・2022・2025のStandardかDatacenter。データベースはSQL Server 2017・2019・2022・2025のStandardかEnterpriseで、メモリは14GB以上、.NET 8.0.8が要ります。当システムを構成するテーブルは複数のサーバーにまたがって配置できない、という制約もあります。
費用の面で効くのは、Express版では足りずStandard以上のSQL Serverを用意する前提になることです。そのライセンス費用がパッケージの見積りに含まれるかは、販売元への確認事項です。サーバーOSとデータベースは数年ごとにサポートが切れるため、パッケージの保守契約とは別に、基盤の更新計画を持つ担当者が社内に要る。この担当を置けないなら、50名以内に収まる限りAirに寄せたほうが運用の負担は軽くなります。
スタンドアロン版はSQL Server Expressの10GB上限で頭打ちになる
PC1台で使うスタンドアロン版は、SQL Server Expressで動きます。製品ページには最大データベースサイズ10GBまでの制限が明記されています。eValueと営業支援ツールは使えず、生産管理の生産革新 Raijinもスタンドアロン版では使えません。
向いているのは、経理担当1名が会計だけを回す小規模な構成です。販売の明細を毎日数百件ずつ積み上げる会社では、10GBに届く時期を見積もり、LAN版へ移る時期を最初から計画に入れておきます。
SMILE Vの費用が問い合わせ制になる構造と、見積り前にそろえる項目
製品ページの料金欄には「料金を問い合わせる」の案内だけがあり、価格表は掲載されていません。金額が分からなくても、金額が動く変数は事前に押さえられます。
比較サイトに載る金額を稟議資料に使う前に確かめる掲載時点と構成の中身
比較サイトや解説記事には、初期費用や月額の目安が載っていることがあります。ただし、どのモジュールを何ライセンス、どの形態で組んだ金額かが示されていない例が多く、掲載時点が古い例も見かけます。社内資料の根拠にするなら、構成と時点が書かれた販売元の見積書に差し替えるべきです。
費用の積み上がり方は形態で違います。2nd Editionはパッケージのライセンスに加え、サーバー機、データベース、バックアップ装置、保守契約が乗る形。機能比較資料でも、オンプレミス版はハードウエア費・場所代・電気代・運用人件費が別途必要と整理されています。Airはサーバー関連が利用料に含まれる代わりに、アカウント数に比例して費用が増えていく構造です。
販売元への見積り依頼の前にそろえる5項目と、帳票一覧の持ち込み方
販売元との打ち合わせ前に、次の5項目を書き出しておくと見積りの比較がしやすくなります。
- 使うモジュール(販売・会計・人事給与・業種別製品)と、それぞれの利用者の数
- Airの場合はアカウント数、2nd Editionの場合は利用人数と3年後の見込み
- 管理する会社の数と、複写伝票や連続用紙を使う帳票の有無
- 標準機能で出せない帳票・画面の一覧と、毎月使うかどうかの区分
- 旧システムからのデータ移行の範囲と、平行稼働の期間
4番目が見積り額のぶれ幅を最も大きくします。OSKの導入手順は事前確認・導入準備・平行稼働・本稼働の4ステップで、事前確認で項目や桁数をシステム確認書で相互にチェックする流れです。ここに帳票の一覧を持ち込めると、後から追加費用が出る事態を減らせます。製品を横断して販売管理パッケージの候補を並べたい場合は、販売管理システムのおすすめは状況で決まる|商流・業種別の推奨タイプと代表製品5つ【2026年】が比較の材料になります。
標準機能の外側をどう作るか:Custom AP Builder・API・外部開発の線引き
どのパッケージにも、標準で収まらない業務は残ります。SMILE Vでは作り方の選択肢が3つあり、形態によって使える手段が変わる。ここが比較サイトでは埋まっていない論点です。
Custom AP Builderで帳票や入力画面を足せるのはオンプレミス版
製品ページには、開発ツール(Custom AP Builder)の実行エンジンを標準機能として提供し、標準では出力できない帳票や新たな入力画面を追加できると書かれています。ただし製品構成のページには、設計機能は別途専用ライセンスが必要と注記があります。そして前述の機能比較資料では、Airのカスタマイズは不可です。
つまり「SMILEは自社向けに作り込める」という説明は、2nd Editionと設計ライセンスを前提にした話です。Airを選ぶなら、標準外の帳票はExcel出力で加工するか、SMILEの外側で作るしかありません。どちらに倒すかは、帳票の数と更新の頻度で決めます。
API連携開発パートナー制度はソフトウェアメーカー向けの枠組み
外部システムとのAPI連携について、OSKはSMILE V / eValue V API連携開発パートナー制度を公開しています。料金は1業務あたり年間5.5万円(税込)。対象はクラウドシステム等を保有するソフトウェアメーカーで、APIの提供対象業務はSMILE Vの販売・会計・人事給与と、eValue Vのワークフロー・ドキュメント管理・スケジューラ・コミュニケーションです。
読み落とせない点が2つあります。1つは、個別の受託開発案件は本制度の対象外と明記されていること。もう1つは、同ページが「SMILE V 2nd Edition」を「SMILE V」と表記していることです。利用企業が自社専用の連携をAPIで作れるか、Airが対象に含まれるかは公開ページからは読み取れません。販売元に確認すべき事項として、要件定義の前に聞いておきます。SmartHRやfreee、勤次郎のように既に連携済みの製品があれば、自前で作るより先にその連携を使います。
