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ハイパーオートメーションとは?RPAとの違い・構成技術・導入の進め方と判断を解説

ハイパーオートメーションとは、RPAやAI、プロセスマイニングといった複数の技術を組み合わせ、一部の作業だけでなく業務プロセス全体を自動化していく取り組みを指します。米調査会社のGartnerが2019年に提唱した概念で、RPAで自動化しきれなかった判断や非定型の処理までを射程に入れる点が特徴です。この記事では、Gartnerが示した定義、RPA単体との違い、自動化を支えるRPA・AI・プロセスマイニング・iPaaSなどの構成技術、導入で得られる効果と見落としやすい課題、可視化から始めるスモールスタートの手順、そして自社が今ハイパーオートメーションに着手すべきかRPAの範囲で十分かの判断基準までを、業務自動化を検討する担当者の視点で整理します。

目次

まとめ:ハイパーオートメーションの要点とRPAとの違い・着手判断

ハイパーオートメーションは、単発のツール導入ではなく「どの業務を、どの技術で、どこまで自動化するか」を継続的に見直す考え方です。RPAが決まった画面操作を代行するのに対し、ハイパーオートメーションはプロセスマイニングで自動化すべき業務を見つけ、RPAとAIで処理し、iPaaSでシステム間をつなぐところまでを一連の流れとして設計します。中心にあるのはツールではなく、業務全体をつなぐ発想です。

判断の勘所は3つに絞れます。第一に、RPAとの切り分けです。決まった手順の繰り返しだけならRPA単体で足り、非定型の判断や複数システムをまたぐ処理まで必要になった時点でハイパーオートメーションの領域に入ります。第二に、着手の順番です。いきなり全社展開を狙わず、効果の測れる1業務でPoCを回し、投資回収を確かめてから広げるのが失敗しない進め方になります。第三に、内製と外注の線引きです。定型の自動化はノーコードで自社でも組めますが、AIやシステム連携が絡む設計は受託開発に切り出したほうが安全です。以下でそれぞれを具体的に見ていきます。

ハイパーオートメーションとは複数技術で業務全体を自動化する概念

ハイパーオートメーションを理解する出発点は、これが特定の製品名ではなく「自動化の進め方そのもの」を指す言葉だという点です。まずはGartnerが示した定義と、よく比較されるRPA単体との違いから押さえます。

Gartnerが定義したハイパーオートメーションの考え方と範囲

ハイパーオートメーションは、Gartnerが2019年に提唱した用語で、同社は「組織ができるだけ多くの業務プロセスとITプロセスを、素早く見つけ・審査し・自動化するためのビジネス主導のアプローチ」と説明しています。Gartnerはこの概念を2020年から2022年にかけて戦略的テクノロジートレンドの上位に挙げており、一過性の流行ではなく企業の自動化戦略の軸として位置づけていました。

定義のポイントは「複数の技術を組み合わせる」ことと「対象業務の発見から自動化までを含む」ことの2つです。RPAだけ、AIだけといった単一手段ではなく、それらを束ねて業務プロセス全体に適用します。さらに、どの業務を自動化すべきかを見つける工程まで範囲に含める点が、個別ツールの導入と決定的に違う特徴です。つまりハイパーオートメーションは、道具の話ではなく「自動化を組織的にどう広げるか」という取り組み方を指す概念だと捉えると、輪郭がつかめます。

RPA単体との違いと業務プロセス全体を横断的に自動化する発想

RPAとハイパーオートメーションは対立するものではなく、後者が前者を包み込む関係にあります。RPAは、人がパソコン上で行う決まった画面操作を記録・再生して代行する技術です。得意なのは、ルールが明確で繰り返し発生する定型作業に限られます。一方でハイパーオートメーションは、そのRPAを構成要素の一つとして取り込み、RPAだけでは自動化しきれない領域まで広げます。

広がる先は主に2方向です。ひとつは判断を伴う処理で、AIやOCRを組み合わせて、請求書の内容読み取りや問い合わせの振り分けといった非定型業務に対応します。もうひとつは業務のつながりで、複数のシステムやSaaSをまたぐ処理をiPaaSで連携させます。RPAが「一つの作業を代行する点の自動化」だとすれば、ハイパーオートメーションは「業務プロセスをまたいで自動化をつなぐ面の自動化」です。RPAを入れてみたものの部分的な効率化にとどまっている、という段階の次の一手として検討されるのが、この考え方になります。

