Immutable Releasesの概要:特徴・目的やメリット、導入背景まで徹底解説【完全ガイド】

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Immutable Releasesの概要:特徴・目的やメリット、導入背景まで徹底解説【完全ガイド】

Immutable Releases(イミュータブルリリース)は、GitHubが2025年に導入した新機能で、公開後のリリース資産(アセット)や対応するGitタグを変更できなくするものです。この機能は現在パブリックプレビュー段階であり、将来的に仕様が変更される可能性があります。Immutable(不変)という言葉の通り、一度公開したリリースの内容を後から書き換えられないように保証することで、リリースの信頼性を高めることが目的です。
GitHubによれば、Immutable Releasesを有効化することでソフトウェアサプライチェーンのセキュリティが強化され、具体的には次の2点のリスクを防止できます:

サプライチェーン攻撃の防止

攻撃者が公開済みのリリースにマルウェアや脆弱性を仕込むような改ざんを防ぎます。従来、悪意ある第三者がプロジェクトのリリース資産を差し替えることで利用者に不正なバイナリを配布する危険性が指摘されていましたが、Immutable Releasesによって公開後の差し替えができなくなり、このような攻撃を未然に防ぎます。

人為的ミスの防止

メンテナーによる誤ったアセットの入れ替えやタグの付け替えを防ぎます。例えば、間違ったコミットにタグを付けてリリースしてしまった場合でも、Immutable Releasesが有効だとそのタグを後で別のコミットに付け替えることはできません。これにより、開発者のワークフローを壊すようなリリース内容の後からの変更が起こらないようにします。
さらに、Immutable Releasesではリリース公開時に自動でリリース証明(attestation)が生成されます。リリース証明とは、そのリリースのタグ名・コミットSHA・添付されたアセットのハッシュ情報などを含んだ暗号学的に検証可能な記録です。これにより、利用者は手元のアーティファクトが公式に公開されたリリースと完全に一致していることを確認できます。GitHub CLIを使えば、公開されたリリースが実際に改ざんされていないか検証することも容易に行えます(詳細は後述)。以上の仕組みにより、Immutable Releasesはソフトウェアの信頼性と真正性を飛躍的に高め、公開したソフトウェアが常に安全で信頼できる状態であることを保証します。

Immutable Releasesにおけるリリース資産(Assets)の不変性:特徴や利点を徹底解説

Immutable Releasesの大きな特徴の一つが、リリースに添付した資産(アセット)の不変性です。公開後に一度登録したアセットファイルは追加・変更・削除ができなくなります。従来のGitHubリリースでは、公開後であってもリリースの編集画面からアセットを追加したり差し替えたりすることが可能でした。しかしImmutable Releasesを有効にすると、公開済みリリースを後から編集する場合でも変更できるのはタイトルと説明文のみで、アセットの追加・削除は一切できません。例えば、「リリースに含めるファイルを一つ入れ忘れた」「配布バイナリに不具合が見つかったので差し替えたい」といった場合でも、既存リリースのアセットを変更することはできず、新たに別バージョンとしてリリースを作成し直す必要があります。
このアセット不変化のメリットは、同じリリースバージョンで配布されるファイルが常に一定であることが保証される点です。利用者は特定バージョンのリリースをダウンロードすれば、いつ取得しても全員が同一のファイルを得られます。後からアセットが差し替えられて別の内容になってしまう心配がないため、ハッシュ値による検証やウイルススキャンの結果が時間経過で変わってしまうリスクもありません。また、悪意ある第三者が後からアセットを置き換えてマルウェアを仕込もうとしても、Immutable Releasesではシステム的にそれがブロックされるため安心です。リリース公開時に生成されるリリース証明には各アセットのハッシュ情報も含まれるため、利用者側で検証を行うことでアセットが改ざんされていないことを確実に確認できます。

