Grafana v12の最新リリース情報と注目すべき主要機能まとめ:観測性向上とダッシュボード改善の詳細解説

Grafana v12の最新リリース情報と注目すべき主要機能まとめ:観測性向上とダッシュボード改善の詳細解説

Grafana v12ではダッシュボード機能や運用性が大幅に向上しました。特にObservability as Codeへの対応により、ダッシュボードやアラート設定をコードとして管理できる機能が強化されています。Git Syncなどの機能により、Grafana上で行った変更をGitHubに同期し、バージョン管理やレビューを実現できます。

  • Observability as Code: Git Sync機能でGrafanaダッシュボードをGitHubと連携し、コードとして管理できるようになりました。
  • 動的ダッシュボード: タブ表示や条件分岐が可能となり、同一ダッシュボード内で複数のビューを切り替えて表示できます。大型のテーブルやジオマップパネルも高速化されました。
  • Drilldown Apps: メトリクス・ログ・トレースをクリック操作で深堀りできるアプリが追加され、問題の根本原因分析が容易になりました。
  • アラート機能強化: 新たなGrafana Alertingエンジンでルール管理が刷新され、複雑なレコーディングルールもサポートされるようになりました。
  • SQL ExpressionsとSCIM: 複数データソースのクエリ結果を組み合わせる機能や、エンタープライズでのユーザー同期(SCIM対応)が導入されました。
  • クラウド移行支援: Grafana Cloud Migration Assistantの一般提供により、既存環境からGrafana Cloudへのリソース移行が容易になりました。

このように、Grafana v12はGrafana Cloudでもオンプレミスでも広く使われる監視・分析ツールとして更なる飛躍を遂げています。

Grafana Integrationsとは何か?Grafana Cloud向け連携や主要データソース統合方法、メリットを徹底解説

Grafana Integrationsは、観測スタックの構築を簡単にするGrafana Cloud向け機能です。各インテグレーションでは、Grafana AlloyやGrafana Agentの設定スニペットとともに、標準的なメトリクス、ダッシュボード、アラートが含まれています。これにより、数分でPrometheusベースの監視環境を立ち上げられ、個別設定の手間を大幅に省けます。

  • 標準スタック搭載: LinuxサーバーやKubernetesなどの共通監視対象ごとに、Prometheusエクスポーター設定やAlloyエージェント構成、初期ダッシュボードがパッケージ化されています。
  • プリ構成ダッシュボード: 各インテグレーションには監視対象に合わせたダッシュボードが含まれ、導入後すぐにグラフ表示を開始できます。
  • エージェント連携: Grafana Alloy(またはGrafana Agent)を利用してメトリクス収集パイプラインを構築します。例えばAlloyをデプロイするだけでNode ExporterやcAdvisorからのデータをGrafana Cloudに送信できます。
  • 迅速なセットアップ: Grafana Cloudの[Integrations]メニューから対象の連携を選び、ガイドに従って簡単に構成を完了します。
  • 拡張性: 多様なデータソース(データベース、クラウドサービス、アプリケーションなど)向けのインテグレーションも提供されており、ワンクリックで導入可能です。

このようにGrafana Integrationsを使うことで、面倒な初期設定を省略し、数分で観測環境を稼働させることが可能になります。

Grafanaダッシュボードで変数を作成する手順とコツ:実践的なテンプレート変数の設定と応用事例まで解説

Grafanaでは「変数」機能を使ってダッシュボードを動的にできます。変数を設定すると、ダッシュボード上部にドロップダウンが追加され、選択した値に応じてすべてのパネルが自動更新されます。たとえばホスト名やサービス名を変数に登録しておくと、ユーザーが簡単に対象を切り替えながら監視できます。

  • ダッシュボード右上の歯車アイコンからVariables(変数)を開き、「New」をクリックして新しい変数を追加します。
  • 変数の名前・表示ラベルを入力し、Type(クエリ、Custom、Intervalなど)を選択します。
  • Query型の場合は使用するデータソースとクエリ文を設定し、値のリストを取得します(例: Prometheusではlabel_values()、SQLではSELECT句など)。
  • 必要に応じて「Include All option」を有効にすることで「All」を選択肢に加えられます。
  • 変数を保存しダッシュボードに戻ると、上部にドロップダウンが表示されます。

作成した変数は、パネル設定内のクエリで$変数名と記述することで参照できます。これにより、複数のパネルで共通の変数を使ってデータを絞り込めます。複数の変数を組み合わせることで、例えば環境別・サービス別に階層的なフィルタリングを実現できます。ただし、変数のクエリ結果が大量になる場合はパフォーマンスに注意し、必要に応じて定期更新設定を行いましょう。