ハイパーオートメーションを構成するRPA・AI・プロセスマイニングの技術要素

ハイパーオートメーションは単一の製品では実現せず、役割の異なる技術を組み合わせて成り立ちます。ここでは「自動化を発見する技術」「実行する技術」「つなぐ技術」の3層で、代表的な構成要素を整理します。

RPA・AI-OCR・生成AIなど作業を実行する中核の自動化技術

実際に処理を動かす中核が、RPAとAI系の技術です。RPAは定型の画面操作を担い、データ入力やシステム間の転記を人手なしで回します。ここにAI-OCRを加えると、紙の帳票やPDFといった非構造データを読み取り、文字情報に変換してRPAへ渡せるようになります。手書きや帳票フォーマットのばらつきに弱かった従来のOCRを、機械学習で補う位置づけです。

さらに生成AIや機械学習を組み合わせると、単純な読み取りを超えた処理に踏み込めます。問い合わせメールの意図を分類して担当部署へ振り分ける、契約書から必要な条項を抽出する、といった判断を含む作業です。ここで押さえておきたいのは、AIを足せば何でも自動化できるわけではない点です。判断の根拠を後から説明できない業務や、間違いが許されない最終承認は、人が担う設計にとどめるのが実務上の分かれ目になります。

プロセスマイニングとタスクマイニングで自動化対象を見つける工程

ハイパーオートメーションが個別のRPA導入と分かれるのは、「何を自動化するか」を見つける工程を持つ点にあります。その役割を担うのが、プロセスマイニングとタスクマイニングです。プロセスマイニングは、業務システムに残る操作ログを分析し、業務がどう流れているか、どこで滞留や手戻りが起きているかを可視化します。感覚ではなく実データで、自動化して効果の大きい工程を特定できます。

タスクマイニングは、より手元に踏み込み、担当者のパソコン操作を記録して個々の作業単位で無駄を洗い出します。プロセスマイニングが業務の流れ全体を俯瞰するのに対し、タスクマイニングは一人ひとりの作業を細かく捉える、という粒度の違いです。この2つで自動化対象を裏付けをもって選ぶことで、「現場が楽になると思って自動化したが効果が薄かった」という空振りを防げます。対象選定を勘に頼らないことが、ハイパーオートメーションの成否を分けます。

iPaaS・BPMによるシステム連携と処理全体のオーケストレーション

個々の自動化をばらばらに動かすのではなく、業務プロセスとしてつなぐ層も必要になります。ここで使われるのが、iPaaSとBPMです。iPaaSは、複数のSaaSやクラウドサービスをAPI経由で連携させる基盤で、RPAでは扱いにくいシステム間のデータ受け渡しを裏側で担います。APIを持つSaaS同士はiPaaSでつなぎ、APIのない旧来システムや画面操作はRPAで補う、という役割分担が組めます。

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)は、業務の流れ全体を設計・監視し、どの処理を人が担いどこを自動化するかを一つのプロセスとして管理する仕組みです。RPA・AI・iPaaSが個々の作業を担うのに対し、BPMはそれらを束ねて「業務プロセス全体を統括する指揮者」の役割を果たします。ハイパーオートメーションでは、この統括の視点があるかどうかで、部分的な効率化の寄せ集めに終わるか、業務全体の自動化として機能するかが分かれます。

ハイパーオートメーション導入で得られる効果と見落としやすい課題

導入を判断する前に、期待できる効果と、契約や設計の前に見落としやすい課題の両方を押さえておく必要があります。効果から先に挙げ、続いて注意点を整理します。

業務の可視化・処理速度の向上・ミス削減といった導入で得る効果

ハイパーオートメーションで得られる効果は、大きく3つの方向に集約されます。第一に、業務の可視化です。プロセスマイニングで業務の流れが数値とログで見えるため、これまで担当者の頭の中にあった処理の実態が共有できる資産になります。第二に、処理速度と稼働時間の拡大です。人手を介さず24時間処理を回せるため、月次の締め作業や大量のデータ入力といった業務の所要時間を短縮できます。