Immutable Releasesのタグ保護機能:Gitタグを守る仕組みと改ざん防止の詳細を徹底解説

もう一つの重要な機能がGitタグの保護です。Immutable Releasesでは新規リリースに付与されたGitのタグが自動的に保護され、公開後はそのタグを削除したり別のコミットに付け替えたりすることができなくなります。これはいわばブランチ保護のタグ版であり、タグの不変性をシステム的に保証するものです。
このタグ保護により、リリースが指し示すソースコードのバージョンが恒久的に固定されます。例えば、あるリリースがv1.0.0というタグと結び付けられて公開された場合、そのタグは常に当初紐づけられたコミットを指し続けます。プロジェクトの管理者であってもgit push –deleteや強制プッシュによるタグの移動を試みても、GitHub側でそれがブロックされ、タグを改変することはできません。これにより、後からタグの指す内容が変わってしまうことによる混乱や、悪意ある改ざん(タグを別の悪質なコミットに差し替える等)を防止できます。
タグ保護の利点は、利用者が特定のバージョンタグを信頼して参照できる点です。一般的に、Gitのタグは「一度付与したら不変」という運用ルールが推奨されますが、Immutable Releasesではそれをプラットフォームレベルで enforce(強制)することで、より確実な保証を提供します。過去にはタグの付け直しによりリリース内容が秘かにすり替えられるリスクもありましたが、Immutable Releasesによってそのような手口は原理的に封じられました。仮に問題のあるリリースが見つかった場合でも、タグ自体を動かすのではなく、新しいバージョン番号で改めてリリースを行う必要があります。

リリース証明(Attestations)と検証方法:リリースの真正性を確認する仕組みと検証手順を詳しく解説

Immutable Releasesでは、リリース公開と同時にリリース証明(attestation)と呼ばれる証明書付きメタデータが自動生成されます。このリリース証明には、リリースのタグ名・対象コミットのSHAハッシュ・含まれるアセットのハッシュ一覧など、そのリリースを一意に識別しうる情報が記録されています。さらにこの情報にはGitHubによってデジタル署名が施されており、改ざんがないことを第三者が暗号学的に検証可能です。言い換えれば、リリース証明は「このタグとコミットに対応するリリース資産が確かに公開時点から変更されていない」ことを証明する 不可偽造の証拠 となります。
GitHubの実装するリリース証明はオープンソースのSigstoreプロジェクトの仕組みに基づいており、証明書と署名を含む「バンドル」形式で提供されます。そのため、GitHub CLIだけでなくSigstoreツールチェーンを用いた独自の検証や、ポリシーエンジン(Open Policy Agentなど)によるリリース妥当性チェックの自動化にも対応しています。例えば、社内のCI/CDパイプラインにおいてリリース証明を検証し、署名の有効性やハッシュの一致を確認することで、指定されたリリースが信頼できるものか自動的に判定するといった運用も可能です。
実際の検証方法としては、GitHub CLIを使うのが手軽です。GitHub CLIのコマンドgh release verify <タグ名>を実行すると、指定したタグのリリースが存在しImmutableであること(リリース証明が存在すること)を検証できます。また、手元にダウンロードしたアセットファイルが公式リリースのものと完全に一致するかを確認したい場合には、gh release verify-asset <タグ名> <ファイルパス>というコマンドで照合が可能です。このコマンドにより、対象ファイルのハッシュがリリース証明に記録されたハッシュ値と一致するかがチェックされ、改ざんがないことを確認できます。なお、GitHubが自動生成するソースコードのZIPアーカイブやtarボールについてはリリース証明の対象外であるため、verify-assetコマンドでも検証できない点には注意が必要です。ソースコードについてはGitの署名付きタグを利用するか、リポジトリのコミットハッシュ自体を信頼する運用でカバーすると良いでしょう。
最後に、GitHub上の表示による確認方法として、Immutable Releasesで公開されたリリースページではタイトル下に「Immutable」というラベルが表示されます。この表示により、そのリリースが不変であることを一目で確認することもできます。ただしラベルの有無はあくまで目視確認用のインジケーターであり、確実な検証には前述のリリース証明を用いた方法(CLI等による検証)を用いることが推奨されます。

