Windows Virtual Desktop(WVD)は、2021年6月にAzure Virtual Desktop(AVD)へ名称が変わったMicrosoftのクラウド型仮想デスクトップです。旧名称の記事には、現行のAzure Resource ManagerベースのAVDとは設定が異なるclassic環境の説明もあるため、対象環境の確認が必要です。この記事では、MicrosoftのAzure Virtual Desktopのセキュリティ推奨事項(2026年10月19日更新)を元に、利用者側が設定すべき項目を通信経路・ID・情報持ち出し・セッションホストの順に整理します。2026年に追加・変更された機能と、期限のある対応として、Secure Boot証明書の更新とAzure Disk Encryptionの廃止も扱います。
まとめ
- WVDは現在のAVD。2021年6月に改称しただけで、同じサービスです。
- 受信ポートは開けない(管理対象ネットワーク向けShortpathのUDP 3390番を除く)。セッションホストは
*.wvd.microsoft.comへ外向きTCP 443で接続するリバース接続を使うため、3389番をインターネットに公開する設計はAVD本来の構成から外れています。 - 守る範囲の多くは利用者側。ID、利用者の端末、セッションホストのOS、ネットワーク制御は顧客の責任で、Microsoftが担うのは物理基盤と仮想化の管理面です。
- ID側の要は条件付きアクセス。対象アプリ「Azure Virtual Desktop」と、シングルサインオン時は「Windows Cloud Login」の両方にMFAを要求します。
- 持ち出し対策は4段。リダイレクト制限、画面キャプチャ保護、ウォーターマーク、そしてプレビュー中の表示保護・入力保護です。
- 期限のある作業が2つ。Secure Boot 2011年証明書は2026年6月から失効が始まっており、Azure Disk Encryptionは2028年9月15日に廃止されます。
以下、設定する場所と値まで順に説明します。
Windows Virtual DesktopとAzure Virtual Desktopの関係
2021年の改称と現在の位置づけ
Windows Virtual Desktopは2019年に一般提供が始まり、2021年6月にAzure Virtual Desktopへ改称されました。WVD時代の構成(classic)は2026年9月30日に廃止され、classicのリソースへの接続はブロックされます。現在はAzure Resource Managerベースのホストプールが前提です。AVDはWindows 11/Windows 10のデスクトップやアプリをAzure上の仮想マシン(セッションホスト)で動かし、手元の端末へ画面を転送するVDIです。ただし、設定によってクリップボードやドライブ経由のデータ転送も可能です。1台に複数ユーザーが同時にサインインできるWindows Enterpriseマルチセッションを使える点がAVDの特徴です。
利用者が守る範囲(責任共有)
オンプレミスのRemote Desktop Services(RDS)では、ゲートウェイやブローカーなどの役割サーバーを自社で冗長化し、ポートを公開して運用していました。AVDではそれらをMicrosoftが運用しますが、守る範囲がなくなるわけではありません。公式ガイドの責任分担は次のとおりです。
| コンポーネント | 責任を持つ側 |
|---|---|
| ID(Entra ID・AD) | 顧客またはパートナー |
| 利用者の端末(PC・モバイル) | 顧客またはパートナー |
| アプリのセキュリティ | 顧客またはパートナー |
| セッションホストのOS | 顧客またはパートナー |
| デプロイ構成・ネットワーク制御 | 顧客またはパートナー |
| 仮想化の管理面・物理ホスト・物理ネットワーク・データセンター | Microsoft |
パッチ適用やアクセス制御を怠れば、AVDでも侵入は起こります。以降の章は「顧客側」の行を埋める作業です。
通信経路:リバース接続と受信ポートの要否
セッションホストに必要な外向き通信
AVDのセッションホストは、受信用のRDPリスナーを公開しません。セッションホスト側からAVDのゲートウェイへ外向きの接続を張り、その中でRDPを通すリバース接続を使います。そのためパブリックIPは不要で、ネットワークセキュリティグループ(NSG)に3389番の受信許可を作る場面もありません。代わりに、外向きで次の宛先を許可する必要があります(必要なFQDNとエンドポイントの一覧から主要なものを抜粋)。
