Raycastを日本語化する方法はありません。2026年9月28日公開の最新版v2.5でも、メニューと設定画面は英語だけで、表示言語を切り替える項目がありません。一方で、日本語の入力・検索、日本語名のコマンドやリンクの登録、日本語への翻訳はできます。この記事では、公式アプリの中身とマニュアルで確かめた日本語対応の範囲、英語UIのまま日本語ユーザーが困らないための設定、翻訳や1Passwordなどのおすすめ拡張機能、v2の動作要件と料金、Windows版の状況を順に説明します。
まとめ:Raycastの日本語対応の要点
- Raycastに日本語UIはありません。設定にある「Language」は音声入力(Dictation)と翻訳(Translate)の言語選択で、画面表示の言語ではありません。
- 日本語で入力・検索でき、Script Commands・Quicklinks・Snippetsの名前は日本語で付けられます。これが実質的な「部分日本語化」です。
- エイリアスは英小文字・数字・スペースしか使えません。日本語のエイリアスは登録できないので、ローマ字で付けます。
- 英字のコマンド名を打つ前の入力切替は、Settings → Keyboard の
Auto-switch Input Sourceで自動化できます。Raycastを開くと英字入力になり、閉じると元に戻ります。 - v2(2026年8月25日に正式版)はmacOS TahoeとApple Siliconが必須です。本体は無料で、AIと組み込み翻訳はPro(月10ドル〜)で使えます。
以下、日本語対応の根拠から順に説明します。
Raycastの日本語対応の現状(v2.5時点)
表示言語を切り替える設定がない根拠
公式サイトの配布ファイル(Raycast_2.5.3.0_arm64.dmg)を展開すると、アプリの開発言語は英語(CFBundleDevelopmentRegion が en)で、画面の文言を他言語に差し替えるための翻訳リソースが入っていません。日本語のリソース(ja.lproj)は、計算機能のエンジンであるSoulverCoreの中に単位や通貨の説明用として入っているだけです。
設定画面の定義を見ても、言語を選ぶ項目は音声入力の Language と、翻訳の Default Source Language/Default Target Language の3つだけでした。拡張機能の開発者向けドキュメントも「At the moment, Raycast doesn’t support localization and only supports US English.」と明記し、拡張機能ごとに独自の多言語化を組み込むことを控えるよう求めています。日本語化の予定は公表されていません。
日本語で使えること・使えないこと
| 項目 | 日本語 | 補足 |
|---|---|---|
| メニュー・設定画面 | 不可 | 英語のみ |
| 検索窓への入力 | 可 | 起動時は英字入力が快適 |
| アプリ名の表示・検索 | 可 | 日本語名で表示、英語名でもヒット |
| エイリアス | 不可 | 英小文字・数字・スペースのみ |
| Script Commandsの名前 | 可 | @raycast.title に日本語 |
| Quicklinks・Snippetsの名前 | 可 | 本文も日本語で登録可 |
| 翻訳 | 可 | 組み込みはPro、拡張機能は無料 |
| AIチャット | 可 | 日本語で質問・回答(Pro) |
アプリ名は、macOSの言語設定に合わせた日本語名(「ジャーナル」など)で並びます。v2の変更履歴には、英語名の「Journal」で「ジャーナル」を探したときの順位を改善したとあり、英語名で打っても見つかります。
エイリアスの制限は見落としやすい点です。公式マニュアルは使える文字を「lowercase letters (a–z), numbers (0–9), and spaces」と定め、「Special characters are not supported」としています。「ss」でスクリーンショット、「kk」で計算機のように、ローマ字や英字の略語で付けます。
英語UIのまま日本語ユーザーが困らない初期設定
起動時の入力ソースの自動切替設定
英字のコマンド名をよく使う場合は、起動時の入力ソースを英字に固定すると、日本語入力から切り替える操作を省けます。設定(⌘,)の Keyboard にある Auto-switch Input Source で「英字」または「ABC」を選ぶと、Raycastを開いたときだけ入力ソースが切り替わり、閉じると元に戻ります。設定画面の説明は「The previous input source will be restored when closing」です。日本語名のファイル・コマンド・リンクを探すときは、かなキーなど、使用中のキーボードに合った入力ソースの切替操作で日本語入力に戻します。