Immutable Releasesによるセキュリティ向上とソフトウェアサプライチェーン保護の効果を解説

Immutable Releasesの導入によって得られる最大の効果は、ソフトウェアの信頼性向上とサプライチェーン全体の安全性確保です。前述のとおり、公開済みのリリースに対する改ざんが技術的に不可能になるため、悪意ある攻撃者が後からリリースに紛れ込ませるタイプのサプライチェーン攻撃を未然に防ぐことができます。実際、近年のセキュリティ研究では「攻撃者が正規のリリースに含まれるバイナリをバックドア付きのものに差し替え、利用者に気付かれずに配布する」というシナリオが現実的な脅威として報告されています。Immutable Releasesはこうした攻撃手法に対する強力な対策となり、リリース資産やタグを保護することで「公開されたソフトウェアが常に当初の安全な状態を保つ」ことを保証します。
また、Immutable Releasesによる不変性はプロジェクト運用面でもメリットをもたらします。全てのリリースは一度公開したら後戻りせず、新しい問題が見つかった場合はバージョン番号を上げて再リリースするという形になるため、リリース管理が明確になります。利用者側から見ても、特定のバージョンが後から内容を差し替えられる心配がないため、安心してバージョンを固定(ピン留め)でき、将来にわたって同じ挙動を期待できます。これは特に長期にわたりソフトウェアを運用する企業や、大規模な依存関係ツリーを持つプロジェクトにとって重要なポイントです。
さらにリリース証明と組み合わせることで、ソフトウェアサプライチェーンの検証を自動化・効率化できる点も見逃せません。Immutable Releasesによって各リリースに自動付与される証明情報をCIパイプラインで検証することで、外部から取り入れるバイナリやライブラリが正規のものであり改ざんされていないかを機械的にチェックできます。これにより、信頼できるアーティファクトのみをデプロイする仕組みを構築でき、サプライチェーン全体の安全性を高めることができます。
総じて、Immutable ReleasesはGitHub上でのソフトウェア配布におけるセキュリティをワンランク上に引き上げる機能と言えます。従来はメンテナーの運用ルールや手動の監視に委ねられていた部分をプラットフォームが担保することで、オープンソースコミュニティからエンタープライズまで幅広い領域でソフトウェア供給の信頼性向上に寄与します。

Immutable Releasesの設定方法(リポジトリ・組織単位):有効化手順と適用範囲を詳しく解説

Immutable Releasesを利用するには、リポジトリ単位または組織全体で機能を有効化する必要があります。以下では両方の場合の設定手順と、その適用範囲について説明します。

リポジトリ単位での有効化手順

  1. 対象のGitHubリポジトリにアクセスし、「Settings(設定)」タブを開きます。リポジトリ管理者以上の権限が必要です。
  2. 設定ページを下にスクロールし、「Releases」というセクションを見つけます。
  3. その中にある「Enable release immutability(リリースの不変性を有効化)」というチェックボックスをオンにします。
  4. 設定を保存します(チェックを入れるだけで自動保存される場合もあります)。

これでそのリポジトリでは、今後新たに作成されるリリースが自動的にImmutable(不変)として公開されるようになります。注意点として、この設定を有効化しても既存のリリースには遡って適用されません。すでに公開済みのリリースは従来通り変更可能なまま残り、Immutableになるのは設定後に新規に作成されたリリースからとなります。

組織(Organization)全体での有効化手順

  1. 対象のGitHub Organizationにオーナー権限でアクセスし、トップページの「Settings(設定)」タブを開きます。
  2. サイドバーの「Code, planning, and automation(コード・プランニング・自動化)」カテゴリ内にある「Repository」をクリックし、続けて「General」を選択します。
  3. 一般設定ページをスクロールして「Releases」セクションを表示します。初期状態では「No policy(ポリシーなし)」と表示されているドロップダウンがあるので、これをクリックして有効化ポリシーを選択します。
  4. 全リポジトリに対して有効にする場合は「All repositories(すべてのリポジトリ)」を選択します。
  5. 特定のリポジトリのみ有効にする場合は「Selected repositories(選択したリポジトリ)」を選択し、隣に表示されるボタンからリポジトリの一覧を選択します。
  6. 設定を保存します。

組織ポリシーとしてImmutable Releasesを有効化した場合、そのポリシーが適用されたリポジトリでは新規リリース作成時に自動で不変化が適用されます。組織全体に適用した場合、組織内の全てのリポジトリで今後作成されるリリースがImmutableとなります。特定のリポジトリのみ対象とした場合、指定したプロジェクト内の新規リリースにのみ適用されます。なお、リポジトリ個別の設定と異なり、組織ポリシーで有効化された場合はリポジトリ側で無効にすることはできません(上位ポリシーが常に優先されます)。また、リポジトリ単位の場合と同様に、有効化後に作られる新規リリースから不変となり、既存リリースには影響しません。
以上のように、必要に応じてプロジェクト単位から組織全体まで柔軟にImmutable Releasesを導入できます。なお、この機能は2025年9月時点でGitHub Freeプランを含むすべてのパブリックリポジトリで利用可能となっています(プライベートリポジトリでも対応プランであれば利用可能です)。