| 宛先 | プロトコル・ポート | 用途 | サービスタグ |
|---|---|---|---|
login.microsoftonline.com |
TCP 443 | 認証 | AzureActiveDirectory |
*.wvd.microsoft.com |
TCP 443 | サービス通信・TCPのRDP | WindowsVirtualDesktop |
51.5.0.0/16 |
UDP 3478 | 中継(TURN)経由のRDP | WindowsVirtualDesktop |
*.prod.warm.ingest.monitor.core.windows.net |
TCP 443 | 診断データの送信 | AzureMonitor |
Azure FirewallやプロキシでFQDNを絞る構成では、この一覧を漏らすとセッションホストが正常に登録・接続できなくなります。一覧は随時更新されるので、構築時に最新版と突き合わせてください。
RDP ShortpathのUDP経路とPrivate Link
パブリックネットワーク向けのRDP Shortpathは、STUNでの直接接続かTURNでの中継接続です。どちらもセッションホストからの外向きUDP 3478で始まるため、受信ポートは要りません。一方、管理対象ネットワーク向けのUDPリスナー方式では、セッションホストのUDP 3390番(既定値)への受信許可が必要です。TURN中継のIP範囲は、Azure Communication Servicesと共用だった 20.202.0.0/16 から、AVDとWindows 365専用の 51.5.0.0/16 へ移行が完了しています(RDP Shortpathの公式解説)。古い範囲だけを許可しているファイアウォールは見直してください。
インターネットを経由させたくない場合はAzure Private Linkを使います。2026年2月には、Private Link上でのRDP Shortpath(UDP)が一般提供になりました。明示的に有効化した接続だけがUDPを使い、それ以外はWebSocket(TCP)のままです。
管理用RDPのアクセス制限:Just-In-TimeとBastion
公式ガイドは、セッションホストへの直接のRDPアクセスを避けるよう求めています。トラブル対応でどうしても必要なときは、Microsoft Defender for CloudのJust-In-Time VMアクセスで時間と送信元を限ってポートを開けます。常設の踏み台が要るなら、パブリックIPなしでブラウザから接続できるAzure Bastionの仕組みと4つのSKUが選択肢です。
ID:Entra IDの条件付きアクセスとMFA設定
条件付きアクセスで対象にするアプリ
AVDの認証はMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)に集約します。Entra IDそのものの位置づけはMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)とはにまとめています。条件付きアクセスには、対象ユーザーのMicrosoft Entra ID P1またはP2ライセンスが必要です。MFAを要求するポリシーでは、対象アプリの選び方で効き方が変わります(AVDでMFAを有効にする手順)。
| アプリ名 | アプリID | 扱い |
|---|---|---|
| Azure Virtual Desktop | 9cdead84-a844-4324-93f2-b2e6bb768d07 |
対象に含める |
| Windows Cloud Login | 270efc09-cd0d-444b-a71f-39af4910ec45 |
SSOを使うなら含める |
| Azure Virtual Desktop Azure Resource Manager Provider | 50e95039-b200-4007-bc97-8d5790743a63 |
選ばない |
「Azure Virtual Desktop」はリソースの購読、ゲートウェイへの認証、診断データの送信のときに評価されます。シングルサインオンを有効にしている場合、セッションホストへのサインインは「Windows Cloud Login」で評価されるため、こちらにもMFAを要求する別のポリシーを設定し、両アプリの条件を整合させます。ただし、サインイン頻度はアプリごとの対応範囲に合わせます。3つ目のアプリはフィードの取得にしか使われず、MFAを要求すべきではないと公式に明記されています。認証アプリを使った本人確認の流れはMicrosoft Authenticatorの仕組みと使い方を参照してください。
