EXPLANNER(エクスプランナー)は、NECが約50年にわたって提供してきた国産ERPのシリーズ名です。単一の製品名ではありません。統合ERPのEXPLANNER/Ax、製造業向け生産管理のEXPLANNER/Jx、ワークフローのEXPLANNER/FLⅡ、勤怠管理の勤革時といった製品群の総称で、検索して出てくる「EXPLANNER/Z」はすでに2025年1月31日で販売を終えています。本記事では、NEC公式ページで確認できる製品構成と提供形態、動作環境から読み取れる運用負担、Zを使い続けている企業が確認すべき事項、採用を見送ったほうがよい場面までを整理しました。
まとめ:EXPLANNERを検討する前に押さえる製品体系と判断の軸
EXPLANNERを調べるときは、まず「どの製品の話か」を切り分けてください。販売・債権・債務・会計・人事・給与を担うのがEXPLANNER/Ax、加工・組立製造業の販売・生産・原価を担うのがEXPLANNER/Jx。この2つが基幹の中核で、FLⅡと勤革時は周辺業務の製品です。
EXPLANNER/Zは2017年に旧製品EXPLANNER/Aiの後継として発売され、2025年1月31日に販売を終えました。Zを稼働中の企業は、新規ライセンスの追加や保守の期限を販売店に文書で確認するところから始める必要があります。
判断の軸は2つです。日本の商習慣に合わせた標準機能に業務を寄せられるか。そして、Windows ServerとOracle Databaseを前提とした基盤を自社で持つか、SaaSに預けるか。会計だけを入れ替えたい中小企業や、データベースをPostgreSQLやSQL Serverで統一している組織には、別の選択肢のほうが噛み合います。
EXPLANNERシリーズの成り立ちと現行ラインナップ主要4製品の守備範囲
NECのEXPLANNERの解説ページは、シリーズを「会計・販売・生産管理・人事・ワークフローといった企業の基幹業務を統合」する国産ERPと位置づけ、50年間で30,000本を超える導入実績を掲げています。
統合ERPのAxと製造業向けJxで分かれる基幹業務の担当範囲
現行ラインナップのうち、基幹を担う2製品の線引きは明確です。Axは商流とお金の流れ、Jxはモノづくりの流れを受け持ちます。
| 製品 | 主な守備範囲 | 想定する業種 |
|---|---|---|
| EXPLANNER/Ax | 販売・債権・債務・会計・人事・給与 | 卸売・サービスなど業種共通 |
| EXPLANNER/Jx | 販売・生産・原価 | 加工・組立製造業 |
| EXPLANNER/FLⅡ | 申請・承認ワークフロー | 業種共通 |
| 勤革時(EXPLANNER/K) | 勤怠・就業管理 | 業種共通 |
製造業がAxとJxの両方を入れる場合、販売機能がどちらにもある点には注意が必要です。受注から出荷までをJx側で持つのか、Ax側で持つのかを最初に決めないと、二重入力の運用が残ります。ERPと販売管理の守備範囲の考え方はERPと販売管理システムの違いは?連携・どちらを選ぶかと統合基幹への発展で整理しています。
ワークフローのEXPLANNER/FLⅡと勤怠管理の勤革時が担う周辺業務
EXPLANNER/FLⅡの製品ページでは、シリーズ累計1,800社以上の導入実績と、API・Webhook・CSVによる外部連携、クラウド版とオンプレミス版の両方の提供が示されています。申請書のレイアウトや承認ルートをノーコードで設定できる製品です。
勤革時は、公式ページで初期費用0円・全機能一律の月額300円と案内されているクラウド型の勤怠管理です。利用実績はKING OF TIMEとの合算値で示されています。この2製品はERP本体を入れなくても単独で導入できるため、「EXPLANNERを使っている」と言っても、実態は勤怠だけというケースもあります。
50年・30,000本という実績と第三者調査のシェア表記の読み方
30,000本という数字はシリーズ全体の累計です。Axだけ、Jxだけの導入本数ではありません。Jxの製品ページには「シリーズ累計1,000本以上」と別の数字が出ており、製品単位で見ると規模感は大きく変わります。
