デマンドジェネレーション(デマジェン・デマジェネ)は、2つの意味で使われる言葉です。1つはGoogle広告のキャンペーン種別「デマンド ジェネレーション」で、YouTube・Discover・Gmail・マップ・Googleディスプレイネットワークに画像や動画の広告を出す枠を指します。もう1つはBtoBマーケティングの「需要創出」で、見込み顧客の獲得から育成・選別を経て営業に商談を渡すまでの活動全体を指します。この記事では見分け方を示したうえで、Google広告のキャンペーンの配信面・入札・予算とP-MAXやディスプレイ広告との違い、BtoBの3工程と運用体制を、Google広告ヘルプとForresterの公式の記述で確認しながら整理します。
まとめ:デマンドジェネレーションの2つの意味と要点
- Google広告の意味:YouTube・Discover・Gmail・マップ・Googleディスプレイネットワークに配信するキャンペーン種別です。前身はファインドキャンペーンで、ディスプレイ広告キャンペーンもこの種別へ統合が進んでいます。
- BtoBの意味:需要創出の活動全体です。リードジェネレーション(獲得)、リードナーチャリング(育成)、リードクオリフィケーション(選別)の3工程をまとめた呼び名として使われます。
- 見分け方:入札・クリエイティブ・YouTube・広告アカウントの話ならGoogle広告、MA・リード・商談・インサイドセールスの話ならBtoBの需要創出です。
- P-MAXとの違い:P-MAXは検索を含むGoogleの全チャネルに配信し、オーディエンスはヒントとして扱います。デマンド ジェネレーションは検索を含まず、配信面とオーディエンスを自分で指定できます。
- 予算の目安:目標コンバージョン単価で入札するなら、1日の予算は目標単価の10倍以上が推奨です。目標単価2万円なら1日20万円です。
「デマジェン」「デマジェネ」が指す2つの意味と見分け方
語としてはDemand(需要)とGeneration(創出)の組み合わせで、直訳すると需要創出です。BtoBマーケティングで使われてきたこの用語に、2023年にGoogleの同じ名前の広告キャンペーンが加わり、同じ略語が2つのものを指すようになりました。
Google広告のキャンペーン種別とBtoBの活動区分の違い
2つは階層が違うので、比較して優劣をつける対象ではありません。Google広告のデマンド ジェネレーションは配信面と入札をまとめた広告の単位で、BtoBのデマンドジェネレーションは案件をつくるプロセス全体です。BtoB企業から見れば、Google広告のデマンド ジェネレーションは3工程のうちリード獲得で使える手段の1つにあたります。
| 比較軸 | Google広告のデマンド ジェネレーション | BtoBのデマンドジェネレーション |
|---|---|---|
| 正体 | 広告のキャンペーン種別 | マーケティングの活動区分 |
| 始まり | 2023年10月に全世界で提供開始 | BtoBマーケティングの慣用語 |
| 範囲 | 指定した配信面への出稿 | 獲得から商談化まで |
| 主な場所 | YouTube・Discover・Gmail・マップ・GDN | 自社サイト・MA・展示会・ウェビナー |
| 成果の見方 | コンバージョン・コンバージョン単価 | 商談化件数・受注 |
| 担当 | 広告運用担当・代理店 | マーケティング部門・インサイドセールス |
略称3系統と社外文書での正式名称の書き方
略し方は「デマジェン」「デマジェネ」「デマンドジェン」の3系統が並存し、どれが正式ということはありません。英語では demand gen と略し、Google広告の英語版のキャンペーン名も Demand Gen です。「ディマンドジェネレーション」も同じ語です。社外文書では、初出で「Google広告のデマンド ジェネレーション キャンペーン」か「需要創出(デマンドジェネレーション)」のどちらかを書いてから略してください。広告代理店とBtoBのマーケティング担当が同じ会議にいると、同じ「デマジェン」で別のものを指したまま話が進みます。
Google広告のデマンド ジェネレーション キャンペーンの配信面と経緯