サインイン頻度とトークン保護
各ポリシーの「セッション」でサインイン頻度を設定します。「毎回」はSSO有効時のWindows Cloud Loginだけが対応します。設定時間を過ぎても接続中に再認証を求めるわけではなく、新しいアクセストークンが必要な認証時に評価されます。私物端末からの接続を許す環境ほど短くするのが公式の考え方です。加えて公式ガイドは、Windows Appを動かす接続元端末でトークン保護(Token Protection)を要求するよう推奨しています。盗まれたサインイントークンを別の端末で使い回す攻撃への対策で、セッションホスト側には適用されません。社内外を問わず毎回検証する考え方はゼロトラストネットワークの7つの要件と同じです。
外部の委託先とゲストの扱い
2025年11月に、ゲストアカウントなどの外部ID(external identities)でAVDのリソースを使えるようになりました(一般提供)。2026年にはWindows AppのAndroid・macOS・iOS版も順に対応しています。ここで混同しやすいのがライセンスです。AVDのライセンス解説は、外部のベンダーや契約社員も「社内ユーザー(internal users)」に数えるとしており、自社の業務に使わせるなら対象ライセンスが1人ずつ必要です。ユーザー単位のアクセス料金(per-user access pricing)は自社の顧客にアプリを提供する外部商用目的に限られ、ゲストに使わせる手段にはなりません。
情報持ち出し:リダイレクト・画面キャプチャ保護・ウォーターマーク
リダイレクトの既定値とコンテキストベースの制御
手元の端末とセッションの間でデータを動かす経路は、クリップボード・ドライブ・プリンター・USBのリダイレクトです。RDPプロパティの一覧では redirectclipboard と redirectprinters の既定値が0、drivestoredirect と usbdevicestoredirect の既定値が空で、いずれも明示しなければ無効です。ただしホストプールのRDPプロパティを過去に変更していると有効になっていることがあるので、実際の値を確認してください。ホストプールにまとめて設定するときはAzure PowerShellで次のように書きます。
Update-AzWvdHostPool -ResourceGroupName "rg-avd" -Name "hp-prod" `
-CustomRdpProperty "redirectclipboard:i:0;drivestoredirect:s:;redirectprinters:i:0;usbdevicestoredirect:s:;"
-CustomRdpProperty は文字列全体を置き換えるため、既存のプロパティ(音声やマルチモニターの設定など)も同じ文字列に含めます。クリップボードを完全に止めると業務が回らない場合は、転送の方向と種類(テキストのみ等)を絞る設定に置き換えるのが公式の推奨です。
2026年6月には、条件付きアクセスの認証コンテキストに応じてリダイレクトを切り替えるコンテキストベースのリダイレクトがプレビューで追加され、10月にはRemoteAppにも対応しました。準拠済みの会社端末ならクリップボードとドライブを許可し、私物端末からは止める、といった使い分けをホストプールを分けずに実現できます。設定は「認証コンテキストの作成」「そのコンテキストを対象にした条件付きアクセス」「ホストプールのRDPプロパティでの割り当て」の3段です。私物端末を認める範囲の考え方はBYODの管理範囲と費用負担も参考になります。
画面キャプチャ保護の2つのモードと対応端末
画面キャプチャ保護を有効にすると、接続元の端末でのスクリーンショットや画面共有にリモートの画面が写らなくなります。セッションホストはWindows 11 22H2以降かWindows 10 22H2以降が条件で、IntuneまたはグループポリシーのAzure Virtual Desktop管理用テンプレートで設定します。モードは「クライアント側でブロック」と「クライアントとサーバーの両方でブロック」の2つで、後者はセッションホスト内のツールによる画面取得も止めます。
