33 人が閲覧(直近 30 日) 派遣・人材

労働者派遣個別契約書とは?法定記載事項16項目の内訳と雛形の版管理

基幹業務システムの特性とその価値

労働者派遣個別契約書は、派遣元と派遣先が案件ごとに結び、その派遣で誰が何をどこでいつまで行うかを定める契約書です。定めを求められる事項は労働者派遣法第26条第1項と施行規則第22条に分かれて置かれており、雛形を埋めるだけでは条件付きの項目が抜けたままになりがちです。この記事では記載事項を条文の号単位で棚卸しし、常時必要な項目と定めをした場合にだけ生じる項目を切り分けます。そのうえで、抜け漏れが起きやすい四か所、派遣料金の扱い、2026年10月1日施行の改正で改訂対象になる書面の見分け方、契約書を雛形から生成して締結状況を追う設計までを扱います。

まとめ:労働者派遣個別契約書の法定記載事項と改訂管理の勘所

先に結論を示します。労働者派遣個別契約書に定める事項は、労働者派遣法第26条第1項の九つと、同項第10号の委任を受けた施行規則第22条の七つ、あわせて十六です。これに加えて、定めた内容の組合せごとに派遣労働者の人数を決めます。解説記事が「12項目」「17項目」と数え方で割れるのは、法の号と省令の号を混ぜているか、実務上の記載欄まで含めているかの違いによります。

十六のうち常に書かなければならないのは、法の第1号から第8号までと省令の第1号・第2号・第6号・第7号です。残りは、紹介予定派遣であるとき、時間外や休日の就業を認めたとき、便宜供与を定めたとき、派遣終了後の直接雇用について取り決めたときにだけ発生します。条件付きの項目を無条件の欄として雛形に固定すると、空欄のまま締結された契約書が積み上がっていきます。

抜け漏れが集中するのは項目そのものではなく、粒度の指定です。組織単位を「営業部」とだけ書いて指揮命令の実態と合っていない、指揮命令者と派遣先責任者を一つの欄にまとめている、業務内容に政令第4条第1項の号番号を付けていない。この三つは形が整って見えるのに、あとから期間制限の計算や台帳の作成が成り立たなくなる書き方でした。仕組み化を考えるなら、雛形の欄を増やす前に契約データを項目へ分解できているかを確かめてください。

基本契約書と個別契約書の役割分担と締結の順序で決まる実務の流れ

まず、派遣取引で交わす二つの契約書がどう役割を分けているかを確かめます。ここを取り違えたまま雛形を選ぶと、どちらにも書かれていない条件が生まれます。

基本契約書が定める取引の枠組みと個別契約書が定める就業条件の違い

基本契約書は、その派遣先との取引全体に共通する枠組みを決める契約です。支払条件、契約解除の手続、損害賠償、秘密保持といった、案件が変わっても動かない条項が並びます。一度結べば、条件が変わらない限り更新は要りません。

これに対して個別契約書は、案件ごと、そして契約期間ごとに結び直す契約です。労働者派遣法が定めを求めているのはこちらで、第26条第1項が並べる事項はすべて「この派遣で誰がどこで何をするか」に関わります。件数も、基本契約が派遣先の数で足りるのに対し、個別契約は派遣先の数に業務の種類と契約期間の回数を掛けた数だけ発生しました。三か月更新の案件を十社に五十名分出していれば、年間で二百件が動く計算です。

抵触日の通知を受け取らないと個別契約を締結できない決まりの意味

締結の順序にも法律上の縛りがあります。労働者派遣法第26条第4項は、新たに派遣を受け入れようとする者に対し、契約締結の前にあらかじめ、事業所単位の期間制限に抵触することとなる最初の日を派遣元へ通知するよう求めました。同条第5項は、その通知がないときに派遣元が契約を締結してはならないと定めています。

つまり抵触日の通知は、個別契約書の記載事項ではなく、締結の前提条件として置かれた別の手続です。多くの雛形に抵触日の欄があるため記載事項の一つだと理解されがちですが、条文上の位置づけは異なります。実務では通知された抵触日と受領日を契約データ側に持ち、値が空のまま契約を進められないようにしてください。期間制限の数え方と意見聴取の手順は派遣の抵触日を扱った記事で整理しています。