ここからは広告の意味です。Google広告ヘルプの概要ページは、このキャンペーンで「Google の主要なサーフェス全体で最大 30 億人の月間アクティブ ユーザーにリーチできます」と説明しています。検索広告とは別の種別で、動画やフィードを見ている人に画像・動画・カルーセルの広告を表示します。
広告グループ単位で選べる7種類の配信面
チャネルコントロールのヘルプで選べる配信先は、YouTube インストリーム、YouTube インフィード、YouTube ショート、Discover、Gmail、マップ、Google ディスプレイ ネットワークの7つです。設定は広告グループ単位で、縦型の動画しか持っていないならYouTubeショートだけに出す、という絞り方ができます。マップは移行ヘルプで「マップ(ベータ版)」と表記されている段階で、配信されるのは未提携の住所表示オプションがアカウントで有効な場合だけです。
この選択肢は段階的に増えてきました。GDNとの統合を告知したヘルプによると、チャネルコントロールは2025年3月に導入され、同年4月にGDNのイメージ広告枠も配信範囲に加わりました。
ファインド広告からの移行とディスプレイ広告の統合
前身はファインドキャンペーンです。Googleは2023年10月10日の公式ブログで、デマンド ジェネレーションを全世界のGoogle広告利用者へ展開すると発表しました。ファインドからの移行を告知したヘルプには「2024 年 1 月~3 月の期間に残りのすべてのファインド キャンペーンが自動的にデマンド ジェネレーションにアップグレードされる」とあります。古い記事の「ファインド広告」は、いまのデマンド ジェネレーションです。
統合は続いています。Googleは2026年5月26日の公式ブログでGoogleディスプレイ広告キャンペーンをデマンド ジェネレーションへ移行し、2027年までの完了を見込むと発表しました。移行ヘルプの日程は「2026 年 6 月: 移行ツールの段階的なリリースを開始します」で、その後は新規のディスプレイ広告キャンペーンをデマンド ジェネレーション内でしか作れなくなり、残りは自動で移行されます。移行したキャンペーンはディスプレイ広告に戻せません。移行で使えなくなる機能と手順はディスプレイ広告の掲載面と2026年の移行対応で扱っています。
P-MAX・ディスプレイ広告とデマンド ジェネレーションの違い
検索結果の「他の人はこちらも質問」に出てくるのがこの比較です。Google広告ヘルプのFAQは違いを「P-MAX は、検索、マップ、ショッピングなどの Google のあらゆるチャネルで、コンバージョンを期待できる顧客をより多く見つけるのに役立ちます」「デマンド ジェネレーションは、Google の影響力の高いサーフェスでユーザーのエンゲージメントやアクションを引き出します」と書き分けています。デマンド ジェネレーションの概要ページとディスプレイ広告の移行ヘルプにある比較表から、3種類を並べると次のとおりです(CVはコンバージョン)。
| 項目 | デマンド ジェネレーション | P-MAX | ディスプレイ広告(移行前) |
|---|---|---|---|
| Google検索 | 含まない | 含む | 含まない |
| 主な配信面 | YouTube・Discover・Gmail・GDN | Googleの全チャネル | GDN・YouTube・Gmail |
| オーディエンス | 指定して絞る | シグナル(制限しない) | 指定して絞る |
| 類似セグメント | 使える | 記載なし | 使えない |
| 入札の目標 | クリック・CV数・CV値 | CV数・CV値 | 左に加え個別CPC・vCPM・CV課金 |
| カルーセル広告 | 使える | 記載なし | 使えない |
検索広告をすでに回していて、検索される前の段階の人に動画や画像で接点をつくりたいならデマンド ジェネレーション、検索も含めて配分をGoogleに任せたいならP-MAXです。手動の入札単価や表示回数課金で認知を買ってきたディスプレイ広告の運用は、移行後は同じやり方ができません。
デマンド ジェネレーションの入札・予算・ターゲティング・アセット要件
設定はGoogle広告ヘルプのキャンペーン作成手順の6ステップで進みます。ここでは出稿前に決める4点を取り上げます。
自動入札に限られる入札戦略と対象外の手動入札