呼び出しキーとよく使うコマンドのホットキー
Raycast全体の呼び出しキーは、設定の Raycast Hotkey で変えます。Spotlightと同じ ⌘Space にしたい場合は、先にmacOSのシステム設定でSpotlight側のショートカットを外しておかないと、キーが競合します。
個別のコマンドには、ルート検索でコマンドを選んで ⌘K → Configure Command → Set Hotkey でグローバルなホットキーを割り当てられます。エイリアスは同じメニューの Set Alias か、Settings → Shortcuts の一覧で設定します。Google Chromeに「gc」というエイリアスを設定すると、「gc」と完全一致する入力では検索結果の最上位に優先表示されます。「g」のような前方一致でも順位は上がりますが、完全一致より優先度は下がります。
部分日本語化の手順:コマンド・リンク・定型文への日本語名の設定
Script Commandsによる日本語タイトルのコマンド作成
Script Commandsは、シェルやPythonのスクリプト冒頭にコメントでメタデータを書くと、Raycastのコマンドとして検索できるようにする仕組みです。必須のメタデータは @raycast.schemaVersion・@raycast.title・@raycast.mode の3つで、title に日本語を書けば、その名前でルート検索に並びます。作成はルート検索の Create Script Command から始め、保存先フォルダを Settings → Script Commands の Add Script Directory で登録します。
次の2本は、英単語をWeblio英和辞典で引くコマンドと、今日の日付を「2026年9月29日」の形でコピーするコマンドです。どちらもbashの構文チェックとShellCheckを通し、日付のコマンドはmacOS上で実行して出力を確認しています。
#!/bin/bash
# Required parameters:
# @raycast.schemaVersion 1
# @raycast.title 英和辞典で調べる
# @raycast.mode silent
# Optional parameters:
# @raycast.packageName 日本語コマンド
# @raycast.argument1 { "type": "text", "placeholder": "英単語", "percentEncoded": true }
open "https://ejje.weblio.jp/content/$1"
echo "Weblioを開きました"
#!/bin/bash
# Required parameters:
# @raycast.schemaVersion 1
# @raycast.title 今日の日付をコピー
# @raycast.mode compact
# Optional parameters:
# @raycast.packageName 日本語コマンド
today=$(date "+%Y年%-m月%-d日")
printf '%s' "$today" | pbcopy
echo "${today} をコピーしました"
mode の値は4種類です。silent はRaycastを閉じてから最終行を小さく通知し、compact は最終行を通知に出し、fullOutput は出力全体を別画面に表示し、inline は1行目をコマンド名の横に表示し続けます。inline は refreshTime を指定しないと compact として動きます。引数は argument1〜argument3 の最大3つで、型は text・password・dropdown です。
QuicklinksとSnippetsへの日本語名の登録
Quicklinksは、URL・フォルダ・ディープリンクに名前を付けて呼び出す機能で、名前は自由に付けられます。「社内Wiki」「経費精算」のように日本語で登録すると、ルート検索に日本語のまま並びます。検索URLの一部を {argument name="query"} にしておけば、打った語をそのまま検索に渡せます。