Grafana v12のGit Sync機能徹底紹介:ダッシュボードをコードで管理しチーム開発を効率化

Git SyncはGrafana v12から導入された実験的機能で、ダッシュボードをGitHubリポジトリと連携して管理できます。編集内容をGitにコミットし、プルリクエストでレビューするフローを実現できます。これにより複数チームでの共同開発や監査対応が容易になります。

  • トグルの有効化: 設定ファイル(grafana.ini)の[feature_toggles]に provisioning=truekubernetesDashboards=true を追加し、Grafanaを再起動します。
  • GitHub設定: GitHubで新しいリポジトリを作成し、ダッシュボード同期用のパーソナルアクセストークンを生成します。トークンにはリポジトリの読み書き・プルリクエスト・Webhookの権限が必要です。
  • Grafana設定: Grafana UIの設定メニューから[Dashboards]→[Sync with Git]を選択し、リポジトリURLとトークンを入力して接続します。
  • 同期対象の選択: Git Sync設定でフォルダやダッシュボードを指定すると、保存や更新時に自動的にGitへコミットされるようになります。

設定後は、Grafana上でダッシュボードを編集するたびにGitHubへ自動コミットされます。逆にGit側で変更を加えればGrafanaにも反映されます。これによりバージョン管理や変更の追跡が容易になり、共同作業が効率化されます。ただしGit Syncは実験的な機能のため、本番環境で使用する際はパフォーマンス影響やサポート状況に注意してください。

Grafanaの基本セットアップ手順:インストールから初期設定・初回ログインまで徹底ガイド、サーバー環境準備も

Grafanaを利用するには、まずサーバーやDockerなどの環境にインストールします。たとえばLinuxでは公式リポジトリからパッケージをインストールしたり、docker run -d -p 3000:3000 grafana/grafanaでコンテナ起動したりできます。Kubernetes環境ではHelmチャート(grafana/grafana)が提供されており、helm install grafana grafana/grafanaコマンドでセットアップが完了します。

  • 初期起動: インストール後、Grafanaサーバーを起動するとポート3000でWeb UIが稼働します。ブラウザでアクセスし、デフォルト管理者ユーザー(admin)でログインします。
  • 初回設定: ログイン後に表示される画面で初期パスワードを変更し、組織名やチームを設定します。
  • データソース追加: [Configuration]→[Data Sources]メニューからPrometheusやMySQLなど必要なデータソースを追加し、接続情報を設定します。
  • ユーザー管理: [Server Admin]からユーザーやチームの作成・削除を行います。必要に応じて組織(Organization)も追加して役割を管理できます。
  • Grafana Cloud開始: Grafana Cloudを使う場合はアカウント登録後、クラウドコンソールでGrafanaインスタンスを作成するだけで初期環境が用意されます。

これらの手順を経て、基本的なGrafana環境が整います。なお、本番運用向けには十分なメモリやディスクを確保し、必要に応じて高可用性構成も検討してください。

Grafanaダッシュボード構築事例:実際のユースケースを通じてわかる構築のポイントと可視化の工夫を紹介

Grafanaは多様な用途で活用できます。以下に代表的なダッシュボード構築事例を紹介します。各ケースでは、監視データの収集から可視化までの一連の流れと工夫したポイントを解説します。

  • インフラ監視: Node ExporterとPrometheusでサーバーのCPU/メモリ/ディスクI/Oを収集し、Grafanaでリアルタイム可視化します。変数を使ってサーバー間の切り替えが可能なダッシュボードが一般的です。
  • アプリ監視: マイクロサービスのレイテンシやエラーレートを表示するダッシュボードです。Grafana Tempoと組み合わせてトレースを表示したり、Lokiでアプリケーションログをドリルダウンできるようにすると効果的です。
  • ビジネスKPI: 売上やユーザー数などビジネス指標を可視化します。たとえばデータベースから売上データを取得し、時間推移のグラフや目標達成率ゲージを表示します。
  • クラウドコスト監視: クラウドプロバイダの料金や使用量をグラフ化し、予算を超えた場合にアラートを発する仕組みです。複数のクラウドサービスを横断的に監視できます。
  • IoT/センサーデータ: センサー情報をリアルタイムでプロットします。しきい値アラートを設定し、機器故障や異常時に自動通知することで運用効率が向上します。

これらの事例では、Grafanaの変数機能やアラート機能を組み合わせて柔軟なダッシュボードを構築しています。たとえば、メンテナンス用ダッシュボードで環境(本番/開発)を変数で切り替えたり、特定指標の閾値超過をアラート通知に活用したりしています。

