AhrefsとSemrushは、競合サイトの流入キーワードや被リンクを調べるSEOツールの二大定番です。2026年は両社とも料金体系を組み替え、SemrushはAdobeの傘下に入りました。古い比較記事の「Semrushの主力はPro・Guru・Business」「Ahrefsは英語のみ」という前提は、もう当てはまりません。この記事では、2026年10月時点の公式料金ページと各社のデータ公開ページをもとに、料金・データの性質・順位計測の頻度・AI検索の可視性計測・日本での契約のしやすさを比べ、用途別にどちらを選ぶかを示します。
まとめ:AhrefsとSemrushはどちらを選ぶべきか
被リンク調査と、APIでのデータ取り出しを重視するならAhrefsです。順位を毎日追いたい、広告・SNS・市場調査まで1つの契約で扱いたい、請求書払いが必要という条件があればSemrushを選びます。入口の料金はほぼ同じで、Ahrefs Liteが月19,900円、Semrushの単体SEOプランが月139ドル。差が出るのは上限の設計にあります。Ahrefsは順位の更新が全プラン週1回で、Lite以外はレポートのクレジットが無制限です。Semrushは順位を毎日更新し、AI検索で追えるプロンプト数が多い代わりに、APIはAdvancedに限られます(MCPはStarterから月5万APIユニット付きで使えます)。自社サイトだけを見るなら、どちらも契約せずにSearch ConsoleとAhrefsの無料版で足ります。
AhrefsとSemrushの違い|出自と2026年の立ち位置
Ahrefs:被リンク調査から始まった独立系ツール
Ahrefsはシンガポールに本社を置くAhrefs Pte. Ltd.のツールで、被リンクの調査から始まりました。自社クローラーのAhrefsBotがウェブを巡回して被リンクの索引を作り、DR(ドメインレーティング)はこの索引から算出する独自指標です。Ahrefsのデータ公開ページでは、毎分500万ページをクロールし、被リンクの索引を15〜30分ごとに更新していると説明しています。現在の製品群は順位計測、サイト監査、AI検索でのブランド露出を測るBrand Radarまで広がりました。DRの定義と読み方はドメインレーティング(DR)とは?Ahrefs公式の定義・目安・調べ方で解説しています。
Semrush:2026年4月からAdobe傘下のマーケティング基盤
SemrushはSEOに加えて、リスティング広告、SNS、市場・トラフィック分析、コンテンツ制作まで扱う統合型のツールです。Adobeは2025年11月19日に1株12ドル・株式価値約19億ドルの全額現金での買収を発表し、2026年4月28日に買収完了を発表しました。現在は「Semrush, an Adobe company」として運営されています。料金は機能ごとのツールキットを組み合わせる方式に変わりました。SEOとAI検索を束ねた「Semrush One」が中心で、そこに広告やローカルSEOのツールキットを足していきます。
主要機能の比較
| 項目 | Ahrefs | Semrush |
|---|---|---|
| 被リンク分析 | 中核機能 | 対応 |
| 順位計測の更新 | 全プラン毎週 | 毎日 |
| AIプロンプト追跡 | Lite以上(月150チェック〜) | Starter以上(1日50件〜) |
| 広告分析 | 検索広告の履歴 | 別ツールキット |
| SNS管理 | ベータ版 | 別ツールキット |
| API・MCP | Liteから両方 | MCPはStarter・APIはAdvanced |
| 日本語UI | 対応(15言語) | 対応(一部未対応) |
| 無料トライアル | なし | 7日間 |
表のとおり、機能の有無ではもう差がつきません。選ぶ決め手は、順位を見る頻度、API・MCPの扱い、広告やSNSまで1つの契約で済ませたいかの3点です。
料金比較|2026年10月時点の公式価格
両社の料金ページ(Ahrefs/Semrush)に載っている月払いの価格です。どちらも年払いにすると最大17%安くなります。Ahrefsは日本から見ると円の税抜価格で表示され、Semrushはドル建てです。
| プラン | 月額 | 順位計測 | 主な上限 |
|---|---|---|---|
| Ahrefs Starter | 4,460円 | 50語 | 200クレジット |
| Ahrefs Lite | 19,900円 | 750語・毎週 | 1,000クレジット |
| Ahrefs Standard | 38,400円 | 2,000語・毎週 | クレジット無制限 |
| Ahrefs Advanced | 68,900円 | 5,000語・毎週 | 履歴5年 |
| Ahrefs Enterprise | 230,900円 | 1万語から | 年契約のみ |
