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Amazon Bedrockの使い方|料金・モデル・APIの始め方を4ステップで解説【2026年版】

Amazon Bedrockは、Anthropic・Amazon・Metaなど複数社の生成AIモデルを1つのAPIから呼び出せるAWSのフルマネージドサービスです。サーバーやGPUを自前で用意せず、AWSアカウントさえあればすぐに試せます。この記事では「何ができるのか」「実際にどう始めるのか」を、アカウント準備からboto3でのAPI呼び出しまで4ステップで解説し、料金・東京リージョン対応・利用できるモデル・画像生成まで2026年時点の情報でまとめます。

まとめ:Amazon Bedrockの要点

  • 正体:基盤モデルを単一APIで使えるフルマネージド生成AIサービス。インフラ管理・モデルのホスティングは不要。
  • 使い方の全体像:①AWSアカウントとIAM権限を用意 → ②モデルアクセスを有効化 → ③プレイグラウンドで試す → ④boto3のConverse APIで呼び出す、の4ステップ。
  • 料金:無料枠はなく、入出力トークンに応じた従量課金。バッチ推論やプロンプトキャッシュでコストを下げられる。
  • 東京リージョン(ap-northeast-1)で利用可能。リージョンにない最新モデルはクロスリージョン推論で呼び出す。
  • できること:文章生成・要約・チャットボット・RAG(Knowledge Bases)・エージェント(Agents)・画像生成まで、モデルを差し替えるだけで実装できる。

Amazon Bedrockとは:単一APIで基盤モデルを使うサービス

Amazon Bedrockは、複数のAIベンダーが提供する基盤モデル(ファウンデーションモデル)を、共通のAPIで呼び出せるようにしたAWSのマネージドサービスです。モデルの実体はAWS側でホストされるため、利用者はGPUの調達も推論サーバーの構築もせずに、リクエストを送るだけで生成AIを組み込めます。トークン量に応じた従量課金なので、初期投資なしで始められる点が特徴です。

Bedrockが担うのは推論だけではありません。社内文書を根拠に回答させるRAG基盤(Knowledge Bases)、複数ステップの処理を自動化するエージェント(Agents)、不適切な出力を抑えるガードレール(Guardrails)など、生成AIを業務に載せるための周辺機能がマネージドで揃っています。

利用できる主要モデル(2026年時点)

Bedrockで使えるモデルはベンダーごとに用途が分かれます。代表的なものは次のとおりです。実際のラインナップはリージョンと時期で変わるため、最新はAWSのモデル・リージョン対応表で確認してください。

提供元 モデル 得意分野
Anthropic Claude(Opus/Sonnet/Haiku系) 高精度な文章生成・コード・長文読解
Amazon Nova 2(Lite/Pro など) 低コスト・申請不要で利用可(Lite以上はマルチモーダル)
Meta Llama オープンウェイト・カスタマイズ用途
Amazon Nova Canvas/Stability AI 画像生成
その他 Mistral/Cohere/AI21/DeepSeek/Qwen/OpenAIのオープンウェイト系 用途・言語・コストに応じて選択

コスト重視ならAmazon Nova、日本語の品質や複雑な推論を重視するならClaudeが第一候補です。Novaの世代別の性能と料金はAmazon Novaの性能と料金を比較した記事で詳しく整理しています。

SageMakerとの違い

AWSには機械学習基盤としてAmazon SageMakerもありますが、役割が異なります。SageMakerは「自前でモデルを学習・デプロイ・運用する」ための包括的なプラットフォームで、モデルの中身まで踏み込んで扱えます。一方Bedrockは「既製の基盤モデルをAPIで呼ぶ」ことに特化しており、運用の手間が少ない代わりにモデル内部の自由度は下がります。既存モデルをそのまま使うならBedrock、独自データでフルに学習・ホスティングしたいならSageMaker JumpStartのようなML基盤、という住み分けです。

Amazon Bedrockでできること(用途別)