シェア表記も注記まで読む必要があります。EXPLANNER/Jxの製品ページにある「3年連続シェア1位」は、ノークリサーチの2025年版レポートで、年商500億円未満の企業を対象にした生産管理部門の導入済み製品の集計です。対象製品は「EXPLANNER/J, Z」と明記されています。販売を終えたZを含む数字であり、現行のJxを単独で評価した値ではない、という前提で受け取ってください。
統合ERPのEXPLANNER/Axが持つ6つの基本システムと提供形態
新規にEXPLANNERを検討する企業の多くが比較対象にするのがAxです。ここでは機能と提供形態を公式情報の範囲で確認します。
販売から給与まで6つの基本システムを業務単位で単独導入できる設計
Axの業務システム概要では、販売・債権・債務・会計・人事・給与の6つをパッケージとして担い、経営規模や業務の拡張に応じた段階的な導入に対応すると説明されています。6つすべてを一度に入れる必要はなく、会計だけ、販売だけといった単独導入も可能です。
販売管理では、取引先の親子管理、得意先ごとの取引単価や数量単価、直送手配や個別引当、ロットと有効期限といった卸売業に多い要件が標準機能として挙げられています。会計側はIFRS対応の複数帳簿やグループ会計、部門・セグメント・プロジェクト別の予実管理が特徴として示されています。
Ax SaaSのPublic型とPrivate型で変わるカスタマイズの余地
Ax SaaSの紹介ページによると、SaaSで提供されるのは会計と給与の2業務です。販売管理はSaaSの対象に含まれていません。ここは見落としやすい点です。
| 項目 | Public型 | Private型 |
|---|---|---|
| 利用モジュール | 単一モジュール | 複数業務に対応 |
| アドオン | なし | 対応可能 |
| 利用会社 | 単一会社 | グループ会社 |
| SEの関与 | 不要 | 個別要件に対応 |
Public型の導入メニューのうちベーシックコースは、リモート会議のワークセッションを7回程度実施し、約3か月で導入する形と案内されています。可用性は99.9%を目標とした専用基盤です。アドオンを前提にするならPrivate型、標準機能で回すならPublic型、という切り分けになります。
EXPLANNER/Zの販売終了と旧製品を使い続ける企業の確認事項
「EXPLANNER」で検索すると、いまも比較サイトにEXPLANNER/Zの製品情報が並びます。ただしNECのEXPLANNER/Z製品ページには「本製品は現在販売しておりません(2025年1月31日 販売終了)」と明記されています。
2017年発売のZが担っていた範囲と2025年1月の販売終了
2017年9月1日のNECの発表では、Zは基幹業務パッケージEXPLANNER/Aiの後継として、生産・原価・販売・債権・債務・会計の領域を持つ統合ERPとして発売されました。価格は130万円から(税別、利用人数に応じたユーザーライセンスが別途必要)。クラウド移行用に、プライベート型SaaSが5ユーザーで月額20万円から、IaaS利用者向けの月額ライセンスが5ユーザーで月額5万円からというメニューも同時に発表されています。
これらは2017年時点の発表価格で、販売終了した製品の値です。いま見積りを取る際の参考値にはなりません。
EXPLANNER/Z利用企業が販売店に文書で確認しておくべき4つの項目
製品ページに記載されているのは販売終了日だけで、保守サポートの終了時期は2026年10月時点で同ページに書かれていません。Zを稼働させている企業は、次の4点を販売店またはNECに文書で確認してください。上から順に、放置したときの影響が大きい項目です。
- 保守サポートと法改正対応プログラムの提供期限
- ユーザーライセンスの追加購入ができるかどうか
- OSやデータベースのバージョンアップに対する動作保証の範囲
- 後継製品へ移る場合のデータ移行手段と、アドオン資産の扱い