Immutable Releases有効化時の注意点:リリース運用で押さえておくべきポイントを詳しく解説

Immutable Releasesを運用する上で、いくつか注意しておきたいポイントがあります。機能を有効化する前に、以下の点を把握しておくと良いでしょう。

既存リリースへの非適用

前述の通り、Immutable Releasesを有効にしてもその設定は今後作成されるリリースにのみ適用され、既存のリリースは従来通り変更可能なままです。過去のリリースも不変化したい場合は、改めて新しいリリースとして発行し直す(いわゆる再リリース/再タグ付けを行う)必要があります。ただしプロジェクトの履歴管理の観点では、過去のリリースはそのままにしておき、新しいバージョンから不変運用に切り替える方が望ましいでしょう。

一度不変化したリリースは元に戻せない

Immutable Releasesとして公開したリリースは、後から設定をオフにしたり特別な操作をしたりしても、再び変更可能な状態に戻すことはできません。不変のリリースは永続的に不変です。仮に誤って問題のあるリリースをImmutableとして公開してしまった場合、そのリリース自体を削除することは可能ですが、対応するGitタグは保護されたまま残る点に注意が必要です(後述のCLI/API制限例も参照)。一度公開したバージョン番号のタグを後から撤回することはできないため、リリース内容に重大な不備があった際には、新しいバージョン番号で修正版をリリースするのが唯一の対処となります。

リリース手順の変更

Immutable Releasesの導入に伴い、リリース作業の進め方にも変更が必要です。公開後にアセットを追加・差し替えするといった従来の運用はできなくなるため、リリース前に内容を慎重に吟味する必要があります。具体的には、下書き(Draft)リリースやプレリリース機能を活用し、リリースノートやアセットを事前に揃えて十分に確認してから本番リリースを公開することが重要です。また、CI/CDの自動化フローでリリースを行っている場合、リリース後にアセットをアップロードするステップが組まれていないか確認してください。Immutable Releasesではリリース公開後に別途アセットを追加することができないため、ビルドとリリースのワークフローを見直し、すべてのアセットを公開時点で含めるようにする必要があります。

プレビュー機能である点

Immutable Releasesは執筆時点(2025年9月)でまだパブリックプレビュー段階にあり、GitHub側で今後仕様変更や調整が行われる可能性があります。本番環境への適用にあたっては、最新のGitHub公式ドキュメントやアナウンスを確認し、想定通りの挙動か検証した上で導入してください。また、現時点では不具合や制約事項が存在する可能性もあるため、小規模なプロジェクトで試験運用を行ってから組織全体に広げるといった段階的な導入を検討するとよいでしょう。

Immutable ReleasesでのCLI/API操作制限:タグ削除やリリース編集の具体例を紹介

Immutable Releasesが有効な場合、通常のGitやGitHub API/CLIで行えるいくつかの操作が制限されます。ここでは代表的な例として、Gitタグの削除とリリース内容の編集に関する挙動を紹介します。

Gitタグの削除操作

Immutableなリリースに対応するGitタグを削除しようとしても、GitHubはその操作をブロックします。例えば、ローカルリポジトリでgit push origin :v1.0.0(リモートからv1.0.0タグを削除するコマンド)を実行しても、GitHubから「プロテクトされたタグのため削除できない」旨のエラーが返り、タグは残ったままになります。GitHub CLIを使用してgh release deleteコマンドでリリースを削除した場合でも、デフォルトではタグは削除されずに保持されます。仮に–cleanup-tagオプションを付けてタグの削除も試みたとしても、Immutable Releaseのタグは保護されているため削除処理は失敗します。その結果、リリース情報だけが削除され、対応するGitタグはリポジトリに残り続けることになります。

リリース内容の編集操作

Immutableなリリースでは、公開後の編集で変更できる項目がタイトルと説明文に限定されます。アセットの追加・削除や、タグ(対象コミット)の変更はできません。たとえば、GitHubのウェブUI上でリリース編集画面を開いても、ファイルを追加するためのエリアが表示されず、既存アセットを削除するボタンも無効化されています。また、GitHub CLIやREST APIを用いてアセットを追加しようとしても、Immutable Releaseである限りリクエストは拒否されます。実際、gh release edit <タグ名> -R <リポジトリ>コマンドでアセットを添付しようとした場合や、REST APIのPOST /repos/:owner/:repo/releases/:release_id/assetsエンドポイントにファイルをアップロードしようとした場合でも、エラー応答が返り処理は行われません。「Immutable Releasesが有効なリリースは内容を変更できない」旨の制約が適用されているためです。
以上のように、Immutable Releases有効化後はタグやリリースを扱う通常操作の一部に制限が掛かります。これらはセキュリティを高めるための仕様であり、想定外のエラーと捉えずに、事前に理解した上で運用フローを整備することが大切です。