作成手順のヘルプに並ぶ入札戦略は「コンバージョン値の最大化」「目標広告費用対効果(tROAS)」「コンバージョン数の最大化」「目標アクション単価(目標 CPA)」「クリック数の最大化」の5つで、移行ヘルプの比較表には目標クリック単価も載っています。移行ヘルプの機能一覧では、個別クリック単価、視認可能インプレッション、コンバージョンに対するお支払い、入札単価調整・季節性の調整・ポートフォリオ入札戦略が「デマンド ジェネレーションでは対象外」とされています。入札は自動入札だけで回す前提です。
作成手順のヘルプは、入札戦略の変更を「50 件程度のコンバージョン イベントが記録されてから行うことをおすすめします」としています。広告の審査には少なくとも24時間かかります。
目標コンバージョン単価の10倍以上という推奨予算の水準
概要ページの「始める前に」は、目標アクション単価で入札するキャンペーンでは「予算を目標アクション単価の 10 倍以上に設定することを推奨します」と書いています。デマンド ジェネレーションのベストプラクティスはこれを1日の予算として示し、目標値戦略は「1 日の予算を目標アクション単価の 10 倍以上」、最大化戦略は「1 日の予算を 10,000 円以上」としています。計算すると次の水準です。
| 目標コンバージョン単価 | 推奨される1日の予算 | 30日換算 |
|---|---|---|
| 5,000円 | 50,000円以上 | 150万円以上 |
| 10,000円 | 100,000円以上 | 300万円以上 |
| 20,000円 | 200,000円以上 | 600万円以上 |
管理画面の予算パネルにも、設定とアカウントの履歴から最大3つ(低・中・高)の1日の予算の推奨値が表示されます。
類似セグメントとカスタマーマッチを軸にしたターゲティング
広告グループでは、カスタムセグメント、データセグメント、類似セグメント、興味・関心、詳しいユーザー属性からオーディエンスを選びます。類似セグメントは、購入者・サイト訪問者・YouTubeチャンネルの視聴者などのリストを元に、似た特徴のユーザーへ広げる機能で、ディスプレイ広告では使えなかったものです。移行ヘルプの機能一覧では、カスタマーマッチ、リマーケティングリスト、コンテンツターゲット、プレースメントとトピックの除外も「サポート対象」です(カスタマーマッチの利用条件は後述)。
注意点は「最適化されたターゲティング」です。ヘルプは有効にするとユーザー属性のターゲットの拡張も適用され、選んだ属性以外の年齢・性別などにも配信が広がると説明しています。ユーザー属性の拡張は指定した年齢と性別に制限することもできます。配信先を絞って検証したい初期は、この設定を外した広告グループを1つ用意して比べてください。オーディエンスの拡張の仕組みはオーディエンス拡張の仕組みと2026年の仕様変更で詳しく扱っています。
画像広告の必須アセット(横向き・スクエア画像とロゴ)と任意の動画
アセットの仕様ページが必須としているのは次の項目です。動画は必須ではありませんが、横・縦・スクエアの各比率で10〜60秒の動画を3本ずつ用意するよう推奨されています。作成手順には動画を1つだけ含む動画広告もあり、画像を使わず動画だけで出稿することもできます。
| アセット | 仕様 | 必須 |
|---|---|---|
| 横向き画像 | 1.91:1・1,200×628px(最小600×314) | 必須 |
| スクエア画像 | 1:1・1,200×1,200px(最小300×300) | 必須 |
| ロゴ | 1:1・1,200×1,200px(最小144×144) | 必須 |
| 縦向き画像 | 4:5・960×1,200px(最小480×600) | 任意 |
| 広告見出し | 全角20文字・1〜5個 | 必須 |
| 説明文 | 全角45文字・1〜5個 | 必須 |
| ビジネス名 | 全角12文字・1個 | 必須 |
| 最終ページURL | 半角2,048文字・1個 | 必須 |
広告見出しのうち少なくとも1つは全角15文字(半角30文字)以内にしないと、ディスプレイネットワークで配信できません。検索広告と違い、出稿前に画像の制作費が先に発生します。
BtoB企業がデマンド ジェネレーションでリードを獲得するときの設計
