CI/CDツールの比較記事は製品名と特徴の一覧で終わることが多く、無料枠が何回分のビルドに当たるのか、超えたらいくらになるのかまでは書かれていません。この記事では主要11製品の無料枠と超過単価を各社の公式料金ページから拾い直し、1回5分のジョブに換算して並べました。2026年の利用率調査、選定の5つの判断軸、導入の順序もあわせて扱います。
まとめ:CI/CDツール選定の結論
コードをGitHubに置いているなら、GitHub Actionsから始めるのが最短です。追加契約が要らず、privateリポジトリでも月2,000分の無料枠があり、publicリポジトリの標準ランナーは無料。GitLabならGitLab CI/CD、JiraとBitbucketで開発を回している組織ならBitbucket Pipelines、iOS/Androidアプリが中心ならBitriseと、コードの置き場所と作るものでほぼ決まります。2026年のJetBrainsの調査でも、組織での利用率はGitHub Actionsが47%で首位でした。
費用の境界を動かすのは、ツールの無料枠の大小よりもmacOSでビルドするかどうかです。GitHub ActionsのmacOSランナーは1分$0.062で、Linuxの$0.006の約10倍。Linuxだけで回すなら、月1,000分超過しても請求は$6にとどまります。
OSS向けに無条件で使える無料の実行環境を優先する場合、Travis CIとAzure Pipelinesは第一候補から外します。Travis CIは無料トライアルを停止中で、Azure DevOpsはpublicプロジェクトを廃止し既存分も2027年にprivateへ変換します。どちらもOSSを無料で回すという前提が崩れました。
CI/CDツールが自動化する範囲|CIとCDの境界
CIの役割|変更の頻繁な統合と自動検証
継続的インテグレーション(CI)は、変更を共有リポジトリへ頻繁に統合し、自動ビルドやテストで問題を早期に検出する開発慣行です。プルリクエストを起点にビルドとユニットテスト、静的解析を走らせ、通らなければマージを止めます。本番環境の認証情報を使わない構成を基本とし、非公開パッケージの取得や外部サービスを使うテストには、必要な認証情報を別途限定して渡します。何を走らせるかは静的テストとは?レビューと静的解析の違い・動的テストとの使い分けを比較の検出範囲の差が判断材料になります。
継続的デリバリーと継続的デプロイを分ける「本番反映の承認」
CDには2つの意味があります。継続的デリバリーはいつでも本番に出せる状態までを自動化し、最後の反映を人が承認する方式。継続的デプロイはテストを通れば承認なしで本番に反映する方式です。承認を挟むなら、環境ごとに承認者を設定できる製品(GitHub ActionsのEnvironments、Azure Pipelinesの承認とチェック)が要ります。Kubernetesへ継続的にデプロイするなら、リポジトリの状態にクラスタを同期させ続けるGitOps型が候補に入ります。用語の定義や導入判断そのものはCI/CDとは:仕組み・パイプライン構成・GitHub Actionsの設定例と導入判断の基準を解説にまとめています。
主要CI/CDツール11種の比較|無料枠・課金単位・実行環境
2026年10月11日時点で、各社の公式料金ページとドキュメントから拾った値です。無料枠はいずれも月あたり。
| ツール | 無料枠(月) | 超過・有料の単位 | 実行環境 | 向く組織 |
|---|---|---|---|---|
| GitHub Actions | private 2,000分 | 分単位の従量 | マネージド+セルフホスト | GitHub利用 |
| GitLab CI/CD | 400 compute minutes | 係数1〜12倍で消費 | マネージド+セルフホスト | GitLab利用 |
| CircleCI | 6,000ビルド分 | クレジット制 | マネージド+セルフホスト | ホスティング混在 |
| Bitbucket Pipelines | 50分(5ユーザー) | $10/1,000分 | マネージド+セルフホスト | Jira・Atlassian利用 |
| Azure Pipelines | 1,800分(要有効化) | 並列ジョブ数で購入 | マネージド+セルフホスト | Azure中心 |
| AWS CodeBuild | 100ビルド分 | 分単位の従量 | マネージド | AWS中心 |
| Google Cloud Build | 2,500ビルド分 | 分単位の従量 | マネージド | Google Cloud中心 |
| Bitrise | 300クレジット | 月額プラン | マネージド+セルフホスト | モバイルアプリ |
