BtoBtoCとは?仕組み・ビジネスモデル4類型とBtoB・DtoCとの違いを解説
BtoBtoC(B2B2C)は、BtoBやBtoC、さらにDtoCと言葉が似ているために混同されやすいビジネスモデルです。「結局どこが違うのか」「自社の事業はどれに当たるのか」が曖昧なまま議論が進むと、マーケティングの打ち手を誤ります。この記事では、BtoBtoCの定義と商流の仕組み、代表的な4つのビジネスモデル、BtoB・BtoC・DtoCとの違い、楽天やShopifyといった具体的な企業・サービス例、そして成功と失敗を分ける設計までを整理します。
まとめ:BtoBtoCの要点
- BtoBtoCとは、企業(B)が別の企業(B)を介して最終消費者(C)に商品・サービスを届けるビジネスモデル。楽天市場やAmazonマーケットプレイス、食べログ、Shopifyが典型例。
- BtoBとの違いは「最終顧客が消費者である」点、DtoC(D2C)との違いは「間に別の企業が入る」点。この2つの比較軸を押さえると混同しない。
- ビジネスモデルは大きく4類型(プラットフォーム型/送客・代理店型/OEM・卸売型/SaaS・システム提供型)に分けられる。
- 成功可否を分けるのは「最終消費者のデータと接点を誰が握るか」。パートナー任せで自社に顧客が残らない座組は避ける。
以下で、定義・仕組みから順に、それぞれの論点を具体例とともに掘り下げます。
BtoBtoCとは?定義と商流の仕組み
BtoBtoCの定義と「三方よし」の関係
BtoBtoCは Business-to-Business-to-Consumer の略で、ある企業(1社目のB)が別の企業(2社目のB)を経由して、最終消費者(C)へ商品やサービスを届けるモデルを指します。単なる下請け構造ではなく、3者それぞれに利益が生まれる関係が前提です。プラットフォーム提供者は手数料や利用料を得て、出店・提携する企業は集客力を借りて販売機会を得て、消費者は多様な選択肢と利便性を得ます。売り手・買い手・世間の三方が得をする「三方よし」に近い関係が続くことが、モデルが持続する前提になります。
登場人物と商流の構造
BtoBtoCには2種類のBが登場します。片方は消費者との「場」や「基盤」を提供する企業(例:ECモール、予約サイト、EC構築サービス)、もう片方はその場を使って消費者に販売する企業(例:モール出店店舗、掲載飲食店)です。消費者から見える相手は後者の販売企業ですが、その裏側で前者が決済・集客・システムを支えています。この「基盤を提供する側」と「消費者に売る側」の役割分担こそがBtoBtoCの核であり、どちらの立場で事業を組むかによって取るべき戦略が変わります。
BtoBtoCが増えている背景
BtoBtoCが増えている背景には、プラットフォーム経済の拡大と各社のDX推進があります。自社単独で集客・決済・物流をすべて整えるのは負担が大きく、既に消費者を抱えるプラットフォームに乗る方が立ち上げが速いためです。経済産業省の電子商取引に関する市場調査でも物販分野のEC化率は年々上昇しており(最新値は同調査で確認してください)、ShopifyやBASEのように「事業者に販売基盤を提供する企業」が成長し、専門領域を持つ企業同士が組んで消費者に届ける座組が一般化しました。
BtoBtoCとBtoB・BtoC・DtoCの違い
BtoBtoCの理解が難しいのは、隣接するBtoB・BtoC・DtoCと混同されるためです。まず全体像を、販売者・最終顧客・中間企業の有無で整理します。
| モデル | 売り手 | 最終顧客 | 間に入る企業 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|
| BtoB | 企業 | 企業 | ― | 業務システム、部品卸 |
| BtoC | 企業 | 消費者 | ― | 実店舗小売、自社EC |
| DtoC | メーカー | 消費者 | なし(直販) | D2Cブランド |
| BtoBtoC | 企業 | 消費者 | あり | 楽天市場、Shopify |