2つの意味が交わるのがここです。BtoBのリード獲得をこのキャンペーンで担うときは、検索広告と前提が違います。
リードフォーム非対応と自社サイトのフォームでのCV計測
作成手順では広告掲載の目標に「見込み顧客の獲得」を選べます。ただしリードフォームのヘルプは「リードフォームは、検索キャンペーンと P-MAX キャンペーンに追加できます。」としており、デマンド ジェネレーションは対象に入っていません。移行ヘルプのエラー一覧にも「リードフォーム アセットはサポートされていません」とあります。広告上で入力を完結させることはできないので、資料請求やウェビナー申込のフォームは自社のランディングページに置き、そこでのフォーム送信をコンバージョンとして計測します。
件数の取れる中間CVでの学習と商談データの戻し方
BtoBで本当に追いたい成果は商談化ですが、商談は月に数件から20件程度しか出ない事業が多く、作成手順のヘルプが入札戦略の変更の目安にしている「50 件程度のコンバージョン」に届きません。そこで、件数の取れる資料ダウンロードや問い合わせをまず学習の目標にし、営業が商談化と判定したリードを後からGoogle広告に戻す二段構えにします。
戻す仕組みが、オフラインコンバージョンのインポートと、その上位版のリードの拡張コンバージョンです。ヘルプは後者を「メールアドレスなどのユーザー提供データを使って、インポートされたオフライン コンバージョン データを補完する」仕組みと説明しています。デマンド ジェネレーションのベストプラクティスも、オフラインデータは「少なくとも 3 つの主要な識別子」(GCLID、PII、IP、トランザクションIDなど)で取り込み、「ID ベースのシグナル(PII または IP アドレス)を優先する必要があります」としています。YouTubeのコンバージョンの大部分はクリック以外のエンゲージメント(エンゲージビュー)で発生するので、クリックIDだけでは結び付かないためです。
実装上の注意が3つあります。1つ目は、2026年6月15日からAPIでのアップロードはData Manager APIに移っており、Google Ads APIからはブロックされていることです。2つ目は、エンゲージビューのコンバージョンのヘルプが、動画のエンゲージビューに結び付けるには「コンバージョンの日時から 14 日以内にコンバージョン イベントをアップロードする必要があります」としていることです。商談の判定に2週間以上かかるなら、判定を待たずに営業が受け取った時点(SAL)を先に戻します。3つ目は、ビュースルーコンバージョンの最適化がオフラインコンバージョンに対応していないことで、商談データを戻しても視聴後の成果の最適化には使われません。
カスタマーマッチのターゲティングに必要な利用実績(90日・5万米ドル)
既存顧客や狙いたい企業の担当者リストで配信を絞る使い方は、カスタマーマッチのヘルプの条件に左右されます。「ターゲティング」設定で使えるのは「Google 広告で 90 日以上のご利用実績があり、ご利用金額が通算 5 万米ドルを超えている広告主様」で、条件を満たさないアカウントは「モニタリング」設定と除外設定でしか使えません。初めて広告を出すBtoB企業が、名刺リストだけで配信先を絞ることはできないということです。またアップロードできるのは「ファーストパーティの文脈で直接収集した顧客情報」に限られ、法律上必要な場合は第三者との共有について同意を得ることも求められています。購入した企業リストや、同意の範囲が不明な名刺は使わないでください。
類似セグメントは条件が緩く、類似セグメントのヘルプによると、既定の提案モードでは「類似セグメントの作成に必要な基となるリストの最小サイズ(100 人)は適用されなくなりました」。ただしカスタマーマッチのリストを元にした類似配信は、前述の利用実績の条件に含まれる可能性があるため、条件を満たさないアカウントはサイト訪問者やYouTubeチャンネルの視聴者のリストを元にしてください。
推奨予算の下限から決める出稿可否の判断基準