労働者派遣個別契約書の法定記載事項を条文の号単位で棚卸しする

ここからが本題です。記載事項を法と省令に分け、号の番号を付けたまま並べます。番号を保って管理しておくと、改正があったときに雛形のどの欄を直せばよいかを追えます。

法第26条第1項が並べる九つの事項と派遣労働者の人数の定め方

労働者派遣法第26条第1項は、契約の当事者に対し次の事項を定めるよう求めています。第10号は省令への委任なので、法が直接並べているのは第1号から第9号までの九つです。

号 定める事項 発生条件
第1号 従事する業務の内容 常時
第2号 事業所の名称・所在地・組織単位 常時
第3号 直接指揮命令する者に関する事項 常時
第4号 派遣の期間と派遣就業をする日 常時
第5号 就業の開始・終了時刻と休憩時間 常時
第6号 安全及び衛生に関する事項 常時
第7号 苦情の処理に関する事項 常時
第8号 契約解除時の雇用安定措置 常時
第9号 紹介予定派遣に関する事項 紹介予定派遣のみ

第8号は雛形で一行に圧縮されがちですが、中身は新たな就業機会の確保、休業手当等の支払に要する費用の負担、その他の雇用の安定を図る措置です。中途解除で誰がどこまで負担するかを先に決めておく趣旨だと考えてください。

人数の決め方には別の作法があります。施行規則第21条第1項は、各号の内容の組合せが一つなら当該組合せに係る人数を、二つ以上あるならそれぞれの組合せの内容と組合せごとの人数を定めるよう求めています。同じ派遣先へ経理事務二名と一般事務三名を出すなら、五名とまとめず、業務内容や就業時間が違う組合せごとに人数を割り付けるという意味です。契約データは、契約1件に人数1つではなく、条件の組合せを子レコードとして持たせる構造にしておくと素直に応えられます。

施行規則第22条が上乗せする七つの事項と条件付きで生じる項目

法第26条第1項第10号を受けて、施行規則第22条が七つの事項を上乗せしています。ここに条件付きの項目が集まっています。

号 定める事項 発生条件
第1号 業務に伴う責任の程度 常時
第2号 派遣元責任者・派遣先責任者 常時
第3号 就業日以外の就業と時間延長 定めをした場合
第4号 便宜供与の内容と方法 定めをした場合
第5号 派遣終了後の紛争防止措置 定めをした場合
第6号 協定対象派遣労働者に限るか 常時
第7号 無期雇用等に限るか否かの別 常時

第1号の責任の程度は、部下の人数、決裁できる金額の範囲、緊急対応の要否といった形で書きます。業務内容の欄に「一般事務」とだけ書いて責任の程度を空けたままにすると、待遇の比較を行う土台が崩れます。第6号と第7号は「限るか否かの別」なので、限らない場合でも限らない旨を書く必要があり、空欄は不可です。この二つは書式に選択肢を置いて必須入力にしてしまうのが確実でした。契約データを起点に管理する項目という点では教育訓練の実施記録も同じで、その扱いは派遣の教育訓練を扱った記事で整理しています。

第5号は、派遣が終わったあとに派遣先がその人を直接雇用する場合の取り決めです。あらかじめ通知すること、手数料を支払うことといった内容を、定めをするなら契約書に書きます。定めをしないなら記載は生じませんが、後から直接雇用の話が出たときに根拠がない状態になるため、書いておく判断が多くなりました。

派遣料金の額が法定記載事項に入っていない理由と実務での扱い方

ここで一つ、解説記事の間で食い違いが出やすい点を押さえます。派遣料金の額は、法第26条第1項各号にも施行規則第22条各号にも含まれていません。条文を通して確認すると、料金の明示義務は法第34条の2に置かれており、その相手は派遣先ではなく派遣労働者本人です。雇い入れようとするとき、派遣をしようとするとき、料金の額を変更するときに、派遣元が派遣労働者へ明示します。

では個別契約書に料金を書くのが誤りかというと、そうではありません。派遣料金は取引の対価なので、基本契約書か個別契約書のどちらかで合意しておく必要があり、単価が案件ごとに変わる以上は個別契約書に書くのが自然な扱いです。押さえるべきは法定記載事項ではなく契約上の合意事項だという区別で、雛形で二つの欄を分けておくと監査で見るべき欄が十六に絞られます。派遣先へ請求する単価とスタッフへ支払う単価を別々に保持する設計は、派遣の給与計算における単価管理で整理しています。派遣元と派遣先それぞれの義務の全体像は、労働者派遣法の義務をシステム要件に翻訳した記事で確認できます。

