Playwrightの最新安定版は1.63.0です。2026年9月4日に公開され、2026年9月20日時点でnpmのlatestタグが指しているのもこの版です。1.56.0から1.63.0までには、ブラウザの更新に加え、Node.jsやOSの動作要件の変更もありました。このページでは、現在の最新版が何か、手元の版をどう確認するか、最新版へどう上げるか、そして1.56から1.63までに何が変わったかを1本にまとめます。特に1.62で動作要件のNode.jsが引き上げられている点は、リリースノートに書かれていないため見落としやすい変更です。
まとめ:Playwrightの最新版と更新の要点
- 最新安定版は1.63.0(2026年9月4日公開)。同梱ブラウザはChromium 153.0.8010.12、Firefox 155.0、WebKit 26.6です。
- 手元の版は
npx playwright --versionで確認します。1.63.0が入っていればVersion 1.63.0と出ます。 - 更新はパッケージとブラウザの2段階です。
npm i -D @playwright/test@latestの後にnpx playwright installを実行しない場合、必要なブラウザが未取得なら起動に失敗します。 - 1.62.0からNode.js 20以上が必須です。リリースノートでは要件変更に触れていませんが、パッケージの
enginesに加え、起動時のNode.jsバージョンチェックにも下限が設定されています。Node.js 18のCIは1.61系で止めるか、Nodeを上げてください。 - PlaywrightにLTS版はありません。npmの配布タグは
latest/next/beta/rcのみで、旧版を長期保守する系統は用意されていません。 - 1.56.0から1.63.0までのマイナー更新7回の間隔は35日から68日(平均47.6日)です。更新判断では、OS・Node.js要件に加え、不具合修正と同梱ブラウザの変更も確認してください。
最新バージョン1.63.0の内容と同梱ブラウザ
1.63.0で追加された機能
1.63.0の目玉はテストロックです。外部サービスやグローバル設定のような共有リソースを触るテストに名前付きのlockを宣言すると、同じロック名を持つテストはファイル・ワーカー・プロジェクトをまたいで同時実行されなくなります。ほかのテストは従来どおり並列で走ります。
import { test } from '@playwright/test';
test('update user settings', { lock: 'user-settings' }, async ({ page }) => {
// 'user-settings' を持つ他のテストとは同時に実行されない
});
ロケータ側では、セレクタを渡さずにpage.frameLocator()を呼ぶとサブツリー内のあらゆるフレームを横断して探索できるようになりました。iframeを先に特定せずに探索できます。ただし、複数フレーム内の要素に一致するとエラーになります。あわせて、可視要素だけに絞るlocator.visible()が追加され、公式は:visible疑似クラスの推奨代替として位置づけています。
レポーター向けには、各ステップが構造化データを持つようになりました。Playwright APIのステップは対象ロケータと引数を報告し、test.step()はsubtitleとparamsを受け取ります。トレースビューアとHTMLレポートでステップ名の隣に表示されます。トレース自体も拡張され、traceオプションにsnapshots: { dom: true, aria: true, screen: true }を指定すると、アクションごとにariaスナップショットとスクリーンショットを記録し、トレースビューアのDisplay Ariaモードで並べて確認できます。
1.63.0が同梱するブラウザのバージョン
Playwrightは版ごとに固定のブラウザビルドをダウンロードします。1.63.0が入っている環境でnpx playwright install --dry-runを実行すると、次の組み合わせが表示されます。
| ブラウザ | バージョン | Playwright内部のビルド番号 |
|---|---|---|
| Chromium(Chrome for Testing) | 153.0.8010.12 | chromium v1243 |
| Chrome Headless Shell | 153.0.8010.12 | chromium-headless-shell v1243 |
| Firefox | 155.0 | firefox v1543 |
| WebKit | 26.6 | webkit v2359 |
この対応関係があるため、Playwrightの版を上げることは同時にテスト対象ブラウザを上げることでもあります。1.63.0はGoogle Chrome 153とMicrosoft Edge 153の安定版チャンネルでも検証済みとされています。なお、Linux arm64環境では1.63.0からChromiumのダウンロード元が他プラットフォームと同じChrome for Testingビルドに統一されました。