接続元によって必要な設定が違います。WindowsとmacOSのWindows Appはセッションホスト側の設定だけで効きますが、iOS・Androidと、ブラウザー(Windows上のMicrosoft Edge for Business)からの接続は、Intune MAMのアプリ保護ポリシーと、それを要求する条件付きアクセスの組み合わせが必要です。ブラウザーからの接続での保護は2026年8月に追加されました。ただし、このMAM構成はポリシー適用元と同じテナントが管理する端末には対応しないため、該当端末ではネイティブのWindows Appを使います。ブラウザーでは、接続に使う組織アカウントでEdgeの仕事用プロファイルにもサインインする必要があります。macOSではTeamsの画面共有が黒く抜けるなどの既知の制約があり、公式は機密性の高い業務ではWindows端末を推奨しています。また公式は、この機能がDRM相当の保護ではないと明記しています。
ウォーターマークによる撮影元セッションの追跡
スマートフォンで画面を撮影される経路は、画面キャプチャ保護では止まりません。そこでウォーターマークを有効にすると、既定では接続ID(Connection ID)を埋め込んだQRコードが画面に重なります。デバイスIDを選べるのは、個人用ホストプールで、セッションホストがMicrosoft Entra参加またはハイブリッド参加している場合です。有効化後は、非対応のクライアントからの接続が汎用的なエラーで失敗します。RemoteAppにはウォーターマークが付かず、AVDを経由せず mstsc.exe で直接つないだ場合も付かない点に注意してください。撮影された画像のQRコードから接続IDを読み取ったら、Log Analyticsで次のように引きます(接続IDは CorrelationId 列に入ります)。
WVDConnections
| where CorrelationId contains "<QRコードの接続ID>"
| project TimeGenerated, UserName, SessionHostName, ClientOS, ClientSideIPAddress, State
このクエリを使うには、AVD Insightsの診断データがLog Analyticsワークスペースに送られている必要があります。ウォーターマークだけ有効にしてログを取っていないと、QRコードを読めても誰の接続か分かりません。
表示保護と入力保護(プレビュー中)
接続元の端末に潜むマルウェアへの対策として、2つの機能がプレビュー中です(表示保護は2026年9月、入力保護は2025年11月に公開)。表示保護はセッションの画面を暗号化して端末の保護された経路でだけ描画し、入力保護はカーネルレベルのドライバーでキー入力を暗号化してキーロガーから守ります。AVDではどちらもホストプールのRDPプロパティで有効にします。
enableWindowsCloudIODisplayProtection:i:1
enablewindowscloudiokeyboardinputprotection:i:1
表示保護は0が未構成、1がハードウェア保護を試みてソフトウェア保護にフォールバック、2がハードウェア保護必須です。どちらも対応するのは物理のWindows 11端末で動くWindows App(2.0.1236.0以降)だけで、macOS・iOS・Android・ブラウザー・仮想マシンからは接続できなくなります。入力保護はさらに、接続元端末へのMSIのインストールと、同じテナントへのEntra登録が必要です。全社に一斉適用せず、対象者を限ったホストプールで試すのが現実的です。
セッションホスト:OS更新・ディスク暗号化・ブート保護
マルチセッションを共有してよい相手
マルチセッションではユーザー同士が同じOSを共有するため、公式ガイドは信頼関係に応じて構成を分けるよう推奨しています。同じ組織の標準権限ユーザーならマルチセッション、管理者権限が必要なユーザーには個人用ホストプールで1人1台、別組織のユーザーにはAzureテナントとサブスクリプションを分ける、という区分です。競合関係にある会社の利用者を同じマルチセッション環境に入れることは推奨されていません。マルチセッションでユーザーにソフトウェアを直接インストールさせず、Intuneなどで配布することも求められています。
ADE廃止に伴うホストでの暗号化への移行
セッションホストのディスクは、Azure Storage側で保存時に暗号化されます。BitLockerを使うAzure Disk Encryption(ADE)は、2028年9月15日に廃止されます。その日以降もADEのVMは動き続けますが、再起動すると暗号化ディスクのロックが解除できずに止まります。公式ガイドにはまだ「vTPMとADEでBitLockerを使う」という記述が残っていますが、新しく作るセッションホストはホストでの暗号化(encryption at host)、機密性の高い業務はConfidential VMのOSディスク暗号化にしてください。なお、FSLogixのプロファイルを置くディスクはBitLockerで暗号化しないよう公式が注記しています。