| Jenkins | ライセンス費なし | サーバー費のみ | セルフホスト | 社内資産に依存 |
| Argo CD | ライセンス費なし | クラスタ費のみ | セルフホスト(K8s) | K8sへのCD |
| Travis CI | なし | クレジット制 | マネージド | 新規採用は非推奨 |
GitHubリポジトリ前提ならGitHub Actions
GitHubの課金ドキュメントによると、無料枠はFreeが月2,000分、ProとTeamが3,000分、Enterprise Cloudが50,000分。セルフホストランナーと、publicリポジトリでの標準ランナーの実行は無料です。大型ランナー(larger runners)は無料枠の対象外で、publicリポジトリでも最初の1分から課金されます。Copilotのコードレビューも、privateリポジトリではActionsの分数を消費します。2025年12月16日に告知されたセルフホストランナーへの1分$0.002の課金は、翌17日に延期が発表されました。同時に告知されたホストランナーの最大39%の値下げは延期の対象外で、上の単価は値下げ後の値です。
選定上の強みは設定の少なさで、.github/workflows/にYAMLを置くだけで動きます。使い方の全体像はGitHub Actionsとは?できること・使い方とCI/CD自動化の活用例をわかりやすく解説、単価表と削減策はGitHub Actionsの料金|2026年改定後の分単価・無料枠とコスト削減の判断基準で扱っています。
GitLab・CircleCI・Azure Pipelinesの課金モデルの違い
3製品とも、無料枠の「分」の意味が違います。GitLabのcompute minutesは実時間にコスト係数を掛けて減ります。Linux x86-64のsmallが1、mediumが2、largeが3、xlargeが6、2xlargeが12。macOS M1 mediumは6、M2 Pro largeは12です(macOSとWindowsはBeta)。mediumを選んだ時点で、Freeの400分は実時間200分になります。係数が0.5に下がるのはGitLab for Open Sourceプログラムに参加したpublicプロジェクトで、publicにするだけでは下がりません。
CircleCIはクレジット課金で、Freeの6,000ビルド分はsmall Dockerリソースクラスで数えた値です(5ユーザー・同時30)。Performanceは月$15から30,000クレジットが付き、ユーザー追加は1人月$15。詳細はCircleCIとは?config.ymlの書き方・料金・Jenkins/GitHub Actionsとの違い【2026年版】にまとめています。
Azure Pipelinesは、無料枠が自動では付きません。Microsoftのドキュメントのとおり、組織にAzureサブスクリプションをリンクして初めて、privateプロジェクトに1並列・1回60分・月1,800分が付与されます。有料にすると1ジョブ360分・月間上限なし。publicプロジェクトは新規作成できず、既存分は2027年にprivateへ変換されるため、OSSの受け皿としては候補から外れました。
Bitbucket Pipelines|Jiraと同じAtlassianで揃える組織向け
Bitbucket Cloudに内蔵されたCI/CDで、JiraやConfluenceと同じAtlassianの管理下に置けるのが選ぶ理由になります。無料枠は小さく、Atlassianの料金ドキュメントではFreeが5ユーザーまで月50分。Standardは月2,500分、Premiumは月3,500分を含みます。月額はそれぞれ1ユーザー$3.65、$7.25ですが、1〜5ユーザーでは一律$18.25、$36.25です。超過は1,000分ごとに$10、1分あたり$0.010で、GitHub ActionsのLinux単価$0.006より高くなります。Freeの50分は5分ジョブ10回分なので、評価用と割り切るのが現実的です。
クラウド内蔵型|AWS CodeBuildとGoogle Cloud Build
デプロイ先のクラウドに寄せる選択肢です。AWS CodeBuildの無料枠は月100ビルド分(general1.smallまたはarm1.small)で、12か月の無料利用期間を過ぎても失効しません。超過はgeneral1.smallで1分$0.005。パイプライン全体はAWS CodePipelineとは?仕組み・料金・V1/V2の違いと構築手順を解説【2026年版】と組み合わせて組みます。製品単体はAWS CodeBuildとは?ビルド環境・料金とコンピューティングタイプ・採用判断を実装者目線で解説で扱っています。