BtoBとの違い:最終顧客が消費者である
BtoBは取引の最終顧客が企業ですが、BtoBtoCの最終顧客は消費者です。この違いはマーケティングの前提を変えます。BtoBは意思決定に複数の関係者が関わり検討期間が長い一方、BtoBtoCの先にいる消費者は感情や体験で短時間に判断します。したがってBtoBtoCでは、取引先企業(2社目のB)向けの提案力と、その先の消費者に響くブランディングや体験設計の両方が必要になります。片方だけを見て設計すると、代理店は満足しても消費者に選ばれない、あるいはその逆が起こります。
BtoC・DtoCとの違い:中間企業が入るかどうか
BtoCは企業が消費者に直接販売するモデル全般を指し、BtoBtoCはそのBtoCの手前に「基盤や場を提供する企業」が加わった構造です。特に混同されやすいのがDtoC(D2C)で、こちらはメーカーが卸や小売といった中間を一切介さず消費者に直販するモデルを指します。DtoCが「中間を排除する」方向なのに対し、BtoBtoCは「中間の企業を活かして消費者に届ける」方向で、両者は正反対の設計思想です。DtoCの定義や従来モデルとの違いはDtoC(D2C)とは何か?従来モデルとの違いとその定義を基礎から徹底解説で詳しく整理しています。
BtoBtoCの代表的なビジネスモデル4類型
BtoBtoCは実務では次の4つの型に整理できます。自社がどの型かを見極めると、取るべき集客・課金・データ活用の設計が定まります。
プラットフォーム・マーケットプレイス型
プラットフォーマーが出店・出品の場を提供し、そこに集まった事業者が消費者に販売する型です。楽天市場、Amazonマーケットプレイス、Yahoo!ショッピングが代表例です。プラットフォーマーは出店料や販売手数料で収益を得て、消費者データと決済基盤を握ります。出店企業は集客をモールに依存する分、価格競争とブランド埋没のリスクを負います。
送客・代理店型
消費者と店舗・事業者を仲介し、送客や予約成立で収益を得る型です。食べログやぐるなび、ホットペッパーのような予約プラットフォーム、保険代理店や住宅ローンの銀行代理業が該当します。消費者は比較・予約の利便性を得て、事業者は自力では届かない層への接点を得ます。仲介者は「どれだけ質の高い送客を安定供給できるか」で価値が決まります。
OEM・卸売型
製造企業が販売店やサロン、専門店を経由して消費者に商品を届ける、伝統的な流通に近い型です。美容室専売品を美容室経由で販売するミルボンの座組や、製造業が代理店網を通じて消費者に届けるケースが典型です。メーカーは販売チャネルの専門性と信頼を借りられますが、消費者の生の声が届きにくく、店頭での見せ方を販売店に委ねる難しさがあります。
SaaS・システム提供型
事業者に販売・運営の基盤(システム)を提供し、その事業者が消費者に売る型です。ShopifyやBASE、STORESのようなEC構築サービスが代表例で、基盤提供者は月額利用料や決済手数料で収益を得ます。プラットフォーム型と似ますが、集客は基盤提供者ではなく利用企業自身が担う点が異なり、利用企業は自社の顧客データを自前で蓄積しやすいのが特徴です。
業界別のBtoBtoC企業・サービス例
BtoBtoCは特定業界だけのものではなく、消費者接点を持つ多くの領域で成立しています。「どんな企業がBtoBtoCなのか」を業界別に具体で押さえておくと、自社事業との距離感がつかめます。
| 業界 | 基盤・仲介を担う企業 | 消費者に届く形 |
|---|---|---|
| EC・小売 | 楽天市場、Amazonマーケットプレイス | モール出店店舗の商品 |
| 飲食 | 食べログ、ぐるなび | 掲載店舗の予約・来店 |
| 美容 | ミルボン(専売品) | 美容室での商品・施術 |
| 金融 | 保険代理店、銀行代理業 | 提携金融商品の契約 |
| EC基盤 | Shopify、BASE | 利用企業の自社EC |
共通するのは、消費者と直接向き合う企業と、それを支える企業が分業している点です。自社が「支える側」なのか「消費者に売る側」なのかを最初に定義することが、後述する成功設計の出発点になります。