記載の抜け漏れが起きやすい四か所と書き方で差がつく項目の押さえ方

項目の数を揃えるだけでは足りません。行政の指摘や後工程の破綻は、書いてある内容の粒度から生まれます。実務で崩れやすい四か所を順に見ます。

組織単位を部署名のまま書いて個人単位の期間制限が数えられない例

法第26条第1項第2号の組織単位には、条文上の定義があります。労働者の配置の区分であって、配置された労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者が、その業務の配分に関して直接の権限を有するもの、という定義です。平たく言えば、業務の割り振りを実際に決めている人が見ている単位を指します。

ここに登記上の部署名をそのまま書くと、実態とずれます。「管理本部」と書いた組織単位の中に経理課と総務課があり、それぞれ別の課長が業務を割り振っているなら、組織単位は課の側です。ずれたまま運用すると、同じ組織単位で三年を超えて働かせられないという個人単位の期間制限が、実態と合わない単位で計算されます。

影響は雇用安定措置にも及びます。同一の組織単位に継続して一年以上見込まれる人が対象になるため、粒度が粗いと対象者の抽出が甘くなりました。判定条件は雇用安定措置を扱った記事で整理しているので、契約書の欄の設計と合わせて確認してください。

指揮命令者と派遣先責任者を同じ欄にまとめてしまうときの不都合

法第26条第1項第3号の指揮命令者と、施行規則第22条第2号の派遣先責任者は、別の号に置かれた別の役割です。指揮命令者は日々の業務を指示する人、派遣先責任者は法令上の連絡調整と苦情処理の窓口になる人を指します。同じ人が兼ねる配置に禁止はないものの、雛形の欄を一つにまとめると、兼務でない配置へ変わったときに片方だけを更新できません。契約データとしては、指揮命令者を就業場所と組で持ち、派遣先責任者を派遣先事業所のマスタ側へ置く構造が実態に近くなります。

時間外や休日の就業と便宜供与という定めをした場合に生じる項目

施行規則第22条第3号は、就業日以外の日に就業させることができる旨の定めをした場合の日数と、就業時間を延長できる旨の定めをした場合の時間数を書くよう求めています。書くのは「時間外あり」という有無ではなく日数と時間数の数量で、上限の数字がない契約書は記載が不十分な状態になります。

同じく第4号の便宜供与は、診療所などの施設利用、レクリエーション施設の利用、制服の貸与といった取り決めをした場合に、その内容と方法を書きます。書くのは取り決めをしたものに限られる点に注意してください。雛形に「定めなし」の選択肢を置き、選ばれたときだけ数量欄を隠す形にしておくと、空欄と定めなしの区別が記録に残ります。

業務の内容に政令第4条第1項の号番号を付す必要が出てくる場面

見落とされやすいのが施行規則第21条第2項です。業務の内容に労働者派遣法施行令第4条第1項各号に掲げる業務が含まれるときは、その業務が該当する号番号を付すよう定めています。日雇労働者に係る派遣が行われないことが明らかな場合には、この限りではないという但書が付きました。

政令第4条第1項は、日雇派遣の原則禁止に対する例外業務を列挙した規定で、ソフトウェア開発、機械設計、通訳翻訳速記、書籍等の制作編集といった業務が並びます。該当する業務を扱っていて、かつ日雇派遣を行わないと明らかにしていないなら、業務内容の欄に号番号を添えてください。雛形に業務コードの欄を持たせ、政令該当業務のマスタから選ばせる形にしておけば、書き手の記憶に頼らずに済みます。

雛形の版管理と2026年10月改正で改訂の対象になる書面の切り分け

法改正のたびに雛形を直さなければという話が持ち上がります。ただし改正が触っている書面がどれなのかを確かめないと、直す必要のない雛形を配り直すことになります。

2026年10月1日施行の改正で追記の対象になる書面はどちら側か

2026年10月1日施行の改正では、労働者派遣法施行規則と関係告示が見直され、待遇の相違の内容と理由等について説明を求めることができる旨と、その問い合わせ窓口を明示する取り扱いが加わります。追記の対象になるのは、雇入れ時と派遣時に派遣労働者へ渡す書面、つまり労働条件通知書や就業条件明示書の側です。

