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プロセスマイニングとは?仕組み・3つの分析とタスクマイニングとの違い、導入判断

プロセスマイニングとは?仕組み・3つの分析とタスクマイニングとの違い、導入判断

プロセスマイニングとは、ERPやワークフローなどの業務システムに残る操作履歴(イベントログ)から、業務が実際にたどった流れを再構成し、遅延・手戻り・規程からの逸脱をデータで示す分析手法です。ヒアリングで描く業務フロー図が「こう流れているはず」の図なのに対し、プロセスマイニングは「実際にこう流れた」記録を図にします。この記事では、イベントログの構造と3種類の分析を小さな受注ログの実行例で示し、データマイニング・タスクマイニングとの違い、主要ツールの選び方、RPAへのつなげ方、導入を見送るべき条件までを整理します。

まとめ:プロセスマイニングの仕組みと導入判断の要点

  • 仕組み:ケースID・アクティビティ・タイムスタンプの3列をそろえたイベントログから、案件ごとの処理順序と所要時間を復元します。
  • 3つの分析:実態のフローを描く「プロセス発見」、規程との差を洗い出す「適合性検査」、ログの情報で既存モデルを修正・拡張する「プロセス強化」に分かれます。適合性検査や強化を改善施策につなげ、実施後の効果まで測定します。
  • 似た手法との違い:データマイニングは業務フローのモデルを中心に置かずにデータのパターンを探し、タスクマイニングは個人のPC操作を記録します。プロセスマイニングが見るのは、部門をまたぐ案件の流れです。
  • 向く業務:受発注・請求・経費精算のように、同じ手続きが繰り返され、案件ごとに日時付きの処理履歴が残る業務です。件数だけでなく、改善効果とログ整備費用を比較して判断します。
  • 見送る条件:必要なログが得られない、改善効果が導入・運用費用を下回る、改善を実行する担当者と権限が決まっていない場合は、導入を見送るか前提条件を整えます。

可視化の後に自動化まで進めるなら、RPAとは?仕組み・できること・主要ツールと導入判断をわかりやすく解説とあわせて検討すると、診断から実装までの費用を一続きで見積もれます。

プロセスマイニングの仕組みとイベントログの構造

プロセスマイニングの材料は、人が書く報告書ではなく、システムが処理のたびに自動で残す記録です。この点が、ヒアリングやアンケートに頼る従来の業務分析と違います。

Process Mining Manifesto(2011年)とIEEE 1849 XES標準

プロセスマイニングは、オランダ・アイントホーフェン工科大学のWil van der Aalst教授らが体系化した分野です。IEEEのタスクフォースが2011年に公表したProcess Mining Manifestoが、分析の種類と課題を整理した基本文書として知られています。イベントログの交換形式はIEEE 1849(XES)として標準化されており、2016年11月の初版を改訂したIEEE 1849-2023が2023年9月に公開され、現行版になっています。ツールを乗り換えたり、学術系のOSSで検算したりするときは、XES形式で書き出せるかが移行のしやすさを左右します。

イベントログの3要素と抽出元になる業務システム

イベントログは最低限、次の3列で構成されます。3列がそろって初めて、1件の案件がどの順序でどれだけ時間をかけて流れたかを機械が復元できます。

要素 意味 例
ケースID 1件の案件を識別する番号 受注番号、申請ID
アクティビティ 実行された作業の名前 受注登録、与信確認、出荷指示
タイムスタンプ その作業が起きた日時 2026-07-01 09:00

抽出元は、SAPなどのERP、CRM、ワークフロー、問い合わせ管理のように、案件ごとに処理履歴が時系列で残るシステムです。担当者や金額などの列を足すと、「どの担当で差し戻しが多いか」「高額案件ほど承認が遅いか」まで分析を広げられます。逆に、処理日時を上書きしてしまう設計のシステムからは、順序を復元できません。導入検討の最初の確認点はここです。

1件の受注に複数の明細が絡むときのケースIDの決め方

実務でつまずきやすいのが、ケースIDを1つに決められない業務です。受注1件に明細が3行あり、明細ごとに出荷され、請求は複数の受注をまとめて1枚で出す、という受発注は珍しくありません。受注番号をケースIDにすると明細単位の出荷が重複して数えられ、明細番号にすると請求の処理回数が水増しされます。結果として、実際には起きていない手戻りが図に現れます。