第三に、品質の安定とミスの削減です。人による転記ミスや確認漏れが減り、処理の結果が一定に保たれます。定型作業から人を解放し、判断や企画といった付加価値の高い仕事に人員を振り向けられる点も、経営目線での効果になります。ただし、これらの効果は自動化対象を正しく選べた場合に現れるものです。効果の薄い業務を自動化しても投資は回収できないため、対象選定の精度が効果を左右します。

対象業務の選定や投資回収の難しさなど導入前に押さえておきたい課題

効果の裏で、ハイパーオートメーションには導入前に見落としやすい課題があります。まず、対象業務の選定の難しさです。複数技術を組み合わせられるがゆえに「あれもこれも自動化できそう」と対象を広げすぎると、開発と保守の負担が膨らみ、かえって費用が効果を上回ります。効果の測れる業務から絞る規律が要ります。

次に、投資回収の見通しです。RPA・AI・iPaaSと複数のツールを揃えるとライセンス費や構築費がかさみ、単発のRPA導入より初期投資が大きくなります。連携が複雑になるほど、どこかのシステム仕様が変わったときの改修も増えます。さらに、業務プロセスを把握し全体を設計できる人材が社内に乏しいと、ツールを入れても使いこなせません。技術を揃えること自体が目的化し、業務改善につながらない「自動化のための自動化」に陥る点が、最も避けたい失敗です。導入は投資対効果を業務単位で見積もる前提で進めるべきものです。

ハイパーオートメーションの進め方と失敗しないスモールスタートの手順

ハイパーオートメーションは、全社一斉に始めるものではありません。効果を測りながら段階的に広げるのが定石です。着手対象の選定から全社展開までの進め方を、順を追って示します。

現状業務の可視化から自動化の着手対象を絞り込む最初のステップ

最初にやるべきは、いきなりツールを選ぶことではなく、現状業務を可視化して自動化対象を絞ることです。手順は次の流れになります。

  1. 部門ごとに業務を洗い出し、発生頻度・処理時間・関わる人数を書き出す
  2. プロセスマイニングやタスクマイニングで、滞留や手戻りの多い工程を実データで特定する
  3. 「効果が大きく、ルールが明確で、対象データが電子化されている」業務を優先候補にする
  4. 候補ごとに、RPAで足りるか、AIやシステム連携まで必要かを見積もる

この段階で外してはいけないのが、効果の測定基準を先に決めておくことです。「この業務で月あたり何時間削減できたら成功」という数値を着手前に置いておくと、後の投資判断がぶれません。対象を勘で選ばず、データと基準で選ぶことが、後戻りを防ぐ土台になります。

PoCと小規模導入で効果を確かめてから全社展開へ広げる進め方

対象を絞ったら、全社展開の前に1〜2業務でPoC(試験導入)を行います。小さく作って実際に回し、想定した時間削減やミス削減が本当に出るかを検証する段階です。ここで効果が確認できれば、同じ型を他の類似業務へ横展開し、徐々に対象を広げていきます。PoCで効果が出なければ、対象選定か設計に立ち返り、規模を広げる前に軌道修正できます。

広げる過程では、自動化した処理を管理する体制づくりも並行させます。誰がロボットやAIの稼働を監視し、システム変更時に誰が改修するかを決めておかないと、作った自動化が「動かなくなっても放置される」状態に陥りかねません。スモールスタートの狙いは、失敗の傷を小さく抑えながら、成功の型を組織に蓄積することにあります。一足飛びの全社導入は、投資も失敗の規模も大きくなるため避けるのが賢明です。

ハイパーオートメーションに着手すべき企業と、RPAで十分な場面の判断

ハイパーオートメーションは、すべての企業が今すぐ取り組むべきものではありません。ここでは、段階的に着手すべき企業の条件と、RPAの範囲で十分な場面を、条件を示したうえで言い切ります。あわせて内製と受託の線引きも整理します。

段階的に着手すべき企業と、RPA単体でとどめてよい場面の見極め

ハイパーオートメーションに進むべきなのは、次の条件に当てはまる企業です。すでにRPAを導入して定型作業の自動化が一巡し、次に非定型の判断業務や複数システムをまたぐ処理の自動化が課題になっている段階。かつ、自動化対象が部門をまたいで複数存在し、全体を設計する価値がある規模。この2つが揃うなら、プロセスマイニングで対象を発見しAIやiPaaSまで広げる投資が回収できます。