| Semrush Free | 0ドル | なし | 1日10レポート |
| Semrush SEO | 139ドル | 500語・毎日 | 5サイト |
| Semrush Starter | 199ドル | 500語・毎日 | AI追跡50件/日 |
| Semrush Pro+ | 299ドル | 1,500語・毎日 | 過去データ |
| Semrush Advanced | 個別見積り(日本語サイトは549ドル表示) | 5,000語から | API |
Ahrefsの料金:Lite以外はクレジット無制限
AhrefsはLite・Standard・Advanced・Enterpriseの4段階に、下位のStarter(月4,460円)を加えた構成です。Starterのヘルプ記事によると、Starterは月200クレジット・順位計測50語・過去データ1か月で、月払いでしか更新できず、ユーザーやクレジットの追加購入もできません。試しに競合を数件のぞく用途の入口です。Liteは1ユーザーあたり月1,000クレジットで、レポートを開くたびに消費します。Standard以上は無制限なので、毎日競合を何十件も調べるならStandardが実質の標準になります。過去データはLiteが6か月、Standardが2年、Advancedが5年です。追加ユーザーはLiteで月6,160円、2人まで足せます。公式FAQは「当社では割引を提供しておりません」と明記していて、無料トライアルもありません。
Semrushの料金:ツールキット制への移行と旧プランの扱い
Semrushの公式価格ページに並ぶのは、単体のSEO(月139ドル)と、SEOとAI検索を束ねたStarter(199ドル)・Pro+(299ドル)・Advanced(個別見積り)です。かつての主力だったPro・Guru・Businessは、公式価格ページのプラン一覧には表示されていません。ただし、日本総代理店の株式会社オロが運営するSemrush日本語サイトの料金ページには、「SEOクラシック」としてPro 139.95ドル・Guru 249.95ドル・Business 499.95ドルが今も併記されています。比較記事でGuruの金額を見かけても、新規契約の主な選択肢はStarterとPro+だと考えてください。追加ユーザーは月45ドルから(旧GuruとBusinessは80ドルと100ドル)で、広告(99ドルから)や市場とトラフィック(289ドル)は別のツールキットとして足します。
月2万円帯と月4万円帯での比較
入口のAhrefs LiteとSemrush SEOは、1ドル150円で換算すると月2万円前後でほぼ並びます。順位計測は、Ahrefsが750語を週1回、Semrushが500語を毎日です。日々の順位変動を顧客に報告する運用ならSemrush、月次で傾向を見るならAhrefsの語数の多さが効きます。月4万円前後の帯では、Ahrefs Standard(38,400円)とSemrush Pro+(299ドル、約44,850円)が並びます。Ahrefsは2,000語の順位計測・過去2年のデータ・クレジット無制限、Semrushは1,500語の日次計測・15サイトの監視・キーワードのカニバリ分析が付きます。調べる回数が多いならAhrefs、監視するサイトが多いならSemrushです。
データの違い|公称規模・更新頻度・数値が一致しない理由
同じドメインを調べても、被リンク数や流入キーワード数は2つのツールで一致しません。各社の公称値は次のとおりです。
| 公称値 | Ahrefs | Semrush |
|---|---|---|
| 被リンク | 35兆 | 43兆超 |
| キーワード | 約290億 | 288億 |
| クロール | 毎分500万ページ | 1日約100億ページ |
数字だけならSemrushの被リンクが多く見えます。ただ、Semrushのデータ解説は43兆を被リンクのデータベース全体の件数として出しています。Ahrefsは自社の比較ページで35兆を「有効な被リンク」の索引と呼び、Semrushの43兆はリンク切れ込みの数だという立場です。ところが同じAhrefsのデータ公開ページ(英語)では、35兆は「External backlinks history」(外部被リンクの履歴)の件数として載っています。同じ会社の中でも数え方の呼び名がそろっていないので、件数の大小でツールを選ぶのは無意味です。キーワードの更新もSemrushは「人気に応じて1日1回から月1回」と説明していて、検索数の少ない語ほど更新の間隔が空きます。日本市場の厚みでは、Ahrefsが国別の内訳を公開しており、日本のキーワードは8億5,100万語です。
どちらの数値も推定値です。自社サイトの表示回数と順位はSearch Consoleが正で、ツールの推定流入は競合比較の物差しとして使います。両ツールともSearch Consoleと連携できるので、まず自社の実データとのずれを確かめてから競合の数字を読むと判断を誤りません。Search Consoleの基本はサーチコンソールとは?できること・設定手順とSEO改善への使い方にまとめています。