この問題に対応するのが、1つのイベントを複数のオブジェクト(受注・明細・請求書など)に結びつけて記録する「オブジェクト中心イベントログ」です。交換形式としてOCEL 2.0の仕様が2023年10月に公開されています。分析の目的が「受注から入金までの日数」なら受注番号、「出荷の遅れ」なら明細番号というように、まず問いを決めてからケースIDを選びます。複数の問いを1本のログで扱いたいときに、オブジェクト中心の形式に対応したツールを候補にします。

プロセスマイニングの3分類と受注ログの簡易分析

Manifestoはプロセスマイニングの分析を3種類に分けています。以下では4件の受注ログで経路の集計、適合性検査、リードタイムの集計を実行します。強化に必要な時間情報の扱いは示しますが、既存モデルの修正・拡張までは実装しません。

3種類の分析が答える問いの違い

  • プロセス発見:ログだけを入力に、実際の業務フローを自動で描きます。想定外の迂回ルートや差し戻しがここで見つかります。
  • 適合性検査:あるべき手順(規程・マニュアル・正解モデル)とログを突き合わせ、逸脱した案件を全件から洗い出します。内部統制や監査の点検に使います。
  • プロセス強化:Manifestoでは、ログの情報を使って既存のプロセスモデルを修正・拡張する分析です。モデルに工程間の所要時間を付加することも含まれます。

改善の優先順位は、発見した経路の件数、規程からの逸脱、所要時間やコストを合わせて決めます。ツールを比較するときは、この3つの判断材料をどこまで自動で出せるかを確かめます。

pm4pyで4件の受注ログを分析した実行例

OSSのPythonライブラリpm4py(2026年10月9日公開の2.7.23.9。ライセンスはAGPL-3.0で、ソースを公開しない商用利用には別ライセンスが用意されています)を使います。入力は次のCSVです。

case_id,activity,timestamp
A001,受注登録,2026-07-01 09:00
A001,与信確認,2026-07-01 11:00
A001,出荷指示,2026-07-02 10:00
A001,請求書発行,2026-07-03 15:00
A002,受注登録,2026-07-01 10:00
A002,与信確認,2026-07-01 13:00
A002,出荷指示,2026-07-02 09:00
A002,請求書発行,2026-07-03 11:00
A003,受注登録,2026-07-01 14:00
A003,与信確認,2026-07-02 10:00
A003,受注修正,2026-07-06 16:00
A003,与信確認,2026-07-08 09:00
A003,出荷指示,2026-07-08 15:00
A003,請求書発行,2026-07-10 10:00
A004,受注登録,2026-07-02 09:00
A004,出荷指示,2026-07-02 17:00
A004,与信確認,2026-07-03 10:00
A004,請求書発行,2026-07-04 12:00

CSVをUTF-8のlog.csvとして保存し、同じフォルダで次のコードを実行します。Python 3.12でpm4py==2.7.23.9をインストールしてください。本例ではA001とA002を規程に適合するものと仮定して参照モデルを作り、全件を照合します。

import pandas as pd
import pm4py

df = pd.read_csv("log.csv", parse_dates=["timestamp"])
log = pm4py.format_dataframe(df, case_id="case_id", activity_key="activity", timestamp_key="timestamp")

# 1. プロセス発見:経路(バリアント)ごとの件数
for variant, n in pm4py.get_variants(log).items():
    print(n, " → ".join(variant))

# 2. 適合性検査:規程どおりに流れたA001・A002から正解モデルを作り、全件を照合する
ideal = log[log["case:concept:name"].isin(["A001", "A002"])]
net, im, fm = pm4py.discover_petri_net_inductive(ideal)
results = pm4py.conformance_diagnostics_token_based_replay(log, net, im, fm)
for case, r in zip(log["case:concept:name"].unique(), results):
    print(case, "適合" if r["trace_is_fit"] else "逸脱")

# 3. 強化に用いる時間情報の集計:案件ごとのリードタイム(時間)
hours = log.groupby("case:concept:name")["time:timestamp"].agg(lambda s: (s.max() - s.min()).total_seconds() / 3600)
print(hours.to_dict())

pm4py 2.7.23.9(Python 3.12)で実行した出力は次のとおりです(起動時のライセンス案内と進捗表示は省いています)。

2 受注登録 → 与信確認 → 出荷指示 → 請求書発行
1 受注登録 → 与信確認 → 受注修正 → 与信確認 → 出荷指示 → 請求書発行
1 受注登録 → 出荷指示 → 与信確認 → 請求書発行
A001 適合
A002 適合
A003 逸脱
A004 逸脱
{'A001': 54.0, 'A002': 49.0, 'A003': 212.0, 'A004': 51.0}