特に1番目は、インボイス制度や電子帳簿保存法のような税制改正が入ったときに効いてきます。保守が切れたERPで法改正に追随するには、アドオンとして自社で作り込むしかありません。
EXPLANNER/Zの機能範囲から見たAxとJxへの移行先の分かれ方
Zが持っていた6領域のうち、販売・債権・債務・会計は現行のAx、生産・原価は現行のJxの守備範囲と重なります。公式ページを突き合わせる限り、Zを全面的に使っていた製造業は、Ax単独では生産・原価をカバーしきれません。AxとJxの組み合わせか、生産管理だけを別の製品に切り出すかの判断が要ります。どちらの製品を移行先として案内されるかは、販売店の提案内容を確認してください。
刷新はパッケージの乗り換えだけで終わらないことが多く、Z上に積み上げたアドオンや周辺システムとの連携をどう作り直すかが工数の大半を占めます。当社では基幹システム開発として、現行アドオンの棚卸しや移行要件の整理から、新しい基盤との連携開発までを請けています。生産管理を別製品に切り出す場合の考え方は生産管理システムとは?機能・ERP/MESとの違いから種類・選び方と内製化の判断を参照してください。
EXPLANNERの導入費用と動作環境から見える自社運用の負担
現行製品の価格は公式サイトでは公開されていません。費用を見積もる前に、動作環境から逆算できる運用コストを把握しておくと、提案書の比較がしやすくなります。
Windows ServerとOracle Database前提の動作環境が示す運用費
Axの動作環境・導入方式のページでは、2026年10月時点でサーバーOSがWindows Server 2022(Ver21H2)、データベースがOracle Database 19c(19.20.0.0)、クライアントOSがWindows 11(Ver22H2)、OfficeがOffice 2021またはMicrosoft 365(Ver.2211)と記載されています。
ここで見るべきはデータベースです。オンプレミスやIaaS上でAxを動かす場合、ERP本体のライセンスとは別にOracle Databaseのライセンスと保守費が発生します。社内の標準がSQL ServerやPostgreSQLの企業では、DBの運用知識も別に持つことになる。SaaS版を選べばこの層はサービス側が引き受けますが、前述のとおりSaaSの対象は会計と給与に限られます。
会計はクラウド、販売と生産はホスティングに分ける公式のハイブリッド構成
同じ導入方式のページでは、会計のように標準化が求められる共通領域はクラウドで、生産管理や販売管理のように他社との差別化に関わる領域はホスティングで、というハイブリッド型の提供が可能だと説明されています。
この構成は理にかなっていますが、運用の窓口が2つに分かれる点は織り込んでおく必要があります。障害時にクラウド側とホスティング側のどちらの問題かを切り分ける担当が社内にいないと、問い合わせがたらい回しになる。ハイブリッドを選ぶなら、連携部分の監視と一次切り分けを誰が持つかを契約前に決めてください。
EXPLANNERを採用する条件と見送ったほうがよい3つの場面
ここまでの情報を踏まえて、判断を言い切ります。EXPLANNERは日本の中堅企業の商習慣に寄せた製品で、噛み合う条件ははっきりしています。
EXPLANNERが噛み合う企業規模・業種・社内体制と運用基盤の条件
次の条件が重なるほど、EXPLANNERは有力な候補になります。
- 卸売業や加工・組立製造業で、得意先別単価・直送・ロット管理・製番管理といった国内特有の取引形態を標準機能で受けたい
- 販売と会計をまず入れ、生産や人事は段階的に広げたい
- NECグループや既存の販売店との取引があり、保守窓口を一本化できる
- Windows ServerとOracle Databaseの運用体制を持っている、またはSaaSに寄せる判断ができる
国産ERPの他製品と並べて検討する場合、会計を軸に統合したOBIC7とは?機能範囲と費用が動く変数、周辺システム連携の判断基準や、パートナー各社が改変権を持つGRANDITとは?コンソーシアム型ERPの構造とパートナー選定で決まる導入結果と比べると、販売体制とカスタマイズの責任の所在の違いが見えてきます。