Bedrockはモデルを差し替えるだけで、次のような処理を同じAPIで実装できます。

  • 文章生成・要約・分類:問い合わせ返信の下書き、議事録の要約、レビュー文の感情分類など。
  • チャットボット:会話履歴を渡して対話型アプリを構築。Converse APIが会話形式を標準化している。
  • RAG(社内文書に基づく回答):Knowledge Basesにドキュメントを登録し、根拠付きで回答させる。仕組みはLangChainを使ったRAGの解説と同じ検索拡張生成の考え方。
  • エージェント(自動化):Agentsで外部APIやツールを呼び出し、複数ステップの処理を自律実行する。発展形はエージェンティックRAGの記事が詳しい。
  • 画像生成:Nova CanvasやStability AIのモデルでテキストから画像を生成する。

Amazon Bedrockの使い方:4ステップで始める

初めてBedrockを使うときの手順は、大きく4段階です。コンソールで試してからAPIに移ると迷いません。

ステップ1:AWSアカウントとIAM権限を用意する

AWSアカウントと、有効な支払い方法を登録します。Bedrockのモデルはトークン従量課金なので、クレジットカード等の設定が済んでいないと初回の呼び出しで失敗します。あわせて、操作するIAMユーザー/ロールにBedrockの権限を付けます。管理されたAmazonBedrockFullAccessポリシーを付与するのが手早い方法です。サードパーティ製モデルを初めて使う場合は、後述のとおりaws-marketplace:Subscribe権限も必要になります。

ステップ2:モデルアクセスを有効化する

2026年時点では、旧来の「Model access」画面での一括申請は不要になりました。適切なAWS Marketplace権限があれば、コンソールのモデルカタログからモデルを選んでプレイグラウンドで開くか、APIで呼び出した時点で自動的にサブスクリプションが開始されます(完了まで最大15分ほどかかる場合があります)。

自動有効化の前提となるのは次の3点です。

  • IAM権限aws-marketplace:SubscribeUnsubscribeViewSubscriptions。初回の1回だけ必要で、有効化後は同一アカウントの他ユーザーは権限なしで呼び出せる。
  • 有効な支払い方法:AWS Marketplaceの購入に使える決済手段が登録されていること。
  • Anthropicモデルの初回利用フォーム:Claudeを使う場合、アカウント(または組織の管理アカウント)ごとに1回、用途を記入するフォーム(First Time Use)の提出が必要。提出後すぐにアクセスが付与される。

Anthropicのフォームでは用途の説明とWebサイトURLを求められます。個人開発者は会社サイトの代わりにGitHubプロフィールやポートフォリオのURLでも構いません。なおAmazon Novaは申請不要で既定のまま利用できます。

ステップ3:プレイグラウンドで試す

コンソールのプレイグラウンドは、コードを書かずにモデルの応答を確認できる画面です。モデルを選び、プロンプトを入力して出力・応答速度・トークン消費を見比べます。本番実装の前に、どのモデルが自社の用途に合うかをここで見極めておくと、後の作り直しを減らせます。

ステップ4:boto3のConverse APIで呼び出す

プログラムから使うときは、AWS SDK(Pythonならboto3)でbedrock-runtimeクライアントを作り、converseを呼びます。Converse APIはモデルをまたいで同じ形式でメッセージを送れるため、後からモデルを差し替えてもコードをほぼ変えずに済みます。

import boto3
from botocore.exceptions import ClientError

# Bedrock Runtime クライアントを作成(東京リージョンなら ap-northeast-1)
client = boto3.client("bedrock-runtime", region_name="ap-northeast-1")