読み方は3段です。経路の集計で、4件が3通りの経路に分かれていることがわかります。適合性検査では、受注修正で与信確認をやり直したA003と、与信確認より先に出荷指示が出たA004が逸脱として出ます。A004は順序上の逸脱で、実際に商品が出荷されたかはこのログでは確認できませんが、統制上のリスクとして優先して調べる対象です。リードタイムの集計では、A003が212時間(約8.8日)で、ほかの3件(49〜54時間)より158〜163時間長く、約3.9〜4.3倍かかっています。ただし、このログだけでは差し戻しが時間差の原因とは断定できず、顧客への納期に響いたかもわかりません。実務のログは件数も列も増えますが、問いの立て方は同じです。

データマイニング・タスクマイニング・業務フロー図との違い

プロセスマイニングは名前の似た手法と混同されやすく、混同したまま製品を選ぶと、欲しい答えが出ないツールを買うことになります。違いは「何のデータを見て、何に答えるか」で整理できます。

データマイニングとの違いとプロセスモデルの役割

データマイニングは、購買履歴や顧客属性などの大量データから、相関・分類・予測といったパターンを見つける手法の総称です(データマイニングとは?意味・手法・事例と導入の進め方をわかりやすく解説)。データマイニングには、イベントの順序を扱う系列パターンの分析も含まれます。違いは順序の有無ではなく、業務プロセスのモデルを中心に分析するかどうかです。Manifestoも、多くのデータマイニング手法はプロセス中心ではないと述べ、プロセスマイニングをデータマイニングと従来のモデル駆動型の業務プロセス管理(BPM)をつなぐ位置に置いています。プロセスマイニングは、同じケースIDを持つ行をタイムスタンプ順に並べ、業務フローのモデルとして描くところが出発点です。「解約しやすい顧客の特徴」を知りたいならデータマイニング、「解約手続きがどこで止まっているか」を知りたいならプロセスマイニング、と問いの形で使い分けます。

タスクマイニングとの違いはログを取る場所と見える範囲

プロセスマイニングが分析するのは、基幹システムに残るサーバー側のイベントログです。タスクマイニングは、各担当者のPCでクリックやキー入力、画面遷移を記録し、1つの作業の中身を細かく追います。Microsoftの解説も、プロセスマイニングを組織全体のプロセスの非効率の発見、タスクマイニングをデスクトップ上の作業の発見と分けています。

観点 プロセスマイニング タスクマイニング
データ源 業務システムのイベントログ PCの操作記録
見える範囲 部門をまたぐ案件全体 1人のPC作業の手順
得意な問い どの工程で滞るか その工程で何を手作業しているか
導入時の注意 ログ抽出と整形の工数 操作記録の同意・個人情報の扱い

実務では、プロセスマイニングで滞る工程を特定し、その工程の手作業だけをタスクマイニングで記録してからRPAの設計に入る順番が噛み合います。タスクマイニングから始めると、全体のどこを直すべきかという地図がないまま、個別作業の記録に工数を割くことになります。

業務フロー図・BIツールとの違い

ヒアリングで作る業務フロー図は関係者の認識の図であり、例外ルートの多くが抜け落ちます。BIツールでも処理段階や時間情報を集計・可視化できます。例えばPower BIは、連続する工程をファネル図で表せます。ただしファネルの段階は分析者があらかじめ決めるもので、ログにだけ現れる迂回や差し戻しの経路は描かれません。プロセスマイニングは、KPIが悪化した理由を工程の流れまでさかのぼって説明できる点が固有の役割です。ログを使わずに現行フローを書き起こす手順と、システム化の範囲を決める判断軸は業務フローのシステム化とは?可視化の手順と対象業務の選び方・失敗回避を解説で扱っています。

プロセスマイニングツールの種類と選び方

ツール選定で最初に効くのは、機能比較より「自社の基幹システムと誰がつなぐか」です。標準コネクターがあるかどうかで、イベントログの抽出にかかる工数が大きく変わります。