Google Cloud Buildは請求先アカウントごとに月2,500ビルド分が無料で、本記事で比較するprivate向け無償プランの月間Linux実行枠では、CircleCIに次ぐ分数です。ただし対象はデフォルトプールのe2-standard-2だけで、公式は「promotional free tier」と書き、上限は変わりうるとしています。超過はe2-standard-2で1分$0.006。書き方はGoogle Cloud Buildとは|料金・cloudbuild.yamlの書き方・トリガー設定【2026年版】にあります。
モバイルアプリならBitrise
Bitriseはモバイル専用のCI/CDで、iOSの署名やストア配布の手順がステップとして揃っています。無料のHobbyプランはprivateアプリ1件、同時実行5、1ビルド90分まで、月300クレジット。有料は年払いの月額換算でStarterが$89から、Proが$200からです。月払いではそれぞれ$99、$218からとなります。Starterの月100ビルドは推奨規模で、回数の上限ではありません。クレジットの消費量はマシン種別ごとの毎分レートで決まるため、汎用CIと比べるときは同じ性能のマシンで揃えます。macOSを従量で回すと単価がLinuxの約10倍になるので、ビルド回数が読めるiOSチームは定額のほうが予算を立てやすくなります。
Jenkins・Argo CDというセルフホストの選択肢
Jenkinsの費用はサーバー代と運用工数だけです。LTSの2.580.1は2026年9月30日、weeklyの2.585は10月5日のリリースで、更新は続いています。ビルド時間に上限がなく、社内ネットワークの資産に届く点はマネージド型では代えにくい価値です。その代わり、プラグインの更新とセキュリティ修正への追随は運用者の責任になります。導入手順はJenkinsとは?できること・無料の範囲とインストールから使い方まで【2026年版】を参照してください。
Argo CDはCIを持たず、KubernetesへのCDだけを担うGitOps型です。最新はv3.5.4(2026年10月6日)。構成例として、CIをGitHub Actionsで実行し、KubernetesへのCDをArgo CDに任せる分担ができます。同系統のFlux CDとの違いはFlux CDとは?GitOps Toolkitの仕組みとArgo CDとの違いを実装者目線で解説で比べています。
Travis CIを新規採用候補から外す理由
国内の比較記事の多くは今もTravis CIを7選に入れていますが、公式の課金ドキュメントには「Free Trial Plans are currently unavailable」とあります。無料で使えるのは、IBM Cloud上のppc64le・s390xで動くPartner QueueをOSSで使う場合と、個別申請のOSSクレジットだけです。x86-64のビルドを無条件の無料枠で継続する用途には向かないため、OSSクレジットの承認を前提にしない移行先としてGitHub ActionsかCircleCIを選びます。
CI/CDツールの利用率ランキング|2026年の調査データ
「どれが一番使われているか」は、JetBrainsのState of CI/CD Tools 2026が一次データになります。回答者598人(うちCI/CDツール利用者576人)に、組織で使っているツールを複数選択で聞いた結果です。
| 順位 | ツール | 2026年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 1 | GitHub Actions | 47% | 41% |
| 2 | GitLab CI | 32% | 34% |
| 3 | Jenkins | 28% | 31% |
| 4 | Azure DevOps Server | 15% | 14% |
| 5 | TeamCity | 10% | 7% |
| 6 | AWS CodePipeline/CodeBuild | 7% | 選択肢変更 |
| 7 | Bitbucket Pipelines | 6% | 7% |
| 8 | Google Cloud Build | 4% | 4% |
掲載した比較値では、GitHub Actionsが6ポイント、Azure DevOps Serverが1ポイント、TeamCityが3ポイント上昇し、GitLab CIは2ポイント、Jenkinsは3ポイント低下しています。日本に限った調査ではなく、回答者598人の標本に基づく結果です。レポートの方法論の節も、回答者は開発者向けブログやSNSなどで集めた関心の高い層で、業界全体を映すものではないと断っています。調査主体のJetBrainsがTeamCityの開発元である点も含め、市場シェアとは区別して読んでください。順位は「GitHub Actionsを選んでも少数派にならない」確認に留め、選定は次章以降の費用と制約で決めてください。