# 使いたいモデルの ID を指定(最新のClaudeは推論プロファイルIDで呼び出す)
# 接頭辞は apac.、jp.、us.、global. などリージョンに合わせる。最新IDは公式カタログで確認
model_id = "apac.anthropic.claude-haiku-4-5-20251001-v1:0"

conversation = [
    {"role": "user", "content": [{"text": "Amazon Bedrockを一文で説明して"}]}
]

try:
    response = client.converse(
        modelId=model_id,
        messages=conversation,
        inferenceConfig={"maxTokens": 512, "temperature": 0.5, "topP": 0.9},
    )
    print(response["output"]["message"]["content"][0]["text"])
except ClientError as e:
    print(f"呼び出しに失敗しました: {e}")

modelIdを差し替えればClaude以外のモデルにも同じコードで切り替えられます。なお近年のClaude上位モデルは、接頭辞なしのオンデマンド指定ではなく、us.apac.jp.global.などの接頭辞が付いた推論プロファイルIDでの呼び出しが必要です。Bedrockを介さずAnthropic本家のAPIを直接使う選択肢もあり、料金やキー取得手順はClaude API(Anthropic API)の解説記事と比較して決めるとよいでしょう。

Amazon Bedrockでの画像生成

テキストからの画像生成には、Amazon Nova CanvasやStability AIのモデルを使います。画像系モデルは会話形式のConverse APIではなく、invoke_modelにモデル固有のパラメータを渡す形が基本です。Nova Canvas(モデルID amazon.nova-canvas-v1:0)の最小例は次のとおりです。

import boto3, json

client = boto3.client("bedrock-runtime", region_name="us-east-1")

native_request = {
    "taskType": "TEXT_IMAGE",
    "textToImageParams": {"text": "スチームパンク風の可愛いロボット"},
    "imageGenerationConfig": {"quality": "standard", "height": 512, "width": 512, "numberOfImages": 1},
}

response = client.invoke_model(modelId="amazon.nova-canvas-v1:0", body=json.dumps(native_request))
result = json.loads(response["body"].read())
base64_image = result["images"][0]  # Base64エンコードされた画像

返ってくる画像はBase64文字列なので、デコードしてファイルに保存します。Nova Canvasは電子透かしとコンテンツモデレーションが組み込まれており、商用利用でも扱いやすい構成です。画像生成モデルは東京リージョンに無い場合があるため、対応リージョンを事前に確認してください。

Amazon Bedrockの料金体系とコスト最適化

Bedrockには無料枠がありません。使った分だけ支払う従量課金で、料金はモデルと入出力トークン量で決まります。

課金方式(オンデマンド/バッチ/プロビジョンド)

  • オンデマンド:リクエストごとにトークン課金。試作や変動の大きい用途向け。
  • バッチ推論:大量データをまとめて処理する代わりに、オンデマンド比で単価が下がる(多くのモデルで約50%)。即時性が不要な一括処理向け。
  • プロビジョンドスループット:一定のスループットを時間単位で予約する。安定した高負荷向け。

主要モデルの料金目安

変動が速いため、正確な金額は必ずAWS公式の料金ページで確認してください。100万トークンあたりの目安は次のとおりです。

モデル例 入力(100万トークン) 出力(100万トークン)
Claude Sonnet 5 $3(※) $15(※)
Amazon Nova 2 Lite $0.30前後 $2.50前後

※Claude Sonnet 5は2026年8月31日までのプロモーション価格として入力$2/出力$10が案内されており、期間後は標準価格に戻ります。またクロスリージョン推論では、データ所在を特定地域内に保つ「地理的(Geographic)プロファイル」が、世界最適地へ振り分ける「グローバルプロファイル」より入出力とも約10%高くなります。データ所在要件があるかどうかでこの差を見込んでおきます。

コストを下げる3つの方法

コストは主に3点で下げられます。第一に、用途に対して過剰なモデルを避けること。分類や短い要約はNovaやHaiku系で十分なことが多く、最上位モデルを一律に使うと費用が跳ね上がります。第二に、即時応答が不要な処理はバッチ推論に回すこと。第三に、同じ前置きプロンプトを繰り返すならプロンプトキャッシュを使い、入力トークンの再課金を減らすことです。