Gartnerの評価区分の変化に見る市場の広がり

Gartnerはこの分野のMagic Quadrantを2023年に「Process Mining Tools」として初めて発行し、2024年・2025年は「Process Mining Platforms」、2026年5月5日発行の版ではProcess Intelligence Platformsへと名称を変えています。名称の変化は、ログを図にする単体ツールから、業務管理や自動化の基盤に組み込まれた機能へと製品の形が移っていることを示しています。

主要ツールのタイプと自社のシステム構成による選定

ツール 位置づけ 相性のよい環境
Celonis プロセスマイニング専業 複数の基幹システムを横断する大規模導入
SAP Signavio SAPが2021年3月に買収完了 SAP S/4HANAが基幹
UiPath Process Mining Automation Cloud/Automation Suite UiPathでRPAを運用中
Power Automate プロセス・タスクマイニングを内蔵 Microsoft 365・Dynamics 365中心
pm4py OSSのPythonライブラリ 分析者が自分でログを整形できる

SAPは2021年3月にSignavioの買収を完了し、Microsoftは2022年3月にプロセスマイニング企業Minitの買収を発表しました。基幹システムやRPAを持つベンダーが、プロセスマイニングを自社製品に取り込んできた流れです。UiPath Process Miningはクラウド版ではAutomation Cloudのアカウントが前提です。別途、Automation Suiteで自社環境に導入する形態もあります。UiPath製品群の中での位置づけはUiPathとは?三層構成・ライセンス・LTS運用から導入判断まで実装目線で解説【2026年版】にまとめています。

Power Automateでは、Premiumライセンス1つにつきプロセスマイニングの容量が50MB、テナント全体で最大100GBまで積み上がり、それを超える分はProcess Miningアドオン(テナント単位で100GB追加)が必要です。トライアルは90日間で、1プロセスあたり100MBに制限されます。ログの量で費用が決まる構造なので、対象業務の年間件数と列数から容量を先に見積もります。円建ての単価はPower Automateの料金・ライセンスとは?Premium/Process/従量課金の区分と見積もり手順を解説【2026年版】で整理しています。

選び方の分かれ目は、中核となる基幹システムがあるかどうかです。SAP中心ならSAP Signavio、Microsoft中心ならPower Automate、RPAをUiPathで回しているならUiPath Process Miningが、ログ抽出と後工程の連携で手戻りが少なくなります。中核を持たない企業は、まずpm4pyなどで1業務のログを手元で分析し、問いと必要なデータ項目が固まってから製品を比較すると、要件を過不足なく出せます。

可視化からRPA・業務改善につなげる手順

プロセスマイニングの投資が回収できるかは、可視化の次の一手で決まります。図を作って終わらせないよう、自動化や標準化への引き渡しを最初から計画に入れます。

自動化候補を投資効果の高い順に絞り込む手順

  1. 処理件数が多く、繰り返し頻度の高い工程を抽出する(1件あたりの削減時間が件数分だけ積み上がる)
  2. 分岐や例外が少なく、手順が決まっている工程に絞る(ルール化しやすく、ロボットが止まりにくい)
  3. 待ち時間や転記に時間を取られている工程を優先する(プロセス強化の数値で裏付ける)
  4. 適合性検査で逸脱が多い工程は、自動化の前に手順の標準化を済ませる(逸脱ごと自動化すると誤りも自動で量産される)

件数が少ない工程や分岐が多い工程を無理にRPA化すると、画面変更のたびに修正が必要になり、保守の工数が削減効果を食いつぶします。候補が固まったら、UiPath導入支援サービスのような実装の段階へ引き継ぐと、可視化から運用までが途切れません。

プロセスマイニング・RPA・iPaaSの役割分担

プロセスマイニングは診断、RPAとiPaaSは処置にあたります。RPAは人がPC上で行う定型操作をロボットに代行させる技術で、画面操作の自動化が守備範囲です。iPaaSはシステム同士をAPIでつなぎ、データ連携そのものを自動化します(iPaaSとは?仕組み・RPAとの違い・料金の数え方と導入判断をわかりやすく解説)。プロセスマイニングで直す工程を決め、画面操作が絡む工程はRPA、APIで解ける転記はiPaaSへ振り分けます。この3つにAIを組み合わせて業務全体の自動化を目指す考え方は、ハイパーオートメーションとは?RPAとの違い・構成技術・導入の進め方と判断を解説で扱っています。