推奨予算の10倍ルールを当てはめると、BtoBで見積もり依頼1件に3万円まで払える事業でも、1日30万円・月900万円が目安になります。月の広告予算がこれに届かないなら、目標単価の入札ではなく、資料ダウンロードのような件数の多い地点を目標にするか、「クリック数の最大化」でサイトへの流入を買う段階から始めるのが現実的です(ベストプラクティスは最大化戦略でも1日10,000円以上を推奨)。どちらも取れないなら、このキャンペーンより先に検索広告と自社サイトの資料整備に予算を回してください。
BtoBの需要創出の3工程と原典モデルとの違い
ここからはBtoBマーケティングの意味です。3工程で説明するのは日本のBtoBマーケティングで定着した整理です。
リードジェネレーションとの違いは担当する区間の広さ
もっとも混同されるのがリードジェネレーションで、こちらは名刺やフォーム入力といった連絡先の獲得までを担当します。デマンドジェネレーションはその獲得を含み、獲得後のリードナーチャリング、営業に渡す相手を絞るリードクオリフィケーションまでを含みます。包含関係であって並列ではありません。リードジェネレーションだけを目標にすると件数は増えても商談化しないリードが積み上がるため、デマンドジェネレーションとして設計するときは、評価対象を営業が受け取って商談化した件数に移します。
獲得・育成・選別の役割と次の工程に渡すもの
| 工程 | 答える問い | 主な手段 | 次に渡すもの |
|---|---|---|---|
| リードジェネレーション | 誰が関心を持っているか | 展示会・資料請求・広告 | 連絡先の付いたリード |
| リードナーチャリング | 関心はどこまで育ったか | メール・ウェビナー・事例 | 行動履歴の付いたリード |
| リードクオリフィケーション | いま営業が会うべきか | スコアリング・ヒアリング | 営業が受け取る商談候補 |
選別の出口は、後述するMQL(マーケティングが認定)とSQL(営業が認定)の判定です。3工程は行動履歴の蓄積が前提なので、多くの場合マーケティングオートメーション(MA)が土台になります。ただしナーチャリングで配信する中身とクオリフィケーションの判定条件を人が決めない限り、MAは配信の自動化にとどまります。
3工程とデマンドウォーターフォールの分類基準の違い
3工程の出所として調査会社SiriusDecisionsのデマンドウォーターフォールが挙げられることがありますが、3工程という切り方を定義した原典には、調べた範囲ではたどり着けませんでした。確認できるのは、ウォーターフォール側の段階名が3工程と一致しないことです。
Forresterの公式ブログは、デマンドウォーターフォールの初出を2006年とし、2012年に再設計版、2017年にDemand Unit Waterfallへ展開したと書いています。2017年版は需要単位(demand unit)を「a buying group that has been organized to address a need the organization is challenged with(組織が抱えるニーズに対応するために編成された購買グループ)」と定義し、active demand、engaged demand、qualified demand、pipeline、closed/won の段階で追います。追う対象はリード個人ではなく購買グループです。同ページでは現在の名称として「Forrester B2B Revenue Waterfall」が案内されています。SiriusDecisionsは2019年1月3日にForresterが買収を完了しています。
ウォーターフォールの段階は需要の状態を追う区分で、3工程は活動を主語にした区分です。KPIを置くのは状態側の段階、施策を割り当てるのは活動側の3工程、と役割を分けてください。版ごとの段階の違いはSiriusDecisionsとデマンドウォーターフォール4版の解説で扱っています。
需要創出の運用前に決める体制・引き渡し基準・見送る条件
デマンドセンターへの集約と事業部別運用の判断基準
3工程を1つの組織に集約した体制を、国内のBtoBではデマンドセンターと呼びます。マーケティング部門とインサイドセールスを同じ指標で動かし、リードの取りこぼしが誰の責任かを特定できるのが利点です。集約するかの判断材料は、扱うリードが同じ購買層に向いているかどうかです。購買層と判定基準が共通なら集約を優先し、事業部ごとに異なるならデータ管理だけ共通化して認定判断は各事業部に残してください。集約後は、MQLの件数ではなく、営業がSQLとして受け取った件数を共通の指標に置きます。対象企業を数十社に絞る場合はABM(アカウントベースドマーケティング)の設計を先に検討します。