Grafanaプラグイン探訪:おすすめプラグインを紹介しつつ機能拡張のポイントとカスタマイズ例を解説

Grafanaはプラグインによって機能拡張が容易です。プラグインにはデータソース、パネル、アプリなどのカテゴリがあり、UIから簡単に追加できます。以下では代表的なプラグインと導入方法について紹介します。

  • データソースプラグイン: 標準以外のデータベースやサービスと接続できるようにするプラグインです。例としてZabbix、Graphite、Azure Monitor、ClickHouse、ElasticSearchなどがあり、それぞれ独自のクエリエディタが使えます。
  • パネルプラグイン: 標準のグラフ以外の可視化を提供します。世界地図表示のWorldmap Panel、円グラフのPie Chart Panel、ネットワーク図のDiagram Panel、ワークフロー表示のFlowcharting Panelなど、用途に応じて多彩なパネルが用意されています。
  • アプリプラグイン: ダッシュボードテンプレートやビルトインコンポーネントなどをまとめたパッケージです。たとえばKubernetesダッシュボードやインフラ監視用のテンプレートが含まれることがあります。
  • プラグイン管理: [Configuration]→[Plugins]からプラグインを検索・インストールできます。CLIでは grafana-cli plugins install <プラグインID> で追加し、再起動すると有効化されます。
  • コミュニティプラグイン: Grafana公式サイトのプラグインカタログには多数のサードパーティ製プラグインが登録されています。利用例として、モニタリングサイドバーを強化する「Statusmap Panel」や、動画ストリームを表示する「Videostream Panel」などがあります。

また、Grafanaは独自プラグインの開発フレームワークを提供しており、TypeScriptやReactで独自ダッシュボードを作成できます。必要に応じて社内専用プラグインを作り、特定ニーズに合わせた可視化を実現することも可能です。

Grafana Alloyとは何か?OpenTelemetry統合コレクタの概要と活用メリット解説

Grafana AlloyはGrafana Labsが提供するOpenTelemetry Collectorのディストリビューションで、メトリクス・ログ・トレースの収集と転送を統合的にサポートします。Prometheus互換のパイプラインが組み込まれているため、既存のPrometheus設定から移行しやすいのが特徴です。

  • 組み込み機能: OpenTelemetry Collectorベースで、500以上のエクスポーター/レシーバーコンポーネント(Prometheus、Loki、Tempoなど)を備えています。
  • Prometheus互換パイプライン: Grafana Agentの後継としてPrometheusの収集ルールをサポートし、既存の設定ファイルをほぼそのまま利用可能です。
  • エンタープライズ機能: ネイティブクラスタリングやVault連携など、大規模環境向けの機能が標準で提供されます。
  • 利用実績: リリース以来、多くの組織で採用され、Grafana Agentよりも急速に普及しています。
  • 柔軟な展開: Grafana CloudではデフォルトでAlloyが提供されており、オンプレミスでもバイナリやDockerで容易にセットアップできます。

これらにより、Grafana Alloyを使うとメトリクス・ログ・トレースを一元的に収集・管理でき、運用の統合化とセキュリティ強化(Vault対応)を同時に実現します。

Grafanaで機能トグルを有効化する方法:新機能利用のための設定手順と注意点

Grafanaでは機能トグル(Feature Toggle)を使って新機能や実験機能をオン/オフできます。設定ファイルの[feature_toggles]セクションにトグル名を追加するか、環境変数で切り替えます。必要な機能を有効化することで、デフォルトで無効な機能も利用可能になります。

  • 設定ファイルでの有効化: grafana.ini(またはcustom.ini)の[feature_toggles]セクションにトグル名と値を追加します。例としてGit Syncには provisioning=truekubernetesDashboards=true を設定します。
  • 環境変数で設定: 環境変数 GF_FEATURE_TOGGLES を使ってもトグルを有効化できます。設定方法は公式ドキュメントを参照してください。
  • 代表的なトグル例:
    • provisioning: プロビジョニング機能の有効化
    • kubernetesDashboards: Kubernetesダッシュボード機能の有効化
    • tabs: ダッシュボードのタブ機能を有効化
    • drilldownApps: Drilldownアプリの有効化
    • alerting: 新しいAlerting機能の切り替え(Enterprise版)
  • Grafana Cloudとの違い: Grafana Cloudではトグルの切り替えができない場合があります。クラウド利用時はサポートチームに連絡して機能追加を依頼します。

機能トグルを有効にした後はGrafanaを再起動してください。トグルは主に開発・テスト用途のため、本番環境で使用する際は安定性に注意しましょう。

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