2026年8月時点で条文原文を確認する限り、法第26条第1項各号と施行規則第22条各号の並びは変わっていません。個別契約書の法定記載事項そのものが増えるわけではないという線引きになります。ただし協定対象派遣労働者に限るか否かの別のように、明示書類と整合させる項目はあるため、契約データを明示書類の生成元にしている会社では見直しが要ります。改正の全体像は労働者派遣法の記事で扱いました。

雛形に版番号と適用開始日を持たせて改訂を切り替える運用の作り方

改訂を安全に回すために要るのは、雛形そのものに版番号と適用開始日を持たせることです。ファイル名に日付を入れる運用では、どの契約がどの版で締結されたのかを後から追えません。締結済みの契約書に版番号を記録しておけば、改正の影響を受ける契約だけを抽出できます。

切り替えの判断はこう置くと迷いません。施行日より前に締結し、施行日をまたいで継続する契約は、巻き直すのではなく更新時に新しい版へ乗せ替える。施行日以後に締結する契約は新しい版で起こす。この二つを決めておけば、進行中の案件を一斉に差し替える必要はなくなります。改訂の適用範囲をどこまで広げるかという判断は、派遣管理システムの契約書機能を扱った記事でも扱っています。

案件ごとに増える個別契約書をテンプレート生成して締結状況を追う設計

ここからは仕組みの話です。個別契約は件数が増え続ける文書なので、一件ずつ手で作る前提から抜け出せるかどうかで管理の負荷が変わります。

契約データを項目に分解して雛形へ流し込むためのマスタの持ち方

雛形から契約書を起こすには、契約書を文書ではなくデータとして持つ必要があります。分解の単位は条文の号にそのまま合わせるのが素直です。就業場所、組織単位、業務内容と政令号番号、責任の程度、指揮命令者、期間、就業日、就業時刻と休憩、苦情処理、解除時の措置、協定対象の別といった項目を持てば、雛形は差し込み先の器で済みます。

分かれ目になるのは、どこをマスタ化してどこを案件ごとの入力にするかです。派遣先責任者、苦情処理の窓口、便宜供与の内容といった取引先で共通する値はマスタへ置き、就業場所ごとに変わる組織単位と指揮命令者は事業所マスタの下に就業場所を設けて持たせます。期間と人数の組合せだけが案件ごとの入力になる形まで整理できれば、一件あたりの起票は数分で終わりました。特約は自由記述の版として残し、締結後の変更を差分で追うのが現実的です。自動で起こせる範囲は契約書機能の自動生成を扱った記事に整理があります。

締結状況と改定履歴を契約1件ずつ追えるようにする管理表の設計

生成と同じくらい効くのが、締結状況の可視化です。個別契約は期間ごとに結び直すため、未送付、返送待ち、締結済み、期間満了、更新済みという状態が同時に並びます。この状態を契約1件ずつ持たせておかないと、締結前に就業が始まっている案件を見つけられません。

管理表に持たせておきたい列は、契約番号、派遣先事業所、就業場所、組織単位、期間の開始日と終了日、使用した雛形の版番号、状態、締結日、抵触日通知の受領日です。終了日と状態を組み合わせれば更新の起票漏れを、受領日を見れば締結順序の逆転を検知できます。締結した内容は台帳の記載事項へ流れ込むため、項目を分解して持っていれば台帳側は転記ではなく参照で埋まりました。年次の労働者派遣事業報告書へ集計する流れも、契約側の項目設計がそのまま効いてきます。記載事項と保存期間は派遣元管理台帳の記事と派遣先管理台帳の記事で確認してください。

表計算での契約管理を続けてよい会社と仕組みへ移す会社の分かれ目

最後に判断を言い切ります。個別契約の管理を仕組みに載せるべきかどうかは、契約の件数ではなく、契約に触れる人と場所の数で決まります。

表計算と文書の雛形を組み合わせた運用のままで足りる三つの条件

次の三つがすべて当てはまるなら、表計算と文書の雛形を組み合わせた運用を続けて構いません。第一に、取引する派遣先が三社以下で、就業場所も派遣先ごとに一か所であること。第二に、契約書を起こす担当者が一人で、雛形の保管場所が一つに定まっていること。第三に、年間の個別契約が五十件を下回っていることです。