営業への引き渡し基準とMQL・SAL・SQLの定義
クオリフィケーションの基準が言語化されていないと、マーケティングは「渡した」と考え、営業は「使えるリードが来ない」と言う状態が続きます。最低限、マーケティングが認定した段階(MQL)と、営業が見込み顧客として認定した段階(SQL)を定義し、その間に営業が受領を確認する段階(SAL)を置くかを決めてください。
定義の書き方はHubSpotのライフサイクルステージが参考になります。MQLは「a contact or company that your marketing team has qualified as ready for the sales team.(マーケティングチームが営業チームに渡す準備ができたと認定した連絡先または会社)」、SQLは「a contact or company that your sales team has qualified as a potential customer.(営業チームが見込み顧客として認定した連絡先または会社)」です。判定の主語が部門で書き分けられている点が要点です。判定基準の具体はクオリファイドリードとMQL・SQL・PQLの違いで整理しています。
広告にも需要創出の仕組みにも投資を見送る条件
次のいずれかに当てはまるなら、Google広告のデマンド ジェネレーションにも、需要創出の仕組みづくりにも、先に手を付けるべきことがあります。
- 紹介と指名で受注枠が埋まっている:リードを増やしても営業が対応できません。先に対応能力を増やします。
- 検討期間が短く単価も低い:ナーチャリングを挟む余地がないので、検索広告と即時対応に絞った方が速く回ります。
- 営業側にリードを受け取る運用がない:渡し先が決まっていない状態でリードを増やすと、対応遅れでかえって印象を損ないます。
- 画像も動画も用意できない:画像広告には横向き(1.91:1)とスクエア(1:1)の画像とロゴが必須で、動画広告には動画が要ります。どちらも用意できなければ出稿できず、動画が無ければYouTubeの配信面を活かせません。
逆に、検討期間が長く関与者が複数いる商材で、営業が個別に追客しきれない件数のリードを抱えているなら、3工程を分けて回す効果が出ます。広告・計測・リード管理をまとめて設計し直す場合は、Webマーケティング戦略の支援で全体の順序から相談できます。
よくある質問
「デマジェン」とは何ですか?
デマンドジェネレーションの略です。広告運用の会話ではGoogle広告のキャンペーン種別「デマンド ジェネレーション」を、BtoBマーケティングの会話ではリードの獲得・育成・選別を通じて営業に商談を渡す需要創出の活動全体を指します。
P-MAXとデマンドジェネレーションの違いは何ですか?
P-MAXは検索・マップ・ショッピングを含むGoogleの全チャネルに配信し、オーディエンスはAIへのヒントとして扱います。デマンド ジェネレーションは検索を含まず、配信面を選び、類似セグメントなどのオーディエンスを指定できます。
デマンドジェネレーションとディスプレイ広告の違いは何ですか?
デマンド ジェネレーションは配信面にDiscoverやYouTubeショートを含み、類似セグメントとカルーセル広告が使えますが、個別クリック単価や視認範囲のインプレッション課金は使えません。ディスプレイ広告キャンペーンはデマンド ジェネレーションへ統合中で、2026年6月から移行ツールの段階的な提供が始まっています。
デマンドジェネレーションの予算はいくら必要ですか?
目標コンバージョン単価で入札するなら、1日の予算を目標単価の10倍以上にするのがGoogle広告ヘルプの推奨です。目標単価1万円なら1日10万円、30日で約300万円です。最大化戦略でも1日10,000円以上が推奨されています。
デマンドジェネレーションとリードジェネレーションの違いは何ですか?
担当する区間の広さが違います。リードジェネレーションは連絡先の獲得までで、デマンドジェネレーションはその後の育成と選別を経て営業に渡すところまでを含みます。