EXPLANNERを第一候補にしないほうがよい3つの場面と代替の考え方
1つ目は、会計や勤怠など単一領域だけを入れ替えたいケース。統合ERPのシリーズから1製品だけを選ぶより、領域特化のSaaSのほうが初期費用も稼働までの期間も小さく収まります。
2つ目は、データベースの標準をOracle以外で統一している組織が、販売管理まで自社運用で入れるケースです。販売管理はAx SaaSの対象外のため、Oracle Databaseを社内に抱えることになります。DB製品を増やす運用負担と比べて、それでもAxの販売機能を選ぶ理由があるかを検討してください。
3つ目は、プロセス製造業の生産管理を主目的にするケース。Jxは加工・組立製造業向けで、Jxの製品ページでもプロセス製造業向けにはEXPLANNER/NXという別パッケージが案内されています。化学や食品の配合・ロット展開が中心なら、Jxありきで話を進めず、製品の対象業種から確認し直すべきです。製造業向けの他パッケージとしてはMCFrameとは?製造業向け生産・原価管理パッケージの構成と適合しない場面も比較材料になります。
よくある質問
EXPLANNERを調べている担当者から挙がりやすい質問を、NEC公式ページで確認できる範囲を明示しながらまとめました。
EXPLANNERはどこの会社の製品ですか?
NEC(日本電気株式会社)のERPソリューションです。2017年の発表時点では、NECソリューションイノベータやNECネクサソリューションズなどのグループ各社と、EXPLANNERパートナー制度に参加する販売店が販売・導入を担う体制が示されていました。公式の解説ページにもNECネクサソリューションズの担当者のインタビューが掲載されています。問い合わせ先はNEC本体だけでなく、地域の販売店になることもあります。
EXPLANNER/AxとEXPLANNER/Zは何が違いますか?
Zは2017年に発売され、2025年1月31日に販売を終えた統合ERPで、生産・原価まで含む6領域を持っていました。Axは現行のラインナップに掲載されている統合ERPで、販売・債権・債務・会計・人事・給与の6つの基本システムを担います。生産・原価はAxには含まれず、製造業向けのJxが受け持つ構成です。Axの製品ページの導入事例欄では、旧バージョンとしてEXPLANNER/Aiの事例が紹介されています。
EXPLANNERの価格はいくらですか?
現行製品のAxとJxは、公式サイトに標準価格の記載がなく個別見積りです。参考になる公開値としては、2017年のZ発売時に130万円から(税別・ユーザーライセンス別)と発表されていますが、販売終了した製品の当時の値です。現行製品で価格が公開されているのは勤革時で、初期費用0円・月額300円とされています。見積り比較では、ERP本体に加えてOracle Databaseのライセンスとアドオン開発費を必ず含めてください。
EXPLANNERはクラウドで使えますか?
使えます。Ax SaaSとして会計と給与がクラウドで提供されており、単一会社・アドオンなしのPublic型と、グループ会社やアドオンに対応するPrivate型から選べます。FLⅡにもクラウド版があり、勤革時はクラウド専用です。販売管理や生産管理は、ホスティングやIaaS上での運用と組み合わせるハイブリッド構成が公式に案内されています。
EXPLANNER/Zを使い続けても問題ありませんか?
すぐに動かなくなるわけではありませんが、販売終了後は保守と法改正対応の期限が判断の分かれ目になります。製品ページには販売終了日のみが記載され、保守期限は書かれていません。販売店に保守サポートの提供期限、ライセンス追加の可否、OS・データベース更新時の動作保証、後継製品へのデータ移行手段の4点を文書で確認し、期限から逆算して刷新の着手時期を決めてください。
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