この規模では、仕組みを入れる費用と学習の負担が、削減できる作業時間を上回ります。ただし表計算のままでも、雛形の版番号と適用開始日、締結状況の列、抵触日通知の受領日の三つは記録してください。費用をかけずに実行でき、あとで仕組みへ移すときの移行データにもなります。

文書管理の仕組みへ移すべき場面と受託開発が引き合う条件の見方

移行を検討すべきなのは、次のいずれかに当てはまるときです。第一に、契約書を起こす担当者が二人以上になり、雛形の版が人によって違う状態が生まれているとき。同じ派遣先へ違う版の契約書が渡っていると、改正対応で影響範囲を特定できなくなります。第二に、就業場所が派遣先の事業所ごとに分かれ、組織単位と指揮命令者の組合せが数十通りに増えたとき。第三に、年間の個別契約が三桁に届き、更新の起票が期日に追いつかなくなったときです。

既製の派遣管理システムで足りるか、受託開発まで進むかの分かれ目は、契約データの持ち主がどこにあるかという一点です。スタッフと契約のマスタを既製の製品側へ置いてよいなら、製品の契約書機能で完結します。すでに自社の基幹システムがスタッフと請求のマスタを持ち、そこを動かせないなら、契約文書の生成と保管を既存のマスタから組み立ててください。契約文書の生成と版管理、締結状況の追跡までを含めた仕組みづくりは、文書管理システム開発で相談を受けています。

逆に、契約書の作成だけを目的にシステムを新設するのは見送ってください。個別契約書は台帳や勤怠や請求と同じデータを参照する文書なので、契約書だけを切り出すと二重入力が構造として残ります。業務全体をどう束ねるかは、派遣管理システムの全体像を扱った記事を出発点にしてください。

労働者派遣個別契約書の作成と締結の実務に関してよくある質問への回答

労働者派遣個別契約書と基本契約書は両方結ばなければいけませんか?

法律が定めを求めているのは第26条第1項の事項なので、条文上必ず結ばなければならないのは個別契約にあたる部分です。基本契約書の締結そのものを義務づける規定はありません。ただし支払条件や秘密保持といった取引全体の条件を毎回の個別契約書へ書き込むのは現実的でないため、実務ではほぼすべての取引で基本契約書を先に結びます。

個別契約書に派遣料金を書かないと法律違反になりますか?

派遣料金の額は法第26条第1項各号にも施行規則第22条各号にも含まれていないため、記載がないこと自体が法定記載事項の欠落にはあたりません。ただし料金は取引の対価なので、基本契約書か個別契約書のどこかで合意されている必要があります。なお法第34条の2は、派遣元が派遣労働者本人へ料金の額を明示するよう求めており、明示の相手が派遣先ではない点を取り違えないでください。

契約期間を更新するとき個別契約書は結び直す必要がありますか?

結び直しが必要です。派遣の期間は第26条第1項第4号の定める事項なので、期間が変われば契約の内容が変わります。自動更新条項で対応しているという相談もありますが、期間制限の計算や抵触日通知との突き合わせが緩みます。更新のたびに新しい個別契約書を起こし、前の契約と連番で追える形にしておいてください。

組織単位はどのくらいの粒度で書けばよいのですか?

業務の配分を実際に決めている人が見ている単位で書きます。判断の目安は、その単位の中で誰にどの仕事を割り振るかを一人の責任者が決めているかどうかです。課長が課内の仕事を割り振っているなら課、グループ長がグループ内で割り振っているならグループが該当します。粒度が粗いと個人単位の期間制限や雇用安定措置の対象者の抽出がずれるため、迷ったら細かい側で書いてください。

雛形はどこから入手して、どのくらいの頻度で見直せばよいですか?

厚生労働省と都道府県労働局が様式例を公開しているので、それを出発点にするのが確実です。見直しは法改正と省令改正の公布に合わせるのが基本で、決まった周期で回すものではありません。雛形に版番号と適用開始日を書き込み、公布を確認したら影響する欄があるかだけを点検する形にしておくと、必要のない改訂を避けられます。

関連記事

お気に入りに入れた記事の一覧

この記事は以下の記事からリンクされています

資料請求

RELATED POSTS 関連記事

目次