無料枠で運用できる規模の上限と超過コスト
「無料で使えるCI/CDツールはどれか」に数字で答えるため、1回5分のLinuxジョブに換算して並べます。
| ツール | 無料枠 | 5分ジョブ換算 | 条件 |
|---|---|---|---|
| CircleCI | 6,000分 | 約1,200回 | 5ユーザーまで |
| Google Cloud Build | 2,500分 | 約500回 | e2-standard-2のみ |
| GitHub Actions | 2,000分 | 約400回 | publicは無料 |
| Azure Pipelines | 1,800分 | 約360回 | 並列1・要有効化 |
| GitLab CI/CD | 400分 | 約80回 | mediumで約40回 |
| AWS CodeBuild | 100分 | 約20回 | small限定 |
| Bitbucket Pipelines | 50分 | 約10回 | 5ユーザーまで |
具体的な規模に置き換えます。開発者3人が1日7回pushし、20営業日回すと月420回。1回5分なら2,100分で、GitHub ActionsのFreeを100分超えます。請求は$0.006×100で$0.6。無料枠を超えた時点を乗り換えどきと考えがちですが、月1,000分超えても$6にしかなりません。この実行規模では、Linuxの超過料金だけを理由に移行するより、設定や保守に必要な工数を先に比較する判断になります。
macOSでビルドするiOSアプリでは前提が逆になります。同じ100分の超過がmacOSでは$6.2で、Linuxの約10.3倍です。月10,000分まで広げると超過8,000分で、macOSは$496、Linuxは$48です。iOS向けなら、比べるべきは無料枠ではなくmacOSの単価と、Bitriseの定額プランやセルフホストへ切り替えられるかどうかです。
セルフホストランナーにすれば実行時間の課金はなくなりますが、脆弱性対応と死活監視が自社の作業に加わります。実行料金と、自社ランナーのサーバー代・保守工数・障害対応費を比較し、後者が下回る見込みが立った段階で切り替えを検討します。切り替えの手順はGitHubセルフホストランナーとは?導入手順とhosted版の違い【2026年版】、マネージドのまま安くする方法はBlacksmith(GitHub Actions代替ランナー)とは?2倍速・最大75%コスト削減の仕組みと移行手順で扱っています。
CI/CDツールの選定基準|5つの判断軸
無料枠と単価を押さえたら、次の5点を順に確認し、必須条件を満たさない候補を外します。
リポジトリホスティングとの一体性
最も重い制約です。GitHubならGitHub Actions、GitLabならGitLab CI/CD、BitbucketならBitbucket Pipelinesを選ぶと、権限管理・シークレット・プルリクエストのステータス連携が既存の仕組みに乗ります。別のCIサービスを挟むと、アクセストークンの発行と失効管理が運用項目として1つ増えます。ホスティング自体をこれから決めるならGitHubとGitLabの違い|料金・Free枠・CI/CD・セルフホストを比較【2026年版】が判断材料になります。
マネージドランナーとセルフホストランナーの分岐点
社内限定のデータベースやライセンスサーバーにテストがアクセスする場合、マネージドランナーからVPNなどで接続できなければ、実行環境を自社側に置きます。その場合の候補はJenkins、またはGitHub Actions・GitLab CI/CDのセルフホストランナーです。この条件に当たらないなら、サーバー保守の要らないマネージドが有利です。
デプロイ先への認証方式
クラウドへデプロイするなら、長期のアクセスキーをCIに保存しない設計にできるかが分かれ目です。GitHub ActionsとGitLab CI/CDはOIDCによる一時認証に対応し、AWSのIAMロールを実行ごとに引き受けられます。手順はGitHub ActionsとTerraformでAWSのCI/CDを構築する手順(OIDC・S3ネイティブロック対応)で扱っています。
サードパーティ製Actionの固定とサプライチェーン対策