Snippetsは定型文の登録機能で、本文は最大65K文字まで日本語で保存できます。自動展開を有効にすると、アプリの入力欄でキーワードを定型文に置き換えられます。展開のタイミングは、キーワードの入力直後か、スペースなどの区切り文字を入力した後かを設定できます。キーワードは日本語入力の変換と衝突しないよう、マニュアルの例(!email、;;addr)のように記号付きの英字にするのが安全です。
Raycastでできること:無料で使える組み込み機能
次の組み込み機能はFreeプランでも使えます。ただし、クリップボード履歴の保持期間は3か月、Raycast Notesは5件までで、カスタムウィンドウ管理コマンドはProの対象です。
| 機能 | できること |
|---|---|
| ファイル検索 | ファイル・フォルダをルート検索から開く |
| Clipboard History | コピーした文字・画像・ファイルを検索して再貼り付け |
| Snippets | キーワード入力で定型文を展開 |
| Quicklinks | URL・フォルダ・検索URLを名前で開く |
| Window Management | ウィンドウの移動・サイズ変更をキー操作で |
| Raycast Notes | Markdown対応のメモを呼び出す |
| Script Commands | 自作スクリプトをコマンド化 |
ウィンドウ管理やクリップボード履歴のために別々の常駐アプリを入れている場合、Raycast 1本にまとめられます。
Raycastの翻訳機能:組み込みのTranslateと拡張機能の違い
「raycast 翻訳」で探す人が選ぶべきなのは、Proを使うかどうかで決まります。組み込みの Translate コマンドはPro限定で、入力しながら訳文が更新され、ルート検索で「good night into japanese」のように打つだけで結果が出るインライン翻訳もあります。言語名は3文字以上の曖昧一致なので「jap」で日本語が選ばれます。
無料で使うなら、Storeの拡張機能 Google Translate(インストール数490,993件、macOSとWindowsに対応)を入れます。よく使う言語の組を「Language Sets」として登録できるので、日英・英日を1つずつ作っておくと切り替えの手間がなくなります。
Raycastのおすすめ拡張機能と導入方法
Storeからの導入と更新
拡張機能は、ルート検索で Store と打って開くStoreから入れます。拡張機能を選んで Enter を押すとすぐに追加され、以後は公開者の更新がバックグラウンドで自動適用されます。Storeには使っているOSで動く拡張機能だけが表示されるので、Windowsで見つからない拡張機能はmacOS専用です。
日本語ユーザーに向く拡張機能
| 拡張機能 | 用途 | インストール数 | 前提 |
|---|---|---|---|
| Google Translate | 日英翻訳 | 490,993 | なし |
| 1Password | パスワード・OTPのコピー | 247,937 | 1Password 8はCLI必須 |
| Todoist | タスクの確認・追加 | 95,684 | Todoistアカウント |
| Browser Bookmarks | ブックマーク検索 | 66,277 | ブラウザの選択 |
インストール数は2026年9月29日時点のStore表示です。1Passwordの拡張機能は、1Password 8で使う場合に1Password CLIの導入と、1Passwordの Settings → Developer → Integrate with 1Password CLI の有効化が要ります。連携を有効にしないと、セッションが見つからないたびに op signin でのサインインを求められます。CLIの設定と運用は1Password CLIの使い方:op runでの秘密情報注入とCIのサービスアカウント運用で説明しています。
Browser Bookmarksは、既定ではデフォルトブラウザのブックマークしか読みません。ChromeとSafariを併用しているなら、拡張機能の中で Select Browsers を実行して両方を有効にします。
Raycast 2.0で変わった点と動作要件・料金
v1からv2への移行と動作要件
Raycast v2は、2026年5月14日に公開ベータとして発表され、8月25日のv2.0で正式版となってv1を置き換えました。v1の設定やデータは、移行時の案内に従って取り込めます。公式サイトは要件を「macOS Tahoe and Apple Silicon required」と明記しており、配布ファイルの最小OSも 26.0 です。macOS Sequoia以前やIntel Macではv2を入れられません。