インストール済みバージョンの確認方法
確認の手段は3つあり、見えるものが違います。実行ファイルとして何が動くかを見るのがnpx playwright --versionです。
$ npx playwright --version
Version 1.63.0
依存ツリーに入っている版を見るならnpm lsを使います。モノレポで複数版が混在していないかを調べるときはこちらが確実です。
$ npm ls @playwright/test
[email protected]
└── @playwright/[email protected]
公開されている最新版そのものを知りたい場合は、インストールせずにレジストリへ問い合わせます。dist-tagsまで出すと、安定版以外にどの系統が公開されているかも同時に分かります。以下の出力例では、betaとrcのバージョン値を省略しています。
$ npm view @playwright/test version
1.63.0
$ npm view @playwright/test dist-tags
{ latest: '1.63.0', next: '1.64.0-alpha-2026-09-20', beta: '...', rc: '...' }
インストール自体でつまずいている場合は、Playwrightのインストール方法とできない時の対処|バージョン確認・Windows対応で環境別の失敗パターンを扱っています。
最新版へのアップデート手順
更新はパッケージとブラウザの2段階です。片方だけでは動きません。
$ npm i -D @playwright/test@latest
$ npx playwright install
Linux・WSLでは依存ライブラリも一緒に入れます。
$ npx playwright install --with-deps
2段階に分かれているのは、ブラウザ本体がnpmパッケージに含まれておらず、~/.cache/ms-playwright(macOSは~/Library/Caches/ms-playwright)配下に別途ダウンロードされるためです。パッケージだけ上げても、標準設定では古いChromium 151が代わりに起動することはありません。対応するブラウザが未取得なら、実行ファイルが見つからず起動に失敗します。CIでキャッシュキーにPlaywrightの版を含めていない場合も同じ事故が起きるので、キャッシュキーには@playwright/testの版を入れてください。
1.63.0ではnpx playwright install --no-removeが追加され、他のPlaywrightインストールが使っているブラウザを消さずに残せるようになりました。通常は、他のPlaywrightクライアントが使用中と認識されているブラウザは保持されます。このオプションは、未使用と判定されたブラウザの自動削除も避けたい場合に使います。
バージョン履歴と主な変更点(1.56から1.63)
1.56.0から1.63.0までの8版を、追加された機能と互換性に関わる変更で並べます。公開日はmicrosoft/playwrightのリリース一覧に記録されている公開日(UTC)で、各版の詳細もそこで確認できます。
| バージョン | 公開日 | 主な追加 | 破壊的変更・動作要件 |
|---|---|---|---|
| 1.63.0 | 2026-09-04 | テストロック、フレーム横断ロケータ、locator.visible() | Ubuntu 20.04終了、ct実験パッケージの更新停止 |
| 1.62.0 | 2026-07-24 | ストーリー方式のコンポーネントテスト、MCPとCLIの同梱 | Debian 11終了、Node.js 20以上が必須 |
| 1.61.0 | 2026-06-15 | WebAuthnパスキー、Web Storage API | 記載なし |
| 1.60.0 | 2026-05-11 | トレースのHAR記録、locator.drop()、test.abort() | ariaRef・videosPath等の非推奨API削除 |
| 1.59.0 | 2026-04-01 | Screencast、CLIデバッガ、CLIトレース解析 | macOS 14のWebKit終了、ct-svelte削除 |
| 1.58.0 | 2026-01-23 | Playwright CLI+SKILLs、Timeline表示 | _react・_vue・:light・devtools削除、macOS 13のWebKit終了 |
| 1.57.0 | 2025-11-25 | Speedboard、Chrome for Testingビルドへ移行 | page.accessibility削除 |
| 1.56.0 | 2025-10-06 | Playwright Agents、page.consoleMessages() | backgroundpageイベント停止、backgroundPages()の空配列化 |