BtoBtoCのメリットとデメリット
メリット:集客と信頼をパートナーから借りられる
最大の利点は、集客や信頼を既存のパートナーから借りられることです。ゼロから消費者を集めるコストを抑えつつ、プラットフォームやチャネルが持つブランドの信頼を背に販売できます。専門領域に集中できるため、製造は製造、集客は集客と役割を分担してスピーディに事業を拡大しやすい点も強みです。
デメリット:顧客データと主導権を握りにくい
裏返しのリスクは、消費者との接点が間接的になることです。誰が買ったのか、なぜ選ばれたのかというデータがパートナー側に溜まり、自社に残らないケースが少なくありません。データが手元にないと、リピート施策も価格以外の差別化も打てず、値下げ競争に引き込まれます。さらにプラットフォームの規約変更や手数料改定に事業が左右され、価格決定権や顧客体験の主導権を握りにくいのも弱点です。特定のパートナーへの依存度が高いほど、その関係が崩れたときの打撃は大きくなります。このリスクの回避策は次章で具体的に示します。
BtoBtoCを成功させる設計と、避けるべき座組
BtoBtoCの成否を最終的に分けるのは、章立ての巧拙ではなく「最終消費者のデータと接点を誰が握るか」という一点です。ここは競合記事が「Win-Winを目指そう」と抽象的に締めがちな論点なので、踏み込んで判断を示します。
結論から言えば、パートナー経由で売っても、自社に顧客データが一切残らない座組は避けるべきです。短期の売上は立っても、リピート施策も改善もパートナー任せになり、値下げ以外の打ち手を失うからです。逆に成功している座組は、送客や販売はパートナーに任せつつ、会員登録・保証・アフターサポートなどの接点を自社側に設計し、購買データを自前で蓄積しています。
具体的には、(1)消費者が自社ブランドを認識できる接点(同梱物、保証登録、公式アプリ)を必ず1つ用意する、(2)取得した顧客データをLTV改善に回す仕組みを持つ、(3)複数チャネルに分散して単一パートナー依存を避ける、の3点が実務上の分岐点になります。顧客データをどう継続価値に変えるかはLTVの計算方法|基本式からSaaS・サブスク(解約率)の算出まで、蓄積したデータの活用基盤はMAとCRM・SFAの違いを比較!導入時の選び方のポイントが参考になります。BtoBtoCに限らない集客・販促の選択肢を俯瞰したい場合はマーケティング手法の一覧|代表的な種類と目的別の選び方を解説も併せて確認してください。
よくある質問
BtoBtoCとは何ですか?
企業(B)が別の企業(B)を通じて最終消費者(C)に商品・サービスを届けるビジネスモデルです。楽天市場のようなECモールや、Shopifyのような販売基盤を介した取引が代表例で、最終的に消費者へ届く点でBtoBと区別されます。
BtoBtoCとBtoBの違いは?
取引の最終顧客が異なります。BtoBは企業が最終顧客であるのに対し、BtoBtoCは間に企業を挟みつつ最終顧客は消費者です。そのためBtoBtoCでは、提携企業への提案と、その先の消費者へのブランディングの両方が求められます。
BtoBtoCとDtoC(D2C)の違いは?
中間に企業が入るかどうかが違いです。DtoCはメーカーが卸や小売を介さず消費者に直販するモデルで、中間を排除します。一方BtoBtoCは中間の企業を活かして消費者に届けるモデルで、設計思想は正反対です。
BtoBtoCの代表的な企業・サービス例は?
EC・小売の楽天市場やAmazonマーケットプレイス、飲食の食べログやぐるなび、美容のミルボン、EC基盤のShopifyやBASEなどが挙げられます。いずれも消費者に売る企業と、それを支える企業が分業している点が共通します。
BtoBtoCマーケティングで最も重要なことは?
最終消費者のデータと接点を自社側に残す設計です。集客をパートナーに任せても、会員登録や保証などで自社が消費者とつながる仕組みを持たないと、リピート施策の主導権を失います。単一パートナーへの依存を避けることも重要です。