Trusted launchとSecure Boot証明書の更新
Azureポータルからセッションホストを追加するときの既定のセキュリティの種類はTrusted launch(信頼された起動)で、セキュアブートとvTPMが使えます。ここで対応が必要なのが、2011年に発行されたMicrosoftのSecure Boot証明書です。AVD向けのサポート記事によれば、この証明書は2026年6月から失効が始まっており、2023年版の証明書に更新しないと、ブート領域の新しい脆弱性への対策を受け取れなくなります。
| 構成 | 対応 |
|---|---|
| Trusted launchでセキュアブート有効 | セッションホストで証明書を更新 |
| Trusted launchでセキュアブート無効・Standard・第1世代 | 不要 |
| Compute Galleryのイメージ(セキュアブート有効) | 元のイメージで更新 |
| Trusted launchでないイメージ・マネージドイメージ | 展開後にセッションホストで更新 |
ゴールデンイメージを使っている場合、イメージを更新しない限り新しく作るセッションホストが古い証明書のまま増えていきます。セッションホストの更新とイメージの更新を別々に管理してください。
管理者保護(Administrator protection)の非対応と無効化設定
2026年10月の公式ガイドに、見落とすと全員のサインインに影響する注意が加わりました。Windows 11の管理者保護(Administrator protection)はAVDのセッションホストでは非対応で、有効にするとサインイン時に想定外の認証画面が出たり、昇格に失敗したりします。Microsoft Security Compliance ToolkitのWindowsセキュリティベースラインをグループポリシーで適用している場合、2026年10月のセキュリティ更新以降は、自分で有効にしていなくても管理者保護が有効になります。グループポリシーの「User Account Control: Configure type of Admin Approval Mode」を「Legacy Admin Approval Mode」にし、セッションホストを再起動して無効にします。カスタムイメージにも同じ設定を入れてください。
エンドポイント保護とパッチ
セッションホストにはMicrosoft Defender ウイルス対策などのエンドポイント保護とEDRを入れ、FSLogixのVHD(X)ファイルはスキャン対象から除外します。ベースイメージへのパッチ適用は月1回が公式の推奨です。Windows 10のセッションホストは2025年10月にサポートが終わりましたが、AVD上では拡張セキュリティ更新(ESU)を追加費用なしで受けられます。ただしESUは最長3年なので、Windows 11への移行計画は必要です。
リモートデスクトップ接続・RDS・Windows 365との違い
Windows標準のリモートデスクトップ接続(mstsc.exe)は既存のPCやRDSセッションホストへ接続するクライアントで、同時接続の可否は接続先のOS・構成・ライセンスに依存します。接続先のネットワーク公開範囲と保護は別途設計します。オンプレミスのRDSはゲートウェイの公開とパッチ適用まで自社の責任です。Windows 365 Enterpriseは1人1台のCloud PCを定額で提供するサービスで、画面キャプチャ保護やウォーターマークはAVDと共通です。
| 観点 | Azure Virtual Desktop | リモートデスクトップ接続 | Windows 365 Enterprise |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | マネージドVDI | OS標準のクライアント | 定額のCloud PC |
| マルチセッション | 対応 | 接続先に依存 | 非対応 |
| 受信ポート | 不要(リバース接続) | 接続先の公開設定次第 | 不要(リバース接続) |
| 課金 | VM・ストレージの従量 | 接続先の費用のみ | ユーザー単位の月額 |
| 設計・運用の負担 | 大きい | 接続先次第 | 小さい |
AVDとWindows 365への接続に使うクライアントは、旧リモートデスクトップアプリからWindows Appへ移行しています。入れ方と移行の注意点はWindows Remote Desktopの使い方とWindows App移行にまとめました。
ライセンスと料金の内訳