CI/CDツールはシークレットを扱うため、それ自体が攻撃の入口になります。2025年3月には、広く使われていたtj-actions/changed-filesのタグが書き換えられ、実行ログからシークレットが読める状態になりました(CVE-2025-30066)。タグ参照のワークフローは、書き換えられた版を取り込みます。GitHubの組織設定には「Require actions to be pinned to a full-length commit SHA」があり、有効にするとSHAで固定していないActionは実行されません(再利用可能ワークフローはタグ参照のまま使えます)。事件の経緯はtj-actions/changed-files侵害(CVE-2025-30066)とreviewdog/action-setup侵害の経緯・影響確認・再発防止、設定の手順はSHA Pinningとは?GitHub ActionsをコミットSHAで固定する方法【Enforce設定・pinact v5】にまとめています。マーケットプレイス型の部品が多い製品ほど、この強制設定の有無を選定の条件に入れるべきです。
パイプライン定義の可搬性
YAMLに書く範囲を薄くし、実処理をシェルスクリプトやMakefileに逃がしておくと、別のCI製品へ移りやすくなります。逆に、GitHub Actionsの再利用可能ワークフロー、GitLabのextends、CircleCIのOrbsのような固有の記法に処理を寄せるほど、移行時の書き直しが増えます。複数のCI製品で同じ処理を使う予定や移行計画があるなら、共通処理をスクリプトへ分離し、製品固有の設定を書き直す範囲を小さくします。
GitHub ActionsでCI/CDを組む最小構成
以下はNode.js 22のプロジェクト向け設定例です。npm ci用のロックファイル、npm testの定義、実行可能なscripts/deploy.shを用意し、例示のIAMロールARNを自社の値へ置き換えます。AWS側ではGitHubのOIDCプロバイダーと対象リポジトリ・production環境を許可する信頼ポリシー、デプロイ用権限が必要です。2026年10月11日時点の最新版は、actions/checkoutがv7.0.1、actions/setup-nodeがv7.1.0、aws-actions/configure-aws-credentialsがv6.3.0です。
name: ci-cd
on:
push:
branches: [main]
tags: ['v*']
pull_request:
branches: [main]
jobs:
test:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- uses: actions/checkout@v7
- uses: actions/setup-node@v7
with:
node-version: '22'
cache: npm
- run: npm ci
- run: npm test
deploy:
needs: test
if: startsWith(github.ref, 'refs/tags/v')
runs-on: ubuntu-latest
environment: production
permissions:
id-token: write
contents: read
steps:
- uses: actions/checkout@v7
- uses: aws-actions/configure-aws-credentials@v6
with:
role-to-assume: arn:aws:iam::123456789012:role/github-deploy
aws-region: ap-northeast-1
- run: ./scripts/deploy.sh
読むべきはneeds・if・permissionsの3つです。needs: testでテストの成功をデプロイの前提にし、ifでデプロイをvで始まるタグのpushに限り、environment: productionで承認ゲートを掛けられる状態にしています。id-token: writeがOIDCの有効化で、アクセスキーをシークレットに置かずにIAMロールを引き受けられます。前章のSHA固定を強制している組織では、checkoutとsetup-nodeの@v7に加え、configure-aws-credentialsの@v6も、対応するフルコミットSHAに置き換える必要があります。承認ゲートを使うにはproduction環境で必須レビュアーを設定します。Free・Pro・Teamでは必須レビュアーはpublicリポジトリ向けで、privateではEnterpriseが必要です。他の承認処理がなければ、この設定を外すことでタグ起動の自動デプロイに切り替えられます。
CI/CDツール導入のメリットと、ツールだけでは変わらないこと
CI/CDのメリットには、ツールを入れるだけで得られるものと、そうでないものがあります。