東京リージョンでの利用

Bedrockは東京リージョン(ap-northeast-1)で利用でき、データを国内で処理したい要件にも応えられます。ただし、すべての最新モデルが東京リージョンに即座に来るわけではありません。Amazon Novaは東京リージョンで既定利用できますが、一部の上位モデルは東京リージョンに未提供のことがあります。

リージョン単体(In-Region)にないモデルを使いたい場合は、クロスリージョン推論を使います。推論プロファイルIDを指定すると、AWSがリクエストを利用可能なリージョンへ自動でルーティングします。プロファイルは2種類で、使い分けは次のとおりです。

  • グローバルプロファイル:世界の最適なリージョンへ振り分ける。スループットとコスト重視で、地理的プロファイルより約10%安い。
  • 地理的(Geographic)プロファイル:US・EU・APACなど地域内に処理を留める。データ所在・コンプライアンス要件がある場合に選ぶ(グローバルより約10%高い)。

データを国内・特定地域に留める必要があればAPACなどの地理的プロファイル、可用性とコストを優先するならグローバルプロファイル、という判断になります。

導入時のつまずきどころ(設定・運用)

Bedrockの導入で実際に問題になりやすいのは、性能よりも設定と運用の部分です。着手前に次の3点を押さえておくと、無駄な手戻りを防げます。

  • AccessDeniedExceptionが出る:初回呼び出しはバックグラウンドでサブスクリプションが進むため、権限不足や支払い方法未設定だと数分後にアクセス拒否になります。本番投入前にIAM権限・決済・Anthropicフォームを済ませておくのが確実です。
  • リージョンとモデルの不一致:コードのリージョンに存在しないモデルIDを指定すると呼び出せません。東京リージョンで動かすなら、対応モデルか、クロスリージョン推論プロファイルを使うかを先に決めます。
  • コストの想定外の膨張:長い会話履歴やRAGの大きなコンテキストを毎回丸ごと送ると、入力トークンが積み上がって費用が跳ねます。履歴の要約・コンテキスト長の上限設定・プロンプトキャッシュで抑制するべきです。

逆に言えば、この3点さえ整えれば、Bedrockはインフラを持たずに主要モデルを横断利用できる手軽な選択肢です。まず小さくプレイグラウンドで検証し、モデルと料金の当たりを付けてからAPIへ移すと、想定外のコストや権限エラーを避けられます。

よくある質問(FAQ)

Amazon Bedrockは無料で使えますか?

Bedrock単体の無料枠はありません。使ったトークン量に応じた従量課金です。ただしAWSのクレジットや、小さいモデル・少量のプロンプトで試せば、検証段階の費用はごくわずかに抑えられます。

Bedrockで自社データを学習(ファインチューニング)できますか?

できます。Bedrockはモデルのカスタマイズ(ファインチューニングや継続事前学習)に対応しており、自社データで既製モデルを調整できます。より深く自前で学習・運用したい場合はSageMakerが向きます。なお、標準の推論で送ったプロンプトが提供元のモデル学習に使われることはありません。

RedshiftなどAWSの他サービスと連携できますか?

連携できます。Redshiftのデータを分析・要約させたり、Lambda・S3・Knowledge Basesと組み合わせてRAGや自動化を組んだりと、AWS内のサービスとつなげて使うのが一般的な構成です。

どのモデルを選べばよいですか?

コスト重視ならAmazon Nova、日本語品質や複雑な推論を重視するならClaudeが基本線です。まずプレイグラウンドで自社の実データを流し、精度・速度・料金のバランスで決めるのが確実です。

生成された内容の安全性はどう担保しますか?

Bedrock Guardrailsで、禁止トピックや個人情報の出力を抑制するポリシーを設定できます。ハルシネーション(もっともらしい誤答)対策には、RAGで根拠を与える構成が有効です。より詳しくは、Amazon Comprehendの記事で整理しています。

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