既存のMutableリリースからImmutable Releasesへの移行:移行手順と考慮点を解説

現在すでに複数のリリースを公開済みのプロジェクトが、新たにImmutable Releasesを導入する場合の移行について説明します。
基本的に、Immutable Releasesの設定を有効化しても既存のリリースには遡及適用されないため、過去のリリースは引き続きMutable(変更可能)なままとなります。この状態で運用を開始した場合、過去のリリースは従来通り(必要であれば編集やアセット追加が可能)ですが、新規に作成するリリースからは不変性が適用されるという混在状態になります。
移行のアプローチとしては、以下の二つが考えられます。

方針1

今後のリリースから不変運用に切り替える: 過去のリリースはそのまま(Mutableのまま)残し、設定有効化後の新しいバージョンリリースからImmutable Releasesを適用します。この方法は最もシンプルで、副作用がありません。既存の利用者に対しても特別な通知不要で、新しいリリース以降で自動的にセキュリティ強化が図られます。一般的にはこちらの方法が推奨されます。

方針2

過去のリリースを再発行して不変化する: セキュリティポリシー上どうしても過去バージョンにも不変性(およびリリース証明)を持たせたい場合、既存の各リリースについて再リリース(再公開)を行う方法があります。具体的には、Immutable Releases有効化後に過去のリリースと同じタグに対して新しくリリースを作成し直します。その際、以前のリリース情報は一旦削除し(タグは残したまま)、同じタグで改めてリリースをPublishします。こうすることで、過去のバージョンであってもImmutable Releaseとして再公開され、リリース証明が付与されます。ただし、この方法は手間が掛かる上、利用者に二重のリリース通知が届いて混乱を招く可能性があります。また、過去のリリースアセットに変更がない場合は無理に再発行する必要性も低いため、基本的には重要な長期サポート版(LTS)など特別なバージョンに絞って検討すると良いでしょう。
以上より、特段の事情がなければ過去リリースはそのまま維持し、次のバージョンアップからImmutable Releasesを有効にして運用を開始する形がシンプルで効果的です。移行にあたっては、開発チーム内でImmutable化後の変更点(「公開後にアセットを編集できない」等)を共有し、ドキュメントやリリース手順書をアップデートしておくことも忘れないようにしましょう。

Draftリリースとの違いと運用ポイント:下書き活用とImmutable Release公開のベストプラクティス

Immutable Releasesの運用においては、リリースの下書き(Draft)機能を上手く活用することが重要になります。Draftリリースとは、リリースを公開せずに一時保存しておけるGitHubの機能で、リリースのタイトル・ノート・アセットを設定した状態で後から公開するために取っておくことができます。Draftの間はリリースが一般公開されないため、チーム内で内容をレビューしたり、必要に応じて何度でも編集・修正が可能です。Immutable Releasesを有効化していても、公開前でDraft状態のリリースであれば通常通りアセットの追加・削除や内容修正が行えます。したがって、最終的にImmutableな本番リリースとして公開する前に、Draftリリースを用いて十分に内容を吟味する運用が推奨されます。
Draftリリースを公開するときに「Publish release(リリースを公開)」ボタンを押すと、その瞬間にリリースが正式公開されImmutable(不変)となります。公開後は前述の通り内容の変更が制限されるため、「Draftで準備」→「公開してImmutable化」という流れを定着させることがベストプラクティスです。また、プレリリース(Pre-release)フラグを付けて公開する場合も挙動は同じで、公開ボタンを押した時点でリリースはImmutableになります。プレリリースは利用者への注意喚起のラベル付け(「このリリースは本番利用には不向きです」等)に過ぎないため、Immutableの挙動には影響しません。したがって、ベータ版やリリース候補版(RC)を複数回出すようなケースでは、以前であれば単一のDraftリリースを更新し続ける運用も可能でしたが、Immutable Releases環境下ではバージョン番号やタグを分けて段階ごとに別個のリリースとして公開する必要があります。例えば、「v2.0.0-beta1」「v2.0.0-beta2」などとタグ付けしたプレリリースを都度Immutableで公開し、問題がなければ最終版v2.0.0を本番リリースとしてImmutable公開するといった形です。
このように、DraftリリースはImmutable Releases運用における重要な準備ステップとなります。下書きを活用することで、公開後に手直しする必要がない状態までリリース内容を磨き上げ、安心してImmutable(不変)な状態で世に送り出すことができます。リリース担当者は、Draft段階で関係者による十分なチェックを行い、公開ボタンを押すタイミングでは内容に自信が持てるようにしておくと良いでしょう。

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