ツールだけで確実に変わるのは、リリース作業のばらつきです。ビルドとアップロードを自動化すると、手順を共有でき、実行ログも残ります。担当者による差を減らすには入力値や実行環境も揃え、所要時間の短縮は導入前後の実測で確かめます。変更のたびに全テストが回るので、壊れた変更が共有ブランチに入ってから見つかるまでの時間も短くなります。
変わらないのはバグの検出率です。CIが走らせるのは既存のテストで、テストの無い箇所の欠陥は何回ビルドしても見つかりません。カバレッジが低いままCIだけ入れると、緑のチェックマークが「テストされていない」ことを覆い隠します。デプロイ頻度も同じで、レビュー待ちや承認がボトルネックなら、パイプラインを1分縮めてもリードタイムはほぼ動きません。どこで時間が消えているかはDatadog CI Visibilityとは?対応CI・設定手順・料金とTest Optimizationの分担のような計測で先に確かめます。
CI/CDツールの導入手順|テスト整備から本番デプロイまで
製品を比べても選定が進まない現場には、たいてい前提の欠けがあります。次の順に進めると、ツールの比較が意味を持つ段階に早く着きます。
- ユニットテストを先に用意する。テストが実質ゼロでも静的解析などは実行できますが、業務上の期待どおりに動くかを自動検証する範囲は限られます。
- 本番の構成とデプロイ手順を書き出す。特定の担当者の手順に依存している状態では、YAMLに書き下ろす対象がありません。
- コードの置き場所に内蔵されたCIで、プルリクエスト時のテストだけを自動化する。GitHub Actionsなら前章の
testジョブ1つで始められます。 - ステージング環境へのデプロイを自動化し、本番は承認付きの継続的デリバリーにする。
- 実行時間と費用を1か月測り、macOSの単価や無料枠の超過が問題になってから、セルフホストや別製品を検討する。
そもそも導入すべきかは、変更頻度やチーム規模といったツールの外側の条件で決まります。その線引きはCI/CDとは:仕組み・パイプライン構成・GitHub Actionsの設定例と導入判断の基準を解説に譲り、本記事は導入を決めた後の製品選定に絞っています。
よくある質問
有名なCI/CDツールは何ですか?
2026年のJetBrainsの調査で組織での利用率が高かった順に、GitHub Actions(47%)、GitLab CI(32%)、Jenkins(28%)、Azure DevOps Server(15%)、TeamCity(10%)です。このほかCircleCI、モバイル向けのBitrise、Kubernetes向けCDのArgo CDがよく比較に挙がります。
無料で使えるCI/CDツールはどれですか?
privateリポジトリの無料枠が最も大きいのはCircleCIの月6,000ビルド分(5ユーザーまで)で、Google Cloud Buildの月2,500ビルド分、GitHub Actionsの月2,000分が続きます。GitHub Actionsはpublicリポジトリなら標準ランナーが無料です。1回5分なら、GitLab CI/CDは係数1で月80回、AWS CodeBuildは対象small環境で月20回、Bitbucket Pipelinesは通常サイズで月10回が無料枠内の目安です。Jenkinsはライセンス費がかかりませんが、サーバー代に加えて更新・監視・バックアップなどの運用工数が必要です。
CIツールとCI/CDツールは何が違いますか?
CIツールはビルドとテストの自動実行まで、CI/CDツールはデプロイの自動化までを含みます。主要製品はほぼCDまで対応しているため、製品名としての区別は実質なくなりました。例外はArgo CDで、CI機能を持たずKubernetesへのデプロイだけを担います。
JenkinsとGitHub Actionsはどちらを選ぶべきですか?
コードがGitHubにあり、テストが社内ネットワークの資産に依存しないならGitHub Actionsです。サーバーの構築も保守も要りません。Jenkinsを選ぶ理由になるのは、社内限定のリソースに届く必要がある場合と、既存のプラグイン資産が多い場合です。なお、GitHub Actionsから社内のセルフホストランナーを呼ぶ構成でも、前者の要件は満たせます。
CI/CDツールの導入を開発会社に依頼すべきですか?
パイプラインの構築だけなら、GitHub Actionsの最小構成のように小さく始められるので、委託の必然性は高くありません。委託が効くのは、本番の構成が属人化していて棚卸しから要る場合や、既存のJenkins資産をクラウドへ移す場合です。自動テストとデプロイ手順が整い、権限設計・障害対応まで担当できる人員がいれば、内製を第一候補にできます。棚卸しや移行から任せたい場合は、DevOps・CI/CD導入支援のような外部の支援を検討してください。