AVDの費用は、利用者ごとのアクセス権と、Azureの実費に分かれます。Windows 11/10のEnterpriseマルチセッションなどクライアントOSのセッションホストを社内用途で使う場合、Microsoft 365 E3・E5・A3・A5・F3・Business Premium、Windows Enterprise E3・E5、Windows Education A3・A5、Windows VDA per userのいずれかを持つユーザーなら、アクセス権の追加費用はかかりません。Windows Serverのセッションホストでは、ソフトウェアアシュアランス付きのRDS CALなどが必要です。
実際に請求されるのは、セッションホストの仮想マシン(サイズ×稼働時間)、OSディスクとFSLogixプロファイル用のストレージ、ネットワーク転送などの従量分です。1台に収容する人数を増やし、スケーリングプランで夜間や休日にVMを止めるほど単価は下がります。Log Analytics(ウォーターマークの追跡・監査ログ)とDefender for Cloudも別料金なので、見積もりに含めてください。AzureでのVDI構築を外部に任せる場合は、弊社のインフラ構築(AWS・Google Cloud・Azure)でも設計から対応しています。
AVDを選ばないほうがよい場面
AVDが候補になるのは、拠点や端末が分散している利用者を1つの環境に集約し、受信ポートを開けずに社内システムへ入らせたい場合です。専用PCの配布だけで要件を満たせ、AVDを設計・保守する担当者も確保できない場合は、Windows 365 Enterpriseを優先して検討します。常時稼働の場合は、停止による節約を見込まず、ライセンスと運用費を含めて比較します。Windows 365 Enterpriseは定額なので総額を読みやすく、保護機能の多くもAVDと共通です。
また、表示保護・入力保護を前提にした業務を私物のMacやスマートフォンから回す計画は成り立ちません。両機能は物理のWindows 11端末にしか対応しないためです。端末を絞れないなら、リダイレクトの制限と条件付きアクセスで守れる範囲を先に決めてください。テレワーク全体の侵入経路と対策の優先度はテレワークのセキュリティ対策で整理しています。
よくある質問
Windows Virtual DesktopとAzure Virtual Desktopは違うサービスですか?
同じサービスです。2021年6月に名称が変わりました。旧名称の資料には現行環境と異なるclassicの設定も含まれます。classicは2026年9月30日に廃止されたため、現行環境の構成と機能は最新の公式資料で確認してください。
セッションホストにRDPの受信ポートを開ける必要はありますか?
通常のリバース接続では不要です。ただし、管理対象ネットワーク向けRDP ShortpathのUDPリスナー方式では、既定でUDP 3390番への受信許可が必要です。リバース接続では、セッションホストが *.wvd.microsoft.com へ外向きTCP 443で接続するため、3389番を開ける必要も、パブリックIPを付ける必要もありません。管理用に直接RDPが要るときは、Just-In-Time VMアクセスかAzure Bastionで一時的に絞ります。
Windows Virtual Desktopの使い方は?利用者はどう接続しますか?
管理者がホストプールとアプリケーショングループを作ってユーザーを割り当てると、利用者はWindows App(Windows・macOS・iOS・Android・ブラウザー)に職場のアカウントでサインインし、表示されたデスクトップかアプリを選んで接続します。MFAを要求する条件付きアクセスポリシーの適用対象なら、認証状態とサインイン頻度の設定に応じてMFAが求められます。
リモートセッションのスクリーンショットを禁止できますか?
できます。画面キャプチャ保護を有効にすると、スクリーンショットや画面共有にリモートの画面が写らなくなります。iOS・Android・ブラウザーからの接続では、IntuneのMAMアプリ保護ポリシーと条件付きアクセスの併用が必要です。カメラでの撮影は防げないため、接続IDのQRコードを重ねるウォーターマークを組み合わせます。
AVDとWindows 365はどちらを選べばよいですか?
多人数を1台のVMに集約して費用を下げたいならAVD、1人1台の専用PCを手間なく定額で配りたいならWindows 365です。画面キャプチャ保護やコンテキストベースのリダイレクトなど主な保護機能は両方で使えるので、必要な保護機能が対象プラン・端末・接続方式で使えることを確認したうえで、人数と運用体制、総費用を比較してください。