逆に、次の場合はRPA単体でとどめるべきです。自動化したい業務が数個の定型作業に限られ、判断や複雑なシステム連携を含まないケースです。この段階で複数技術を揃えても、ライセンス費と構築の複雑さが効果を上回ります。「RPAで自動化できる範囲がまだ残っているなら、まずそこを埋め切る」のが正しい順番であり、流行を理由にハイパーオートメーションへ急ぐのは過剰投資になります。判断基準は明快で、RPAで自動化しきれない非定型・複数システムの壁に実際にぶつかっているかどうか。壁がまだ来ていないなら、着手は時期尚早です。

内製で進める範囲と受託開発に任せる線引き、陥りやすい失敗パターン

着手を決めたら、どこまで自社で組み、どこを外部に任せるかの線引きが次の論点になります。定型のRPAシナリオや、ノーコードで組める単純な連携は、業務を知る担当者が内製できる範囲です。一方で、AIモデルの選定や、複数システムをまたぐ連携設計、業務プロセス全体のオーケストレーションは、専門知識と全体設計の経験が要り、内製にこだわると頓挫しやすくなります。

陥りやすい失敗は3つあります。ツール導入自体が目的化し業務改善につながらないこと、対象を広げすぎて保守しきれなくなること、そして作った自動化を管理する担当が不在で放置されることです。いずれも、業務設計と技術選定を分かる人材が関与していれば避けられます。自社にその体制が薄い場合は、要件整理から運用設計までを外部に相談する選択肢が現実的です。RPAの導入や、UiPathを使った自動化の設計から検討する段階なら、UiPath導入支援のように業務の可視化から運用体制の設計まで含めて相談できる支援を使い、内製と受託の役割を最初に切り分けておくと、後の手戻りを抑えられます。

よくある質問

ハイパーオートメーションの導入検討でよく調べられる疑問を、判断に直結する形で回答します。

ハイパーオートメーションとRPAの違いは何ですか?

RPAは、決まった画面操作を記録・再生して代行する単体の技術で、ルールが明確な定型作業を得意とします。ハイパーオートメーションは、そのRPAを構成要素の一つとして取り込み、AIによる判断やプロセスマイニングによる対象発見、iPaaSによるシステム連携まで束ねて、業務プロセス全体を自動化する取り組みです。RPAが点の自動化なら、ハイパーオートメーションは業務をまたいでつなぐ面の自動化だと捉えると違いが分かりやすくなります。

ハイパーオートメーションに必要な技術は何ですか?

中核はRPAとAI(AI-OCRや生成AIを含む)で、処理そのものを担います。加えて、自動化対象を見つけるプロセスマイニングやタスクマイニング、システム間をつなぐiPaaS、業務全体を管理するBPMが組み合わされます。すべてを一度に揃える必要はなく、自社の業務に必要な要素から段階的に取り入れるのが現実的です。どの技術をどこまで使うかは、自動化したい業務が定型か非定型か、単一システムか複数連携かで変わります。

中小企業でもハイパーオートメーションは導入できますか?

導入は可能ですが、いきなり全社的な仕組みを目指すより、効果の測れる1業務から小さく始めるほうが向いています。複数技術を一度に揃えると投資が回収しにくいため、まずRPAで定型作業を自動化し、判断業務やシステム連携が課題になった段階で対象を広げる進め方が現実的です。社内に全体設計できる人材が乏しい場合は、要件整理と設計を外部の受託開発に切り出す判断も選択肢に入ります。

ハイパーオートメーションの導入は何から始めればよいですか?

最初のステップは、ツール選びではなく現状業務の可視化です。部門ごとに業務を洗い出し、プロセスマイニングなどで滞留や手戻りの多い工程を特定し、効果が大きくルールの明確な業務を優先候補にします。そのうえで1〜2業務のPoCで効果を検証し、確認できてから横展開します。着手前に「月あたり何時間削減できたら成功か」という測定基準を決めておくと、投資判断がぶれません。

ハイパーオートメーションとDXはどう違いますか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術で事業やビジネスモデル全体を変革する広い概念です。ハイパーオートメーションは、そのDXを進める手段の一つで、業務プロセスの自動化に焦点を当てた取り組みにあたります。業務の自動化はDXの一部であり、ハイパーオートメーションはその自動化を複数技術で体系的に広げる方法だと位置づけると、両者の関係が整理できます。

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