プロセスマイニング導入の進め方と見送るべき場面

プロセスマイニングは前提条件を満たさない業務に入れると、ログ抽出と整形の工数だけがかさみます。始め方と、やめておく条件を先に決めておきます。

1業務から始めるスモールスタートの進め方

  1. 件数が多く、遅れへの不満が集まっている業務を1つ選ぶ(受発注・請求・経費精算が着手しやすい)
  2. 対象システムからケースID・アクティビティ・タイムスタンプを取り出せるかを確かめる
  3. ケースIDを何にするかを、答えたい問い(受注から入金までか、出荷の遅れか)から決める
  4. プロセス発見で実態を描き、適合性検査と強化の数値で改善策を決める
  5. 改善後に同じ指標を測り直し、効果が出てから対象業務を広げる

例えば経費精算なら、申請IDをケースIDにし、申請から承認までの時間と差し戻し率を改善前後で比較する計画を立てます。対象業務の優先順位は経理DXとは?経理業務の効率化・自動化の進め方と対象業務の優先順位で整理しています。

導入を見送るか後回しにすべき条件

次のいずれかに当てはまる業務では、プロセスマイニングを見送るか後回しにするのが妥当です。

  • ログが残らない:処理日時を上書きする、紙やメールで回っている工程がある。ログ設計の改修費を含めて費用対効果を見積もり、費用が期待効果を上回るなら導入を見送ります。
  • 件数が少ない・手順が人で変わる:少数案件を個別に点検すれば目的を達成できる業務では、まずヒアリングと業務フロー図を選びます。担当者ごとの進め方の違い自体を調べたい場合は、非定型業務でもログ分析を検討します。
  • 改善を実行する体制がない:可視化の後に手順を変える権限と担当者が決まっていない。図を作っても施策が動かず、投資を回収できません。
  • 変更前の分析結果を使う目的がない:刷新や再編が目前で、旧業務の改善にも移行設計にも分析結果を使わない場合。移行前の現状把握や移行後との比較が目的なら、刷新前でも分析対象になります。

また、ログが示すのは「何が起きたか」までで、「なぜそうしたか」は記録されていません。A003の受注修正が顧客都合なのか入力ミスなのかは、担当者に聞かなければわかりません。数値で対象を絞り、理由は現場で確かめる、という分担を前提に計画します。

プロセスマイニングについてよくある質問

プロセスマイニングの種類にはどのようなものがありますか?

Process Mining Manifesto(2011年)では、ログから実際のフローを描くプロセス発見、あるべき手順との差を洗い出す適合性検査、ログの情報で既存モデルを修正・拡張するプロセス強化の3種類に分けています。製品の機能名は各社で異なりますが、多くはこの3分類のどれかに当たります。

プロセスマイニングとデータマイニングの違いは何ですか?

データマイニングは大量のデータから相関・分類・系列などのパターンを見つける手法の総称で、処理順序を扱う分析も含みます。プロセスマイニングは、案件ごとの記録をタイムスタンプ順に並べ、業務がどの順番でどれだけ時間をかけて流れたかを分析します。

プロセスマイニングとタスクマイニングはどちらを先に導入すべきですか?

多くの場合はプロセスマイニングが先です。部門をまたぐ流れの中で滞る工程を特定し、その工程の手作業だけをタスクマイニングで記録すると、記録の範囲と工数を絞れます。自動化したい作業がすでに1つに決まっている場合は、タスクマイニング単独で始める判断もあり得ます。

プロセスマイニングにはどれくらいのデータが必要ですか?

必要な件数は、分析目的や経路の多様性によって変わります。少数件でも既知の手順からの逸脱は確認できますが、経路の出現頻度を評価するには、対象期間や業務の偏りも確かめます。ケースID・アクティビティ・タイムスタンプの3列が取り出せることが前提で、Power Automateのように扱えるログの容量で料金が変わる製品もあります。

プロセスマイニングとRPAはどう使い分けますか?

プロセスマイニングは直すべき工程を見つける診断、RPAは決まった画面操作を代行する実装の手段です。プロセスマイニングで件数が多く手順が決まった工程を選び、そこにRPAを入れると、効果の薄い工程を自動化して保守負担だけが残る失敗を避けられます。逸脱が多い工程は、自動化の前に手順をそろえます。

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