AI検索(AEO・GEO)の可視性計測の違い
ChatGPTやGoogleのAIによる概要で自社ブランドが言及されているかを測る機能は、両社とも2026年の料金体系に入っています。ただし設計の考え方は逆です。
AhrefsのBrand Radar AIは、Ahrefsが集めた4億9,200万件超のプロンプトのデータベースから、任意のブランドの露出をプロンプトを登録せずに調べられます。ただし基本プランには含まれない別売りの製品で、月30,600円からの追加契約になります。基本プランに付くのは自分で決めたプロンプトの追跡枠だけで、Liteは月150チェックと小さく、Starterには枠がありません。1チェックは1プロンプトを1プラットフォーム・1地域で1回追跡した分なので、5件のプロンプトを1つのAIで毎日追えば使い切ります。Semrushは逆に、Starterで1日50件、Pro+で1日100件のプロンプトを毎日追跡でき、順位計測ツールでもChatGPTとGoogleのAIモードでの露出を日次で監視できます。
決めたプロンプト群の推移を毎日報告するならSemrush、競合ブランドがAIの回答でどれだけ言及されているかを広く調べるならAhrefs(Brand Radar AIの追加契約が前提)です。AI検索への対策の考え方はGEO(生成エンジン最適化)とは?SEOとの違い・E-E-A-Tとの関係、Google側の計測はサーチコンソールの生成AIレポートとは?見方と指標の限界で扱っています。
日本で契約するときの違い|日本語UI・支払い・無料で試す方法
日本語対応の範囲
「Ahrefsは英語のみ」は古い情報です。Ahrefsのヘルプセンターは、画面下部の言語選択から日本語を含む15言語に切り替えられると案内しています。料金ページやヘルプ記事も日本語で読めます。Semrushも日本語UIに対応していますが、オロのFAQは「コンテンツマーケティング機能など一部の機能は日本語には対応しておりません」と書いています。日本語で問い合わせたいなら、日本総代理店を持つSemrushのほうが窓口は明確です。
支払い方法と請求書
Ahrefsの支払いはVisa・Mastercard・American Express・UnionPayのカードが基本で、電信送金(海外送金)はEnterpriseプランで要望があった場合だけの対応です。Semrushもカードの前払いが基本ですが、オロのFAQによると、法人でカードを使えない場合はオロの決済代行で請求書払いができます(別途手数料あり)。オロ経由で申し込んでも契約はSemrush本体との直接契約で、定価から上乗せはありません。適格請求書発行事業者番号(T4700150115110)も公開されています。経理の都合で請求書払いが必須なら、この時点でSemrushに絞られます。なお、Semrushはアカウントの共有ができず、同じアカウントに別の人がログインすると先に入っていた人が強制的にログアウトされます。
Semrushの7日間トライアルとAhrefs Free
Semrushは7日間の無料トライアルがあり、オロ経由で申し込むとGuruプランを試せて、終了後に自動課金されません。登録だけで使えるFreeプランは1日10レポートです。Ahrefsにはトライアルがない代わりに、Ahrefs Free(旧称Ahrefsウェブマスターツール)があります。所有権を確認した自社サイトなら、サイトエクスプローラーで被リンクとキーワードを1,000件まで表示でき、サイト監査はプロジェクトあたり月5,000クロールクレジットまで使えます。競合サイトはサイトエクスプローラーで詳しく調べられない(ツールバーでDRを見る程度)ので、有料にするかどうかは「競合をどれだけの頻度で調べるか」で決まります。
どちらを選ぶべきか|用途別の判断基準
被リンク調査・データ連携が中心ならAhrefs
リンク獲得の施策、競合のリンク元の洗い出し、リンク切れの回収が業務の中心ならAhrefsです。Liteの時点でAPIとMCPサーバーの両方が使えるので、ClaudeなどのAIエージェントから順位や被リンクを取り出して社内レポートを自動化する用途にも向きます(SemrushもStarterからMCPは使えますが、APIはAdvancedからです)。MCPの設定とAPIユニットの消費はAhrefs MCPとは?できること・設定方法・料金とAPIユニット消費の仕組みで解説しています。
日次の順位報告や広告・SNSまで一本化するならSemrush
クライアントへ毎日の順位を報告する代理店(SEOプランでも500語を毎日計測)、検索広告とSEOを同じチームで運用する組織(広告ツールキットは月99ドルから)、請求書払いが必要な企業はSemrushが合います。広告・ローカルSEO・SNS・市場分析のツールキットを必要な分だけ足せるので、使わない機能に払わずに済みます。