v2では、ファイル検索の結果がルート検索に直接並ぶようになり、Snippetsにタグが付けられるようになりました。ファイル検索の対象は、既定でホームフォルダと /Applications です。その後も更新は速く、v2.1(9月1日)からv2.5(9月28日)まで約1か月で5回出ています。
料金プランとAIの扱い
| プラン | 個人・月払い | 月間AIクレジット |
|---|---|---|
| Free | 0ドル | なし |
| Pro | 10ドル | 500 |
| Pro+ | 20ドル | 3,000 |
| Max | 50ドル | 7,500 |
Freeでも、クリップボード履歴・ウィンドウ管理・カレンダーなどの組み込み機能と、Storeの公開拡張機能はすべて使えます。会社での利用もFreeのままで認められています。v2.0で、ベータ中は無料だった音声入力とAIチャットはProの機能になり、無料体験の対象となる新規アカウントでは、7日間のPro無料体験を利用できます。AIを使わない職場では、設定でAIを完全にオフにできます。
Windows版Raycastの日本語対応とCommand Paletteとの違い
Windows版は2025年11月27日のv0.38で誰でも使えるベータとして公開され、macOSと同じ2026年8月25日にv2.0として正式版になりました。対応OSはWindows 10(21H2以降)とWindows 11で、WinGetでも入れられます。UIはmacOS版と同じく英語のみです。
日本語入力まわりは、ベータ期間中に段階的に整いました。2026年2月13日のv0.45でIMEのキーボードレイアウトに対応し、v0.61で英字以外の文字を含むファイル・フォルダの検索を改善しています。5月8日のv0.56では、ホットキーの記録が物理キー基準に変わり、キーボード配列に応じた文字を表示するようになりました。
Windowsで比べられるのは、MicrosoftのPowerToysに含まれるCommand Palette(既定の呼び出しは Win+Alt+Space)です。アプリ起動・ファイル検索・計算・WinGetでのアプリ検索はどちらでもできます。Raycastを選ぶ理由になるのは、両OS対応のStore拡張機能をMacと同じように使えることと、Snippets・Quicklinks・Script Commandsで操作をまとめられることです。社内でPowerToysを一括配布する手順はPowerToysを全社展開する手順:winget配布とGPO・Intuneでの機能制御を解説にまとめています。
Raycastを入れないほうがよいケース
- Intel MacまたはmacOS Sequoia以前を使っている:v2の動作要件を満たさないため、本記事で紹介したv2の新機能は利用できません。
- メニューが日本語でないと使えない利用者に配る:日本語UIが無く、設定項目の説明もすべて英語です。社内展開するなら、使うコマンドと設定手順を日本語で書いた手順書が別に要ります。
- Spotlightでアプリを開くだけで足りている:Raycastの価値は、拡張機能・Snippets・Script Commandsで操作をまとめる点にあります。アプリ起動しか使わないなら、常駐アプリを1つ増やす理由になりません。
ターミナル作業が中心の人は、Raycastと合わせてiTerm2とは?Macのおすすめターミナル|インストール・使い方・設定【3.7対応】も参考になります。
よくある質問
Raycastは日本語化できますか?
できません。v2.5時点で表示言語の設定がなく、アプリに翻訳リソースも入っていません。Script Commands・Quicklinks・Snippetsに日本語の名前を付けて、よく使う部分だけを日本語にするのが現実的な方法です。
Raycastのエイリアスに日本語は使えますか?
使えません。公式マニュアルでエイリアスに使える文字は英小文字・数字・スペースに限られています。「ss」「kk」のようなローマ字や英字の略語で登録します。
Raycastで日本語の翻訳はできますか?
できます。Proなら組み込みのTranslateコマンドやインライン翻訳が使えます。無料で使うならStoreのGoogle Translate拡張機能を入れます。
Windows版のRaycastは日本語に対応していますか?
UIは英語のみです。日本語の入力はできます。2026年2月のv0.45でIMEのキーボードレイアウトに対応し、5月のv0.56でキーボード配列に合わせたホットキー表示に対応しました。
Raycast 2.0はIntel Macで使えますか?
使えません。公式サイトはmacOS TahoeとApple Siliconを必須としています。