機能面で影響が大きかったのは1.62.0のコンポーネントテスト刷新です。コンポーネントを直接マウントする方式から、シナリオを固定したストーリーとそれを描画するギャラリーを使う方式へ変わり、mount()はギャラリーへ遷移してストーリーIDでマウントする役割になりました。1.63.0では実験パッケージの更新停止が告知されたため、旧方式を使っているプロジェクトは移行が前提になります。移行手順はPlaywright Component Testingの使い方|1.62のstory方式と移行手順で扱っています。
1.56.0で導入されたPlaywright Test Agentsは、planner・generator・healerの3つのエージェント定義でLLMにテスト作成を案内する仕組みです。npx playwright init-agents --loop=vscodeのようにクライアントを指定して定義ファイルを生成します。1.63.0で指定できるループは、claude・codex・copilot・opencode・vscode・vscode-legacyの6種です。その後も1.58.0でplaywright-cliベースのSKILL指向CLIが追加され、1.59.0ではnpx playwright test --debug=cliによるエージェント向けデバッガとnpx playwright traceによるCLIトレース解析が入りました。1.62.0ではPlaywright MCPサーバーとplaywright-cliが本体に同梱され、npx playwright mcpとnpx playwright cliで起動できるようになっています。MCPサーバーを実際に運用する際の注意点はPlaywright MCPのセキュリティ|危険性とCVE-2025-9611対策にまとめています。
エージェント定義を使っている場合、版を上げたら定義ファイルの再生成が必要です。公式ドキュメントは、新しいツールと指示を取り込むためPlaywrightを更新するたびに定義を作り直すよう求めています。パッケージとブラウザに加えて、ここも更新対象に含めてください。
アップグレード前に確認する3つの非互換
1.62でのNode.js下限変更:18から20へ
最も見落としやすいのがここです。@playwright/testのengines.nodeは1.45.0以降ずっと>=18でしたが、1.62.0で>=20へ変わりました。playwrightパッケージ側も同じです。にもかかわらず、1.62.0のリリースノートに記載があるのはDebian 11のサポート終了だけで、Node.jsの要件変更には触れていません。1.57.0から1.63.0のリリースノートを通して見ても、Node.jsの必要バージョンに関する記述は存在しません。
そのため、Node.js 18のまま1.62以降へ上げると、engine-strictを有効にしているCIではインストールが失敗し、そうでない環境ではインストール時の警告にとどまる場合があります。ただし警告で済むのはインストールまでで、実行時には止まります。1.63.0のplaywright-coreは起動時にNode.jsのメジャーバージョンを検査し、20未満なら「Playwright requires Node.js 20 or higher.」と出力して終了コード1で終了します。Node.js 18で運用しているプロジェクトは、1.61系で止めるか、先にNodeを上げてからPlaywrightを上げてください。順番を逆にすると、失敗の原因がPlaywright側にあるように見えて切り分けに時間を取られます。
なお公式ドキュメントのSystem requirementsはenginesよりさらに新しく、「Node.js: latest 22.x, 24.x or 26.x.」と書かれています。パッケージが宣言する下限は20ですが、公式のシステム要件は22.x・24.x・26.xの各最新版です。新規環境では、このいずれかを選んでください。
1.58〜1.63でのOSサポート終了
直近1年で、macOS 13のWebKit(1.58.0)、macOS 14のWebKit(1.59.0)、Debian 11(1.62.0)、Ubuntu 20.04(1.63.0)が順に外れました。公式ドキュメントが現在挙げている対応環境は、macOS 14以降、Debian 12/13、Ubuntu 22.04/24.04/26.04(x86-64またはarm64)、Windows 11以降・Windows Server 2019以降・WSLです。古いUbuntuで動いているCIランナーは、Playwrightを上げる前にイメージ側を先に更新する必要があります。
1.57〜1.60で削除されたAPI