選ばないほうがよい条件
自社サイト1つの改善だけが目的なら、どちらも契約しないのが正解です。Search ConsoleとAhrefs Freeで、自社の表示クエリ、被リンク、技術的な問題まで確認できます。また、使い分けを決めないまま両方を契約すると、キーワード調査と順位計測が重複したまま、入口のプランどうしでも合計が月4万円を超えます。片方で3か月運用して、足りない機能が具体的に挙がったときだけ2本目を検討してください。ツール選定から施策の設計までまとめて任せたい場合は、弊社のSEO内部施策・キーワード設計の支援でもご相談を受けています。
Ahrefs・Semrushで競合を調査する手順
どちらのツールでも、競合調査は次の順に進めます。
- 競合を特定する:Ahrefsはサイトエクスプローラーのオーガニック競合、Semrushはオーガニック調査の競合タブで、検索結果で実際に競り合っているドメインを出します。
- 流入キーワードを見る:競合の上位ページと、それを支えるキーワードを確認します。
- キーワードの差分を出す:AhrefsのContent gap(競合最大10件)、SemrushのKeyword Gap(自社を含め最大5ドメイン)で、競合が取れていて自社が取れていない語を抽出します。
- 被リンクの差分を出す:Ahrefsのリンク交差、SemrushのBacklink Gapで、競合にだけリンクしているサイトを洗い出します。
- 優先順位を付ける:検索意図が自社の事業に合い、競合の上位ページより深く書ける語から着手します。
3の差分の読み方と、埋めなくてよいギャップの見分け方はコンテンツギャップ分析とは?競合と自社データで不足トピックを見つける手順と優先順位で詳しく扱っています。
代替・併用ツール|Similarweb・Moz・AKARUMI
Similarwebは、サイト全体の訪問数や流入元の内訳など、市場とトラフィックの推定が本業です。SEO改善の作業はAhrefsやSemrushのほうが細かく、Semrushには同じ領域を扱う「市場とトラフィック」ツールキット(月289ドル)があります。MozはDA(ドメインオーソリティ)の提供元で、指標の考え方はMozのDA(ドメインオーソリティ)の調べ方と数値の読み方で比べています。AKARUMI(アカルミ)は株式会社ipeが提供するLLMO分析ツールで、同社の製品リリースでもSEO全般ではなくAI検索での露出の分析を軸にしています。乗り換えを考えるときは、毎週見ている指標が被リンク・キーワード・トラフィックのどれかを先に決め、それを最も細かく出せるツールに移します。
よくある質問
SemrushとAhrefsはどちらがおすすめですか?
被リンク調査とAPIでのデータ連携(Liteから利用可)が中心ならAhrefs、毎日の順位計測や広告・SNSまでの一本化、請求書払いが必要ならSemrushです。入口の月額はAhrefs Lite 19,900円、Semrush SEO 139ドルでほぼ同じなので、価格より順位の更新頻度とAPIの扱いで決めてください。
AhrefsやSemrushはAEO対策にも使えますか?
使えます。AhrefsはBrand Radar AI(基本プランとは別契約で月30,600円から)で任意のブランドのAI回答での言及を調べられ、Lite以上のプランには自分のプロンプトを追跡する枠(Liteは月150チェック)があります。SemrushはStarterで1日50件、Pro+で1日100件のプロンプトを毎日追跡できます。決まったプロンプトの定点観測ならSemrush、競合ブランドの調査ならAhrefsが向きます。
Ahrefsに無料版はありますか?
Ahrefs Free(旧称Ahrefsウェブマスターツール)があります。所有権を確認した自社サイトについて、被リンクとキーワードの確認やサイト監査を無料で使えます。競合サイトの調査は有料プランが必要で、無料トライアルはありません。
SemrushとSimilarwebの違いは何ですか?
Semrushはキーワード・被リンク・順位計測などSEOの作業に使う機能が中心で、Similarwebはサイト全体のトラフィックや流入元の推定が中心です。SEOの改善ならSemrush、市場の中での競合の訪問規模を比べたいならSimilarwebが合います。Semrushの「市場とトラフィック」ツールキットを足せば、Semrush1本で両方を扱えます。
AKARUMI(アカルミ)とSemrushの違いは何ですか?
AKARUMIは株式会社ipeのLLMO分析ツールで、ChatGPTなどのAI検索での自社の露出を調べることに特化しています。Semrushは検索順位・被リンク・広告までを扱うSEOツールで、AI検索の可視性はその機能の一部です。AI検索だけを見たいならAKARUMI、検索とAI検索をまとめて管理したいならSemrushが候補になります。