外部の開発会社に出したほうが速い領域と、SMILE側に寄せる処理
線引きの基準は、その処理が売上・仕入・仕訳・給与といった帳簿を直接書き換えるかどうかです。帳簿を更新する処理をパッケージの外で作ると、整合性の担保が自社の責任になります。この種の処理は、SMILEの標準機能かCustom AP Builderの側に寄せます。
反対に、取引先向けのWeb受発注画面、現場のスマートフォン入力、ECサイトの受注取り込み前の整形、部門別の集計ダッシュボードのように、基幹の外で完結して結果だけを渡す領域は外部で作ったほうが速く仕上がります。Airを選んだ企業ほど、この外側の比重は大きくなる。連携方式の選び方はERP連携とは?連携先別の設計とAPI上限から決める方式選定・失敗条件で詳しく扱っています。SMILE Vを中核に置いたまま外側の画面や連携を作る設計は、基幹システム開発としてご相談を受けている領域です。
SMILE Vを選ぶ条件と、他の国産パッケージを並べて比べるべき企業
候補に残すか外すかの判断材料を、条件の形で整理します。
国内拠点のみで販売・会計・給与の転記をなくしたい企業に噛み合う理由
OSKの導入事例には、販売と会計が連携しておらずデータを二重入力していた製造業、オフコンの出力をオペレーターに頼んでいた船具卸売業が登場します。どちらも、受注から会計処理までを一つの製品でつなぐことで転記を消した例です。販売管理システムそのものの役割から確認したい場合は販売管理システムとは?機能・Excel管理との違いと中小企業向けの選び方が入口になります。
噛み合う理由は3つあります。インボイスや電子帳簿保存法への対応を製品側が担い、JIIMA認証という外部の裏付けがあること。業種別製品が多く、標準機能で収まる範囲が広いこと。開発元と販売元が同じグループで、導入から保守まで相談先が一本化されることです。
見送る判断:50名超でクラウド必須、海外拠点、業務の大半が独自
外す条件も言い切ります。クラウドで運用したいのに利用者が50名を超える企業は、Airの上限に当たるため構成が組めません。海外拠点の現地会計まで一つの製品で扱いたい企業も、国内向けパッケージの守備範囲を外れます。業務の大半が独自の商習慣で動き、帳票のほとんどを作り直す企業は、カスタマイズ量が膨らんで2nd Editionでもパッケージを選ぶ利点が薄れます。
迷う場合は、同じ価格帯の国産製品と並べて比べます。会計を軸に大企業寄りの統合型を見るならOBIC7とは?機能範囲と費用が動く変数、周辺システム連携の判断基準、卸売業の販売管理に寄せた製品ならアラジンオフィスとは?対応業種と機能範囲、カスタマイズが要る境界の見極め方が比較の材料になります。
よくある質問
検討の場で出やすい質問に、OSKの公開資料で確認できる範囲で答えます。
SMILE VとSMILE BSは何が違いますか?
SMILE BSは2008年発売の前世代の基幹業務システムで、2013年にSMILE BS 2nd Editionが出ています。SMILE Vは2017年に発売された後継世代で、2021年にクラウド版のSMILE V Air、2022年にオンプレミス版のSMILE V 2nd Editionが登場しました。これから新規に検討する場合の対象は、AirとSMILE V 2nd Editionの2つです。BS世代を使い続けている場合は、サーバーOSとデータベースのサポート期限を先に確かめてください。
SMILE Vの料金はいくらですか?
公式サイトに価格表はなく、料金は問い合わせで決まります。金額を動かすのは、使うモジュールと業種別製品、Airならアカウント数、2nd Editionなら利用人数とサーバー・SQL Serverの費用、標準外の帳票や画面の量です。比較サイトに載る目安額は構成と時点が示されていないことが多いため、稟議には販売元の見積書を使います。標準で出せない帳票の一覧を先に作っておくと、見積りの精度が上がります。
SMILE V Airはブラウザだけで使えますか?
使えません。製品ページの推奨環境では、SMILE V Airのブラウザ対応は販売の自由帳票ブラウザ実行機能に限られ、業務画面はWindows 11 ProかEnterpriseのクライアントで操作します。Windows 11のHome EditionとARM版は非対応で、macOSで使えるのはグループウェアのeValue V Airだけです。サーバーの保守は不要になりますが、端末側の条件は残るため、導入前に社内のPCを棚卸ししておきます。
SMILE Vは他のシステムとAPIで連携できますか?
OSKはAPI連携開発パートナー制度を公開しており、販売・会計・人事給与などのAPIを、1業務あたり年間5.5万円(税込)でソフトウェアメーカー向けに提供しています。個別の受託開発案件は対象外と明記されているため、利用企業が自社専用の連携を作る場合の扱いは販売元への確認が要ります。SmartHRやfreeeなど既に連携済みの製品があれば、まずそちらを使うのが近道です。
SMILE V Airに無料体験はありますか?
あります。製品ページでは、SMILE V Airを30日間無料で体験できると案内されています。対象は販売・会計・人事給与・POWER見積・トラックスター・QuickCreator・セールスマネジメントの操作で、申し込みには認証が必要です。体験では画面の操作感だけでなく、自社でよく起きる取引と例外の取引を架空のデータで流し、標準機能で処理できるかを確かめると判断材料になります。
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