1.57.0で、3年間非推奨だったPage#accessibilityが削除されました。アクセシビリティ検証はAxeなどの外部ライブラリへ寄せる前提です。1.58.0では_react・_vueセレクタと:lightサフィックス、browserType.launch()のdevtoolsオプションが削除されています。devtoolsの代替はargs: ['--auto-open-devtools-for-tabs']です。1.60.0ではLocator.ariaRef()、exposeBindingのhandle、connect系のlogger、videosPath/videoSizeが一斉に消えました。
古い版から一気に上げる場合、これらは実行時エラーではなく型エラーや静かな無視として現れることがあります。数版飛ばすときは、中間の版のBreaking Changesを確認し、削除されたAPI名でもリポジトリを全文検索してください。検索だけでは、既存APIの挙動変更や設定変更は拾えません。版ごとに増えたCLIのオプションはPlaywright CLIコマンド一覧で確認できます。
リリース間隔の実測と追随の判断基準
Playwrightの公式ドキュメントには、安定版を何日おきに出すという約束は書かれていません。書かれているのは配布タグの扱いだけで、latestが安定版、nextが毎日公開されるカナリア、betaはリリースブランチを切った後(通常は安定版の約1週間前)のコミットが公開される、と説明されています。
各マイナー版の初回公開日の間隔を1.56.0から1.63.0までで測ると、50日・59日・68日・40日・35日・39日・42日で、平均47.6日、最短35日、最長68日でした。約11か月でマイナー更新が7回です。間隔には幅があり、1.57から1.58は59日で2か月弱、1.58から1.59は68日で2か月を超えています。つまり「毎月出る前提でスケジュールを組む」のも「半年に一度見ればよい」と構えるのも、どちらも実態と合いません。
更新は、不具合修正と同梱ブラウザの変更を確認しながら定期的に行う方針を基本にします。そのうえで、環境移行の準備には次の2つを確認します。1つは、表の「破壊的変更・動作要件」列が空でない版かどうか。もう1つは、その変更が自分の実行環境(Node.jsの版、CIランナーのOS)に当たるかどうか。この2つに当たらない版でも、不具合修正やブラウザ更新がテスト結果に影響するため、変更内容を確認して更新時期を決めてください。
一方で、LTS的な長期保守を期待して古い版に留まり続ける選択は取れません。npmの配布タグはlatest・next・beta・rcのみでltsは存在せず、playwright.devにもサポートポリシーやLTSを説明するページはありません。配信実績を見ても同じです。1.52から1.63までの12系列について、次のマイナー版が出た後に旧系列へパッチが追加された例は1件もありませんでした(1.62系の最後のパッチ1.62.1は1.63.0の公開より前の2026年7月30日です)。旧版へのセキュリティ修正を保証する公式方針は確認できません。要件変更の有無だけで据え置き期間を決めず、修正情報とブラウザ更新を継続して確認してください。同梱ブラウザが更新されない以上、テスト対象のブラウザも古いまま固定される点も見落とせません。
よくある質問
Playwrightの最新バージョンはいくつですか?
2026年9月20日時点の最新安定版は1.63.0で、2026年9月4日に公開されました。同梱ブラウザはChromium 153.0.8010.12、Firefox 155.0、WebKit 26.6です。最新の状態はnpm view @playwright/test versionで確認できます。
インストール済みのPlaywrightのバージョンを確認するコマンドは?
npx playwright --versionを実行するとVersion 1.63.0のように表示されます。依存ツリー上の版を見たい場合はnpm ls @playwright/testを使うと、モノレポでの版の混在も分かります。
Playwrightを最新版に更新するにはどうすればよいですか?
npm i -D @playwright/test@latestでパッケージを更新したあと、npx playwright installでブラウザを入れ直します。Linux・WSLではnpx playwright install --with-depsを使います。更新後の版に対応するブラウザが未取得の場合、標準設定ではブラウザの起動に失敗します。
PlaywrightにLTS版はありますか?
ありません。npmの配布タグはlatest・next・beta・rcだけでltsは提供されておらず、playwright.devにもサポートポリシーを定めたページはありません。旧版に留まる場合は、セキュリティ修正のバックポートがない前提で判断してください。
1.56で追加されたPlaywright Agentsは今も使えますか?
使えます。npx playwright init-agents --loop=vscodeのようにクライアントを指定してplanner・generator・healerの定義を生成する方式は維持されており、1.58.0のplaywright-cli、1.59.0の--debug=cliとCLIトレース解析で機能が追加されています。